本部

忍者村を盛り上げろ

saki

形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
能力者
5人 / 5~10人
英雄
5人 / 0~10人
報酬
普通
相談期間
5日
完成日
2016/04/28 17:32

掲示板

オープニング

●企画
 忍者村――それは国内外老若男女問わず、観光客が訪れる観光スポットである。
 そんな忍者村は近頃その方向性に難航していた。迷走しているといった方が良いだろう。
 そこであっと驚くような企画を立て、今まで以上に集客に臨みたいのだ。
 だが、何が良いのだろかという所でスタッフは頭を悩ませた。そして、今人気を集めている能力者や英雄にお願いして何か忍者っぽいことをしてもらおうと考えたのだ。
 何か忍者っぽいというのがミソである。
 寧ろ、何も考えておらず、行き当たりばったりの企画であると考えた方が近いだろう。
 しかし、何とも軽いノリであるスタッフ達は軽い気持ちでこの企画を進めることに決めてしまったのだ。

●依頼
「皆様、当忍者村からの依頼を受けてくださり、誠に有難うございます」
 忍者の格好に扮したスタッフが頭を下げた。
 黒一色の衣装に目元以外を隠した、正に忍者といった風の姿である。
「素晴らしいですね。皆様、流石の手腕です。檻に入っているとはいえ、従魔をこんなに近くで見るのは初めてです」
 依頼の内容に付随して、各々が従魔を捕縛して連れてくるというものがあった。その為、其々が自分で捕まえた従魔を檻に入れて運んできたのだ。
 特製の檻に入っている為逃げられる心配はないが、今にも襲いかからんとばかりに唸り声を上げている。それをスタッフは興味津々といった風に眺めているが、危険は理解しているようで決して檻の近くには行かず、其々の従魔を確認していた。
「皆様には、ご自身でこちらに連れて来た従魔と戦っていただきます。しかし、ただ戦っていただくわけではありません。
 忍者に扮装し、忍者っぽい感じで戦っていただきたいのです。私が言っている意味は解りますか?」
 首を傾げたメンバーに、スタッフは「つまりです」と言う。
「忍者の服装をし、忍者の術であるかのようにスキルを駆使して従魔を倒してください。勿論、スキルを使う時はそれっぽい技名――「○○の術」みたいな感じに言って戦う――それだけです。共鳴の時もなるべくそれらしい感じでお願いしますね」
 ある意味無茶ぶりっぽいことをさらりと言いながら、スタッフは唯一露出している目元を緩ませた。

解説

●目的
→忍者の格好をして、忍者のように戦って従魔を倒すこと

●補足
→戦いは開けた屋外でやるので周囲を気にする必要はありません。
 しかし、従魔が逃げ出すと観客に被害が出る可能性もあり得るので、従魔を逃がさないようにだけは注意しましょう。
→服装は忍者服で臨むこと。但し、色の指定は無いので、自由です。派手で無ければ装飾もあり。希望がなければ黒になります。
 忍者ということなので、イメージだけは壊さない方向でお願いします。
→戦う時と共鳴の時は忍者らしい台詞を口にしましょう。
 スキルを使う時も、忍者の技であるように見せるような戦い方をしてください。
→従魔は其々が連れて来ているので、自分が戦いたい従魔を選択してください。
 自分のスキルや持ち味が最も輝くものと対戦しましょう。

リプレイ

●ショーの袖にて
<間もなく、忍者と従魔の戦いのショーが始まります。皆様是非、ご覧くださいませ>
 アナウンスが鳴り響き、安全確保の為、柵とロープが張られた周囲に人が集まって来る。


