本部

【初夢】IFシナリオ

【初夢】れっちゅようちえんらいふー

紅玉

形態
ショート
難易度
易しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
能力者
8人 / 4~8人
英雄
8人 / 0~8人
報酬
無し
相談期間
5日
完成日
2018/01/26 18:57

掲示板

オープニング

 この【初夢】シナリオは「IFシナリオ」です。
 IF世界を舞台としており、リンクブレイブの世界観とは関係ありません。
 シナリオの内容は世界観に一切影響を与えませんのでご注意ください。

●ようちえん!?
 アナタは違和感を覚える。
 先ほど布団に入って、意識は夢の那賀に行ったハズ、だと。
 しかし、何時もと違う視界に戸惑う。
 低い、と。
 目を開け、周囲を見渡すと5歳位の子供達が小さな椅子に座って、泣いたり、喧嘩してたり、そして戸惑っていた。
 よくよく見れば、知った顔の幼女と男児が何か話している様だ。
「こまりまちたわ……ようちえんじに、なってちまいまちたわ」
 5歳のティリア・マーティスが舌足らずの言葉で、5歳の圓 冥人に言う。
「しかたがないよ。おれだって、おきたらこのすがたにおどろいてるよ」
『でも、母はなんで大きくなったの?』
 可愛いエプロン姿で、何故か成長してティリアの様なナイスバディのアラル・ファタ・モルガナは首を傾げた。
『あらるが、きっと……ぼせいがつよかったからかもしれません』
 5歳のトリス・ファタ・モルガナは、現状を小さな頭で理解しようと頑張っている。
『もどるほうほうはふめい、なら。このまま、ようちえんをたのしんだら?』
 5歳の真神 壱夜は提案をする。
『だって、ようちえんなんてはじめてですよ? ぼく』
『育児なら経験あるけれども、小さい子達の先生は初めてなの』
 壱夜とアラルは首を傾げる。
 傍目から見たら、幼稚園の先生と園児にしか見えない。
 そして、アナタもまた幼稚園の園児だ。
 さぁ、5歳に戻ったアナタもしくは成長したアナタは先生になって幼稚園を楽しもう!

解説

【目標】
園児or先生になって幼稚園ライフを楽しもう!

【場所】
どこかの幼稚園!
基本の建物の他に、遊具、ペット(うさぎ、亀、ハムスター、鶏)、プール、運動場、体育館、図書室があります。

【スケジュール】
朝:自由時間
昼:ごはんのじかん
夕:『しらゆきひめ』を演じる
役(王妃、鏡、姫、狩人、小人、王子)

