本部

水着のオネーチャンが見たくて何が悪い!

睦月江介

形態
ショート
難易度
易しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
能力者
6人 / 4~6人
英雄
6人 / 0~6人
報酬
寸志
相談期間
5日
完成日
2016/08/15 17:23

掲示板

オープニング

 7月某日。珍しく平和な1日を過ごしていたとあるHOPE支部で、支部長が手にしていた新聞を机に叩きつけ、宣言した。
「慰安旅行を企画するぞ!」
 突然の宣言に一瞬思考が停止し呆けた表情を浮かべてしまう職員たち。
「と、突然ですね……何故、慰安旅行を?」
 静かに椅子に腰かけ、支部長が理由の説明を始める。
「よく聞いてくれた。この記事を見てくれ」
 支部長が新聞を見せると、そこは経済欄。休日出勤にサービス残業、上司による手柄の横取り……いわゆるブラック企業の実態が掲載された記事を指して、支部長は唸る。
「ほら、ウチも忙しいし所属している能力者諸君にもかなり働いてもらっているだろう? この記事を見ているとあまり働かせすぎもどうかと思ってね……忙しいのはこの支部に限った話ではないが、それでもブラック団体などという悪評が付くのは避けたいし」
 存外、セコい理由だった。だが、労をねぎらおうという発想は悪くない。次に、支部長が見せたのは食事の合間に眺めていた旅行雑誌。
「行き先はここなんかどうだろうか? 海と言えば夏の定番だし、地元の海産物も美味いぞ。高級ホテルというわけにはいかんがこの旅館なら予算的にも良さそうだ。日程はこのくらいで……」
 まるで愚神出現の際のような手際の良さで日程もまとめる。場所は北海道某所、宿泊先は日本海を望む旅館。この時期はさすがに夏なので北海道でもそれなりに気温は高いが、湿度が低くからりとした暑さだ。内容としては浜辺でバーベキューがメインイベントのようだ。
 確かに楽しそうだ、と明るい気分が漂い始めたところで職員の目に留まったのは雑誌の隅にあった記事……そこには『上位入選者には海の幸を始めとした豪華景品! 水着コンテスト開催』と書かれていた。ちゃっかり、コンテストの開催日に旅行の日程が合わせてある。
「やはりこういうイベントは参加してもらった方がいいだろうしな! それに……」
「それに?」
「水着のオネーチャンが見たくて何が悪い!」
 盛大にずっこける男性職員と、支部長に真夏なのに氷点下の視線を浴びせる女性職員。だがそんな視線は気にもせず支部長はドヤ顔で旅行計画を練っていくのだった……。

解説

 ブラック団体呼ばわりされないために企画された慰安旅行です(笑)夏の海を満喫しましょう。選択できる行動は主に2つです。

●浜辺でバーベキュー
 浜辺で地元海産物や野菜、肉を焼いてバーベキューを楽しみます。泳げなくても海は楽しめますよ! 飲み物はソフトドリンク(お茶、コーラ、スポーツドリンク、オレンジジュース)とビールをHOPE側で用意してくれていますがそれ以外が欲しければ持ち込みとなります。

●水着コンテストに出場
 男性部門、女性部門がありますので男性も可。水着コンテストに出場します。この選択肢を選ぶ場合、ポージングや水着のデザインの指定をお願いします。上位入賞目指して頑張りましょう。

 時間的には水着コンテストの方が早く、バーベキューの方が後になるのでコンテストの内容を肴に語り合うのも良いでしょう。一応、バーベキューの準備には時間がかかるので合間に海水浴もいいかもしれません。

リプレイ

●現実は意外とシビア
 支部長のニクい(セコい?)配慮により企画された慰安旅行ではあるが、現地到着前から意外と参加者達のテンションに差があった。神鳥 紅梅(aa3146)や雨堤 悠(aa3239)は明らかにテンションが低いのだ。紅梅と悠については半ば強引に自分達の英雄……雨水 鈴(aa3146hero001)とラドヴァン・ルェヴィト(aa3239hero001)に連れてこられたのだから、支部側は強制ではないと言っていたが実質強制であったのも大きい。
「……帰りたい」
「なんでこのクソ暑い中外になんぞ出ねばならぬのだ……」
 とはいえ態度自体は割と対照的。始まる前から目が死んでいる悠と、勝手に参加申請した英雄にこれでもかと腹パンし息を荒げている紅梅。
「なつやすみにあわせて、りょこうをじゅんびするとは、こころにくい。ほうっておくとユウは、いえのなかでゲームばかりだからね」

