本部

急募『下着のモデル』

紅玉

形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
能力者
8人 / 4~8人
英雄
8人 / 0~8人
報酬
多め
相談期間
5日
完成日
2016/08/06 19:22

掲示板

オープニング

●足りない!
「人手が足りない!?」
 打ち合わせに来ていたティリア・マーティス(az0053)は驚きの声を上げた。
「はい。今朝、他のモデルが所属している事務所から突然断られまして……」
 担当者の女性は申し訳なさそうにティリアに頭を下げた。
「確か、ファッション業界向けの公開は明日でしたわよね? 補充は出来ているのかしら?」
「そ、それが……」
「出来てない、という事ですね」
 担当者が口ごもると、トリス・ファタ・モルガナ(az0053hero001)が察した様子で言う。
「でも、どうして急に断ったのでしょうか?」
「多分、ライバル会社に引き抜かれたかも……」
 青ざめた表情の担当者はティリア達から視線を反らした。
「合同、でしたわよね?」
「はい。双方の社長が昔、モデルをしてた時に控え室の空気が凍るほど睨み合ってたとか……」
 ティリアの問いに担当者が答えていると、勢いよくドアが開き一人の女性が入ってきた。
「あの、女狐の仕業よ!」
「しゃ、社長!?」
 入ってきた女性を見て、担当者は目を見開き驚きの声を上げた。
「いいわ、ならば一般人でも読者モデルでも誰でも良いから人を集めなさい!」
「し、しかし……!」
 反論しようと担当者は口を開くが、社長がゴルゴンの蛇の様に睨む。
「分かりました。私の方で何とかしますわ」
 と、ティリアは社長に向かって微笑んだ。

●1日モデル
「と、この様な経緯で皆さんにモデルを頼みたいのです」
 ティリアは、エージェント達に説明をしながら一人一人に声を掛ける。
 下着のモデル、という言葉を聞いて首を横に振る者が多かった。
「ファッション業界の方しか居ませんし、運が良ければ雑誌に載る程度です」
 と、トリスもアナタに説明をする。
 モデルかぁ、と呟く。エージェントの中には、アイドルをしている者は少なからず居る。
 しかし、モデルとなればもっと人は限られてくる。
 やってみたい、楽しそう、あわよくば最新の……などの理由で、依頼主である社長が用意した練習用のスタジオにアナタ達は集まった。
「ただ、変なウワサを耳にしたのですが『その下着メーカーの担当者が、ライバルの衣類を溶かした』と、ただのウワサであれば良いのですが……」
 と、トリスはアナタ達に気になる話を口にした。

解説

●目標
『下着のファッションショーの成功』

●下着メーカー『サファイヤ』
社長:気の強い美人
担当者:気の弱そうな女性

ライバル下着メーカー『クリスタル』
社長:高飛車な美人
担当者:???

●人物
ティリア・マーティス
参加します。下着を皆さんが提案しても可

トリス・ファタ・モルガナ
マネージャー的な位置、参加しません。

●下着
メーカーが用意した『海』をテーマにした下着
主な種類(全て公開出来る範囲のデザインのみ)
女性:
・三角
・トップレス
・チューブトップ
・スポーツ
・ビスチェ
・スリップ
・ベビードール
・タンクトップ
・ボディスーツ

男性:
・ボクサー
・トランス
・ビキニ
・ブリーフ

※色合い、小物はテーマから離れない範囲でしたら指定可です。
※ネタ下着、大歓迎します。
例:下着は水色、黒で他にガーターベルトとストッキンクでセクシーに。

●場所
前日:レッスンスタジオ

当日:それなりに広いファッションショーを行うステージ

●注意
・依頼開始日時
ファッションショー前日、スタジオに集まっている所からです。
・スキンシップ等
やや過激なプレイングは、公開出来る範囲の控えめな描写になります。

