本部

進捗いかがでしょう

若草幸路

形態
イベント
難易度
易しい
オプション
参加費
500
参加制限
-
参加人数
能力者
25人 / 1~25人
英雄
19人 / 0~25人
報酬
無し
相談期間
5日
完成日
2016/08/31 13:57

掲示板

オープニング

●進捗はイカン感じです
 さわやかさが近づいてくる夏の朝に、とある要求が退けられた。うむむむ、と頭から擬音を出しながら、いち職員である青年は思案する。
「延長まかりならんとは……ううむ、どう誤魔化そうかこの文字数……」
 こんなことなら昨日映画を観るべきではなかった、いやしかしあれは4週かかるかどうかわからない知る人ぞ知るタイトルだったし、とズレた自問自答を始めそうになって、慌てて首を振る。
「……違う、今は組織立っていないヴィランたちの傾向と対策論を書かなければ……見れば分かるは通じない……うむむむむむ、オペレーターの仕事なのかこれは……?」
 言いながら、とりあえず書き終えている部分に修飾語を増やして字数を稼ぐ。骨組みはできているのだ、あとは多少脂肪が多くても構わないから、肉をつけてしまわなくては。明後日〆切り、完成率45パーセント、最後に必要な文献は今日注文で明日到着。
「……最終日の徹夜もやむなし」
 そう悲愴な顔で呟き、青年はコーヒーに手を伸ばした。

 夏の大いなる一区切りが近づいている。君の〆切りは、どうだい?

解説

●このシナリオについて
 PCたちの抱えている「〆切り」について描く日常シナリオです。夏休みの宿題とか、原稿とか、いろいろ。
 そんなのないぜ~という自由人の方々は、しめきりのある風景を見ながらだらだらするとよいでしょう。
 ※アドリブが入ったりしますので、その点だけはご了承ください。

●描写時期について
 8月24日~31日の一週間を描写します。もうその頃には〆切りが通り過ぎている場合は、そのことについて後悔したり達成感を味わったりするとよいでしょう。

●描写について
 参加していないPCや他シナリオの名指しプレイングに関しては、ものすごくぼやけた表現(「友人」「あの任務」など)になりますので、会話でほのめかしたりするとよいでしょう。

リプレイ

●8月24日
「しーめーきーりーだー!」
「絞めて斬るのですね? ご主人様は物騒な思考で大変素晴らしいですわ」
 ユーガ・アストレア(aa4363)とカルカ(aa4363hero001)の暢気なやりとりがある朝だった。
「む、斬るのはいいけど、なんとなく締め技は正義っぽくないから不可!」
「左様ですか。お茶をいれましたのでどうぞ」
「何味?」
「今日はグレープフルーツとニンジンで爽やかにつくってみました」
「異文化こみにけーしょんだよねー。ありがと、いただくね」
 ずずずず。グレープフルーツとニンジンでさわやかカロテンマシマシなお茶(というよりジュース)をすすり、ひといき。
「落ち着いてる場合じゃない! 〆切りなんだよっ!」
「そうですか。ならばそれを定めた者を斬って解決するというのはいかがでしょうか?」
「それは最終手段だよ! まずは、友情・努力・勝利の三大原則を試して、それでもダメだったら変身してずはんでずどんでかしゃんと正義っぽくいくよ!」
 斬って解決はしない、とは言わないところにユーガの極端な思考が垣間見える。カルカはそれに渋い顔ひとつ見せず、むしろにこにこと微笑んだ。
「あぁ、それは楽しみですわね。私も、武器の準備をして参りますわ」
「任せた! ボクは正義の心を胸に、全力全壊で一心不乱にがんばるよ!」
 Q.いったいこいつらは誰の設定した、何の〆切りに追われているのか。
 A.誰にも彼らの追われる〆切りは分からない。ユーガ的には正義を執行したいだけかもしれない。


 わけもわからずに〆切りを意識してしまうほどに、夏の終わりが近づいている。
 そんな一週間の始まりに、榛名 縁(aa1575)とウィンクルム(aa1575hero001)は、アパートの一室にいた。9月1日にこの、縁が住み込み管理人をしているアパートへと入居する者のために、前の入居者が引き払った部屋を整えていく作業を、今日から始めるのだ。
「緊張する?」
 縁の問いに、ウィンクルムはこくこくと頷いた。
「ええ。今は、未知の作業への緊張の方が強いですね」
「ウィンは新しい入居者さん迎えるの初めてだもんね。安心して、ちゃんと教えるから」
 実年齢に似合わず幼い顔で、にへら、と縁は笑った。緊張している隣の大きな体躯が、ふっと力を抜くのを見て、始めようか、と袖を引いた。
 まずは天井の古いクロスを剥がし、様々な理由ででこぼこになっていた部分をパテで埋める。壁のクロスも同様に剥がし、画鋲の穴や何かの拍子にへこんだ部分をパテで埋める。縁が手本を見せ、ウィンクルムがそれを真似て作業を進めていく。
「だいぶ慣れたねー。高いとこお願いしていい?」
「お任せください」
 ウィンクルムの長身が活用され、さくさくと壁の穴が消えてゆく。
 塗り込めたパテが乾くのを待つ間は、部屋に据え付けられた器具の点検と交換、そして水回りの清掃を二人で進めた。この後パテが乾いたら、そこにクロスを貼る作業が待っている。この作業は何日かを掛ける予定であったが、これなら存外速く済みそうだ、と縁はウィンクルムに感謝を告げた。


 そしてこの一週間を境に、ありかたを切り替える者も居る。アイアンパンクの義肢を扱うとあるラボにも、そういう者たちがいた。
「長期潜入の依頼で必要だからな」
 ヴァイオレット ケンドリック(aa0584)はその細身の体をソファにもたせかけ、端末を操作しながらノエル メイフィールド(aa0584hero001)に、義肢の交換をすると告げた。
「このラボにわざわざ来たということは、総取っ替えに近いのかの?」
「ああ、一週間ほどかけて馴染ませる必要がある。依頼の開始までに、万全にしておきたい」
 端末で同意書を読み終えてサインしたヴァイオレットが、処置室へ向かう。――戻ってきたときに、待合室で待機していたノエルが気づかない程度には、総取っ替えであった。
「気づいたら気づいたで、違和感がすごいのぅ」
 ノエルの呟きももっともなほどに、スーツと義肢とを取り替えたその姿は激変していた。細身だった体躯は筋肉の上に脂肪を載せて砲丸投げ選手のように厚くふくれ、手足はその胴体に相応しい太く寸詰まったものに変化している。太いセルフレームの眼鏡をかけた今のヴァイオレットは、冴えないヒスパニック系のエンジニアといった風情だった。
「じきに見慣れるさ」
「……オーダーは確か、『リケジョのギーグ』じゃったな……」
「……今、『太る必要性が見当たらん』とか思ったよな」
 ジト目がちにこちらを睨むヴァイオレットに、いやいや、とノエルは首を振ってみせた。
「まぁ、食習慣的にはこっちの方が合っている感じじゃな。……しかしな、そのフォルム、ラボの通常メニューより盛ってるじゃろ」
「サプライズさ……いや正直に言おう、追加オーダーはした」
 ヴァイオレットは淡々と言う。肉体や容姿について彼女がどう思っているかは、ノエルであっても深くはうかがい知れないことだった。だが、それが彼女に必要ならば、それを受け入れたい。そうノエルは思う。
「ところで、馴染ませるといってもどうするんじゃ?」
「日常動作を意識して行う他は、特にどうもしない」
 つまり、実質的には休暇なのか? とヴァイオレットはふと思ったが、来たる依頼のことを考えて、その思いはいったん脇によけることにした。