 それを見ながら「……めんどくさい」と呟く佐藤 咲雪(aa0040)にアリス(aa0040hero001)が『そういうオーダーなんだから、仕方ないでしょ』と言えば、不服そうながらも咲雪は「……ん」と頷いた。
 依頼の内容を聞き、「……にん、にん?」と両手の指を組んで人差し指を立たせるあの独特なポーズをしてみるが、『この場合求められているのは忍者というよりは、NINJYAね』と本来の忍者のように影に隠れた存在ではなく、一般的に受けるといった意味でのそれをアリスは冷静に分析する。
『ま、衣装さえ合わせれば、いつも通りのやり方で問題ないと思うわ』「……ん」


 麻端 和頼(aa3646)とテジュ・シングレット(aa3681)と五十嵐 七海(aa3694)は今回、一緒にパフォーマンスをする予定であり、既にその準備も整えた。
 演出用にIプロジェクターを用意し、更には戦闘を終えた後に従魔料理を振る舞うという算段である。

 和頼は赤の横線入の黒の忍者服、華留 希(aa3646hero001)は赤の横線入の白の忍者服を身に纏っている。
 希が提案する演出に、「…本気か?」と和頼は眉根を寄せるが、その様が面白いのか希は『そりゃ、やるからには完璧にやらなきゃ! ね?』と叱咤するような、念押しするように、何故か希はノリノリで笑みを浮かべた。

 テジュは焦茶の忍者服を着、ルー・マクシー(aa3681hero001)緑色の忍者服姿だ。
 記憶喪失故に忍者というものを知らないテジュに、ルーは『今回の依頼…本物の忍者が秘伝授けるのに企画したって噂だよっ』と堂々と嘘を吐いた。しかし、そもそも疑うということも知らない上、忍者という存在も知らないテジュはルーの言葉を「頑張らねば…な」とあっさりと信じた。

 七海とジェフ 立川(aa3694hero001)は「これぞ忍者!」とばかりの黒色の忍者服姿だ。
 今回の依頼を受けたものの、七海は「倒すのは仕事だから良いの…でも見世物にするのは違う気がするよ」とこの依頼に否定的である。それをジェフは『なら受けなきゃ良い、受け手が無くば企画倒れで終るんだ』と言い、更に『だがオレ達の仕事は倒すだけかな?怯える子に「忍者も従魔を倒せる!」って夢を与えても良いんじゃないか?』と続ければ、「そうだね、忍者って強いんだよ、皆を守ってくれるんだよって見せてくる」と七海は一応納得したようであった。


 世良 霧人(aa3803)は黒、クロード(aa3803hero001)は赤の忍者服姿だ。
 霧人は「忍者になりきる……」と呟き、多分知らないんじゃないかな……とは思いつつも、クロードに「クロード、忍者ってどんなのか知ってる?」と尋ねれば、意外なことに『もちろんでございます! 世良家に使える者が、ニンジャを知らない訳がございません!』と胸を張って答えた。黒猫がそんなことをやっているものだから、ある種の微笑ましささえもある。
「おっ頼もしいね」と笑む霧人に『旦那様、ここはワタクシにお任せ下さい!』と自信満々だ。

●ショーの開始

・咲雪&アリス
<まずは、可憐なくノ一です>

 出番になり、ショーに出る前に共鳴する。
 口元をマフラーのような長い布で隠し、鼻上は露出した黒のオーソドックスな忍者服を纏うが、「……この服……胸が、きつい」と咲雪が呻いたように、その豊満な胸部を見ると随分と窮屈そうだ。しかし、『もう1サイズ大きいと、袖とか長すぎるから少し我慢しなさい』とそれをアリスは諭した。

