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もうすぐ桜が咲きますね
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依頼前の挨拶スレッド
最終発言2018/03/15 21:07:10
オープニング
「お茶会をしないか?」
急に連絡が来たかと思えば、晴れる日にお茶会をしようとの事である。
花粉がつらくなるこの時期だが、桜の開花もそろそろらしい。
「段々とぽかぽか暖かくなってきたからのう。花見にはまだ早いかもしれんが、森林公園でお菓子でも持ち寄ってお茶会をしようじゃないか」
街から少しだけ離れたところにある森林公園。ここらで一番大きな公園だろう。今の時期だと桜の開花が見れるらしい。
青々とした木々の中を散歩し、暖かい日光をを浴び、深呼吸。
「おじさんぽいとな!? ……そんなことはないぞ。うんうん」
つい、思考がおじさんだと突っ込みをいれてしまうが、彼はさらりと受け流す。
「わしも、和菓子を作っていこうかと思ってるから、時間が合えばの……一緒に茶を飲もう」
それだけ言って、彼は電話を切ってしまった。
最近、色々と心境の変化があった者もいるだろう。四月も近づき、バタバタとして疲れた頃ではないだろうか。
たまにはそんなことを一瞬だけ忘れ、まったりのんびりと一日を過ごすのはどうだろう。
解説
目的
まったりした時間、お茶会を過ごす
詳細
>お茶会
・食べ物、お茶を持ち寄って公園でまったりピクニック
・時間は12時、日にちは、彼が晴れる日を調べ後日連絡するとのことだ
>森林公園
・市で一番大きな公園
・博物館、湖、アスレチックなどがあり、湖ではボートや白鳥の乗り物が乗れる
・至る所に休憩スペースがあり、東屋だったり、ベンチだったりとお茶会もしやすい
・散歩にはもってこいで、お爺ちゃんお婆ちゃんの大人気スポット
・博物館は今は休業中
リプレイ
■春風香るお茶会
市で一番大きな公園の芝生が広がる場所で、木でできた大きな机がいくつも並ぶ休憩スペースがある。
卵焼きにサンドイッチ、それとお弁当。デザートにお団子などの和菓子と洋菓子によって豪華に彩られていた机の上。その周りを十三人が囲んで穏やかな時間に身を任せ、まったりとくつろいでいた。
地に着く足からは青々とした芝生の感触が伝わってくる。
人数が多いため、それぞれ別のテーブルに座っている――とはいえ、すぐ近くに並ぶ机の為、みんなで食べ物初付き合う。
「ふぁ~……天気良いねぇ」
空を見上げ思いっきり深呼吸するリリア・クラウン(aa3674)。ぽかぽかとした日差しが心地よい。
『もう春っすな~……もぐもぐ……』
彼女と一緒に温かい日差しを浴び、目を細める片薙 渚(aa3674hero002)。
ぽかぽか温かい日光、都会から少し離れ自然の中にいるんだって感じる美味しい空気。その中で食べるお弁当は格別に美味い。
「皆色々作ったりしたんじゃのう……甘いものばっかり持ってきてしまったわい。してこのかごは――」
どれも皆美味しそうだと、剣太が食べ物を物色する。今にも涎が垂れてしまいそうだ。
「あ、これサンドイッチです! ちょっと早起きして、頑張って作ってみました!」
春川 芳紀(aa4330)が、かごの蓋を開けて中を見せてくれる。三角に整えられたサンドイッチが綺麗に並べられている。
『……殻剥きは自分が承った』
ひとつを指さし、丁香花(aa4330hero001)が言う。
たまご、ハム、ハムカツの三種類。ハムカツは母上が作ったそうだが、どれもおすすめとのことだ。
勧められて――よりも早く「いただくぞ!」と剣太は大好物であるたまごサンドを手に取り満面の笑みで頬張るのであった。それを春川もにこにこと笑ってくれた。
「□□――……」
辺是 落児(aa0281)の髪が風に揺れる。薄紅色の花びらが風に乗り何枚も運ばれてくる。
『ええ……天気も良く、風も心地よいですね』
構築の魔女(aa0281hero001)は辺是に言葉を返す。お茶を一口飲むと、ほっと息が出る。
