本部

金光邸のインテリアプランにご招待

ふーもん

形態
イベント
難易度
普通
オプション
参加費
500
参加制限
-
参加人数
能力者
8人 / 1~25人
英雄
8人 / 0~25人
報酬
普通
相談期間
5日
完成日
2018/02/08 20:15

掲示板

オープニング

● ――超豪華! 催奇金光邸大ハーレムパーティー! ~新年あけおめフェスティバル THE2018~ ――

 この様な内容が書かれた垂れ幕が自分が住んでいる土地にでかでかと掲げられているのを見て、英雄のサーマ・ネリーがまず思った事は……。
「――なるほど、日本の風習には鯉のぼりや凧揚げとか色んな物があるって聞いてはいたけど、こう言うのもありなの……かな?」
 薄ら天然ボケもほどほどに、サーマは自らが持っていた買い物袋のエコバッグを取り落とした。ドサリ――!
 サーマは警備員(主にスタジアムやコミケ会場、時にはアイドルのコンサート等の舞台袖に控えるガードマンとして活躍)のアルバイトがてら、帰りに例のあの超成金息子――催奇金光からなぜだか知らんが大量の買い物を強要されたのだ。
 本来ならば、そのままシカト&ドロップアウトして適当に24時間営業のファミレスやら漫喫やらでその謎めいた用件を何とか凌ぎ切りたい所だが、どうやら金光と共に暮らしている専属のメイドさん達(これがまた無意味に猫耳巨乳だったりするのだ)も新年になってから慌ただしく働いている事からどうも見過ごす訳にはいかなくなった次第である。
 実際、買い物に出掛けているのはサーマ1人だけではなく、他のメイドさん達も分担して作業を熟しており近い内に何やらイベント的催しが開催される事は薄らぼんやりと感じていたのだが……。
「全く、新年早々何考えてるんだか金光さんは……今年の初夢は富士山で鷹が茄子を啄んでいるのを見たから、何だか不吉な予兆かと思っていたんだけど、わざわざ自分からそれを持ってくるなんて――あの人のカリスマ性は無駄に天下一なんだから」
 こうなったら新年早々、誓約内容のトップシークレットを勢いでバラしそうになるよ! と、ブツブツ小言を吐きながらサーマは取り落としたエコバッグを拾い上げ、その天下一のバカが主として住まう金光邸の中へと入っていった。

「おっつかれ~♪ サーマ。元気してた?」
 リビングの中で待機していたのは宿泊施設に1つは置いてある様なゴツゴツの黒いマッサージチェアに腰掛け、50インチはあるであろう巨大な薄型プラズマテレビにアンプ内蔵のスピーカーをででん! と、その両脇に配下の様に携え映画鑑賞に浸る1人の男。
 信じたくは無かったが、こいつが例の垂れ幕に書いてあった張本人――催奇金光であーる。
「――元気してた? じゃ、無いですよ! 何なんですか!? あの妙なフレーズが書いてあった巨大な垂れ幕は!」
「――ん? あー。もう、ネコ耳メイドさん達が用意してくれてたのか。映画に夢中で気付かなかった。何? 川柳でも書いてあったの?」
 先代が亡くなり、王位継承をしてまるで初めて玉座に跨った年若き魔王の如き無邪気な微笑みをサーマに喰らわせて、そいつは言った。
「――センリュウ? 何ですかそれ。日本に古来から伝わる千匹の龍の事ですか?」
「うん。そう」
 しかし、サーマは日本の謎めいた黒歴史を勝手に創り上げ、そしてそれを事実へと勝手に改竄する男――催奇金光。
「凄い! 今日の私、冴えてるのかな? でもでも千匹の龍どころか一匹も見当たりませんでしたよ?」
 ――金光は川柳についての説明を一通りした――
「まあ、んな事より――サーマも見てくれたのか! そうなんだよ! 今年は大々的にやろうと思って気合い入れてあの垂れ幕をぶら提げたんだけど、果たして何人集まるかな?」
「実際に何を企んでるのかな? 私、すっごい心配なんだよね。だけど、あんなの真に受ける人達なんていないと思うんだよね。それと一体どんな人達を標的にしてるのかな?」
「家に空き部屋がちょうど2つあったろ?」
「ああ、そう言えば……私、開かずの間なのかなと思ってた」
「自宅にそんなもんあったら物騒だろ。それに2つも開かずの間があったらリアリティもミステリーもサスペンスも台無しじゃんか」
「それで――その2部屋を使って、何をしようとしてるのかな?」
「集まったお客さん達にはその2部屋に分かれて、紅白戦を行ってもらう」
「自宅で紅白戦! 手に汗握る! なるほど、トーナメント戦でライヴスサッカー対決! 優勝チームにはメイドさん達の手作りおせち料理!」
「アホか。さすがに鉄筋コンクリートで出来た金光邸でもライヴスを使ってサッカー対決なんてしたら半日もたねーよ」
「じゃあ、何をするんですか?」
「――インテリア対決! 勝ったチームには……なんと! 豪華! メイドさん達の手作りおせち料理! 伊勢海老もあるよ!」
「インテリア対決か~。でもでも、負けた方には――?」
 その会話をさり気無く舞台の裏側で聞いていたこれまた無駄に猫耳巨乳なメイドさん達がそれまでの淡々とした作業を止め声を揃えて――こう言った。
「サーマ・ネリー様の手作りおせち料理ですよ~」
 もう一度、サーマは自分が持っていた買い物袋。エコバッグを取り落とした。ドサリ――!
 その額には薄らと汗が滲んでいた。
 ただ1人ケラケラ笑っていたのは言うまでもなく金光邸の御主人様。
 催奇金光――今回のパーティーの仕掛け人である。

