本部

ムラサキに染まる戦士

影絵 企我

形態
ショート
難易度
やや難しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
能力者
8人 / 4~8人
英雄
8人 / 0~8人
報酬
普通
相談期間
5日
完成日
2017/03/29 18:40

掲示板

オープニング

●白黒のヒーロー
 突如として現れた二体の従魔。お化け屋敷から現れたゾンビの従魔は、人々をその爪で薙ぎ倒しながら暗闇の中を闊歩している。中に響き渡っていた悲鳴も断末魔も、無事に逃げ出せたのか、従魔の手にかかったのか、何時しか聞こえなくなっていく。
 しかし、薄暗い世界の中で、一人だけ少年が生き残っていた。仮初の手術台の下に潜み、流れる空気に乗って漂う血の臭いを感じながら、彼は涙を浮かべてその場に留まっていた。
 直ぐ近くにゾンビのうめき声が聞こえる。ゾンビが徘徊して、再び手術室に戻ってきたのだ。手術台から起き上がって脅かしに来たかと思えば、彼の前で全てをずたずたに切り裂いたゾンビが。少年は口に手を当て、必死に息を殺す。脚を引きずりながら、ゾンビが手術台の前までやってきた。掠れた唸り声をあげながら、二体のゾンビは突然手術台を殴りつけた。彼を覆い隠していたベッドが、呆気無く剥がされる。
「ひっ……」
 少年は息を詰まらせる。腰を抜かしたまま、必死に後退りしてゾンビから身を離そうとする。しかしゾンビは容赦なく、振り上げた爪を少年に突き立てようとした。
「はあああっ!」
 刹那、駆け付けた黒いメタルスーツのヒーロー――朝倉睦月が少年を庇ってその一撃を受ける。睦月は僅かによろめいたが、どうにか踏みとどまって銃を構えた。次々に放たれる銃弾は、ゾンビの身体を貫き、壁に当たって火花を立てる。しかし二体のゾンビはさしてダメージを受けた気配を見せない。
「くっ……」
 ゾンビは揃って鉤爪を振るい、睦月を切り払う。為す術無く吹き飛ばされた彼は、壁に叩きつけられて呻いた。それでも銃を取って反撃に転じるも、ゾンビは肉が削げるのも構わず睦月に向かって間合いを詰めていく。
『(ちょっと、まずいよ……)』
「くそっ。デクリオ級如きに遅れなんて――!」
 英雄の不安げな呟きを遮り、睦月は腰の剣を抜く。自分はヒーローとしてここにいる。せめて少年だけでも守らねば。戦意を固め、彼はゾンビと対峙し――
「てやぁああッ!」
 刹那、一体のゾンビの喉に銀色の光が生えた。そのまま光はゾンビの首を薙ぎ払い、高々と斬り飛ばす。首を失ったゾンビは、そのままその場に崩れ落ちた。その背後に立っていたのは、銀色の穂先を持つ槍を構えた、白いメタルスーツのヒーロー。彼の相棒である、村瀬大河だ。
「コイツで、どうだ!」
 振り返ってきたゾンビを、大河はその心臓や首を一突き、二突き、三突きした。力ずくでの圧倒にゾンビは堪えきれず、断末魔と共に地に伏すより他にない。槍をぶるんと一回振り回すと、幻想蝶の中に戻して彼は睦月の方を見る。
「すまん。道に迷った……大丈夫か」
「心配なんかするな。俺はお前の相棒だろう? なんてことはない」
「……そうだな。先行してくれて助かった。ありがとう」
 大河は頭を掻くような仕草を見せると、部屋の隅に縮こまっていた少年へ駆け寄っていく。睦月はその背中を見つめ、だらりとその剣の切っ先を下ろした。
「(……まただ。またアイツの背中が、遠くなっていく……)」
 自分が押されていた敵二体を、大河は苦もせず倒してしまった。彼ら二人は、昔からずっと、同じものを見て、同じものと戦ってきた相棒だったというのに。何故これほどまでに差がついてしまったのだろうか。
『(睦月……?)』
 睦月は天井を仰ぐ。暗い暗い虚無が、彼を見つめ返していた。

『ねぇねぇ、今日の夜ご飯は何にする? 美味しいものでも食べに行く?』
「……クロエ。少し、一人にしてくれ」
『え? ちょっと! どうしたの?』
 自宅に戻ってきた睦月は、英雄のクロエをリビングの方へと押しやり自室にすごすごと引っ込む。鍵を掛けてしまうと、そのまま暗闇の中ベッドへ寝転んだ。
「(とうとう大河が真っ先に心配してきやがった。どうしてだ。どうして俺とあいつは……)」

