本部

汝の力を示せ!

東川 善通

形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
能力者
6人 / 4~6人
英雄
0人 / 0~0人
報酬
普通
相談期間
5日
完成日
2016/07/08 23:06

掲示板

オープニング

●トカゲ市名物
 中国の地下、それは密かに静かに活動していた。名を蜥蜴市場(シーイーシーチャン)。通称トカゲ市という。俗に言う闇市である。
 多くは地下にあるとされるが、地上にも稀に存在するらしい。このトカゲ市が初めて摘発されたのは中国でのこと。当時は中国内部のみと目されていたため、「発見された地名+市」で呼ばれていたが、アジア各国(日本に置いても事例が幾つか発生)でもあることが判明。
 更にはトカゲのしっぽのように摘発されるととっとと切られてしまい、大元を掴めない。そのせいか、一定期間空けて再び現れることからトカゲのようだと言われるようになり、結果として「トカゲ市」と総称されるようになった。
 ただ、トカゲ市は怪しげなものは勿論のことだが、奴隷の販売やオークションも行っている。そればかりではなく、貴族の娯楽という名目で、闘技場が設けられ、賭けが行われている。
 闘技場は場所によって、ルールは様々で、オーナーも異なる。誰によって選任されるのか不明だが、いつの間にか選任されているのだ。そして、ここにも一人オーナーとなったものがいた。

●闘技場の主
「はぁああ、随分と面白みに欠けるなぁ。アンタもそう思わねぇか、土(トゥ)さんよぉ」
 壁一面をモニターにした部屋。そこにはソファに腰かけたライオンの頭をした男とその後ろにはスーツの青年がいた。男はモニターを見つめたまま、青年――土へ声をかける。土は「もともと興味ありませんから」と淡々と答えれば、「それはそれでつまらねぇやつだな」と男は笑う。
「ただ、笛吹からあなたが面白いであろう提案を持ってまいりました」
「ほぉ、どんなのだ?」
「H.O.P.Eの人間を招待すればよいと」
 モニターから視線を外し、目を爛々と煌めかせる男に土は何の感情もなく、そう告げた。それがどういう意味があるのかを理解した男はガハハハと大口を開けて笑う。
「そいつぁ、面白れぇ。あのブタどもも喜ぶに違いねぇ」
「H.O.P.Eの人間が万が一、人を殺せば、それだけでH.O.P.Eの信頼の失墜にもなりましょう」
「それにH.O.P.Eの奴らだったら、こんな奴らとは違って、楽しそうだ」
「といいますと」
「招待状に俺のことを書いておけ。なおさら、来るだろ」
 男が一瞥したモニターの中ではガリガリにやせ細った男たちと屈強な男たちがリングの中で戦っていた。それを見て、それよりもH.O.P.Eの連中の方が面白そうだと舌なめずりをする。
「と、いうよりもだ、笛吹さんはそのつもりなんだろぉ」
「えぇ、まぁ、その通りです。愚神であるあなたの存在を書いて送れば、彼らは討伐に動くでしょうと」
「それでいい。雑魚が来るよりもそっちの方が面白い。殺り合えるからなぁ」
 今までの奴らはあまりにも一方的過ぎてつまらなかったと男は語る。土は「そうですか」と相槌を打ち、「では、私はそれだけですので、失礼します」と男に頭を下げた。
「デルクス、おめぇ、さっさと土さんを喰っちまえよ。そのほうが面白いぜ」
 目をモニターに戻した男はそう部屋にいない誰かに告げる。
『余計なお世話や。これはうちの獲物や。うちがいつ食べるかやなんて、あんたらに関係あらへん』
 少女のようなその声は土の胸元にあるマリーゴールドの形の宝石から発せられた。土は自身が食材のように扱われているにも拘らず、その表情は一切変えない。
『胜人(シォンレン)、笛吹が待っとる』
「えぇ、そうですね。では、シーズさん、ご健闘をお祈りしておきます」
 再度一礼をすると土は闘技場を、トカゲ市を後にした。愚神シーズは「ご健闘ねぇ。心にもねぇことをよくいったもんだ」と呟き、すぐに来るH.O.P.Eの人間の襲来に心を踊られた。

