本部

秋! GO! GO! 栗拾い&紅葉狩り!

ふーもん

形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
能力者
6人 / 4~6人
英雄
6人 / 0~6人
報酬
普通
相談期間
5日
完成日
2017/10/14 19:07

掲示板

オープニング


「栗拾いに出掛けよう!」
 開口一番そう叫んだのは、他ならぬH.O.P.E.の役員。
「えー? 今の時期に栗拾いですかー?」
 渋面を作ったのはエージェントの1人。
「今の時期だからこそ出来る行事じゃないか!」
 何を言っとるんだね! フンッ! 等と、鼻を膨らませている。
「――せめて紅葉狩りとかにでもすれば、少しは華があるのに……」
「なるほど、それも良いな。せっかくの年に一度の紅葉の季節だ。予定に組み込む事にしよう」
 ――あいたたた! やっちゃった! と、思いっきり額をパシン! と、鳴らす。女エージェント。後悔後の祭り。
「――ですが、それも確かに良い提案ですね」
 そこで、インテリ眼鏡を光らせるキレモノの女性役員兼助手。
「――え? どう言う事ですか?」
「言っただろう? 今年のブームは栗拾いに――」
「――そして紅葉狩り等と勢い込んで冒険する勇気は私にはありませんが、そのピクニックに1つだけとても大切な使命があります」
 インテリ眼鏡がキラリと光る。
「まさか――」
「そう。他ならぬ仕事です。ちょうど都内の田園地帯に広がる中規模の山脈に『栗型従魔』が大量発生しているとの事」
 ――『栗型従魔』?――
「イガイガの中に身を潜めたその従魔は、棘を針の様に飛ばしたり、一定時間飛行したり、本物の栗に擬態してやりたい放題やっているとの事」
「階級は?」
 事態がやや深刻になって来た。
「レベル1――ミーレス級程度のものですね。ですが、問題なのはその数と、山岳地帯を冒険する位の規模です」
「そ、そんなに多いの?」
「あ、いえ。敵――地元では、通称『マロンボム』等と呼ばれていますが、あまり出現率は高くないそうです」
「なるほど。つまり今現在は地元の人達がなんとか奮戦してその……『マロンボム』の駆除に当たっているのだけれど、壊滅には至っていない」
「ですから、観光気分で行っても損は無いかと、地元住民の協力を煽って『マロンボム』を倒せば――」
「一石二鳥……人助けに、報酬に、観光が出来る――いや、一石三鳥だな!」
 しかし、今度はキレモノ女助手の眼鏡が曇った。
「敵は力も弱いし、擬態能力は高いですが、地元住民の努力の甲斐あって数は激減しています。……なのですが、窮地に陥ると自爆する習性本能があるらしいです。故に『マロンボム』と名付けられました」
「そ、そんな殺生な! 私の今年の秋の味覚――モンブラン、栗金団、マロンパイ……ブツブツ」
「――と、いう訳で敵の自爆にはくれぐれも気を付けましょう」
 助手の女性は淡々と締め括ると――
「よーし! そのミュータントを倒しに冒険だ!」
「あなたは勝手に自爆して下さい」
 やはり、淡々と締め括った。