解説

● 金光邸でのインテリア対決!

 ・まず、紅白のどちらかのチームに分かれて組み合わせを決めよう!
 ・決まったら、早速勝負開始! 時間はOPから数日後の朝方から夕刻まで!
 ・どの様なモチーフをインテリアに取り入れるかは自由! 北欧風、モダン、シンプル、アジアンテイスト――etc.
 ・リンカー、英雄が集まる事が前提なので敵チームの妨害や味方チームの擁護等、班を作ったり作戦準備をしたりするのもOK。
 ・出来るだけ公平な勝負を期する為に事前に紅白それぞれのメンバーを決めておくと、無難。
 ・金光邸の例の2部屋は同じ広さです。大人数で勝負する事が前提ですので、学校の教室程の広さがあるものだと思って下さい。
 ・時間は限られているので、DIYや工具等を使ってオリジナルの家具を作る場合、荷物を輸送する人や設置する人、場所を決める人等を事前に練っておくと有利。
 ・通販などで家具を提供する場合、OPの数日後なので事前に仕入れておいた――と言う事になります。もちろん組み立てや持ち運びは自分達で!
 ・勝負の裁定を下すのは、催奇金光です。彼の予想を覆す、とびっきりのアイディアを提供してやりましょう!
 ・基本的に皆でワイワイ楽しみながら、学校の文化祭的ノリでウケ狙いもあり(例えばお化け屋敷やビックリハウス。忍者屋敷やカラクリ部屋を造る等)!
 ・勝負後は天国か地獄! 果たして、メイドさんのおせち料理かサーマの特殊メイクですら誤魔化せない『?』な料理フルコースか!?

 皆さまの参加、お待ちしております。

リプレイ


 ――『涼風邸』に一通の怪しい手紙が届いた。
 禍々しいオーラを放つその手紙に月鏡 由利菜(aa0873)とリーヴスラシル(aa0873hero001)は何か不可解なものを感じる。
「私とラシルへ、今回のパーティーの招待状が来まして……」
『しかも二人ともベルカナの制服でと指定があった。私は別に構わないが……』
 一方、別の場所では――
「月鏡さん、依頼の人出が足りないと聞いていたのですけれど……」
 例の招待状を手に取って思わず呟く斉賀 麻衣佳(aa5060)に対してブルトガング(aa5060hero001)は言った。
『全く……マイカは心配性なのよ』

「やあやあ皆さん! おいでませ金光邸へようこそ! 私がこの城の主。催奇金光殿下でーす! ささ、どうぞどうぞ遠慮せずこちらへ……って、あれ? 意外と少ないじゃん」
「『少ないじゃん』――じゃないですよ! この女たらしの単純バカ! お客様に失礼です! さあ、皆さん私が成金野郎の代わりにエスコートしますから付いて来て下さいね」
 相変わらずの金光のバカっぷりに棘の様なツッコミを刺すサーマ・ネリー。豪奢な金光邸と複数のネコ耳巨乳メイドさん。そして金光とサーマのボケとツッコミのギャップに1歩どころか2、3歩退いたリンカー&英雄達。
 その手には例の招待状が握られていた。
「あれあれ? そこの可愛いツインテールっ娘は迷子の子猫ちゃんかな? 良かったら俺が専属でこの邸宅内を案内するよ?」
『ブルトは子供じゃない!』
 いきり立つブルトガングに更に精神的追い打ちを掛けるサディストな金光。
「最近の子どもはよくそう言う事言うよね~」
『ふえーん! ブルト、この人嫌い!』
「大丈夫。ブルトは私よりもお姉さんでしょう? ほら、泣かない泣かない」
 一通り金光VSブルトの連続バトルが終了すると、サーマとメイドさん達は溜め息を吐いて他のパーティーを案内する。
 そして、辿り着いた場所は言うまでもなく紅白に分かたれた2つの大部屋。
「現在の時刻は午前6時になるとこ! キリが良いので午前6時ジャストになったら勝負開始! タイムリミットは午後の7時ジャストまで!」
 金光がそう言うと、早速紅組と白組に分かれて戦いの火蓋は切って落とされた!


