本部
みんなの思い出もっと見る
掲示板
-
質問卓
最終発言2016/07/13 01:56:49 -
2つ目の『誓い』
最終発言2016/07/14 23:33:13 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2016/07/12 23:41:54
オープニング
●H.O.P.E.本部
エジプト西方、黒い砂漠。
アレクサンドロス3世が葬られているというその場所で、エージェントたちは玄室へと至る道を開いたのだった。
「エージェントのみなさんの功績により、あやふやだった伝承の正しさは、一部実証されたといえるでしょう」
そうエージェントたちに話しかけるのは、キュリス・F・アルトリルゼイン (az0056)。彼は魔術師の末裔にして、H.O.P.E.のロンドン支部長である。キュリスは、片眼鏡の下にどこか好奇心を隠すようにして、つとめて冷静に話を続ける。
「かつてアレクサンドロス大王は、ブケパロスという異世界の英雄とともにありました。この世界には世界蝕以前から、極僅かにせよ、英雄などといった異世界からの力が流入していた可能性があります。新たな調査の結果、伝承にまつわる一つの仮説が浮かび上がったのです。驚くべきことですが……」
キュリスの提示した資料には、新たに発見されたという玄室の壁画が映っていた。大王が、ブケパロスと思しき随身とともに、空から落ちてきた『人物』の前に歩み寄る図像である。
そして、大王はその剣を掲げ、何かを誓っているようにも見える。
「当初、我々は空より飛翔するこの姿こそがブケパロスだと思っておりました。ですが、新しく提示された図像を見てください。これには、大王がブケパロスと一緒に、落ちてきた人物を眺めている様子が描かれているのです。さらに言えば、次のこの図像は、大王は、その『落ちてきた何者か』と誓約を交わしているように思えます」
「二人目……の、英雄?」
H.O.P.E.の職員が息をのむ。
「ええ、その通りです」
順当に考えれば、この『空から現れた人間』もまた異世界の英雄であり、別の人間と誓約したのだろう。しかし、キュリスの見解は違う。この英雄もまた、アレクサンドロス3世と誓約したというのである。
「アレクサンドロス3世の力は圧倒的でした。彼に匹敵するような存在は、この時代にほかにいなかったのです」
「それでは、アレクサンドロス3世は、二人目の英雄を伴っていた可能性がある、と?」
「ええ、……まだ仮説の段階にすぎませんが、アレクサンドロス3世は、ブケパロス以外にも誓約を結んでいた可能性があると私は考えています」
クリエイティブイヤーが始まってから、今まで。能力者と英雄は一対の存在であった。もしも、能力者が二人目の英雄を持てるとするのならば、これからのH.O.P.E.の活動に大いなる意味を与えるに違いない。
「そんなことが可能なのですか?」
「分かりません。――今は。まだ。調査を進める必要があります。そこで、皆さんに依頼です。我々は大王の玄室を調査し、棺を外へと運び出すことにしたのです。その調査隊の護衛が、あなた方への依頼です。遺跡内での安全は確保されているといえますが、ただ……何が起こるか、分かりませんからね」
●大王の墓
ブケパロスの亡霊ともいうべき存在が居なくなった遺跡は、いくつかの戦いの爪痕を残しながらも、もとあっただろう厳かな静けさに満ちていた。
エージェントたちは、調査隊とともに、難なく遺跡の中へと踏み入れる。
石造りの神殿。様々な副葬品が発掘されている中心に、ひときわに豪華な棺が安置されている。これこそが、アレクサンドロス3世の棺である。
「これより、棺の運び出しをいたします。安全の確保を、よろしくお願いいたします」
研究者の言葉に、エージェントたちが頷く。
合図がなされ、棺が持ち上げられる。
次の瞬間。
棺の隙間から、強烈な光があふれだす。朝焼けのような夕日のような、どこか物悲しい光だった。
まばゆさに目がくらみ、エージェントたちは意識を失っていった――。
●ここではないどこかの世界。
寂しげな風が、頬を撫でていく。
ほどなくして、見慣れない地でエージェントたちは目を醒ます。
ここはどこだろうか。
見渡す限りの荒野と墓標に囲まれた。少なくとも、先ほどまでいた遺跡の中ではない。
エージェントたちは異変に気が付く。
――共鳴できない。
英雄との『絆』は確かに感じる。パートナーがいなくなったわけではない。しかし、そこにその姿はない。
それは、異形の相手に対して、無防備であることを示していた。
その時、勇ましいような合戦の音が響き渡る。
剣と鎧が音を立てる。
エージェントたちから少し離れたところで、二つの集団がお互いに戦っている。