【園児】
高校生以上は全員5歳になります。

【先生】
中学生以下は24歳以上の先生となります。

【NPC】
ティリア→とても可愛い5歳
トリス→ちょっとぷにっとした5歳
アラル→ナイスバディな先生

冥人→組に一人は居るであろうイケ5歳
静華→性別不詳の先生
壱夜→中性的な5歳

リプレイ


●此処はH.O.P.E.幼稚園
 何もかもが5歳児サイズになってしまった!
「でもまって、しゃしゅがにこれはよしょうしてなかった……!」
 神妙な面持ちで雁屋 和(aa0035)が声を上げた。
 そりゃ、子供の頃に筋肉が欲しいとは思ったが!
 それが、今になって叶うとは思ってはいなかった様だ。
『おちつくんだのぢょか、これはたぶんゆめだ』
 他の子達よりも頭1つ分大きな5歳児のヴァン=デラー(aa0035hero001)が落ち着いた声色で言う。
「なんだこれ……なんでこーなった……ってゆめにつっこんでもしゃーねーんだが」
 目付きの悪い5歳児の夜城 黒塚(aa4625)は、めんどくさそうに小さな椅子に座った。
『んん? これはまた、懐かしい姿になってしまったな私も。クロはなかなか愛らしいではないか』
 保父さんというよりお父さんなエクトル(aa4625hero001)は、笑顔で黒塚の頭をがしがしと大きな手で撫でた。
(ふかくかんがえんのもつれるしなるようになるか)
 と、思いながら黒塚は小さくため息を吐いた。
『ヴぇへ……ヴぇへへへへへ……が、がが、ガルシア……可愛い……み、みんな……かわいい……ヴぇへへ……』
 目の下に隈が出来ている不健康そうな顔色なのに、体は出るとこは出て引っ込んでる所は引っ込んでるМашаль-слезы(aa4706hero002)が人見知り激しい5歳児のГарсия-К-Вампир(aa4706)を見て不気味に笑う。
「……」
 不安そうに周囲を見回し、ГарсияはМашальの視線から逃げるように友人の後ろへ。
「かず、これどうなってゆんだ」
 美少女(男の子)な5歳児の千桜 姫癒(aa4767)が隣にい居る英雄に問う。
『んー……とりあえず、たのしめばいーんじゃない? ひめちゃんかわいー』
 大人の時とあまり変わらない5歳児の日向 和輝(aa4767hero001)は、このちょっと変わった状況を楽しみながら姫癒の顔を覗く。
「これくらいのときってあんまりいいおもいでないんだけど」
 ペタペタと、小さな手で顔を触りながら姫癒は嫌そうな表情で鏡を睨む。
『じゃあたのしいおもいでつくろーな』
 和輝が姫癒の肩に腕を回す。
「あ、このてのおおきさだとたろっとがしゃっふゆできない……」
 黄色の小さな鞄に入っていたタロットカードを手に取り、姫癒は小さくて短い指でカードを混ぜよとするがポロポロと床に落ちてしまう。
『はーい、我が……じゃなくて、みんなー出席をとるのよ』
 アラル・ファタ・モルガナが名簿を片手に皆に声を掛ける。
『幼い子らの守なぞ、久しくしておらんのじゃがなぁ……うむ、まぁ成るようになるかの』
 その隣で赤の可愛いエプロン姿のサルヴァドール・ルナフィリア(aa2346hero002)が楽しげに5歳児の皆を眺める。
「はーい」
 5歳児達が声を上げる中でちょっと大人っぽい鈴音 桜花(aa1122)は、自分をも凌ぐスタイルになっているLycoris(aa1122hero002)に視線を向けた。
(若い頃はヤンチャしてたんだよなぁ)
 隻眼スカーフェイスな5歳児のダイ・ゾン(aa3137hero002)は、小さな椅子に背を預けながら口元吊り上げた。
「わるいことしちゃだめですわよ?」
 ちょうちょ組、いや園内で一番しっかり者のファリン(aa3137)がニヤこてるダイに向かって言った。
『わかった、わかった』
 と、適当に答えるとダイはファリンを隣に座らせる。
『ひりょくん』
「は、はい! でち」
 黄昏ひりょ(aa0118)は名前を呼ばれて、手を挙げるつもりが立ってしまった。
『ひりょ、はずかしー』
 ベコベコなフライパンを持ったフローラ メルクリィ(aa0118hero001)が口を押さえながら笑う。
「ひーくんはげんきでいいですね」
 と、ひりょの隣で5歳児になっても変わらない花邑 咲(aa2346)が笑みを浮かべた。
『うむ、我がお嬢は小さくなっても愛いのぅ』
 と、言いながらサルヴァドールは咲の小さな頭を撫でる。
「どーる、も、かわらずかっこいい、ですよ」
 咲は満面の笑みを浮かべながら言った。
『んー、先生になったからには、頑張るね♪皆ー、お昼までは自由時間だよ! 元気よく遊ぼうね♪』
 Lycorisが元気よく言うと鐘の音が鳴った。

