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特訓、打倒すべき敵のために
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作戦相談
最終発言2015/10/12 07:50:42 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2015/10/11 23:25:39
オープニング
アンドレイはその光景を傍観していることしかできなかった。
焦土と化す日本首都のかわり果てた姿、凍てつくビルに乾いた砂塵が舞う砂漠、複数のゾーンルーラーがこの東京に縄張りをはり、そして通りが勝った人間を次々に殺しては自分の糧にしていく。
それはさながら地獄絵図だった。
これほどまでの事態になるまでリンカーはなにをしていたのか。そう思い、周囲を見渡すと。アンドレイのそれは思い過ごしであることがわかる。リンカーたちは何もしていないわけではなかった。
リンカーたちは戦っていたのだ。そして勝てなかった。打ち破れ、敗北し、その敗北がいくつも積み重なり、この光景が生まれているのだと知った。
山のように無造作に積み上げられた人間の肉体。その中に見知った顔がいくつもある。そうこの愚神たちにリンカーたちは全滅させられたのだった。
「という夢を見たんだが、どうだろう」
そこは会議室。リンカーたちをまとめる司令官たちやプリセンサーが集まり今後の活動方針を決める会議で、唐突にアンドレイはそんなことを話し始めた。
「私もプリセンサーになれたんじゃないかな」
そう神妙な面持ちでつぶやく司令官の一人アンドレイ。彼のことを周囲の人間はまたかとでも言いたげに、呆れて呆けた顔を向けていた。
「そしてこれが本当のことになると一大事だと思うんだ」
「いや、待ってくれアンドレイ、お前はプリセンサーではないし、それはあくまでただの夢だ、そして今は会議中……」
そう彼を注意しようとしたプリセンサーの話を片手で遮ってアンドレイは話を続ける。
「いや、私にはわかる、この夢このままいけばきっと正夢になる、だから私は早急にこの件に対して手を打たねばならん」
そう言うや否やアンドレイは席を立ち、軽くあいさつしその場を去った。
「あーあ、始まったよ、あいつの妄想癖が」
そうその場に残ったメンバーは深いため息をついた。
* *
そして集められたのは将来有望とされるリンカーたち。
そのエースたちを前に司令官アンドレイは話を始める。
「君たちにはこれから特訓をしてもらう、極めて実践的、しかし戦略性を高めるために君たちには戦闘対象のデータと、地利を記したデータをあらかじめ与えておく」
リンカーたちはすかさず手元の資料に目を通す。戦闘領域は一キロ四方の廃車置き場。小高い山が四つ中央にある以外は平地であり、特に何もない。
「実際の戦闘ではさまざまな障害が予想されるが、今回はバックアップも万全な状態を想定しての訓練だ。まずいと思ったら即時撤退する判断力も期待している」
続けてリンカーたちは戦闘対象のデータを見つめて凍りつくことになる。
そこに記されているデータ、写真が目の前にいる人物の外見的特徴と一致するからだ。
「戦闘相手は私だ!」
思わず全員が驚きの声を上げる。
「これでも私は強い、お前たちが束になってかかってきても負けない自信がある。だからこそそんな強大な敵を目の前にした時にどう対処すべきか今のうちに学んでおいてほしい」
与えられたシンキングタイムは三十分、その間にリンカーたちは状況、対象の戦闘力、戦略、仲間との連携を想定し、勝利への方程式を導かなくてはならない。
「また、私がだれかの相手をしている間に暇になってはいけないと思って私が手塩にかけた戦闘員も呼んでおいた、彼らとも遊ぶといい」
アンドレイは語る、彼らは全員スナイパーだと、五点に配置し、時々横やりを入れてくるだろうと。