片方は、異形の従魔に似た軍団。ミイラのような姿を持った、恐ろしい怪物の集団だ。
もう片方は、人間、だろうか。鎧をまとった人間の兵士たちだ。
エージェントたちは、自らの身体からライヴスが失われていることを感じた。――まるで、異世界に召喚されたばかりの英雄のように。
力が出せない。
従魔がエージェントたちに気が付き、こちらへと押し寄せてこようとする。
その時だった。
●助け
群れの中から、敵の一角を猛々しく突き崩していく一団があった。統率の取れた敵の動きが敵陣に斬り込み、隊列を突き崩す。
長槍を振るう集団と、目の前の異形の怪物たちがせめぎあう。その隙間を埋めるように、従魔が群がる。
エージェントたちと従魔の間に割り込んだのは、人の集団だ。
隊長と思しき装備の男は一心に従魔を蹴散らしていく。一時は優勢に見えたものだったが、惜しい。
『――――――!』
亡霊の声があたりを揺るがす。
地響きが鳴る。
大地の裂け目から這い出すように、ひときわに邪気を帯びたミイラが現れた。
「くそ、このままでは……」
軍隊の後ろの集団が、波のように飲み込まれていく。戦闘の男が、体勢を立て直そうとあがく。
突如として、亡霊の声に反発するように、エージェントたちの幻想蝶が共鳴して震え、仄かな輝きを発する。それを見た戦闘の男は、叫んだ。
「誓約を結べ!」
誓約。
懐かしい感覚だった。この感覚を、あなたたちは知っている。『誓約』という存在を。
解説
●諸注意
【神月】カオティックブレイドの続編です(未読で問題ありません)。
・この体験は、エージェントのいた世界ではないどこかでの体験であり、単なる夢と区別はつかない。
●お願い
・『誓約』を交わすことになる人物の雰囲気や口調などを、プレイングに記入してください。この世界に独自の設定があれば、それも教えてください。
●目標
人の軍勢に味方して、ミイラ・アポカリプスに対処する(=元の世界に戻る)。
●登場
ミイラ・コープス×多数
荒野にある棺から次々と這い出すミイラ。行動は原始的で強くはないが、数が多く、集団で来るのが厄介。
ミイラ・アポカリプス×1
集団を率いるボス。紫色のライヴス帯びた包帯をした、ひときわに巨大なミイラ。3mほどある。
軍隊
古代ギリシャ風の鎧をまとった軍隊。
指揮者は非常に優秀な軍人であるようだが、コープスの対処で手一杯のようだ。
●場所
見慣れぬ荒野。
夕方、夕日のような月に不思議な燐光が輝いている。明かりや足場に不自由することはないが、障害物や遮蔽物はほとんど少ない。枯れ木のようなもの位はあるかもしれない。
●状況
目が覚めると知らない場所にいた。
軍隊とミイラの集団が戦っている。
シナリオ開始時点では英雄と共鳴できないため、注意。
エージェントたちは、その場にいた『素質のある人間』と誓約を結び、戦うことになる。それは戦場にいた誰かかもしれないし、偶然現れた者かもしれない。
●誓約について
この世界でのエージェントは、元のエージェントとは違う可能性もある。この世界で独自の設定があれば、それも述べること。この誓約が元の世界に影響することはない。
異世界の詳細は不明であるため、雰囲気や口調など推奨。現在の英雄と別人でも、誰かとパラレルな存在だとしても構わない。良く知る誰かの面影を持つものかもしれないし、全く偶然に出会った何者かであるかもしれない。
プレイングで指定のこと。
リプレイ
●重なる出会い
――誰かが呼んでいる。
見慣れぬ荒野で、エージェントたちは直感していた。
『誰かが、自分を呼んでいる』。
●来訪者は、荒野にて誓う
「ここどこ!? 一体何が起きてるんだ?」
世良 霧人(aa3803)は慌てて辺りを見回す。そこは先ほどまでいた場所とはまるで違う、見覚えのない荒野が広がっていた。
「ちっ、まさか爺さんと共鳴できない状況になろうとはなあ……」
百目木 亮(aa1195)は唇を噛んだ。
常日頃から一体となって戦う能力者たちにとって、英雄たちと共鳴できないというのは、肉体的にも精神的にも致命的な事だ。
「……っ、メグル? メグルは……っ?」
大切な英雄がいないことに、御代 つくし(aa0657)は焦りの表情を浮かべる。
「落ち着け。大丈夫だ」
「なんとかなりますよ、ね?」
真壁 久朗(aa0032)と笹山平介(aa0342)が言う。彼らの英雄もまた、ここには存在しないようだ。
笹山はいつもの通り、その顔には笑みを浮かべている。笹山は「喜」と「楽」意外の感情を表に出しはしない。
しかし、こういう状況にあって、彼の笑顔は冷静さを取り戻すきっかけとなるのかもしれない。
周りには見知った仲間たちがいる。それだけで心強いものがある。――ひとりではない。そうしているうちに、御代はだんだんと落ち着いてくるのを感じた。