●闘技場からの招待状
 彼がそれを見つけたのは偶然だった。偶々、面白い依頼がないかとメメント・モリ(az0008)はH.O.P.Eを訪れていた。そして、依頼の中から面白そうな依頼を見つけ、ニッと唇を釣り上げる。
「俺様にピッタリの依頼じゃねぇか」
 依頼はこうだ。
『中国のとある地下にトカゲ市の存在を確認。その地下にある闘技場にて愚神と思われる存在が匿名の通報により発覚。尚、この愚神は闘技場のオーナーであるようで、闘技場のゲームを勝ち抜くことによって姿を現すらしい。よって、不本意ではあるが、そのゲームを勝ち抜き、愚神の討伐を願う。ルールは以下に記す』
 ルールのところにも目を通し、メメントは少し面白くなさげに口を尖らせる。
「一対一じゃねぇのかよ。まぁ、それでも七対七だろ。つーことは、あと六人か」
 頭をぼりぼりと掻いたメメントは「よし」と頷くと、ゲームに必要な人数を集めるため、偶々近くにいた君たちに声をかけた。またはSNSを利用し、そこでも募集をかける。

「なぁ、愚神の野郎をブッ飛ばしに行こうぜ!」

解説

ゲームを勝ち抜き、愚神を撃破せよ!

【】はPCの知らない情報となります。

●闘技場
 7×7のリングが中央に置かれている。【他にある設備はカメラが数台とそれぞれ挑戦者が出てくる入り口が二か所。カメラはどこかにその映像を放送をしているようだ。】

【●対戦相手
 大小あれど、一般人。借金の担保として連れてこられたもの、賞金に目が眩んだものなど様々である。逃げ出すものも勿論いるが、本気で挑んでくるものもいる。】

●ルール
 武器有りのなんでも有りの7対7バトル。対戦相手をリングの外に出す。もしくは殺すと勝ち。気絶はカウントされない。3連勝ち抜くと賞金がもらえる。その賞金を対価として闘技場のオーナーと死合を行うことができる。

●闘技場オーナーと側近
・デクリオ級愚神「シーズ」(詳細は不明)
 【ライオンの頭をした男。頭以外は通常の人間のようで、武器はメリケンサック(打撃部が棘)を使用。攻撃範囲は1。大振りの攻撃や連続攻撃が多め。

・ミーレス級従魔「ホウズ」×6
 猿人型従魔。武器はトンファー。攻撃範囲は1。基本は単調な動き。身軽で人一人の上を軽々と飛び越えることができる。】

●同行NPC メメント・モリ
 共鳴状態で参加。積極的に攻めていく姿勢。何かあれば、プレイングへ。

●その他
 「●闘技場の主」はPL情報になります。また、トカゲ市については、愚神討伐が最優先とされているので、アクションを入れる必要はありません。

リプレイ

●口を開けて待つ
 メメント・モリ(az0008)の声掛けにより、六人の有志が集まった。闘技場のあるトカゲ市傍、食事処の隅を借りて、情報整理をする。ただ、今すぐにでも闘技場に走って行きそうなメメント。そんな彼を押し止めたのは以前から交友のある秋津 隼人(aa0034)だった。
「まあまあ、メメントさん、そんなに急いでも相手は逃げませんよ」
「わかんねぇぜ。闘技場だろ、つーことは別の奴にやられるってこともあるだろ」
「それは大丈夫じゃないかな」
 口を尖らせていうメメントにArcard Flawless(aa1024)は持論を告げる。通報内容で「愚神の存在」を強調しているということは明らかに自分たちを誘っているのだろうと。
「それに、奇跡的に人が愚神まで辿り着けたとしても、勝てないんじゃないかな。なんたって、愚神と人だからね」
「とはいえ、私たちの相手に何が出てくるかだ」
 そういうのは灰川 斗輝(aa0016)だ。愚神が待ち構えているのとしたら、それの息のかかったものが出てきてもおかしくはない。そう彼がいえば、それに異を唱えるものがいた。
「例えそのようなものでも人であれば、殺すという選択肢は排除ですね」
 零月 蕾菜(aa0058)はそう静かに言った。しかし、斗輝はそれが納得出来ない。
「人であっても向かってくるのであれば別ではないか? 殺しまではしないが、向こうが勝手に死ぬのはどうしようもない」
「でも、それが致し方なくだったら、どうでしょう」
 H.O.P.Eからもらった過去トカゲ市にあった闘技場の資料。それを読んでいた九字原 昂(aa0919)が資料から顔を上げ、告げる。そもそもトカゲ市自体が闇市の集合だ。人身売買も当たり前のように行われている。つまり、その中にある闘技場ともなれば、と推測を語る。そんな議論がされている横で、メメントは早くやり合いたいとばかりにそわそわ。
「メメントさん、やる気満々なのは結構ですが、勢い余って殺さないでくださいね」
 見かねた新座 ミサト(aa3710)がそっと告げれば、「んなことわかってる! つーか、いつまでここに居るつもりなんだ! 目の前にあるのに!!」
 早く戦わせろ!! と騒ぐメメントに隼人は「これ以上は大人しくさせとくのはちょっと危険ですね」と相手を心配した。そして、程なくして、時と場合によって、対処しようということで話は落ち着く。やっとだと勇み進むメメントを先頭にエージェント達はトカゲ市に足を踏み入れた。

