本部

全部、嫌いにしてやる!

紅玉

形態
ショート
難易度
やや易しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
能力者
5人 / 4~6人
英雄
5人 / 0~6人
報酬
少なめ
相談期間
5日
完成日
2018/02/16 19:48

掲示板

オープニング

●恵方巻担いだ鬼さん
 お正月を過ぎたら、どこもかしこも節分の日に向けてのお知らせだらけ。
 鬼を豆で退治し、福を呼ぶなんて事を日本で経験した者は多いだろう。
 歳の数だけ豆を食べて、健康と長寿を願ったりした。
 さて、何時からか増えたのは恵方巻と呼ばれる、長い太巻きを毎年決められた方角に向きながら無言で頬張れば、幸せになるという。
 そんな行事に目を付けない者なんて居ないワケで……赤い鬼の様な風貌の愚神は、じっと恵方巻を凝視していた。
「恵方巻って食べにくいよねー」
「どーせなら、細くて切っているのがいいよね!」
「あーやだやだ、親がするから私は嫌いなのよねぇ、アレ」
 若い女性達の会話が愚神の耳に入る。
(幸福ニナル、食ベ物ヲ、嫌ウ、ツマリ……)
 この愚神、やはり愚かである。
「そう! クリスマスで嫉妬する人間もいるならばぁー? 苦手な、嫌いな行事があるっ!」
 赤とオレンジのまだら模様のサンタこと『サンタブレイズ』は、鬼の様な風貌の愚神にグッと拳を握り締めながら言う。
「ソウ、ナノカ?」
「そう! だから、俺は……腋で細巻きを作る修行をしてきた!」
 鬼の愚神にサンタブレイズは、目にも留まらぬ速さで腋で細巻きを握り、そして海苔を巻き完成した細巻きを差し出す。
 これには鬼の愚神もドン引きである。
「オ、オウ……」
「嫌いをもっと嫌いに、好きを嫌いにしてやろう!」
 サンタブレイズは鬼の愚神の肩に手を置いて、半ば……いや強制的に仲間にされたのであった。
「俺の細巻きを食いやがれー!」
 腋で握られた細巻きを一般人の口に突っ込む!
「いいから! 食え!」
 死屍累々、あまりにも酷い(腋で握られた)細巻きを口に一般人は、何故か気絶してしまい通りすがりの人にこう言った。
「あの、細巻きは死の、味が、した」
 と……。

●迷惑なヤツら?
「皆さん、お集まりいただきありがとうございます。プリセンサーが愚神を感知しました」
 会議室に集まったアナタ達をティリア・マーティスは見回した。
「節分をぶち壊そうと、鬼の愚神と以前遭遇したサンタブレイズという愚神が暴れるそうです。一般の方達が被害を受ける前に倒して下さい」
『早く、帰ったら、私、作の太巻き、食べさせる、よ』
 ティリアがアナタ達に説明する横で、弩 静華が「初心者でも作れる料理!」と書かれた本を持って手を振る。
「つまり、早く帰って来たら地獄って事ね」
 と、良い笑顔で圓 冥人が言った。
 そんな言葉を深く考えずにアナタ達は、指定された場所へと向かった。

解説

【目標】
愚神の討伐
巻き寿司作る!

【場所】
敵:とある街(昼)

巻き寿司作る:貸しキッチン

【敵】
愚神『赤オニ』1体
デグリオ級
全長3mもある赤い肌の鬼、体力と力がある。
太巻きを模したガトリングを所持しており、銃口からは『色んな太巻き』が射出される。
なお、まれにカラシやワサビしか入ってないのも出てくる。
当たると痛い。
一応食べれるが、口で受けると『わんこ蕎麦』ならぬ『わんこ太巻き』状態になる。

愚神『サンタブレイズ』1体
デグリオ級
赤とオレンジのまだら模様のサンタ服を着た男性、速さと流行になら自信がある。
腋で細巻きを作る技術を得ており、目にも留まらぬ速さで作成が可能。
中身はランダムだが、ソレを食べる者は誰も居ないらしい。(本人談
関連シナリオ:【黒聖夜】サンタ・ブレイズの嫉妬