「真壁さん、笹山さん、ここ……どこなんでしょう……? メグルがいないんです……どこかにいる感じはするのに、どこにも……!」
「んー、何かまずい事が起きてるみたいね」
鈴音 桜花(aa1122)は、今の状況を冷静に見据えようと戦場を見渡す。
この世界は――どこか元の世界とは違う世界だ。
『まさか……私達自身が、契約者のいない英雄に近い状態……?』
月鏡 由利菜(aa0873)は、英雄の不在にうろたえる。彼女の言う通り、異界からやってきたエージェントたちの立場は、能力者というよりも英雄に近いものだっただろう。
『ど、どうして共鳴できないの!? 私の英雄の気配は感じるのに……!』
「由利菜さん……?」
『私は篠宮クレアよ。ユリナなんて知らないわ』
月鏡はふんと鼻を鳴らした。その変わりように、エージェントたちは驚いた。いつもの、ややも気弱な彼女の姿はどこにもない。
意識の混濁の中で再びその姿を取り戻した、かつての彼女。――篠宮クレアは、月鏡 由利菜の本名だった。
幸いなことに、仲間たちと同じ任務を負っているという記憶はあるようだ。それになにより、根の部分は変わっていない。
大勢の亡者たちを前にして、戦況は刻一刻と変化していく。
「生き残る為にも誓約を結ぶしか無いが……帰ったら文句の一つは言われそうだな」
御神 恭也(aa0127)は覚悟を決める。
現れたのは、英雄、伊邪那美と似た少女だった。同じような紅い瞳を持ち、髪は完全な銀色に染まっている。
『互いにこの場を切り抜けるには誓約を結ぶべきかと思いますが』
御神は少しだけ驚いた。10代半ばごろに思える少女は、冷静に戦況を見極めていた。すなわち、勝つためには誓約をする必要があるということだ。
「確かにな……なら、君は力を手に入れても溺れずに己を貫き通す事が出来るか?」
『ええ、私が私であり続けると誓いましょう』
そうして、二人は共鳴を遂げる。
運命の糸が、エージェントたちを呼び寄せる。もう一対の存在が、エージェントたちの前に姿を現す。
「まあ、どうしましょう……このままでは怪我人が増える一方です」
ミイラに蹂躙される兵士たちを見て、憂い気な表情を浮かべる女性。彼女は、戦に駆り出された軍の衛生兵だ。緑髪と碧眼の眼が、優しそうな雰囲気を醸している。
そこへやってきたのは、月鏡だ。
月鏡の姿を見たとき、彼女は予感を感じた。
『ここがどこで、何が起こっているのか、まだ掴めていないけど……私はここで死にたくないわ!』
「ええっと……」
『あなただって、仲間や大切な人々を守りたいのでしょう! ならば、私と誓約しなさい!』
月鏡の気迫に押されるように、女性は頷く。誓約の内容は、「生きて帰ること」。
心を決めると、共鳴は早かった。いつもラシルと一緒に闘う――不安が、すべてなくなったわけではないけれど。誰かと一緒に戦うのは心強い。
(助けたい)
二人の思いは一致していた。
(こっちの方で、呼んでいる声がした気がしたんですが……)
鈴音はきょろきょろと辺りを見回す。――この子だ。軍隊の中に、素質を持った少女を見つける。元の世界でいえば、おそらくは小学生低学年ほどの幼い少女。赤い髪を揺らして、懸命に戦場を駆けながら、兵士たちを鼓舞している。
『騎士団のお兄ちゃんお姉ちゃんの事、大好きだよ♪』
ソフィスビショップとしての才能。鈴音は、目ざとくその才能を見出していた。
「すみません、良かったら、誓約を結びませんか?」
『へ?』
少女は目を丸くした。目線を合わせ、優しく声をかける鈴音。
「共鳴して、一緒に戦うんです」
『そうしたら、もっとみんなの役に立てるかな?』
少女はほんの少しだけ考え、にっこりと頷いた。
『うん! 怖いけど頑張るよ!』
新たな英雄との共鳴。少女の姿をベースにしてはいるが、鈴音のスタイルの良さが備わった、危うい姿となる。――普段とは違う力が湧いてくるのが感じる。
「っ…!」
「! 危ない!」
目の前で亡者に襲われそうになった男を、防人 正護(aa2336)がとっさに突き飛ばした。そのおかげで、敵からの攻撃を躱した白銀の鎧をまとった男は、防人を見て目を丸くする。
髪をポニーテールにした、どこまでもまっすぐな彼の名は、――Rudy・S・Bellerophon。この世界では一個騎士団を率いる騎士団長である。背中には純白の翼が生えているが、その翼は途中で痛ましく折れていた。
『な、なぜ……』
驚くルディに、防人は答える。
「たとえ戦えずとも誰かの盾として生きる。それがこの身に刻んだ防人の意味だ!」
その言葉に、気概に。――二人の精神は、ゆっくりと同調を果たしていく。ルディは、防人の言葉を聞き、自分の名にSakimoriを刻んだ。
『わが身、御爺上様の剣として! たとえこの身朽ち果てようとも!!』