●じゆーじかん
「わーい! しゅごーい! たーのしぃー!」
 和とヴァンはグランドで並走していた。
『なるほぢょこうりちゅをかんがえるとはしりこみがきほんになるんだな』
「かじょうなきんとれはしぃんちょうがのびなくなるっててれびでいってた」
 と、ヴァンと話ながら和は走る。
『なるほぢょなぁ』
 納得した様子で頷きながらヴァンも負けじと走る。
『ほら、ヴァンくん、和ちゃん! 私についてきなさいっ! いくよ~!』
 その二人よりも先に走るのはフローラだ。
 何故かうさぎと鶏も一緒に駆け回っているが、流石に和達の足には追い付けない。
「かずがたりないとおもったら……」
 小屋を掃除している黒塚は、グランドに放たれたウサギと鶏を睨んだ。
『いいじゃないか、楽しければそれで』
 家族サービス中の父親の様にエクトルは微笑む。
「いや、あっちはけがしないか……とかな」
 黒塚は雄鶏が鳴く方に視線を向けた。
「いいこにしないとからあげですわよ!」
 そこには、ファリンが群れのリーダーの雄鶏と対峙していた。
 左手にチリトリの盾、右手には5歳児用の小さなホウキを武器にして睨み合う。
「コケーッ!」
 白い翼を羽ばたかせながら、雄鶏はファリンに向かって駆け出した。
「そんなこうげきはおみおとおしですわ!」
 激しい攻防を繰り広げられていた。
『てをかすぜ』
 と、言ってファリンの隣に立つのはダイ。
「せなかをみせるとけりがとんできますわよ!」
 雄鶏に対し怯む様子を見せないファリン。
『やつらにしろはたをあげるな! そのはたでくびをしめられるぞ 』
 ダイは素手で掴もうと、手を伸ばすが雄鶏のくちばしに手の甲を摘ままれて捻られる。
 とても痛い、ペンチに摘ままれて捻られたのと変わらぬ痛さだ。
 中身はH.O.P.E.のエージェントなので、それくらいの痛みは慣れているかもしれないが今は5歳児だ。
「だからいいましたのに」
 ファリンは持っていた“きぼうさ”のイラストが入った絆創膏を、ぺたぺたとダイの手の甲に貼る。
『さすが、おれのおんなだな』
 ふっとニヒルに笑みを浮かべると、ダイは雄鶏を脇に抱えて小屋へと向かう。

 ふかふかの太陽の匂いがするうさぎを抱える咲は、通りかかったひりょに向かって声を掛ける。
「ひーくんも、いっしょ、に、あそびませんか?」
 と、言ってうさぎを差し出す。
「こ、こわくなんかないでち!」
 恐る恐るひりょはうさぎに手を伸ばす。
 うさぎが手に鼻を近付ける。
「ひっ!」
 驚いたひりょは後ろに下がろうと足を一歩引く、が。
 コケて尻餅をついてしまった。
 幸い5歳児の体なのでそんなに痛くは無いが、心は戻ってしまっている状態なのでひりょは目尻に涙を浮かべる。
「ひーくん、だいじょうぶですか?」
 咲がひりょに手を差し出す。
「へ、へーきでち!」
 服の袖で涙を拭き、ひりょは立ち上がると声を上げた。

「えと、わたちといっしょにあそびましぇんか?」
 桜花は5歳児のティリアに声を掛ける。
「ええ、あそびましょう」
 笑顔で答えるティリアに対し、桜花の後ろでГарсияが落ち着かない様子で視線をあちらこちらに向ける。
『あ゛ぁ……ガルシア……あ゛ぁ……』
 そんなГарсияを見つめながらМашальは言葉にならない声を発する。
『怪我とかしない様に、注意して遊ぶんですよ~?』
 Lycorisが桜花達に声を掛ける。
「アラルせんせいも、いっしょにきてくれましぇんか?」
『いいのよ。プールは危険だから母……先生が着いていくのよ』
 ちゃっかりアラルも誘う桜花。
 他にも友人を誘って彼女達は温室プールで水着姿になって遊ぶ。
「ファリンさん、にわとりとたたかっていましたがだいじょうぶですか?」
 5歳児用のとても浅いプールで元気よく泳ぐファリンに、桜花は少し心配そうに言う。
「へいきですわ。ちょっとおようふくはよごれてしまいましたが」
 と、泳ぎながらファリンは笑顔で答えた。
「それと、アラルせんせいはなぜみじゅぎじゃないですか?」
 桜花が少し不満げに体操着姿のアラルを見る。
『ほら、母……先生も遊ぶわけにはいかないのよ』
「アラルせんせーはきっとみじゅぎにあいます……っ!」
 アラルに駆け寄ろうとした桜花は、上手く動けない水の中で前のめりに倒れ掛ける。
『危ないのよ?』
 アラルが手を伸ばし、桜花をキャッチすると笑顔で言った。
「こわかったです」
 桜花の目尻に涙を浮かべると、アラルをぎゅーと抱きしめる。
『そうね』
 アラルは小さな桜花の頭を撫でる。
 母親の様に柔らかくて、温かいその体は懐かしい感じがして離れられない。
『水着姿の……ガルシア……あ゛ぁ……可愛、い……ヴぇへへ……』
 Машальが選んだ水着姿のГарсияを見て、Lycorisの影から楽しそうな声を上げる。
 小さなГарсияはピンクのフリフリがキュートな子供用の水着を着ており、少し恥ずかしそうにプールに身を沈めて隅で泳いだり遊んでいる友人達を視線で追う。