解説


 敵の従魔はOPで示した通りですが、地元住民と協力すれば大した事ないです。
 だからと言う訳ではありませんが、数は6人体制+英雄と言う事にします。
 条件は以下の通り。
 ・あくまでジャンルは『冒険』ですが、一応栗拾いを名目にした秋の行事なので、そちらも楽しみましょう。紅葉狩りもOK。
 ・戦闘は避けられません。敵はザコ従魔『マロンボム』――数は山の中にチラホラ。特に森の中でエンカウントしやすいです。
 ・山を探索中に地元住民と遭遇する事もあります。そこで情報を提供して貰いましょう。(例:何時頃発生したのか? 従魔の巣はどこにあるのか?――etc)
 ・『マロンボム』の行動↓
 (1)擬態――ある種のカモフラージュです。毬栗が大量に落ちている所では気を付けましょう。
 (2)針飛ばし――距離は5メートル~10メートル程。ただし本体が丸いので、周囲360度への全体攻撃です。ブルブル震えた時に発動する。
 (3)浮遊――文字通り宙に浮いて移動します。速度は、通常時――ふらふらゆっくり。例えるなら、羽毛が風に流される程度。警戒時――1メートル置き(1スクエアの半分)をまるで瞬間移動の如くシュパシュパ動きます。例えるなら、スカイフィッシュの未知の速さ。
 (4)自爆――窮地に陥った時に破裂します。合図は膨張、収縮を何度か繰り返した時。
 ※補足 火に驚いてイガイガの中から憑依していた従魔が無傷で飛び出すので、火力のある武器やスキル、もしくは住民が使っている火炎放射器等を借りて広範囲を攻撃。そこをAGWで叩くのが理想。調子に乗り過ぎて山火事にしない様に注意!
 殲滅後、地元住民から協力感謝のしるしとして、旬の秋の素材を使った料理を御馳走されます。エージェントとしての力の見せ所でもあります。

 ――以上! それでは皆様のプレイング! お待ちしています!

リプレイ

●――秋の山道散策

「ご飯と炊く、焼く蒸す茹でるに揚げる。羊羹やきんとんもいーなー」
『そんなに喰いたけりゃそのぶん集めろ。なんなら作るのもやれ』
 ――時節はすっかり秋。
 紅葉の景色が麗しいそれも食欲の秋。
 2人のとても大柄な男が、紅葉の葉を踏みしめながら山道を散策中。
 逢見仙也(aa4472)とディオハルク(aa4472hero001)だ。
 今回の観光……いや、仕事は『マロンボム』の追討と秋の味覚&芸術を存分に楽しむ事。
 何だか修学旅行みたいな気分になる。
 そんな少し険しい山道をあくびを噛み殺しながら歩いていくと、丘の中腹。見晴らしの良い場所に立った。
「ところでさ? 今回モミジ狩でもあったよな? 肉はそれ? 一応猟に使える道具(銃)はあるぞ? ちぃっとだけ気楽にぶっ放せないが」
 秋の紅葉を目にして、何を思ったのか仙也はふと、そんな事を言う。
『モミジ狩のモミジは鹿肉じゃない。というかお前は風情を感じる心をもっと持て』
 ディオがツッコみを入れて、2人はそのまま、また秋の山道を歩いていく。

 仙也とディオが歩いている方角と、別のルートでは――
『ん~~~~。いやぁ、秋だね。良い風を感じるよ』
 そう言いながら気持ち良さそうに背伸びするAT(aa1012hero001)と――
「皆と一緒に紅葉狩り? ……&、栗のお化け退治って感じだね」
 セレン・シュナイド(aa1012)の姿があった。そして、それに同行する者が2人。
「……栗が食べ放題と聞いたのじゃが……山歩きは聞いてないのじゃがの……」
 栗をたくさん食べられると聞いて参加した音無 桜狐(aa3177)は想定外の強制山歩きに猫柳 千佳(aa3177hero001)をジト目で見ていた。
 その視線に対して千佳は思いっきりスルー。紅葉狩り&栗拾いを楽しむ。
 住処で一緒のセレン達も誘い4人で散策。栗集め用の籠と火炎放射器を抱えて移動。
「紅葉も綺麗だし紅葉狩りにいい時期にゃね~♪ さあ、紅葉みつつ栗拾いに行くにゃ♪」
 サクサク進んで行く。