【NPC】
呼ばれなければ着いていきません。
ティリア達→おっと! 太巻きが! 谷間にシュートされてしまうかも?
冥人達→食べ物を粗末にされて怒ります。

【特殊】
なお、早く愚神を討伐した場合は静華さんの太巻き(危険)を食べる事になります。
運次第では、体力が半分無くなりますのでご注意を。

リプレイ

●勘違い愚神再び?
 町のド真ん中でサンタブレイズが腋で細巻きを作り、赤オニは太巻きを模したガトリングを携えていた。
 悪夢だ、と誰もが思った。
『わわ、ああやって作るんだ? あれなら私にも出来そうだよ!』
 フローラ メルクリィ(aa0118hero001)が大きな瞳を輝かせながら言った。
「いや、あれはマネしてはいけない方法だ。画面の前の皆もマネしないように!」
 と、1カメに向かって言いながら黄昏ひりょ(aa0118)は画面を指す。
『誰に向かって言ってるの?』
 フローラはひりょが向いている方向に視線を向けるが、ソコにはカメラ等の機材は無い。
「ううん、なんでもない。ほら、油断していると細巻きやら太巻きが飛んでくるよ?」
 ひりょは、フローラの頭を両手で挟んで愚神の方へと向ける。
 スポッと、フローラの口に太巻きが丁度入る。
『これは……っ! サラダ巻きだよ!』
 シャキシャキなレタス、甘い玉子焼きとカニカマにふんわりと酢の酸味のマヨネーズがベストマッチ!
 あっという間に食べ終えたフローラは、『お茶があれば完璧なのに』と思いながら空を見上げた。
『食べ物を粗末にするのは頂けんのぅ……悪い子には、少々灸をすえてやらねばなぁ』
 愚神の行動に不満そうい言うサルヴァドール・ルナフィリア(aa2346hero002)。
「食べ物、粗末にしちゃ駄目ですよ。作ったからには責任を持って、ちゃんと食べきってくださいね?」
 共鳴姿になると花邑 咲(aa2346)は、愚神達の動向を見つつ一般人が近付かない様にしつつ避難誘導をする。

「この忙しい時期に何やってくれてんだオイィ!」
 太巻きを見た麻生 遊夜(aa0452)は吠えた。
『……ユーヤ、忙しくないよ? ……もうお仕事は、終わったよ?』
 そんな遊夜を見てユフォアリーヤ(aa0452hero001)は、腕を掴みながら言うものの迫力に圧倒されて慌てふためく。
「……まだ終わらない、作らないと……早く、早く終わらせる」
 死んだ魚の様な瞳で遊夜は、太巻きを巻く手付きをしながら呻く。
『……早く終わったら、地獄だって……言ってたよ? ……ねぇ、だから無茶だって……言ったのに、言ったのに!』
 ユフォアリーヤは、大きなお腹を擦りながら口を手で押さえ嗚咽をもらす。
 新たなる家族の為に張り切ってお金を稼いだ結果、遊夜は虚ろな瞳でぶつぶつ呟きながら共鳴姿になると武器を手に駆け出す。

「鬼が出るか邪が出るか……」
 餅 望月(aa0843)が呟く。
『巻き寿司が出るらしいよ、美味しいかな?』
 太巻きが飛んでくるという情報に百薬(aa0843hero001)は、その味が気になる様子で言う。
「いや、どうみても美味しそうに見えないよ」
 望月は、見た!
 腋毛の無い美しい(?)腋で、細巻きを握るサンタブレイズの姿を。
 本能的に倒すべき相手だと体が反応し、望月は共鳴姿になると槍を手にする。
「圓くんも、全力でいけますよね?」
 望月の隣に居る圓 冥人を見上げた。
「……一応、ね」
 冥人は跳躍した。

「食べ物を無駄にされると許せない……どれだけ飢えてる人が助かるか…
…が、勿体無くてもアレは食いたく無い」
 ガトリングがら射出される太巻き、そしてサンタブレイズが腋で作った細巻きを見て荒木 拓海(aa1049)は膝を折る。
『私も食べたくないわ……でも、海苔一枚にも作った人の気持と労力が……地面に落ちたのは動物の餌か堆肥用かしら』
 不屈そうな顔のメリッサ インガルズ(aa1049hero001)は、サンタブレイズから視線を反らして落ちている細巻きと太巻きを見た。
『「いや(いいえ)責任の所在ははっきりさせよう(させましょう)」』
 共鳴姿になると2人は声を揃えて言った。