●口に飛び込む虎
 トカゲ市。それは一言で言ってしまえば別世界だった。不気味なモノ、怪しいモノ、人、モノであれば何でも売ってあると言っても過言ではない。そんなものに目を取られつつも、報告書に記載のあった闘技場へと急いだ。
「あんたら、H.O.P.Eの人やろ」
 闘技場らしきところで話しかけてきたのは白い軍服に身を包んだ糸目の少女。彼らがいるトカゲ市で彼女は異質だった。
「何故、私たちがH.O.P.Eの人間だと思うのでしょう?」
「そら、決まっとるやろ。ここにおる連中とは身なりがちゃう。それだけや」
 蕾菜の言葉に少女はそう答え、続けて「リングはこの奥や」と細い通路を指差した。
「きみは一体――」
「いずれ、や」
 アークェイドの問いに少女は答えず、トカゲ市の奥に姿を消した。
「おしっ、アイツの言うとおりだったらこの奥なんだろ。さっさと行こうぜ!」
「メメントさん、警戒は劣らないでくださいよ」
「おう」
 隼人の言葉に元気よく答えたメメントに「心配だ」と全員が思った。それでも、行かないわけにもいかない。周囲の警戒を進むと、そこにはリングが鎮座していた。リングの周りには数台のカメラが設置されている。メメントたちが出てきた反対側にも入り口らしき閉じられた扉があった。
「アウェイですからね。どんな仕掛けがあるともかぎりませんし」
「リングの周りをちょっと見てみますね」
 ミサトはカメラの周りなどをチェックする。その一方で蕾菜がライヴスゴーグルを装着し、ライヴスの流れを確認していく。
「カメラ、か。見世物というわけか」
「恐らく、別のところで見てるのかもしれませんね」
 斗輝の言葉に別の闘技場も似たような形式だったようですと昂が答えた。
「高みの見物か。愚神のくせにいい身分だね。いや、それとも、他のところにも?」
「んなこととか、どうでもいいから、始めようぜ」
「メメントさん、いつの間に」
「まぁ、確かに来たからにはずっと考察してるわけにもいかないな」
 考察するエージェントたちにメメントは一足先に共鳴し、リングに上がっていた。それに隼人も共鳴し、リングへ上がり、アークェイドたちもそのあとに続いた。様子を見るためにと武器は取り出さず、素での構えを見せる。
 全員がリングへ上がると閉じられていた扉が開き、そこから6人の男女が入ってきた。彼らはメメントたちの姿を確認するとおずおずとリングへ上がる。その姿はとてもじゃないがこれから、対戦する相手とは思えない。
「……素人だね」
「はい、恐らくは間違いないでしょう」
「愚神は何を考えているんだろうか?」
 女性陣は固まって、彼らの様子を窺う。彼女たちばかりでなく、男性陣も慎重な姿勢を崩せない。
「もっと、やりがいのありそうな奴を連れて来いよ!」
「これは遊びのつもりか」
「可能性はありますね」
 叫ぶメメントの後ろで斗輝と昂は他に変わったところがないと目を光らせる。どちらも動かずいるとリングにカーンとゴングの音が響いた。それにびくりと体を震わせつつ動いたのは相手だった。
「俺は、俺はここで死ぬわけにはいかないんだぁああ」
 隠し持っていたナイフを取り出し、近くにいた隼人に襲い掛かる。隼人はそれを素早く避け、セーフティガスを発動させた。
「……いや、死に、たくない」
 ガスがリング上に広がると相手の男女はバタバタとリングの上に倒れた。
「一般人ということだね。まぁ、ボクたちへの反応を見ても、わかることだったけど」
「とりあえず、今の内にリングの外に出してしまおうか」
「そうですね。でないと、勝ちにはなりませんから」
「……俺様の思ってたのと違う」
 斗輝の言葉に隼人は頷き、メメントは口を尖らせる。戦いたくて来たのにとブツブツという彼に昂が「愚神に思いっきりぶつけましょう」と励ました。
 次に出てきたのは屈強な男たちだった。それにはメメントは目を輝かせ、蕾菜は「能力者なのでしょうか?」と首を捻る。しかし、相手はそんな彼らにお構いなしに攻撃を仕掛けてした。メメントは待ってましたとばかりに応戦する。
「ぐぁっ」
 しかし、彼らもまた一般人だったようでメメントたちにあっという間に伸されてしまう。
「隼人、お前、なんかやったか?」
 どうやら、攻撃の手ごたえ思った以上になく、近くで尻もちをついている隼人に尋ねるメメント。それに彼はすみませんと素直に謝罪を告げた。
「ヴィランであっても人……できれば殺傷は避けたいです、俺は。とはいっても、彼らはヴィランではなさそうですから、特に」
「……愚神の時は邪魔すんなよ」
「それは勿論。その時は思いっきりやってください」
 口を尖らせたメメントに隼人はそう告げると「じゃあ、さっさと終わらせるぜ」とリングに残っていた男たちを次々とミサトたちと連携しつつ、リング外へ放り出していく。
「さて、残り一勝ですね」
「とはいえ、さっきまでが随分とあっけなかったからな。どう来るかだ」
「能力者がいないとは限りませんからね」
 蕾菜の言葉に斗輝と昂が頷く。アークェイドも転がされた先の対戦者を見て、確かにあっけなかったなと感想を抱いた。
 警戒するエージェントたちの前に現れたのはガリガリに痩せた少年たち。その手にはどこで手に入れたのか銃や爆弾が握られていた。
「随分と悪趣味ね」
 子供たちが怯えた表情で武器を構えるその姿に全員が顔を顰めた。そこまでして、ここに上る理由は何なのだろうかと思う。
「例え、誰かのためだとしても、君たちはここに来るべきじゃなかったと思いますよ」
 そう隼人が言い終わるか否か、二回目のセーフティガスを噴射した。少年たちは何かを言いたげに口を開いたが、そこから言葉は出ることなく、倒れた。
「こんな子供たちまで出すなんて」
 酷いですとその瞳に怒りを滲ませる蕾菜。それにアークェイドも頷くが「何かを守るためには大人も子供もないのかもしれないね。少なくとも彼らにはそうまでする何かがあった」と続けた。
「で、三連勝したし、次はようやくメインディッシュかしら」
 長い髪を振り払いそう言うミサト。それと同じようにメメントはいよいよだと幻想蝶から愛用の斧カルペ・ディエムを取り出し、それにならい、斗輝たちも各々の武器を手に取った。