「ではシンキングタイムの始まりだ、検討を祈る」
そう司令官は言い放つと、上着を脱ぎ捨て、鉄板とボルトでところどころふさがれた上半身を見せつけると。戦場の奥へと走り去っていった。
<戦闘対象データ>
《司令官 アンドレイ、ナポコフ》
司令官はその昔、第一線で活躍するリンカーだった、ただ大きな戦いで仲間を失い、後続育成に目覚め現在の地位についている。その戦闘力は単身で愚神と渡り合えるほどの一対一のスペシャリストだという。
能力は「英雄 クラスドレッドノート」「種族クラス アイアンパンク」「能力者クラス 命中適正」
右手に内蔵されたパイルバンカーと柔術での近接戦闘と、左手に内蔵された機関銃と自前のライフルを使っての中距離、遠距離戦を得意とする。物理系のオールラウンダー。
戦闘員は全員がスナイパーであり、等間隔でアンドレイから離れたところに距離を置いている。一撃の重さは無視できるものではなく、ひょっとすると先に倒してしまった方がよいかもしれない。
以上の情報をふまえて、司令官にまいったと言わせることができれば、ミッション完了です
解説
目標 司令官の撃破
まず、司令官は特訓のつもりなので命まではとらないので安心してください。危なくなれば撤退も自由です。特にペナルティはありません。
なので司令官を殺すつもりでは来ないでください。
司令官が予備動作なしで行えるのは機関銃の乱射、中距離攻撃までです、遠距離となるとライフルを使う必要があるので、予備動作を必要とします。
このミッションはあくまで特訓なので、ドタバタコメディタッチで描くつもりです。ふざけても大丈夫です
リプレイ
『鴉守 暁(aa0306)』はスコープを覗き込みながら、周囲を警戒していた。
そこはあたり一面屑鉄の山だった。廃車、そのパーツであったであろう鉄くずが散乱、あるいは中央にうずたかく積まれている。
その光景を冷静に眺めながら、暁はロリポップキャンディーを口に含んだ。
「敵影、なーし。案外おとなしいもんだな。司令官、本気で遊ぼう、ぜー」
暁が空に向けてライフルを一発。空砲ではあるが、それが合図となりリンカーたちは行動を開始した。
『カグヤ・アトラクア(aa0535)』も今回の参加者の一人だ。彼女は中央の山に突貫するのではなく、右手から回り込み、潜む狙撃兵をあぶりだす役割だった。
「にしても、静かじゃ」
そうカグヤはつぶやく。
その身はわき目もふらない全力疾走をしているはずなのに、周囲に散乱する車や鉄くずに引っかかることもなく、するすると前に進んでいく。
ただ、もし今敵が目の前に現れれば、とっさに攻撃態勢には移れないだろうという速度ではあった。
(さて他のもの達はどうなっておるかのう)
そう、インカムの向うに耳を澄ませた。
カグヤが右回りなのに対して。左から回り込むリンカーは二人いた。
『齶田 米衛門(aa1482)』と『壬生屋 紗夜(aa1508)』だ。二人は並走しつつ周囲を警戒しながら先へと進む。
「おとり役を買って出たのはいいっすけど、なんかこう、落ちつかないっすね」
「ええ、あちらからは見えて、こちらからは見えないっていうのはすごく気持ちが悪いですね」
そうっすな、と短く米衛門は言葉を返した。紗夜のから視線をそらしながら。
「ところで齶田さん」
「はい……」
「なぜ、先ほどから私の方を見てくれないのですか」
「その前に、一つ質問いいっすか?」
「ええ、どうぞ」
「なんで訓練に来るのに水着なんっすか!」
そう米衛門が叫んだ瞬間、紗夜の顔が真っ赤に茹った。
そう。紗夜は本日水着での戦闘参加だった、しかも競泳水着やスクール水着と言った布の多いものではなく、ビキニと呼んで差し支えない、必要最低限の布しか纏ってない。
「仕方ないでしょう! 軽くて丈夫なんですから」
「いや、それにしたって目のやり場に……」
「うるさいです、文句ならビキニアーマーなんてものに実用性を持たせた方々に言ってくれませんか。というかじろじろみないでください、斬りますよ?」