リプレイ

●下着問題(サイズ的な意味で)
「おはようございます」
 と、控えめな声がレッスンスタジオ内に響いた。
 スタジオ内にはティリア・マーティスと、下着メーカー『サファイア』の社長とスタッフ数名は鞠丘 麻陽(aa0307)に視線を向けた。
 彼女の隣には、ゴスロリのワンピースが似合う少女鏡宮 愛姫(aa0307hero001)が会釈する。
「あ、あの……私の様な胸囲に合うサイズはあるのでしょうか?」
 麻陽は真剣な眼差しで社長に問う。
「あら、私を誰だと思ってるの? マーティスから様々なサイズを用意するのを頼まれていたわ」
 社長はパチンと指を鳴らすと、スタッフ達は長机は設置して下着を並べた。
 下着の一つ一つには、カップとサイズが書かれたタグが付いていた。
「これで、サイズに関しては心配しなくてすんだのですぅ」
 愛姫は楽しそうに新作の下着を手に取る。
「下着を引き立てるモデルに、サイズの合わないモノを用意するなんてプロ失格ですからね」
 と、社長は麻陽達に視線を向けた。
「それにしても、こんな素敵な下着を溶かすだなんて、無粋ですわ」
 御手洗 光(aa0114)は美しいデザインの下着を手にし、怪訝な表情で呟いた。
 そう、ライバル社『クリスタル』は下着を溶かす話をトリス・ファタ・モルガナから聞いていたからだ。
「わぁいっ♪素敵な下着がいっぱいありますよぉっ♪」
 レイア・メサイア(aa0114hero001)がルビーの様な瞳を輝かせながら下着を手に取る。
「そうです。そんな事は阻止しないといけません」
 御童 紗希(aa0339)は光の言葉に頷きながら下着を手にする。
「これなんか良いんじゃないか?」
 カイ アルブレヒツベルガー(aa0339hero001)は様々な下着を紗希に見せる。
(不審者取締りの仕事とはいえ……なんで、こんな爆乳ばかりなんですかー!?)
 紗希は他の参加者を見回す。
 彼女以外の女性達の胸に大きなスイカが仲良く並んでいた。
「し、下着のモデル、ですか……。は、恥ずかしい、ですけど……受けたからには頑張ります……!」
 たゆん、と凶器級の胸を揺らす廿小路 沙織(aa0017)。
「セクシー下着ファッションショー♪んふふ、裸同然の格好で人前に出るなんて大興奮じゃーん♪」
 ヘルフトリス・メーベルナッハ(aa0017hero001)は嬉々とした表情でセクシー過ぎてデンジャーな下着を手に取る。
「あ、これでしたら……」
 沙織は三角ブラを手にする。
 淡い水色で縁には波の様なフリルが施され、胸を覆う部分はぴっちりした感じではなくふわっとした柔らかそうな生地を使われていた。
「ふふ、沙織さんにとても似合いそうですわ」
「それでは私はこれにしますわ」
 と、沙織は光に言って更衣室へと向かった。
「どんな依頼か聞いてなかったのですけどこんな依頼だったなんてー!? あの、僕も裏方……ふぇ? 何故にモデルですー!?」
 狼谷・優牙(aa0131)は頬を赤らめながら声を上げる。
「だって、モデルの方が楽しそうだしいいじゃないかな? かな?」
 と、無邪気にプレシア・レイニーフォード(aa0131hero001)は言う。
「で、でも!」
 優牙は女性陣をちらっと視線を向け、直ぐにプレシアの方に視線を戻す。
「あら、こんな可愛いモデルが居たら私は嬉しいですわ」
 困惑している優牙にティリアは微笑んだ。
「牛柄がないです……」
 牛嶋 奏(aa3495)はガクッと頭を落とす。
「でしたら、水面の様な模様のがありますよ!」
 落ち込んでいる奏に、スタッフはパッド付きのタンクトップを差し出す。
「ごめんなさい。海がコンセプトですから、牛嶋様でしたらなんでも似合うと思いますわ」
 と、ティリアも助け舟を出す。
「それなら、私が用意しました」
 水無月 花梨(aa3495hero001)は鞄の中から牛柄のタンクトップを取り出す。
「お嬢さん、悪いけどダメよ」
 社長が鋭い目で花梨を睨む。
「私の仲間が失礼な事をしてしまい申し訳ありません」
 鈴音 桜花(aa1122)は真剣な眼差しで社長を見据える。
「分かれば良いわ」
 社長は小さく溜息を吐くと踵を返しスタッフの元へ。
(良いのです?)
(ここで良いところを見せておけば、後でアレを……)
 Alice(aa1122hero001)が小声で言うと、桜花はティリアの胸に視線を向けた。