 ――こちら紅組――

 主に弥刀 一二三(aa1048)の案で部屋の罠は先に作っておき、後は持ち込んで設置するだけと言うシンプルながらもどこか手の込んだ仕様。もちろんキリル ブラックモア(aa1048hero001)も勝てるならば異論はない。
 朝方から夕刻と言う事なので、早速タイム表の準備に取り掛かる荒木 拓海(aa1049)の得意分野は壁紙の張り替えと大工仕事。
「どんなに綺麗で機能も整った部屋が出来てもタイムリミットを過ぎたら意味ないからね」
『窓はベランダの外庭付近に2つ。東西に1つずつ。そして中庭へと続く側面に大きな窓が1つ。教室程度の大きさと言えど、採光の明かりは十分よね』
 メリッサ インガルズ(aa1049hero001)の仕事は主に掃除と家具配置案担当。室内のバランスはインテリアの基本だ。今は、採光で家具が映える場所の位置取りと書籍を読み易いベストな場所の確保に専念していた。

 一二三のカラクリ部屋改造計画に少年の心を忘れない青年――虎噛 千颯(aa0123)は主に『カラクリ』の部分に心が惹かれていた。思わず一二三の手伝いにもニンマリしてしまう。
「からくりって少年のロマンだよなー! 壁がグルんって引っくりかえるしたいんだぜ! グルん! って変わって別の部屋とか!」
『へ~やは~広い~な大きいな~♪』
 所々の節を変えて歌を歌いながら虎噛の作業を見守っている烏兎姫(aa0123hero002)も何だか嬉しそう。
 子供の様に燥いでるパパを見て一緒に楽しんでいた。
『パパが楽しそうだとボクも楽しくなっちゃうんだよ!』

『お嬢のお守りは任せた』
 そんな中さり気無く執事のペルソナを被ったまま、泉 杏樹(aa0045)のお守り――お荷物押し付け――を敢行する榊 守(aa0045hero001)はそれだけを言い残し、サッと白組の方へと向かう。
「兄様と、一二三さんと、一緒、嬉しいの、杏樹、頑張るの」
 至極純粋な努力家、杏樹はその天然気質のせいか詐欺られた事に気付いていないが、まあ他の仲間達がフォローしてくれるのでたぶん大丈夫だろう。
「榊さんが、敵の妨害あるから、見張り役必要と、言ってたの」
 実はそれは見張り役と言う名の『何もするな』だったのだが……人に頼まれれば何でもやる天性のドジっ子であり天才的な不器用さを兼ね備えた杏樹だからこその榊の唯一の暗号でもあった。
「シノワズリとか、どうです?」
 とりあえずアイディアを出す。実家から東洋的磁器の壺や家具など持ち込み飾る。

「お部屋の勝負ってすごいね、ママ!」
『ええ……な、何だか凄い品々で……傷付けないようにしないとね』
「杏樹さんのお家にあるんだって! すごいよね!」
 真白・クルール(aa3601)とシャルボヌー・クルール(aa3601hero001)は様々な家具、電化製品、間接照明等を運び込むのを手伝いながら綺麗な装飾の調度品に見入っていた。
 シャルボヌーは真白の母代わりとして少し緊張していた。
 2人の目的はお部屋を綺麗にしてご馳走を食べる事。
 準備としてシノワズリーに合いそうな赤いカーテンとシャンデリアを用意。

 こうして紅組のメンバー達のお部屋改造計画は始まった。


 ――こちら白組――

「部屋の飾りつけ、予算は潤沢だよね?」
『天使のお部屋にしちゃおうよ』
 白組のメンバー餅 望月(aa0843)と百薬(aa0843hero001)は餅は現実的な方向性へ百薬は非現実的なシンメトリーを描いていた。
「百薬はやっぱりブレないね。みんなも大丈夫なら、よろしくね。がんばろー」
 ――オー! と、白組全員の掛け声が上がった所で早速作業開始。