 観客の前に登場し、従魔と対峙する。
 猪のような外見をした従魔だ。
 但し、明らかに「ような…」という注釈がつくのはその二本足故だろう。頭部と四肢も猪のそれであるが、二本足で立って鼻息荒く咲雪の前に立っているのだ。これが従魔でなければ、変質者のそれである。咲雪が身体に密着するような忍者服を着ていて、その女性らしい体つきを存分に見せているから尚更それに見える。
 知性も理性もまるで感じさせない従魔は、猪突猛進とばかりに涎を垂らしながら咲雪に襲い掛かる。しかしそれを身軽にかわすと、すれ違いざまに女郎蜘蛛を発動、そして更に追撃とばかりに影縫いでこれでもかとばかりに従魔の動きを阻害する。
 足し算と言うよりは二乗計算になりそうなコンボで徹底的に動きを邪魔し、ジェミニストライクで攻撃する。
 まるで漫画にでも出てきそうな技のラインナップである。網の投擲から始まって針を放ち、その上で分身。これは正に忍者が使うとイメージしやすい技だ。咲雪自身が話すことなく、徹底的に沈黙を貫いたまま一方的に封殺する姿もそれをよりそれらしく上げている。
 従魔なだけあってタフであり、まだもがこうと繰り出してきた拳を避けるとそのまま拳を掻い潜り「……終わり」とアサシンナイフを滑らした。
 実に鮮やかであり、パフォーマンスにも十分な姿に大きな拍手が巻き起こった。

・霧人&クロード
<次は、これは驚き! 忍者と猫忍者です>

 二人で揃ってジャンプをすると、宙に浮いている間に共鳴をする。格好は赤の忍者服だ。
『ドーモ、観客の皆サン。クロードです』といきなり観客に向かって挨拶を始めたクロードに「(!?)」と霧人は目を白黒させた。
 そしてフィギュアに憑依したのか、人間と見紛うばかり精巧な作りをした身長140cm程度の、人間なら大体10歳~11歳程度の少年の従魔に向かっても『ドーモ、従魔サン。クロードです』と挨拶をする。
 見た目こそ人間に良く似ているが、従魔なのだから当然挨拶は返ってこない。
 霧人は脳内でこっそり「(ねえクロード、忍者の事ってドコで知ったの?)」と尋ねると、クロードは内心で首を傾げつつも『? 奥様が教えて下さいました)』と教えてくれ、霧人は「(・・・うん分かった。ありがとう)」と頭を抱えた。

 刀を振るう少年に、クロードは『イヤーッ!』と叫びながら刀で応戦する。
 キンッと刃がぶつかり合う音が響き渡り、それが幾重も重なっていく。それに伴い、『イヤーッ!』という叫び声も連続して続き、最早原型を留めていない。
 少年は無表情のまま距離を取り、威嚇するかのような唸り声を上げる。声帯が発達している訳ではないから話すことはできないが、声を出すことはできるようである。
 距離が出来た所で『雷神の術』と、クロードは雷神ノ書から雷を発射する。これには観客も沸いた。「格好いい」とか「おぉ」と彼方此方から声が上がる。
 得気になったクロードは『イヤーッ!』と、懐から取り出した苦無を投げつける。
 従魔に苦無が掠った。
 しかし、即効性の睡眠薬を塗ってあるだけにそれで十分である。従魔がよろめいた所で一気に距離を詰め、接近して至近距離でライヴスブローを決める。
 クロードの『サヨナラです、従魔サン!』の言葉とともに、従魔が倒れた。
 刀を収めるキンッと、涼しげな音が響き渡った。

