本部

キラキラ輝く例のアレ

形態
ショート
難易度
やや易しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
能力者
10人 / 4~10人
英雄
9人 / 0~10人
報酬
普通
相談期間
5日
完成日
2015/12/29 19:20

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きよし

掲示板

オープニング

●我輩は愚神である
 セドリュカは愚神である。実績はまだ無い。
 どこで生まれたかとんと見当がつかぬ。何でも薄暗いじめじめした所でぐすぐす泣いていたことだけは記憶している。セドリュカはこの世界で初めて甘味というものを知った。しかもあとで聞くとそれは「ケーキ」という甘味中で一番罪深い種類であったそうだ。このケーキというのは時々ヒトを捕まえて肥え太らせて食うという話である。しかしセドリュカは愚神であるため別段恐ろしいとも思わなかった。ただかの甘味を食する時何だかふわふわとした感じがあったばかりである。あたたかいお茶の発する湯気の向こうにきらきらと輝くイチゴのショートケーキを見たのが甘味というものの見始めであろう。この時「綺麗なものだ」と思った感じが今でも残っている。
 そのケーキをくれた人間はもういない。セドリュカがたべてしまったから。
「ううむ」
 さて困ったとセドリュカは幼い相貌を中心に寄せる。視線の先にあるのは色取り取りに装飾されたクリスマスケーキ。だがそれは「食べられないもの」であることをセドリュカは知っている。通りすがりの人間が「しょくひんさんぷる」だと教えてくれたのだ。「しょくひんさんぷる」が何なのかは知らないが、食べられないことがわかれば上等なのだ。
 だがセドリュカはケーキが食べたい。そして、ケーキがどこにあるのか、セドリュカは知らない。
「むむむ……」
「ん? どうかしたんすか?」
 ガラスに顔をくっつけて、ディスプレーされた食品サンプルを親の仇のように眺めていたセドリュカ。そこに声をかける人影が1人。
 眼鏡をかけ、濃い藍色のコートを羽織った、どこにでもいそうな人相である。今し方ディスプレーの向こう側――洋菓子店内から出てきたにしては荷物が少ない。
「ぼく……でいいんすかね? ぼく、ひとり? お父さんかお母さんは?」
 キョトンとした顔をするセドリュカの目線に合わせてしゃがみこんだ人間。セドリュカの見た目は幼い子供のようである為、一見しただけではセドリュカが愚神であるとわからないのだ。
「……けーき」
「ケーキ? ああ、ケーキが食べたいんすか? うーん、私も今日は予約に来ただけっすからね……」
 そう言って、困ったように笑う人間。
 セドリュカは思った。
 この人間、チョロそうだぞ。

●お約束展開
「先に謝っておく。スマン」
 従魔に取り憑かれた人が暴れている。
 そう通報を受けて現場に向かった『あなた達』は、ケーキ箱片手に頭を下げる赤髪の男性に出迎えられた。
「俺はあそこで暴れてる人間の契約英雄で、緋色という。どうも俺がクリスマス用ケーキの予約注文していた隙に従魔に取り憑かれたらしくてなぁ」
 赤髪の男の視線の先には、何故か両手にケーキの食品サンプルを持って高笑いしている人の姿が。
「あーっはっはっはっはっはぁ!! 大人しくケーキを献上するっすよぉ!!」
 ガラスの散乱する洋菓子店内部に陣取って、浮遊する食品サンプル(従魔)に囲まれている姿は一見すれば愚神のようにも見える。
「いつも口を酸っぱくして妙な場所や人には近付かんよう言い含めているんだが……」
 渋面を作る男性――緋色からは日頃の苦労が滲み出している。
「なんとかしようといろいろやってみたんだが、やはりAGWがないとどうにもならなくてな……。俺達はHOPEに所属していないからAGWは持っとらんのだ。すまんが、あいつをなんとか助けてやってくれ」
 そう言って頭を下げる緋色。彼の向こう側では、件の人物が何故か生クリームを取り出して通行人に襲いかかっている姿が見える。
「ひゃっはー!! お前がケーキになるんすよぉ!!」
 ぶちっ。
 その時、何かがキレる不吉な音がした。
「……食べ物を粗末に扱ってはいけないといつも言っているだろうがととのおおおおおお!!!!」
 その人は正気じゃないとか、AGW無しで従魔はどうにもできないとか、色々とツッコミ所はある。あるのだがしかし、その英雄――緋色の剣幕の前では何も言えなかった。ちゃっかりケーキの入った箱は邪魔にならない道端に置いてある辺り、彼の人間性が伺える。
 ケーキ(食品サンプル含む)と生クリームが乱舞する中、『あなた達』はこの場をどうしたものかと顔を見合わせるのだった。

