本部

ビッグボーナスステージ ST8

鳴海

形態
ショート
難易度
やや難しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
能力者
10人 / 4~10人
英雄
10人 / 0~10人
報酬
普通
相談期間
5日
完成日
2016/09/16 14:57

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掲示板

オープニング

************危険**************
このシナリオは重体の危険性があります、注意してください
*************************
● ことさらに戦い続けるもの達へ
 
 男は玉座の手すりに腰掛けていた、背もたれに鍛え上げられた右腕をかけ。天井を仰ぎ見る。
 褐色の肌には玉のような汗。それが蒸発しまるで鋼鉄のように鍛えあげらられた体が蒸気を発する。
「この……程度か」
 男は溜息をつく、ひどく気だるげに、その瞬間暗い部屋に明かりがいくつか灯った。
 その部屋の四隅には砕け壊れた人形が無数に積まれている。
「つまらんぞ、リンカーたちよ。私をもっと楽しませてくれ……」
 そうつぶやき彼は旗を手に取る。そのポールを手や腕に滑らせるように振るい、そして目の前に並ぶ敵を見据える。
「まだ足りん、この程度か戦士たちよ。であればお前たちの眼前にあるのは滅びだけだ」
 

● 戦い続けるもの達へ
 今回も……待ってまぁす! みんなぁをぉ待ってますぅ! 
 戦いたいでしょ! えへへ 雑魚、……躙したいでしょ!!
 えへへ。
 新しいアイテム増えたしぃ、なんか有利な条件とか増えてるよ!
 ストレスフリーで楽しめるよぉ!
 あそぼうねぇ! ステージ9で待ってる 待ってるよ!
 僕?
 僕はねぇ、かげだよぉ

回収した巻物 5
髑髏     3
満たしたフラグ8

● 開いた扉
 セーブポイントから復活したあなた達の目の前には二つの扉がある。
 一つはラスボスへつながる道。
 そしてもう一つはビッグボーナスステージに繋がる道である。
 扉の向こうについて下記にまとめたので参考にしてほしい。

・ビックボーナスステージ
 何もない真っ暗闇に、光を放つ四角いステージが広がっています。400M四方で手すりなどがなく、はじき出されると危険です。
 こちら雑魚敵従魔が多く出るステージです、一撃で倒せるようなステージですが、五十体倒すごとにステージ四隅にある石が割れます
 ここですべての石を破壊すると中央にエンプレスオーダーが一つ出現します。
 ただし、エンプレスオーダー出現と同時にこのステージの崩壊が始まるので、扉から急いで逃げてください。

・ラストステージ(PL情報)
 PC情報的にはラストステージの情報は何もありません。まったくの謎です。
 ただPL情報としては。ここで出てくる敵は、登場したPCのコピー従魔です。
 ステータスがコピーされ若干強化された、あなたの陰がラストの敵です。
 なので、無策に挑むと負けることは確実でしょう。
 また、全ての陰を倒し、ステージ中央の玉座に誰かが腰かけた時点でゲームクリアです。EDが流れるので楽しんでください。

*(N)とついている物は新しく解放された情報、アイテムです*
このゾーンでは特別ルールが適応されます。
1 必殺技ゲージ
2 アイテムボックス

《必殺技ゲージ》
 従魔を一体たおす、生命を一減らすごとに ゲージが一たまり、百になると使えます。
 スキルとセットで使用し、そのスキルを強化すると思ってください。

『必殺技効果』
・範囲威力拡大 効果範囲と対象を二倍の数に変更、物理、魔法、両攻撃力に+100されます。
・射程効果拡大 射程を二倍に変更します、またカバーリングされず、妨害もされません、回復量を二倍、もしくは効果時間を二倍にします。
(N)・鬼神乱舞 選択したスキルの使用回数が二回復します。つまり使った分を帳消しにしてスキルの使用回数が一回増えるということです。
 また使用してから5ラウンド、イニシアチブと移動距離がそれぞれ5増加します
・合体攻撃 任意のキャラクターとタイミングを合わせて攻撃します。すごいことになります、どうなるのかはその時の雰囲気によります(最大三人まで可能です)(演出はPLが決めてくれて構いません) 
・乾坤一擲 自分の命を全て霊力に変換し攻撃する。
「アバヨ、ダチ公」的な演出が可能
 しかしラウンド終了時にゲームから退場させられます(重体も死亡もありません)
 リンクレートを+7し、自身のスキル二つを選択し効果を合成して放ちます。
 さらにダメージの固定値に+20します。
 セルフ合体攻撃だと思ってください。
 

《アイテムボックス》
 この世界の敵を倒すとアイテムがドロップします。ボスを倒すとPCの数だけ確実にドロップします、何が出るかはランダムです、GMがダイス振ってます。
 アイテムは基本三つまで持てます、たいていの者は持っているだけで効果がありますが、使うとなくなるものがあります。
 使うときはセレクトボタンを押してください。
 また、今回はゲームスタート時にアイテムを一つ支給されます、何が必要か選んでください

『アイテム一覧』

<巻物> ステージやアイテムデータが更新される、新情報が追加される。持ち帰ることで効果があります。
(次回のビックボーナスステージの際にPCが有利になる情報の公開、アイテムの追加などです)
<火の因子> 攻撃に炎属性がつき移動力、イニシアチブが上がる。
<水の因子> 攻撃に水属性が付与、自動的に生命が回復するようになる。
<雷の因子> 攻撃に雷属性が付く。攻撃の範囲が1SQ広くなる
<闇の因子> 攻撃に闇属性がつく。中二病に侵される。
<光の因子> 攻撃に光属性が付く。酷いこととかできなくなる