 シキ(aa0890hero001)が自分のパートナーである十影夕(aa0890)を呆れたようにそう評すると、乗ってきたのは鈴。
『そうなんだ? 実はこっちも似たようなものなんだよね』
『何だ、お前達もか。実は俺様もなのだ』
 気が付けば参加メンバーの半分が同じ状況……慰安旅行というか特別旅行企画『引きこもりがちな相棒を英雄が引きずってきました』とでもいう方がしっくり来てしまいそうだった。支部長の考えは間違いではないのだが、現実は意外と別方向にシビアなのだった……。

●コンテスト前のひととき
 特に問題もなく、目的の海に到着するとその日差しの強さに夕が意外といった様子で感想を漏らす。
「けっこう暑いね……もう少し涼しいのかと思った」
 いくら日本で唯一亜寒帯に属するとはいえ、北海道も夏は暑い。海で遊ぶにも何ら問題はない……むしろ湿度の低さを考慮すれば不快指数は低めで、遊ぶのにもってこいである。
「仕事したい時に通うリンカーはともかく職員はフツーに役所仕事だからなー、書類に向き合ってばっかじゃストレス溜まるだろー」
 そう考えるとこの日差しのものに連れてきたのはなかなかいい判断ではないか、と鴉守 暁(aa0306)は感心する。だが、まだ到着しただけであり、お楽しみはこれからである。とりあえず時間的には少し待てば水着コンテストがあるので、盛り上がってくることだろう。
「時間あるみたいだから、ちょっと遊ぶ? それとも、コンテスト見る?」
 夕は同行した悠とラドヴァンに意見を求めるが、ここでもやはり2人は対照的だ。
『何だ悠、辛気臭い顔をしよってからに……海だぞ? もっと楽しまんか』
 大いに遊んで海を満喫しようという、テンションが完全に旅行を満喫しすぎている外国人観光客のそれであるラドヴァンに対して、どこか諦めが感じられる、既に疲れ切ったような表情の悠。別に彼に非があるわけではないのだが、どこか申し訳ないと感じるのだろう。夕に対して詫びながら、心底嫌そうに自分の英雄について言う。
「だから言っただろ、うちの英雄はほんと……どうしようもないって」
 そんなやり取りをしている横から、シキが声をかける。
『ふーむ、ラドヴァンとは、きがあいそうだよ。ハルカは、どうしたのだね。うかないかおをしているじゃないか。ユウ、スマホをかしたまえ。しゃしんをとるよ』
「落とさないでね」
夕からスマホを奪ってカメラ起動し、風景などを撮りながらウロチョロ散策を始め、
「クリオネは、いないのかね?」
 なんてことを言っているシキを見て、夕は微笑ましいと思いながらも別の悩みを浮上させる。
(やっぱりシキにもスマホ買ってやらなきゃダメかな……?)
 ファミリーなんとかプランというスマホの料金サービスは英雄も適用内だろうか、と考えながらウロチョロするシキを遠目に気にしておく。ちなみに余談だが、クリオネは非常に冷たい北の海に生息しており、この海でお目にかかれることはない。
 一方、シキの何倍も豪快にマイペースなラドヴァンを見て、以前聞いた悠の言葉を少しだけ思い返す。
(連れてくにも置いてくにも不安って、こーゆーとこかな……?)
 まったくもってその通りなのだが、知らぬは当人ばかりのみ……能力者は能力者で、自分の英雄への悩みをそれなりに持っているようなのだった。
 そんな一幕の裏で、ある種良好な関係とを見せていたのが水着コンテストに参加する面々だ。
『連れて来ちゃえばこっちのもんだよね。あ! それそうそうこーめちゃん水着コンテスト、エントリーしといた、よっ』
「な……水着コンテスト、だと!? 貴様勝手に何している!!」
 紅梅の腹パンが炸裂しぐふっ、と空気を吐き出す鈴。
『だ、大丈夫大丈夫。こーめちゃんスタイル良いし優勝出来るよ!』
「ぬうぅ……まぁ? 妾の美貌なら? 優勝等容易いのは分かっておるが?」
 その褒め言葉に若干目が泳ぐ紅梅。それを見てここぞとばかりに餌をちらつかせる。
『優勝したら三万円分の課金カードプレゼントしちゃうっ』
「課金カード! 約束だからな!」
 致し方あるまい、などと言いながらふっふっふっ、と自信ありげな笑みを浮かべる紅梅……こう言っては何だが、チョロい。
『ふー、紅梅ちゃんはチョロくて助かるな』
 という鈴の声はもう届いていない。同様に自らのパートナーを送り出したのは暁。
「行けぃキャス! キミのデンジャラス・ビーストを見せつけてやるのだ!」
『カシコマリーマスター! ところで、暁は?』
 相方のキャス・ライジングサン(aa0306hero001)を水着コンテストに放り込む一方で、暁本人に参加の意志はないのが服装から丸わかり。チューブトップビキニの上からアロハシャツ、頭にグラサンという海の家にいるおっさんみたいな出で立ちなのだ。
「私? BBQの準備してるよ。酒は確保してやるからー」
 ひらひらと手を振るその様子にやる気は感じられないが、どこか表情は柔らかい。彼女自身も、それなりに楽しみなのだろう。
「水着コンテストとやらは聞いておらぬのじゃが……? 千佳一人で出ればよいのではないかの……」
 紅梅同様聞いていない、と猫柳 千佳(aa3177hero001)に返す音無 桜狐(aa3177)だが、彼女と比べれば怒りよりも戸惑いが勝っているようだった。それを見た千佳は悪びれる様子もなく
『二人で参加した方が楽しいにゃ♪ さあさあ行くのにゃー♪』
 と言って桜狐を引っ張っていく。開始の時間が迫り、賑やかになり始めるコンテスト会場に、ちゃっかり『何なら司会もするよ』なんて言いながら飛び入り審査員に収まっている鈴の姿が見える。白い砂浜に設置された特設ステージはやや小さめだが、地方なのでそこは仕方がないだろう。重要なのはそこに『水着美人が揃っている』事なのだ。開始の合図とともに歓声が上がり、いよいよ水着コンテストが始まった……。