『ほら、ひとりでいないの。せっかくなんだからたのしむんでしょ?』
 図書館で本を読む姫癒に和輝は、手から本を取り上げて元に戻すと手を引いて小屋へと向かう。
 木星はうさぎ小屋、鉄製の網のは鶏小屋、プラスチックの深くて小さなプールには亀、小動物用のケージにはハムスターが居た。
「かわいいがいっぱい……はむしゅたさんーかわいい、うささんかわいい」
 それを見た姫癒は、黒曜石の様な瞳を輝かせながらうさぎとハムスターに視線を向ける。
『これでだいじょーぶそうだな。よーし、あそぶぞー!』
 和輝はうさぎを抱えて、逃げないように作られた柵の中に姫癒と一緒に入る。
『ほら、ハムスターじゃ。小さいから気を付けるんじゃ、それと動物用のおやつもあげるといい』
 サルヴァドールがケージから取り出したハムスターを柵の中に放す。
『ありがとうございます』
 和輝はサルヴァドールに向かって微笑んだ。
「はむしゅたーさん、ちっちゃくて、ふわふわ」
 姫癒の掌でハムスターが野生を忘れたかの様にあお向けで寝ている。

●おひるのたたかい?
 お昼ご飯を知らせる鐘が鳴り響く。
 先生達は慌ただしくなり、子供達に小さなテーブルを並べさせる様に指示を出す。
 そして、お弁当と瓶牛乳が一人一個配られた。
 和とヴァンの二人は、遊んだ分のエネルギーを補給するかの様にご飯を頬張る。
『ひりょ、ごはんをどっちがはやくたべれるかきょーそうよ!』
 フローラはびしっとひりょを指す。
「わかった、でち!」
 パカッとお弁当の蓋を開けると、ひりょは箸を手にしてフローラを睨む。
「ひーくん、むりしちゃだめですよー」
 咲はフローラとひりょを見る。
「こんなちいしゃくなかったら、わたちがおせわしゅるのに……ふくざつです」
 桜花は中々開かない牛乳の蓋と格闘しながら、ぶつぶつと5歳児の不便さに不満を口にする。
『え~と、皆さんちゃんと食べて大きくなるのですよ? って私が言ってもおかしいかな?』
 と、元気よく言うLycorisは、元の自分の姿を思い出しながら首を傾げた。
「からあげ……」
 ファリンはお弁当の中に入っていた唐揚げを見て、午前中に戦っていた雄鶏を思い出す。
『おい、きょうはあそんだだいきんとして、からあげをいっこよこせ』
 ダイは子分である他の園児に、5歳児とは思えない声で言いながら睨む。
 逆らえないモブ園児達は、ダイのお弁当の蓋に唐揚げを置いて逃げる。
『おまえにもわけてやるよ』
 と、言ってダイはファリンのお弁当に唐揚げを入れる。
(……きっと、違う。うん、偶然ですわ)
 あの雄鶏が唐揚げにされたのかも? と思いながらファリンは唐揚げを口に放り込んだ。
『こらこら、食事中に遊んではいけないよ。遊ぶのは全部食べてから、だぞ』
 食事中、5歳児は簡単に大人しくなるワケもない生き物で……。
 早く食べ終えた園児達が走り回るのをエクトルは、大きな手で小さな頭を包みながら言った。
「ちょくごは、やしゅんでからのほうがいいってきいた!」
 和は駆け回っていた園児に力説する。
 へぇーそーなんだー! と園児達が答える。
「あげ……ま、す」
 Гарсияはメインのおかずをファリンに渡すと、自身は残った分に箸をつける。
 なお、この場に居ないМашальは職員用のトイレでひっそりとお弁当を食べていた。
『きゆ? すききらいはだめだよ』
 野菜を残す姫癒に和輝は、食べるように勧める。
「せいちょうすればたべれるようになゆし、いまはたべなくていいんだよ」
 と、器用に野菜を退けながら姫癒は首を振る。
「……こんかいだけ、な。ないしょだぞ」
 黒塚は姫癒の野菜を自分のお弁当に入れて、食べれるモノと取り替えながらひそひそと話す。
「うん、ありがとう」
 姫癒は黒塚の気遣いを素直に受けると、笑顔でお礼を言った。
『こらー、食べ物で、遊んで、騒いじゃ、ダメッ!』
 弩 静華は騒ぐフローラとひりょに向かって怒鳴る。
「ふ、フローラが騒ぐから……。僕悪くないでち」
 ひりょはビクッと体を震わせ、目尻に涙を浮かべながらフローラを指す。
『ご飯、時間、ダメ』
 静華が腕をクロスして×マークを作る。
 ご飯がどんなに素晴らしくて、大切なのかを語られたフローラとひりょ。
『ぶ~、ひりょのせいで怒られちゃったじゃないっ』
 遠退く静華の背中を見ながらフローラは、頬を膨らませながらひりょにベコベコのフライパンを向けた。
「あら、桜花さまほほにケチャップがついていますわ」
 と、ポケットからティッシュを取り出したティリアは桜花の口元を拭く。
「ん、ティリアさん、ありがとうございます」
 桜花はティリアに向かって満面の笑みを浮かべた。

