本部
彼もあなたも風呂が好き
掲示板
-
【相談】温泉にいこう
最終発言2016/11/16 00:32:12 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2016/11/14 11:45:24
オープニング
●旅館
都市から少し離れた山奥に人気の温泉旅館がある。
そこは毎年毎月、予約でいっぱいだがその月は驚いたことに予約がなかった。
不思議に思ったが、男はこんな機会でもないと行けないと思い電話予約を行った。
「いいのですか? ……いえ、お客様がよいのでしたら。私どもはおすすめしませんがね」
旅館側の引き気味な態度をいぶかしながらも、男は予約を済ませる。そして予約当日に温泉旅館へと向かった。女将が迎えてくれたが、その態度は電話口でも感じていたように若干遠慮しているように感じられる。
迎え入れられた側の男と言えばそんなことは気にせずに温泉を堪能するつもりで意気揚々と中へと入っていく。
「こちらがお客様のお部屋となります。……くれぐれも夜は外に出ませんよう、お気をつけください。ちょうど今頃から日の出までは、特に」
女将はそういうと引っ込んでいった。
言われた内容に疑問を感じるが、気をつけるように言われただけなので気をつければ問題ないのだろうと思い用意していたタオル一式を用意する。
そもそも夜の風呂が有名な旅館なのに夜に入浴しないと言う選択肢はあり得ないのだ。男は部屋を出ていった。
それを影から見ていた女将は残念そうに首を振った。それから数分後、浴場の方から男の悲鳴が響いた。
●温泉の悪魔
オペレーターはその通知で顔をしかめると、その場にいるエージェントたちに顔を向けた。
「プリセンサー能力者の方が記してくれた反応を確認してみましたが、想像以上に面倒そうですね」
そういうとコンピュータの画面をスクリーンに映した。
そこにあるのはオペレーターが言ったとおりプリセンサー能力者によって書かれた問題の場所の様子であるが、どうもおかしかった。ある一点で反応が点いたり消えたりしているのだ。
その反応の場所を見てエージェントたちは首を傾げている。
「ええ、反応の場所はおかしくありません。ですが反応が妙なんです。まるで現れては消えてを周期的に繰り返しているような……」
そんなわけありませんよね、と首を振る。
「とにもかくにも、人気旅館に従魔が出没というのは大変よろしくないです。是非とも早急な解決を行うべきです。解決の暁にはHOPE所属の人は優先的に使えるようになるそうですので、よろしくお願いしますね?」
オペレーターの熱心な推しに圧されながらエージェントたちはうなずいた。
解説
●目的
温泉旅館に現れた反応の原因を取り除く。
●舞台
・温泉旅館
全部で20部屋ある。それぞれ十分な広さはあるが戦闘はできない。風呂は入れる
山奥にあるので自然が豊富。周囲には散歩コースや釣り・川遊びの楽しめるスポットなどがある
旅館側に事前に連絡を送れば山で山菜狩りなどをすることも可能
(山でできることはおおよそできると思ってても問題なし)
・温泉
旅館の一押しポイント。夜の露天風呂がいいらしい。
なんでも山奥だけあって星が綺麗に見えるんだとか。(晴れた日限定)
広さは非常に広い。事前予約貸切制であるためか、浴場は混浴。
●敵(PL情報)
・女将
従魔が擬態した姿。本物の女将は従魔が出現した時点で逃げている。
二面性がある。
女将の姿の時は元の姿の性格を残しているため優先して人を襲わない。
夜に温泉に入ることを楽しみとしているため、それを邪魔されると怒り狂って襲いかかってくる。
従魔形態のときの姿は半魚人を模しており、手の鉤爪で攻撃してくる。
温泉の湯気を浴びることで(湿気を帯びて)回復することができる。
リプレイ
●山奥に佇む温泉旅館
その温泉旅館は山の中にある。周囲を木々に囲まれ、普通に徒歩で行くのは少々骨が折れる。
であるから基本的にはバスで向かう。人気なだけあり、乗り場は複数あるうえ降り場も旅館傍の散歩コースと旅館前とがある。
