本部
そうだ……星を見に行こう!
掲示板
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星空観測(相談卓)
最終発言2017/09/27 22:30:33 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2017/09/26 12:10:36
オープニング
■一人の思惑
今年の夏もお祭りに花火大会、色々なイベントがあった、H.O.P.Eのエージェントも複数人でキャンプや、海水浴に行ったらしい。
黙々と仕事をし、書類と睨めっこをしているエージェント―彼は夏の間に夏らしいことを満喫することができなかった。町のイベントはことごとく仕事にかぶり、友人たちとは予定が合わず、今は10月半ば。
「わしも思い出が作りたかったんじゃあぁぁぁ!!」
周りに誰もいないのをいいことに、作業机でじたばたとしている。ここ連日、仕事漬けで限界が来ているんだろう。
「いや……待てよ。夏は終わってしまったが、思い出はまだ作れるじゃろ……」
彼は徐に携帯端末を取り出して、何かを打ち込み始めた。
「星を見に行こうぜっと」
打ち込みを終えると同時に、にまっと満面の笑みを浮かべる。
「誰が着てくれるじゃろうか……」
よしっと呟き彼はまた仕事に打ち込み始める。時折、そわそわしたかと思えば端末を手に取りため息を一つつく。そしてまた再び仕事を始めるのだった。その行為がしばらく繰り返されたのは、誰も知らないだろう。
■一通のメール
ある朝、一通のメールが届く。
『頼む! この可哀想な仔羊を救ってくれ!! ……というのもだ。今年の夏はどこにもいけず、季節を満喫する間もなく秋になっちまったんじゃ。
わしも遊びに行きたい!
じゃが、一人で遊びに行くのもな……と思ったんで、そこで暇そうな君らを誘ってみたんじゃ!
日光のキャンプ場に星を見に行こうぜ!そこにはキャンプ場利用者用の露天風呂もあるらしいぞ。ゆっくり羽を伸ばせそうじゃないか。
どうじゃ? 良いじゃろう?
各自、適当に食べたいもんを用意してくれい!テントと寝袋なんかは用意しておくからな!』
内容にはこのようなことが書かれていた。
解説
●目的
キャンプを思いっきり楽しむ。
●現状わかっていること
・知り合い剣太(az0094)から遊びに誘われた。
・人が多い時を避け、平日水曜の朝8時に駅に集合のち、車でキャンプ場へ。
・各自、個人的に持ってきたいものと、食べ物を用意する。
・剣太が用意するものは、アウトドアチェア、テーブル、テント、寝袋、グリル、炭らしい。
リプレイ
■Let's go!
午前8時20分前、待ち合わせ場所である駐車場で一人の男性エージェントが、コーヒー缶を片手に人を待っていた。7人乗りのワインレッドのワゴン車の前でキョロキョロする。
「ふぅ……」
剣太(az0094)はコーヒーを一口飲む。
もう10月、日によるが朝は凄く寒い。楽しみになって待ちきれなかった彼は、1時間前から待っていた。持っていた缶はすでにぬるい。
しばらくして、同じくワゴン車がすぐ近くの空いているスペースに駐車した。ちらりとみえた運転席で知人の車だと確信する。
「おお、おはよう! 一人で寂しかったぞ!」
車が完全に静止したのを確認し、空になった感を自分の車のゴミ箱に入れ、近づいていく。
ぱたんと扉があき、中にいた二人が出てくる。
「おはようございます! お早いですね!」
向こうもこっちに気づいたのか、声をかけてくれる。
手を振りながら挨拶してくれたのは紫 征四郎(aa0076)だった。隣にいたガルー・A・A(aa0076hero001)も挨拶してくれる。
『おはよう。どうせ、楽しみで早く来すぎただけなんだろ?』