・和頼&希、テジュ&ルー、七海&ジェフ
<最後は何と三組です。多人数による迫力のある戦いに期待が高まります>

「きゃぁあああぁああ!」
 女性の悲鳴が響き渡る。女性スタッフの悲鳴がスピーカーから流れているのである。
 その悲鳴を聞き、観客席のの後方から三方向にてまだ共鳴していない六人が登場する。
『悲鳴とあらばっ』とルーの声が響き、それにテジュが「聞き捨ておけぬ」と続ける。その後に七海が「守護に生きると決めた日より」と言い、ジェフが『駆けつけ守ろう仲間と共に』、そこから和頼が「…オレ等がやらねば…誰がやる…」と言い、希が『合身忍者3人衆ワイルダス、此処に見参!』と締めた。
 羞恥の和頼は周囲に聞こえないようにこっそりと「…何で忍者が英語名なんだよ…」と問えば、希も周囲には聞こえない声で堂々と『だってカッコいいし!』と言った。
 そして共鳴し、ジャンプをして柵を飛び越えると中心でポーズを決める。
 白に金の額宛をしたテジュが片膝を付いて干将莫耶構え、歌舞伎の見栄を切る。赤と黒の迷彩柄に銀のサイドラインの忍者服を纏った和頼が、爪で周囲を切り裂く仕草をする。大布放り投げて身体が隠れた瞬間に共鳴し、金地濃い桃色線入り忍者服姿になった七海が片手を空に向けて突き上げ、もう片方の手を腰、足は肩幅くらいに開いて二人の間に立った。

 まずは一見して大蛇にさえも見える巨大な、しかし食用のミミズである。
 ミミズは英語でアースワームと言うだけあって、地中こそが領域である。この巨体が地中に潜ったら厄介なのは目に見えている。
 七海は地中へ潜ろうとするミミズに対し、先手必勝とばかりにウィップダガーを振るう。
 特殊な形状をした武器だ。鞭の先端に付いた小型のダガーを上手く従魔に貫通させると、地中へと潜れないようにと動きを阻害する。
 そして動けなくなった所で「忍っ!」とテジュがヌンチャクを容赦なく振るい、高く跳び上がった和頼が「忍法雷遁の術」と空中で手から雷を撃ち落とすように雷神の書を発動させる。
 これには従魔も為す術がない。動きを封じられ、更に連携攻撃を受けて呆気なく倒れた。

 次は目の上に角のある40センチくらいの牛蛙の従魔である。数が多く、20体程はいるだろう。
「忍法影分身の術」と、テジュがジェミニストライクを発動する。その言葉の通り、テジュの分身が現れる。
 蛙の見た目をしているだけあって、従魔は奔放だ。彼方此方でぴょこぴょことまるで早口言葉のように跳ねている。それをテジュは更に「そこだっ!」と縫止で動きを止めて「忍っ!」とヌンチャクで猛攻する。その様を見て、ルーは『…そうそうそんな感じっ』と笑いを堪えながら含むように言った。
 動きが鈍くなった所で「忍法双刃斬」と和頼が刃を振るう。片手で妖刀「雨師」を振るって従魔を仕留め、盾を持ったもう片方の手で横から迫りくる従魔の攻撃を防ぐ。盾も雨師に見せかけている為、恰も観客からは二刀流で攻撃を駆使しているように見えるだろう。そこから更に「忍法水撃斬」と、背後から迫る従魔をバク転でかわして雨師で斬り付けた。
 呪符に持ち替えた七海は高く跳び上がった。そしてそこからバク転し、従魔の背を蹴上がりながら「封印の術」と札を貼り付けて攻撃し、七海自身も舞うような動きで「月光の舞」と札が舞い踊っているかのように操る。そして蛙の習性を利用し、手と札の動き反応させ操るように従魔を巧みに動かす「獣操り」でフィニッシュである。