解説

●目的
従魔に取り憑かれた民間人を救助する

●情報
・従魔『飛び交うクリスマスケーキ』
クリスマスケーキや食品サンプルに取り憑いたミーレス級従魔。人間を見つけると飛びかかってくる。
ミーレス級である為これといった攻撃手段を持たない。
顔面に当たると痛い。

・従魔『パペットマスター』
人間を操るミーレス級従魔。低位である為に完全支配はできていない様子。
スペックは取り憑いた人間による。単体での攻撃手段は持たない。
取り付いた人間を戦闘不能まで追い込めば、憑代から出てくるだろう。

・民間人『森田ととの』
従魔『パペットマスター』に取り憑かれた人間。H.O.P.E.未所属の能力者。
銀縁眼鏡に藍色のコートを着たどこにでもいそうな風貌。
どこかで聞いた事がある名前な気がしてもきっと気のせい。
現在生クリーム片手に道行く人々を狙っている。「ケーキを手にいれる」為に行動している様子。
理性はなく、従魔から解放されても現在の記憶は残らないだろう。

・民間人『緋色』
森田ととのの契約英雄。クリスマスケーキを予約しに来ていた。
緋色の長髪が目立つベージュのダッフルコートを着た長身の男。
現在森田の様子にブチ切れており、ケーキに群がられながら森田を追い回している。

●PL情報
・愚神『セドリュカ』
デクリオ級愚神。ケーキが欲しくて従魔を解き放った。
10歳程度の子供の姿をしている。甘いものが大好き。
現在は心ゆくまでケーキを食べて、既に撤退している模様。
その姿形を知っているのは現在『森田ととの』のみ。

リプレイ

●どうしてこうなった
 某県某所にある歩行者天国は混沌とした様相を呈していた。

 道路脇に山と積まれた「ケーキだったもの」の残骸。
 その山に頭から突っ込んでいる天之川・希望(aa2199)と森田ととの。甘ったるい匂いを漂わせている残骸の山から力なく突き出た尻が哀愁を漂わせている。御代 つくし(aa0657)と蓮華 芙蓉(aa1655)が時折ピクピクと痙攣する足をつついているのがいたたまれなさを助長していた。
 そんな天之川と森田の傍では神妙な顔をした齶田 米衛門(aa1482)と笑いを抑えられていない黒鬼 マガツ(aa2114hero001)、無表情を通り越してチベットスナギツネのような表情になっている比良坂 蛍(aa2114)が揃って顔の前で両手を合わせて合掌している。
 路肩では縁石に座った緋色が真っ白に燃え尽きてており、その隣に座ったメグル(aa0657hero001)がなんとも言えない表情で肩ポンして首を横に振っているのが見える。
 その2人がいる場所から道路を挟んで真正面では、縁石に座って膝の上で組んだ両手を額にあてたポーズのまま微動だにしない奈良 ハル(aa0573hero001)と牡丹(aa1655hero001)の姿が。
 奈良と牡丹の背後では、今宮 真琴(aa0573)と早瀬 鈴音(aa0885)が両手両膝を地面に突いた状態で項垂れている。2人の間にあるのは、ぐちゃりと潰れてしまったケーキの残骸。
 少し視線を動かせば、地面に倒れ伏し、しかしやりきった表情でサムズアップしているヘルフトリス・メーベルナッハ(aa0017hero001)と御手洗 光(aa0114)、それをへたりこみ半泣きでで見つめる廿小路 沙織(aa0017)が見える。尚、その周囲ではレイア・メサイア(aa0114hero001)、狼谷・優牙(aa0131)、プレシア・レイニーフォード(aa0131hero001)が動かなくなったケーキの食品サンプルで遊んでおり、その場の居た堪れなさをマッハで増幅していた。
「オレ知ってるぞ。こーゆーの『カオス』って言うんだろ」
 鼻の頭に生クリームをつけたスノー ヴェイツ(aa1482hero001)が手に付いたケーキの欠片を舐めとりながらぼそりとこぼした一言に、げんなりとした顔のN・K(aa0885hero001)がただただ頷いている。
 ちなみに、この場にいる全員がもれなく生クリームまみれであった。
 どうしてこうなった。誰かがぽつりと呟いた言葉に、その場に満ちるのは言葉なき同意。
 その理由を知るには、少々時を巻き戻す必要がある。