●ああ! 勿体ない!
「こらっ、自分の作ったもの、ちゃんと味見しろぉぉ!」
 ひりょはガーンデーヴァで、サンタブレイズを狙いながら声を上げる。
「え、制作者なんだからー失敗作は全部自分で食べましたよー」
 と、陽気に言いながらサンタブレイズは、自分で作った細巻きをむしゃむしゃと食べる。
『うえぇ……』
 信じられない! と、言わんばかりの声色で呻きながらフローラは気絶してしまう。
「なら、全部自分で食べてくれぇぇぇぇ!」
 ひりょはライヴスミラーで、投げられる細巻きをサンタブレイズへクーリングオフする。
「サンタブレイズのLOVEはたーっぷり込めているのよ? ダーリン」
 何処で仕入れた知識かは知らないが、胸筋を両手で挟んでハートマークを作ったサンタブレイズは、ウィンクしながらアイドルの様なポーズをする。
「サンタ? いえ、あなたも赤鬼ですよね」
 望月が蒼炎槍「ノルディックオーデン」をサンタブレイズの鼻先を掠める。
「大切な細巻きを切り落としますよ?」
 可愛くないポーズを見せられた冥人は笑顔で言う。
「何処で握ってんだゴラァ! 衛生第一だと言ってるだろうが!」
 と、ドスの利いた声で遊夜は吠える。
『……うわぁ……嫌いも好きも、変わらないんじゃ? ……貴方の腋握りが、嫌いなだけで』
 ドン引きなユフォアリーヤは、口元を押さえながら言う。
「あらら? 」
 ティリア・マーティスの谷間に太巻きが挟まる。
「ぐふっ!!」
 健全な青少年のひりょの鼻から血が噴き出す。
 そんな、太巻きを食べる習慣を作る理由を身をもって知った瞬間であった。
『えぇっ!? ひりょいつの間に減衰食らったの?!』
 (鼻)血に濡れたひりょを見てフローラは驚きの声を出す。
「……大丈夫だ、問題ない。思わぬ所に伏兵がいたな……」
 (鼻)血を拭うとひりょは、太巻き谷間に挟んだまま食べようとするティリアを見て更にダメージ追加。
『え? どこどこ? 皆に知らせなくちゃ!』
 健全な青少年の気持ちなんて知らないフローラは、余計に慌てふためくに。
「いや、せんでいいから……頼む」
 “理由”を知られてしまったらきっと、いや絶対にひりょ自身の黒歴史が増えてしまうだろう。
 違うんだよ、と心の中で呟きながらひりょは立ち上がる。
「テメェの、特技を……封じてやらぁぁぁ!」
 遊夜は手にしてるアルター・カラバン.44マグナムの銃口を向け、ハンマーを上げた。
 引き金を引き、銃口から弾丸が射出されるとテレポートショットで転移し腋を破壊する。
『もう、等しく灰に帰るんじゃ』
 サルヴァドールが青い炎を生成し、サンタブレイズ回りで炸裂し跡形も無く燃やし尽くす。

「……また、つまらぬ物を斬ってしまった」
 かっこつけながらひりょは、ストレイルダート「ヘリオティア」で太巻きガトリングなら発射された太巻きを斬る。
『おぉ! ひりょが珍しく格好いい!』
 フローラが拍手をしながら声を上げる。
「珍しい、は余計だ。しかし……切ってしまえばただの巻物なんだよな……中身的にやばそうなのあるけど」
 と、やる時はやる青少年のひりょは呟くと、地面に落ちたカラシや山葵まみれの太巻きを見た。
「これで終わり、だよ」
 太巻きを大量にゲットした拓海は、無慈悲にウコンバサラを赤オニに降り下ろした。
「そん、な……サンタブレイズ、の……作戦に、手を貸した……だけ、なの……に」
 赤オニは、涙を流しながらそう言うと力無く倒れ、そして消えた。
「終わった……終わってない?」
 愚神を討伐し終えた遊夜は地面に座り込んだ。
『……戦いも、仕事も終わったね……太巻き、また作るって』
 と、遊夜の背中をぽんぽんと叩きながらユフォアリーヤが答えた。

●いざ、巻き寿司を作ろう!
 依頼から帰ったエージェント達は、ティリアの案内で貸しキッチンへと集まった。
『よーし、作る、ぞー』
 弩 静華は両腕を掲げながら言った。
「お疲れ様! ありがとう座っててよ」
 嫌な予感を察知した拓海が静華を椅子に誘う、が。
『既に“巻き寿司ではない何か”を作ってるわよ』
 メリッサが皿に盛られた物体を指す。
 それ、巻き寿司じゃなくてヤバイ物体……と拓海は言おうとするが、遊夜は肩に手を置いて“諦めろ”と言った。