 更に別の場所では団体が列を成す。
『栗拾いだと? モンブランにマロングラッセ、栗のパウンドケーキ……!』
「いや、栗を拾うんどすし、菓子にはなっとらん……」
『フッ……私に任せろ!』
 最近菓子作りに凝り出し弥刀 一二三(aa1048)より上手くなっているキリル ブラックモア(aa1048hero001)は心なしか上機嫌。
「……まあ、けど栗おこわとか、久しゅう食べとらんどすな……」
 一二三の方は、誰か作ってくれる事を願う。
「倒し沢山拾うぞ! 自然な甘さの栗茶巾作って欲しいな」
『剥くの手伝ってね? 沢山集めなきゃ』
 荒木 拓海(aa1049)は採る事がメリッサ インガルズ(aa1049hero001)は作る事・食べてくれる姿を見る事が楽しい。
『栗って……針いっぱい。中身は食べた事ありますが……』
「うんうん美味しいよね栗ご飯とか」
『いえ、お菓子です』
「茶碗蒸しとか……甘くないのも……」
『お菓子です』
「……ぇぇ」
 お菓子への執着心を見せる隠鬼 千(aa1163hero002)にそれをどうやって挽回したら良いのか、最善策が全く思い浮かばない三ッ也 槻右(aa1163)は段々声が小さくなっていく。

 他の仲間達と協力。事前に皆と連絡先交換状況を伝え合う。
 エージェント達はそれぞれのルートで山脈の奥深くへと冒険。

 そんな中、消火器を傍らに携えて消化手段準備OK。火で従魔を炙り出す際に山火事を発生させない様に要注意。
 大事な命の場。そして山の幸が取れなくなっては不味い。
 そんな事を念頭に入れながらレーダーユニット『モスケール』で敵を捜索しつつ栗拾いに没頭する仙也とディオ。
 栗以外に団栗やら山菜も取っていく。
「団栗コロコロ団栗粉ー」
『製粉はやらんぞ?』

「うーん、こうして紅葉をみると……秋が来たんだね。どこか見晴らしのいい場所で、景色をみたいなぁ」
『従魔は栗の姿をしているというね。なら、栗がたくさん落ちていそうな場所を回って行こう。地元の人に教えてもらってね』
「っと、現地の人に会えたら聞き込みしないとね。栗のお化けも退治しないといけないし」
 セレンとATがのんびりとした会話をしている中、もう一方のエージェントの2人の内1人、桜弧はと言うとぼへーっと紅葉を見ていた。
 とりあえず火炎放射器で炙り、敵が飛び出して来たら攻撃する――迎撃態勢の準備は怠らず。
 今の所、敵の姿は無い。
 そして敵がいない内にとにかく栗を食べる為に確保していく。千佳が背負っている籠に桜弧は栗を放り込み、段々と歩くのにも飽きてきた。
 遂に座り込んだ桜弧。好い加減、歩くのが嫌になったらしい。
「……ぬぅ、歩くの疲れたのじゃ……。誰か背負ってくれぬかのぉ……」
 チラチラと千佳の方に目配せするが、生憎籠を抱えてて無理だった。しかし、それに反応を示したのは他でもないセレン。
「桜弧さん、もう歩くの面倒になったの? ええー……」
 しかし、そこにいた女性陣。皆の視線を浴びて、唯一の快男子であるセレンは桜弧の元へ駆け寄ってその腕を取る。
「はいはい、わかりました。僕が背負えば良いんでしょ」
『おやおや、桜弧ちゃんは草臥れてしまったかい。私が背負っても良いんだけど……』
「僕の他は千佳さんとATだもの。男の僕が背負います」
 汗を掻き掻き、空気を読んだセレンはそう言ってよいしょっと、小さな体躯をした桜弧を背負う。
『ふふ、それでは体力自慢の男の子にお任せしましょうか。良いじゃないか、頼られることって素敵なことさ』
 セレンに背負われた桜弧は尻尾を振ってご機嫌。
「……うむ、これは楽でよいの……。セレン、感謝するのじゃ……」