●こうしてそうなる
「あっ行っちゃった」
 走り去ってしまった緋色の背中に手を伸ばした姿勢のまま、呆然と呟くN・K。隣では早瀬が堪え切らないといった様子で吹き出している。
「笑ってる場合じゃないと思うの。どうする?」
「あはは、大丈夫。真面目にも考えてるよ?」
「……も?」
 じゃあ真面目じゃない事も考えているのかという思いが一瞬脳裏を過ぎったが、つついてとんでもない発言が出てくるのも嫌なのでN・Kは口を慎む事にした。
「おぉー! ケーキが飛び交ってるね!」
「けーき……ケーキ飛んでるよハルちゃん」
 相棒の服の裾を掴んで飛び交うデコレーションケーキを指差しているのは御代と今宮。御代は好奇心に満ちた、今宮は食欲に満ちた瞳を輝かせており、なんというか、とても楽しそうだ。
「……この状況既視感があるのですが……?」
 御代の相棒、メグルはハロウィン直後の惨劇を思い出して白い顔をしている。
「おー、圧巻じゃなぁ。じゃが真琴、食べるのは終わってからにするんじゃぞ」
 片手で庇を作って生クリーム飛び交う様を見つめて、今にも飛び出して行きそうな今宮をたしなめる奈良。ピクピクと小刻みに動く耳で情報収集に余念がない。
「あぁ……美味しそう……」
「終わってからな? じゃが作り物もあるみたいじゃぞ?」
「ボクが……見分けられないとでも……?」
「……愚問じゃったなぁ……」
 奈良は遠い目になった。彼女の脳裏には今まで携わってきた依頼の記憶がダイジェストで流れている。奈良の目は更に遠くを見つめ始めた。
「あっ、御代さん、今宮さん! よろしくッスよ!」
 そんな彼女達の元にやって来る人影が2つ。先の大規模作戦で重傷を負ってしまった齶田と、そんな齶田をいつでも支えられる位置でスタンバッているスノーだ。
「応、いつも世話になってるな! 飴食うか?」
 すすっと近寄ってきたかと思うと徐に飴を取り出したスノー。洗練されたその様は、大阪あたりでよく見かける淑女のコミュニケーション法によく似ていた。
「わ! ありがと!」
「蜂蜜飴ですか。いただきますね」
「飴ちゃんだ……! ありがと……!」
「どれ、ワタシもひとつ貰おうかの」
 真横で生クリームが乱舞しているとは思えない程に、ほのぼのとした空間。そのすぐ傍で、くつくつと意味ありげな忍び笑いを漏らす人影が。
「あらあら、随分と面白い……もとい、大変な事になっていますわね」
 御手洗である。白くほっそりとした指を顎先に当てて薄く笑む様は大層絵になるのだが、滲み出るエロオーラが全てを残念に変えている。
「わぁーい! 何だか面白いことになってますぅ!」
 きゃー! と歓声を上げているレイアとの対比が凄まじい。
「……前にもこんな感じの事件があったような気がします……」
「気のせいだよ!」
「気のせいだったのですか」
 首を傾げる廿小路と、その隣で悪い顔をしたヘルフトリス。廿小路が素直に頷いているが、彼女の将来少々心配である。
「なんというか……すごい状況ですねー……」
 現場の惨状に冷や汗を垂らしているのは狼谷。彼の目線より少し高い場所を飛び交っているクリスマスケーキ達はかなりのスピードを誇っており、当たってしまった時を想像するとぞっとしない。
「うふふふ。さぁ、皆様、頑張って参りましょう!」
「はいっ、光様!」
「え? あっ、ああああああ……」
 だが現実は無常である。いやに張り切っている御手洗に引きずられるようにして、廿小路、狼谷は生クリーム飛び交う激戦区域へと突入していく。
「せめて、せめて共鳴を……ってあれ? ぷ、プレシアー?」
「あはは、何か面白そうなのだ! レイアちゃん、突貫なのだー!」
「わぁい! レイアちゃんも混ざっていいですかぁ!?」
 哀れ狼谷、相棒のプレシアは御手洗の英雄レイアと既に飛び交うケーキへと突撃した後だった。
「さあさあボクの初陣です! キラキラ輝いてシャキーンと解決しちゃおうじゃーありませんか!」
 ぐぐっとガッツポーズで決意表明をしているのは天之川。御手洗とは既知の間柄なので、なにかあったら頼る気満々で近くに張り付いているのである。
「せっかくのクリスマス前、サービスしてミニスカサンタコスですよ!」
 気合いに満ち満ちている天之川は、一体どこへ向かってなのかは不明だが、際どいポージングでその存在を存分に主張している。
 尚、残念ながら現在の天之川に注目している人物は皆無である。
「ふふふ……甘いもの粗末にするなら許さないんだよふふふ……」
 今にも可視化されそうなどす黒いオーラをまとっているのは、こちらも先の大規模作戦で重傷を負っている蓮華だ。気合い充分、と言えば聞こえはいいが、その様は完全に「殺る気」で満ちている鬼神か何かである。
「まったく……」
 めらめら燃えている蓮華を憂いを帯びた視線で見つめているのは、艶やかな花魁衣装に身を包んだ牡丹。物憂げな溜息をつく様は、完全に子を見守る親か何かであった。
「わー、雪も降ってないのに街路樹真っ白で路面も滑るんだけどこれ全部生クリームですかそうですか」
 早くもここではないどこか遠くを見つめて黄昏ている比良坂は、多分この場で一番現状を把握している。現状を把握しているが故に、彼は今後被るであろう惨劇を思って震えていた。
「……よくあんな中突っ込んでいけるよね……」
 共鳴、非共鳴と差はあれど、物怖じする気配なく生クリーム飛び交う中へと突っ込んで行くエージェント達を見つめながら腕を摩る。
 緋色に至っては既に何箇所かにケーキがぶち当たったらしく、長い赤髪に白いクリームが付着してまだら模様になっている。見るからに、ベタベタしていそうだ。
「なんだ、怖いのか蛍」
「怖いとか怖くないとかそういう問題じゃない」
 によによしている黒鬼の脇腹をぽすんと殴りつけて、比良坂はまたひとつ溜息を吐き出すのだった。