彼の髪に花びらが一枚付いているのを発見し、そっとつまんでそのまま風に運ばせるのであった。
「これ……食べきれるのか……?」
構築の魔女が作ってきたというサンドイッチはイチゴ、ツナ、サラダ、ハム、たまご。春川のを合わせて結構な量になる。
そう言いつつも、サンドイッチを口に運ぶ御神 恭也(aa0127)。ツナサンドは無難だが美味しい。
『イチゴと生クリームのサンドイッチですが……紅茶によく合います』
彼に倣い不破 雫(aa0127hero002)もサンドイッチを頬張る。イチゴの甘さを消さないようにと生クリームの甘さが控えめなのがバランスがとれていてとても良い。
近くに咲いていた桜の花びらが、ひらひらと一枚落ちてくる。コップに浮かぶソレは何とも風流であった。
「……こんなのは初めて、です」
このように皆で食べ物を持ち合って集まるのが初めてだと、茨稀(aa4720)が呟く。
「茶会か。確かに私も初めてやも知れん」
一緒に参加したアリス(aa4688)も初めてなんだという。
胃に物を入れる前に、茨稀の持ってきたホットコーヒーでほっと一息つく。
『申し訳御座いませんが、ご相伴に与かります』
彼にコーヒーを分けてもらい、アリスにコーヒーを渡す葵(aa4688hero001)。
『おう、食え食え』
自分たちが持ってきた桜風味のわらび餅、抹茶の生チョコをファルク(aa4720hero001)が二人の前に置く。
生憎、持ち合わせがなかったアリス達だったが、むしろ、企画者の彼が持ってきた分だけでも食べ物は十分ぐらいだ。剣太が、四人の座るテーブルにも大量の和菓子を置いていたので、食べ物には困らないのではないだろうか。
■穏やかに流れる時間
『……眠たそうですね』
自分も眠くなってきているのだろう。ほわんとした雰囲気の中、不破の眠そうな視線が御神に向けられる。
「少しな、此処のところ休みを取っていなかった上にこの陽気だとな」
くわっと小さくあくびが出てしまう。掌でそれを隠し、ぼうっと遠くの桜を眺める。
『なるほど……眠るなら膝枕でもしてあげましょうか?』
ふふんと小悪魔的笑みを浮かべる。
「止めておく、只でさえ謂れのないロリコン疑惑に拍車を掛けたくはない」
普段から自分より小さい彼女に囲まれているからなのか、ロリコン疑惑が浮上しつつあるらしい。
『ロリコンって……それほど年齢は離れていないのですが』
不破曰く年齢は御神と離れてないと言うが――
「見た目の問題だろ」
第三者視点から見れば、幼女とガタイの良いお兄さんだ。その二人が膝枕となれば、ロリコン不可避になってしまうのは間違いない。
『失敬ですね』
不破は若く見られるのが嫌なのだろうか。
「俺に言わんでくれ、この件では俺も被害者だ」
元々鋭い目が、さらに細く、そして眉が中心に寄る。
『もう良いです。折角にお花見に水を差したくはありませんから』
二人で何かを言ったところで現状何も変わらないと、この話には一度終止符を打つことにする。
「同感だな」
それに対し、御神も同意するのであった。
暫くして、雫が陽気の良さにうたた寝してしまう。
最初は、こっくりこっくりと船を漕いでいたのだったが、いつのまにか腕で枕を作り完全にお昼寝モードに移行していた。
「まったく……いくら陽気が良いと言ってもこのままでは風邪を引きかねんな」
時間がないわけではないし、わざわざ起こすのも悪いと、御神はそのままにしておくことに決めた。ただ、風邪を引かない様に自分の上着を掛けてやる。
起こさないようにしつつ、軽く周りを片付け、コップにお茶を注ぎ遠くを眺める。
風に揺れる木々、青いキャンパスをゆっくりと動く白い雲。ゆっくりとした時間が流れる。
「帰るまでに目を覚ませば良いがな……最悪、背負って帰るか」
彼女の寝顔を眺めのんびりと過ごすうちに、いつの間にか彼もこっくりこっくりと船を漕ぎ始めるのであった。
ふたりが仲良く転寝している様子を少し離れたところで座っていた犬の彼は、羨ましそうな顔で見ているのである。