<輝けるもの> 光り輝く何か。使うと少しの間無敵になる。従魔が触れると蒸発する。一定時間で消えてなくなる。
<猫耳> かわいい、語尾ににゃが付く、持ってると敵にめっちゃ狙われるようになる。
<バット> 素行が悪く見えるようになる。物理攻撃力が100加算される。
<タトュー> 全身に紋章が現れ攻撃エフェクトがかっこよくなる。魔法攻撃に+100 またイニシアチブに+1される
<従龍> 小さなドラゴンが追従するようになる。自動的に周りの敵を攻撃してくれる他、因子を食べるとブレスにその効果が付加される。
<ナイフ> 情緒不安定になるが、回避力が+100される。
(N)<ヒーリングライト> 周囲を旋回する球体。持ち主周囲5SQ内の味方を継続回復します、攻撃の対象になり、ダメージを受けると破壊される。 
(N)<金貨の大袋> レアアイテム、報酬が10000追加される、一人が持ち帰るだけで全員に効果がある。持ってると敵にめっちゃ狙われるようになる。
(N)<エンプレスオーダー> 激レアアイテム 使用すると全員の必殺技ゲージがたまり、必殺技を発動できる。またこの時『必殺技効果』を二つ使える。
(N)<血染めの戦旗> 効果は不明、集めるとゲーム内でストックされ何かいいことがあるかも?

*注意 昔のゲームみたいにシステムが不親切なため、他人にアイテムを譲渡することはできません。捨てるか取るかの二択です*

解説

目標 ラストステージクリア《大成功》
 
 今回は、前回のビックボーナスステージの結果を受けてのミッションです。
 前回からの影響はアイテムの引き継ぎ程度ですので。
 どんな感じか知りたい人だけ過去のリプレイを見ていただければと思います。

 ●従魔について

有象無象ちゃん
 さまざまな見た目をした従魔、ディーカップ、木の葉、スコップ、ハートマークなんでもありだがとても弱い、空中を漂うことができる。
 近づくと襲ってくる。物体に(―_―)こんな顔がついている
 攻撃方法は体当たり。大きさは体長5メートルから1センチのあらゆるもの

森羅万象ちゃん
 様々な見た目の従魔。けっこうな歯ごたえがある上に有象無象ちゃんに似てるため間違いやすい、(゚□゚)こんな顔をしているため、よく見ればわかるはず。
 攻撃方法は体当たり。体長は10メートルから1センチのあらゆるもの

唯一無二くん
 背が四メートル近くある棒人間みたいなやつです。近くの有象無象チャンを投げたり、格闘戦を仕掛けてきます。

一期一会くん
 いきなりグラフィックがハイレベルになります、見た目はステージあった人型従魔です。鎧武者だったり悪魔だったり。
 攻撃方法が多彩で、遠距離からの魔法攻撃や二刀流やBS付与など、いろいろやってきます