●レッスン
「皆様の下着が決まった様なので、レッスンを始めたいと思いますわ」
 ティリアがホワイトボードの前に立つと、トリスは慣れた手つきでエージェント達に冊子を配る。
「なにぶんモデルのお仕事なんて初めてですから……歩き方の練習とか、念入りに行っておきませんと」
 沙織は真剣な表情で冊子を開き目を通す。
「当日の舞台とは大きさは違いますが、スタッフの皆様を記者だと思って下さいね」
 と、ティリアがスタッフ達に目配せをするとカメラを取り出した。
「あ、あの……ティリアさん」
 更衣室のドアの隙間から紗希が頭を出す。
「どうしましたの?」
 ティリアは資料をトリスに押し付け、更衣室へと消えていった。
「はぁ……それでは、本番に近い姿でしたい方は着替えて下さい。優牙ちゃん達は男性用更衣室に案内します」
「はい」
 優牙とプレシアはトリスの後をついて行った。

「その……スタッフの方にオススメされて着たものの、ご覧の通りです」
 と、沙織は隙間風が通る胸元を指した。
「胴回り、アンダーはピッタリの様ですわね。ちょっと失礼しますわ」
 ティリアはズッと沙織のビスチェの内側に手を入れた。
「ひゃっ!」
 思わず悲鳴を上げる沙織の声を聞いて、エージェント達は振り向く。
 すいー、ぐいぐい、ぎゅー、とティリアは手を動かす。
「はい、御童様。こう、深々と直角にお辞儀をするポーズしてもらえるでしょうか?」
「え、はい」
 沙織は腰から上を下げ、記者会見で謝っている日本人の様なお辞儀をした。
「こうして、と……はい、どうでしょうか?」
「……ある」
 ティリアが形を整えながら言うと、沙織は目をぱちくりと瞼を開閉させた。
「凄い、ぴったりです!」
 沙織の胸元には登山家もにっこりする程の美しい谷が出来ていた。
 小さな胸がコンプレックスな彼女、雑誌のモデルが大胆に胸元を開けた部分には谷間があるのをたまに目にしていた。
「こう、背中から胸まで手でマッサージをすれば誰でも谷間は作れますわ」
 ティリアはジェスチャーしながら沙織に説明をする。
「なるほど……下着って着け方次第で大きさが変わるのですね」
 沙織はメモ帳にペンを走らせた。