「Kyrie Eleison」

 不意に窓が開き、黒装束の男が中に忍び込んできた。突然の事に、思わず睦月は跳ね起きる。
「……! お前は!」
「貴方は道に迷っている。どれほど見渡しても尽きる事のない闇を前にして、己を見失っている。それは忌むべきことです」
 包帯を巻いたその男は、首を傾げて懐を探った。中から現れるのは、紫色に塗りこめられた大きな鏡だ。
「な、何を言ってやがる」 
「己の胸に手を当て聞きなさい。私は貴方の心が発する救いの声に呼ばれ、ここを訪れたのです。貴方自身が耳を背けているから、貴方の心は既に壊れようとしている。私は貴方の心を救いたい。そのために来たのです」
「何を、言って――」
――惨めだ。戦いを重ねれば重ねるほど惨めになっていく。一体誰のせいだ――
「! ……お前、は……一体……」
 鏡に黒い影が映る。その影は紫色の眼を開き、真っ直ぐに睦月を睨みつけた。一気に喉が締まり、睦月は声も息も出来なくなる。異変に気付いたクロエが、乱暴にドアを叩く。
『ねえ! どうしたの!? 睦月!』
「心の闇と向き合いなさい」
 鏡の中から影が這い出す。抵抗も出来ないまま、睦月はその影が自らの身体の中へ溶け込んでいく様子を眺める事しか出来なかった。

●袂を分かつ
 エージェントが本部からの緊急招集を受け、オペレーションルームに集まる。オペレーターはプロジェクターを起動し、冷静に現在の状況を確認していく。そこには、パトカーやらヘリコプターも集まる一棟のビルが映っていた。
「正体不明のヴィランが一名、デパート内の店員や客を全て人質として立て籠もっています。解放の条件として、村瀬大河の召喚と交戦を求めているようです。村瀬本人は現在現場へ向かう事を強く望んでいるようです。理由は明かしてきませんが、ヴィランはケントゥリオ級の能力を有していると考えられ、非常に危険であるため皆さんには村瀬大河の護衛をお願いしたいと思います。また、救助のためにヘリを飛ばしていますが、屋上駐車場の着陸できるスペースに愚神ムラサキカガミが陣取っており、近づく事の出来ない状況です。可能ならば、これの排除も目指してください。非常に難しい任務になる可能性がありますが、どうか宜しくお願いします」
 君達は頷くと、それぞれ部屋を飛び出していった。



 デパートの一階。白いスーツのヒーローを前に立つのは、竜を思わせる刺々しい紫色の鎧に身を包んだ戦士。その姿はまるで特撮の敵幹部だ。大河は槍を握りしめ、その戦士を睨む。
「どうしてだよ。睦月」
 戦士は一気に間合いを詰めると、大河に向かって斬りかかる。不意を突かれた大河は躱しきれず、まともに一撃を喰らってデパートの外まで吹き飛ばされた。倒れた大河を見下ろし、戦士は紫色の刃を握りしめて呟く。
「……俺は、お前に勝ちたいんだよ」

解説

メイン ムラサキカガミのライヴスを受け取り暴走した朝倉睦月を止めよ
サブ1 村瀬大河の重体を阻止せよ
サブ2 ムラサキカガミが撤退する前に100ダメージ以上与えよ

NPC
村瀬大河(むらせ たいが)
 朝倉と共にヒロイックにエージェント活動を行っていたリンカー。朝倉との友情は永く続くと信じ続けていたのだが……
クラス ドレッドノート(防御)
ステータス 60/35相当

エネミー
朝倉睦月(あさくら むつき)
 村瀬の相棒。自分と相手の実力差が開いていくばかりである事にコンプレックスを抱いていた。
脅威度 ケントゥリオ級
クラス ブレイブナイト(命中)
ステータス 物攻C、命中A、その他D以下
スキル
・闘争心
 同じスタートラインに立っていたはずなのに。気付けば親友は遥か彼方へ。一体何故なんだ。俺は奴に勝ちたい。
 村瀬に与える最終ダメージ値は+15される。村瀬へカバーリングを行った場合にもこのダメージ補正は適用される。
・ライヴスバスター
 ライヴスリッパーの強化版。命中した場合、気絶(2)を付与する。
・魔眼
 心眼の強化版。効果時間6R。

ムラサキカガミ
 例の愚神。愚神特有のサイコパスっぷりを発揮して今日も誰かをムラサキに染める。
脅威度 ケントゥリオ級
――以下PL情報――
ステータス 攻撃なし、防御なし、命中・生命A、回避D、その他B~C
スキル
・紅の破鏡
 被ダメージを、ダメージ計算後に(最終ダメージ値+10)%軽減する。
・蒼の魔鏡
 (今回のプレイング次第で解放)
Tips
・攻撃or防御を対抗判定に利用するスキルは、全て無効化する。
・ライヴスミラーを使用した場合、使用者にBS気絶(10)が付与される。この気絶はスキル等によっては回復できない。

フィールド
・デパート一階
 睦月と戦闘をすることになる。商品棚などがあり部分的に動きづらい場所も。
・デパート屋上
 ムラサキカガミと戦闘。下に降りると戦闘離脱。復帰は可能。