●予測可能回避不可能
 さてここで今宮が取り出したるはロケットパンチ――もといハンズ・オブ・グローリー。てらてらと薄青色に輝く様はかなり威圧感がある。しかも今宮が手塩にかけて――かどうかは不明だが、念入りに強化済みの逸品である。
「緋色さん……これ使って……!」
 勿論AGWは非共鳴状態では使えない。使えないが、素手で殴るよりはいいだろう。気分的な問題だ。
 その自慢の逸品を、遠心力を利用して緋色に向かって放り投げる!
「ん?! なんだどうし――」
「あ」
「あ」
 今宮と奈良の声が綺麗にハモった。
 状況を説明しよう。今宮が放ったハンズ・オブ・グローリーは、羅刹の如き相貌で生クリーム撒き散らし機と化している森田へと突撃していた緋色へと放物線を描いて飛んで行った。この時点で緋色は己へ向かってくる物体Xには気付いている。それが「ん?!」の時点。
 だがその後がマズかった。なにせ今緋色が突撃をかましているのは「従魔に取り憑かれた能力者」である。能力者――森田の基本スペックが低い為か攻撃力は然程ないが、それでもれっきとした敵だ。隙を見せればどうなるか、言うまでもないだろう。
 緋色の顔面にべっちゃり付着した生クリームには触れないのが優しさである。
「ひゃっはぁ!! どんどんいくっすよー!!」
 目の前にあるものを生クリーム濡れにすれば気が済むらしい森田は、顔面生クリームの衝撃から立ち直れない緋色を置き去りにして次の獲物へと飛びかかっていく。
 3人が無言で佇むこと約5秒。
「……これなら、殴れるよ」
「言うに事欠いてそれかい!!」
 スパコーン!
 グッとサムズアップした今宮の後頭部に、奈良のハリセンが炸裂。いい音と共に今宮の身体が18度程傾いだ。今宮は「なんでだ」とでも言いたげな目ではたかれた後頭部を撫でている。
「もっと他にあるじゃあろうが!! 何故そこでさむずあっぷなのじゃ!!」
「だって……生クリーム美味しいから……」
「美味しいからなんなんじゃ?! まさか美味しい生クリームが食べられるから全部チャラだよねとか思っとるんじゃあるまいな!?」
「…………?」
「そこで「えっ当たり前でしょ」みたいな顔して首を傾げるでない!!」
 ハリセンの第2撃はスカった。今宮がとてもとてもたのしそうな顔をしている。奈良はハリセンを地面に叩きつける勢いで悔しがっている。
 尚、当然ながらこの間緋色は放置である。
「……相変わらずッスなぁ」
「たのしそうだな」
「……だべッスがなぁ……」
 現在重傷を負っている齶田は喧騒から少々離れた場所で一般人の避難誘導を行っていた。洋菓子店のガラスが割れた時点で殆どの通行人が避難していた為、それほど重労働でもないのだ。その為、今宮と奈良の攻防戦を観戦する余裕もある。
「ヨネ、つらいなら座ってろよ」
「ん? 大丈夫ッスよ?」
「んな顔色して「大丈夫」はねぇよ。今回の事は不可抗力なんだ、気に病むなよ」
「……んだども」
「だけどもなにもねぇの! たまには裏方でやるのも悪かねぇだろ、単細胞なんだから考えんな」
 眉をへにょりと垂らして困り顔の齶田に、スノーはびしっと指を突きつけて断言してみせた。その直後、くしゃりと表情を緩めて齶田の額をつんとつつく。
「ひでぇ、姉さんひでぇ……」
 つつかれた額を左手で押さえて、齶田はスノーと同じ顔をして笑うのだった。
 そしてここで終わらないのがコメディーである。
「リア充は滅びればいいんすよ!!」
 ぱぁん!!
 とても良い音を立てて齶田とスノーの顔面にぶち当てられるクリスマスケーキ。犯人は勿論、リア充撲滅し隊――もとい従魔に取り憑かれた能力者、森田。
「爆・散! チクショウ! 末長く爆発してるがいいっす!!」
 お前本当に操られてるんだろうな? と言いたくなるような捨て台詞を残して走り去る森田。なにやらキラキラと尾を引いて光るものが森田の目尻からこぼれ落ちていたような気がしないでもないが、残念ながら事実を確かめる術はない。
「あっこんなところにいた! メグル、早く!!」
「待ってくださいつくし! こんな足場の悪い場所で走ったら危ないですよ!」
 そんな森田を追いかけているのが、ケーキ箱を持った御代と足元に気を取られているメグルである。そう、2人は森田がケーキに吸い寄せられるのを発見し、おびき寄せを試みていたのだ。
 誤算があったとすれば、森田の――正確には従魔のケーキに対する本能を、非リア充の妬みが上回ったことだろう。森田の理性は封じられている筈だが――いや、むしろ理性が封じられているが故の行動か。
 さて、顔面にクリスマスケーキのプレゼントを強制贈与された齶田とスノーだが。
「ケーキってのはうめぇなぁ」
「確かにうめぇッスな……」
 張り付いたケーキをもっちもっちと食べているスノー。能面顏――いや、能面を通り越してチベットスナギツネのような表情になっている齶田。無理もなかろう。