「変身っ!!」
掛け声が、戦場の中においても凛と響き渡る。防人がベルトに手をかけると、いままでの共鳴姿とは似ても似つかぬライダーの姿が現れる。
銀と黄を基盤にしたその姿は、新たな防人の姿、「ダイヤフォーム」だ。
「えいやっ!」
シエロ レミプリク(aa0575)が、敵陣に突っ込んで行こうとした男を引き留める。男は敵襲かと身構えたが、先ほどまで男が進もうとしていた場所は――ちょうど、アポカリプスの薙ぎ払いで焦土と化した場所だった。
礼を言おうとした大柄な男は、シエロの脚を見てうろたえる。かつて、大けがを負ってアイアンパンク化されたシエロの脚は。不自然なアンバランスさは、自らが機械であると声高に主張しているようでもあった。
『何だ貴様! 奴らの仲間か!』
「みゃー! 頑張って助けたのに失礼な!」
男――ジスプはふんと華を鳴らした。上半身は裸で、その体中には勇ましい傷跡がいくつもあった。
『己の身など、顧みる必要はない』
「君はどうして戦うの?」
『兵士が敵を倒すのに理由などない』
「……いや、あるよね? 少なくとも君は」
『…!!』
シエロの目には、悲しそうな男が映っている。何かを求め、けれど――満たされない気持ち。
会ったばかりのシエロに、己の考えを見透かされ、ジスプはうろたえた。目の前のシエロであれば――分かってくれるような気がした。
『……渇くのだ、渇きと飢えが止まらんのだ!』
自然と、言葉が唇から出た。
『何故かはわからん、だが俺は今まで満たされたことがない。戦いでならそれが満たされる気がする、だがいくら戦っても……!!』
心情を吐露したジスプに、シエロは笑って見せた。
「……なら、ウチと誓約してみるかい?」
『……何?』
「二人なら見つかるかもよ? 君を満たせる何かが」
『誓約、を……?』
二人の姿が溶け合い、一つになる。そのために――ここへやってきたのだから。
ジスプは、新たなる力が湧き上がるのを感じていた。
エージェントたちは、次々とその場に居合わせた英雄を救っていく。
『うわあーーー!! オレはまだ死にたくないんだぁーー!!』
世良のいた方向に、一人の男が逃げ去ってきた。二人は派手にぶつかり、その場に倒れ込む。
「いたた……大丈夫かい?」
『ううう……』
橙色の髪を後ろで纏めた青年。兵士というよりは、戦争に駆り出されたといったほうが正しいような青年だ。
やせ形の体型は、どう見ても体育会系といったそれではない。しかし、衝突する敵味方の攻撃を縫うようにしてここまでやってこれた足の速さは、素質のなせるわざかもしれない。
「君は、兵士じゃないの?」
『兵士だけど……戦いなんてまっぴら御免だ、平和な所で絵を描きたい』
「そっか。この世界は……普通の人も兵士にならなきゃいけないほどの世界なんだね」
世良の言葉に、青年は顔を輝かせて食いついた。
『この世界……って?』
「う、うん……信じられないだろうけど、僕らはもっと、いくらかは平和なところから来たんだ」
世良の言葉に、青年は考え込む。急にそんなことを言われても信じられないのかと思っていたが、それは違う。
逡巡ののち、青年は口を開いた。
『……俺は、エリック。エリック、グラス。なあ、オレもそっちに連れて行ってくれ!』
「えっ?」
『俺は、画家になりたいんだ。平和な世界で、絵を描きたい』
「わかった……」
エリックを世良の元居た世界に連れていくということ。それが誓約となったようだ。
「それじゃあ、とりあえず、この場を切り抜けよう」
言うが早いか、二人の姿は共鳴していた。現代風の衣装を身にまとったエリックは、見慣れぬ武器に驚きの声を上げる。
『アンタが持ってる奴、面白いな! 細い鉄線にナイフに…、こりゃ何だ?』
「サポートするよ、エリック君」
意識の底から、世良は呼びかける。直感的に、武器の使い方が――今まで見たことのないような武器は、不思議と手になじむ。
『そこのアナタ。そうそこの! アナタ!』
戦火の中、真壁を呼び止めたのは、漆黒の鋼鉄の体を持つ機械の少女だった。短い真朱色の髪が、戦場に明るく映えている。左腕の甲殻を思わせる小手が無骨な長剣を携えている。彼女もまた、戦士なのだろう。
少女は、意思の籠った黄玉色の瞳で真壁を見据えていた。
『ワタシはアトリア。ヒトを守り敵を屠る星の名を持つ兵器です。人類勝利の黎明を約束する者としてこの劣勢を見過ごすこと等出来ません』
「……?」
一方的にまくしたてられ、どうしたらいいのか分からず、真壁は押し黙る。
『誓約を! ワタシと共に人類に希望ある未来をもたら……って早くその手を貸しなさい! 死にたいのですか!』
焦れたように、少女は真壁の手を取った。
「あ、ああわかった」