リプレイ

●堕ちたヒーロー
「くっ……」
 大河は商品棚に叩きつけられる。
「どうしてだ? 応えろよ、睦月!」
 剣を構える睦月。大河は悲痛に叫ぶが、その言葉は届かない。紫色の歪な輝きで睨み返すのみだ。
「来い。俺はお前を倒すために来た」
 大河は脇に転がる槍を取って戦士に向き直る。だがどうしても槍が迷う。このままではクロエも睦月もどうなってしまうかわからないというのに――

『待てええええッ!』

 どこからか高らかに響く男の声。白と紫が見ると、吹き抜けの上に立ったガイ・フィールグッド(aa4056hero001)が、腕組み仁王立ちで二人を見下ろしていた。
『オレはグッドファイヤー! 白い戦士、助けに来たぜ!』
「え……?」
 大河が呆然と見上げていると、その横に飛岡 豪(aa4056)は素早く駆け寄り、手にした霊符をスーツの傷に当てつつ囁く。
「そういう事だ。……俺達がカバーするから、心を整理しろ。そんな調子じゃ戦えない」
『とうっ!』
 ガイは吹き抜けから飛び降り、豪の下へ飛び込む。共鳴した二人の姿は、見る間に竜の顎の如く鋭い大剣を担いだ紅の戦士へと変わる。
「俺は闇夜を照らす赤色巨星! 爆炎竜装ゴーガイン! 紫の戦士よ、俺もお前の相手となろう!」
「……貴様もムラサキか。いいだろう。纏めてかかって来い。俺が叩き潰す!」


 一方、伴 日々輝(aa4591)と共鳴したグワルウェン(aa4591hero001)は、広場に固められたまま戦いを見て呆然としている客と店員の前に現れた。腰に手を当て、狐の耳をぴくつかせて周囲を見渡す。
『お前らぼうっとしてるなよ。今あの紫の目は全部向こうに行ってる。さっさと逃げるぞ』
 見渡した目で一人の店員に目を付けると、グワルウェンはその肩を掴んで立たせる。
『でもってだ。避難誘導手伝ってくれ。客を正しいルートに誘導するのはあんたらの仕事だ。あんたらも含めてまるっと守るのが俺の仕事だ。やるべき事はやらねえと。……間違った事言ってっか? 俺』
 店員はグワルウェンに見据えられる。しばしぼうっとしていたが、慌てたように頷き周囲の仲間とやり取りを始めた。そんな様子を眺めながら、騎士はぽつりと溜め息をつく。
『(なんか、複雑だな。斬りたくねぇわ)』
「(それでも仕事だ。やるべきことだよ)」
『(わかってる、でもよ)』
 騎士は理解していた。睦月の心情を。その辛さも、苦しさも。その苦しさを抱えたままの果てに待ち受けていたものも。
「(勝ちたいなら勝てるトコを探しゃあいいんだ。何か勝てるものを見つけりゃいい)」
『(……きっと、いつか、絶対、か)』
「(勝てる。間違いねえ、ってな……ある意味諦めだけどな)」


「全く、仲間内同士で勝ち負けなどと実に嘆かわしいのである」
『(我々にとっては理解できない事でもないが。“功名心”という言葉もある)』
「そうかもしれんが、やはりだめだ。すべきことをせぬのは不心得も甚だしい」
 ソーニャ・デグチャレフ(aa4829) はラストシルバーバタリオン(aa4829hero002)のフォローを切って捨てる。突進を受けてよろめいた豪の背中を盾で受け止め、ソーニャは商品棚への被害を食い止める。
「貴公、もう少し側面から当たるように戦ってくれ。このままアレを人質から離れるように誘導したい。カバーは小官が行う」
「わかった、やってみよう。幸い睦月の注意はこっちにも向いているからな」
 豪は頷くと、大剣を盾のように構え、睦月の行動範囲を封じるようにプレッシャーを掛けていく。その背中を見つめ、ソーニャは冷静に周囲を見渡す。彼女の目標は睦月に復活の足掛かりを作り、人的資源の損耗を防ぐこと。ただ一つである。

『大河よ、先ずは落ち着け。このままでは何も解決せん』
 斬りかかってくる睦月を盾で抑え込み、ノエル メイフィールド(aa0584hero001)は大河の方をちらりと見る。豪に引けとは言われたものの、どうにも動きがまとまらずにふらふらしていた。ヴァイオレット メタボリック(aa0584)はノエルに中から指示を出す。
「(エージェントになった理由などを聞いてみてくださる? きっとこのシチュエーションを朝倉睦月が選んだことには意味があると思いますの)」
『うむ。……大河。カバーはわしらがするから、一度よく考えてみよ。ただ叩くだけでは何の解決にもならん。睦月が、わざわざ人質を取ってまで、ここにおぬしを呼び寄せた理由を考えてみよ』
「理由……」
 大河は槍の穂先を下ろし、周囲を見渡す。少年の時分に、彼らが二人揃って巻き込まれた一つの事件。思えば、状況はそっくりそのままだ。
『何か思い当たるか?』
「……ああ。睦月、あの時のヴィランになり切ったつもりか……」