「はわわ!? ど、どこを向いていたらいいんでしょうかっ!?」
 優牙は、下着姿の女性エージェント達を見ないように宙に視線を泳がせる。
「あら、如何されましたの? うふふふ、何も心配はいりませんわ」
 そんな優牙を光は頭の先から足の先まで舐める様に見つめる。
「……!」
 重量感のある光のソレが優牙の視界にドーンと入る。
「あわわっ!」
「へっ?」
 沙織が慌てた様子の声に驚いて優牙は振り返る。
 ドーン! と音を立てて2人は、少年漫画でよく見る道の角で美少女とぶつかってラッキーなハプニングにあうシーンの光景の様だ。
「んー! んー!」
「いたた……」
 優牙の顔面に柔らかくて、温かくて、息ができない程の重量のモノが押し付けられている。
「あはは、それなんていう遊びかな?」
 プレシアは小さく首を傾げた。
「あらら、お二方とも大丈夫ですか?」
 ティリアは慌てて2人に駆け寄った。
「はい、大丈夫ですわ」
「ふーっ!」
 笑顔で答える沙織の下で、優牙は苦しそうなうめき声を出しながらバンバンと床を叩く。
「狼谷様!」
「え? あ、ごめんなさい!」
 ティリアが優牙に駆け寄ると、気づいた沙織は慌てて立ち上がり頭を下げる。
「はー……はー……」
 優牙の顔は茹でたタコの様に真っ赤になっており、酸素を体に取り込むために肩で呼吸をしていた。
「落ち着くまでスタジオの隅で休んでてください」
 ティリアの言葉に優牙はこくりと頷いた。
「ほら! そこ、もたもたしないで練習するわよ!」
 社長の怒鳴り声がレッスンスタジオ内に響く。
(結構、簡単ですのに……)
 奏は配られた水を口にしながら練習風景を眺めた。
 妥協はしない社長だが、素人であるエージェント達の体力やクセを見抜いて的確にアドバイスをする。
「ありがとうございました」
 時計の短針と長針が12時を指す頃、レッスンスタジオ内のエージェント達は社長とスタッフに頭を下げた。
「明日は遅れないようにね」
 と、社長が言いその日は解散した。

●全裸じゃないから恥ずかしくないもん!
 当日の早朝、セレティア(aa1695)とバルトロメイ(aa1695hero001)の2人は『スタッフ』と書かれた腕章を付け控室へと向かった。
「あら、セレティア様とバルトロメイ様、おはようございます」
 白いバスローブを着たティリアが2人の元に駆け寄る。
「おはようございます。え、と……マーティスさん?」
 声を掛けられたセレティアは困惑した表情でティリアを見る。
「はい、モデルの仕事の時は眼鏡は外して髪は下しているのですわ」
 と、言ってティリアは微笑んだ。
「そんなティリアさんもす」
「それより、控室とショーが行われる場所を教えてくれませんでしょうか?」
 バルトロメイの言葉を遮るようにセレティアは問う。
「トリス、お願いしますわ」
「セレティアちゃん、バルトロメイちゃん、私が案内します」
 スーツ姿のトリスは2人にパンフレットを渡す。

「ここが控室ですね」
 まだ、モデル達が来る前なのでスタッフしかいない女性用控室にセレティアは入る。
 壁一列にドレッサーが並び、白一色の壁、床、天井の部屋をぐるーと回る。
 中央に長机があり、その上には大量のペットボトルと高級なお菓子が置かれていた。
(美味しそうなお菓子、大きな段ボール箱……)
 部屋の隅には、大人が一人入れる程の段ボール箱がセレティアの目に入る。
「セレティアちゃん、お菓子、いります?」
「頂けるのでしたら~」
 トリスの言葉にセレティアは返答するよりも早く手が出ていた。
「期間限定モノ、だそうです」
「あの、モルガナさん」
 セレティアはお菓子を受け取りながらトリスを見上げる。
「空の段ボール箱を使っても良いですか?」
「壊さなければ使用可です」
 トリスの許可を得たセレティアはさっきより少し膨らんだカバンを手に、段ボール箱の中へと入り蓋を閉める。

 男性用控室、そこにはカイの姿があった。
 スタッフに紛れて小型カメラを部屋が見渡せる位置に設置する。
(壊されそうになったら優牙にまかせるしかないな)
 前日の練習している時にカイは、トリスから会場や下着メーカー『クリスタル』に関しての情報は仕入れていた。
(……問題はマリだな)
 カイは眉をひそめる。
 モデルの仕事に関して一切話してないからだ。
 紗希には『愚神もしくは従魔がモデルに紛れ込んでいるかをリハで確認する仕事』と言っているからだ。
「おはようございますなのだ!」
 元気な声で挨拶をしながらプレシアと優牙が控室に入る。
「お、おはよう」
 出入り口よりやや高めの男バルトロメイが続いて入った。
「モデルの皆さん、リハーサルが30分後に始まりますので準備してください」
 と、廊下からスタッフの声が響いた。