真壁は、異界の英雄と共鳴を果たす。真壁の髪が真朱に染まり、左腕に彼女が身に付けていた小手が現れる。
「何だか懐かしい感覚だな」
『共鳴とは何だかその……奇妙なものですね。……ワタシ達はずっと1人で戦っていましたから。で、アナタ名前くらい名乗って頂けます?』
アトリアの言葉に、真壁は返す。
「あー、久朗だ。とりあえず……行こうか、アトリア」
『アトリとお呼びください。では、クロウ。共に人類に勝利をもたらしましょう』
『あ、あのー……』
フードを目深にかぶっている女の子が、おずおずと御代に声をかけた。背丈は御代よりも高いようだが、背中を丸めているため、詳しいことは分からない。よく見れば、かなりのスタイルである。
獣耳型のフードの下から、赤い目が御代の表情をうかがっていた。
「どうしたの?」
『あの…えっと…その…誓約、してほしかったりなんだり、して……っ!」
「誓約?」
少女は、おどおどとしていて目線を合わせようとはしないが、この事態をどうにかしなければと思っているようだ。――態度に似合わず、決意を感じさせるような表情を浮かべている。
『一緒に、戦ってほしかったり……なんだり……したりして……!」
少女の態度に、御代は困惑の表情を浮かべる。
「……えっと……誓約の内容は……?」
そこで思い至った様に、少女は慌ててぴくりと動く。
『はっ! え、えっと…えっと………【一緒に戦う】……とか……っ!」
「……一緒に……。うん、分かった!」
そういうと、少女は嬉しそうに顔をほころばせた。
「あ、私は御代つくし! あなたは?」
『あっ、えっ、えっと、えっと……カスカ、ですっ!」
「よろしくね!」
二人の姿が、共鳴して一つになる。これなら、できる。目の前の敵に、立ち向かうことができる。
『おーおー、こんな戦場に来訪者はんか。驚きましたわ。で、あんさん方は自分らの味方でっしゃろか?』
百目木の前に現れたのは、赤茶の髪をした、ややも軽そうな若者だった。銀の眼が、見定めるようにじっとこちらを見ている。
「俺は亮ってもんだ。お前さんの力を貸してほしい」
『自分はシロガネいうもんですわ。真名名乗ったらあかんから仮の名やけどな』
本当の名を明かさないのは、彼の故郷の風習のようだ。
『で、どうします?』
百目木の脳裏を、本来の相方との誓約が一瞬よぎった。しかし、状況改善の為ならば――誓約を交わすことをためらわない。
「誓約しよう。少なくとも、『今』を切り抜けてえからな」
その返事を聞いて、シロガネの眼が輝いた。見た目に反して、シロガネは義に篤い男だ。
『この逆境耐えて越えたら自分らの勝ちや。気張りや、オヤジはん』
シロガネの言葉に鼓舞されるように、二人は戦場へと舞い戻ってゆく。
「くそ、このままじゃ勝てない……!」
隊から離れて、単独行動をしていた男がいた。透けるような色白の肌。彼の持つ銃が装備が敵を蹴散らしていくが、ひとりでは。少しずつ敵に押されていく。放たれた銃弾が、敵陣を逸れた。そこへやってきたのは、笹山だった。
知っているもののような、知らないもののような――不思議な出会い。
(これは……)
笹山は、目の前の男が同じ志を持っていることに気が付いた。単独行動をする彼の狙いは、手柄をあげることではない。彼の撃つ銃の銃口は、見方を狙った敵を撃ち抜いていた。
力。――誰にも負けない「『誰かを守る奴』を『守る』力」が欲しいということ。
そこへ、ミイラの集団が押し寄せてこようとしている。
「戦えるか?」
見知らぬ男は、三白眼で敵を見据えたまま、笹山に背中を預けて問いかける。
「もちろんです。誓約は……」
「そうだな……「守りたいものは自分で守れ」ってのはどうだ」
笹山は、笑顔でそれを受けたのだった。
二人の影が重なり、一つになろうとしていた。
彼が、自身の英雄が愛した存在の姿であることを、笹山は知らない。心に宿すものは、同じだ。
●ミイラ・コープスの群れ
新たなる力を手に入れたエージェントたちは、改めて、強大なミイラの集団と相対する。
――勝てる。少なくとも、勝てると信じて戦える。武器を振るうことができる。
場所が違っても、立ち回りが変化したとしても、やるべきことは変わっていない。
「てめぇがこの隊の頭か、加勢してやるよ! その代わり良い酒おごれよ!?」
共鳴した笹山が、リーダーに向かって叫んだ。軍を率いていた男は、遠くで武器を持ち上げてそれに応える様子が見える。しかしそれも、すぐにミイラ・コープスの群れに紛れてなくなる。
戦場のあちこちで本格的な衝突が始まっていた。
「ふふ、悪い者は全部壊してあげる♪」
鈴音が放った魔法が、見事に仲間を避けて、ミイラ・コープスの群れを吹き荒れる。その腕を信頼して、ぎりぎりまで接近してミイラと相対していた御代。
(あとは、仲間に……!)