■まとまらない考え
お茶会もしばらくするとまったりに拍車がかかり、ここに好きなことをし始めていた。
辺是と構築の魔女も身の回りを軽く片付けた後、そっと立ちあがる。
『少し場も落ち着いてきましたし、申し訳ありませんがちょっとそのあたりを歩いてきます』
テーブルに座ってる者たちに、一言断りを入れ目線を辺是の方へ向ける。構築の魔女の言葉に彼は頷き、一緒にその場を後にするのであった。
公園の中心にある大きな池の周り、そこをゆっくりと二人で散歩する。池の中を優雅に泳ぐ白鳥や鯉に餌を与える幼い子供たちが何とも可愛らしい。
それを横目にくすっと笑いつつ通り過ぎ、木々が生い茂る森林エリアのハイキングコースへと入っていく。
『ふむ……歩くと考えがまとまると言っていたのは誰でしたかね?』
太陽の光が地面に葉の影を作り、その上を二人で歩く。風により揺れる影に目線を向け、彼に問いかける。
しばしの沈黙が続き、またしばらくして彼が口を開く。
「ロローー」
『となると、思い出せない向こうの誰かの可能性もありますね』
うーん……考えると考えるだけ謎も深まる。まだわからないところも多いからだ。
『しかし、アマゾンでの騒動が終わればまた違う厄介事とは休む暇もありませんね』
「ローーロ」
『確かに暇があったとしても休まない可能性もありますか』
H.O.P.E全体を包む厄介ごと、それがなかったとしても自分たちは小さい依頼に赴いているだろう。そう考えると「暇」なんてものは二人とって無いようなものと言えるだろう。
『とはいえ、真面目な話どうしたものでしょうね?』
「………ロ」
『そうなのですよ、既成事実が先行し現状が顧みられていないのがいただけません』
「ーーロロ」
『えぇ、可能性を0と断言するのは愚か者の所業でしょうけれど……』
「ロロ……」
『個人的に砂の上に築かれた城……土台が不安定な積み木細工……そういうものと感じてしまいます』
「ーロ……」
『そう、裏切りは最初の一度が――』
話を広げるうちに、森林の中に東屋があるのに気が付く。
このまま話していたところでまとまるかどうかはわからないが、ある程度話が落ち着くまで二人はそこで散策の休憩をとることにした。
■未来のために
「ちょっとお散歩してくるねー!」
『行ってくるっす!』
お茶をすする企画者に一言告げ、二人も公園内を散歩して回るのであった。
「まだ満開とは言わないけど、桜も綺麗だね」
『蕾が多いっすけど、やっぱ桜を見ると日本にいるなーって気分になるっすな』
その言葉を聞き、リリアの表情が少し暗くなる――が、すぐにいつもの笑顔を浮かべていた。
池の周りの散歩道を周りの景色をスマートフォンで写真に残しつつ、二人でゆっくりと歩いていく。
『お? あれは何すかね』
大きな白鳥のようなものが池の中心を泳いでいた。
「なっちゃん、あれ、白鳥ボードだよ~!」
そう言えば、見たことなかったっけと首をかしげる。
『へぇ、かわった乗り物っすね』
白い大きな鳥の乗り物に興味津々の様子だったので、彼女を誘いボート乗り場まで行くことにした。
「これも思い出、思い出! 折角ここに来たんだから二人で乗ってみよ~!」
待ってる間も、周りの景色や、池の中を泳ぐ白鳥、鯉の写真をスマートフォンで撮る。
自分たちの順番になり、白い乗り物に足を踏み入れる。自分の体重によって、その分足元が低くなる。
普通のボートと違い、足元にあるペダルを漕ぐことによって進むため扱いやすい。
『お、動いた動いた……』
ゆっくり、ゆっくりと進み始め、慣れてくると徐々にペースが上がる。
二人でキャッキャとしながら、池の中心の方まで進み、しばらくの間動かずにゆっくりとその場に留まった。
「えっとね……今、丁度良いタイミングだと思うから――」
会話がなく静かな時間が流れるかと思いきや、ぽつりぽつりとリリアが言葉を続ける。
相談があると彼女は言った。結婚した旦那は故郷に帰ってしまうのだという。それだけなら、一緒に帰ればよいと話はそこで終わってしまうのだが、日本で出会った大切な仲間や友達と別れたくないのだと話す。