●水着のオネーチャンはいいものだ
 地元であったり、観光客であったりは様々だが能力者達の他にも数人の一般人女性参加者を交えて始まった水着コンテスト、そのトップバッターを飾ったのは紅梅。
「妾に似合う高貴な水着といえば濃紫に紅薔薇柄のセクシーなビキニであろうっ!」
 と自慢げに完璧なバストウェストヒップを強調するポーズで女王スタイルをひけらかしてドヤ顔。
「ふふん、この尻尾も愛らしいであろう、触るでないぞ? 腹パンである!」
 実に、黙っていれば可愛いのに、と思える姿であった。続いて登場したのは、桜狐と千佳。桜狐は褌とサラシ……を止められ白スク(ひらがな名前付き)を着用。小柄さも相まって何というか、ある種マニアックな感じである。千佳は肉球柄で黄色のツーピース水着と、個性が良く出ている。
 ステージに立ったはいいものの、何をしたらいいかよくわからない。なので、とりあえず狐のポーズしてみることに。
「どんな格好すればよいのかの……ええと……コンッ……?」
『それなら僕も……にゃん♪』
 桜狐に合わせて猫のポーズを取る千佳。そのまま愛想を振りまきつつ桜狐の手を引っ張り手を振って歩く。
『ささ、桜狐。皆に水着見てもらうのにゃ♪ よろしくにゃー♪』
「ぬ、別にわしは見てもらわぬでもよいのじゃがの……」
 可愛すぎか。見れば、男性諸氏ばかりか女性までもが愛らしさに悶絶している。そんな一幕を見ながら、ラドヴァンは夕と悠に尋ねる。
『そういえば、お前らああいうのは好かんのか? ん?』
 好きではない、と言えば嘘になる。夕はあえてノーコメント。悠は苛立たしいといった様子でラドヴァンに逆に返す。
「じゃあ、お前はどうなんだ?」
『好きだぞ、女は良い。目で愛でる分にはな。だが俺様の寵愛を受けるに値するかはまた別だ』
 かかと笑う。あんまり見蕩れすぎると嫁達が悋気を起こすからな、などという言葉もさらっと出てくる。元世界は一夫多妻だったらしい。
 そうこうしている間にもコンテストは進み、トリを飾ったのはキャス。その存在感は、圧倒的だった。
『ハーイ! 皆サン私に注目ネー!』
 キャスの水着は黒のローライズなビキニ。頭にはカウボーイハット、ガンベルトに水鉄砲二丁。布面積が少なく、背中が紐だから丸出しに見えかねない! というか下乳出てる! ほぼTバック! という欲望に忠実だった支部長が涙を流して喜びそうな姿。何がとは言わないが実にデカい。しかし、身長も相当デカいのでトータルで見れば相応だったりする。
 パフォーマンスの方も男も女も悩殺を目指した力の入ったもので、まずファッションショーのようにキャットウォーク。その後水鉄砲を上に放り投げて
助走からバク転、銃をキャッチして地上で回し蹴り。そのまま1回転して最後は前かがみで谷間を見せつけながら投げキッス……その刺激は強烈で、貧血で運ばれた男もいるようだった。
 流石に狙い過ぎ感があったのか優勝の地元海産物セットは一般参加者の女性に持っていかれてしまったが、紅梅は高級腕時計を、桜狐と千佳は可愛らしさを評価されたのか花火セットを、キャスは若干もっといけ、という男性審査員の意図が見えるような水着をもらった。成果としては上々といえるだろう。紅梅はこんなはずでは、と文句を言っていたがそれでも商品の中では海産物に次いで高級なものをもらっているので十分に評価はされている。
 こうしてコンテストを堪能している間にもメインであるバーベキューの準備が進められたが、コンテストの進行が予想以上にスムーズだったこともあり、始まるまでにもう一度、ゆっくりできる時間ができたのだった。