 先程、杏樹を紅組の生贄に捧げた白組の榊は照明を担当。
 天井はシャンデリアで控えめな灯り。
 床の周辺には蝋燭や間接照明を複数設置した。
『灯りで部屋の雰囲気は大きく左右されるかと』
 その言葉通り、間接照明メインで幻想的雰囲気を演出。
 天井と床の境界線が淡い光に包まれる。
 ――わああ! 綺麗! とは、餅に百薬、月鏡や麻衣佳そしてブルトガングの女性陣一同。リーヴスラシルも驚いてはいたが声や表情には出さない。
 よくよく考えてみれば白組で唯一の男性は榊1人だけだった。
 その為とは言えるのか、出来るだけ素の自分を出さない様に基本執事として力仕事に率先する。
 家具等重い荷物運びや手伝いは頼まれれば何でもやる。

 勢い付いた白組。月鏡とラシルはモチーフとして『セラフィムの降臨』を提案。それは部屋全体のミニチュアが動き、小さな世界を構築する。
 インテリアは地中海の家をイメージ。白の配色メイン。そしてタンス、テーブル、カーペットの手配を榊へ頼んだ。
 それに便乗した餅と百薬。
 天使の絵を壁に並べて壁画っぽく、幻想的な部屋を造り出す。
 脚立と石膏らしき天使像を組み合わせ、壁の絵から生えてくる様にして、天使が支えるベンチをつける。
 部屋中を高い位置から眺めてより幻想っぽさを増す感じに仕上げた。
『羽ばたくための舞台だね』
「いや、飛んじゃダメだよ」

 麻衣佳とブルトガングはインテリアやミニチュア作成に必要な部品の調達。
「ミニチュア素材に……内蔵用の簡易ライヴス通信機とピンマイクも持ってきました」
『生命芽吹くセカイ用の台とかも持ってきたよ~』
 そしてそこで1つ月鏡に制作アドバイス。麻衣佳は言った。
「催奇さん、母親を亡くしたらしくて……もしかしたら、母性に飢えていらっしゃるのかもしれません」
 それに最初に応じたのは月鏡ではなくラシルだった。
『なるほど……つまりこの部屋のどこかに仕掛けを作ってあの男――催奇殿に母なる癒しを与える……と言う事か?』
「――はい。ですから、月鏡さん……仕掛けの声に、彼の母のように彼の帰りを温かく迎える声を入れておくといいのでは?」
「それは良いアイディアですね」
 早速、月鏡は麻衣佳の提案に乗った。


 ――こちら紅組その2――

 一二三が言うカラクリ部屋はとんでもない事になっていた。
 まず入り口付近手前の左手側にあるランプ――動かすと左の壁が開く。
 右手前のランプ――動かすと右の壁が開く。
 左側の壁を開けたその先――上り階段三段目に落とし穴。
 右側の壁を開けたその先――階段踊り場行き止まり。――と、見せかけて更にその左方面に滑車のぶら下がり移動可。
 滑車のぶら下がり移動を終えた先に扉があり、その小部屋の中は書斎風に仕上げた。机等が普通に鎮座する棚の中にはなんと抜け道が……!
 中央よりやや手前の階段を上ると突当たりに差し掛かり、右に通路は続く。3つの絵が並んだ行き止まりは右の絵が返し扉。他は床が抜ける仕様。
 先程の書斎の抜け道と3つの絵が並んだ返し扉の先にはまたも1つの絵と調度品がある部屋へと繋がり、その絵の裏側を押すと壁が返し壁で少し前の通路へと逆戻り。調度品の裏側には抜け道があり這って進めばお茶会場。ゴール!
 因みに落とし穴に落ちたら戻るしかない。落下地点からロープが下がっている。

 改造案を一二三に一任し、その指示に従い補佐をする荒木とメリッサ。
 ギミック搬入設置。奥から順に配置していく。一見して仕掛けと判らぬ様に壁継ぎ目や仕上げを見栄え良く綺麗にしてみた。
 テーマは皆で決めた淡い春色のシノワズリーの室内。メリッサはごちゃごちゃした仕掛けや罠に惑わされぬ様、室内のバランス取り。
 大仕事は必要に応じ共鳴。時間内に終われない改造は外観のみで我慢して貰う事に。しかしまだ午前中――時間はたっぷりある。
 荒木は実用性と気持ち良く過ごせる事に主眼置き、メリッサは掃除・磨きなど、華やかさ出す装飾に力を入れた。
「ふう。とりあえずこんなもんかな」
『罠やカラクリ仕掛けも一見すると鮮やかなシノワズリーの模様や壁画、壁に隠れて上手い具合に見えないよね』
 2人は満足そうに頷いた。

