本部

あくびパンデミック

形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
能力者
5人 / 4~6人
英雄
5人 / 0~6人
報酬
普通
相談期間
5日
完成日
2016/03/18 19:09

掲示板

オープニング

異世界との接触から20年。世界は急激に変化した。異世界からの脅威に脅かされながらも、貪欲な人類は吸収し得る限りの知識を吸収し、自らに還元すべく研究に努めた。そしてここにも、その研究の一端を担う研究者がいる。

「どうしよ……とんでもないの、できちゃった……」
 よれよれの白衣に、ぼさぼさの髪、深く刻まれたくま。見るからに貧相な中年の男は、途方に暮れていた。ここは、男の研究施設であり住居であった。男はグロリア社の孫会社から研究の下請けをして生計をたてていた。
 先ほどから男を狼狽えさせているものは、フラスコに入った白い粉だ。これは、依頼されていた研究の副産物であり、所謂ちょっとした出来心で出来てしまった薬だった。
「うーん……ぐぅ」
 今夜で3徹目の男は、一仕事終えた達成感と、自分の犯した過ちからの現実逃避から椅子に座ったまま器用に寝てしまった。その様子を窓の外から観察している目玉が4つ。
「おや? 兄貴。あいつ、寝たんじゃないですか?」
「ヘッヘッヘッ。みたいだな」
 研究施設に忍び込む怪しげな影が二つ。彼らは所謂泥棒。今回はとある方からの依頼で、この男が依頼された研究の内容を盗んでくることが仕事だった。泥棒二人組は、簡単に研究施設の男のPCから研究データを全て盗むと、全く起きる気配のない男を後目に金目のものを物色し始める。粗方、金目のものも回収すると泥棒二人組は、忍び足で研究室を去ろうと玄関のドアノブに手をかけた。
「ん? あ! おまえら、いったい何者だ! ?」
 急に目を覚ました男の声に、泥棒二人組は思わず振り返る。
「この! 怪しいやつらめ!」
 男は手近にあったフラスコを、泥棒達に投げつける。フラスコは泥棒達には当たらず、その近くの壁にぶつかり割れる。割れたフラスコの中の白い粉は、きれいに飛び散り泥棒達の頭に降りかかる。
「兄貴!」
「逃げるぞ!」
 泥棒達に降りかかる粉を見た男は、みるみるうちに青ざめていく。泥棒達は今がチャンスとばかりに、急いで研究室から逃げていく。
「うわ~、どんどんまずくなってきた……」
 男は慌てふためき、どこかへ連絡する。
 
「ふわ~」
「ふわ~」
 泥棒達は先程から眠くもないのに、あくびが止まらない。
「兄貴。ふわ~。何だか変じゃないですか? ふわ~」
「だな。ふわ~。さっきから、あくびが止まらない。ふわ~」
 それだけではない。先ほどから泥棒達のあくびを見た通行人も、あくびが移ったみたいにあくびを繰り返していた。しかし、泥棒達はそこまでは気がついていない。
「ふわ~。あの、白い粉のせいですかね? ふわ~」
「ふわ~。どうだろうな? ふわ~。とりあえず、明日の昼までにこいつをあのお方に渡さないと。ふわ~。くいっぱぐれっちまう。ふわ~」
 泥棒達は、大きなあくびをしながら街を闊歩する。目指すは、待ち合わせ場所のN市公民館。

「今回の依頼主は匿名だ。今回の依頼に関しては、一切の口外を禁止させもらう。研究データが盗まれたというのと、研究施設から本来なら外に出てはいけないものが出てしまったらしい」
 いつもとは違い、変に言葉を濁す職員。
「ここだけの話。特殊なウイルスが外に漏れた。命に関わるようなものではないらしいが、1週間ほどあくびが止まらないという症状が特徴らしい。空気感染というわけではないのだが、あくびを見たらうつるのが厄介だ。君たちには、この薬を渡しておく。これさえ飲めば、君たちは感染しないそうだ」
 薬と同時に各に人数分のデジタルマップが差し出される。
「これは、HOPE職員が現在調査中のあくびウイルス感染マップだ。犯人たちはあくびウイルスに感染したまま移動している。患者数の多い所は赤く、少ないところは白っぽく表示されている。これを頼りに犯人たちを追ってほしい。研究データを盗むような場合は、黒幕がいるはずだ。黒幕と落ち合うところを抑えてほしい」