●おゆーぎはあどりぶだらけ!
「わたくしのれんしゅうにつきあってくださっていたかのじょなら、もんだいなくさいこうのひめができるはじゅですわ!」
 と、雄鶏との激闘により髪の毛はぼさぼさ、顔や手に名誉(?)の怪我をしたファリンは声高らかにГарсияを指す。
「……!」
 Гарсияは目を丸くする。
『クロも何か役をすればいいではないか。……苦手かね?』
 エクトルが黒塚に問う。
「……こーいうのは、見てる方が、楽しいから」
 小道具や衣装が入った箱を開ける黒塚は小さく首を振った。
『おれがおうじやく? いいよまかしといてーおひめさまがかわいいおんなのこだとやるきでるよね』
 和輝は姫役のГарсияに向かってニコッと微笑んだ。
「せっかく、ですし、みなさんもいっしょ、に、げき、やりませんか?」
 と、圓 冥人達に咲は声を掛けた。
 役は決まった。
 さぁ、後は楽しく演じるだけ!
『昔、昔、あるところに雪の様に美しい姫が居ました。しかし、その姫をよく思わない継母(ままはは)は鏡に問いかけます』
 エクトルがゆっくりと語る。
『さぁ、鏡よ。世界で一番綺麗なのは誰かしら? 無論私よね?
……そうじゃなかったら……わかってるわよね?』
 と、王妃役のフローラは、鏡に向かってベコベコに凹んだフライパンをぺちぺちと叩く。
「いちばんきれーなのはおひめさめ……おーひさまこわいでち。でも、しぶんにうそはつけないでち!」
 ひりょは体を震わせながら声を上げた。
『しらゆきひめがイチバンですって! き~、くやしいっ! 私がイチバンなのよ!』
 ハンカチをくわえて悔しそうに引っ張るフローラ。
『かりゅーどをよびなさい!』
 ハンカチを床に叩きつけるとフローラは声を上げた。
『王妃様、お呼びしたのかの?』
 狩人役のサルヴァドールは、フローラ王妃に声を掛ける。
「しらゆきひめをモリのなかにつれていって、ころしてしまいなさい!」
 と、言いながらフライパンを掲げるフローラ王妃。
『了解したのじゃが……その、フライパンの意味はなんじゃ?』
「私のフライパンはきょーぼーです」
 狩人サルヴァドールはフライパンを指すと、フローラ王妃は胸を張りながら言った。
「フローラ、すがでてるでち。えんぎ、えんぎ」
 鏡のひりょは慌てて台本を指す。
『ん、ん、こほんっ! セカイでうつくしいのは私だけにするのです』