『海外にも支部があるから、依頼でまた会えるんじゃないっすか?』
一生の別れではないんだと、片薙が彼女を励ますのだった。
『だから、いまは皆と思い出をいっぱい作るっすよ。これからも――』
そうだねとリリアは笑みを見せる。
そして、思い出の写真をまた一枚、白鳥の中で撮るのであった。
■初めてのもふもふ
「それにしても、凄い量じゃの。たまごサンドはとても美味であった……」
満足そうにお茶をすする剣太に、春川が笑みを浮かべる。
「母さん……オレが運動部してたころの感覚のまんまで……。あ、今は帰宅部なんすけどね」
今日、これだけのかご一杯のサンドイッチを作ってきたのは、部活をしてた時の名残だという。確かに、運動部だったらこの量はなっとくかもしれない。
「花……丁香花とせーやく? できたことで、自分が能力者だって気づいて、それからやめちゃいました」
「ほうほう……して部活はなにをやっておったんじゃ?」
「なんの部活だったかは秘密です。対して強くはなかったんすよ。県大会も初戦で敗退とかよくしてたし」
秘密と言われ、ぷくっと頬を膨らます剣太。その頬を春川がつついて潰す――ぷすっと息が抜けていった。
「けどまぁ、別に部活辞めて進学して離れてからも友達とはしょっちゅう遊んでるし。今となっては花が居ない生活とか想像つかないから、後悔とかはしてないんすよ。……してないかんな?!」
丁香花の方を振り返り言う芳紀に彼は微笑むまま、何も言わずに日光を浴びていた。とても気持ちよさそうだ。
「あ、そうだ。剣太さんに折り入ってお願いがありまして……」
真剣な瞳でそういわれ、ビシッと背筋を伸ばし聞く体制に入る。
「実は……オレも友達も知り合いにワイルドブラッドの人って居なくて……。その……尻尾か耳を撮らせてもらったりして、あまつさえそれをSNSにアップさせてもらってもよかったりしませんか……?」
一番カツが分厚いカツサンドを差し出しつつ、真剣な顔をしている春川に、「なんじゃそんなことか」と呆れ顔でちゃっかりカツサンドを受け取る剣太。
「そうじゃなぁ……うむ。わしと友達になってくれるなら考えてやらんことも……いや、もう友達じゃな。うんうん。存分に撮るが良い!」
自分の都合の良いように、春川を友達として解釈する彼は、嬉しそうにカツサンドを頬張った。
了解が出たということで、ピクピクと動く赤茶の耳を携帯電話で撮らせてもらう。
丁香花と二人でピースを入れつつ撮影した一枚と、耳単体の一枚をすぐにSNSにアップをする。本文は「HOPEの人とピクニック!」とシンプルに書く。
その後、春川はストレッチしたり、芝生のでゴロゴロしたりそのまま昼寝をしたりと、穏やかな時間を楽しんだ。
その横で丁香花は散歩中のご老人と剣太が彼に話しかけるのを、ひたすら相槌をうち、春川が起きる頃には彼も船を漕ぎだしているのであった。
■出会いの輪
「然しファルクは相変わらずだ、な。いい加減釦を閉めたら如何、だ?」
外気に触れる腹筋をみて、呆れたようにアリスが言う。いつもの事ではあるのだが、突っ込まずにはいられない。
『あ? だからコレはポリシー……そしてアイデンティティーだ!』
ドンッと胸を張って言う彼に、これ以上何も言うまいと、彼女はコーヒーを飲みながら別の話題に切り替える。
「そうだ。こうして公園に来たのだ。せっかくだから散歩でもどうだろうか?」
普段なかなか出歩かないという四人。悪くはないとファルクが返す。
「……そうですね。もっと間近で桜を見てみたいですし、ちょっと行ってみましょうか」
ゆっくり、茨稀も立ち上がり、散策する準備をする。
『荷物は……彼らが見てくれるらしいので置いておきましょうか』
お茶会企画者の彼がこの場に残っているということで、水筒などは彼のテーブルに置いておき、四人はこの場を後にするのであった。
まずは、すぐ近くの両脇に桜植えられている道を歩く。
思ったよりも蕾は大きくなっており、ところどころは花開いて小さな顔を見せていた。
『何かさ……桜の精気が感じられるみてぇだな』