 従魔『マロンボム』と最初にエンカウントしたのは、一二三一行だった。
 『ライヴスゴーグル』とレーダーユニット『モスケール』で従魔警戒。森林を散策中、徐々にレーダー範囲を手分けし拡大。
 通信機も駆使して情報を傍受していたのだが、今の所従魔発見の速報は無し。仕方なく隅々歩き確認。
 常に栗を拾いモスケとLGで従魔警戒。そんな折、住民達が火炎放射器を手に携えて周囲に広がった毬栗に向けて火を撒き散らしている所に遭遇。
 住民と合流。早速情報交換だ。
「おお、あんた等かい? 『マロンボム』を討伐しにやって来たリンカーってのは……」
 住民の1人は口元を覆い隠すマスクと目にはゴーグル。そして全身を特殊な白いつなぎの様なスーツで出迎えてくれた。
 声がマスクによりくぐもっている。周囲は火の燻りで煙が上がっていたので、致し方ないと言えばそれまでだ。
「ええ。そうどす」
 一二三は大きく頷く。まさか観光がてらここに来た等とは死んでも言えない。
「あの……その格好は何なのでしょうか? 出来れば教えて欲しいんですが」
 拓海が礼儀正しく丁寧に交流すると、かの住民はくぐもった声で笑う。
「ハッハ! 何、対『マロンボム』仕様のモ○ルスーツだ。わし等一般市民にはAGWやライヴスは使えないからね」
「そう……なのですか? まあ、それは置いておいてこの山の中を出来れば案内して欲しいんですが。従魔の倒し方や従魔栗が食べられるかどうかも聞きたいですし」
「同行かい? 心強いリンカーさん達がいればこっちも安心だ」
 オッサンがくぐもった声で笑いっ放しでいると――
「手分けして協力してくれるなら尚更嬉しいんですが」
 槻右がそう言い含めた。
 そして、そんな中――他の住民達のくぐもった声が遠方から発せられる。
「出た! 『マロンボム』だ!」
「おーい! 皆、従魔が出たぞ! すぐ来てくれ!」
『早速わたし達の出番よ』
 メリッサが溜め息混じりにそう言ってくれた。
「秋の味覚の敵、殲滅しましょう。でも、くれぐれも気を付けて……」
 槻右が念を押すと、千が一二三の背後にさり気無く隠れてるキリルに向かって――
『キリル姉。あっちに従魔です。ホラ、行きましょう!』
 その手を取って半ば強引に引っ張り出す。
 他メンバーに人見知り発揮していたキリルは、だが姉と呼ばれいい気になった。
『良いか、千! 此奴等を犠牲にしてでも多くの栗を取得するのだ!』
『主の犠牲……問題ありません。いざ出陣です!』
 能力者三人を見て、いきなりそんな事を言い出すキリル。千も同調。
「え……?!」
 自身の英雄にクーデター宣言をされて、動揺する槻右。
「そこまでせんでも……景色もええどすえ? ほんわかして……」
 すかさずフォローに回る一二三だったが、キリルに情緒はない。
『紅葉はスイーツにならん』
 栗型従魔の元へと駆けて行く千とキリルの様子を見つつ、拓海は住民に質問。
「『マロンボム』とやらは食べられるんですか?」
「――ん? ああ、一応食えるが味は微妙だ。やっぱ本物の旬の味覚の栗には勝てねえわな」
「その『マロンボム』――最も出現するポイントはどこどすえ?」
「今、あっちで悲鳴があった様に森の中――本物の毬栗に化けて出るんだ。従魔の習性ってやつか」
 住民との会話はそこで終わり、早速槻右が本題に入る。
「拓海さん、一二三さん。あの2人を放置プレイするのはなんとなく嫌な予感がします。僕達も急ぎましょう。住民の方達も御同行願います」
 住民には森、山問わず後々レーダーの情報と照らし合わせ、栗の多い場所、近道や地形の情報を現地ガイドして貰う事に。


●――対『マロンボム』戦

 仙也とディオは既に共鳴。
 『ペイルブレイズ』で薙ぎ払い、栗の炙り出しをしていた。
 スカイフィッシュの如くブンブン舞い飛ぶ、『マロンボム』――そしてライヴスの剣閃で一気に焼いて、鎖で片付ける。
 山火事に気を付けて『カオティックソウル』と『レプリケイショット』の連続攻撃から仕上げに『ストームエッジ』で広範囲に『マロンボム』を追撃&迎撃。
 敵の気配が無くなったと判断した後、念の為レーダーで辺りを探索。警戒を怠らずに共鳴を解く。
「何だ? ホント大した事ないな」
『俺達ならまだまだやれる。もっと他の場所へ移動して退治に専念だ』
「飯は? 腹が減っては戦は出来ぬ」
『働かざる者食うべからず』