 真白とシャルボヌーも大忙し。
 指示に従い壊さない様に物を設置していく。
 警戒心と力のあるシャルボヌーが壊れ物担当。
「わあ~綺麗! どこにからくりがあるのかな?」
 真白は山育ちでお洒落な物はあまり見ないので、興味津々で置物を眺める。
『からくり、手伝いましょうか?』
「あ! 私も!」
 徐々にシノワズリー風のカラクリ屋敷は出来上がっていく。

「みんなで楽しもうなんだぜ~! 折角だしな!」
 そんなこんなで扉の仕掛けとかを行う虎噛。
 入り口からは見えないが中に入って扉を閉める(引き戸)と別の場所への入り口が出てくるとか色々工夫。
 忍者屋敷のギミックを西洋風に取り入れる。
 マジックミラーのドアを設置。傍目には鏡にしか見えない。
 ドアを開けるとゆるキャラ白虎ちゃんのぬいぐるみが置いてある。
「ふっふっふ……さり気無く本人がいないところでアピールする俺ちゃんのマネージメント能力の高さに全白虎ちゃんが驚くんだぜ!」
『パパ……それ後でがおーちゃんに怒られるフラグ?』
 鳥兎姫は大掛かりなギミックは出来ないので細かい部分でフォロー。
『壁紙を態と一箇所だけ変えて何かあるように見せかけるのはどうかな?』
 壁紙や小物を使うカラクリを考えていた。

 非力で不器用。ドジっ子破壊魔のトリプルコンボ――杏樹は手伝えば確実に足手まとい。
 だが、そんな時――遂に彼女の本領を発揮する場面に遭遇!
 それは他でも無い荒木のフォローからだった。
「ここがステージだ!」
 あくまでも自分は離れた場所からのアイドル『あんじゅー』へのエールを送る。
「歌で、皆の応援なの」
 アイドル『あんじゅー』歌や踊りで応援し、貢献。
 もちろん破壊阻止の為周りを片付け大事な物から離すのも忘れてない。
 荒木は杏樹の歌舞大好き。ゴキゲンで見聞きし仕事が捗る捗る!
「何時見ても可愛いよな~」
 そんな荒木を見て、敵情視察&こちらに視察が来るなら阻止する為に一生懸命働いていたメリッサはクスクス笑いながら言った。
『アンちゃん、キリルさん、このお馬鹿の尻を叩いて頂戴』
「ちょこ、好き」
 アイドル『あんじゅー』の舞の舞台に皆からのアンコールとチョコが投げ入れられる。

 そんな中、一人カラクリ部屋を探索していた真白。
「ここをこう来ると……あれ? マ、ママー!」
 迷子になり半泣き。即駆け付ける母。
『真白、大丈夫? 後はママに任せて、ね?』
「……ゴメンなさい、ママ」
 母――シャルボヌーに支えられ皆のいる場所へ。

 時刻は午後の3時。夕刻までにはまだ少し余っているので、荒木が追加改造案を提案した。
 天井の一部が降り隠し階段+個室(階下と同じく淡いシノワズリーで落ち着く装飾)。


 ――こちら白組その2――

 初め部屋は荒廃した雰囲気だが、照明を付けると壁画が照らされ、仕掛けが起動。
 『救いを求める羊飼いの青年』『楽団員の女性』『天使の従者の女性』『水瓶』『草花』のミニチュアを作り、中に小型マイクと簡易ライヴス通信機内蔵。
 ミニチュアの内蔵マイクによりイザヤ書の聖三祝文が詠み上げられ、ミニチュアが活き活きと動き出す。
 祝文の声は由利菜がサンプリング。
 ――『聖なる哉(かな)』『聖なる哉』『聖なる哉』『主サワオフ』『其の光榮は全地に満つ』――
『水瓶が逆さになって川が流れ、枯れた草花が豊かな緑を湛える……これもライヴス技術の応用だ』
 サンプリングに金光の母の声帯模写を試みる。
「彼の母の容姿や声質さえ分かれば……」
『ミニチュアの天使の従者も、彼の母を模したものにするか……?』

 人手が足りない作業のサポートを行う麻衣佳とブルトガング。
「多くのミニチュアを量産するには時間が少ないわね……ラシル先生達の負担が減るよう、下ごしらえしないと」
『モチ、壁画の大まかなイメージ画はある? それを参考に掘っていけば時間短縮できるよ』
 更に紅組チームから来る妨害の監視も行なう。
「ただでさえ両チームとも人が少ない中、妨害する余裕はないと思うけど……念の為に、ね」
 そして月鏡と同様に望月へも熱心に制作アドバイスをする麻衣佳。
「天使の壁画のイメージ……催奇さんの母の要素を何かしら取り入れるといいかもしれませんね」