開きかけの蕾を壊さないようファルクがそっと触れる。
「精気、ですか」
それは恐らく、桜が花開くための魂の力……なのだろうと茨稀は思った。
「精気、か。生気では無い、な」
満開の状態ならば「生気」という言葉も合っているのかもしれない。でも蕾を開こうとしているこの状態ならば「精気」という漢字が合っているのだと思う。
「きっと……今だけ、なのでしょうね」
桜に見られる精気は、花開こうとする今だけだ。
『然し其処に在る事には変わりはありませんね……』
今年が終わっても来年も見れると考えると、無くなったわけではないのだろう。
「全てにおいて、”今”は存在せ、ん。在るのは、未来と過去だけ、だ」
散るからこそ咲くのだろう。今は散る。去れどまた巡り咲く。桜はそれをそこにある限り繰り返す。
「今、がない?」
アリスの言葉に首をかしげる茨稀。
『確かに道理、だ。嬢ちゃんは前向きだな』
ファルクは彼女の言葉の意味が分かったのか、納得しているようだった。
「散ることは。桜にとってどんな意味を持つのでしょう」
散らなければよいのにとそう考える者は少なくはないのではないか。
『散る為に咲くが咲く為に散ると以前、茨稀に言ってたな』
それも然り、間違えではないのだろう。
「……そう、廻る……全ては廻る、と……」
茨稀は以前口にした自分の言葉を繰り返す。
「意味、か。面白い事を言う、な」
彼の問いにアリス達も彼女たちの思うままに言葉を返してくれる。
『輪とも言えるかも知れないですね……。何時かは綻ぶ……』
「そうだな、何時かは綻ぶ。然し廻る。終わりは、無い。全ては一瞬。全ては永遠」
「全てが廻り、巡る……それは輪?」
自分たちがこうして出会ったのは、その輪によるものなのだろうか。
「俺達も輪、なのでしょうか」
それぞれの人生の沢山の輪が廻り、巡り、出会い、別れる。
『嬢ちゃん達と俺達の輪が一瞬でも重なる。いや、重なった。……すげーこと、だな』
輪が重なって、今こうして四人でここにいる。
一瞬で永遠な、存在しない【今】に。出会いは、別れの為、に。別れは、出会う為、に。
「……永遠というモノを考えた事はある、か? 私には、永遠は一瞬だ。そして一瞬は永遠、だ」
ひらひらと落ちてきた白い花びらを彼女はそっと掴むのであった。
「いつか……絵を……」
この不思議な輪が交差したアリスさん達の絵を描きたいと茨城は思う。
「絵か。そう言えばまだ茨稀の描いたモノを見た事は無い、な……」
絵をかきたいという茨稀の呟きを聞き、アリスは素直に見てみたいと思った。
「桜の中のアリスさんや……葵さんを……桜に埋もれる白い貴女達を……留めさせて下さい」
永遠が一瞬と言うのなら、輪が――そう、外れない内に……。
『って! 茨稀!! 俺は? 俺、そんなの言って貰った覚えすらねーぜ?』
「え? ああ…じゃあ、ファルクはおまけ、に描きましょう」
「おまけでも描いて貰えるだけ有り難かろ、う。茨稀の優しさに感謝し、そして釦を閉め、ろ」
『ここに俺の味方は居ねーのかっ。そして、コレはやめねぇ!』
難しかった雰囲気が、一気にいつもの空気に戻る。
そして、しばらく公園内を散策し色々な春を見て回り、満足したところで最初の芝生のところへと戻っていくのであった。
■後片付け
「おうおう、みんな戻ってきたようじゃな。さて、そろそろ帰ろうかの」
散歩に行った者たちも戻ってきて、お昼寝をしたものも目が覚めた頃、剣太がお茶会の終わりを告げる。
ごみを分別しまとめ、余ったお菓子などは剣太が持ってきていたプラスチックの容器に入れ、それぞれ参加者に配るのだった。
すっきりした顔をした者もいれば、何かを思う様に遠くを見る者いた。今日、このお茶会が少しでも皆の心の休みになればよいと密かに彼は思うのである。
「また機会があれば」とその場を後にした一行は、それぞれ我が家へと帰って行く。
この日のお茶会はこうして終わりを迎えた。
結果
シナリオ成功度 | 大成功 |
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