御代はエージェントたちに道を開ける。
――相手は、体勢を崩している。
仲間が作ったチャンスを、エージェントたちは逃さない。
ジスプと共鳴したシエロが、グレートアックスを片手に軍隊へと切り込んでゆく。意識は半分ずつ。しかしシエロは、ジスプにコントロールを譲っている。
「次! そこ薙ぎ払っちゃって!」
『おぉ!』
シエロの指示に従って、ジスプは敵陣をなぎ倒した。不意を突かれたミイラの一群が、体勢を崩す。
仕留めた。
本来のジスプであれば、もしかするとこのまま深追いをしたかもしれない。しかし、シエロがいることでジスプは冷静になった自分に気が付いていた。
始めは、半信半疑だった。しかし、ここまでの動きができたことなど、今までなかった。
「距離を取って!」
言われるがままに距離を取り、シエロに操作を譲り渡す。取り出したアンチマテリアルライフルを、地面に設置する。
『?』
初めて見た武器だ。しばらくすると、銃の一撃が敵陣をなぎ倒した。
『お前は……神か!?』
「え、そんなに?」
けろりと言ってのけるシエロに、ジスプは半ば唖然としながら、呟くのだった。
アトリアと共鳴した真壁が、一息にミイラの大群を二つに割った。その立ち回りは、まるでブレイブナイトのようでもある。一通り前列の歩兵をなぎ倒すと、いったん後退して体制を整える。
『クロウ、アナタの攻撃に躊躇いを感じます。守りたいのならその意志を武器に込めて振り下ろすのです』
「いつも通りだが?」
そっけなく返す真壁に、アトリアは言い募る。
『ならば気合いが! 足りないのです! 淡白過ぎます!』
(そう言われてもな……)
真壁は再び、右から来る敵をフラメアで受ける。飾り気のない無骨な槍は、この世界に遭っても、しっかりと手になじんでいた。
「ざまぁねぇ! あの世で後悔しやがれ!」
笹山は、咆哮をあげるケルベロスを手にして叫んだ。狙った獲物は確実に仕留める。それが彼の信条だ。
彼が狙ったのは、エージェントたちに反撃を加えようとする一体だった。――「狙った獲物をしとめ損ねれば仲間が死ぬと思え」……彼は、常に自分にそう言い聞かせている。
間に合った。
『切り込み、攪乱、上々。後ろからの援護もある。なら、自分は後ろを守る壁になりましょか』
そこへ、百目木と共鳴したシロガネの持ったフラメアがひらめく。ライオットシールドをかざし、突っ切っていった先発部隊に攻撃が通るのを避ける。
どこを狙えば、効率が良いのか。
シロガネは見極め、足元を狙って一撃を加えた。
仕留めた。
シロガネが知らず、笑みを浮かべる。手ごたえがあった。良い動き、だった。
エージェントたちは敵の隙をついて、優勢に立っていた。しかしながら、一般の兵士は、未だそうとはいえない状況にある。
『なにやってるの! 仕方ないわね……!』
月鏡の振るう黄金の盾が、兵士の間に割り込んだ。倒れ伏した兵士を、笹山がすかさず助け起こす。
「いつまで休んでやがる! さっさと立たねぇか!」
兵士は、慌てて立ち上がり、後退する。
エージェントとして、志は同じ。守ること。二人は一瞬だけ顔を見合わせると、互いに背中を預けて敵に相対した。月鏡は前線にて部隊を守り、笹山らは距離を取り、遠くから的確に危険な敵を仕留めていく。
『小さい頃の境界観測の時、両親は英雄と共鳴して私を危機から守り、癒してくれた……。今は私が、皆を守るわ!』
月鏡は武器を握りしめる。
前線で敵をなぎ倒す彼らの活躍の一方で、トリッキーな動きで相手をかく乱するエージェントたちの姿もあった。
『うおっ!? 何か出て飛んでった! 面白いなコレ!』
竜玉から飛び出すエネルギー体に、世良と共鳴したエリックは面白そうな声をあげる。世良の補佐の元、2,3の試し撃ちをすると、手になじむものとなっていた。
『コレはなんだ?』
次に、エリックはネビロスの操糸に興味を示した。目に見えないほど細いそれは、天に透かせば、かろうじて不気味な色を視認できる。
「ネビロスの操糸……だね。基本は、攻撃したら距離を取ることだよ」
『了解』
一撃を食らわせて、離脱する。それは、大勢が立ちまわる戦場において、効率的な動きだった。
隙を見て、次々と新しい武器を試すエリック。戦いは苦手なようだが、やはりその器用さには目を見張るものがある。