 森の山道をひたすら歩いていたセレン一行。異変に気付いたのは桜弧を背負っているセレンだ。
「……ちょ、あの栗、変じゃない? 先手必勝ってどうかな」
 桜弧を背に預けている為、汗を掻きつつセレンがそう言うと、ATも反応を示す。
『……移動するというが、一体どんな風に……なんだい、新手のUMAかい。あれは』
 そして、尻尾振りつつセレンに背負われている桜弧も気付いた。
「……あの毬栗、怪しげじゃの……。……バーっと燃やして見るのじゃ……」
「ハーイ♪ あれが、従魔なのかにゃ~♪」
 そう言いつつも躊躇せずに火炎放射器を発射する千佳。そして――
 辺り一面にいきなり毬栗の中に化けていた従魔『マロンボム』が飛び出してきた!
『なんとも、動いてる姿を見ると食欲がなくなるね。さっさと退治してしまおうか』
 それでもATは怯まずに冷静沈着。桜弧を降ろしたセレンと共鳴した。その刹那、千佳は遠くに人影を発見。
「そっちは任せたにゃ~♪ 情報収集も仕事の内だにゃ!」
 どうやら遠くにいる住民達も『マロンボム』の退治に勤しんでいるらしい。
 千佳は桜弧を引っ張ってこちらも共鳴。
 遠方にいる人達を助けに『マロンボム』を倒しに行く。
「……桜弧さん、共鳴すると雰囲気変わるよね。僕はあまり変わらないと思うけど……」
 共鳴したセレンとAT。セレンの方はそんな事を呟きつつ、敵『マロンボム』追討の為、近接戦闘を仕掛ける。
 拳や剣を素早く使い、得意な接近戦に持ち込む。標的は小さく素早い動きだったが、小回りの利く拳法により次々と従魔は消滅していく。
 一方、住民達と協力して『マロンボム』の退治に乱入した共鳴中の桜弧と千佳は――
「あんたはH.O.P.E.から派遣されてきたリンカーの1人か。助かるぜ!」
 住民達から歓迎されてノリノリバトル!
 戦うのは基本的に千佳。
「栗から飛び出て来たにゃ! そこに向かってマジカル♪ パンチにゃー♪」
 魔法少女っぽく(?)パンチを飛ばして攻撃。
 次々と『マロンボム』は減っていく。