●8月25日
 朝、図書館。
「えーっと……ここの棚のはずなんだけどな?」
 皆月 若葉(aa0778)は、本探しに悪戦苦闘していた。課題――任務や依頼に忙殺されて手つかずのまま今日まで来てしまった――の参考文献を探すが、どうにも見つけられない。
「……これとこれ、あとは向こうの棚にある何冊かがあれば事足りる」
 見かねたラドシアス(aa0778hero001)が、手際よく目当ての本を棚から取り出し、若葉に渡す。それを抱えながら、若葉は遠い目をした。予定では、授業を休んだ分の課題は膨大だったとはいえ、夏休み中盤には終わっていたはずなのだ。
「……こんなはずでは」
「緊急の任務がある可能性、を考えて依頼を受けろ。で、締切は?」
「提出が9月の1日。終わるかな……これ」
「お前の努力次第だ。……でもまあ、普段の成績は悪くないんだ、頑張ればなんとかなるだろう」
 30日に追い込みもかけるしな、と、そっけなくはあるが協力を惜しまない姿勢のラドシアスに、若葉の心は知らずほぐれるのだった。


昼、某芸能事務所の個室。
「マリィママー、ここ、教えて?」
 幻・A・ファビアン(aa3896)が、算数ドリルの文章題を指してたずねる。
「あらぁ、ここにひっかかったのね? ここは大人でも間違えやすいわ。式の書き方がポイントなのよぉ♪」
 幻をその小さな背丈で後ろから抱きしめながら、マリアンヌ・マリエール(aa3895)は、丁寧にわかりやすく、幻の手元を覗き込んで解き方のコツを教えていた――当然、むにゅん、とその豊満な体の一部が幻の背中に押し当たっている。
「(……って、マリィママ、当たってるよぉ。嫌じゃないけど……)」
 むにゅんむにゅんとやわらかい感触、そしてその垂れ耳、いや体中から漂っている大人な甘い香り。幼子にはちょっと早すぎる体験なのではないかと危惧されるその状況に、幻の集中は乱されがちだ。
「ほらほらマホちゃん、集中しないとぉ♪」
「わかってるよマリィママー」
 集中を乱されつつ、幻はどうにかこうにか宿題を終わらせる。
「できたー!」
「おめでとぉ♪ それじゃ、マホちゃんにはご褒美をあげないとねぇ♪」
「え?」
 むちゅちゅー、と、一昔前のバラエティ番組の効果音のような音と共に、暗転。これがテレビ画面であったなら『しばらくお待ち下さい』のテロップと環境音楽が流れていたところだ。電波に乗せるのを憚られるレベル、それほどまでに二人のの絆は深いのだ。
 そして、画面復帰。そこには、
「き、気持ちいいの……♪」
 なぜか満足げにぐったりしている幻と、
「つい張り切っちゃいましたわぁ♪」
 とてもツヤツヤしているマリアンヌ。……幻はきっと、熱烈なご褒美キッスの合間に、狐耳や狐尻尾をとてもモフモフ、激しくモフモフされたのだろう。そういうことにしておこう。


夜、とある孤児院の一室。
「ほれ、頑張れ頑張れ」
「……うぅ~……」
 自身の営む何でも屋の業務報告を書き上げながら、麻生 遊夜(aa0452)はユフォアリーヤ(aa0452hero001)を励ました。目の前で勉強にいそしむユフォアリーヤの耳も尻尾も、元気に跳ねているいつもとは違い、しんなりとしている。
「計画性は大事だって前から言ってるだろー?」
「計画したもん! ただちょっと忙しかっただけで……」
 そう、忙しかった。遊夜が設立したこの孤児院で暮らす子供達の世話や宿題の手伝い、それに加えて遊夜の受けた依頼への随行。多忙であった。ただ、休みの前半に遊夜から進み具合を問われた際、余裕だと返したのも、ユフォアリーヤ自身である。
「それを計算に入れるのも計画性って言うんだよ。ほら頑張れ、おかーさん」
「……う~、ボクはおかーさんだもの、頑張るの……」
 自分に言い聞かせるように、しかし苦しげにうなるユフォアリーヤに、遊夜は苦笑いをこぼした。昼は子供達の面倒をみて、そのうえに夜は課題だ。本人は最初こそ余裕のつもりだったが、見通しが甘くてジリ貧になってしまったのだろう。それでもまあ、悪くない進み具合ではあった。
「やれやれ……ちゃんと出来たら、なんでも一つ言うこと聞いてやっから、な?」
「…………何でも!? 添い寝でも!!??」
「おう、添い寝もだ」
 その言葉に、ユフォアリーヤのしんなりしていた耳がぴこん! と立つ。頭をぶんぶんと振って姿勢を正すと、猛然とノートに筆を走らせ始めた。
「終わらせる、終わらせるの! 気合いだー!」
 バリバリー、と擬音が聞こえてきそうな勢いの眼前の少女に、遊夜は自分に思わず苦笑する。
「……まったく、俺も甘いもんだ」
 だが、まぁこれくらいはいいか、と、ふっと苦笑を微笑みに変えながら思うのだった。


そうして、〆切りのある一日は過ぎてゆく。

●8月26日
 〆切りに追われる夏の日にも、ひとときの休息と呼べるものがある。
「おっそーい!」
 ぷんすか、という擬音がぴったりの表情で、楪 アルト(aa4349)は開口一番、目の前の少年に文句を言った。
「すみません、
 黒金 蛍丸(aa2951)の謝罪に、むくれながらアルトはそっぽを向く。
「あたしが来るよりも10分早く来とけよな!」
「まあ、それではそれより前から待っていてくださったのですか? ありがとうございます」
 詩乃(aa2951hero001)の感謝に、アルトはむぐ、と毒気を抜かれた。それでも、つんつんとした口ぶりはあまり崩れない。
「……べ、別におまえたちなんかのために、待ってたんじゃないんだからな!!」
 言い方はともかく態度的には機嫌を直したらしいアルトを見て、蛍丸はそっと手を差し出した。はぐれないようにという、心遣い。アルトもそっと、その手を取る。
「それじゃ、行きましょうか」
 アルトには〆切りらしい〆切りはない。転校してきたばかりで宿題も少なく、それもずいぶん前に終わらせてしまった。なので、今回は後回しにしていたこととして、街の案内をしてもらうことになっていた。蛍丸が街を歩き、アルトがそれに続く。すでに駅近くのショッピングモールは回り終え、三人は商店街を通り抜けようとしている。
「ここがスーパー。特売日は曜日で固定されています」
「特売!」
 アルトが目を輝かせる。
「アーケードの端には定食屋さんもありますよ。任務で忙しい時の味方です」
「安い! うまい! すごい! と三拍子揃っているのです。ただ、お昼時は混み合うので、気をつけてくださいね」
「文字通り、おいしいんだな!」
 そんな調子で商店街のお得情報をアルトに教えていると、蛍丸の携帯電話から発信音が鳴り響く。2・3分ほどで通話は切れ、蛍丸はアルトと詩乃に問いかけてきた。
「近くのファミリーレストランで待っている、夏を満喫しよう、来たければ来てね、ということです。どうしますか?」
「私は、蛍丸様の行くところについていきますわ」
「あ、私も行く! ……えっと、冷房の効いたところにそろそろ行きたいと思ってたのよね!」
 そうして、意見の一致をみて歩くのを再開しながら、詩乃は『?』マークを頭に浮かべた。
「来たければ? 夏を満喫する……? お二人は、何をしているのでしょうか……?」
 そういうわけで、休憩ついでに、呼ばれた先であるファミレス《ベルカナ》に向かったのだった。