●紫鏡
 ビルの上空を飛ぶ一台のヘリ。徐々に高度を下ろし、屋上に立ち尽くすムラサキカガミに近づいていく。ヘリの豪風がムラサキカガミの纏う黒装束を激しく揺らすが、愚神は動じずにヘリからまさに飛び出そうとする二人の少女を見つめていた。
「六花さんは、杏樹が、守る、です。だいじょぶ、なの」
「うん。……あいつは許さない。人の心を弄ぶなんて……! 行こう、泉さん!」
 氷鏡 六花(aa4969)は懐から呪符を取り出し、高々と掲げた。凍りついた呪符は砕け散り、氷の杭となってムラサキカガミに降り注ぐ。深紅の鏡を広げ、愚神は砕ける氷を受け止める。粉々になった氷の粒が陽光を受けて煌き、愚神の視界を覆い隠す。その隙に泉 杏樹(aa0045)はヘリから愚神目掛けて一直線に飛び降り、その勢いに任せて薙刀を振るう。愚神は紙一重でそれを躱し、杏樹を紫に輝く眼で見据える。
「また、立ちはだかりますか」
「ムラサキカガミ……杏樹は、貴方を、許しません、です」
『(……お嬢様、どうか慎重に)』
 榊 守(aa0045hero001)は杏樹に釘を刺す。この愚神はまだ力を隠している。歴戦の感覚が、彼に小さな警鐘を鳴らし続けていた。
「……はじめまして。覚悟してね、ムラサキカガミ……」
『(六花、まだ相手の力の全容はわかっていないの。慎重にね)』
 アルヴィナ・ヴェラスネーシュカ(aa4969hero001)もまた闘気を冷たく研ぎ澄ます相棒に囁く。ともすれば引き込まれそうになる紫色の輝きは、六花にとって危ういものと見えた。
「……悲しいものです」
 当のムラサキカガミは、六花の目を見据えて嘆息する。
「その眼は、年端もゆかぬ少女がするべき眼ではない。心の闇が開けた世界を閉ざしている。何があったというのですか」
「……六花はね、パパとママを殺されたの。あなたみたいな愚神に」
 六花は懐から新たな呪符を取り出す。薄青色の紐飾をその腕に巻き、六花は玉虫色の瞳をどす黒く染める。氷となって砕け散る呪符は空気さえも凍らせ、極氷の世界を屋上に現出した。その只中に佇む獄狼。コキュートスの冷気を纏う狼は雪の毛並みを逆立て、氷の牙を剥き出し唸る。
「だからね、憎くて憎くてどうしようもないの。絶対にあなたに耳なんか貸さない」
 大きく一歩を踏み出した獄狼は、ムラサキカガミに向かって飛び出した。
「……さっさと喰われちゃってよ」
 深紅の鏡を広げた愚神に向かって狼は一直線に突っ込みその牙を突き立てる。左右に鏡を広げて牙を受け止める愚神を、凍りついた眼差しで六花は見据える。
「しぶとい」
「虚しくないのですか、貴方は」
「……」

「そろそろ議論は終わりです。暗躍され続けるのも癪なので、この辺りでお帰りください」
『(嫌だと言っても、力尽くでやるんだがな)』
 ベルフ(aa0919hero001)と共鳴した九字原 昂(aa0919)は、ビルの壁を一気に駆け登り、愚神に向かって己のライヴスで編み上げたワイヤーを投げつけた。巨大な狼の牙に挟まれていた愚神がそれを避けられるはずもなく、両腕を縛り上げられる。ワイヤーはその身に鋭く食い込み、コートが裂けて黒い闇がじわりと洩れる。
「……これは。見ない顔ですね」
「僕は友人からあなたの行状を具に聞いておりますが――」