散歩コースの方は自然を楽しみながら旅館まで向かうことができるようになっている。
事前にパンフレットを確認していた東雲 マコト(aa2412)はその情報に間違いがないことを確認すると、遠くを眺めた。その視線の先にはそれなりに木々があり、旅館の姿はまだ見えない。
「早く温泉に浸かりたいなぁ……じゃなくてっ! 人気旅館に巣食う従魔め、覚悟しろ!」
ふんす、と意気込むと手元の情報誌を見ながら歩き始める。道自体は単純であるから迷子になることはないだろう。
「あ、温泉の写真……へぇー綺麗。ほーこんな見所が……」
そうして歩いていると、不意に人とぶつかる。
「あっ、ごめんなさい! 大丈夫?」
「だ、大丈夫です。こちらこそすいません」
ぶつかってしまったことで軽く体勢を崩してしまった狼谷・優牙(aa0131)は首を振って無事を伝える。
彼は旅館についてすぐに散歩でもしようかと旅館から出ていた。そこで周りをきょろきょろt見まわしていたところでぶつかってしまったようである。互いの不注意が原因だったため、どちらもその場で謝って済ませた。
「あの、私の勘違いだったら申し訳ないですが。もしかして依頼を受けてきた方ですか?」
「えっ、そうだけど。もしかして君も?」
マコトの問いかけに優牙が頷く。
「そうなんだ! そうだ、君も同じなら、これから調査もかねて散策でもしようと思ってたんだけど一緒にどう?」
「散策ですか? 私もそうしようと思っていたのでご一緒します」
「やった! それじゃ行こう!」
誘いを受け入れてもらえたマコトは早速と言わんばかりにずんずんと進んでいく。優牙もまた慌てつつその後をついて行った。
その頃、旅館傍の森では2人組の女性がそれぞれ釣りと川遊びを楽しんでいた。
「……とったどー」
その片割れであるエミル・ハイドレンジア(aa0425)は足元に来た魚を鷲掴みすると頭上に掲げた。
「おお、すげえ! 負けてらんねえな、こうなりゃウチはこの足で……この通りだ!」
「……おお」
シエロ レミプリク(aa0575)は驚きを示すと、負けじとばかりにその特徴的な脚部で川魚を捕獲してみせる。エミルもその姿に思わず感嘆の声を出した。
彼女らもまたマコトや優牙のように森へと散歩や調査のために来ていた。だがシエロの方は調査に飽き釣りを開始。そこへ物凄い速度で駆け抜けてきたエミルが合流し、この場をカオスへと陥れていた。彼女らにツッコミを入れるような人間はその場にいない。
エミルは魚と一緒に泳ぎながらよさげな獲物を探し手掴みにする。シエロは足を使って豪快に川辺へと魚を吹き飛ばす。彼女らはそうしてしばらくの間、狩りを楽しんだ。
「紅葉狩り、というものもなかなか良い物ね」
フレイミィ・アリオス(aa4690)は事前に申請していた通りに紅葉狩りを堪能し旅館へと帰ってきた。
手に持っているのはその中で比較的形が綺麗で大きさも適度だった物である。彼女はそれを女将から手渡された紙に挟んでバックにしまった。
少し疲れたから休もうかと思って進んでいると、マッサージチェアに腰かけた女性を見かける。
「ああ。君も座るか?」
フレイミィと目が会ったチェアに腰かけていた女性、飛龍アリサ(aa4226)は声をかける。
目を細めて気持ちよさげにしているその姿に興味を持ったフレイミィは隣にあるもう1機に腰かける。身長的に満足には受けられないが、歩き疲れた脚をほぐすように動くチェアは彼女をそれなりに癒した。
「結構いいわね、これ」
「だろう? まあ君のような若い子が楽しむような物ではないけれどね」
「そうなの? でもいいわ。気持ちいいからもう少しだけ座っているわ」
「そうか」
暫くの間、その場にはマッサージチェアに身を任せた2人の姿が見られた。
●湯煙に現れる影
それぞれが適度に温泉旅館を堪能している間に、依頼を受けてきたであろう能力者たちが全員揃った。
彼女らはそれぞれの着替えを用意すると部屋を出て浴室へと向かう。その途中で御手洗 光(aa0114)が不意に口を開いた。