●宴の準備は賑やかに
 HOPE職員達がビールケースを運ぶ姿をを横目に、暁は種火になる炭を十分に焼いてうちわでパタパタとあおいで空気を送り、絶妙に調整する。その手際は実に鮮やかで、手伝いに引っ張り出された悠は食材やコップ、飲み物を運べばいいという程だった。
 さらに手際の良さは食材を焼き始める段階にまで及んでいて、時間がかかる貝類は先に焼き、肉と野菜をバランスよく串打ち。塩気のきいたウィンナーに、持参したフライパンを十二分に活用した簡単なおつまみまで作る。コーンバター、鶏肉のニンニク炒め、ハンバーグなど……外で料理を作るのは不慣れな彼にとっては卓越した技術に見えて、思わず目を奪われる。もちろん、引き寄せられるのは見た目だけではない。
「浜辺のシェフ、鴉守さんのステキ料理だー食えー。この肉の焼ける匂いに抗らえると思うなー」
 確かに、準備やら水着コンテストやらで適度に体を動かして、空腹感を覚え始めたところにこの匂いは抗うのが難しい。
『のどがかわいたね。なにか、のみものをおくれ』
 と、準備の合間にドリンクをたかりに来たシキもまだ焼けていない、とわかりつつ手を出したい欲求にかられる。
「ふぅ、海は涼しくてよいのぉ……このまままったり……」
『ただ浮かんでても面白くないにゃ♪』
「ぬわっ……!?」
『せっかく海に来たんだし遊ぶにゃよ♪』
 バーベキューが始まるまでは海でまったり浮いている……つもりだった桜狐もこんなやり取りがあって千佳に水を掛けられ、水の掛け合いになったのだが、ひとしきり遊ぶとが足早に会場へ向かう。
 ガチャガチャと大きな音を立ててビールケースが運ばれてきたのが、宴の合図。支部長の乾杯の音頭とともに、メインイベントが始まった。