 住民と同行しながら『マロンボム』発生地帯へと急ぐ一二三と拓海と槻右。
「あっちだ!」
 レーダーの情報と住民の掛け声で、場所を特定。森林の木々から外れた近道を通っていく。
「この辺りは急勾配だから、気を付けるんだ!」
 現地の住民のガイドにより無事、従魔発生ポイントに到着。
 槻右はレーダーで位置把握。『ライヴスゴーグル』で、子細確認。
「これは大量ですね」
 どうやらライヴスの量からして巣の周りを飛び交う蜂の様にブンブンと『マロンボム』は飛び交っている様だ。
 先に到着したキリルと千が右往左往四苦八苦して、『マロンボム』と対峙していた。
 拓海とメリッサが共鳴。敵に接近する。
「ここは私達に任せて下さい」
 そう言って、住民には後退して貰いライヴスゴーグルでこちらも確認する。
 浮遊している従魔を眼で追い、『すごいむしとりあみ』で捕獲。素早く、そして自爆する前に優しく拘束。
「大量ですね」
 自爆や針飛ばしは『ミラージュシールド』でガード。住民に危害は加えさせない。
 そこに一二三が参戦。キリルと共鳴し、キリルは『マロンボム』が食える事を知る。
『従魔栗は潰しカスタードに混ぜるとしよう』
 自爆寸前に中心を一突き。食す部分を多く残し始末していく。
 そして周囲を飛び交う大量の『マロンボム』を『守るべき誓い』で引き付けて集める。
 それにより擬態していた『マロンボム』も自動選別されたかの様に誘き寄せられる。
 栗と従魔を分け一纏めする拓海とメリッサ。
『守るべき誓いって、敵を誘き寄せれる……つまり自動選別出来るわよね?』
 共鳴中のメリッサが脳内で笑う。
 そんな中、槻右は共鳴している一二三とキリルに撤退を指示。一二三が跳躍。それに合わせ魔導銃『ショーラサースFG06』のWレインをかます。
 一二三が離脱した直後、拓海は音量調整した『天使のラッパ』で一気に殲滅。
 槻右の合図で真上に飛び味方スキルを避けていた一二三とキリルも上空から『九陽神弓』で攻撃。『ライヴスゴーグル』を付けたまま、敵の姿を追い的確に狙いを付け発射。
 更に連携は続く。栗山には飛盾『陰陽玉』の盾飛ばし――栗を散らして敵を特定。『グレイプニール』で一二三、そして拓海へと押し付け投げる。
 その毬を『ミラージュシールド』で殴り倒し時々当たる拓海。
「ッゥ! イタタ!」
 単体には槻右が魔導銃『ショーラサースFG06』で、従魔を追出。後は一二三と拓海にお任せ。
 一二三とキリルは『ザミェルザーチダガー』で近い敵を倒しながら、遠方にいる敵には容赦なく『九陽神弓』を発射。そして『ミラージュシールド』で潰し、突進や針飛ばししてくる大量の従魔も盾で防御。徐々に少なくなってきた今は回避に専念。
 飛盾『陰陽玉』とスキル『インタラプトシールド』で仲間を援護しながら次々と『グレイプニール』で栗を拾っては投げ、菓子籠に格納していく槻右。
 地元住民も奮闘。火炎放射器で木々を燃やさない様に辺りに撒き散らし、AGWを持ったリンカー達に止めをさして貰う様に従魔の周りに円を作って誘導、結果――従魔達は行き場を失くし、そのままリンカー達に倒されていった。
「やるなあ、考えましたね!」
 思わず共鳴している拓海とメリッサも唸った。

 ――こうして、栗型従魔『マロンボム』の退治は成功した。


●――討伐後

 山の絶景を楽しみながら、とれた山菜を揚げ物にして食べていた仙也とディオ。
「んで? ほかは?」
『栗は甘露煮、マロンクリームに、団栗は製粉してスポンジに使ってモンブランなんかどうだ?』
「よし、了解!」
『製粉やらなにやらはお前もやれ。飯もあるんだ、菓子の為の殻剥きだのまでやってられるか』
「えーめんど」
 紅葉巡った山中でのこの2人のいざこざはやがて山彦となって聞こえてきた。

「1つ2つ3つ……うわぁ~数え切れないね。退治した甲斐があった。帰ったら報告しよう」
 従魔討伐も終わり、ゆっくりと下山。そこに待っていた住民達が歓迎してくれた。
「リンカーの皆様。ご協力感謝です。私達地元住民が作った秋の旬の味覚! いかがですか?」
『おや。料理を頂けるようだけど、これはチャンスだ。料理は趣味でね。レシピを聞いて、是非自分のものにさせてもらおう』
 ATは嬉しそうに微笑む。
 下山した先の集落では屋外でテントを張り大がかりな御馳走が待っていた。テーブルの上にある数々の料理。
「……わ、御料理を振る舞われるなんて感激だね。御言葉に甘えて……いただきます」
 見かけによらずもぐもぐと秋の味覚を楽しむセレン。
「……ふむ、秋の味覚という奴じゃな……。……美味なのじゃ……。……ぬ、セレン、そちらのも美味しそうじゃぞ……」
 食事中は打って変わって元気になった桜弧は、セレンと共に身体に似合わない量を食べて行く。
 そんな桜弧達の様子を見つつ食べたり飲んだりしていた千佳はATと共にまったりと食事。
「運動した後の食事は美味しいにゃねー♪ ……それにしても桜弧がよく食べるのは今更として、セレンくんも結構食べるのにゃね」
 千佳は思わず苦笑した。