「はっはー! お久しぶりじゃのう!」
 昂の声を半ば遮るようにして、カグヤ・アトラクア(aa0535)は非常階段から愚神に向かって飛び出した。漆黒の義手に数珠を巻き付け、手にした術符を投げつける。術符は震えて燃え上がり、小さな少年少女に似た形を取って襲い掛かった。同時に狼は氷となって砕け散り、怨霊の為に道を開く。氷の白煙に包まれながら飛び出す霊は、愚神を容赦なく苛んでいく。
「……センセイ、センセイ……」
「くっ……」
 愚神はどうにかワイヤーを振り払ったものの、その弾みで態勢を崩し、その場に思わず膝をつく。見逃す手は無い。杏樹は薙刀を振るい、切っ先に紫金を纏わせる。
「……榊、さん!」
『(ええ、今です)』
 突き上げるようにムラサキカガミへ一閃。愚神は咄嗟に深紅の鏡を張ってその一撃を受け止める。鏡には一本の亀裂が入り、洩れ込んだ光が刃となって愚神を切り裂いた。愚神は傷口を押さえながら退く。顔を覆う包帯が解け、奥の紫色の瞳が露わとなる。呻きながら、その瞳は正面に立つ六花を捉えた。
「年端もいかぬ、者が、そう怖い顔をしてはいけない……己を、振り返りなさい」
 手のひらに蒼い光が灯り、一枚の鏡となる。映し出される六花の姿。その姿はみるみるうちに彼女の放った狼へと姿を変え、鏡の中から一直線に飛び出した。
「させ、ません!」
 杏樹が素早く割って入る。薙刀を狼に無理矢理くわえさせ、そのまま捻って脇へと転がす。床に投げ出された狼は、そのまま光の中へ霧散した。
『(なるほど。鏡に映した者の力を疑似的に再現しているようです)』
 守の言葉を聞いて頷くと、杏樹は再び薙刀を構える。
「貴方の、正体……暴かせて、もらう、です!」

●ヒーローの本分
『なるほど。おぬしらは小さい頃から共にヒーローを目指してきたというわけじゃな』
 ぽつぽつと紡がれた大河の言葉を、ノエルがそっとまとめる。彼が話したのは、かつてデパートにヴィランが現れ人質とされた時、颯爽と現れた正義のヒーローによって救われた記憶。二人が共有していた目標と思い出だった。大河は頷くと、槍をじりじりと握りしめる。
「そうだ。俺達はずっとヒーローを目指してやってきたんだ。……なのに。何でだ。何でこうなっちまったんだよ、睦月!」
 大河が睦月に向かって叫ぶと、睦月は斬りかかってきたグワルウェンの一撃を往なし、粋を吐きながら天を仰ぐ。
「お前が共に歩む友である前に、お前が高すぎる壁に見えてきたからだ。このまま惨めな思いをし続けるより、俺は戦う事にしたんだよ。俺の隣に立つ、ムラサキに!」
 大河に向かって突っ込む睦月の目の前にしぶとく立ち塞がり、グワルウェンは大河と切り結びながら低い声で語り掛ける。同じ思いを共有する者として、見逃す事は出来ない。
『……その気持ちは分かるぜ。だがな、片をつけてえばっかりに、やるべきことをやらねえのはな、ダメだ。それとこれとはちげえ』
「いかにも。己と他人を比べるよりも先に、やるべきことは山ほどあるのである。貴公は改めてその事実を認識しなければならない。己にのみ出来る事を考えよ」
 それでもグワルウェンの脇を抜けようとした睦月の前に立ち塞がって盾で攻撃を受け止め、ソーニャは睦月へこんこんと語り掛ける。だが、今の睦月は聞く耳を持とうとしない。
「黙れ……こうでもしないと俺はもう前へ進めない!」
「睦月!」
 大河は吼えて一歩前に進み出る。豪は頷くと、大河と肩を並べる。希望のマントが翻った。
「今こそ友の道を正す時だ。俺達も力を貸す! その拳を叩きつけて、進むべき正義の道をアイツに見せろ! 目を覚まさせるんだ!」
『行くぞ。ワシも力を貸すからな』
 ノエルも傍に寄り添う。メタがそう指示したのだ。ムラサキカガミが睦月の背を押したのなら、己は大河の背を押すのだと。
「……ああ。やってやるさ」
 大河は頷き、槍をぴたりと睦月へと向ける。睦月は無言のまま、じりじりと半身に構え直す。
「行くぞ!」
 豪の掛け声に合わせ、グワルウェンと大河が飛び出す。突き出された槍を躱すように睦月が跳ねたところを、頭上を取ったグワルウェンが大剣を真っ向から振り下ろした。睦月は咄嗟に剣を合わせて受け止めるが、そのまま地面に叩きつけられる。
『歯を食いしばるのじゃ』
 へし切らんばかりの勢いで押し込むグワルウェンの背後から、ノエルはするりと飛び出し睦月の横っ面を短槍で鋭く打ち据えた。体勢を崩した睦月は倒れて床を滑っていく。そこへソーニャは素早く駆け付け、盾を広げて睦月を出口の方へと押しやる。どうにか受け身を取って立ち上がった睦月と向かい合い、ソーニャは仏頂面で首を傾げた。
「今一つ分からぬ。貴公の目指す事はヒーローになる事だったのではないのか? 大河殿に勝つこと、いや戦う事はそれとは関係ないのである」
「そう簡単に割り切れるものか。俺は己の無才さえ認められない弱い人間だ。そんな人間が前に進むには……もう戦う以外に無いだろう!」
「それは違う!」
 ソーニャに向かって放たれた横薙ぎを、豪は大剣で受け止める。ライヴスで増幅された衝撃はそれでも抑えきれず、豪は昏倒しかけた。それでも踏ん張り鍔迫り合いへと持ち込む。
「睦月、違う。勘違いをするな! 無才だとか天才だとか、そんなものはヒーローの強さに関わりない! ヒーローの本分は、たとえ地を這ってでも……子供達の夢を守り、希望の光を照らし続けること! その本分を守る限り、ヒーローの強さに貴賤などありはしない!」
「……!」
 鍔迫り合いを切り、睦月は後ろへと飛び退く。剣先をだらりと下げ、肩を震わせくっくと笑う。左手で顔を覆い、睦月は小さく呻く。
「そうか。そうだな……ヒーローがどんなものか、よくわかってやがる。俺はすっかり忘れてたよ……」
 睦月は剣を構え直し、目の前に立ちはだかるエージェント達を見渡す。その目から紫色の光は消えた。だが、睦月はまだ戦わねばならなかった。
「悪いが頼みがある。正義を忘れた俺に、お前達の正義を見せてくれ。俺が、もう一度ヒーローになるために」
「もちろんだ。俺達の正義、お前に叩き込んでやる! 行くぞみんな!」
「ああ!」
『ったく。仕方ねえ』
『わしの槍は痛いぞ?』
 めいめいに武器を構える豪、大河、グワルウェン、ノエル。その脇で、今一つ理解の出来ない観戦武官が一人。盾を下ろし、呆れたように首を振る。
「(……訳が分からん。何故結局戦いへと向かうのだ……?)」
『(理解できるという我々と、理解出来ぬ我々がいる。少なくとも論理では理解できない。これは、心で理解すべきものだ。もっと言うのなら……)』
 ソーニャの相棒は何処か戸惑ったような、何処か面白そうな口調で答える。目の前では、四人のエージェントと一人のヒールが激しい死闘を演じていた。