「そ、それはわかっても口にしないんじゃぞ!」
図星を突かれ苦笑する。
『あ、そういや……』
車からごそごそと何かをガルーが取り出した。それを剣太に渡す。
「あ、コンポタージュ……ありがとうな!」
温かい缶を受け取りにっこりとお礼をする。
『早い時間から待ってるだろうと思ってな。来る途中コンビニで買ってきた』
「コンポタは征四郎が選んだんですよ!」
「ちょうど、好きなやつなんじゃ。ありがとうな」
美味しいですよねと笑う征四郎につられ、剣太もにっこり笑った。
それからまたしばらくして、見慣れた男性二人が駅の方から歩いてくる。
「おはよう。みんな早いねぇ」
にこにこと挨拶してくれたのは、木霊・C・リュカ(aa0068)である。
『おはよう……』
リュカに続き、オリヴィエ・オドラン(aa0068hero001)も挨拶する。
「おはようございます、リュカさん、オリヴィエさん!」
「おーみんな揃ってるな」
次々と集まってくる。時刻は8時5分前、もう集合時間か。
皆月 若葉(aa0778)とピピ・ストレッロ(aa0778hero002)もすぐに合流する。
「剣太さんとガルーさんは運転よろしくお願いします!」
皆口々に挨拶する。
『ケンタ! 今日はありがと、いっぱいあそぼーっ♪』
皆月の後ろからぴょこぴょこと歩いてきたピピもぺこりとお辞儀をした。
「剣太君、みんな、おはよ!」
餅 望月(aa0843)と百薬(aa0843hero001)も到着したようだ。
『おはようございます! キャンプ楽しみだよね!』
百薬はうきうきだ。
少し遠く、駅の方から見知った男性と女性が歩いてくる。別方向から、女性二人組も歩いてきた。
おや、女性組二人が男性の方へ気づいた……と同時に飛びついっていった!?
男性は少しよろめく。そして、四人は話しながらこちらの方へと歩いてくる。
「おやおや……」
迫間 央(aa1445)、マイヤ サーア(aa1445hero001)、氷月(aa3661)、ジーヴル(aa3661hero002)の四人も到着し、これで全員だろう。
「みんなそろったようじゃの! それじゃ、出発じゃ!」
■Let's get ready! お昼 Aside
山は町と違って天気が変わりやすいため、天候を気にしていたが今日は運が良かった。今のところ快晴で風もそこまで強くない。これなら恐らく夜も大丈夫だろう。
時刻は午前10時前、ようやくキャンプ場に到着し各自準備をしていた。
平日ということもあって自分たちの他に利用客は見当たらず、キャンプ場の管理人を含めなければほぼ貸し切り状態であった。
『ん……うまく点かないな』
お昼はBBQの予定だったため、オリヴィエは火の準備をしていた。
グリルに炭を入れ、紙を隙間に入れ、あとはマッチか何かで火をつけるだけなのだが、剣太に渡されたライターは燃料が切らしているのか、着火しなかった。
『誰かに借りるか』
すぐ近くで調理していた、ガルーに声をかける。
『すまないが、ライターか何かはないか? 火が点かないんだ』
『お? んー、持ってないけど……誰かが机の上に置いてなかったか』
作業をやめ、着いてすぐに用意をした大きめの机の上を確認する。
『あ、ほら。これでいいか?』
置いてあったガスライターを軽く投げて渡す。
『ん、……ありがとう』
受け取ったライターで、準備を続ける。
『じゃあリーヴィ、それ任せたからな』
ガルーもライターが仕えたのを確認すると、作業に戻っていった。
■Let's get ready! お昼 Bside
「……っつ」
一人、作業をしつつ皆月は涙目になっていた。
『だ、大丈夫……?』
原因はわかっているが、ピピは心配そうに尋ねる。
「……大丈夫だよ。厨房のバイトは大変だろうな……」
涙を流しつつ、玉葱からの攻撃に耐える。