リプレイ

第一章 終わりが始まる。

 ドロップゾーンの門扉を開き、リンカーたちは続々とビックボーナスステージへと没入していく。
 これが最後の戦いだ、何事にも終わりは来る。そんなもの悲しさを抱えながらも『世良 杏奈(aa3447)』は両の拳を握りしめる。
「いよいよラストステージね! 張り切って突入よー!!」
「待って杏奈! ボーナスステージがあるみたいよ?」
『ルナ(aa3447hero001)』が服の袖を引いた。ルナが指さす先には扉が二枚ある。
「ついに最後か。2回目は不参加だったけど、最後には間に合ったね」
「ええ、宣言通りにまた来ましたよ」
『志賀谷 京子(aa0150)』は第一回目とは変わってしまった雰囲気を噛みしめる。遊び倒そうと心に誓い、そんな京子の手を『アリッサ ラウティオラ(aa0150hero001)』は取った。
「これはなんだ?」
 そうステージ中心で首をひねっているのは『バルトロメイ(aa1695hero001)』彼が指さす先には宝箱が置いてあり『セレティア(aa1695)』が興味深げに叩いてみたり耳を当てて見たりしている。
『一ノ瀬 春翔(aa3715)』はそれがなんだかわかったので解説を入れる。
「ボーナスアイテムだよ、本人の欲しいアイテムを出してくれる」
 さっそく宝箱を叩く『ハーメル(aa0958)』と杏奈。
 すると宝箱はカパリと開き、二人の意図をくみ取って二匹の小さな龍を召喚した。
 くぉぉぉ。と双子の龍は鳴いて『墓守(aa0958hero001)』の頭の上に降り立つ。
「小さくて可愛いわね。名前は何にする?」
 そう杏奈がルナに尋ねると、ルナは大きく手を広げて言った。
「シャオ」
 シャオと呼ばれた龍は主をルナと認識したのか、その小さな胸の中に突っ込んだ、けほっと咳き込むルナ。
「さあシャオ、一緒に行きましょう!」
「僕らの龍はどうする?」
 龍は彼女の腕の中に納まると、またクォォと鳴いた。
「クオでいいんじゃないかな?」
 墓守は言う。
 その隣で他のメンバーも続々とアイテムを取り出していく。『シウ ベルアート(aa0722hero001)』は闇の因子を掴みあげていった。
「ここまで激しい戦いだった。
 まるで現実の様なゲームの世界は従魔によって何度でも現れるだろう……。
 でも、僕たちは戦い続ける。ライヴスがある限り!」
「いやいや、まだ終わって無いから! 何勝手にいきなり締めっぽい台詞言ってるの!」
 もうすでに闇の因子に侵されているのだろうか、そう『桜木 黒絵(aa0722)』は少し嫌な顔をした。
「……ふむ」
 そして『カグヤ・アトラクア(aa0535)』はアイテムボックスから取り出した、血なまぐさい旗を片手にため息をつく
「随分おとなしいけど、どうしたの?」
『クー・ナンナ(aa0535hero001)』がいぶかしむ。
「悪巧み中なだけじゃ」
「カグヤ好みの敵いないからってそういうことを。皆はがんばれー」
「勿論だ! さァて……最後だ。気合入れて行くぜェ!」
「いくぜー!!」
 周囲に光の球体をはべらせる春翔、彼につられて『アリス・レッドクイーン(aa3715hero001)』拳を振り上げる。
「わ、私も」
『御門 鈴音(aa0175)』も拳を突き上げる。
「俺もだぜ!!」
『東海林聖(aa0203)』も同じく拳を振り上げる、皆気合十分と言ったところだ。
「ゲーマーにとって……ボーナスステージを取り漏らす事ほど後悔するものはない……輝夜! リセットなしの一本勝負! 必ずボーナスをゲットするわよ!」
 その言葉に『輝夜(aa0175hero001)』も聖も頷く。
「勿論だ、やってやろうぜ」
「まぁ。鈴音が楽しそうじゃし。よいか」
 そう輝夜は呆れながらも鈴音の手をとり共鳴、それに聖も習った。
(ほんとこういう時の鈴音は生き生きしとるの)
 そんな二人の目の前にテロップが出現するテロップ。
【暴力系ゲーマー は 気合充分だ!▼】
「なんですか? これ」
 鈴音が触るとわずかに浮き沈みするテロップ。
【便乗系少女 は 最高にハイだ!▼】
「隠し機能ってやつだ」
「しかも触れる」
 聖は拳でガシガシと叩いてみる。
「コイツも最後か。ちょっと寂しいな」
 一度それを撫でると春翔は斧を振りかぶった。このテロップ実は壊れるのだが。それを知っているアリスが先に蹴り壊してしまった。
 笑いながら逃げる回るアリス。
「みなさん、準備はいいですか?」
 そうアイテムを撮り終った全員に告げたのは『構築の魔女(aa0281hero001)』
「何か不思議な気持ちになりますね」
 感慨深く構築の魔女は頷き『辺是 落児(aa0281)』へと手を差し出した。
「……さぁ、それでは進みましょうか」
 雷撃を纏った手で扉を押し開くと、その脇を真っ先にバルトロメイが駆け抜ける。
 最後の戦いの幕が上がる。
 

第二章 BBS(ビックボーナスステージ)
 