 《ベルカナ》の六人掛け席では、一ノ瀬 春翔(aa3715)とアリス・レッドクイーン(aa3715hero001)が、三人の到着を今か今かと待っていた。蛍丸たちが席に着くか着かないかのうちに、アリスが意気込んで語り出す。
「夏が終わるのに! 夏を満喫してない! これは…なんて由々しき問題……! だと気づいたのよ」
「海とか山とか行ったろって言っても、聞かなくてな」
「それは依頼で、でしょー! 遊びに行きたいのー!」
三人の前で力説するアリスと、それをたしなめる春翔。
「それで僕たちを誘ってくれたんですね」
「巻き込むのは……とも思ったんだけどな」
 蛍丸の言葉に顔をしかめてそう返す春翔に、なぜかアリスは自慢げに胸を張った。
「ふふん! 来たければ来てねって言って、来てくれる人がいたじゃない!」
「……迷惑かけて悪いな」
「いえいえ、元気なのはよいことですわ」
 春翔の苦悩とそれを慮る詩乃をよそにアリスは、鞄からステープラーで簡易製本された冊子を取り出す。表紙にでかでかと「なつやすみのしおり」と書かれているそれを、アルトはめくってみた。堂々たる文字で、旅の抱負が記されている。
 《我ら二人は! この夏なんにも夏っぽい事をしていない――と、いうことで! この機会にそれらしい事詰め込んでみました★》
 《準備に3日、出発後4日のスーパーギチギチスケジュールで超弾丸旅行したいと思いまっす!》
 《海、プール、キャンプ、お祭り、花火大会! これらをドサッとやるので、気合入れていこうね?》
 このすさまじいしおりに、
「お得な感じだな!」
 アルトが食いつき、
「……挑戦しがいがありますね……」
「ガッツですわ、蛍丸様!」
 蛍丸と詩乃が何らかのマインドを刺激され、
「やるしかないのか……」
 春翔は苦い顔で決意し、
「じゃ、けってーい!!」
 アリスは意気揚々と宣言する。かくてここに、弾丸旅行A(アリス)チームが誕生したのだった。――なお、移動中に睡眠を取るゼロ泊スケジュールと、一箇所につき数時間(現地での準備と撤収含む)という苦行っぽい、というかほぼ苦行のスケジュールにより、帰路につく頃には全員「タノシカッタDEATH」と繰り返すのみの、死屍累々のありさまであったことを、ここに書き添えておく。
『来年は、もっと余裕持とう……ね』
『お前がそれを言うのか……』
 帰り着いたときのアリスと春翔は、そう述懐したという。


 そんな彼らの未来を知るよしもなく、別の席には……カップルが一組いた。
「あっぢー……」
「ちょっと外を歩きすぎたかしら? 全然汗が引かないわね」
 狒村 緋十郎(aa3678)とレミア・ヴォルクシュタイン(aa3678hero001)。追われる締め切りのない二人は休日デートをエンジョイしていたが、吸血鬼なので暑さもへいちゃらなレミアと違い、緋十郎がちょっと熱中症一歩手前まで参ってしまったため、通りがかった《ベルカナ》に急いで入ってきたのだ。
 店内の四人掛けテーブル、そのベンチシート側を二人で並んで占めてアイスコーヒーを飲みながら、レミアがその死人体温で緋十郎を冷やそうと試みている。具体的には、額や首筋に手をやったり、手を握ったり、とにかくカップルのように(実際カップルだが)密着していちゃいちゃしていた。
 そしてそこに現れたのは、中肉中背の謎めいた男。間の悪いことに、周囲には人の流れが途絶えている。男は胸元から身分証――警察手帳を出した。私服警官らしい。
「君、二・三、質問いいかな?」
「……はあ」
「職業は?」
「H.O.P.E.のエージェント」
「証明できるものは?」
「あるが、なんだ突然」
 職務質問をいぶかしがる緋十郎に、警官は眉間に皺を寄せる。何を言っているんだお前は、とでも言いたげだった。
「……通報があってね。このファミレスで事案が発生していると」
 どうやら、いかつい顎髭おっさん(ガラの悪そうなシャツ)&小柄で金髪のローティーン美少女(半袖黒セーラー服)という犯罪臭あふれる二人の絵面が、店の傍を通りがかった通行人に見とがめられたらしかった。
「……事案だと? 何を訳の分からんことを」
 やましいことなど何もない(なにせ夫婦なのだ)、と、猛獣の如き鋭い眼光で緋十郎は警官を見据え、力強く宣言した。
「レミアは俺の嫁だ!」
 ――まごうかたなき真実だが、この状況でその表現は非常にまずいということに、残念ながら緋十郎は気づかなかった。
「……ちょーっと悪いんだけど、署までいいかな?」
「え!?」
「お嬢さん、大丈夫? 変な事されなかった? ネットで会おうって言われたの?」
 警官の言葉にレミアはやれやれ、と大きなため息をつき、身分証を提示する。その左手薬指には、赤く昏い地金の指輪が光っていた。
「あのね、わたしはH.O.P.E.所属の英雄で、実年齢は千歳越え。なんの問題もないわ」
「い、いやしかし、英雄といっても」
「詐称もズレもないわよ、認定されてるから。確かめてみて」
 警官は身をかがめ、身分証を検分する。
「……パートナーで……それにええと、旧姓?」
「そう、わたし達はリンクするパートナーで、そして役所に婚姻届を受理されてる夫婦なの。わかった?」
「……し、失礼いたしました。ご両人とも、よい休日を」
 無礼を詫びてすっと去って行った警官を、二人は目線で見送る。緋十郎の汗も、今ので肝が冷えたのか、だいぶ収まっていた。そこにタイミング良く、アイスクリームが運ばれてくる。
「お待たせいたしました、日替わりアイスクリームの盛り合わせです」
 テーブルに置かれた色とりどりのアイスと、ウエハース二本。レミアはさっそくその蒼白な顔色に喜色を浮かべながら舌鼓を打ち、緋十郎は微笑んで、その横顔を見つめている。
「んー、おいしい! ほら、緋十郎も一口どう?」
 午後の陽が、幸福そうに笑い合う二人を窓越しに照らしていた。


 そんなドタバタの中で《ベルカナ》の制服である短めのスカートを翻し、その可憐な姿で忙しく立ち働くのは、月鏡 由利菜(aa0873)だ。レミアにアイスクリームを給仕したあと、春翔たちの席から空になった皿を下げ、そのまた次はスープバーの補充、と休む間もない。それでも、ピークを過ぎた頃にはゆったりと動くことができるようになった。
 そうした午後遅くに由利菜は、客として席に座り、ノートPCと共に報告書製作に悪戦苦闘するリーヴスラシル(aa0873hero001)へ、追加オーダーのコーヒーを持っていく。
「順調ですか?」
 リーヴスラシルは、曖昧に首を横に振る。眼精疲労がひどいのか、目頭を押さえる指の間から見える眉間には、縦皺が大きく刻まれていた。
「アル=イスカンダリーヤ遺跡群についての事後報告に加え、生徒達が受けた依頼結果の纏め。提出すべき書類が多すぎて、タイピングが追いつかん……」
 由利菜が生徒、リーヴスラシルが教師として通う《テール・プロミーズ学園》。リーヴスラシルはこの学園へ、エージェントの生徒や自身の参加した依頼について、報告書を提出する義務を負っていた。しかしこのところ、その提出も遅れがちだ。知らず、由利菜の眉間にも皺が寄る。
「私も、今週はこの前の補填で多めにシフトを入れてますが、HOPEの任務も増えていますし……」
 いずれにせよこの頃は、二人とも大規模作戦後の負担が大きくなりすぎている。
「生活が回らなくなる前に、何か策を講じなければな」
 だが、どうやって? その言葉に由利菜の眉間の皺が深くなるのを、そっとリーヴスラシルがしなやかな指で伸ばす。
「ユリナ、勤務中だろう? お客様には笑顔で、だ。……大丈夫」
「……は、はい!」