●闘技場の主
 パチパチとリングに拍手が響いた。
「随分と退屈させちまったようだなぁ」
 現れたのはライオンの頭をした男――シーズ。それに追随するようにトンファーを持った猿人――ホウズ6体が姿を現した。
「殺して、面白いことになるのを狙ったんだがなぁ」
「御託はいいから、とっととやろうぜ!!」
「ははは、それもそうだな。あんたとは気が合いそうだぁ」
 思惑が随分と外れたと頭をかくシーズにしびれを切らしメメントが叫べば、愉快そうに笑い、リングへと上がってきた。
「さぁ、死合おうか」
 メリケンサックに指を通し、構えたシーズにホウズもトンファーを構えた。ゴングが響く。
「先手はいただきます」
 孤月を構えた昂は攻撃のモーションをとる。それを回避すべく、ホウズ6は昂に目を集中させた。その一方で同じく素早く動いたミサトがホウズ3虹蛇を振り下すも猿ということもあってか、ひょいっと避けられてしまった。次に動いたのはホウズ5。斗輝にトンファーを振り下す。それをガードするが、僅かながら、傷を負ってしまう。そんなホウズを狙って動いたのはアークェイドだった。攻撃をし、隙があるところにグラビリティゼロで爆砕の杭を打ち込む。攻撃が来ると予想できなかったホウズ5は真っ向から、それを受けてしまい、ボロボロな状態になった。
「思いっきりどうぞ」
「あぁ、当たり前だ。おら、喰らいやがれ!!」
「いいねぇ、アンタみたいなやつはやっぱいい!」
 斧を振り回し、攻撃するメメントにシーズは心底愉快そうに笑い声をあげ、それに応える。
 そんな戦いを楽しむものがいる一方では怒りをぶつけているものもいた。
「一応私も、怒ってはいるんですよ」
 一般人と戦わされたことによって、怒っていた蕾菜は複数のホウズが固まった地点にブレームフレアを放つ。轟々と燃える炎の中から、数体のホウズは逃げだし、再度、トンファーを構え直し、今度はこちらの番だとばかりに連撃を放つ。しかし、それを向けられた隼人はライオットシールドを構えて、それらを全て防ぐ。
「もう少し、攻撃力をあげた方がいいですよ」
「それは言えているな」
 攻撃を繰り出したホウズ1の後ろに陣取った斗輝は天雄星林冲でそれを一薙ぎする。しかし、先のミサトの流れを記憶していたのか、それに反応した。ただ、反応はしたもののタイミングが遅く辛うじて、ダメージを与えるにとどまった。