『ノリで、理解すべきものだ』

●無情の境地
「……」
「悪いのう。これはエージェントとしての性でなぁ。愚神と見るとついやってしまうのじゃ」
『(よく言うよ……)』
 脇腹を抑えてふらつくムラサキカガミに悪びれもせず言い放つカグヤに、クー・ナンナ(aa0535hero001)は今日も溜め息をこぼす。
「ま、というわけでここからが本題じゃ。リンカーを超強化出来るみたいじゃが、その仕組みは一体どうなっとるか教えてくれぬか? 被験者は用意するからの」
『(自分が立候補しない辺りは腹黒だよね……)』
 強気に吹っ掛け、カグヤはじっとムラサキカガミの様子を眺める。顔の包帯は解けて落ち、闇がおぼろげに人の形を取っているのがはっきりとわかる。その闇の中で光る紫が、彼女を捉えた。
「私はただ手を貸しているのみです。闇と向き合う者が常人ならざる力を発揮するのは当然の事でしょう。……お望みなら、私はお力添え致しますが」
 ムラサキカガミはコートの肩口に手をかける。紫色の眼が、一際強く輝きを放った。

「Kyrie Eleison」

 一陣の風が吹き抜け、舞い上がる外套を彼方へと飛ばす。露わとなったその姿に、四人は目を見張った。
「ほう……これはいかにも、『ムラサキカガミ』じゃのう」
 歪な光沢を放つ白銀の鎧兜。その上から紫色のローブを身に纏った幽鬼はふわりと浮かんでエージェントを見下ろす。その左手には紫の鏡が嵌め込まれた盾を、右手にはアメジストの埋め込まれた杖を手にしている。愚神としての真の姿を露わにしたムラサキカガミは空高々に杖を掲げた。
「曇り鏡の向こう側に人は神の国を見た。澄んだ鏡の向こう側に人は己が闇を見る」

 掲げた杖のアメジストが、眩い紫色の光を弾けさせた。

「……!」
 杏樹は目の前に立つ男の影を見る。それは拳銃を構えると、杏樹目掛けて次々に銃弾を撃ち込んでくる。杏樹は慌てて銃弾を受け、守はその痛みを引き受けながら舌打ちする。余りにも無茶苦茶な悪ふざけだ。
『(ふざけるなよ。ムラサキカガミ……!)』

「あれは……」
 六花もまた目の前に立つ少女の影を見る。薄衣を翻し、影は手にした術符から巨大な狼を作り出して六花を襲わせる。
『(いけない!)』
 危険を感じたアルヴィナは、咄嗟に身体の主導権を取って狼の一撃を躱す。それでも爪が彼女の肩を掠めた。翻った狼は牙を剥き出しにして呻き、消えていく。六花は目を見開き、目の前の影と対峙する。