 扉が開かれるとそこは事前情報と全く違わない、だだっ広い空間が広がっていた。何もない広大な空間に浮かぶ平たいステージ。
 その中心に、光り輝くバルトロメイが立っていた。
 群がる敵たちは彼に触れると蒸発していく。
 ちなみに今日の有象無象ちゃんたちは、カラフルな色を発する光の玉だった。
「負けてられないね」
 黒絵が駆ける。そして右手のイカヅチと、左手の闇を合わせた。
 膨大な霊力が彼女の両腕の中に逐電されていく。
「おいおい、どこに行こうっていうんだ?」
 にやりと笑うバルトロメイ。
「俺ごと撃て!」
 バルトロメイが叫んだ。そしてその言葉に迷うことなく黒絵は頷き、そして。
――轟け、暗黒の雷鳴
「やめてぇ! シウお兄さん恥ずかしいよ!」
――ダーク・サンダーラーンス
 直後轟く雷鳴、黒雷の槍がバルトロメイ周辺の敵を焼き尽くす。ステージ四方におかれた石が一つ割れて砕けた。
「さっそく一個割れたよ!」
 突如リポップする有象無象たち。黒絵はあわてて魔導銃に持ち替える。
「みなさん崩壊に注意してください」
 魔女がステージの中心に寄りながら言った。その銃口は敵を捕らえて離さない。
「わかってらぁ!」
 魔女へと迫る雑魚敵を切り裂いて。春翔は駆ける。敵中央に躍り出て、大斧の一閃で薙ぎ払った。
「東海林くん、まっすぐ進んで」
「おうよ」
 聖は一気にステージの端まで敵を切り裂きながら進む、その進行の妨げになりそうな雑魚に関しては京子が打ち抜いていく。
「思いっ切り暴れてやるぜ! やるからには完全クリアだ! ファイナルステージ、熱くなるのも仕方ねェだろ」
―― ヒジリーにはいい勉強にもなるし……好きにさせてて良いかな……。
『Le..(aa0203hero001)』はそう傍観の構えである。
 聖は特に大型な従魔に対面しても足を止めることなく跳躍、空中で回転しながら剣を叩きつける。雷撃を纏った斬撃は周囲の敵ごと、大型従魔を吹き飛ばした。
「出口の防御は任せておくのじゃ」
 そうカグヤが手を振る、その隙を狙って従魔が突っ込んでくるが、それを盾で叩き伏せ、べちゃっと地面に落ちたところをチェーンソウを押し当てる。
「大丈夫そうじゃな」
 耳をふさぎたくなるような嫌な音が響き渡る。
「みなさん、私の陰に隠れて!」
 そう後衛へと殺到する有象無象ちゃん達を遮って鈴音が立つ。
 大剣を振る鈴音。鈴音が切り付けた敵で百体目だったらしい。石がさらに一つ砕けた。
 その直後信じられないことが起こる。
「唯一無二君がこんなに」 
 左右側面から四体ずつ、唯一無二君が出現した。これは異常だ、今までの参加者ならわかるが、唯一無二君はこんなに同時に出てくることはなかったはずだ。
「あんま、強くないからいいけどよ!」
 さっそく一体、聖に切り倒され、虚空の彼方へと消え去った。
 ドロップした血染めの戦旗を手に取る聖。
「これ、何に使うんだ?」
 そんな聖と鈴音に向けて投げつけらえる有象無象ちゃん、当たればそれなりに痛い。そのため、それらを優先的に打ち落としていく杏奈と黒絵。
――世良さん!
 シウが示す先を見ると、そこには水の因子がドロップしていた。シャオのテンションが若干上がるのが見て取れた。
「あれが欲しいの?」
 杏奈はシャオの頭を撫でると、シャオと共に走った。シャオのブレスを目くらましに、魔法弾を乱射して前方の敵を打ち砕く。そして杏奈は炎の因子までたどり着いた。
 それをシャオに手渡すと、シャオは楽しそうに踊り大きな口をあけて頬張った。
 するとシャオは一回り大きくなり、水のブレスを吐けるようになった。
 それを浴びた杏奈の生命力が回復していく。
 雑魚的ラッシュのおかげでアイテムに恵まれたのは杏奈だけではないようだ。
「これが、バットか」
 バルトロメイがいけないアイテムを手に取ってしまった、春翔が親指を立てる。
「おら! この愚図どもが!!」
 正確が豹変したバルトロメイ、渾身の畳替えしで床を切りだす、衝撃ではじかれた有象無象ちゃんは場外へ。
 ただ本当の狙いは壁を作って落ちないようにすることだ。
 それを背に戦えば安全、そう思っていた。
 しかし、それを待っていましたとばかりに持ち上げる唯一無二君、手裏剣のようにそれをバルトロメイに投げつけた。
「あるかよ! そんなの!」
「一人じゃつれぇだろ。加勢するぜ」
 春翔が滑り込んでくる。斧をバットのように構えると、バルトロメイもそれに習った。
「せーの!」
 風を切る音、振るわれたAGW。二人はそのタイル状に切りだされたそれを粉砕し、唯一無二君に向き直った。
「やってくれたな!」
 バルトロメイと春翔が中指をたて切りかかる。
 次いで戦場の中心を黒雷が通過する。
「二発目!!」
 黒絵のサンダーランスが敵を根こそぎ焼き尽くす。三つ目の石が割れた。
「カウントを始めます」
 構築の魔女が告げると、全員が頷いた。
 あと五十体、しかしこのまま容易くボーナスステージをクリアさせてくれるつもりはないようだ。
 次の瞬間、ステージ中央に黒い煙を纏った鎧武者が登場、十体近い一期一会くんが出現する。
「悪意が伝わってくるな」
 その出現した一期一会くんの隙間を縫ってかく乱するハーメル。
 一期一会クンたちはあわてて肩を振るうが、彼を捉えることはできない、すれ違いざまのクオの攻撃をもろに受けていた。
「構築の魔女さんや、志賀谷さんクラスでないとね、当たらないよ」
 その隙を狙って聖と鈴音が切りかかった。
 大乱戦に持ち込まれるが、あくまで雑魚的、確実に一体ずつ葬り去っていく。
 そしてフィールド上からほとんどの消え去りサイドの一体。
 それはカグヤの足の下に敷かれていた。
「お主らの合図で、こいつをころすぞー」
 そう手をぶんぶん振って、扉付近まで戻って来いと指示を出す。
 そしてステージの中央では黒絵が待機していた。
「準備OKです」
 その合図に頷くとカグヤはチェーンソウを振りかぶり、最後の一体を撃破した。
 最後の意思が割れ、ステージが崩壊を始める。
 次の瞬間ステージ中央に光が刺し金色の王冠のようなアイテム、エンプレスオーダーが出現する。
「これが……」
 まだ見たことがなかったこのゲーム最上級のレアアイテムに手が震える黒絵。
「おお、崩れるぞ! はよう」
 学校では陸上部の黒絵、クラウチングスタートで初速を得て、足を前に前に。
 ひび割れた足場に十分注意して、そして、ゴール脇で手を差し伸べる構築の魔女、その手を取った。
「いけるよね?」
 京子が全員の顔を見渡す、全員が緊張と期待をないまぜにした奇妙な顔をして、京子の号令を待っている。

――よし、いこう!