解説

●達成条件
 泥棒二人組の雇い主を見つける
●敵情報
 泥棒二人組
  20代男性二人。一般人。武器はなし。
  あくびウイルス感染中。
  大切な研究データの入ったUSBを持って移動中。
 黒幕
  グロリア社のライバル会社の役員。一般人。
 あくびウイルス
  偶然できた研究の副産物。
  感染者のあくびを見るとうつる。
  1週間あくびが止まらない。命に関わるようなことはない。
●状況
 F市の研究施設から研究データを盗んだ泥棒二人組が、N市へ向けて移動中。
 F市からN市までは公共機関を使って、約半日かかる。
 犯人たちは公共機関を使って移動中。

リプレイ

●事件は現場で起きている
 麗らかな午後の日差しの中、御神 恭也(aa0127)と伊邪那美(aa0127hero001)はF市内にひっそりと建てられたとある研究施設を訪れていた。
「研究データの流出よりも特殊ウィルスが漏れ出た事の方が大事じゃないのか?」
 御神はぼやきつつも、警察が張り巡らせた黄色いテープをくぐり、荒らされた室内へと入る。
「え~っと、良く判らないけど盗まれた物と受け渡しに来た人を捕まえれば良いだよね?」
 伊邪那美はあまり依頼内容を理解していないようだった。御神は天井付近を何かを探すように見回す。そして、何かを見つけたように視線を一点に止める。
「伊邪那美。あれ、とれるか?」
「うん。任せて!」
 御神は伊邪那美を抱き上げると、天井付近の監視カメラを外させた。カメラは24時間の録画式で、独立して機能するタイプだった。早速御神はカメラをパソコンへ繋げ、動画を再生した。
 辺りの機械などを興味深そうに見て回っていた伊邪那美も、御神の隣へやって来て映像を映し出すパソコンの画面を不思議そうに眺める。そろりと、伊邪那美は好奇心に負けてキーボードへと手を伸ばす。
「壊したら爆発するかもしれないな……」
 伊邪那美の細い腕は、再びそろりと戻っていく。御神は、犯人らしき二人組の映像を拡大し、他の仲間へと送信した。さらにパソコンの中に残っていたデータから、あくびウイルスに関するデータを拾い集める。
「ウィルスが空気感染で無くて助かった。感染者の拡大方向と公共機関の路線を照らし合わせれば行き先の候補を絞れる」
「……ところでなんだけど、うぃるすって何?」
「病気の元だと覚えて置けば良い」
 御神の過不足のないシンプルな答えに、伊邪那美は納得したように頷く。

●問題の男
 柔らかな春の日差しに照らされ、皆月 若葉(aa0778)とラドシアス(aa0778hero001)はとある企業の待合室で渦中の人物を待っていた。
「早く犯人見つけてデータを取り返さないとだね」
「この絶好の昼寝日和に窃盗犯の捜索とは……ふぁー……」
 皆月の言葉にラドシアスはあくび混じりの返事を返す。
「ちょ、ラド真面目にやろうね」
「問題ない……ウイルスに感染しただけだ」
「……いやいや、俺達さっき薬飲んだよね?」
 多少投げやりな台詞を吐くラドシアスは、皆月の言葉に軽く肩をすくめ、今回の依頼人へと視線を移す。
「やあ、君たちが僕の大事なデータをとり返してくれるんだね」
 男は寝不足で充血させた目をいっぱいに広げて、二人をグワリと睨む。
「ええ、今犯人を捜しています。どうかご協力を」
「勿論だとも。何でも聞いてくれ」
 男はかなりのお喋りではあったが、皆月の質問には必要以上の答えを返した。あくびウイルスの話は、あまりに長すぎて二人の意識も飛びかけたため、適当なところで切り上げることにした。
「ふぅ……従魔と戦うより疲れた」
「あんな男に企業秘密の研究を頼んで、よく情報が洩れなかったものだ」
 多少、精神力が削れたものの欲しかった情報は十分に得られた。御神から事前に送られていた犯人と思われる二人組は、犯人であった。さらに、粗い画像からは判明できなかった細かい特徴なども聞き出すことができた。
●犯人どこだ?
「三次感染はなさそうだから、拡散は犯人たちにしか出来ないってことになるね」
「あくびか。他に転用されたら笑えん研究成果ではあるな」
 皆月からの簡単なウイルスの説明に、通信中の奈義 小菊(aa3350)が考え事をするように呟く。
「ともかく捕縛と回収を急ぎましょう」
 青霧 カナエ(aa3350hero001)は、奈義と二人渡されたマップと地図を照らし合わせ、犯人たちの足取りを推理する。