「ナイスアイディアだね。早速準備するよ」
『ワタシも手伝う。今度こそ飛べる様にしようね』
 餅と百薬はその準備に取り掛かる。そして他にもちょっと大きめな天使像をならべて蝋燭やランタンを持たせてみる。
 由利菜のセンスを邪魔しない様に、でも大胆に。
「シャンデリアとかも大物だね。調達出来たら運搬は手伝わないとだね」
 天使像や家具の運搬が終わり、壁画を貼り付ける。
 ランタンは電灯タイプにして、スイッチひとつで全部つく様に周波数? を調整。
『天使をひとつおすそ分け』
「え? 紅組の部屋にもってっちゃったの? 合うかな? まあいいか」

 そんなこんなで、お部屋改造計画は徐々にその片鱗を見せ始める。


 ――紅組・白組(休憩時間)――

 紅組のカラクリ部屋は最早、カタストロフィーの体を成していた。
「壁だったり階段だったり……」
『凝り過ぎだ、阿呆』
「つい……」
 キリルのツッコミにしょんぼり――するどころか逆に満身創痍の一二三。

「お疲れ様の皆さんに、お茶を、お出しするの」
 そんな折、紅組代表のドジっ子。皆のアイドル『あんじゅー』は先程の舞台で歌と踊り(歌舞)をした時に貰った大好物のチョコをポッケに忍ばせながら、差し入れ。

「あ、私お茶淹れます!」
 そしてここぞとばかりに先程迷子になっていた真白は名誉挽回。杏樹と共にお茶を配る。

 日本茶を完璧に熟した後、見事に紅茶は失敗し落としぶちまける杏樹。


 白組の方も皆の力を合わせてほぼ完成。後は催奇金光の裁定がどう下るか――?

 自分のパートナーである杏樹が紅組のカラクリ部屋で見事に紅茶をぶちまけている最中、榊は仕事終わりのプライベートモード発揮。
『仕事の後、酒の一杯でもひっかけていきたいぜ。色っぽいメイドさんにお酌も……』

 そして夕刻が過ぎ、いよいよ金光邸の主。催奇金光が紅組・白組の勝敗を決する時がやって来た。


 ――最後の審判! 勝者はどちら?――

「やあやあ皆様! よくぞここまで頑張ってくれました! 我が金光邸の主として誠に嬉しゅうございます! 金光邸のインテリアプラン、紅組&白組のお部屋を早速拝見させて貰いましょう!」
 ――と、親の七光り男。催奇金光は午後7時ジャスト。遅れずにやって来た。余程楽しみにしていたのだろう。当の本人は。
「皆様、お疲れ様です。よく頑張りました。私やメイドさん達もお手伝いしたかったのですが、それは反則行為になるとの事で……」
 ――と、言いつつ途轍もない不安と焦燥に駆られていたのは他でも無いこのサーマ・ネリーである。
 今では、台所の方は猫耳巨乳メイドさん達が必死こいて掃除してくれたお蔭で何かが焼け焦げた異臭も汚れも目立たなくなりつつあるが、例の敗者側への『手作りおせち』なるものでBSや大ダメージを与えてはならないと言うプレッシャーが彼女に更なる精神的負荷を掛けさせた。
 そしてその彼女の『手作りおせち』の重箱は一見して何の変哲も無いアイテムに見えたが――果たして中身はどうなっているのか? まだ、毒杯を仰いだ方がマシかもしれない。
 因みにその隣に――猫耳巨乳メイドさん達特製の『手作りおせち』の重箱が静かに鎮座していた。
「それじゃあ、早速まず紅組の方から御宅拝見ならぬお部屋拝見してみましょう! 俺が分からない事があったらアドバイス頼むよ!」