「だから、見てないっす!」
そんな風に騒がしい左回り組の声を聴きながら『秋津 隼人(aa0034)』は巨大な盾を構えて突貫していた。
「彼らはいったい、何をしているんでしょう」
その瞬間だった、風を切り裂く音と共に、二発の銃弾が隼人を狙う。
その二発ともをその盾で弾き。周囲を見渡す。さらに遠くでも銃声が一つ。
「はじまった、ようですね」
「おいおい、大丈夫か」
『リィェン・ユー(aa0208)』が駆け寄り、あたりを見渡した。
「いえ、盾で防いだので問題はないのですが」
「はやく体制を立て直したほうがいいぜ」
そう声をかけたのは『剛田 永寿(aa0322)』永寿は大剣 を構えながら、山の頂上を見据えた。
「お出ましだ」
リィェンと隼人はつられて山の頂上を見上げる。
そこには義手から雷を放電させながら、こちらを観察するアンドレイが静かに三人を見下ろしてる。
その時、さらに遠くから銃声。直後インカム越しにリィェンに通信が入った。相手は暁。
「右手、そして左手手前。大体五時の方角と八時の方角、そこからマズルフラッシュが見えた、片方には牽制でうっといたけど、当たってるかどうかはわからないな。私はそいつらの相手をするつもりだけど。リィェン達は、やれんのか?」
「まだわからん、だがどの道、誰かが相手しないといけないわけだしな」
そしてインカム越しに突如銃声、暁が二人目の獲物をみつけたのだろう。
「足を打ってやった」
「えげつないな……。いったん切るぞ、司令官殿がそろそろやる気みたいだ」
通信が終わるとリィェンはアンドレイを見据える。
「なかなかいい作戦を立てたな、陽動し分断し、確固撃破か。だがそれを狙っていたのは私とて同じことだ」
そうアンドレイが静かに告げる。
「なぜなら私は、一対一においては最強のリンカー! 確固撃破こそ私の……」
直後、突如飛来した魔力の塊がアンドレイの画面面に直撃した。
唖然とする三人、ばたりと倒れ込むアンドレイ。
その攻撃を放った犯人は『スラヴェナ・カフカ(aa0332)』だった。
銀の弾丸を遠距離から放ち、それがアンドレイの顔面に突き刺さったのだ。
「あら、まさかこんな綺麗に……。よけられるとばかり」
逆にスラヴェナが驚いてしまっていた。
「魔法攻撃は苦手なんだ」
そうアンドレイは胡坐をかいて座り、そして血を吐き捨てる。
「口の中を切ったよ」
そうアンドレイはにやりと笑い。
リンカーたちを見据えた。
* *
先ほどリィェン達がきいた銃声はカグヤを狙ったものだった。
「危ない危ない、当たるところじゃった」
カグヤは地面に開いた穴を一瞥し。角度を瞬時に割り出す、そしてその方向に走り出すと、狙撃兵が見えた。
「ほう」
カグヤは少しだけスピードを落とした、この速度では攻撃ができない、そして相手はすぐには次の攻撃を打てない、そう確信したためだった。
「殺す気はないが、わらわを撃ったのじゃから撃たれる恐怖をスコープ越しに味わえ」
フェイルノートを構え瞬時に放つ。その矢は肩口に突き刺さったが、そこまでのダメージにはならなかったようだ。
「なかなかなタフじゃのう、いたぶりがいがある」
そうやって右方でも戦闘が始まったのとほぼ同じころに、左方でも戦闘が始まっていた。
こちらも開幕の合図は銃声。直後、米衛門の腹部に衝撃が走った。思わず足を止めうめき声をあげる。
「どこから飛んできたかみたっすか?」
紗夜が答える。
「銃弾は二発、片方は外れたようですけど。命中した方は意外と近くから」
紗夜がうち捨てられたトラックへ走っていく。そして。
「せいっ!」
そう一撃で両断した。
その剣圧がトラックを巻き上げ弾き飛ばす。その奥にいたのは驚きの表情で紗夜を見ているスナイパー兵、そして返す刃で肩口から斜めに切った。
「狙いが的確ッスよ……プロはやっぱり凄いッスね!」