 舞台裏にモデルが集まる中、緊張した面持ちでエージェント達は怪しい人物が居ないか視線を動かす。
「一般人は居ないのであまり緊張しなくても良いですわ」
 と、笑顔で言うティリア。
「スタイルの良い子ばっかりで、変に目立たなくて、内心ホッとするわねぇ~」
 花梨は逆に安堵のため息を吐く。
「でも、このリハーサルでも気が抜けませんよね」
「そうですぅ」
 麻陽の言葉に同意するように愛姫は頷く。
 もし、このリハーサルに下着を溶かす者が紛れ込んでいるかもしれないからだ。
 人外っぽい、変な挙動をしているモデルを見極めるために他のモデル達に視線を向けた。
「本番と思ってやるよー♪」
 ヘルフトリスはギリギリ隠れるサイズの下着で腕を振り上げた。
「危ないです」
 桜花は素早くヘルフトリスのモノを手で覆う。
「ティリアさんが不特定多数に素肌を晒すなんて……だがこれが彼女の仕事なんだ!」
 そんな華やかな輪の後ろで、バルトロメイがティリアを見て滝に打たれている人の様なポーズで叫ぶ。
「私もそういうのにすれば良かったです……」
 水色の可愛いチューブトップ姿のAliceはティリアを見つめる。
 小さな銀の貝、金のヒトデを模したアクセサリー、波を思わせる長いレースがブラの後ろに付いていた。
「俺は応援するしかない。で、雑誌の発売はいつなんですかね? 5冊買います」
 と、片手を開きながらバルトロメイは聞く。
「出版社によるかと思いますが、公開から一週間後位には出ていると思いますわ」
 ティリアは微笑んだ。
「それでは『サファイア』側のリハーサルを開始しますので、スタッフの指示に従って下さい」
 と、ニュースで見たことある女性が言うとスタッフが慌ただしく舞台裏を駆ける。

●わたし、わるくないよ!
『2016年夏の新作下着の公開に関して社長から一言……』
 と、司会者が言うと盛大なBGMと歓声に満たされる。
(あれが『クリスタル』の社長だね)
 麻陽は舞台裏に設置されているモニターに映る2人の女性を見た。
『お久しぶりね。この女狐……』
『あーら、まだ生きてたのねぇ。蛇女さぁん』
 睨み合う2人の社長に沢山のフラッシュが浴びせられる。
 舞台の電源は落ち、画面は黒くなり光源は司会者を照らすスポットライトだけだ。
『お待たせしました。『サファイヤ』と『クリスタル』の合同、新作下着公開です』
 と、司会者が言うとモデル達は駆けだす。
 舞台とモデルが歩く長いステージの縁がパッと光が点き、『サファイヤ』の担当者がスーツを脱ぎ捨て歩き出す。

「聞いてない!」
 紗希が鬼の様な形相でカイを睨む。
「マリの下着姿が合法で見るために参加登録したんだ!」
 拳を握りしめカイは本音をポロリ。
「おい、今……合法で下着姿がみたいからンだとぉ!?」
 怒りのゲージが上がる紗希は、片足を「ダンッ!」と力強く足踏みすると恐竜もビックリな地響きが聞こえた気がした。
(怒られない程度には頑張りますよ~……あー美味しい)
 そんな2人を横目に段ボール箱の中にいるセレティアは、スマホの画面を見つめたままお菓子を頬張る。
「紗希ちゃん! あと10分後に出るから早く!」
「ですが……っ!」
 しゅ~と頭から煙をだしながら紗希はトリスに言う。
「いい? もう、始まっています。紗希ちゃんが抜けるとステージは失敗してしまいます。必要なのです。カイちゃん、今回は大目にみるけど次はお説教です」
「……はい」
 紗希とカイは声をハモらせながら返事をする。
「はい! 直ぐ準備するのです!」
「分かりました!」
 紗希は何故か敬礼する。
「下着はコレな!」
 カイは紗希にカバンを押し付けた。
(オイ……準備良すぎだろ……)
 紗希は呆れた表情でカバンの中身を見て心の中で呟いた。