●どんどん焼け、どんどん飲め、どんどん食え!
「おーキャスー成果は上々かいー?」
『しっかり皆の目を釘付けにしてキタヨー。水着モラッタ!』
「良かったじゃないか。おらーどんどん食えー。キャスはビールどんどん開けろー」
『ハーイ、ドンドン飲ムヨー!!』
 職員達を巻き込んで、バーベキューというより酒盛りの様相を呈してるキャス。その横でシキの世話を焼きながら自分も舌鼓を打つ夕。
「お肉いらない? 貝もあるよ」
『トウモロコシだ。たくさんとってくれ。ユウも、たくさんたべなさい』
 そんな賑やかさから一歩引いたところで猛烈な勢いでスマホをかちかちと操作するのは紅梅。
「焼くのはリンにやらせて妾は夏イベ走るぞ! リン! 肉! 後魚! ピーマンはいらぬ!」
 水着コンテストや依頼だけが彼女の戦場ではないようだ。
『はい、桜狐。いっぱい取ってきたにゃ♪ あーん、にゃ♪』
「や、普通に食べられるのじゃが……むぅ、あーん……」
 あーん、されたら戸惑いつつも食べさせて貰う辺りが、実に微笑ましい。だが、そんな桜狐は見た目に反して結構な食事量でありそんなギャップにも驚かされる。
『桜狐、相変わらずたくさん食べるにゃね。僕より(色々)小さいのににゃ……』
「……小さいは余計なのじゃ……」
 そんな桜狐の食べっぷりを横目に、熱いのであまり近寄りたくない、と野菜を取って日陰に戻り、食べる悠。その食の細さが気に入らない、とでも言わんばかりに勝手に肉を盛るラドヴァン。彼の食べ方はひたすら肉、時々野菜……だが酒の肴に良い、と海老や貝もそこそこ。
「何勝手に人の皿に……」
 文句を言う悠に、ラドヴァンは呆れたように告げる。
『全く……お前は本当に、楽しみ方を弁えておらんなあ。どれ、俺様に世話を焼かせるな』
「は……? 何言って、お前、ちょ」
 嫌がる悠を無理やり肩に担ぎ上げ海岸の方へずんずんと進む。悠もジタバタするが体格差筋力差でびくともせず、海に放り投げられる。
『よぉし、次は誰だ?』
 酒が回っている面々には良い余興に思えたのだろう。次々と数人が海に投げ込まれる……悠は咳きこみながら海岸に戻り、文句を言おうとするが
大の大人が楽しそうにはしゃいでいるのを見て呆れてしまい、無言で日陰へ戻る。
「やってられるか、あんな奴……だから嫌なんだよ」
 だが、その言葉とは裏腹に悠の胸の内には何か、不思議な感情がよぎる……しかし、それを口に出すと何か負けたような気がして、言葉にはできなかった。

●宴の後
 やがて海に夕日が沈むころ、楽しいひと時が終わりを告げる。暁を筆頭にゴミの分別がしっかりと行われ、片付けが進む。
「立つ鳥後を濁さず、だ」
 それを眺めつつ、夕日に視線を向けてシキが呟く。
『こうして、ゆうじんたちとりょこうをするとは、1ねんまえにも、おもっていなかったな』
 1年というのは、長いようで案外短い……当時のことは、思いの外容易に、はっきりと思い出せた。確かに1年前では、こんな光景を見ることは考えられなかっただろう。
「そうだね」
『そとはたのしい。そうおもわないかね、ユウ?』
 確かに、楽しかった。こんな楽しい時間を過ごせたのなら、外に引っ張り出されたのも悪くないと思える。そしてそれは、同じように引っ張り出されてきた者達にも言えるのだろう……遠目にも見える紅梅が鈴に腹パンを叩き込む様子に、何か表情の変化が感じ取れる悠。
 日常に戻ってしまえば、またことあるごとに戦いなのだ……それを考えれば、この時間くらいは目いっぱい楽しむのが正解だろう。
「宿泊先の旅館には温泉があるんだって」
『それはたのしみだね、ユウ』
 この日が、旅行に参加した能力者達にとって良き日とならんことを……。

結果

シナリオ成功度 成功

MVP一覧

重体一覧

参加者

  • ようへいだもの
    鴉守 暁aa0306
    人間|14才|女性|命中
  • 無音の撹乱者
    キャス・ライジングサンaa0306hero001
    英雄|20才|女性|ジャ
  • Sound Holic
    レイaa0632
    人間|20才|男性|回避
  • 本領発揮
    カール シェーンハイドaa0632hero001
    英雄|23才|男性|ジャ
  • エージェント
    十影夕aa0890
    機械|19才|男性|命中
  • エージェント
    シキaa0890hero001
    英雄|7才|?|ジャ
  • 筋金入りの引き籠り
    神鳥 紅梅aa3146
    獣人|20才|女性|攻撃
  • エージェント
    雨水 鈴aa3146hero001
    英雄|24才|男性|ドレ
  • アステレオンレスキュー
    音無 桜狐aa3177
    獣人|14才|女性|回避
  • むしろ世界が私の服
    猫柳 千佳aa3177hero001
    英雄|16才|女性|シャド
  • エージェント
    雨堤 悠aa3239
    獣人|18才|男性|防御
  • エージェント
    ラドヴァン・ルェヴィトaa3239hero001
    英雄|46才|男性|バト
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