 一方その頃、N市に先回りしていた土御門 晴明(aa3499)と天狼(aa3499hero001)はバイクを走らせていた。土御門はバイクの操作がしやすいよう、黒のつなぎを着込んで尻尾を隠し、ヘルメットで頭に生えた耳を隠していた。先ほど届いた御神と皆月からの報告を受け、路肩にバイクを止めると天狼と二人マップを覗き込む。
「随分とここらへんが真っ赤だな」
「ハルちゃん、終わったらドライブ」
 天狼がどこかへ出かけたくなるのも分かる程の陽気だった。
「無事に終わったらな」
 傍から見れば土御門の表情は冷めた笑いだったかもしれないが、天狼は嬉しそうに尻尾をゆらりと振った。土御門はある程度目的地を確認すると、天狼に通信係を任せバイクに跨る。
「どんな研究をやったら、あくびになるんだ?」
 呆れ9割といったように、土御門はため息交じりで吐き出す。
「泥棒はよくないぞ、泥棒は!」
 天狼は土御門にしっかりとしがみ付き、バイクの後部座席に乗り込む。

 バイクを借りていたテジュ・シングレット(aa3681)とルー・マクシー(aa3681hero001)は、丁度キーを借りた所で連絡を受けた。
「何かわかったら連絡頼む」
 テジュはそう言って、一度通信を切る。二人はマップを覗き込み赤色の伸びる進行を確認した。いつの間にか、スカートからズボンへと履き替えていたルーを後部座席へと乗せ、バイクを発信させる。目指すは赤の先の白い地域だ。二人とも、犯人の特徴は頭の中にいれてあるため、その他の情報を得るためルーは通信係をすることになった。

 それぞれが動き出した頃、御神と伊邪那美も犯人捜索に動き出していた。御神は研究所近くに運んであったバイクをとりにいく。
「こんな自転車のお化けみたいなのに二人乗りで行くの?」
伊邪那美は、些か引き気味に御神へ尋ねる。
「いや、しがみ付いて居られないだろうからリンク状態で運転するぞ」
 伊邪那美を慮って御神はその場で共鳴し、バイクに乗る。犯人の現在地はだいたい目星がついていたが、少し範囲が広かった。各自連絡を取り合いながら、捜査地域にムラが出ないよう即席の包囲網を作りながら犯人捜索を進める。

●標的捕捉
 マップの赤色はN市内の駅で途切れていた。その後の駅付近はわずかに感染者がいるものの、広まっている様子が見当たらない。
「駅に着いた。これから電車に乗る」
 奈義と青霧は昼時の人が疎らなN市中央駅のホームで電車を待つ。
「了解です! 僕たちはその先の駅から、電車に乗ります」
 運転中のテジュに替わり、ルーが風の音に負けないよう声を張り上げる。
「こちら皆月。今、電車の中です。何人かあくびはしてるけど……」
 電車の中のためか、皆月が小声で状況を説明する。さりげなく、車両を移動して犯人の捜索をしているようだ。車内はつり革に捕まる人が出るくらいには、混んでいた。
 奈義と青霧、テジュとルーも乗り込み挟み込む形で捜索を続ける。
「あ、あれ」
「間違いないな」
 何駅か過ぎて皆月とラドシアスは真ん中辺りの車両にて、犯人らしき二人組を発見した。
「こちらも、捕捉した」
 同様に奈義と青霧も犯人たちの姿を捉えたようだった。後は、追いかけるだけでいいはずだった。
「うーん、だけど犯人たちあくびをしていませんね。ふぁ……」
 ルーは不思議そうに首をひねり、一応控えめなあくびをする。
「寝ているからじゃないか?」
「寝ている間は、あくびも一時的に止まるらしい」
 テジュの予想は、御神によって肯定された。
「電車で寝ていては、乗り過ごしてしまうではないか」
 土御門に代わって通信機に耳を傾けていた天狼が、ぼやくように呟く。その言葉を肯定するように、犯人たちの一人が飛び起き慌てだす。
「兄貴! 兄貴! ふわ~。駅、乗り過ごしてますぜ!」
「んー、何だよ……あ! 何お前寝てんだよ! F駅過ぎちまったじゃねえか!」
 犯人たちは、慌ただしく次の駅で降りていく。あまりに危機感のない犯人に、4人は呆気にとられる。
「「「F駅だ(です)」」」
 犯人たちのまぬけさに半ば呆れた声で、三人はほぼ同時に報告する。
 犯人たちは、駅を出るとまっすぐにバスへと向かった。駅から離れた所へ向かうようだ。一同バスに乗り込む。
「お嬢ちゃん。ふわ~」
 犯人の男が奈義に話しかける。
「……!」
 尾行がばれたかと、一同固まる。しかし、犯人の男は緊張感のまるでない様子で続ける。
「お兄ちゃんとお出かけかい? ふわ~。ここ、座りな。ふわ~」
 奈義と青霧は互いに顔を見合わせる。
「カナエは年の離れた兄に見えなくもないか」
「まあ、僕は小菊の保護者ですからね」
 二人の会話を犯人は理解していなかったが、気にはしていないようだった。流れで青霧も席を譲られる。
「ふわ~ 良いことすると気分がいいですね。ふわ~」
「ふわ~ お前、そのお人よし直せよ。ふわ~」
「ふわ~ そんなことより、ふわ~ どうして受け渡し場所が公民館なんでしょうね? ふわ~」
「ふわ~ 意外に足がつかないらしいぜ。 ふわ~」
 犯人たちに近すぎる奈義は報告できなかったが、皆月とテジュにもその言葉は聞こえていた。危機感皆無の泥棒である。