「ふふーん♪」
 ヘルフトリスが胸のモノを揺らしながら歩く。
 複数のカメカの望遠レンズが彼女の体を艶やかに写す。
 ステージの先でお尻を突き出し左右に振り、舞台裏に向かって歩き出す。
(皆が私の身体を……特に胸を見ている気がして……でも、何だか興奮してきてしまってる感じもして……)
 沙織は舞台に出ると両腕で自分の体を抱きしめ余計に胸が強調された。
 すっと影が現れたかと思うと直ぐに消えた。
(んー?光ったらなんか沙織に悪戯してるじゃん。あたしも悪戯しちゃおーかなぁ♪)
 ヘルフトリスは沙織の横で立ち止まると、重量感が凄い胸のモノを勢いよく持ち上げた。
「きゃぁっ!」
 予想外の行動に沙織は驚きの声を上げると、はらりと肩から何かが落ちる感触がした。
「……え、あら? む、胸のあたりがすーすーして……え、えぇぇぇ!? ブラが取れて、み、見ないでくださいぃぃっ!」
 沙織の叫び声を聞いてカメラマン達は一斉にレンズの向けた。
 幸いにもヘルフトリスの手で隠れているので『過激なパフォーマンス』として、記者達はメモ帳にペンを走らせながらスマホでこっそりと撮っていた。
 スタッフは慌てて電源を落とし、直ぐに別のモデルを出して何も無かったかのように進めた。

 PAD型装置を装着し、その上からイメージプロジェクターで本物そっくりの胸を作り出し更にアルスマギカでハイ状態になった紗希。
「よっしゃ行ってこいや、豊乳JK〜!」
 と、カイが煽るように言う。
「任しとけ、ゴルァ〜!」
 高笑いを上げながら紗希は舞台に立つ。
 ビスチェで盛り上がる胸(偽)、お尻の割れ目に食い込む下着がお尻を余計に強調されている。
 正面から見たら年相応の若々しいセクシーさが、後ろから見るとちょっと大人っぽいセクシーだ。
「良い子に育ったわね、パパ嬉しいわ」
 笑顔でポーズを取る紗希を見てカイはほろりと涙を出しつつ、その姿を脳内に焼き付けていた。
「レイアちゃんも頑張るのですぅ」
 フリルたっぷりの水玉模様のベビードールをレイアは身に着け、頭のハイビスカスが夏らしさを一層引き立てていた。
 その隣ではビスチェ姿の紗希が笑顔で手を振る。
 しかし、2人の下着に粘液が付き一部が溶け出すが慌てずに紗希が声を上げる。
「新作は一つだけじゃないです!」
 一瞬だけ舞台は暗転し、再び光で溢れかえる中でベビードール姿の紗希と三角ブラに紐パンツのレイアが照らされた。
 手慣れたスタッフの助力もあり、一瞬で着替える事が出来た2人。
「わぁ、きみも素敵なのですぅ」
「ふふん、そっちも似合ってるです」
 レイアと紗希は互いを見て微笑んだ。
(にせもの……だめ)
 舞台裏のモニターを見つめる少女は首を小さく振った。

「うぅ、やっぱり……恥ずかしい……です」
 舞台裏にあるモニターを見ながら奏はぎゅっと胸を握りしめた。
「楽しそうに盛り上がっていきましょうね」
 ぎゅっと花梨は奏の手を取り舞台へと上がった。
(まだ……)
 たゆん、たゆん、と胸のモノを揺らしながら奏と花梨はステージを進むが――……
「ひゃっ!」
 薄い水色の液体が2人の体に掛かると、どろり、と牛柄のタンクトップと海の様に青いボディスーツの一部が解け始めたのだ。
「楽しく盛り上がっていきましょうね」
 溶けた下着の下から奏は牛柄の三角、花梨は水色のトップレス姿になり会場は大盛り上がりだ。
「下着メーカー『サファイヤ』と、駆け出しアイドルの花梨を宜しくね♪」
 注目されている今、花梨は奏の腕を取り唇に人差し指を当て妖艶に微笑む。