 ホウズと攻防を繰り返し、一体、また一体と倒していく。倒されたホウズをシーズは邪魔だと除外に放り捨て、より一層面白そうに笑った。そして、やけになったか、近くにいる人を攻撃。しかし、その軽い拳にはアークェイドが「いくら数打つからって、この拳は軽すぎるんじゃない?」と告げ、「連打するからにはさあ。一発毎に殺意を込めて、相手もろとも破裂させて見せろや!」とお手本を見せるが如く、シーズの体に爆砕の杭を打ち込む。
「やっぱ、そこんじょそこらの人間どもよりはいいなぁ。面白れぇ。俺が求めてたのはやっぱ、これだわ」
 アークェイドの拳、斗輝、蕾菜のブレームフレアやミサト、メメントの怒涛乱舞、昂の攻撃を喰らってもなお、シーズはリングに立ち、拳を彼らに向けていた。
「……」
 攻撃が来るかと全員が構えていたが、それは一向に来なかった。リングの中央でシーズはメメントたちに拳を向けて、死んでいた。
「……結構、手間取ったな」
「そうですね。とりあえず、終わりましたが、帰るまでは油断はできませんね」
「えぇ、そうですね。カメラがあるということは、見てる人もいるはずですから」
 斗輝は隼人ケアレイを掛けてもらい、やれやれとばかりに呟けば、蕾菜とミサトも頷く。そんな彼らの隣でアークェイドと昂がH.O.P.Eへ報告書を挙げる。また、それと同時にカメラがどこに繋がっているかの調査も依頼を行った。
「俺様に挑ませるなら、もっと強いやつを寄越せ!!」
 カメラにガァッとそういうメメント。それを隼人は「帰りますよ」と引きはがす。そして、メメントが斗輝たちと合流する一方でカメラの前に残った隼人はどこかのCMを思わせるようにカメラに告げ、メメントたちに合流した。

●目の先にいたもの
『俺様に挑ませるなら、もっと強いやつを寄越せ!!』
『以上、エージェントにより愚神は見事討伐されました。御用命があればHOPEまで、どうぞ』
 プツンと音を立て、映像は切られた。
「シーズではダメだったようだ」
「そうですか」
「いや、でも、鼠どもにはいい余興になっただろう」
「それより、よかったんですか? あそこは結構、イイ苗床だったのでしょう」
「あぁ、かまわないよ。捨てるつもりで君に行ってもらったんだから」
 椅子に腰を掛けた男はそう言って愉快そうに笑みを浮かべ、青年は静かに「あなたのご意思ならば」と一礼をした。
「さて、次はどうするかな」
 そうクツクツと笑いながら思案する男の笑い声が静かな部屋に響き渡った。

結果

シナリオ成功度 成功

MVP一覧

  • 挑む者
    秋津 隼人aa0034

重体一覧

参加者

  • Loose cannon
    灰川 斗輝aa0016
    人間|23才|?|防御
  • 挑む者
    秋津 隼人aa0034
    人間|20才|男性|防御
  • ひとひらの想い
    零月 蕾菜aa0058
    人間|18才|女性|防御

  • 九字原 昂aa0919
    人間|20才|男性|回避
  • 神鳥射落す《狂気》
    Arcard Flawlessaa1024
    機械|22才|女性|防御
  • ローズクロス・クイーン
    新座 ミサトaa3710
    人間|24才|女性|攻撃
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