「あたしたちも作ろう、百薬も良いよね?」
 望月が腕捲りをしながら言う。
『がってんだよ、どこのご家庭でも時々見られる手巻き寿司大会だね』
 と、江戸っ子っぽく百薬が答えた。
 ただし!
 その手には、何故か千歳飴が握られていた!
 望月は何故かプリンを作り出した。
「茶碗蒸し? 見ての通りまごうことなきプリンだよ、固めに作るから安心よ」
 “違う、そうじゃない”と言葉が飛んできそうな台詞を口にしながら望月は、酢飯にココアパウダーと砕いたチョコをIN!
『ワタシは千歳飴を巻くよ、軸があるととても作りやすいよ』
 百薬が海苔の上に広げられた酢飯の上に……千歳飴を丸々1本をドーン!
 ええ、巻きやすそうですね!
 ただし、食べる側はある意味ダメージを受けそうですが。
 おかしいよ!
 “巻き寿司作り”のハズなのに、千歳飴やらチョコなシャリにプリンが巻かれたモノが並んでいる。

「皆さん楽しそうですねー」
 咲は巻き寿司を作りながら微笑む。
『そうじゃのう。個性的な巻き寿司とやらが沢山で食べるのが楽しみじゃ』
 サルヴァドールは用意されていた緑茶をすする。
「そう……かな?」
 一緒に作っている冥人は、スウィートな巻き寿司やもはや原形を止めてない巻き寿司から視線を反らす。
「そうですよー。楽しく作って、楽しく食べるのが一番美味しい料理です」
 一口大に巻き寿司を切り分けながら咲は答える。
「そうなんだけど……俺や壱夜は兎も角、遊夜とかに被害が及びそうでとても申し訳ない、ね」
 冥人は“また、残りは食べなきゃダメなのね”と呟いた。
「そうですねー。ユフォアリーヤさんが妊婦さんなので、別の巻き寿司を用意した方が良いでしょうか?」
「うん、流石に特別に美味しいのを用意しよう」
 咲の言葉に冥人はこくりと頷いた。
 安全第一。
 闇鍋の革靴を食べさせる様な事だ。
 いや、それよりももっと劇物かもしれない。
『あ、僕凄く悪寒がします』
 真神 壱夜は体を震わせた。
 いずれ来るであろう、地獄の光景を想像しながら。

『よーし、作るよ!』
 フローラが何故か半袖で腋を熱いお手拭きで拭う。
「まって! マネするモノじゃないよ! それに、皆が嫌がるから禁止!」
 ひりょが全力でフローラがしようとしている事を止める。
「あのね、正式な作り方があるから、それで作って」
 と、言って道具を一式持ってくるとひりょは、フローラを肩を掴んで言う。
『なーんだ、ちゃんとした作り方あるなら~♪』
 フローラは、“初心者でも作れる美味しい巻き寿司”と書かれた説明書を読む。
「巻き簾(まきすだれ)の上に海苔を置いて、酢飯を広げて……好きな食材を乗せて押し固めながら巻くんだよ」
 ひりょは巻き寿司を作りながらフローラに教える。
『なーんだ! 私でも作れそうね!』
 と、意気揚々と“まきすだれ”を手にフローラは、見よう見マネで巻き寿司を作り出す。

 しっかりと手を洗った拓海は、エプロンを身に付けていた。
『あら、拓海は海苔巻きを作れるの?』
 と、その様子を見ていたメリッサが問う。
「……ふふ、手巻き寿司のたくみんと呼んで貰おう!」
 巻き簾(まきすだれ)を手に拓海は声を上げた。
『お互いにそのレベルよね……』
 そんな拓海を見てメリッサは笑みを溢す。
 拓海とメリッサは、海苔を2枚使いえび、イカ、卵焼き、マグロ、大葉、イクラ、胡瓜、サーモンを沢山入れて巻く。
 咲にコツを聞きながら巻いたおかげだろうか?
 自画自賛する程に綺麗に巻けた。
「そうだ、美味しいガリを持ってきたから皆で食べよう!」
 巻き方、中身が多少個性的でも楽しく作って食べると美味しいだろう。
 そう思っていた拓海は、この後に地獄を見ようとは夢にも思ってなかった。

●激闘? 闇の巻き寿司!
「……なんか、やっとまともなものが食べられますね」
 緑茶を淹れた茶碗を配るひりょは、ため息を吐きながら言う。
「うん、うまいうまい」
 サーモン巻きを頬張りながら遊夜は頷く。
『……咲、ありがとう』
「いえ、お口にあえば良いですよー」
 咲はユフォアリーヤ用に作った巻き寿司を置く。
『……ん、美味しい』
 ユフォアリーヤは咲の巻き寿司を頬被り、笑顔で答えた。
「良かったです」
 つられて咲も笑顔になる。
「今年の恵方は南南東やや右! こっちを向いて責任持ち食べろ!」
 と、声を上げる拓海。