 〆切りに追われる者、追われぬ者。それぞれが平穏に過ごす一日が、そこにあった。

●8月27日
 〆切りを倒すために、闘う戦士たちがいる。

「梅とおかかと、お塩と鮭……このくらいで良いでしょうか」
 そこに並んでいるのは、たくさんのおにぎり。紫 征四郎(aa0076)が心をこめて作った、〆切りを倒すべく奮闘している戦士への差し入れだ。背後ではオーブンがクッキーを絶え間なく生産し、砂糖と塩のぬかりない布陣が完成していた。粗熱を取って容器に詰め、鞄に入れて出かける前に、仕事中のガルー・A・A(aa0076hero001)に一声かける。
「ガルー! おにぎりとクッキー、上に置いておくのですよ!」
「……あ"ー、わかった……」
 征四郎は〆切りに追われているであろう、あの人を想う。
「お仕事、進んでいるとよいのですが」

 その征四郎に想われている当人――木霊・C・リュカ(aa0068)は、明後日(29日)が締切の、とある出版物の校正業務に追われていた。スケジュールには余裕を持たせていた、つもりなのだが、あの依頼この依頼とエージェントの仕事を入れているうちに、いつのまにかここまで来てしまった。現在の進捗は68%、引きこもりで三徹目である。そのあまりの様子に、このあと予定があるはずのオリヴィエ・オドラン(aa0068hero001)に真剣に心配されている。
「……手伝えることはあるか?」
「大丈夫、大丈夫だよオリヴィエ……差し入れ持っていくんだろう? 僕は大丈夫、行っておいで……」
 目の下のクマと大丈夫連呼はあまり大丈夫ではなさそうだが、さりとて手伝えることもなさそうだ、とオリヴィエは心中で結論づけ、うなずいて家を出た。コンビニへ入ろうとすると、同じく自動ドアに並ぶ者がいる。柳生 楓(aa3403)だ。
「あ、オリヴィエ君。おでかけ?」
「……ああ、ちょっとな。あんたは?」
「私? 私はですね、みんなで勉強会をするから、その買い出しを」
「勉強会?」
 耳慣れない単語に不思議そうな顔をするオリヴィエに、楓はうん、と頷く。
「宿題ができてないひとや、勉強したいなーって人を集めて、みんなでがんばる会なんです。三人寄れば文殊の知恵、とも言いますしね」
「モンジュ……?」
 外国人か? と首をひねるオリヴィエ。インド人だと思うよ? と、楓はにっこり微笑んで、買い物がてらその意味について解説するのだった。

 そして買い物を終え、戦士たちはそれぞれの戦場にたどりついた。
「えーっと、それでは、勉強会を始めたいと思います!」
「茶とジュースは飲み放題だ。でも、飲み過ぎて腹下すなよ?」
 飛岡 豪(aa4056)の営む《グッドマン探偵社》のラウンジは、今は子供たちの勉強のために解放されている。その一角で楓と豪が音頭を取り、この頃各地で盛んな、小さな〆切り大戦が始まった。
「では、わらわの宿題を見よ!」
 まず声を上げたのは、古賀 菖蒲(旧姓:サキモリ(aa2336hero001)だ。やたらと自慢げに『夏休みの友(小学三年生相当) 作:防人 正護(aa2336)』と書かれた手作りとおぼしき冊子を取り出して広げると、驚くことに、
「この、驚きの白さ!」
 何も書かれていなかった。40ページ、まるっと白紙である。一瞬絶句した楓は、正護がこの状況を放置していたことを不思議がる。それに対して菖蒲はこともなげに答えた。
「ああ、あやつなら『なまけもののせっきばたらき』というものをしておる」
「怠けてはないよね? ていうか、また働きづめなんだ……」

 そのころの正護はまさしく節季働き――――
『今やらなきゃ、あとがキツく……いや、今ももうキツいのか……? 今は昼なのか、夜なのか……?』
『しゅにーん、ここのアレがアレなんですけどー』
『主任じゃないし、お前はもう寝ろ! あとは俺がやる!』
 ――――遅い盆休みを取れそうな時期に至ってなお、終わらない残業(夜勤のはずだったがなぜか連勤記録更新中)に追われていた。……グロリア社に、労働基準監督署の査察が入らないものだろうか。

 ということで、菖蒲の状況は惨憺たるものだ。さすがに教える教えないの領域を越えているので、豪がつきっきりで教えることになった。見るに見かねた、というやつである。
「ろくいちが、ろくいちが、」
「六個の飴が一つのケースに入っていたら?」
「ろく!」
「じゃ、そのケースが二つあったら?」
「ろく!」
「なぜそうなる!」
「片方のケースのは食べたからじゃ!」
「ほほう、菖蒲よ、引き算はできるようだな」
「うぐ!」
「焦るこたぁない、じっくりいこう。6と6を足すと?」
「ろくじゅうろく!」
「なぜそうなる!?」
 ……道は遠い。

「宿題……いっそ、剣で亡き者にしちまえば……」
 勉強会のテーブルのもう片方で、物騒なことをのたまいながら頭から白煙を出しているのは、東海林聖(aa0203)だ。
「そうだ! リンクバーストで頭を良くすれば!」
「ならないならない……ていうか、自分でやらないと、ヒジリーのタメにならないでしょ」
 窮地のひらめきをパートナーのLe..(aa0203hero001)にあっさりと却下され、聖はううう、と頭から白煙を出す作業に戻る。ちなみに菓子を頬張りつつも、もっともらしいことを言っているように見える。が、Le..にもだいたいわからないので無駄だったであろう。ゼロとは言わないが、小数点以下を掛け合わせてもどうにもならないのだ。
「まぁ、頑張って……ルゥは、このお菓子食べてていい?」
「聞きながらもう食ってるじゃねーか! オレが買ってきたのに!」
 そう、お菓子は刻一刻と減りつつあった。このままでは豪がお菓子で釣りつつなんとか宿題を進めている菖蒲の集中力が危険で危ない、それに自分たちの食べる分が。そう誰もが危惧した、その時であった。