●工作活動
 土御門と御神はバスを追いかけようと、F市内に入っていた。
(公民館みたいね。先回りしちゃう?)
 共鳴中の伊邪那美の声に返事を返すように、御神は行き先を変える。F市の公民館は一つだ。
「ミカミ。公民館向かっているか?」
 通信機を通して土御門の声がする。
「少し、手伝ってほしい。考えがある」
 御神は土御門にそう告げて、バイクを再び走らせる。

 F市公民館は、住宅街の中に少し大きめな家のように存在していた。
「よう、ミカミ」
 天狼を連れて土御門が現れた。
「それで?」
 御神は早速、土御門に逃げ道工作の話を始める。ざっくりとした説明だったが、土御門は軽く頷き、公民館の周りの退路をいくつか塞ぐことにした。土御門と天狼の背中を見送り、御神は土御門とは反対の道路状況を確かめることにした。
「これで、逃走の邪魔になれば時間稼ぎが出来る」
(……何て言うか、せこいって言うかみみっちい事をするね)
「そろそろ犯人が目的地に着く。潜伏して、犯人に近づく」
 御神がバイクを駐車すると、丁度テジュからの報告が入った。
「今、丁度怪しい車が現場に入って行った。こんな住宅街で黒塗りの窓は、ないな」
 どこかに隠れて様子を見ているのか、土御門の方から通信が届く。

 これで役者は揃った。

●捕縛開始
 バスはクラクションを残して、発車する。住宅街ということもあり、バスの大半の人が降りる中犯人の後をつけるように、尾行組もバスを降りる。それぞれ人目につかない場所で素早く共鳴すると、テジュは犯人たちにギリギリまで近づく。
 しかし、犯人たちは全く気にする素振りを見せない。潜伏を発動させているからだ。奈義と皆月も、犯人たちに見つからないギリギリの位置まで近づき、タイミングを見計らう。
駐車場では、土御門と御神が車を見張っていた。天狼は、土御門のバイクとともにお留守番のようだ。車の後部座席が開き、神経質そうな初老の男性が現れる。
 そこに泥棒二人組が現れ、真っ直ぐにその男の方へと向かう。
「ふわ~例の物、持って来ました。ふわ~」
「何だ、あくびなどして……ふわ~。まあ、いい。早く渡せ」
「ふわ~。へぇ、これです」
「犯人確保!」
 テジュの掛け声に、辺りに隠れていたリンカーたちが飛び出す。
一番近くにいたテジュは、すぐにUSBを犯人の手が奪う。
「USB……これで間違いがない」
(やった! やったね!)
兄貴と呼ばれていた方は、慌ててテジュからUSBを取り返そうとするが、一般人に勝ち目はない。すぐに後から来た皆月も加わり、捕縛される。
弟分の方は、一斉に飛び出て来たリンカー達に怖くなったのか、その場の誰よりも早く逃げ出した。大通りの方へと逃げようとする弟分を、奈義が追いかける。悪運の強い男なのか、丁度バスが止まっていた。
(逃がさない……!)
 奈義は犯人の足元に狙いをつけて、威嚇として銃弾を撃つ。銃弾は当たらないまでも、拳銃の音に怯んだ弟分を後から来た土御門があっという間に捕縛する。
 黒幕の男も、弟分に負けず劣らず行動が早かった。リンカーたちが飛び出た次の瞬間には、車の中に引っ込み、兄貴泥棒が捕まえられた頃には既にエンジンフル加速でその場から逃亡していたからだ。
「逃げた……」
 あまりに華麗な逃亡にテジュは、呆気にとられる。同様に車の行く先を目で追っていた御神には、周りからは分からないまでもどこか余裕があった。
 何かと何かが激しく衝突した音が聞こえた。
(あーあ……)
(行くか)
 御神が駆けつけると、バイクと派手にぶつかり右往左往している黒幕とその運転手がいた。
「今、警察が来る。大人しくしていろ」
 御神が冷たく言うと、黒幕は諦めたのかそのまま道路の端に座り込んでしまった。