「これはこれは……随分ヤバい事しとるのう」
『(悪趣味ここに極まれり。……羽目を外し過ぎたらこうなるよ、カグヤ)』
 カグヤは頬が緩むのを感じた。目の前に立つ影。それは間違いなく己の影だ。きっと彼女以外は気付きなどしないだろう。その姿は、人を超越した名状しがたいものとなっている。全てを求める飽くなき探求心。己の身を破滅させる、悪魔の囁き。その囁きに形振り構わず従い続けた果ての姿が、目の前にあった。その影は何かをカグヤに向かって放つ。防ぐ気も躱す気もさらさらなく、カグヤは両手を広げてその攻撃を受け止めた。
「くふ、くふふふ」
 口端から笑い声が洩れる。彼女は求めていたのだ。形振り構わず必死になって対極に立ちたいと思える敵を。世界の敵としてではなく、己の敵として相対する敵を。前者はともかく、後者は確実に満たしていた。
「面白い。わらわはこういう奴を求めておったのじゃ」
『(ほんとに悪趣味……)』

「くっ……」
 昂は鋭く繰り出されるナイフをどうにか捌く。目の前の影が、両手にナイフを構えて次々喉元目掛けて刃を振り抜いてくる。身軽さを以てナイフを逸らし続ける昂だったが、ほんの僅かな隙をついて影は昂の懐へと潜り込み、ナイフを喉元に突き付けながら背後へと回り込む。昂は顔を顰める。ベルフの技術を受け継ぎ、彼は既に名うての隠密となっていた。そんな彼を上回れるのは、一人くらいしかいないのだ。
「(……まだまだ、ですか僕は……)」
『(余計な事考えるな、ちょっとやべぇ)』
 昂は素早く影の腕に手を伸ばす。喉を割かれるのだけは防いだが、影はそのまま身を捻って昂をビルの外へと投げ落とした。空中で受け身を取り、昂は道路にどうにか着地する。
「やられましたか……」

 刹那、ガラスが弾ける音と共に、紫色の戦士が吹っ飛んできた。

●貴方は敵だ
 吹っ飛んだ睦月は、そのままクロエとの共鳴が解けその場に倒れ伏す。クロエは横ざまに倒れたまま、隣で大の字になっている睦月を見据える。
『……気は済んだ?』
「ここまでボコボコにされたらな」
「睦月!」
 真っ先に大河と豪が駆け寄ってくる。感謝と謝罪の一つでも言わねばと口を開きかけた睦月だったが、視界の端に移る不気味な影を見た睦月は、顔を顰めて首を振る。
「気を付けろ。上から来てる!」
 豪は咄嗟に振り返る。白銀の鎧と紫のローブに身を包んだ幽鬼が、一直線に空から降ってくる。上で戦っていた杏樹、六花、カグヤもその後を追っていた。
「それが、ムラサキカガミ、です!」
『ムラサキカガミ……? アレがか?』
 グワルウェンは首を傾げる。自分が知っている愚神とは姿がまるで違う。その身に宿すライヴスの歪みも、隠そうとしていない。
「(……気を付けて。嫌な予感がする)」
『(分かってるって。どうにも尻尾の毛が逆立ちやがる)』
 ふわりと地面に降り立ったムラサキカガミは、兜の奥に光る瞳を倒れ伏す睦月へと向けた。
「どうやら闇の中に一筋の光明を見たようですね。僥倖です。貴方は再び進むことが出来る。手を差し伸べた甲斐が有るというものですよ」
「……お前か、睦月を誑かしたのは!」
 大河は槍の切っ先をムラサキカガミへ向けて飛び出す。愚神は動じる事無く鏡の盾を前へと突き出した。紫色の光が愚神を包み込み、突き出された槍の切っ先はその光に受け止められる。
「誑かした……それは誤解です。貴方こそ、胸に手を当ててみなさい」
 鏡の中に一つの影が現れる。大河が身を防ぐ間もなく、影が突き出した槍はその鎧を穿つ。
「うぁ……」
 大河は脇腹を抑えてその場に膝をつく。ムラサキカガミは杖を掲げ、ゆらりと浮かび上がる。感情を捨て去った冷たい視線が、大河に突き刺さる。
「私には見えます。貴方に潜む闇が。正義を盾とし目を背けようとしている心の闇が。それではいつか、貴方はその闇に喰われてしまう。……救いましょう。私が貴方を……」
『させるか!』
 グワルウェンが素早く飛び出す。その後に従い杏樹とカグヤ、ノエルのメディック三人組もムラサキカガミの前へと飛び出す。ムラサキカガミが天へと放った紫の輝きは、やがて四体の影となり、睦月、ソーニャ、豪、ノエルに向かって突っ込んでいく。

 一体の影は睦月となり、立ちはだかったグワルウェンに鋭い突進を見舞う。神斬を盾代わりに受け止めるが、勢いを殺しきれずにグワルウェンは吹き飛んだ。
『いってェ、クソ……』
 どうにか起き上がるものの、計り知れないダメージに身体が悲鳴を上げている。
「(……強い憤りだ。今の一撃は、怒りに溢れてるよ……)」