『届かないってな!』
相手の攻撃を躱し、有利な距離から一撃を食らわせ、離脱。堅実な動きは、危うげなくまとまったものとなりつつあった。
「どうやらこの世界だと、能力は俺の方に起因するらしいな」
御神は、素早く敵陣に身を躍らせ、紙一重のところで敵を躱していた。すれすれに死線を避けることで、コープスは同士討ちをしてその場に倒れ伏す。
『貴方、本当に英雄なのですか?反英雄と言った感じの戦い方なのですが』
その戦いぶりを見て、少女はそう感想を漏らした。ちょうど、御神の操るドラゴンスレイヤーが、ミイラの頭部に大きな損傷を与えたところだった。
コープスの湧きだす棺を見つけた御神は、迷わず、真っ二つに打ち砕く。復活を許されなかったコープスは、ただただ乾いた残骸をさらしていた。
しかしながら、一つ一つ棺に対処していたのではおそらくらちが明かない。
「キリがないな……火はあるか?」
『火?』
御神は折れた武器の棒を拾い上げ、戦場に転がっていたくすぶる死体から火を移すと、ミイラの群れを燃やし尽くす。
あまりの手際の良さに、少女は舌を巻く。御神の行動は、的確で、それでいて容赦のなさを持っている。
●VS、アポカリプス
エージェントらの活躍により、絶望的な戦況がひっくり返されてゆく。能力者と英雄とは――エージェントとは、それほどまでに圧倒的な力を持つのだ。
ミイラ・コープスの群れが、目に見えて減っていた。湧き出してくるミイラの数より、動かなくなった数の方が多い。
『――――! ――――!!!』
ひときわに巨大な亡霊の声が辺りに響き渡る。背筋を凍り付かせるような、おどろおどろしい声。
呼応するように、ミイラの集団はエージェントたちへと襲い掛かる。――死線。おそらくは、最期の猛攻……。
だが、それゆえに、チャンスだ。
エージェントたちが庇ったことによって、余力ができたのだろう。掛け声とともに、軍隊が雑魚の間に突進する。
あのボスさえ倒せれば、おそらくは。
エージェントたちは、怪物の対処にあたる。
「敵の頭取ればこっちのもんだろうが!」
笹山と共鳴した男の叫びがあたりを揺るがす。その声に鼓舞されながら、前へと進み出る。
ジスプが唸り声を上げ、グレートアックスを振り払う。――単純に攻撃のためではない。戦いの中で、ジスプは悟りつつあった。ここには、背中を預けられる仲間がいるのだ。
派手な動きで、アポカリプスの攻撃を集める。
シロガネが、アポカリプスへの道を切り開く。
「今っ!」
シエロの合図を伴って、ジスプの大ぶりの一撃が決まる。できた隙を庇うように、真壁が間に身を躍らせる。追いすがるコープスには、百目木と共鳴したシロガネが対処する。
『っ……!』
しびれるような猛攻が、盾を構える手に伝わってくる。けれど、シロガネはどかなかった。押し戻すように、盾を前に突き出して敵を払う。その動きに同調し、攻撃を封じるようにして、笹山と共鳴した男が的確にミイラの腕を狙う。
続けて放たれた真壁のライヴスリッパーが、アポカリプスの攻撃を決定的に反らした。
「!」
決めるなら、今だ。
ぐずぐずしていると、すぐにコープスが追いすがってくることだろう。
御代は、アポカリプスの後ろに回り込むと、足を狙って大きく攻撃を仕掛けた。ダメージは期待していない。――スキさえ稼げればいい。
「防人流……雷堕脚!」
防人のライダーキックが、アポカリプスの頭部をとらえる。きれいな姿勢から繰り出された攻撃は、見事、アポカリプスの姿勢を大きく崩していた。
起き上がろうとする異形のミイラに、笹山と共鳴した男が銃口を向ける。
「悪りぃな、とどめは貰ったぜ!」
射線が、一直線に通っていた。引き金を引く刹那。銃の反動。手ごたえを感じた。ミイラ・アポカリプスをかばう雑魚。だがしかし――こちらの方が、早い。隙間を縫うようにして、一射。
ミイラ・アポカリプスは、なんとも言えないうめき声をあげて――塵と化した。
悪夢は去った。
●『帰還』
アポカリプスを倒すと、沈みかけていた太陽か、月か……。この世界の空に再び、赤い天体が覗いた。その光に照らされるようにして、ミイラは次々に土へと還ってゆく。
終わったのだ。
『意外とやるではありませんか。タダのどん臭い男だと初見しておりました』
「初対面にしては……遠慮が無さすぎじゃないか」