 ちなみに、食べられると言う事はこのケーキ、従魔の取り憑いていない普通のケーキである。ぶつかっても、重傷の齶田にさえ殆どダメージがないフワッフワのケーキである。いったいどこに仕舞っていたというのか。
「んでねぐっで!」
 スノーがケーキの4分の1を食べ終わった頃、やっと齶田が再起動した。
「それみなくんだか? ばめしかねぐって良いんなばワシはかまわねぇども」
「?! 飯抜きは嫌だぞ!!」
「ワシも飯抜きは嫌ッス。戦力外にはなりでぐねぇし、やるッスよぉ!」
「おう!」
 にかっと笑うスノーに、つられて齶田も笑う。
「でも無茶はすんなよ」
「わかってるッスよ」
「問題はどう受け止めるかだよね」
「絶対真面目じゃないよね、それ」
 両手をわきわきさせながら首を捻っている早瀬に、N・Kは呆れた表情を向けている。
「勢い殺して衝撃を与えないよう、やさしく……」
「ねえ鈴音、共鳴とか武器とか用意しなくて良いの? 聞いてる?」
 未だ準備を開始しない相棒に、心配になったN・Kが共鳴促しているが、鈴音は聞く耳を持たない。
「だって潰れたのとか食べたくないし?」
「食べる気なの?!」
「えっ食べるでしょ」
 当然じゃない? みたいな顔をしている早瀬に、N・Kは開いた口が塞がらない。相棒の正確は理解していた気でいたが、どうやら思っているよりずっとアグレッシブであったらしい。
「さぁ張り切って行ってみよう!」
 ようやっと共鳴に入ってくれた早瀬にほっと安堵するN・K。
「倒したらケーキになるよね」
『ケーキに戻るんじゃ……?』
 食欲に煌めく瞳で狙いを定める早瀬。そして狙いすましたかのように真横から現れるケーキ型従魔。
 結論から言おう。早瀬のまぶたの裏に星が散った。
「……」
『鈴音、鈴音? 女の子がしちゃだめな顔してるよ?』
 べりり、と顔面に張り付いたケーキ型従魔を引き剥がす鈴音の表情は、いろいろな都合でお見せできそうにない。
「……ッじょーとーだっ! 思う存分投げまくってやるぅ!!!!」
 とても、とても痛かったらしい。涙目の早瀬はジタバタともがくケーキ型従魔をびたーんとアスファルトに叩きつけると、銀色の盾を構えてケーキの群れに飛び込んでいった。
 彼女が食品サンプル型従魔にぶち当たられてキレるまであと3分。
「はぁ、はぁ、っうぅ、ぬるぬるしますぅ……!」
 齶田とスノーが顔面にケーキ爆撃を受け、早瀬とN・Kが従魔にキレて居た頃。
 廿小路は、何故か非共鳴状態で、全身至る所にケーキ型従魔を貼り付け息を荒げていた。
「うぇぇ、白いのが鼻に入っちゃっいましたぁ……きもちわるいですぅ」
 同じく全身にケーキ型従魔を貼り付けている狼谷は、生クリームを吸い込んでしまったらしく涙目で咳き込んでいる。尚相棒のプレシアは降り注ぐ生クリームの雨の中歓声をあげて走り回っており、残念ながらまだ共鳴できていなかったりする。
「やぁんっ、クリームで髪の毛べとべばなっ!? ちょっ、やだそんな激し痛っ!! ちょっ、待っ、マジで待って!! なんでボクばっかこんな目に!!」
 しなを作って主張しようと試みるたびにケーキ型従魔の集中砲火を浴びているのは天之川。しかも食品サンプル型が多量紛れ込んでいるらしく、共鳴している筈なのに他2人より明らかにボロっとしている。
 さて、どうしてこうなったかといえば、「武器を使うのは危ないから、ある程度従魔を集めて一気に殲滅しましょう。身体を使って集めると効率がいいかもしれませんね」と彼女達をさらした人物がいる為である。
 その、この状況を作り出した張本人達であるが。
「うふ……うふふ……うふふふふふ…………!」
「へへ……へへへ……へへへへへへ…………!」
 現在、誰よりもケーキと生クリームに塗れて路上に倒れていた。だが何故か満面の笑みで大変嬉しそうである。御手洗に至っては相棒レイアと共鳴もせずにいる為、かなりよれっとしてしまっている。
「うふふ……ヘルフィさん、まだいけますか……?」
「へへへ……モチロンだよ……まだだ、まだ終われない、まだ祭りは始まったばかりだ……!!」
 何が彼女達をそうまで駆り立てるのか。ヘルフトリスは死地に立った戦士のような目をしてゆっくりと立ち上がった。視線の先にいるのはそう、白い液体――生クリームに塗れた乙女達(一部男子)。
「へへへ……この間から邪魔されてばっかだからね……そんなの悔しいじゃんか……負けたまんまで終われるのか? 否! あたしは、あたしの欲求を貫き通すまで!!」
 これでもかと凛々しい表情で宣言しているヘルフトリスだが、目線が廿小路の爆乳に釘付けである為いろいろと台無しである。
「そーれ捕まえたぁ!」
 飛んでくる食品サンプル型従魔にも負けず、生クリームに塗れている為更にその存在を主張している廿小路の爆乳へと突き進んでいくヘルフトリス。もはや建前も何もあったものではない。