 そして、紅組の方の部屋を開けた催奇金光。

「――ん? ハハハ! コイツは面白い! 予想外だ! シノワズリー風の部屋とは珍しいじゃん! ちょっと不気味な感じがするけど……まさか何か仕掛けがあるのかな――?」
 扉を開けて最初に出てきたのは目の前に一枚の絵。そして両サイドにランプ。一二三の言う皆で作ったカラクリ部屋だ。
 早速、ランプに手を掛けると、壁がグルン! 虎噛の言う少年のロマンがエキサイト!
 その他にも、落とし穴に落ちたり、滑車のぶら下がり移動をしたり、ロープでよじ登ったり、返し壁に何度も行ったり来たりしたり、時には鏡にしか見えないマジックミラーのドアを開けたりして、ゆるキャラ白虎ちゃんのぬいぐるみを見て爆笑したり――
 ――まるでジャングルシムによじ登る幼稚園児の様に楽しんだ金光。
 そして、仕掛けの1つを発見! 天井の一部が降りてきて隠し階段が現れた。進んだ先には――
「ほーう。これはまた凝った造りをしてるじゃん? 誰のアイディアだ?」
「催奇さん、貴方の隠れ部屋ってイメージに作ってみました」
 そこは大事な取引(マニア的な趣味)を人に見られず堪能出来る場。追加改造した荒木の提案である。
「なるほど~凄いね。ちょっとした隠れ家か秘密基地みたいで面白いじゃん」

 次に白組の方の部屋を開けた催奇金光。

「――ん? 何だこれは? 地味……と言うか正直言うと廃れた感じだが、暗くてよく見えないな。照明でも付けるか」
 ポチッと照明のスイッチを入れた金光。すると――
 壁画が次々と照らされ、仕掛けが起動した。ミニチュアの内蔵マイクによりイザヤ書の聖三祝文が詠み上げられ、活発に動き出す。
 祝文の声は月鏡がサンプリング。更に――
 ――おかえりなさい。金光――
「こ……これは――凄い! 実に幻想的じゃんか。とても綺麗だ。そしてこの声の主はもしかして――?」
「ええ。催奇さん。あなたの母親の声を再現してみました。本当はあなたの母親の容姿や声質さえ分かっていれば、もっと良く出来た物を作れたはずなのですが……」
『いかがなものか? 催奇殿』
『マイカの提案だよ』
「どうでしょうか? 皆で頑張って造ったこの部屋の催奇さんの母親の温かい声。そして、装飾は」
「天使の像も綺麗だよね?」
『次こそ飛べる様にしたいよね』
『俺……ゴホン、いや、わたくしが間接照明を担当し、荷物運びや家具の手配を承りました』
 月鏡、リーヴスラシル、ブルトガング、麻衣佳、餅、百薬、榊の順で返答が返ってきた。
「す、素晴らしい! 白組らしい白を基調とした天使の部屋か! 地中海風の家をイメージしたのも各々のミニチュアの作りもとても良く出来てる! 壁画も! ああ、別に母さんの声音や容姿じゃなくてもその気持ちだけで十分だ! ありがとう! 感激だ!」

 ――『セラフィムの降臨』がモチーフの白組メンバーが造った部屋――

 こうして紅組、白組のインテリアプランは完了した。そして気になる結果は――?

「さて、いきなり結論を申し上げるのもどうかと思うのでそれぞれの部屋の気に入った点を口述する!」
 何やら畏まった言い方だが、本人は十分楽しんだ。不敵な笑みを浮かべている。
 パチパチパチ――と、猫耳巨乳メイドさん達の大拍手。
「まず、紅組! スリル満点のカラクリ部屋にさすがの俺もビックリ仰天! まさかお部屋改造にカラクリ部屋と言う発想は予想外だぜ! 少年の心をくすぐる改造にいつまでもこの部屋で遊んでいたい! そんな気分にさせてくれる! 時間を使った目一杯の仕掛け、そして隠し階段に隠れ部屋等もとても気に入った!」
「次、白組! 最初は何かと思ったが、暗闇から解放されるととってもエレガント! 白を基調に天使や壁画、照明にミニチュア達が動き出す仕掛けも正に技あり! 母さんの声を模した美声も感動の一言! 地中海風の家をイメージしたのもグー! いつまでもここにいたい。癒やされる部屋に感服!」
 パチパチパチ――と、猫耳巨乳メイドさん達の大拍手。
「それでは裁定を下します! ホントの所はどちらも勝者にしたいんだが、勝敗を決するのが掟であり今回のルールなので、あくまで俺の独断と偏見にて決めさせてもらいます! 果たして天国か地獄か! 勝者は紅組か白組か!? 笑って御節を食うのか、泣いて御節を食うのか――判定は……」

 ――勝者、白組!――

 絶望の悲鳴と歓喜の涙が同時に沸き上がった。

 ――その後のエピソード――

「ええ? な、何で?」
『……こういうのは、評価する人の趣味だから、ね?』
「う~……悔しいよー!」
『真白はよくやってたわ、頑張ったわね!』
 真白を慰めつつ褒めるシャルボヌー。