「ヤギュウ! 調子はどうですか?」
 征四郎という救援がやってきた。籠にこんもりと入った大きく素朴なクッキーたちに、わっと場の空気が沸き立つ。
「ありがとう、征四郎さん」
「どういたしまして、なのです! ヤギュウもみんなも、あまりこんつめちゃだめ、ですよ?」
「うむ、休憩するのぢゃー!」
「あ、こら、漢字書き取りが誤字だらけだぞ! 字は綺麗なのにどうしてこうなる!?」
 ともあれ、ブレイクタイムということになった。皆が征四郎の手作りクッキーに舌鼓を打つ中、勉強に関しては眺めているだけだった氷室 詩乃(aa3403hero001)が、そう、ふっと気づいたかのようにその話題を切り出した。
「ねぇ楓、あの人とはあれから進展あったの?」
 けほっ、とむせる音がする。慌ててジュースで口を湿らせながら、楓は慌てて詩乃に向かって反駁した。
「い、今関係ないじゃないですか!」
「だって気になるもん。教えてよー」
 楓が焦りながら回りを見渡すと、興味津々の目がちらほらと。特に征四郎の『ヤギュウは大人のレディなのです』という期待の目が、重い。突っぱねるわけにもいかず、耳まで赤く染めながら楓はぼそぼそと語る。
「し、進捗って言われても……精々夏祭りに一緒に行ったぐらいしか……」
 楓が視線を彷徨わせると、でーと! と言わんばかりに頬を染めながら聞いている征四郎と目が合った。他の皆も、ふむふむといった様子でこちらを見ている。
「おお、甘酸っぱいのぅ! いよっ、青春!」
「からかわないでください!」
「青春か……てか、アイリスなんかは結婚してたよな。おめでとうな」
「ふふん、人妻の魅力も加わったわらわに敵はないのじゃ!」
「九九言えてないけどな。っていうか、いくつから結婚できるモンなんだ?」
 聖の疑問に、豪がトントン、と積まれた教科書の山を指で叩いた。
「公民の教科書の真ん中あたりだ」
「……ああ、教科書載ってるっけ…?」
「載っているとも。休み明けのテストに出るかもな?」
「げー!? 宿題も終わってねェのに……!」
「そんなことよりおうどんたべたい!」
「お前はゆっくりしている暇はないだろう! ……寝るなー!」
「がんばってくださいなのです!」
 征四郎がエールと共に探偵社を辞したあとも、賑やかな勉強会は続く。
 なお、行く末が不安な二人のうち、聖はなんとか宿題をすべて消化することができたが、菖蒲は豪の奮闘むなしく、残り五分の一が白紙であったことを、ここに付記しておく。


 探偵社を後にした征四郎は、次にリュカの救援へと向かった。文字の羅列と闘う戦士にも、休息が必要だ。
「差し入れ、持ってきたのですよ!」
「おおー、せーちゃん! ありがとー!」
 諸手を挙げて、文字通りバンザイで征四郎を迎えるリュカ。征四郎はにこにこと、鞄から容器に詰めたおにぎりとクッキーを並べていく。
「リュカには梅と、おかかおにぎりです!」
「手作り?」
「はい! 形は歪ですけど……心を込めて作りましたので、いっぱい食べてくださいね?」
 心を込めて! そのハートがなによりのごちそうだよ、というベタな台詞は胸の中にしまい、リュカは立ち上がりいそいそと食器の準備を始める。
「ありがとう……これは、手を止めて食べなきゃ罰があたるね! いただきます!」
 むぐむぐ、と音が聞こえそうなリュカの食べっぷりに、征四郎の表情はとても鮮やかに喜びへと染まる。デートにはまだ遠いけれど、想う人に料理を喜んでもらえるというのは、なんて幸福なことだろう! その喜びをそっと胸にしまいながら、征四郎はリュカへ尋ねる。
「手伝えること、ありますか?」
「ううん、大丈夫。あとちょっとだから」
「では、おじゃまでないところで本を読んでいますね」
 言って、征四郎は鞄から一冊の本を取り出した。学校の宿題、読書感想文用に読んでいるものだ。そっと部屋の隅、本越しにリュカを眺められる位置に腰掛ける。それを見て、リュカの頬はほんの少し、喜びとは別種の暖かな感情で緩んだ。――構ってあげられないけれど、おりこうさんなせーちゃんの寂しい気持ち、わかってるからね。そう内心で呼びかけ、そして声を発した。
「これ終わったら、皆で美味しい物食べにいこっか」
「……はい!」

 変なシンクロニシティというものは存在するのだな、とオリヴィエは思った。
「……リーヴィ、来てたのか」
 仕事場の地下室から上がってきて、オリヴィエの片付けた部屋に驚いているガルー。彼の顔はリュカと同じかそれ以上に目の下のクマが濃い。確実に三徹以上はしている。
「いつもより胡散臭い顔に、なってるぞ」
「大丈夫だ、今絶好調だから、もう少しやったら寝るし、大丈夫だ」
 大丈夫連呼まで同じだ。しかも絶好調を自称するあたり、リュカより重症である。
「ガルー、酔っているやつは酔っていないと言うものらしいぞ」
「??? ……ちょ、待ってお前何しようと、」
 ぎりぎりぎりぎり、がく。
 オリヴィエの飛びつきチョークスリーパーが華麗に決まった。絞め落としは癖がついてしまうからあまり使いたくはないのだが、四の五の言ってはいられない。すぴゃー、と一気に深い眠りに落ちたガルーをオリヴィエは横抱き、いわゆる「お姫様だっこ」しようと(嫌がらせで)試みるが、
「ふんぬぬぬ……!」
 ど根性で持ち上がらないことはないが、188cmを135cmが抱えたら手足がどうやっても地面につく。腕を高く掲げればそれはすでに横抱きでもなんでもない。オリヴィエは諦めてガルーをひきずっていき、掛け布団と敷き布団の間に挟み込んだ。
「……ふう」
 頭を持ち上げて枕をあてがい、ついでに額にかかった髪をすっきりと横に分けてやると、安らかな――クマが濃くて不健康そうではあるが――寝顔が現れる。それを少しの間見つめてから、オリヴィエは部屋の掃除を再開した。

 結局、まだ気が張っているのか、一時間半程度でガルーは目を覚ました。
「あー……、よく寝た」
「気絶だけどな」
「それでも寝ないよりマシだったわ。あとは書類まとめたら終わりだから、お茶淹れてくる」
 立ち上がって一歩、振り返って、微笑み。内心で、息抜きさせてくれてありがとな、と感謝する。
「ゆっくりしてけ」
 ガルーの言葉に、オリヴィエは黙って頷いた。


 そしてその他方、〆切りを始めるために、集う者たちがいる。
「ヨウ兄、おじさまとおばさまに会いにいきましょう」
「えぇ……?」
 国塚 深散(aa4139)が手にした改造ガラケーで〆切りを告げると、予想通り、佐藤 鷹輔(aa4173)は難色を示した。
「いや、俺はさ、いろいろあるし」
「わかっています」
 リンカーとして覚醒した直後に人柄が激変した彼の家庭のいざこざは、かつて家族ぐるみで仲良くしていた深散の知らぬところではない。だが、ここで退くわけにはいかないのだ。
「ですが、今度のおばさまの誕生日に会わなければ、ヨウ兄はいつまでも会いそうにありません。……私もいます。大丈夫です」
 常の深散からは想像しづらい、懇願するような口ぶりに、鷹輔は思案する。――自分は"佐藤鷹輔"の願望から生まれた人格。そのオリジナルが願ったゆえに、両親への愛情はある。が、両親からしてみれば自分は他人でしかない。それを、深散は自身が緩衝材になって、なんとかその齟齬を埋めてくれようとしているのだ。家族を失った今、寄る辺である鷹輔と、鷹輔の家を失わないためにも。
「……ま、深散のたっての頼みだ、行くしかねーか」
「!」
 その答えに、深散はその物静かな口調に喜びと逸る心をにじませて、矢継ぎ早に話し始めた。
「誕生日は29日、あと2日です。明日にでもプレゼントを買いにいきましょう。待ち合わせ場所は――」