 そして光の袂へ。


第三章 ラストステージ。

 塔の最上階は野ざらしで、紫に染まる空には茶色の雲が蠢いていた。
 世界の終りのように空気が錆びついていて、その世界の中央には玉座があった。
 ここから見下ろす景色はよい。
 破壊されつくした世界、血がこびりついて乾いた、チョコレートにも似た茶色に包まれた世界。
 それを見下ろすことができるのだから、ここは間違いなく世界の頂点なのだろう。
 そんな塔の最上階は闇に覆われていた。闇というより黒い虫のようなものがびっしり張り付いて蠢いているのだ。
 そんな世界に一筋の光がさした。
 突如空にひびが走ったのだ。次の瞬間轟音を奏で、空が開いた。
 その向こうには青空が広がり、その光景を背に住人のリンカーが塔の最上階向けて落下を開始した。
「おおおおお!」
「なんだこれ!」
「聞いてません!」
 口々に空中に放り出されたことに悪態をつくがそうも言ってられない状況だと全員が思い直す。
 最上階上に積もる埃のような闇が寄り集まって人型を成したのだ。
 おそらくあれが最後の試練。だが一つ気になることがある。
 バルトロメイは首をひねった。それはひどく見慣れたシルエットをしていたからだ。
 夕陽に染まる帰り道、自分たちの後をついてきていたのはあんな形ではなかったか?
「あれは、陰?」 
「ってことはおい、気をつけろ! くるぞ!」
 直後、黒絵と思われる影の手からサンダーランスが放たれる。
 それがリンカー全員を直撃。
「くそ、あと一発でも食らったらまずい」
 バルトロメイは客観的に状況を分析していた。
 空にいる以上次弾を回避する術はない。そして魔法防御力が低いこのメンバーではあと一撃同じ攻撃をもらえば継続戦闘は不可能だ。
「……え? ちょっとこれって、私達なの!?」
 杏奈が苦虫をかみつぶしたように笑う、そしてアルスマギカを構えた。
「つまり自分自身が相手ってこと? 上等じゃない」
 京子は笑う。
「シウさん!」
「了解だ、エンプレスオーダー機動。戦い続けるもの達へ!」
 黒絵から体の主導権をもらったシウは王冠をかぶりそのプログラムを起動する。直後眩い光が全員を包み必殺技ゲージが満タンになっていく。
 そしてそのゲージをさっそく空にしたのは春翔。
 彼は異常な加速度で地面に降り立つと、その場にいる影たちを見渡した。
――……ハルト! 走って!
 アリスが叫ぶ。
 持ち前の機動力で敵の中心へ、そして飛ぶ。
「おおおおおお!」
――VBS……とはプレッシャーが違いますね。
「うん!」
 同じくゲージを全消費した京子が頷く、彼女は春翔と同じ光を纏っていた。
 隣を漂うバルトロメイも同じ。
――さすがに。しかし楽しめそうです。
――ハルト!アレやるよ!
 アリスの号令に頷く、春翔。
「やるって……アレか! 志賀谷! バルト! 頼むぜェ!」

     《《   合 体 攻 撃    》》

 後は自分の閃きに任せて腕を振るだけだった。
 どうすればいいかは直感が教えてくれる。
「みんな! 目を瞑って」
 京子叫ぶ、彼女が指の間に蓄えた霊力を五つ空に放つ。
 それは光源となって四方に散る次の瞬間、眼球を焼くような白い光があたりを包んだ。
 これはもはや闇である。明るすぎて何も見えない。
「先手必勝ってね! 目眩ましは任せてよ」