『スパスパーって、ワカバ包丁上手だね!』
心配しつつも、ピピは皆月の包丁さばきに感心する。
「ピピも良く剥けてるよ」
『えへへ♪』
ピピもまたニンジンの皮をピーラーで剥くお手伝いをしている。
『へえ……結構綺麗にできてるな』
オリヴィエと話していたガルーが戻ってきて、ピピが皮をむいたニンジンを見て褒める。
『わーい! 本当?』
褒められたピピは嬉しそうに笑った。
■Let's get ready! お昼 Cside
「……この棒はどうするんだろう」
説明書と睨めっこしながら迫間、マイヤ、氷月、ジーヴルはテントを組み立てていた。
「ジーヴル、そっち持っていて……」
『わかった。こう?』
氷月とジーヴルも協力してテントを組み立てる。
5人用のドーム型テントが4つ。予備に持ってきた2人用のテントも2つあるらしいが事足りそうだということで大きいのを4つ使うことにしたのだった。
『剣太さんは凄いわよね』
「そうだな。どうしてもわからないようだったら、剣太さんに手を借りるようだな」
すでに一つは完成していた。剣太が一人でひょいっと組み立て、今は椅子やら別の用意をしている。
「お、こうか……」
苦戦しつつもゆっくりとテントは形を作られていく。
「すごい……」
『ねー、すごい』
迫間とマイヤの作業をお手本に氷月達も徐々にテントを形にしていった。
「そこは、こうするんだ」
時折、迫間が氷月達の方も手伝う。
「ん……こう?」
説明されたとおりに組み立てる。
テントを組み立てるのに慣れていない四人だが、ゆっくりと準備は進められていく。このペースならお昼の準備が終わるころにはきっと完成するだろう。
■Let's get ready! お昼 Dside
木々に囲まれ、段差により小さい滝になっているところ―滝つぼのあたりで四人が釣りの準備をしていた。
『みんなを満腹にさせるよ』
釣り道具を片手に百薬は張り切っていた。
「バケツに水を張ってお魚を入れておけば夜にも食べれるよね!」
人数分は釣れるといいねと望月も百薬と一緒に張り切る。
「いっぱい釣れると良いですね。征四郎に任せ……ひゃ、な、なんで虫がここに!!!!!」
リュカの手を引きつつ釣りをするポイントを探していた征四郎は、飛んできた虫に驚いてぱっと手を放す。
「おっと……山だから虫がいるのはしょうがないですよねぇ」
手をぱたぱたさせ、征四郎が見ているだろう方を仰ぎ風を送る。
「あ、ありがとです! さ、さあ、早速釣りしましょう!」
虫が遠くの方へ飛んでいくのを確認しほっと胸をなでおろす。
『何匹ぐらいつれればいいのかな?』
「最低でも、13匹……みんな食べなかったとしても二匹食べる人もいるかもしれないからね」
四人で釣って足りるかなぁなんて会話をしつつ、四人は早速釣りを始めた。
■Let's eat together! お昼
『まだその肉は食べ頃じゃない、焦るな』
「え~……わし、もう待てないのじゃ」
オリヴィエに止められ、叱られた子犬のようにシュンとする剣太。
「リュカどうぞ!」
征四郎が紙皿にリュカの分だと料理を取り分けてくれる。
「ありがとう。いい香りだねぇ」
料理を受け取りにっこり笑う。
『肉はあんまりひっくり返すなよ』
ガルーは率先して、野菜や肉を焼いてくれる。切ったトマトにチーズを乗せて焼く。何ともおしゃれだ。
『こっちのお肉も食べ頃かな?』
百薬もどんどん食べ進める。
「野菜もちゃんと食べないとね!」
望月はバランスを考え野菜と肉を紙皿に取り分け、お皿に盛られた美味しそうな料理を見てにっこり笑う。
『んー……いい匂い♪』
「俺、これもーらい! ピピはどれとってほしい?」
皆月、ピピの二人は兄弟のように仲良くお互いに料理を取り分けた。
「ほら、取り分けてやるから、皿を寄せて」