『バルト、先ほどの液体なんだが「クリスタル」側から飛んできたのを確認したぜ』
 バルトロメイのスマホからカイが小声で伝える。
「すまない、次が出番だからトリスさんや手が空いている人に……」
『了解だ』
 今のところ全てショーの運営が容易したパフォーマンスとして認識されており、予備下着を仕込んでいた事が逆に良い結果へとなった。
「あぁ、舞台の上の女神は眩しい……このモニター録画されてないだろうか?」
 と、ガタイの良いおっさんバルトロメイは画面に映し出されているのを凝視する。

「カイちゃん、当たりです。先にセレティアちゃんが担当者を追っています」
 廊下を速足で進むカイに、トリスがそっと近寄り耳打ちをした。
「あーっ! どいてください!」
 と、慌てた様子のセレティアの声が廊下に響くと、目の前から18歳位の少女が必死に逃げていた。
 ふと見ると普通の人間と変わりは無いが、よく見ると白い肌が少し透けているのが分かる。
「ふ、ふぇぇぇん! わたしはわるいスライムじゃないですの!」
 逃げ場を失ったスライムは地面にへたり込んでしまう。
「どうしてこんなことをしたのですか?」
 セレティアは、床に座りぼろぼろと涙を流すスライムに問う。
「だって、わたし……おとなしくくらしたいのに……しゃちょーが、こうしないと……ごしゅじんさまをコロすというのです」
「幸いにもこの子、ライヴス量が少ない方です」
 廊下の真ん中で泣きじゃくるスライムに、セレティアはそっと肩に手を置いた。
「もし、これ以上下着を溶かさないと約束しますか?」
 セレティアの問いにスライムは小さく頷いた。

「うふふ、もっと見てくださいね♪」
 桜花は淡いピンクのビスチェを身に纏い黒のガーターベルトにストッキングという、あえて肌を出さずに大人なセクシーさがとても似合っていた。
「こうなったら、やけです!」
 Aliceも決心した表情で桜花の手を握り仲良くステージを歩き、一番前で立ち止まり桜花はAliceの腰に腕を回し胸のモノを押し付け合うポーズを取る。
「ふぇっ!?」
「あらあら、うっかり手が滑ってしまいましたわ♪」
 光は優牙のブリーフを破いてしまい、あらかじめ予備として穿いている黒ビキニが露わになる。
「絶対、ワザとですよね!?」
 と、優牙が声を上げるとぬるっとした液体が光の豊満な体のラインに沿って流れ落ちる。
 解けていくボディスーツ、しかしその下からはブラジル水着が!
 ブラジルのブンブン(お尻のコンテスト)の優勝者も悔しがる程のナイスヒップ!
「ほら、優牙さん踊りますわよ」
 カーニバルの様に光がお尻を振ると、胸のモノも左右に重量感のある動きで大迫力だ。
「こ、こうですか?」
 見よう見真似で優牙は光の動きを見ながら踊る。
「モデルって楽しいのだ!」
 振り付けは無茶苦茶だがプレシアは、楽しそうに踊りながらカメラに向かって手を振る。
「麻陽も負けられない、ね!」
 退場する2人を見送りながら麻陽と愛姫は舞台に上る。
 熱い程の光、人の目、そして歓声。
「行くんだよ!」
 清楚がイメージの紫陽花の模様入りの薄水色のベビードールの裾をなびかせ麻陽は長く、長く伸びる舞台の上をレッスン通りに歩む。
「はいですぅ」
 可憐なイメージの朝顔の模様入りの薄桃色のベビードールを着た愛姫。
(他にも妙な動きをする人がいるかもしれないよね?)
 と、舞台を歩く麻陽は周囲に視線を向ける。
 ふと、舞台に上がる前に『サファイヤ』の社長が「相手側の阻害であれ今、注目されているのは間違いないわだからするのよ!」という指示を脳裏に過ぎった。
『元凶は倒しました。麻陽ちゃん、愛姫ちゃん自由にパーフォーマンスしても良いです』
 トリスが2人に向けてカンペを出す。
「清楚だけじゃ物足りない」
「ですから、セクシーにもなれるのですぅ」
 ライトの光度が落ちた瞬間、2人はベビードールを脱ぎ捨てるとスタッフが素早く回収する。
 再び光の光度が上がり、再び麻陽と愛姫を照らす。
「似合いますか?」
 愛姫がにこっと微笑みながらポーズを取る。
 レースを多用したシースルーのブラとショーツはお揃いだが、色は対になるように白と黒だ。
「ちょ、ちょっとこれは……」
 麻陽は頬を赤らめながら挑発的なポーズを取る。
「麻陽様、とてもセクシーで過激ですぅ」
 と、投げキッスをしながら愛姫も対になるようにポーズを取る。
「あぁ、可憐な花だ……その花に止まる蝶はひらひらと誘う姿はセクシーである」
 と、とある記者が2人の感想を述べた。