「させぬぞ」
 一方、ソーニャの影が放った大砲の一撃を間に割り込んだカグヤは身一つで強引に受け切り、隣のノエルはかつての相方によく似た姿の影と槍を叩きつけ合う。
『(……懐かしい心地がするのう。まだ考えは変わらんのか)』
「(ええ。わたくしのお父様とお母様の命を奪った善と悪、未だ憎んでおります。……もちろん、今はもうそれだけではありませんが)」
『(そうか……)』

「くそっ……」
 邪竜の装いを纏って突っ込んでくる己の影と対峙する豪は、その足をもつれさせる。睦月との戦いのダメージは馬鹿にならなかった。
「させません!」
 そこへ杏樹は割って入る。大振りに叩きつけてきた邪竜の顎の前にその身を差し出し、薙刀で一撃を受け止めた。そのまま影を振り払うと、紫色の瞳で真っ直ぐに愚神を見据える。
「ムラサキカガミ……貴方の相手は、杏樹、です」
「わらわもじゃ。お前は中々面白い」
 杏樹、カグヤは並び立ってムラサキカガミを見上げる。共に死んでもくたばらない生命力の持ち主だ。強い眼差しでそれを見上げている。愚神は並ぶ二人を見つめる。やがて愚神は杏樹へと目を移す。何度も対峙した、澄んだ瞳を持つ少女へ。
「何故だ。私は神の救いを人へ差し伸べる為、想いを捨て去り、神と同じ『無情』へと至った。なのに、貴方を見ていると、無情の境地が、揺ら――」
 ムラサキカガミは不意に中空でふらついた。ソーニャと六花はここぞとばかりに素早く武器を構える。しかし共に相棒が止めにかかった。
『(待って。慎重になった方がいいわ)』
「でも……!」
『(あからさまな隙をつくのは下策だ)』
「……尤もであるな。まだ我らはアレの戦力を把握していない」
 二人が攻撃を渋った隙に、ムラサキカガミはふわりと上空へ浮かび上がる。紫の双眸をぎらぎらとさせ、周囲を睥睨した。
「貴方がたは私を脅かす。次はこちらも容赦は致しません……貴方がたは、私には最早救えない、敵です」
 そう言い捨てると、愚神は舞い上がって虚空の中へと消えていった。

「くそっ、待てよ……」
「無理をしないでください。結構な怪我ですから」
 立ち上がろうとする大河を無理やり寝かせながら、昂は彼の様子を確かめる。槍で穿たれたスーツの破片が食い込み、脇腹に血が滲んでいる。応急処置の準備を進めながら、心内で二人はやり取りを交わした。
『(……思った以上に厄介だな、アレは。ただ精神干渉を得意とするだけじゃないのか)』
「(ええ。でも、本気は引き出させました。……相手も余裕はもう残っていないはずです)」
『(だといいが)』

 昂はちらりと空を見上げる。いつの間にか日は傾き、空は紫色に染まりつつあった。

 To be continued…

結果

シナリオ成功度 大成功

MVP一覧

  • 藤の華
    泉 杏樹aa0045
  • 夜を取り戻す太陽黒点
    飛岡 豪aa4056

重体一覧

参加者

  • 藤の華
    泉 杏樹aa0045
    人間|18才|女性|生命
  • Black coat
    榊 守aa0045hero001
    英雄|38才|男性|バト
  • 果てなき欲望
    カグヤ・アトラクアaa0535
    機械|24才|女性|生命
  • おうちかえる
    クー・ナンナaa0535hero001
    英雄|12才|男性|バト
  • LinkBrave
    ヴァイオレット メタボリックaa0584
    機械|65才|女性|命中
  • 鏡の司祭
    ノエル メタボリックaa0584hero001
    英雄|52才|女性|バト

  • 九字原 昂aa0919
    人間|20才|男性|回避

  • ベルフaa0919hero001
    英雄|25才|男性|シャド
  • 夜を取り戻す太陽黒点
    飛岡 豪aa4056
    人間|28才|男性|命中
  • 正義を語る背中
    ガイ・フィールグッドaa4056hero001
    英雄|20才|男性|ドレ
  • Iris
    伴 日々輝aa4591
    人間|19才|男性|生命
  • Sun flower
    グワルウェンaa4591hero001
    英雄|25才|男性|ドレ
  • 我らが守るべき誓い
    ソーニャ・デグチャレフaa4829
    獣人|13才|女性|攻撃
  • 我らが守るべき誓い
    ラストシルバーバタリオンaa4829hero002
    英雄|27才|?|ブレ
  • 絶対零度の氷雪華
    氷鏡 六花aa4969
    獣人|11才|女性|攻撃
  • シベリアの女神
    アルヴィナ・ヴェラスネーシュカaa4969hero001
    英雄|18才|女性|ソフィ
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