 無言の間

「これで今年は幸せになれるぞ」
 どうやら普通の巻き寿司だった拓海は、ソレを食べ終えると嬉しそうに頷いた。
『ロシアン巻き寿司大会だね』
 と、百薬がテーブルに並べられた巻き寿司を眺める。
「愚神から出てきたのは、混ざってないよね?」
 誰かに聞くわけでもなく望月が問う。
 多分、混ざってはいないが……愚神が作ったのより危険(デンジャー)なモノは確実にある。
『ほう、デザートな巻き寿司じゃ』
 望月のチョコ・ア・ラ・モードな巻き寿司をサルヴァドールは、躊躇う様子を見せずに口にする。
『う、うん? 固いのですが……』
 壱夜が千歳飴の巻き寿司を口にすると首を傾げた。
「うんう……ん? グフッ!」
 遊夜が倒れる。
 その手には、巻き寿司が握られていたのだが。
 負のオーラ(?)が具から発せられていた。
『まって……それ、私のハーブ』
 トリス・ファタ・モルガナは声を震わせた。
『……ヤバイ、の?』
 ユフォアリーヤは問う。
『逆、美味しくて体に良いのに……』
「ガハッ!」
 トリスが説明しているその後ろで拓海が、テーブルに顔面を強打する。
「イ……イケルね!」
 拓海は静華にサムズアップしながら言う。
「プリン入りもきっと! ……旨い 」
 これ以上マズイのは無い! と、思いながら拓海は巻き寿司を口に入れる。
「……んぶっ!?」
 ひりょがテーブルに“まきすし”と書いて倒れる。
 これは酷い、が。
 勿体ない事は出来ない彼らは全部食べる。
『ねぇ、何時もこんな事をしているの?』
 フローラが口を押さえながら言う。
「うん。だから、耐性が付くと強い」
『嬉しく無いですけど』
 冥人が顔色変えずに食べる隣で壱夜は、“食べ飽きた”と呟きながら淡々と口に運ぶ。
『ひりょが、起きないよー!』
 テーブルにうつ伏せになっているひりょをフローラは揺らす。
「多分、一番ヤバイのを食べた様だね」
 拓海はお茶で巻き寿司を胃に流し込みながら言った。
「だ、だな……ひりょさん以外は意識ある様子からして、な」
 出された分を食べ終えた遊夜が肩で息をしながら頷く。
『やはりお嬢のが一番じゃな』
 一通り食べ終えたサルヴァドールは、咲に向かってにっこりと微笑んだ。
『帰れそう?』
「多分……」
 メリッサの問いに拓海は弱々しく答える。
『とりあえず、胃薬は用意しましたので飲んで下さい』
 トリスは人数分の胃薬を持ってくる。
「助かる……明日の仕事に支障が出たらヤバイからな」
『無理……しないで』
 遊夜に白湯を渡しながらユフォアリーヤはそっと頭を撫でた。
 愚神を倒して、皆で幸せを願いながら食べた巻き寿司。
 地獄を見た者、三途の川を見た者、楽しく作って食べるだけで幸福。
 あ、いや、ハズレを引いた人はこれ以上は悪い事が起きない様に願った。
 “静華の巻き寿司は……”と、声を揃えて言う程に。

結果

シナリオ成功度 大成功

MVP一覧

  • ほつれた愛と絆の結び手
    黄昏ひりょaa0118
  • 苦悩と覚悟に寄り添い前へ
    荒木 拓海aa1049

重体一覧

参加者

  • ほつれた愛と絆の結び手
    黄昏ひりょaa0118
    人間|18才|男性|回避
  • 闇に光の道標を
    フローラ メルクリィaa0118hero001
    英雄|18才|女性|バト
  • 来世でも誓う“愛”
    麻生 遊夜aa0452
    機械|34才|男性|命中
  • 来世でも誓う“愛”
    ユフォアリーヤaa0452hero001
    英雄|18才|女性|ジャ
  • まだまだ踊りは終わらない
    餅 望月aa0843
    人間|19才|女性|生命
  • さすらいのグルメ旅行者
    百薬aa0843hero001
    英雄|18才|女性|バト
  • 苦悩と覚悟に寄り添い前へ
    荒木 拓海aa1049
    人間|28才|男性|防御
  • 未来を導き得る者
    メリッサ インガルズaa1049hero001
    英雄|18才|女性|ドレ
  • 幽霊花の想いを託され
    花邑 咲aa2346
    人間|20才|女性|命中
  • 想いは世界を超えても
    サルヴァドール・ルナフィリアaa2346hero002
    英雄|13才|?|ソフィ
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