「皆さん、ご存じでしたか? 日本には伝統的入浴方法として体を洗うための手拭い以外は持ち込んではいけないというものがあるんですよ」
「タオルはマナー違反なんですよね、確か」
「私は元より、その……この体型ですから。タオルなど使えませんが」
光の発言に少々疑問を覚えつつも、優牙は教えられた内容を復唱する。それに対してすぐそばを歩いていた廿小路 沙織(aa0017)が恥ずかしそうに顔を赤らめて口を開く。
「タオルもダメなの? 男性もいるし流石に裸でというのは恥ずかしいのだけれど」
「裸の付き合いってやつかな。恥ずかしいのもわかるけど、ルールじゃ仕方ないよな!」
「裸の付き合い……聞いたことがあるわ。郷に入れば郷に従え……なるほど、仕方ありませんね」
その内容に苦言を呈したフレイミィの発言もあっさりとシエロの言葉で流される。
一行はその後も雑談を続けながら脱衣所へと足を踏み入れる。唯一の男性であるために遠慮していた優牙も光の手によって引きずり込まれ、そのまま温泉へ入ることになった。
一方その頃、あえて同行しなかったアリサとマコトはそれぞれの情報を交換していた。
「残念ながら旅館内ではそれらしい行動はとっていなかったな」
「そうですか……こっちも森の中を見てみたんですが手がかりは殆どなしでしたね」
「女将が従魔である可能性があるとはわかっていても、なかなか尻尾をつかませてくれないな」
やれやれとばかりにアリサは首を振ると、手にしたドリンクをあおる。
そこにちょうど、噂をすれば影とばかりに女将が現れた。
「おや、おふたりは温泉には行かれないのですか」
「ん、まあね。もう少しゆっくりとしておこうと思ってね」
「あたしも同じく」
「そうですか……それでは私は少々急ぎの用事がありますので、ここで失礼させていただきますね……仕方のないお客様たち。あの方たちは少々お邪魔ですから」
アリサとマコトの言葉に軽く頷き返した女将は、浴室に向かっていった。
「……聞こえたか?」
「ばっちり。まさか最後の最後でぼろを出すとは思わなかった」
最後に小さな声で零した言葉を聞いた2人は、これ幸いとばかりに浴室の方へと向かう。その際、ばれることのないように気を遣って進んでいった。
脱衣所までたどり着いたところで女将はその身にまとった着物を脱ぎ捨てることなく扉に手をかけて露天風呂へと進んでいく。2人が見ている前で、女将はその姿を変えると温泉を堪能していたエージェントたちへと襲い掛かった。
乱入されたエージェントたちは警戒していたため、最初の攻撃は華麗に交わされる。
攻撃の主を見たシエロは苛立たしげに口を開いた。
「よくもウチのパラダイスタイムを……!」
「ジャマモノ、ハイジョ……オンセン、マモル」
「邪魔はテメェの方だぁ!!」
シエロは共鳴し従魔に攻撃を加えていく。
他のエージェントたちも次々に共鳴して従魔を追い込む。その中でも気にしているのか気にしていないのか、エミルだけは広い湯船の中を泳いでいた。それが気に入らなかったのか、従魔はエミルをターゲットにとらえた。
「同じリンカーとは言え、小さな子供への攻撃はヒーローとして見過ごせないね」
「愚神の眷属ともあろうものが仕事をサボってのんびり温泉浴かい?」
そこに遅れてやって来たマコトが太刀による攻撃を加える。さらに背後からアリサが光刃を持って襲い掛かる。従魔はマコトの攻撃を受けながら、辛くも二撃目を避ける。そこを狙いすまして下がっていた優牙とフレイミィの射撃が襲い掛かった。付かず離れずの位置から動きを見極めていた沙織も加わり、退路が塞がれていく。
従魔はだんだんと傷ついて行き、どうしようもなくなっていった。そこへ光が杖を手に接近、従魔の攻撃をかいくぐってすくい上げるようにように持ち上げる。緩急をつけた一撃によって空中へと放り投げられた従魔はシエルのメイスによって回収され、地面へと叩き付けられた。
「ジャ、マ、モノォ……」
「同じこと、何度も言わせんな……邪魔なのは、テメェの方なんだよぉ!!」
苦し紛れに爪を振るった従魔の攻撃を受け止め、再びの打撃。そして追撃として杭を叩き込んだ。