迫間の言葉に従い、お肉がよそりやすい位置まで皿を持っていくマイヤ。
『ありがとう……』
にっこりとほほ笑む。
「....遠慮するのよ?」
『それ、わたしの、せりふ?』
氷月達二人は食い意地が張っているのかそんな会話を交わしていた。
「わし、お魚食べたいから焼いても良いじゃろか? 他に焼いてしまってもいい人おるか?」
一緒に焼いちゃうぞーと、剣太がみんなに問う。
お肉、お野菜、お魚とみんなそれぞれ料理を楽しんだ。
■Let's get ready! 夜
それぞれが、持ってきた遊具で遊んだり、近くのアスレチックで遊んだり、それぞれが個々で楽しんでいるとあっという間に時間は過ぎてしまった。日が沈み山々がオレンジ色に染まる。そして、だんだんと辺りが暗くなっていった。
「さーてと、俺はジャガイモをやっていくから、ピピは人参を頼むよ」
『はーい! お昼もできたからまかせて!』
お昼同様、皆月達は料理のお手伝いをしていた。
『…どうかしら?』
どやぁとした顔で、肉や野菜をマイヤがカットしていく。
「いいんじゃないか」
マイヤが調理をしてるのを横目に見つつ、迫間はお米を炊く準備をする。
空いてる流し場で、ガルーもまたお米を炊く準備をしている。
「13人となると、昼夜含めてご飯が結構な量だよな……」
そのすぐ近くで、サラダを用意している征四郎がガルーの言葉に反応する。
「お魚さんも13匹は無理だったのです……」
思い出して苦笑を浮かべる。
今日釣った魚は鮎8匹。人数分にはならなかったが、それぞれ分け合ったりとお魚の味を楽しむことは十分できた。
「逆にお肉もあったからちょうどよかったよ!」
『そうそう。持ってきた材料も併せておなか一杯になったからね』
一緒に釣りに行った望月たちがフォローを入れる。
『……じゅるり』
「……お腹すいたわね」
氷月とジーヴルは料理が苦手なため、大人しく待っている。
リュカ、オリヴィエ、剣太も、同じくテーブルの横に置いてある椅子で準備が終わるのを待っていた。
唐突に剣太が580mm程の小さいアコギを幻想蝶から取り出し歌いだす。
「ありがとー♪ ありがとー♪ 楽しい時間がぁ」
みんなとの時間が楽しいのか調子に乗っている。
『音痴だな……』
オリヴィエが剣太に聞こえないぐらい小さい言葉でつぶやく。
「これ、あんまりそういうことは言わないものだよ。でも……本当に楽しいですね」
リュカは優しい笑みを浮かべた。
■Let's enjoy! Aside
時刻は20時半、夕飯のカレーの味を楽しんだ後、片づけが終わったところでみんな一息つく。各自好きなタイミングで温泉を行き夜風で火照った体を覚ます。
辺りはもう完全に真っ暗で、空を見上げると星が光り輝き、かろうじて見える足元は星や月の明かりによってわかるようなものだった。
リュカ、オリヴィエ、征四郎、ガルー、剣太は椅子に座り、星を眺めていた。
『なーに飲むかな……剣太ちゃんはアルコールどうする?』
みんなが飲む飲み物をガルーが用意してくれる
「そうじゃのう……わしも飲むか。そういえば、お酒飲める組がいるからと持ってきたんじゃった」
赤ワインとウォッカを車から取ってくる。
「いいねぇ。僕もブランデー持ってきたんだ」
お酒が好きなリュカはノリノリである。
『はいよ。温めたばっかりで熱いから火傷しないようにな』
征四郎とオリヴィエにホットチョコレートを渡す。
『……ありがとう』
「ありがとうです!」
二人がお礼を言う。
「っと、そうじゃ。ちょいとお待ちよ、お二人さん」
剣太が二人がコップに口をつける前にと急いで、白い物体をコップの中に入れる。
「マシュマロなのです!」
「それが膨らんでくるぐらいが飲み頃じゃよ」
『……へー、そういう飲み方もあるんだな』
オリヴィエもこの時期には丁度いいなと、マシュマロ入りのホットチョコレートの感想を言う。