 しかしそれにわずかな黒い筋が見える、複数方向から光が当たったことにより影が何本も伸びているのだ。そうそれは跳躍した春翔の陰。
 そしてその影は紐のように広がり、ばらつき、コピーリンカーたちに巻き付いていく。
 動きを完全に封じた。そして。
「「光」」
「「暗」」
「開闢撃! 食らえ!!」
 バルトロメイがステージ中央にいた。
 霊力を蓄えた大剣を地面に突き立てると、光と闇が交わり混沌とした世界が別たれる。
 彼らを縛る影が鋼鉄の蔦に替わっていった。 
 光暗開闢撃。
 それは光と闇、対極の物しかなかった場所に世界を作り出すような一撃。 
 効果は全員への攻撃、そして命中した対象の行動半永久的に縛るというもの。
 下手をすればこの一撃で勝負が決まりかねないほどの大技だったが。
 ラストステージだ、そううまくことが進むわけがない。
「これで!」
 そう喜んだバルトロメイの腹部に蹴りを叩き込んだのは超速で接近してきたハーメルコピー。
 彼にだけはこの攻撃が当たらなかったのだ。
 そして反撃とばかりに振るわれた攻撃も当らない。女郎蜘蛛で、からめ捕られ首筋にナイフを当てられる。
「っし、行くぜ! ルゥ!」
――……ん、調子乗らないでね……ヒジリー
 バルトロメイが首を落されようという瞬間、タックルでバルトロメイごとハーメルを弾き飛ばしたのは聖。
 見れば全員が無事に最上階に着地していた。ハーメルは距離を取る。
「予見殺しも程があるだろあいつら」
 そう聖は拘束されているコピーリンカーたちを指さす。
 彼らは杏奈やシウたちの魔法攻撃をもろに浴びていた。
「僕はどうする?」
 ハーメルは頬をかきながら皆に尋ねた。
「お恥ずかしながら自分の攻撃が自分に当たる気がしない……」
「対抗できるのは私か志賀谷さんしかいないでしょうね」
 構築の魔女が告げる。
「あはははめんどくさくてごめんなさい」
「なんか、拘束にひびが入り始めたよ」
「たぶん抵抗し続けていれば破壊できるんだろうな」
 バルトロメイが言葉を続けた。
「確かに強いけど、所詮は影。オリジナルに勝てる訳が無いわ!」
 杏奈がそう声を上げた直後、それを嘲笑うかのようにコピーカグヤが指をふった。
 すると光がシャドウリンカーたちを包み、回復させていく。
 しかもクリアレイで鉄の蔦が枯れていく。
 それを見て構築の魔女は顔をしかめた。
「私たちと全く同じ能力とも考えられますが強化されている前提で行動を……」
 そして各自に散開と遊撃を命じる。聖は拘束から逃れたカグヤに突っ込んでいった。
「それと、スキルも同じものを使用してくるとなるとBS付与系は特に注意ですね」
 魔女の視線が春翔コピーとハーメルコピーに向く。
「残念なお知らせじゃ、偽のわらわに何人か解放された。もともとわらわにはそれほど効果がなかったようじゃの」
「ああ、まずいです集団戦闘で怖いのはソフィスビショップで。またサンダーランスが……」
 ビショップを攻撃するにはカグヤを突破する必要がある、しかし春翔の攻撃にびくともしない偽カグヤである。
 その後ろから躍り出た京子コピーが京子に弓を向ける。
 その一撃を盾ではじいた京子。
――目の良さは盾でも役に立ちますからね!
「面倒だなあ。好きになれないタイプだね」
 そして敵の射線から逃れるとまた神弓を構える。
――自分大好きだったのでは?
 アリッサが驚いて尋ねた。
「敵に回った自分は範囲外!」
「攻撃手としての鬼門は同じ狙撃手……無策で撃ち合いになれば負けます」
 杏奈を狙うコピー京子、その前に構築の魔女は躍り出てカウンターで銃撃をみまう。
「それと、守勢が得意な方には無理に攻撃しないようにお願いします」
「俺みたいにな!」
 春翔は影鈴音と切り結ぶが、背後から偽バルトロメイが接近。その銀腕のレーザーを受ける前に。バルトロメイが割って入ってかばった。
「可能であれば回避を得手とされている方を優先して狙い牽制していきましょう。無理そうであれば近接戦闘をされている方の援護を主軸に……」
 しかしそうも言ってられない、敵の注意をひきつけることに集中するあまり、コピー聖の接近を許してしまう。
「注意することは私自身の能力からして狙われると厳しそうということですね。ひとまず、射程に入らない若しくは射線を確保させないように意識を」
 苦笑いを浮かべながら双銃に装備を変更、真っ向から近接アタッカーとかち合うのは厳しいが他のメンバーに助けを求めるわけにもいかない。
 しかし、そのコピー聖の剣激を間に入って止めたのは、聖であった。
「相手が何だろうと……アタッカーが引いてられるかよッ!!」
 そうつばぜりあう聖と聖。二人とも笑っている気がした。
 打ち合うこと三合、上段切り、足元への切り捨て、突き。すべてをそらされる。
 歯噛みする聖。次いで襲ってきた三連撃は見覚えのあるものだった。
 完全なるコピーらしい、さらに精度は遥かにあちらが上。
 頬の血をぬぐって聖は言った。
「オレの……っへ、面白ェ……やってやろうじゃねーか」
 雷の因子をうまく使い、目くらましからの中断薙ぎ、籠手で剣激をそらして。カウンターの切り払い。
「絶対負けねェ!!」
 すべてが今披露できる聖の最高の技、しかしそれを敵はあっさり防ぐ、そらす。
 まだ一度も傷を負わせられていないのに。こちらはかすり傷が増えていく。
(……くそ! 向こうの方が多少上か…!)
 上段切りを屈んで避ける、剣圧で額がきれ血が滴った。
 そして一瞬動きが鈍った聖の膝をコピーは払い。剣の石突でこめかみを強打。蹴り飛ばされる。
「くそ!」
――気持ちと意地は別だからね、ヒジリー。
 Leの声が胸に響く。
(解って……るぜ!)
 大丈夫、わかってる、やれることは全部。
 Leの教えに従って。剣を振るうだけ。
 何も恐れる必要はない。今ここで成長し、目の前の自分を越えればいいだけの話なんだから。
「コイツならどうだッ!!」
 飛びかかりざまに三閃、衝撃で後退するコピー。
「千照流! 鳳瓦・雷閃!!」
 紅榴の「衝撃波」に雷の因子を纏わせ「一撃粉砕」を放つ。
 それはまるで瞬く流星のように鮮やかな剣技。
 だがそれはそらされ威力だけが抜けて地面に激突、爆炎が立ち込める。
 だが、これで終わりではない。聖の剣はまだ輝きを失っていない。
「まだだッ! 千照流……破斥・紅椿ッ!!」
 疾風怒濤の一撃。
 その一撃が大きくコピーの腹部を割いた。
「やったか!」
―― まだだよ、ヒジリー!
 しかしそれは肉を切らせて骨を断つ一撃。そのまま足で踏ん張ってコピーが放ったのは『鳳瓦・雷閃』
「まず!」
 直撃、聖の体が枯葉のように吹き飛んだ。
 だが、諦めない。絶対に。
「テメェにだけはッ!!」
 空中で体制を立て直し、着地、流血を止める間もなく距離を詰めて一撃。
「負けられ、ねェんだよッ!!!」
 そんな聖のすぐそばで、鈴音も自身の陰と相対していた。
――おお、あちらの鈴音は好戦的でよいのう。
「そんな、軽口ばかり……」
 鈴音は早々に迎撃することをあきらめ、走る。
 自身の防御力が低い関係上、致命傷を先に受けた方が絶対負ける戦いだからだ。
 だから鈴音は効率の良い戦い方も分析済み。
 鈴音は直後全力疾走をやめコピーの一撃を大剣ではじく。その瞬間。
「お願いします!」
 突如ハーメルが躍り出てきて縫止。
 鈴音の動きを完全に縛った。
――……ほんとピコピコみたいななりをした奴らじゃのぉ。
 輝夜は動きの止まったコピーをまじまじと見つめ言う。
「レトロゲームみたいでいいじゃない! すっごく好きよこういうの!」