●8月28日
 一夜明けて、深散と鷹輔は街を当てもなくぶらついていた。
「……休業」
「駄菓子屋で誕生日プレゼントもないだろ」
「それはそうですが」
 シャッターの下りた駄菓子屋で深散が思案していると、ふと鷹輔がすっとスマートフォンを深散の眼前に差し出した。画面を覗くと、雰囲気のよさそうな小さな雑貨店が写っている。情報サイトに掲載されているそこは、評判もいいようだった。
「ほら、この店なんかどうだ」
「むむむ」
「何がむむむだ? 気に入らないのか?」
「いえ、良さそうなお店です。さっそく行ってみましょう」
 スマホの分際で生意気だ、という言葉は飲み込んだ。言えば機種変更すればいいのに、と言われるのがオチだからだ。ガラケーを崇拝する者として、それは避けたい。とガラケー信仰を確認しているうちに、件の雑貨店へとたどり着く。ショーウィンドウには、愛らしい民芸品や趣のある布地の小物が並べられていた。入店からほどなくして、二人は店主に見送られて店を出る。
「誕生日らしくないプレゼントになってしまいましたね」
「プレゼントはプレゼントだろ。誕生日らしいも何もあるかよ」
 鷹輔はそう憎まれ口を叩いたが、それでもその手は綺麗にラッピングされた箱を、大事そうに抱えていた。


 さて、駄菓子屋が休業していたのには、理由があった。
「白虎ちゃんはどっか散歩行ってて!」
「う、うむ……では少し散歩してくるでござる」
 そんなやりとりで白虎丸(aa0123hero001)を家から閉め出した虎噛 千颯(aa0123)は、机にかじりついていた。白虎丸を"ゆるキャラ"として公認してもらうための一歩、促進会のプレゼンテーションに向けての資料作成が大詰めなのだ。
「イベント出演……グッズ展開……認定後の経済効果……あああ、手が、手が足りない!」
 猫の手も借りたい状況だが、英雄の手は借りない。白虎丸本人がゆるキャラではない、と固く主張しているので、このプレゼンのことを話すわけにはいかないのだ。話したら猛抗議を受けてしまう。あんなにゆるいのに、ゆるキャラなのにとぼやきながら、千颯はペンを滑らせる。
「まず手始めにぬいぐるみと缶バッチからだな……」

 一方追い出された白虎丸は公園で、べそをかくフェックス(aa0178hero001)に遭遇していた。
「フェックス殿、どうかしたでござるか?」
「……ロックに、『明日遊びに行きたいぞ~……』って言ったら、追い出されたんだぞ……」
 ロック、すなわち神鷹 鹿時(aa0178)はこの時、高校で出された課題の追い込みをしていた。そこに間の悪いおねだりをしたため、「小遣いやるからしばらく一人で遊んで来い!」と家をたたき出されたのだ。だが、〆切りや課題というものに縁の無いフェックスには、いまひとつ鹿時がご機嫌斜めである理由が理解できていないようだった。
「あそこまで機嫌悪いなんて思わなくて……これじゃあ帰りにくい、ぞ……」
「……ふむ……」
 ブランコに座りながら、背中の小さな羽根を力なく畳んでしょんぼりしているフェックス。そして白虎丸は真剣にその悩みを聞き、考えた。――しかし、白虎丸は天然である。
「お腹がすいているのかもでござるよ」
 そのあまりにも斜め上なアドバイスに、それでもフェックスは納得した。こっちも天然である。
「なるほど……! 確かにおなかが空いてると、イライラするものだぞ!」
「そうなると、機嫌を直すには……」
「……おいしい肉だぞ! ありがとうだぞー!」
 白虎丸に一礼をして、フェックスは走ってゆく。その背中を、白虎丸は応援の意味を込めて熱く見送っていた。
「お肉屋さーん! ええと……ロックが喜びそうな美味しいお肉をくださいだぞー!」
「お肉屋さんはもうちょっと先でござるー! 転ばないように気をつけるでござるよー!」

 そうして時は過ぎ、夕暮れ時。
 課題を終え、ちょっと言い過ぎたかな、と鹿時が考えていると、ドアの開く音がする。見ると、
「ロック~、お肉、買ってきたぞー……」
 は包みに貼られた値札を見て驚く。
「上ロースってお前、これ、お金どうした?」
「お小遣いからだぞー」
 今から焼くから待っててほしいぞ! といそいそと台所に駆け込むフェックスに、おい味付け考えてあんのか!? と慌てて鹿時が追いかける。なんだかんだとあって半刻後、食卓にはシンプルな肉と野菜のホットサンドが並んでいた。
『いただきます』
 手を合わせて、ホットサンドを同時にかじる。もくもくと食べる二人の間には、常の食卓らしからぬ静けさがあった。
「……ごめんな、フェックス」
 香ばしいパンと野菜に挟まれた美味い肉をかみしめて、鹿時が先に沈黙を破る。
「八つ当たりしたのはこっちなのに、きちんと俺のこと考えてくれて」
「ううん、オレこそ空気読まないワガママ言って、ごめんだぞ……」
 言って、先ほどからしんみりしている空気を晴らそうと、フェックスはにっと笑ってみせた。
「……っと、暗いとお肉が冷めちゃうぞ! 明るく食べるぞ、ロック!」
 そしてむしゃむしゃと食事を再開するフェックスに、ああ! と鹿時は笑い返して、美味い肉を味わうのだった。


 鹿時の機嫌は直った、だが。
「千颯ー、戻ったでござるー」
「え!? あ、ま、まだちょっと散歩してて!」
「もう日もとっぷり暮れたでござるよ。……いったい朝から、何をしているのでござるか?」
 白虎丸の機嫌はどうだろうか。――今日は、千颯のいちばん長い一日になりそうだった。

●8月29日
 泣いても笑っても月末まであと三日の昼前、涙がちょちょぎれる音がした。
「うっうぅぅ、ふぇあぁあん……」
「人語を話せ。 頭が童(わらし)にでもなったか?」
 あまりに進まぬ課題におもわずべそをかく会津 灯影(aa0273)。そしてその様子を『人の不幸は蜜の味』とばかりにニヤニヤ笑いで嘲る、楓(aa0273hero001)。
「うるせぇよ! っくしょー……大学のレポート課題とかすっかり忘れてたよね……」
「大学」
 楓は暇潰しに読んでいた『陰陽道呪術百選』をぱたん、と閉じる。ん? と灯影が楓のほうを見ると、きょとんとしたその瞳と視線がかちあう。興味深い、とでも言いたげに、その中性的な顔の上方にある狐耳が、ぴくぴくと動いていた。
「そういえば聞いていなかったが、貴様は何を学んでいる?」
「ん?あー、民俗学だよ」
「ミンゾクガク?」
「自分の国の、土着の信仰や風習の学問。日本なら……神道とか、妖怪とか」
 灯影の簡素な説明に、楓の尻尾がぱたぱたと動いた。興味深いのであろう。
「ほう、いい趣味だが……何を見ている? 惚れたか?」
 いやいや、と灯影が首を横に振る。いくら顔立ちが綺麗でもタカり癖のある狐はちょっと、という余計な一言は飲み込んでおいた。
「いやー、楓って妖狐って事はつまり妖怪のお仲間と言いますか?」
「ほう?」
 楓の目がすう、と細められる。耳と尻尾の様子からすれば機嫌が悪いわけではないようだ、と灯影は言葉を続けた。
「こう、手伝って頂ければ俺の課題もちゃちゃっと終わるんじゃないかと」
「ふん、予想通りの短絡思考よな」
「な? ね! お願いします傾国の妖狐様!」
 溺れる者は藁をもつかむ、少なくとも目の前の狐男は藁よりは絶対頼りになる。あとが怖いが、単位を落とすよりはマシだ。当の狐男は、指で自分の顎をなでさすりながら、人を食ったような笑みを浮かべていた。
「……貴様の苦しむ姿を肴に一杯やるつもりでいたが、それが『望み』であるのなら無下にもできん」
「それじゃあ!」
「対価はそれなりのものを期待させて貰おうか」
 うぐ、と灯影の胸がつまる。二人の誓約は『望むものを与えよ』、つまり楓の性格上、貰いっぱなしは許されない構造になっている。何を要求されるやら、と灯影はトホホ気分であった。
「お前本当いじわるな……! わかったよ、でもしっかりばっちり手伝って貰うからなっ」
「当然だ。そら、筆を持て」
「え? あの、ちょっと休憩してからが、いいなー……って……」
「我は待たんぞ」
 ふぇあぁあん。課題の〆切り破りを回避できたにもかかわらず、その一日中、灯影の泣き声は止むことがなかったという。