「すごいのです! お家の庭で見るのと、全然違いますね!」
征四郎の瞳も星と同じようにキラキラする。
『まぁ、お前さんが綺麗だと言うなら、綺麗なんだろ。それはわかる』
ガルーも率直な感想を言った。隣でしゃいでいる征四郎を見て、彼は優しくほほ笑む。
『へー……確かに星を見にここに来るのは正解だったようだな』
ブランケットを肩にかけ、オリヴィエもリュカの隣で星を見上げる。
「うんうん、見えるよ。きっらきらのお星様」
見えるかとオリヴィエに聞かれ、うんうんと頷いた。見えない分は征四郎のお星様語りに耳を傾け、想像で空を描く。
真っ暗な空に幾万の星々が輝き、空を彩っている。星はぞれぞれ違う大きさをしていて、並びもバラバラ。それなのになぜこんなにきれいに見えるのだろうか。
「それじゃあ、また一曲」
これまた唐突に剣太が歌いだそうとする。
『よ、待ってました』
ほぼ棒読みでガルーが乗ってくる。ぱちぱちぱちと征四郎は笑顔で拍手をしてくれる。
『また始まったぜ……』
調子に乗る剣太を見てオリヴィエは呆れ顔だ。
「まあまあ、良いじゃないか。とっても楽しいし、周りに僕たち以外の人はいないからね」
彼のあまり上手いとは言えない歌を聞き流し、リュカは酒の味を楽しんだ。
■Let's enjoy! Bside
7人のすぐ近くの木陰でレジャーシートを敷き、皆月、ピピ、望月、百薬の四人はそれぞれ星を眺めていた
「綺麗だね!」
望月と百薬は、寝袋で横になったまま夜空を観測する。
「あ、動く星……あれは、GPSかな……」
望月の言葉に百薬の反応はない。
『Zzz……』
ちらりと彼女の方を見る。
「ね、寝てるんかーい!」
寝袋から片腕を出し、ゆさゆさ起こす。
『んむ……?』
幸いにもすぐに起きてきた。
「せっかく星を見に来たんだから、もうちょっと見ようよー」
『星辰の導きのあらん事を、もぐもぐ』
起き抜けに何か難しいことを言ってくる。そして、夜食を食べる。
「もう……」
望月はちょっと呆れ顔だ。
「これは綺麗だ……」
一面に広がる星を見て皆月は目を輝かす。
皆月とピピはブランケットを二人でかぶり、座りながら星を眺めていた。
『あの星、他よりきらきらだよ!』
一等星を指さし、ピピもまた瞳をキラキラとさせる。
少し離れたところからギターの音色とともに歌が聞こえてくる。
『きーらーきーらーひーかーるー♪』
その曲に合わせ、はしゃぐピピ。とても楽しそうだ。
「きーらーきーらーひーかーるー……」
皆月もピピに合わせて口ずさむ。
「そうだ、折角だから夜食を食べようか」
『うん! ボクねー、甘いのがいい!』
皆月はポテトサラダ、ピピはイチゴジャムを頬張る。
「小腹が空いたころにちょうどいいな……」
食べ終わってしばらくすると、ピピは皆月の膝の上で寝てしまった。はしゃぎ疲れたのとお腹いっぱいになったのとで眠くなってしまったのだろう。
「いい一日だったね……」
ブランケットを掛けなおし、優しく頭を撫でた。そして彼は、優しくにっこりと笑った。
■Let's enjoy! Cside
星を見る前に迫間、マイヤ、氷月、ジーヴルの四人は、温泉に入っていた。
「マイヤは、央の事どう思ってたりするのかしら。遠慮はいらないわ」
『ねーどうなのー?』
露天風呂につかりながら、二人がかなりド直球な質問をする。若干のぼせてしまっているのだろうか。
その質問に、そうねとマイヤは言葉を続ける。
『……好きに決まってる。私はきっと央に逢う為にこの世界にこの姿で喚ばれたのだから……でも、貴女達は私も央の隣に居る事を許してくれたから。私も貴女達を許容できる』
露天風呂からも星が切れに見える。彼女の視線は空に向けられたままだ。
「そう……」
『そっかー』