 最後は熊の従魔だ。
 熊の従魔と対峙し、テジュは「忍法空蝉の術」と藁人形を出現させると、七海の「雷遁の術」のフラッシュバンで観客ともども従魔の目くらましをした。
 唐突の行動に、観客は離れているから目がチカチカする程度であろうが、至近距離で喰らった従魔には目を焼くかのような強烈な光線のようにも思えただろう。
 注意が完璧に逸れた所で、敵の背後に回ったテジュが背後に回って急所に攻撃を抉るような一撃を入れる。そして間髪入れず、先程の雷遁の術使用時にすかさず距離を詰めていた和頼からも「忍法流血の刃」と、飛び上がって空中回転し、そこから斬り付けているように攻撃が入る。
 三人の流れるような連撃に観客から大きな声が沸く。
 しかし、ここからが本当の見せ場である。
 七海は走り出した。そのまま勢いをつけて和頼の手に飛び乗ると、チアガールや応援団なんかであるように、和頼が投げる反動で高く跳躍した。まるで新体操でもしているかのように軽々と従魔の頭上を飛越えると、今度は敵の背後にいたテジュの手に着地。そこから更に跳び上がると、自身の力に加えて重力の籠った強烈な一撃を入れた。
 見せかけだけの派手なパフォーマンスではなく、敵を確実に仕留める為の攻撃である。
 呻くように巨体が倒れ、七海は綺麗に着地した。
 観客に向かって大きく手を振った七海は「何時でも私達を呼ぶのよ」と言い、テジュが「…安らかに逝け」と決める。その横で和頼の振りをした口調で希が『美味しく食ってやるぜ』と言い、それに和頼が「勝手に喋んな!」と締まらないやり取りをしながら勝利宣言した。

●調理
<これから先程倒した従魔の調理があります。勿論試食もありますので、皆様どうぞこのままご覧ください>

 そんなアナウンスとともに、移動式キッチンが運び込まれる。先程まで戦っていた三人は共鳴を解くと、すかさず配置につく。
 和頼がメインで調理し、ジェフはそのアシスタントだ。他の面々は給仕などがメインであり、まずはテーブルなどのセッティングをしていく。
 女子陣は給仕がメインで、テジュは力仕事がメインである。テジュは粗方力仕事を終えた後、「従魔とはいえ、殺生行為を見世物にする事を辞めて頂きたい。楽しい時間に血の匂いは不要とは思わぬか? 心を痛める者も居るのだ。もっと違う方向で忍者の素晴らしさをアピールすべきではないのか! 主に秘伝の技等の習得を目指せるとか…っ!」と説教をしていた。
 希はミニスカに着替え、ルーは緑色の忍者服+ミニスカ白エプロン、七海は短パン+エプロン姿でくるくると忙しく立ち回る。

 熊を手早く解体した和頼は血抜き処理を施し、それを香味野菜赤ワインに漬け冷やし、良い感じになったらジェフが切り分ける。味がしみて美味しそうな一品だ。
 蛙の従魔は唐揚げである。その肉は鶏肉に近いと言われる味であり、日本人には一般的に馴染みのない食材であるが、食用として飼われるものもあるだけあってその身はあっさりとした美味なのである。それを生理的に受け付けるかどうか別にして、足の方は甘辛煮にして仕上げる。
 まだ残っている熊の肉は、漬汁トマト赤ワインを入れて確りと煮込む。料理名を付けるのなら「熊肉玉葱大蒜炒」とそのままの煮込み料理だ。しかし、非常に食欲がそそられるような良い匂いがする。
 最後はミミズだ。食用であるとはいえ、これは蛙以上に好き嫌いがあるだろう。
 ミミズは扱き、土を出すと水にさらす。その後に刻み、大蒜生姜ナツメグ塩胡椒混ぜ丸め揚げる。見た目はミミズの原型がない為一見して何なのかわからないだろうが、観客には過程が見えているので何なのか丸わかりである。味の審議はともかく、栄養素抜群なのは事実だ。

 出来上がった料理を給仕三人娘が運んでいく。
 お客さんに呼ばれ、ルーは『はーいただいまっ! 希っそっちお願い!』と希にお願いし、『はーい!』と笑顔で希が給仕に向かう。七海は顔こそ笑顔のものの、その表情は引きつり、料理の方は一切見ないスタンスである。

 原材料が何であるかは兎も角、珍しいということもあって怖いもの見たさと言うのか、お客の入りは上々であった。
 そして目標の分が掃けると、自分たち用に取ってあったもので打ち上げである。