「へ? ヘルフィ様……きゃあ!?」
 そしてヘルフトリスの顔面にぶち当たるケーキ型従魔。だがヘルフトリスは負けない。視界が不明瞭な中、勘だけで廿小路の元へと至り、そのまま抱きつくように倒れこむ。
「ヘルフィ様……? えっヘルフィ様!? 大丈夫なのですか?!」
「へへ……やった……やってやったぜ……!」
 そしてそのまま力尽きた。ああヘルフトリス、貴女の勇姿は語り継がれることだろう。
 残念ながら彼女が抱きついたのは廿小路の腰である。
「ふふ……ヘルフィさんがやられましたか……」
 どこぞのRPGで四天王辺りが言いそうな台詞を口にしつつ、ついに御手洗が立ち上がる。長い前髪に隠れた左目が妖しく紅く輝いている為、尚の事雰囲気があるのだ。
「覚悟は宜しくて? さぁ、参りますわよ!」
 かっこよく宣言しているが視線はやっぱり狼谷の脚に釘付けである。流石エロ魔神、目の付け所が違う。
「さぁ、わたくしが綺麗にしてさしあげましょうね……?」
「えっ、いえ、自分で拭いますから!?」
 ターゲティングされた狼谷は涙目である。生クリームまみれの美女が紅い目を光らせながらゆらゆら近付いてきているのだ、誰だって怖いだろう。綺麗で巨乳なお姉さんなら何をされてもいい人は除く。
「遠慮せずに……ほら……」
「あ、ちょ、はぅぅ……」
 お姉さんが小学生の男の子の脚を拭いているだけだから健全なんだからね!
「あらあら、こんなに汚れてしまって」
「あのっ、そこは大丈夫……あっ」
「ぁ」
 ストライクッ!
 スキルの方ではない。
 御手洗の指がどう考えても生クリームを拭う為ではなく別の目的を持って動き出した瞬間である。どこからともなく飛来してきた食品サンプル型従魔が、御手洗の側頭部にクリティカルヒットした。
「光さぁぁぁん!?」
 小さな吐息を漏らしてそのままゆっくり倒れ込んだ御手洗に、うわぁぁぁあ! と悲鳴をあげながら狼狽える狼谷。今までとは別の理由で涙目である。
 御手洗の表情はこの上なく満ち足りていた事をここに報告しておこう。
「ふふふ、ついに追い詰めたよ!」
 さて、最早お忘れの方もいらっしゃるかもしれないが、これは従魔に取り憑かれた民間人を救出する依頼である。緊張感など欠片もないが、実はそれなりに切羽詰まっている依頼である。
 あちらこちらで飛び交い出した「投擲用クリスマスケーキ」に引き寄せられてふらふら走り回っていた森田(に取り憑いた従魔)をようやっと洋菓子店の中に追い込んだのだ。
『つくし、これ救出依頼ですからね? 討伐依頼じゃありませんからね? つくし? 聞いてます?』
 長い銀髪を翻し、羊皮紙の魔道書を構えている御代に、共鳴中の英雄メグルは気が気ではない。もしかして相棒は森田を叩きのめすつもりなのではなかろうかとおろおろしている。
 御代は怒っていた。折角ケーキを用意して「何があったか教えてください、教えてくれたらこのケーキをあげます」と頼みに行ったのに、あろうことか森田は「ホールケーキじゃないならいらないっす」と言い放ってケーキ型従魔を投げつけてきたのだ!
 間一髪でメグルを盾にして難を逃れたものの、人の好意を仇で返し、あまつさえ食べ物を粗末にするなど言語道断である。激おこぷんぷん丸である。
「食べ物をー! 粗末にしちゃー! 駄目だよー!!」
「えっちょっまっ……ぎにゃああああああああ?!」
 そして発動されるブルームフレア。狭い店の中である、森田(に取り憑いた従魔)はひとたまりもない。
『…………彼、生きてますかね……』
 めらめらと燃える霊力の炎を眺めてるメグルは、きっとチベットスナギツネのような顔をしている。
「たーまやー……」
 洋菓子店から少し離れた建物の屋上。そこで、比良坂は半壊した出入り口からはみ出る勢いで燃え盛っている霊力の炎を遠い目で見つめていた。
「がんばった、僕超がんばった。だからもうゴールしても……いいよね……」
 比良坂の左側頭部上方には、取り憑いていた従魔を倒して単なる有機物へと戻っているケーキだったものの残骸がべったり張り付いている。
「ここだと飛んでこないと思ったのに……」
「『射手は遠撃してこそ、様々の技能と引き換えにテクニックを磨く事に全てを捧ぐ僕の真骨頂、ステ振りでいうならデックス極振り!』」
「やめて」
「ゲーム脳乙」
「やめて!! 紙装備だから被弾しないようにしてただけなんだ!!」
「ドヤ顔だったもんな」
「僕にとどめさして楽しい!?」
「うん」
「知ってた」
 によによしている黒鬼に顔のクリームを拭われつつ(広げているとも言う)、比良坂はチベットスナギツネのような表情で未だ飛び交うケーキ従魔を見つめていた。
「あんだけ撃ち落としたのにまだいるんだけどドウイウコトナノ」
「数は減ってるだろ。もう近付いて倒しちまおう」
「うん……。あぁぁぁ……早く風呂入りたいぃ……」
 黒鬼に促され、比良坂はとぼとぼとした足取りで事件現場へと戻るのだった。