●フィナーレ!
『それでは、本日公開! 新作下着のお披露目を終了します』
 多少ハプニングは起こったが、エージェント達のサポートのお陰で無事に終了した。
 ただ、違うのは『下着を溶かす』という噂の元凶は下着メーカー『クリスタル』に居たスライムの仕業だという事が分かった。
 共鳴姿のバルトロメイはライヴスゴーグルで見たり、優牙がねこねこなっくるで殴ると水風船が割れたように液が四方八方に散らばった。
「せっかく同じ者と出会えたのに……」
 花梨は四散したスライムの浄化していくのを残念そうに眺めた。
「あ、バルトさ~んせっかくだから共鳴時のバストサイズ測ってもらったらどうですか? 戦闘中揺れるからブラ欲しいって言ってましたよね」
「お前……ティリアさんの前で!」
 セレティアの言葉にバルトロメイは慌てて口を手で塞いだ。
「まぁ、それなら私が素敵なのを選んであげますわ」
 と、言いながらティリアの手にはブラジャー。

「社長さん」
「なに?」
 手帳にペンを走らせている『サファイヤ』の社長に麻陽は声を掛けた。
「これだけ大きい人がいっぱいいるなら、『特大サイズの専門コーナー』を作っても、採算がとれそうな気がするんだよ」
「そうね。半数以上が特大、と言えるような大きさじゃないから通販限定としてなら考えてみるわ」
「これで、サイズが無いなんて嘆く方が減るですぅ」
 社長の言葉を聞いて愛姫は嬉しそうに微笑んだ。

 日が眩しい夏、暑そうにタオルで顔を拭くサラリーマンや日傘を差している女性、様々な人々が行きかう歩道に少女が1人歩いている。
「わたし、わるいすらいむじゃない……」
 と、小さく呟いて人混みの中に消えていった。

 後日、下着モデルをした時の記事が載った雑誌が販売された。
『HOPEのエージェントが迫力あるパフォーマンスで魅せて、下着メーカー「サファイヤ」の新作下着は例年以上の売り上げ! 注目の下着は――……』
 1面にドーンと、光、花梨の2人の写真が取り上げられていた。

結果

シナリオ成功度 大成功

MVP一覧

  • エロ魔神
    御手洗 光aa0114
  • 黒の歴史を紡ぐ者
    セレティアaa1695
  • 私がロリ少女だ!
    牛嶋 奏aa3495

重体一覧

参加者

  • 胸囲は凶器
    廿小路 沙織aa0017
    人間|18才|女性|生命
  • 褐色の色気
    ヘルフトリス・メーベルナッハaa0017hero001
    英雄|18才|女性|バト
  • エロ魔神
    御手洗 光aa0114
    機械|20才|女性|防御
  • 無邪気なモデル見習い
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