それ以降、二人は言葉を続けなかった。こんな会話がされていることを迫間は知ることはないのだろう。
四人はその後、温泉が終わるとゆっくり歩いて散歩をする。少し歩いて、星が見れる高台になっているようなところがあったので、そこで眺めることにした。
両隣を氷月とジーヴル。背中から迫間の首に腕を回すマイヤだった。
「流石に地元より星がくっきり見える。ゆっくり空を見上げるなんて事自体、久し振りだ」
『当然よ。央の傍には一等星が3つもあるもの。見上げる必要はないわ』
その言葉に迫間はふっと笑い、そうだなと返す。
「いい夜ね」
『……いいかんじ』
氷月とジーヴルも迫間にくっつきつつ星を眺める。
「折角だ。夜食も作ってもらったし、飲み物が温かいうちに頂こうか」
手にしていた、袋に入っているのを軽く持ち上げどうかなと3人に聞く。
「いいわね」
3人も同意し、近くにあったベンチに座り頂く。コップに注がれたコーヒーから白い湯気が立っていた。
夜も深まり、それぞれテントに入り寝る。みんなが寝た後も星はキラキラ輝き、穏やかな光をみんなへと注いでいた。
■Good morning!
カチャカチャとする音でそれぞれ目を覚ます。
この時期の山の朝は肌寒い。体をぶるっと震わせ、のそのそとテントから出てくる。
「んん……眠いのぅ」
眠気眼をこすりながら周りを見渡すと、すでに何人か起きていた。
「おはよう」
リュカが小さい鍋でコトコトと何かを煮ている。
その隣でオリヴィエがおにぎりを作っている。
「おはよう。もうちょっとでスープができるから、それまでに準備しておいで」
リュカがにっこり挨拶してくれる。
『剣太ちゃん、おはよう。なんか飲むか?』
ガルーも挨拶をしてくれる。まだ頭がはっきりしてない剣太に対し、コーヒーを入れてくれる。
「おはよう……」
皆月も挨拶をしてくれるがまだ眠そうだ。ピピは一度起きたのだろうが、皆月の膝の上で寝てしまっている。
「まだ望月さんたちは起きてないのです。迫間さんたち四人は身だしなみを整えるために温泉の方へ行ってるみたいです」
征四郎が他の人の状況を教えてくれる。目をしばしばさせるのを見るにまだ眠そうだ。
温泉のある施設は、露天風呂の他に化粧室なんかもありかなり便利である。歯を磨いたり、髪をセットするにはもってこいだろう。
「おは……よう……」
『んー……』
話をしていると望月たちも丁度目を覚ましたようだ。すぐに顔を洗ってくると、迫間たちと同じく施設の方へ歩いて行った。
入れ違いに迫間たちが戻ってくる。すでに身なりは完璧だ。
「あ……」
『いいにおい』
氷月とジーヴルがスープの匂いに反応する。
『あら、朝に頂くのにいいわね……』
鍋の中をのぞいてマイヤが美味しそうねという。
「そうだな。軽く食べるのにいい」
迫間もマイヤの言葉に頷いた。
■Commemorative photography
朝食が済んんで、それぞれ片づけを始める。ごみを集め分別したり、テントを片付けたりと分担してさっきまでキャンプをしていた場所が綺麗な空き地になる。
さあ帰ろうというところで彼女がその前にと声をかける。
「せっかくだから、お写真を撮りたいのです!」
その言葉にみんなはいいねと同意をしてくれる。
タイマーをセットし、ぱしゃりぱしゃりと何枚かとり撮影で来た写真を確認する。その写真の出来を見て満足したのか彼女はにっこり笑った。
この日の思い出はきっとみんなの胸に残るだろう。キャンプの計画を立てた彼もまた行きよりも笑顔で車を運転していた。何気ない日常の一日が大切な思い出へと変化する。この日の思い出もまた、胸で輝き続けるのではないだろうか。
結果
シナリオ成功度 | 大成功 |
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