そう米衛門は一言告げ、その手に握った大剣を叩きつけた。狙撃兵の体は吹き飛び瓦礫の中につっこんだ。
「まいった、すまん」
そう言ってスナイパー兵は、どこに隠し持っていたのか、文字通り白旗を上げる。
「残った一人はどうするっすか?」
「来たら、来たで倒せばいいと思います」
「かっこいい。すね」
そう雑談をしながら、二人は中央の激戦区をめざし走った。
* *
そして中央での戦闘に視点が戻る。
アンドレイの行動は早かった。
素早く起き上がると、瓦礫を吹き飛ばしながらリィェンに肉薄し、パイルバンカーをセットする。そして突き出すタイミングに合わせて隼人が間に入った。
「お相手、願います」
そしてパイルバンカーが射出される。衝撃で隼人の足が瓦礫の中にめり込む。衝撃を完全に殺せず体が軋む。
「ぐっ……」
そして銃声。リィェンの腕を銃弾が霞める。
リィェンはすぐに体制を立て直し。コンユンクシオでアンドレイに攻撃を仕掛ける。左腕の銃を撃たせないように、封じるように。
しかし甲高い音がしてはじかれる、刃が通らない。
「さすがに歴戦の猛者……戦いがいがあるぜ。ほんとに」
直後二発目の銃声。それが永寿に命中した。見れば山の頂上からこちらを狙う狙撃兵がいた。
「クソっ!とっておきの酒が無駄になっちまった!」
ぱたぱたと水音。胸に隠していたウイスキーボトルが割れていたのだ。
「防げなかったか」
「当たり前だ……」
そう呆れてアンドレイは頭に手を当てる。
「隙あり」
そして、永寿は切りかかるが、それをアンドレイは片手でそらして。攻撃をかわした。
「剛田さん、気を付けて。引火するかもしれないです!」
そして、スラヴェナがブルームフレアを放つ。スナイパー兵とアンドレイを巻き込むように攻撃、地面を揺らすほどの轟音が轟いた。
「引火はしねぇよ、度数が低いからな」
「それより、スラヴェナ! 危ない」
そう隼人が叫んだ瞬間。
揺らめく炎の向うに浮かび上がるシルエット、アンドレイの左手が変形し、機銃へと変わったその掃射がスラヴェナを襲う。
* *
暁は中央の山を監視しながら、山の中央にいる銃兵を狙おうとしている時、その炎を見た。
あちらは狙えない、陰炎で距離感が狂うからだ、なのでもう一人補足しているスナイパーに銃弾を放つ。
「ヒット」
当ったことを確認し、中央に視線を戻すと。スナイパー兵が倒れているのが見えた。おそらくギブアップしたのだろう。起き上がる気配がなかった。
「あれ、司令官と同じで魔法攻撃に弱いんじゃ」
「なに、それを早く言ってほしかったのじゃ」
インカム越しにその言葉を聞いたカグヤは武器を弓から魔導書に持ち帰る。
そしてそれを狙う狙撃兵。カグヤは銃弾を回避する様子もない。
そして銃声、しかしそのライフルから放たれた銃弾はカグヤに到達する前に勢いを殺された。スナイパー兵が驚きの声を上げる。
「もうすでにおぬしは、わらわの巣の中ということじゃ」
カグヤの防御力はすでに狙撃兵がどうこうできるレベルを超えていたというだけだが。この事実は大きかった。
なぜなら、カグヤが放つ攻撃が有効打であるなら、この勝負はついたもどうぜんだからだ。
「マビノギオンで攻撃するぞ!」
そして魔力で編まれた剣を射出すると。スナイパー兵の装甲をいとも簡単に切り裂いた。
「こっちの攻撃が通らねぇならやってられねぇ。わかった、まいった、降参する」
そう白旗をふる狙撃兵を見つめ、カグヤはため息をついた。思いのほか早く勝負が決まってしまったので、暇になったのだ。
「ならどうしようかの」
いまさら合流したところで、戦いに水を差すだけだろう、そう考えあたりを見渡すと、そこにはまだ新しめの自動車が放置されていた。
「これを使って、ふふふ」
* *
「スラヴェナ!」
隼人はスラヴェナに駆け寄ろうとした、しかし。アンドレイがそれを許してくれそうになかった。ケアレイをかけると、かろうじて意識を取り戻したスラヴェナが手を振る。
「まだ大丈夫です」
「そうだ、途中退場にはまだ早い、続々と集まってきたようだしな」