 そんな騒ぎが観測された時刻の別の場所、静かな住宅街に歩みを止めた影があった。
「六年ぶり、です。……お元気でしょうか」
「元気さ」
 鷹輔の実家の玄関に、二人は佇んでいた。どちらもなんとなく、動き出すタイミングをつかみかねている。
「夫婦茶碗、喜んでくれりゃいいが」
 誰にともなく鷹輔は呟いた。思えば、オリジナルも自分も、親孝行などしたことはなかった。これは、まぎれもなく初めて"佐藤鷹輔"が経験することだ。その戸惑いともつかない感情を知ってか知らずか、深散は鷹輔に微笑みかける。
「きっと、喜びます」
 すうっと息を吸い、深散はインターホンを鳴らす。――スピーカー越しに、受話器を取る音がした。

●8月30日
 夏が終わりゆくころ、〆切りを終える者たちも多い。

「見違えましたね」
「ねっ」
 縁とウィンクルムが、整えられた部屋を見てうんうんと頷く。
 今日までの作業で、補修した壁にクロスを貼り、水回りを整え、照明をソケットごと取り替えた。最後にくまなく清掃して傷埋めし、仕上げにワックスをかけた床が、新たな住人の来訪を待っている。
「建物は古いけど、お部屋は新築みたいって思ってもらえたらいいな」
 ワックスの乾燥を待ちながら、縁はうきうきと語った。


 〆切りを終えるために、奔走する者もいる。
「お邪魔します!」
 《グッドマン探偵社》のラウンジで連日開かれている勉強会に、若葉は手土産代わりのおやつを携えて訪れた。最後の仕上げを、
「図書館が混んでて……助かりました……」
「この時期は、図書館等も利用者で一杯だろうからな。あいつらも似たような理由だ」
 見ると、目的を同じくした子供たちが事務所のラウンジに数人いる。ソフトドリンク飲み放題、という太っ腹な所長に感謝しながら、みな一心不乱に筆を走らせていた。
 若葉も席につき、真剣に課題を進めていく。が、
「おにーちゃん、ここってどう解くの?」
「これはだな……」
「すみません、ここの設問でちょっと……」
「あ、ここの読み解きはこうだよ。他で詰まってるとこある?」
 他の子供の質問に律儀に答えてしまい、手が止まっている。
「……そんな余裕ないだろうが。自分の課題に集中しろ」
「そうそう、ミイラ取りがミイラになるって感じだぞ、今のは」
 豪にも指摘され、うう、と呻いた若葉は気を取り直して自分の課題に戻る。子供たちもラドシアスが質問を引き受け、思い思いに宿題を進め始めた。
「まあ、その進み具合なら大丈夫だろう。……あいつに比べりゃ、大天才さ……」
 遠い目をする豪。何があったんですかとは、とても問えない若葉であった。

 そして、その日の夜。
「終わったー!」
 机に突っ伏して、若葉が大きく息をつく。家に帰ってからはラドシアスの助けを大いに借りながら追い込みをかけ、完全に課題を完成させることができたのだ。
「……間にあったか」
「うん、助かったよ! ありがと、ラド!」
「なら、よかった」
 愛想こそないがそこはかとなく柔らかい態度のラドシアスに、若葉は感謝の念を込めて明るい笑顔を向け、こぶしを展に突き上げて宣言する。
「よし、明日は思いっきり遊ぶぞー!」
「休みはもう最終日だけどな」
 行き先はいつものゲームセンター、《Lin CLASS》だ。何して遊ぼうか、と、わくわくしながら若葉は久々に穏やかな夜を過ごすのだった。


 〆切りを、今し方終えた者もいる。
「ここ最近で、一番ハードだった……」
 レイ(aa0632)は、空調の効いた部屋で椅子に体をもたせかけていた。普段から世話になっているライブハウスでの夏イベントが、終わりを告げて小一時間ばかり経つ。機材の撤収も完了し、今はバンドメンバーの皆もひといきついていた。
「……夏の曲、うまくいったな」
 そう自分に声を掛けてやる。夏嫌いのレイだが、それでも夏の詞と曲をひねり出さなければいけなかった。毎日、毎晩、防音室に籠もる日々。空調が効いているので、夏を感じることもない。それでも夏の詞と曲をひねり出さなければいけない。刻々とやってくる〆切りに、何度呻いたか知れない……絶対に、無理だと思っていた。
 けれど、やりとげた。今こうやってその辛さを思い返すことができるのも、イベントが予想を上回る盛況だったからだ。ファンの声援、場の熱気、共鳴する熱狂。――あの瞬間、自分たちは夏だった。音楽も季節も、その瞬間だけにしか見いだせない魅力がある。そばにありすぎて忘れていたそのことを、思い出すことができた。
 自分は、いや、自分たちはファンに、その瞬間を魅せることができているだろうか?
「できてれば……いいよな」
 少なくとも、今日という日に、ファン達に夏を届けることはできた。そう自分の心に声をかけて、レイは曲作りを支えてくれた、そしてライブを共に戦ってくれたバンドメンバーたちに改めて礼を言おうと、椅子から立ち上がった。


成すべき事を成し終えて、彼らの日常は過ぎていく。

●8月31日――そして来月は今月に変わる
 泣いても笑っても最終日、時計の刻みさえゆるやかに感じる今日、多くの者の悲喜交々がここに集まる。

 時計の針は"12:00"、縁とウィンクルムが進めてきた部屋の補修は、仕上げが終わろうとしていた。室内の最終点検を終え、玄関扉の鍵を交換する。
「使い回さないのは、防犯上のことも、あるけど……その入居者さんだけの鍵、にしたいんだよね」
 たとえ仮初の住居でも、住むうちはその人の家だから。その言葉に、なるほど、とウィンクルムは黙して頷いた。
「さて、お疲れ様。ウィンがいてくれて良かった……ほんとに、ありがとね」
「お役に立てたのならば、何よりです」
 ウィンクルムの真面目な返答に、縁はくすりと微笑む。
「ふふ、今日のお夕飯はちょと奮発しちゃおうか。明日は大仕事が待ってるからね」
「大仕事?」
「うん、ようこそと、ありがとうを、めいっぱい込めてのお出迎え」
 くすくすと笑みを絶やさない縁。ウィンクルムの頬も、目の前の柔和な青年とよく似た柔らかさで緩んでいた。
「確かに、それは大事ですね」