 暗転

 森の背景に変わり、狩人サルヴァドールと白雪姫役のГарсияが歩いている。
『森は良い場所じゃ。食べ物も採れて、動物は沢山居てのう……』
 狩人サルヴァドールは木を指しながら笑顔で言う。
「かりゅーどさん、私はどこまでつれていかれるのですか?」
『はて? 何処までじゃったかな?』
 Гарсия姫の問いに狩人サルヴァドールが首を傾げた。
「あぁ、置いていかないで」
 狩人サルヴァドールを静華は舞台から強制ログアウトさせると、照明が落ちてГарсия姫にスポットライトが照らす。
 Машальはスマホでその姿を撮っていた。
 そして、Гарсия姫は森の中でたどり着いた小さな家に入る。
「まぁ、おいしそうなたべもの。そういえばおなかがすいていました」
 木製のスープ皿を飲む仕草をし、Гарсия姫は欠伸をするとベッドへと倒れた。
「しぃごとがしゅきってあれにほんとくゆうのものでがいこくではさっさとしぃごとをおわらしぇようってうたのはじゅよ」
 小人役の和は斧を担ぎ、聞いた事のある歌を口ずさむとヴァンに向かって話す。
『にほんちゃまにあちゃまおかしいな、ろうぢょうだけがびちょくではないんぢゃが』
 うんうんと頷きながら小人役のヴァンは言う。
「いまは、えんぎしないとだめですよー?」
 小人役の咲は、帽子を深く被り恥ずかしそうにしながら二人に小声で言う。
「……やるからにはしっかりする」
 控え目な小人役の姫癒はツルハシを担ぎ、小人の和や小人のヴァンの後ろを歩く。
『あれー? いえのドアがあいてるよー?』
 小人役の真神 壱夜が大袈裟に言う。
「おやおや、たべものがないねぇ」
 小人役の冥人は鍋をひっくり返して首を傾げる。
『みて、しんしちゅにだれかがねちぇるわ』
 小人役のトリス・ファタ・モルガナが、ベッドに寝ているГарсия姫を指す。
 起きたГарсия姫は、小人達に経緯を話して納得してもらう。

 場面転換

「セカイでイチバンうつくしいのはだーれ? れ? しらゆきひめなきいまは、私がイチバンよね?」
 自室でベコベコのフライパンで鏡をぺちぺちと叩きながらフローラ王妃は問う。
『いたいでち! そ、それは、もちろんモリのなかでくらしている、しらゆきひめでち!』
 鏡のひりょは声を上げる。
「な、なんですってー! こうなったら、どくりんごでシマツするしかないようね!」
 フローラ王妃は、釜にりんごを入れてぐーるぐーるかき混ぜながら言った。
 そして、小人達がお仕事に行ってしまい一人になったГарсия姫の前に、魔女に変装したフローラ王妃が現れてりんごを差し出す。
「まぁ、おいしそうなりんご」
 Гарсия姫がりんごをかじると、音もなく地面に倒れてしまう!
「ふぇふぇふぇっ! それはどくりんご! これでセカイでイチバンは私!」
 フローラ王妃は高笑いしながら森を後にする。
「あ! しぃらゆきひめがたおれてる!」
 小人の和が倒れているГарсия姫を指す。
『なんちょいうこちょぢゃ!』
 小人のヴァンが膝を着いて嘆く。
「せめて、まいそうしてあげましょう」
「そうですね。わたしたちができるせめてのこと」
 小人の姫癒と小人の咲はそこら辺に生えてる花を採り、小人の和と小人のヴァン等の他の小人は棺桶にГарсия姫を入れる。
『あぁ、なんてかわいそう!』
 壱夜はハンカチで目元を拭きながら声を上げる。
『おぉ、これはうるわしいひめだ』
 王子役の和輝は、大きな馬のぬいぐるみに股がり登場するとГарсия姫を見て声を上げた。
「もしかしたら、あなたのくちづけでひめはめざめるかもしれないね」
 小人の冥人が言う。
『では、ためしてみよう!』
 和輝は馬から降りて、Гарсия姫に顔を近付けた。
『こうして、姫は王子のキスで目覚めて幸せになりましたとさ。めでたし、めでたし』
 エクトルがそう言ってしめると、小人達は歓声を上げる中央で目覚めた姫は王子を睨んでいた。
『皆よく役柄をこなしたね! お疲れさま!』
 拍手しながらエクトルは皆に労いの言葉を言う。
『うんうん! とーっても良かったよ!』
 Lycorisも笑顔でうんうんと頷く。
「アラルさんもナニかやくをしたらよかったですのに、ファリンも」
 桜花は、アラルとファリンを交互に見つめた。
『ふふ、先生は可愛い子達がしているのを見るのが一番よ』
 と、笑うアラル。
「こんなんでは、おひめさまはできないですわ」
 ファリンは傷だらけの顔を指す。
「それも、そうですね」
 桜花はくすくすと笑いながら答えた。
 すると、視界が揺らぎ目が覚めたら元に戻っていた。