アンドレイが見据える先には二人のリンカーが立っていた。
「部下はどうした?」
「倒しました、力量差は分かっていますから、憂いなく一秒でも長く斬り結ぶためにもこうも迂遠に動いたんです」
「ナポコフ司令官さん、よろしくお願いしますッス!!」
米衛門と紗夜だった。
「いいだろう、稽古をつけてやる」
「後学の為に格闘のお相手お願いするッス!」
「あは……かつての第一線の力、存分に見せて刻んでください」
そう二人は切りかかる。紗夜の剣撃がなぐように高速で。その合間に米衛門が重たい一撃を叩き込む、しかし、それら全てが捌かれる。
「2人がかりでも……、通用しないなんて」
紗夜が絶望をかみしめる。
「残りもかかってこい」
リィェンと永寿が攻撃に加わる、しかし、それでもアンドレイの防衛をせめきることができない。
唯一、通るのは。スラヴェナの魔法攻撃。
銀の弾丸が、直撃し、アンドレイが唸りながら半歩後ずさる、しかし。物理攻撃はまるで通用していなかった。
リィェンと永寿が攻撃はかろうじてダメージを与えられているようだったが。それもアンドレイが余裕ぶってほくそ笑んでられるくらいのレベルだ。
このままでは詰め切れない。あと1手必要だった。
「暴力はんたーい」
そう、合流した暁が弾丸を放つ、しかしそれも彼の装甲にはじかれる。
アンドレイが4人の攻撃を捌きつつ、紗夜にその右手を突きだした。パイルバンカーの一撃だ。そのタイミングで隼人が間に入って攻撃を防ぐ。
その瞬間だった。突如クラクション。全員が一瞬戦闘を中断しその方向を見た。
そこには驚くべき光景が広がっていた。車が突っ込んできた、瓦礫をもろともせず突き進み、そしてアンドレイの目の前で瓦礫を利用して飛んだ。
「皆の者、よけるのじゃ!」
ちょうどアンドレイを抑え込んでいた永寿が思わずとんだ。
カグヤは滞空している車から素早く脱出し、無人となった車は真正面から突っ込む。
しかしそれはアンドレイの左手で受けとめられてしまう。
「この隙に」
米衛門と紗夜は構えをとり力をためる。二人はタイミングを合わせ、オーガドライブを放つ。
だが、傷は浅い。二人は思わず歯噛みした。
「いてて、あの女、めちゃくちゃだな」
そう、永寿が頭を押さえながらあたりを見渡すと、彼の鞄が目の前に転がっている、
「そう言えばあいつ、出掛けに何か持たせてくれてたな。なんだ?」
おもむろに鞄をあける永寿、なかには密閉された中華鍋が入っていた。
すごい技術だ。中華鍋の中にはあつあつのあんかけがこぼれることなく、たっぷりと入っているのだから。
「召し上がれ!」
永寿は反射的にこう叫ぶと、迷わず鍋ごと中身を司令官にぶちまけた
「ぐおお、あんかけ!!」
車を支えているという状態のままだったので、その攻撃をアンドレイはもろに受けた。
「日本古来より兵法として煮えたぎった糞尿や粥を相手にかけるという戦法があったがこれほどの効果とは!」
「黙ってろ!!」
リィェンはアンドレイのがくがく震える、足を払う。
ダメージらしいダメージは通らない、しかしさすがに車体を支えながら攻撃を受けたので、足に来たらしく。膝を折ることになった。
そのせいで。倒れ車の下敷きになってしまう。
「これでおしまいにしましょう!」
ふらつく体を隼人が支え、スラヴェナが渾身の力で銀の弾丸を放つ。
しかしその瞬間あわてた調子で、カグヤが叫んだ。
「まずい! 爆発するぞ、みんな逃げるのじゃ」
「なんでだよ」
「ガソリンをなみなみに入れておいた」
直後大爆発、それこそ中央の瓦礫の山が形を変えるほど。
そしてその爆発が収まった後。その爆破の中心にアンドレイが胡坐をかいて座っていた。
「ふふふ、やっと半分と言ったところか。しかし、合格だ。私は白旗を上げよう。これにて演習終了だ」
その後撤収作業を終えたリンカーたちは交流会と称して夜の街に繰り出した。その後も一悶着あったようだが、これは別のお話だ。