 時計の針は、"15:15"、天宮 愁治(aa4355)の顔は蒼白であった。督促状、いやさ最後通牒を見て、蒼白であった。
「不思議そうなお顔ですね、ご主人様。まるで、『なんで出したはずの依頼報告が催促されるんだ』といったような」
 ヘンリカ・アネリーゼ(aa4355hero001)はその顔色に全く触れず、淡々としている。
「ご安心ください、何も不思議はありません」
 何? と振り向く愁治に、ヘンリカは平然とした顔で続けた。
「――単に、私が提出の際に道草をして、そのまま忘れただけなのですよ」
「この駄メイドがああああああああああああ!」
 愁治の罵倒と己の怠慢を一切意に介さず、ヘンリカは取り落とされた最後通牒を読み上げる。
「期限は本日17時まで、HOPE受付まで直接提出せよ、とのことです。今からだと……能力者が全力で走れば、間に合うかもしれませんね」
「……もし間に合わなかったら?」
 ヘンリカはその問いに、さもこの事態が、羽根布団ほどの重みしかないような表情で答える。
「罰金及び、エージェント資格の一定期間停止、とあります。それでは、とっとと参りましょうか、ご主人様」
「ふざけるなあああああああああああああああああ!!」
 愁治の絶叫とともに共鳴が行われ、道なき道を踏み越え、信号は半ば無視し、愚神と戦った時ですら覚えなかった焦燥感を胸に、都会というジャングルを駆けに駆け抜けてゆく。目撃者によれば、時計が"16:59"を指す瞬間に受付に駆け込んで茶封筒を叩きつける褐色エルフ耳メイドの姿、それはまさに2時間映画のラストシーンさながらだったという。


 時計の針は、"20:50"、ガイ・フィールグッド(aa4056hero001)は、とある劇場の舞台袖に居た。
「どこまで、やれるか……」
 その声は常になく重い。遡るは一週間前、知り合いの劇団の危機に買って出た無茶な助太刀。
 倒れた役者の代役を、公演直前の一週間の稽古で務めあげる――かかる舞台はかのシェイクスピア作『真夏の夜の夢』、演ずるはこの戯曲を決定的なものたらしめるもののひとつ、妖精のパック。あまりにも、あまりにも無謀。
「……何弱気になってるんだ……気合だッ! 燃えるぜッ! ファイヤーッ!」
 パックが熱血してどうすんだ、もっと飄々と! と隣から小声で檄が飛んだ。いかんいかん、と集中をやり直す。聞こえてて来るのは客席のざわめき、そして開演ブザー。高まる緊張の中で、ガイは大きく息を吸って吐く。待っている者のために全力を尽くす、それがヒーローの務めだ――今の役どころは、トリックスターではあるのだが。


 夏の未練は置いてゆけ、新たな舞台の幕が上がるぞ! ――君の秋は、どんなふうになるのかな?

結果

シナリオ成功度 成功

MVP一覧

重体一覧

参加者

  • 『赤斑紋』を宿す君の隣で
    木霊・C・リュカaa0068
    人間|31才|男性|攻撃
  • 仄かに咲く『桂花』
    オリヴィエ・オドランaa0068hero001
    英雄|13才|男性|ジャ
  • 『硝子の羽』を持つ貴方と
    紫 征四郎aa0076
    人間|10才|女性|攻撃
  • 優しき『毒』
    ガルー・A・Aaa0076hero001
    英雄|33才|男性|バト
  • 雄っぱいハンター
    虎噛 千颯aa0123
    人間|24才|男性|生命
  • ゆるキャラ白虎ちゃん
    白虎丸aa0123hero001
    英雄|45才|男性|バト
  • キノコダメ、絶対!
    神鷹 鹿時aa0178
    人間|17才|男性|命中
  • 厄払いヒーロー!
    フェックスaa0178hero001
    英雄|12才|男性|ジャ
  • Run&斬
    東海林聖aa0203
    人間|19才|男性|攻撃
  • The Hunger
    Le..aa0203hero001
    英雄|23才|女性|ドレ
  • 美食を捧げし主夫
    会津 灯影aa0273
    人間|24才|男性|回避
  • 極上もふもふ
    aa0273hero001
    英雄|24才|?|ソフィ
  • 来世でも誓う“愛”
    麻生 遊夜aa0452
    機械|34才|男性|命中
  • 来世でも誓う“愛”
    ユフォアリーヤaa0452hero001
    英雄|18才|女性|ジャ
  • LinkBrave
    ヴァイオレット メタボリックaa0584
    機械|65才|女性|命中
  • 鏡の司祭
    ノエル メタボリックaa0584hero001
    英雄|52才|女性|バト
  • Sound Holic
    レイaa0632
    人間|20才|男性|回避



  • 共に歩みだす
    皆月 若葉aa0778
    人間|20才|男性|命中
  • 温もりはそばに
    ラドシアス・ル・アヴィシニアaa0778hero001
    英雄|24才|男性|ジャ
  • 永遠に共に
    月鏡 由利菜aa0873
    人間|18才|女性|攻撃
  • 永遠に共に
    リーヴスラシルaa0873hero001
    英雄|24才|女性|ブレ
  • 水鏡
    榛名 縁aa1575
    人間|20才|男性|生命
  • エージェント
    ウィンクルムaa1575hero001
    英雄|28才|男性|バト
  • グロリア社名誉社員
    防人 正護aa2336
    人間|20才|男性|回避
  • 家を護る狐
    古賀 菖蒲(旧姓:サキモリaa2336hero001
    英雄|18才|女性|ソフィ
  • 愛しながら
    宮ヶ匁 蛍丸aa2951
    人間|17才|男性|命中
  • 愛されながら
    詩乃aa2951hero001
    英雄|13才|女性|バト
  • これからも、ずっと
    柳生 楓aa3403
    機械|20才|女性|生命
  • これからも、ずっと
    氷室 詩乃aa3403hero001
    英雄|20才|女性|ブレ
  • 緋色の猿王
    狒村 緋十郎aa3678
    獣人|37才|男性|防御
  • 血華の吸血姫 
    レミア・ヴォルクシュタインaa3678hero001
    英雄|13才|女性|ドレ
  • 生命の意味を知る者
    一ノ瀬 春翔aa3715
    人間|25才|男性|攻撃
  • 生の形を守る者
    アリス・レッドクイーンaa3715hero001
    英雄|15才|女性|シャド
  • 奇跡のロリ未亡人
    マリアンヌ・マリエールaa3895
    獣人|12才|女性|命中



  • エージェント
    幻・A・ファビアンaa3896
    獣人|10才|?|命中



  • 夜を取り戻す太陽黒点
    飛岡 豪aa4056
    人間|28才|男性|命中
  • 正義を語る背中
    ガイ・フィールグッドaa4056hero001
    英雄|20才|男性|ドレ
  • 喪失を知る『風』
    国塚 深散aa4139
    機械|17才|女性|回避



  • 葛藤をほぐし欠落を埋めて
    佐藤 鷹輔aa4173
    人間|20才|男性|防御



  • 残照と安らぎの鎮魂歌
    楪 アルトaa4349
    機械|18才|女性|命中



  • エージェント
    天宮 愁治aa4355
    獣人|25才|男性|命中
  • エージェント
    ヘンリカ・アネリーゼaa4355hero001
    英雄|29才|女性|カオ
  • 絶狂正義
    ユーガ・アストレアaa4363
    獣人|16才|女性|攻撃
  • カタストロフィリア
    カルカaa4363hero001
    英雄|22才|女性|カオ
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