「……はっ!」
 和は目が覚めて直ぐに頭を抱えた。

『……あ゛ぅあ……?』
 Гарсияは目覚めると、見慣れたМашальの顔が視界に入った。
「…おはようリゼ、……少し性格はあれだったけど……あなたは美人さんになれる筈よ……私が保証します。さて、お仕事の時間ですよ。でもその前に……皆様に紅茶をお届けしましょう」
 ベッドから出るとГарсияは、首を傾げるМашальを見つめながら言うとメイド服に着替えた。
『う……あ?』
 Машальは、Гарсияの背中を見つめながら小さく首を傾げた。

 初夢は、懐かしい夢なのに違った。
 アナタは望んだ夢を見れましたか?
 そして、この夢はある意味でアナタの違う過去かもしれません。
 新しい年は良き1年になるだろうか?
 そう思いながら見慣れた光景が視界に入る。

結果

シナリオ成功度 成功

MVP一覧

重体一覧

参加者

  • 【晶砕樹】
    雁屋 和aa0035
    人間|21才|女性|攻撃
  • お天道様が見守って
    ヴァン=デラーaa0035hero001
    英雄|47才|男性|ドレ
  • ほつれた愛と絆の結び手
    黄昏ひりょaa0118
    人間|18才|男性|回避
  • 闇に光の道標を
    フローラ メルクリィaa0118hero001
    英雄|18才|女性|バト
  • 百合姫
    鈴音 桜花aa1122
    人間|18才|女性|回避
  • とっても優しい先生
    Lycorisaa1122hero002
    英雄|7才|女性|ソフィ
  • 幽霊花の想いを託され
    花邑 咲aa2346
    人間|20才|女性|命中
  • 想いは世界を超えても
    サルヴァドール・ルナフィリアaa2346hero002
    英雄|13才|?|ソフィ
  • 危急存亡を断つ女神
    ファリンaa3137
    獣人|18才|女性|回避
  • 我を超えてゆけ
    ダイ・ゾンaa3137hero002
    英雄|35才|男性|シャド
  • LinkBrave
    夜城 黒塚aa4625
    人間|26才|男性|攻撃
  • 感謝と笑顔を
    エクトルaa4625hero001
    英雄|10才|男性|ドレ
  • 守りもてなすのもメイド
    Гарсия-К-Вампирaa4706
    獣人|19才|女性|回避
  • 桜の下のゾンビ
    Машаль-слезыaa4706hero002
    英雄|6才|女性|バト
  • ひとひらの想い
    千桜 姫癒aa4767
    人間|17才|男性|生命
  • 薫風ゆらめく花の色
    日向 和輝aa4767hero001
    英雄|22才|男性|バト
前に戻る
ページトップへ戻る