「ザッケンナコラァーー!! スッゾオルァァァア!!」
 その頃、天之川は長槍を振り回して飛び交う従魔を威嚇していた。
「顔面ばっか集中的に狙いやがって!! 降りてこいオラァ!! 卑怯だぞゴルァァア!!」
 べったべたで滑りそうになる手に力を込めて、食品サンプル型従魔をべしべしと叩き落す。それでも数が減っている気がしないのだから、今回の従魔はかなりの数がいたようだ。
「むぅ……まだ終わんないのかな……??」
 陰陽型に変衣した今宮が口をへの字に曲げている。濡羽色の衣服から覗く白い2尾をしたーんしたーんと不服げに揺らしてご立腹な様子。
「よーし、一気にやっちゃおっか! みんな、避けてね!」
 その時。地を這うような音と共に、魔法の暴風が辺り一帯に吹き渡った。
 森田(に取り憑いた従魔)を焼き払い終えた御代が放ったゴーストウィンドである。広範囲に吹き荒れた不浄なる暴風は、上空を飛び交っていた従魔共を一気にまとめて薙ぎ払った!
「さすがつくしちゃん……! ……よぅし、ボクも」
 じゃきっといい音を立ててスナイパーライフルを取り出した今宮も、どんどん従魔を撃ち落としてゆく。天之川も負けじと御代の魔法の範囲外にいた従魔を槍を使ってぺしぺし吹っ飛ばしている様子。
 数分後。
「……ふぅ。こんなもんかな」
 そこには、ケーキの残骸が山と化していた。
「食べていい?」
「無事なケーキあるかな?」
 今宮と、いつの間にか合流していた早瀬がケーキの山を見て目を輝かせている。
「やめておけ、従魔の憑いていたケーキじゃぞ」
「鈴音、ずっと食べてたじゃない」
 奈良とN・Kは呆れ顔だ。それでも地面に落ちておらず形も崩れていないケーキを探している辺り、2人共相方には甘いらしい。
「ぅぅぅ……酷い目にあったっすよ……」
 その時。ガラスやら破壊された棚だったものが散乱していた洋菓子店内から出てくる人影が一つ。
 言わずと知れた今回のお騒がせ人物、森田ととのである。
「ととの」
「あ、緋色さん。なんか私焼け焦げの中で寝てた上に身体中痛いんすけど、何があったんすか?」
 どうやら何も覚えていないらしい。
「森田さん、災難だったッスね……?」
「え? あっ、え? ど、どうも……?」
 心底同情的な顔をして肩ポンしてきた齶田に、目を白黒させる森田。本当に何も覚えていないらしい。
「お前、従魔に取り憑かれて大暴れしてたんだぞ。この方達はお前を助けてくださったんだ」
「ええ!? ほんとっすか?! うわぁ、それは多大なご迷惑を!! 本当にありがとうございました!」
 大慌てでぺこりと頭を下げる森田。本来の森田はどちらかというと大人しいタイプの人間らしい。間違っても「ひゃっはぁ!」などと叫んで生クリームをぶちまけるような人物には見えなかった。
「何があったか覚えてるか?」
「えっと……」
 緋色の質問に、掻い摘んだ経緯を語る森田。
「なるほど、小さい子供の愚神かぁ……」
 ふむふむと御代が頷く隣で、奈良は何事か考えているようだった。
 と。
「見つけたぁぁあ!!」
 今宮と早瀬が半壊した洋菓子店の中から箱を抱えて飛び出してきた。
「……これ……一個だけ、残ってた……!」
「ちょっとだけ崩れてるけど食べれそう!」
「いつの間に」
 ちょっと目を離した隙にいなくなっていた相方に、奈良とN・Kが遠い目をしていた。
 ここで終わればよかったのだが、そうは問屋が卸さない。
「いた! 甘いものの恨みー!!」
「へぶらっ?!?!」
 今まで姿を見なかった蓮華である。
 重傷状態であった彼女は、飛び交う従魔群に突入できず、ずっと機会を窺っていたのだ。
「私だってケーキ食べたかったのに! 憑依した分勿体無いったらないよ!!」
 どうやら彼女、森田が既に従魔の憑依から解放されている事に気付いていないようだ。
「食べ物に謝りなさい! もうっ、ケーキなら緋色さんが買ってくれてるのに!」
 ぷんすかしている彼女は気付かない。
 己が顔面にケーキを投げつけた相手が、傍にいた天之川を巻き込んでケーキの山に頭から突っ込んだ事に。その余波を受けて、今宮と早瀬が取り出した瞬間のケーキが落下した事に。
「もー、勿体無いなぁ。半分は森田くんの所為だね? だからお掃除がんばろ……あれ?」
 にっこり笑って周囲を見渡して、ようやっと現状に気付く蓮華。
「きゅぅ」
 ケーキ山に突っ込んだ2人は目を回している。
 緋色は森田の間の悪さを思って泣いた。そしてこの後関係者各位に諸々の事情説明をせねばならない事実を思い出してまた泣いた。
「……元気、出してください」
 優しい瞳をして緋色を慰めるメグルは、なんとなくこの人とは仲良くなれそうだと仲間意識を抱いていた。
「…………なにこのカオス」
 一連の流れを見守っていた比良坂の言葉は、これまで彼が発した台詞の中で一番感情が籠っているのだった。