第四章 瀬戸際

 初手の合体攻撃で優位を取った面々だったが、なぜか徐々に押し返されていた。
 それは相手のヒーラーの役割が大きいかもしれない。
「まさか、あちらはスキル無限だったりはせんよな?」
 カグヤはいぶかしむ、そろそろケアレイもケアレインも使い切っていいはずだ。なのに……
――このままじゃまずいわ!
 ルナが叫ぶ。
「ハーメルさん、準備は?」
 杏奈が煤で汚したスカートを翻してハーメルに尋ねる。
「OK、整ったよ」
 ハーメルはフィールドの中心に座り込んでいる、そんな彼が手のひらを返すと。暴れ放題だった影リンカーたちの動きが急に止まった。
「このフィールドはすでに僕の結界の中だよ。君たちは僕に踊らされていたんだ、ただ逃げ回っていたように見えたかな?」
 これは合体攻撃の効果である、すでにハーメルと杏奈の合体攻撃は発動していたのだ。
 ハーメルの意図によってフィールド全体に描かれた魔方陣、それが怪しく光り輝く。
「これは範囲を拡大した女郎蜘蛛、そして」
 その魔方陣は周囲の霊力を圧縮、そして杏奈へ届けられる。襲うのは範囲威力拡大のブルームフレア。
「魔天焼き尽くす、破滅の炎を見なさい」

     《《   合 体 攻 撃    》》

「「インフィニット・プロミネンス」」

 特大の火柱が立ち上がった、効果はリアクション不可能な全体攻撃。そしてその炎は識別攻撃が可能である。
 なので炎に焼かれている自分の陰に走り寄り蹴り倒す。そして顔面に銃を突きつけた。
「今回は物理銃も持ってきたのよ! 鉛玉を食らいなさい!!」
 Pride of foolsで撃ちまくる。その攻撃に対応できず偽杏奈は退場。塵となって消え失せた。
 さらには満身創痍の偽構築の魔女を京子が打ち抜く。
「あと八人。」
 カグヤはコピー春翔とバルトロメイ二人の足止めをしていた。
「ふふふ、その程度で突破しようとは片腹痛いのう」
 二人の攻撃を盾で受け。ここぞとばかりに必殺技ゲージをフルで使う。
 射程効果拡大。ケアレインでの回復はほぼ生命力をマックスにできるほどの回復量だった。
 これで気兼ねなく暴れられる、そうシウは構築の魔女と肩を並べる。
「構築ちゃん」
――構築さん
「さぁ、はじめましょうか……! 先達として似姿に現代の魔術師というものを見せてあげましょう!」
 魔女がはなった弾丸は必殺技ゲージの力で跳弾、それが分列し、カグヤの周辺を取り巻く、コピー春翔、バルトロメイ。そして背後から狙っていたハーメル三人へ襲いかかる。
 その攻撃によって。
 武器は弾かれ、足は弾かれ、体制を崩され、まともな動きは封じられる。
「跳弾射撃による鋼の牢獄」
 多段ヒットする範囲攻撃。そしてヒットした分だけ、回避を減少させていく。
 そして熱を帯びた弾丸は赤い奇跡を空に作る。それを制御しているのはシウだ。
 それは一種の陣をかたちどる。
「闇の軌跡走り、全てを包む災禍と貸せ」
 そして一点に集約された弾丸は虹光を放って爆発。多大なる被害を周囲に与えた。

     《《   合 体 攻 撃    》》

 技の名前を、そう、『脱命牢獄』とでもしよう。
 三体の陰は蹲り動くこともできずに、カグヤのチェーンソウの餌食となった。
「これで半分か!」
 そう叫びながらバルトロメイは無防備になっているシャドウ黒絵にラリアット。
 銀腕で吹き飛ばした後にその華奢な体を片手で持ち上げる。
「油断したな、それとも陰にも驚くって感情はあるのか?」
 黒絵が反撃しようと腰の銃に手を伸ばした瞬間。
 ノーアクションでバルトロメイの銀腕がレーザーを放った。
 そのレーザーは影を焼いて貫通、空を焼く。
 その後バルトロメイは影を地面に叩きつけ、トドメの一撃をみまうべくドラゴンスレイヤーを振り上げた。
 しかし、それを阻止すべく、コピーの鈴音が大剣を振るう。
「く!」
 明らかに攻撃力では負けている、しかし戦闘とはステータス比べではないことをバルトロメイは知っていた。
 京子と構築の魔女の支援射撃、それにより、大剣をはじかれた影鈴音は大きく体制を崩した。
 次の瞬間接近戦では使いにくい大剣を投げ捨て懐へ。
 その拳を顔面に叩きつけ、全身から力が抜けた直後。胸ぐらをつかんで背負い投げ。
「おらあああああ!」
 地面にクレータができるほどの力で叩きつけられた影は呻きを上げる。
 ただ、これで終わりではない。腹部に追撃の掌底。そして、絶命するまで放射される銀腕のレーザー。
 抗うこともできず、陰は煤となって消え去った。
 残るは二体。聖とカグヤのコピーである。
 バルトロメイは聖を見やる。
 その時ちょうど決着がついたらしかった。
 立っていたのは本物の方。今にも倒れそうな満身創痍だったが、何とか剣を支えに立っている。
「おら!!」
 ただ、その聖に向けてチェーンソウを唸らせる乙女、偽カグヤが迫る。
「っし、行くぜ 御門!」
 その聖の隣に立つのは鈴音。
「派手にぶちかますぜッ!!」
「はい!」
――行け、鈴音よ、お主の全霊でカグヤをうち倒すのじゃ!