●いざ食す
 お客さんには提供したものの、まだ自分たちはその料理を食べていない。
 料理を勧められ、給仕の最中も嫌悪を抱いていた七海は「イヤ…見たくないーっ…きゃぁぁ」と拒絶の様子だ。それに何を思ったのか和頼は「…何だ? 毒はねえぞ」と自分で食べて見せ、「食えるモンでも従魔は嫌っておかしいだろ」と言う。
 しかし、矢張りと言うか七海は「…生きてる相手ならともかく、食べるかは嗜好の問題だよね? あえて選択しなくて良いと思うよ」と首を振るが、それに対し、和頼は「…お前も見てくれで判断する奴、か…」苛立たし気に吐き捨てる。
 その険悪な空気を察し、ルーが『七海、ちょっとだけ食べてみない? 和頼頑張ったんだよ? おいしいよ?』と助け船を出し、周囲からも向けられる眼差しに嫌々ながらも口に運び、表情は変えないものの「あれ? 美味しい…」と内心で思った。勿論、それを口に出すことはしない。
 しかし最終的に「和頼なんて大っ嫌い!!」と希とルーに従魔って人のライヴス吸うから…間接的に人を食べてるみたいなんだもん」と泣きつき、慰められる。
 希は和頼に視線を向け、彼が憮然とした表情をしつつも内心では落ち込んでいるのを悟り爆笑する。それを察知し、「うっせー! テジュ、ジェフ呑むぞ!」と和頼は酒を煽る。
 テジュはテジュでルーの秘伝云々が嘘であることを知って落ち込み、「ジェフ…和頼…付き合え…」と自棄食い自棄酒中であり、それを苦笑しながらジェフは穏やかな笑みのまま『ああ、いくらでも付合おう、2人とも元気を出せ…』と混ざった。

 お相伴に預かった咲雪は意外な旨さに目を瞬かせる。あの生理的に受け付けない見た目がここまで美味になるとは思わなかったのだ。
 その横でアリスが『あぁ、口についている』とソースを拭ってやる。咲雪は「…んっ」とされるままだ。

 少し離れた所で、霧人とクロードは今日の反省会だ。
『あっあれはニンジャでは無いのですか!?』と驚くクロードに、「う~ん、忍者といえば忍者だけど……、世間一般で言われてる忍者とは違うというか……」と霧人が教えてあげれば『ああ、なんという事でしょう。ワタクシはとんだ勘違いを……。旦那様、申し訳ございません』とクロードは肩を落とした。


 これにて今回の任務は無事終了である。
 テジュから注意を受けた主催者側は少し落ち込んだものの、今回の企画が成功したことですぐさま立ち直ったようだ。また突貫企画なんかを突発的にやりそうなのが、このノリだけで企画を実行してしまった面々たちだ。
 忍者村の明日は如何に? また突拍子の無いことをしないことを祈るばかりである。

結果

シナリオ成功度 成功

MVP一覧

  • 絆を胸に
    麻端 和頼aa3646
  • 絆を胸に
    五十嵐 七海aa3694

重体一覧

参加者

  • 魅惑のパイスラ
    佐藤 咲雪aa0040
    機械|15才|女性|回避
  • 貴腐人
    アリスaa0040hero001
    英雄|18才|女性|シャド
  • 絆を胸に
    麻端 和頼aa3646
    獣人|25才|男性|攻撃
  • 絆を胸に
    華留 希aa3646hero001
    英雄|18才|女性|バト
  • 絆を胸に
    テジュ・シングレットaa3681
    獣人|27才|男性|回避
  • 絆を胸に
    ルー・マクシーaa3681hero001
    英雄|17才|女性|シャド
  • 絆を胸に
    五十嵐 七海aa3694
    獣人|18才|女性|命中
  • 絆を胸に
    ジェフ 立川aa3694hero001
    英雄|27才|男性|ジャ
  • 心優しき教師
    世良 霧人aa3803
    人間|30才|男性|防御
  • 献身のテンペランス
    クロードaa3803hero001
    英雄|6才|男性|ブレ
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