その場で暫くもがいた後、従魔はぐったりと力を失い、空気に溶けていった。
「撃破完了っ。これで安心して温泉に……ふぇ? はわわっ、ごめんなさい!?」
それを確認した優牙が喜びの声と共に両手を上げる。その瞬間に思わずつられてしまった面々の視線が刺さり、自分の格好に気が付いた優牙は慌てて隠した後、周囲がほぼ全員女性である状況を思い出して顔を真っ赤にしてそむけた。
それを見たエージェントたちは互いの顔を見て笑いを零す。
温泉旅館の脅威はこうしてあっさりと、何の苦労もなく片が付くのであった。
●温もりに包まれて
従魔を討伐した彼女たちは、そのまま温泉に浸かることを選んだ。
だがしかし、当然というべきか。唯一の男性である優牙は周囲を見渡し、どこを見ていいか困り果てて視線を彷徨わせた後でゆっくりと話した。
「あ、あの。や、やっぱり落ち着かないっ。ぼ、僕は先に失礼を……」
「うふふ、そういわずに。一緒に楽しみましょう、優牙さん」
「私も恥ずかしいのですけれど、せっかくですからね」
「ふわわ!? あのっ、当たってるんだけどー!?」
逃げ出そうとした優牙を光がキャッチし、追い打ちとばかりに沙織が挟みこむ。
間の優牙はその身長差と最早暴力的なほどの柔らかさと凶器に挟み込まれ密着されてしまい、動くことすらできずに連行されていった。
「大きい……何がとは言わないけど、大きい」
「ああ、全くだな。何を食べればああも成長するのか」
「いや、あなたも大概……」
引きずられていく優牙と引きずる2人を見ながら、温泉に浸かっていたマコトは唸った。その視線は頭の下から腹の上程度の高さを向いている。視線の先を察したアリサもまた、何があればあそこまで成長するのかと人体の不思議に首を傾げた。
「それにしては大きすぎはしないかしら」
「……驚きの大きさ」
エミルとフレイミィも同様に視線を向ける。全員の視線に気が付いた沙織は恥ずかしげに体を抑えるが、それによって余計に強調されてしまう。ごくり、という音がどこからか聞こえた。
優牙を捕まえて座らせたところで、光が全員に対して口を開く。
「わたくしが皆様を洗ってさしあげますわ♪」
「光様、身体洗ってくださるのですか? ではお言葉に甘えて……って、ちょ、そ、そこは違うような…ぁあんっ♪」
真後ろから聞こえてきた声を聴くまいと耳を塞ぎながら優牙は早くこの時間が過ぎてほしいと思った。
そこにエミルがぺたぺたと足音を立てながら近づいていく。
「髪とか、身体とか、洗えない……。よろしく……」
「ええ、お任せください♪」
「んっ……いい感じ」
適度に楽しんだ光は次の標的をエミルに変えて体を洗ったり髪を洗ったりをし始める。
「何だこれ、最高かよ……!」
目の前で行われる行為から目を離さずにシエロは息を飲んだ。
そこにスルスルと湯を掻きながらマコトが近づき話しかけた。
「機械ってやはりロマン感じるよね」
「わかるか!」
「うん! ね、ね。触ってみてもいい?」
シエロが頷くのに合わせてマコトが脚を触り始める。機械独特の滑らかさと機構を目にして、彼女の瞳は輝いていた。楽しそうに触るマコトの姿にシエロも満足げに笑う。
「ふう。本当に星が綺麗ね……日本の温泉旅館、露天風呂……悪くないわ……」
最初は驚きで声も出なかったフレイミィも周囲がそれぞれ自由に楽しみ始めたのを見ると、温泉の縁に背を預けて空を見上げた。山の中だけあって、普段は街灯などで見えない星もよく見える。この温泉旅館は景観を大切にしているためか、最低限手元や周囲が見えるように明かりを控えめにしているので、その輝きは力強く映る。
これは確かにいいものだと感じながらフレイミィは目を細めた。
星空の下の湯浴みは続いていく。風呂付き合いは戦いにつかれた彼女らの心と体を癒していく。
若干1名ほど追加ダメージを受けているような気もするが、役得であるからしていいとしておく。
そうして温泉を楽しんだ後は連絡を受けて帰ってきた本物の女将や料理人たちが用意してくれたコースを楽しみ、一行はそれぞれの帰るべきへと帰っていくのだった。
結果
シナリオ成功度 | 成功 |
---|