聖  一気呵成+範囲威力拡大
鈴音 一気呵成+射程効果拡大

《《   合 体 攻 撃    》》

 霊力によって重量を増した双振りの剣はまるでギロチンのように偽カグヤの首に迫る。
 回避不能な絶大なる威力の一撃。
 それはカグヤの防御も突破して、一撃のもとに塵へと返す。

 戦い続けるもの達は。すべての敵を打ち破り。
 そして、この塔を解放することに成功した。

エピローグ

 空はだんだんと正常な色を取り戻しつつあった。EDのスタッフロールが空にうつされているが、誰も読めない言語で書かれている。
――おお? これで終わりかの? つまらん、何もないではないか
「いいじゃない、達成感だけあれば」 
 そうご機嫌の鈴音であるが。
 何やら神妙な面持ちの大人が二人いた。
「皆はこのドロップゾーンの製作愚神を忘れておるのではないか?」
 カグヤが告げる。
「愚神の姿が見えなかったですよね?」
 構築の魔女も玉座を見つめ唸った。
「ふむ、ステージが9で9階層ということは……。屋上への道がどこかに隠されていないでしょうか?」
 そうあたりを調べる構築の魔女に玉座に旗を突き刺し始めるカグヤ。
「それか王座の裏に階段とか……」
「こちらの戦いを評価するなら、姿を見せよ」
 しかしカグヤの呼び掛けには誰も答えない、静まり返る最上階。
「ふふふふ間違ったようじゃ」
 照れ隠しにカグヤは旗をへし折った。
「あー、あのとりあえず玉座、座らない?」
 京子が苦笑いを浮かべる。
 再三話し合った末に、玉座に座るのは京子ということになった。
「では、私が」
 そう意気揚々と腰掛ける京子だったが、すぐに腰を上げた。
「かたい……」
 その時である。

「お前が座っていい玉座ではない」

 突如フロアに響いた重たい声、次の瞬間、床をぶち抜いて、何かが空へ立ち上る。
 それは龍だった。機会で作られた龍。
 その流派リンカーたちを一瞥すると告げた。
「真の王を迎えに行く。お前たちは。ここで去るがよい!」
 次いで放出されるブレス。
 その直撃を受ける前に、リンカーたちは強制的に元の世界に戻された。

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結果

シナリオ成功度 大成功

MVP一覧

重体一覧

参加者

  • 双頭の鶇
    志賀谷 京子aa0150
    人間|18才|女性|命中
  • アストレア
    アリッサ ラウティオラaa0150hero001
    英雄|21才|女性|ジャ
  • 遊興の一時
    御門 鈴音aa0175
    人間|15才|女性|生命
  • 守護の決意
    輝夜aa0175hero001
    英雄|9才|女性|ドレ
  • Run&斬
    東海林聖aa0203
    人間|19才|男性|攻撃
  • The Hunger
    Le..aa0203hero001
    英雄|23才|女性|ドレ
  • 誓約のはらから
    辺是 落児aa0281
    機械|24才|男性|命中
  • 共鳴する弾丸
    構築の魔女aa0281hero001
    英雄|26才|女性|ジャ
  • 果てなき欲望
    カグヤ・アトラクアaa0535
    機械|24才|女性|生命
  • おうちかえる
    クー・ナンナaa0535hero001
    英雄|12才|男性|バト
  • 病院送りにしてやるぜ
    桜木 黒絵aa0722
    人間|18才|女性|攻撃
  • 魂のボケ
    シウ ベルアートaa0722hero001
    英雄|28才|男性|ソフィ
  • 神月の智将
    ハーメルaa0958
    人間|16才|男性|防御
  • 一人の為の英雄
    墓守aa0958hero001
    英雄|19才|女性|シャド
  • 黒の歴史を紡ぐ者
    セレティアaa1695
    人間|11才|女性|攻撃
  • 過保護な英雄
    バルトロメイaa1695hero001
    英雄|32才|男性|ドレ
  • 世を超える絆
    世良 杏奈aa3447
    人間|27才|女性|生命
  • 魔法少女L・ローズ
    ルナaa3447hero001
    英雄|7才|女性|ソフィ
  • 生命の意味を知る者
    一ノ瀬 春翔aa3715
    人間|25才|男性|攻撃
  • 生の形を守る者
    アリス・レッドクイーンaa3715hero001
    英雄|15才|女性|シャド
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