『特製おせちいただきます』
 メイドさん達が奮起した御節はたくさんあったので、勝ち組の百薬そして餅は悲嘆に暮れている紅組にもおすそ分けして一緒に食べる。

 荒木はそのおすそ分けして貰った御節を涙しつつ食べている。
『それは敗者の涙なの? それとも美味しい御節を食べられた涙なの?』
 メリッサは苦笑。そして運ばれてくるサーマ・ネリーの『手作りおせち』を見て見ぬふりでやり過ごす。

 アイドル『あんじゅー』事、杏樹は大好きなチョコで凌げないかと目論んだがドジっ子発揮! 転んでチョコを中身事全部ぶちまけた。それは、サーマ・ネリーの『手作りおせち』の重箱を開けた際に入っていき未知の領域へ。
 それを見ていた榊は不敵な笑みで予定通りメイドさん達にさり気無くお酌してもらい、こちらは美味しい『手作りおせち』に興を添える。

「くそー! 俺ちゃん負けちゃったぜ!」
『パパ、あの御節食べないの? せっかくだしボク食べてみるよ!』
 皆がワイワイ騒いでる中、悔しそうにしている虎噛。どうやら鳥兎姫の命の危機にも気付いていない様子。
 そして――
『うげー! 何だコレ! 御節なのに妙に甘ったるい!』
 杏樹のチョコとサーマの手作りかまぼこ、そして調味料の醤油が混ざった最高品質のブレンドにパタリと倒れる3秒前の鳥兎姫。

「やり過ぎたんがいけなかったんどすえ?」
『そんな事より杏樹殿のチョコが危ない。ここは任せたぞ!』
「え? え? どこへいきはるんどす!?」
『スイーツの為ならば、私は地獄へだって行くぞ!』
 そんな事を言いながら床にばら撒かれたチョコの回収をしに行くキリル。
 困惑している一二三の元へサーマの『手作りおせち』が順番に回って来た。
「今度はうちの番どすか……」
 永遠の罰ゲームに目を白黒させる一二三。

「勝てて良かったです」
『ああ……正直あんな物(=サーマの手作りおせち)を食べてたら、今頃私達は催奇殿の母親になっていたぞ』
 月鏡とリーヴスラシルはそんな事をぼそぼそ喋りながらメイドさん達の『手作りおせち』に箸を進めていた。

「あーホントに美味しい!」
『伊勢海老もプリプリしててゴージャスだよね。ブルトは料理した事無いけど』
 メイドさん達に微笑まれながら、『手作りおせち』を次々と平らげていく麻衣佳とブルトガング。

 こうして、金光邸のインテリアプランは幕を閉じた。
 因みに最後に皆で食べていた場所は紅組が造ったゴール。お茶会場での出来事でした。(了)

結果

シナリオ成功度 成功

MVP一覧

  • まだまだ踊りは終わらない
    餅 望月aa0843
  • この称号は旅に出ました
    弥刀 一二三aa1048
  • エージェント
    斉賀 麻衣佳aa5060

重体一覧

参加者

  • 藤の華
    泉 杏樹aa0045
    人間|18才|女性|生命
  • Black coat
    榊 守aa0045hero001
    英雄|38才|男性|バト
  • 雄っぱいハンター
    虎噛 千颯aa0123
    人間|24才|男性|生命
  • 雨に唄えば
    烏兎姫aa0123hero002
    英雄|15才|女性|カオ
  • まだまだ踊りは終わらない
    餅 望月aa0843
    人間|19才|女性|生命
  • さすらいのグルメ旅行者
    百薬aa0843hero001
    英雄|18才|女性|バト
  • 永遠に共に
    月鏡 由利菜aa0873
    人間|18才|女性|攻撃
  • 永遠に共に
    リーヴスラシルaa0873hero001
    英雄|24才|女性|ブレ
  • この称号は旅に出ました
    弥刀 一二三aa1048
    機械|23才|男性|攻撃
  • この称号は旅に出ました
    キリル ブラックモアaa1048hero001
    英雄|20才|女性|ブレ
  • 苦悩と覚悟に寄り添い前へ
    荒木 拓海aa1049
    人間|28才|男性|防御
  • 未来を導き得る者
    メリッサ インガルズaa1049hero001
    英雄|18才|女性|ドレ
  • お母さんと一緒
    真白・クルールaa3601
    獣人|17才|女性|防御
  • 娘と一緒
    シャルボヌー・クルールaa3601hero001
    英雄|28才|女性|ドレ
  • エージェント
    斉賀 麻衣佳aa5060
    人間|11才|女性|防御
  • エージェント
    ブルトガングaa5060hero001
    英雄|13才|女性|カオ
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