『良いか、千! この本の通りに作れば問題ないぞ』
『キリル姉、えっと、こう? ですか?』
 栗料理に奮戦するキリルと千はかなり真剣。
『良いわね、全部作りましょう』
 メリッサもそれに便乗。尻に敷かれた風な槻右と一二三へ拓海がそっと囁く。
「耐えろ……ここが甲斐性の見せ所だ」
 頑張って微笑むが、英雄のシビアさに内心では苦笑していた。
『幸せな構図ね』
 こちらは本心で微笑んでいるメリッサ。
 マロングラッセ、モンブラン、栗のパウンドケーキを作る。
 次から次へと出来上がり、業者並みの量。
 思わず一二三は言った。
「……うちの栗おこわ……」
 甘味の山に胸焼けがする。そして周囲に彩られた紅葉を涙目で見る。
「……やっぱ紅葉狩りどすな~綺麗やわ……」
『リサ姉、綺麗にできたんですっ!』
 千はメリッサにお菓子をプレゼント。
 槻右は多く栗を取って、甘くないの食べたかった。
 そんな中、住民から栗ご飯が運ばれてきた。
「一二三っ、栗ご飯だよ……」
「え? 栗ご飯あるん?」
 槻右と一二三、大歓喜。
「ありがとう! 美味しい……拓海、家でも作ろう」
 住民への感謝と拓海への提案をする槻右。
 千は姉達の間で食べて幸せ。
『秋って素敵ですね』
『美味しい~こう言う食べ方も有るのね』
 住民達の心遣いの秋の味覚を有難く頂き調理法も習うメリッサ。
 そして住民とその場にいたリンカー全員で栗分け合い、毬栗除去後『グリード』一杯に詰め紅葉狩り。
『綺麗ね……栗に夢中で景色を見てなかったわ』
「戦いに集中するからなぁ」
 更に落ち葉を拾う。
『お菓子の飾りにしたら季節感で美味しさが増しそう』
「良いね~そのまま家も秋で彩ろうか」
 良いムードだったが最後に待っていたのは大量の皮剥き。
 千は『どうぶつパペット』を使用して槻右の前に栗を置き、槻右が剥く係。
『殻痛そうです……主の犠牲忘れません』
「……頑張る」
 今にも泣き出しそうな槻右に一二三が殻剥きのアドバイス。
「これやと楽でっしゃろ?」
 一二三は器用に両足で毬の端を抑え斜め下に踏み下ろした。
 すると毬は開いた。
「腕がだるくなって来た……」
 拓海が苦痛を訴えると、メリッサがエール。
『みんなファイト♪』
 そして千をつい抱き締めて――
『可愛い!』
 秋の香ばしい匂いがあちこちに漂ってくる。(了)

結果

シナリオ成功度 成功

MVP一覧

  • マグロうまうま
    セレン・シュナイドaa1012
  • 拓海の嫁///
    三ッ也 槻右aa1163

重体一覧

参加者

  • マグロうまうま
    セレン・シュナイドaa1012
    人間|14才|男性|回避
  • エージェント
    ATaa1012hero001
    英雄|18才|女性|ドレ
  • この称号は旅に出ました
    弥刀 一二三aa1048
    機械|23才|男性|攻撃
  • この称号は旅に出ました
    キリル ブラックモアaa1048hero001
    英雄|20才|女性|ブレ
  • 苦悩と覚悟に寄り添い前へ
    荒木 拓海aa1049
    人間|28才|男性|防御
  • 未来を導き得る者
    メリッサ インガルズaa1049hero001
    英雄|18才|女性|ドレ
  • 拓海の嫁///
    三ッ也 槻右aa1163
    機械|22才|男性|回避
  • 分かち合う幸せ
    隠鬼 千aa1163hero002
    英雄|15才|女性|カオ
  • アステレオンレスキュー
    音無 桜狐aa3177
    獣人|14才|女性|回避
  • むしろ世界が私の服
    猫柳 千佳aa3177hero001
    英雄|16才|女性|シャド
  • 悪食?
    逢見仙也aa4472
    人間|18才|男性|攻撃
  • 死の意味を問う者
    ディオハルクaa4472hero001
    英雄|18才|男性|カオ
前に戻る
ページトップへ戻る