「いつまで、ふわ~。押さえつけてるんだよ! ふわ~、データは渡しただろうが! ふわ~」
 兄貴分は駐車場に押さえつけられ、文句を言っている。
「データ以外にもあるだろ……盗った物は全部出せ」
 全員確保したため、共鳴を解いていたラドシアスが押さえつけられた泥棒の服から、銀行通帳や財布などを抜き出す。すぐにパトカーのサイレンの音が聞こえてくる。

●事件が終わって
「ふわ~、眠たくなってきちゃった」
 大捕り物の間ずっとバイクと留守番中だった天狼は、眠たそうだ。
「……自然現象の方か」
「ふわ~」
「全く、紛らわしい…んっ」
 天狼のあくびを見て、つられそうになるのを堪え、土御門はテジュからUSBを受け取る。
「それじゃあ、このデータと持ち物は持ち主に返しておく」
「それではな」
 天狼を後部座席に乗せて、ドライブがてらデータを返却しに行くようだ。恐らく、土御門からこの後データの保管について忠告を受けた依頼主の男は、小心者故に震えあがり金庫を買うことになるが、それは別の話。

「大変助かった」
「~♪ 結構楽しかったね」
 駅で別れる際、テジュとルーはそう言い残し、バイクに乗って去って行った。

「ウイルスが漏れたって聞いた時は焦ったけど、大した事なさそうでよかったよね」
皆月とラドシアスは家路に着きながら、どこか眠そうな街を歩く。
「そう言いきれるか? 商談や採用面接……大事な場面で欠伸が止まらなかったらどうなるだろうな。ウイルスと言われ果たして信じるか……と、そもそも口外禁止だったな」
「……うわぁ、H.O.P.E.が上手に対処できてるといいね」
 ラドシアスの冷静な分析に、皆月はどこかの誰かに同情する。

翌日の朝刊では、少し特殊な一面が躍った。
『特異型光化学スモッグ発生! あくびが止まらないという現象多発』

結果

シナリオ成功度 成功

MVP一覧

重体一覧

参加者

  • 太公望
    御神 恭也aa0127
    人間|19才|男性|攻撃
  • 非リアの神様
    伊邪那美aa0127hero001
    英雄|8才|女性|ドレ
  • 共に歩みだす
    皆月 若葉aa0778
    人間|20才|男性|命中
  • 温もりはそばに
    ラドシアス・ル・アヴィシニアaa0778hero001
    英雄|24才|男性|ジャ
  • 心頭滅却、人生平穏無事
    奈義 小菊aa3350
    人間|13才|女性|命中
  • 共に見つけてゆく
    青霧 カナエaa3350hero001
    英雄|25才|男性|ジャ
  • エージェント
    土御門 晴明aa3499
    獣人|27才|男性|攻撃
  • エージェント
    天狼aa3499hero001
    英雄|8才|?|ドレ
  • 絆を胸に
    テジュ・シングレットaa3681
    獣人|27才|男性|回避
  • 絆を胸に
    ルー・マクシーaa3681hero001
    英雄|17才|女性|シャド
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