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きよし

結果

シナリオ成功度 成功

MVP一覧

重体一覧

参加者

  • 胸囲は凶器
    廿小路 沙織aa0017
    人間|18才|女性|生命
  • 褐色の色気
    ヘルフトリス・メーベルナッハaa0017hero001
    英雄|18才|女性|バト
  • エロ魔神
    御手洗 光aa0114
    機械|20才|女性|防御
  • 無邪気なモデル見習い
    レイア・メサイアaa0114hero001
    英雄|12才|女性|バト
  • ショタっぱい
    狼谷・優牙aa0131
    人間|10才|男性|攻撃
  • 元気なモデル見習い
    プレシア・レイニーフォードaa0131hero001
    英雄|10才|男性|ジャ
  • 撃ち貫くは二槍
    今宮 真琴aa0573
    人間|15才|女性|回避
  • あなたを守る一矢に
    奈良 ハルaa0573hero001
    英雄|23才|女性|ジャ
  • 花咲く想い
    御代 つくしaa0657
    人間|18才|女性|防御
  • 共に在る『誓い』を抱いて
    メグルaa0657hero001
    英雄|24才|?|ソフィ
  • 高校生ヒロイン
    早瀬 鈴音aa0885
    人間|18才|女性|生命
  • ふわふわお姉さん
    N・Kaa0885hero001
    英雄|24才|女性|バト
  • 我が身仲間の為に『有る』
    齶田 米衛門aa1482
    機械|21才|男性|防御
  • 飴のお姉さん
    スノー ヴェイツaa1482hero001
    英雄|20才|女性|ドレ
  • 花の舞
    蓮華 芙蓉aa1655
    人間|9才|女性|回避
  • 金剛花王
    牡丹aa1655hero001
    英雄|21才|女性|シャド
  • オールラウンドスナイパー
    比良坂 蛍aa2114
    人間|18才|男性|命中
  • オールラウンドスナイパー
    黒鬼 マガツaa2114hero001
    英雄|26才|男性|ジャ
  • あざと可愛いタマ取り
    天之川・希望aa2199
    人間|17才|?|命中



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