『不思議と、初対面だという気がしない……のかもしれませんね』
アトリアは真壁をたたえると、眩しそうに空を見上げた。
「へー、急いでたから気付いて無かったけど、別の人だとこんな風に共鳴するんですねぇ……」
『むぅ~、くすぐったいのです』
戦闘が終わって、共鳴した自分の身体を触ってみる鈴音。いつもと違う共鳴は、なんだか不思議な心地だった。
『お姉さんと一緒に戦えて楽しかったです♪』
「ありがとうね。それじゃ元気に暮らすのよ♪」
鈴音は、彼女の額にキスを落とす。少女はきゃっと小さく声をあげてはしゃいだ。
「楽しい思い出が一つ増えたわ♪」
『オヤジはん、見事、『今』を切り抜けはったな』
「ああ……」
『んじゃ、自分はこれで』
百目木に対して、シロガネは手を差し伸べた。戦況を切り抜けた二人は、固く握手を交わした。
『あなたの戦い方は、英雄とは思えませんでしたが……勉強になりました』
「……」
御神に対して、少女が言った。御神は返答に窮する。しかしながら、感謝は伝わってくる。少しだけ、名残惜しそうに見えたからだ。
夕日を反射して輝く赤い瞳に、御神は元の世界の英雄を思い描く。
『御爺上様……御爺上様の言葉、忘れません』
「?」
ルディは言う。自分が、この世界での彼の御爺上様だというのは、防人には分からないことだ。
『たとえ戦えずとも誰かの盾として生きる。と……』
その言葉を受けて、防人は頷く。
「……ああ、場所が違えど、やることは変わらない」
「よくやってくれた、皆の衆」
将軍らしき男を中心に、兵士たちは喜びに沸いていた。中でも称えられていたのは――もともと、この兵士たちの中にいたジスプだ。
『……!!』
共鳴を解いたジスプは、兵士たちから称えられていた。呆然としているジスプを、シエロは肘でつつく。
「……ちょっとは満たされた?」
ニヒヒ、と笑いを浮かべるシエロの横で、ジスプは涙を流していた。
『……倒すのではなく、救いたかったのだな、俺は』
「ありがとう。君たちのおかげで、死ぬはずだった兵士の多くが救われた」
続いて、将が衛生兵である女性と、月鏡に声をかける。
「……っ! あれ、私……私は。……ラシル?」
戦いを終え、月鏡は、本来の自分を取り戻していた。その傍には、英雄のラシルではないけれど――微笑む女性がいた。
『守れ、ましたね。多くを守れました。あなたの、おかげです。ありがとう』
「戻らなくて、いいんですか?」
笹山は、先ほどまで一緒に戦っていた男に言う。
健闘を称える軍隊の輪から、男は離れたままだった。
「俺は好かれなくていいんだよ……じゃなきゃ居なくなった時に悲しまれる……そんなのゴメンだ」
「そうですか」
笹山はなにも言わず、ただ男のそばに立っていた。一緒に戦ったからこそ、なんとなくわかることもあった。
「あんたも戻るんだろ」
男はぶっきらぼうに言った。
エージェントたちの身体が、少しずつ透けていく。
エージェントたちは、直感した。――元の世界に、戻るのだと。
『なあ、俺を連れて行ってくれるんだろ? そう誓ったもんな』
エリックの言葉に、世良はなんと返そうか迷った。今は、この世界から消えてしまう。――けれど、きっといつか、また会える予感がした。どんな形になるか、分からないけれど。
『やっぱりオレ、いつか、そっちの世界の絵を描いてみたいな』
「ありがとう。またね」
『また、な』
『あ、えっと、えっとね……なんていうか、ありがとー、みたいな……』
目をそらしながら、カスカは御代に別れを告げようと言葉を探す。
『あのね、あのね、なにが言いたいかって言うと……』
言葉が見つからないのだろうか。さようなら、では足りない気がした。おろおろと視線をさまよわせているうちに、御代の姿は透き通っていく。
『だ、だから……えっとね』
「またね、カスカ……っ」
御代の言葉を聞いて、カスカは目を見開いた。
『そう、またねって、こと、だったりして……』
御代がぶんぶんと手を振るのに合わせて、カスカもゆっくりと手を振った。
現実なのか、そうでないのか。戦いで負った傷も、いつの間にかなくなっていた。
はた目からは、この記録は、ただの夢として記録されることになるだろう。その体験を保証するのは、彼らの記憶と、そこで得た経験のみであった。