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戦闘

神に選ばれし生贄の巫女姫

せあら

形態
ショート
難易度
普通
参加費
1,000
参加人数
能力者
6人 / 4~6人
英雄
6人 / 0~6人
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2015/11/26 22:00
完成予定
2015/12/05 22:00

掲示板

オープニング

●生け贄の巫女
「納得いきません! どうしてお姉様が行かなければ行けないのですか!?」
 茜色の夕日が沈みかける中、神社の前で巫女の美憂は姉の涼華へと心配そうな表情を向け強く言い放った。
 涼華は心配する美憂に小さく苦笑を浮かべた。腰まで届く長い黒髪が風に乗って少しだけサラリと揺れる。
「美憂、仕方ないの。村で決まった事だもの……私は大丈夫だから、だからそんなに心配しないで」
 そう言う涼華に美憂は納得出来なかった。
 美優達が住むこの古い村には一つの言い伝えがあった。祟り神の顔を持つ守護神がおり、昔は若い娘を生贄として神に捧げていた。だが今は時代が進みそれは廃れていた。そんな中、ある一つの社で少女の遺体が見つかった。村の伝承がまだ残っている年寄達はそれを祟りだと信じ込み、この村の神社の巫女の涼華を生贄として選んだのだ。
「こんなの絶対に可笑しいです! こんなの昔話を利用した悪どいやり方に決まっています! それにあの社には愚神が出ると噂されています。そのような場所に行くなんって……」
「美憂……」
 美憂の言葉を涼華は優しい声音で遮り、その場にしゃがみながら同じ目線の高さに合わせ柔らかい口調で言葉を続けた。
「大丈夫だよ。きっと何も出ないから。2、3日過ぎればお爺様達も殺人事件だと分かってくれて警察に届けてくれるし、それに何も無いと分かればすぐに私を迎えに来てくれるから」
「でも……」
「お姉ちゃんが美憂に今まで嘘ついた事あった?」
 そう優しく訪ねられ、美憂は小さく頭を振った。
「待っててね、必ず帰って来るから」
 涼華は妹の頭を優しく撫でる。その手は昔と変わらず優しい手だった。美憂は不機嫌そうな顔で涼華へと渋々小さく頷いた。

 涼華は小さな古い社の前にいた。
 話によると生け贄とされる巫女はこの社の中に入って神を待つらしい……。涼華は社を一瞥し、恐怖を感じながらもゴクッと生唾を飲み、社の扉を開いた。ギッ……ギィ……と何処か壊れた音がし、中に入ってみると、そこには何も無い狭い空間だけが存在していた。
「ここ何だよね……?」
 まるで自分に言い聞かせるような言葉で不安気に辺りを見渡す。
「そなたが妾の人形か?」
 その時、突然声がした。涼華は慌てて声がある方へと視線を向ける。するとそこには20代ぐらいの花魁姿の女性の姿があった。だが涼華は一瞬で理解してしまった。彼女がこの世の者ではない存在だと言う事に。
「貴方が神……様……ですか……?」
 震える声をどうにか絞り出して涼華は問う。花魁姿の女性は妖艶に、そして呆れたような顔をして紅色の美しい唇を動かした。
「神? 妾をあんな者と一緒にするではない。妾は愚神。だが昔話を利用し、お前達人間を拐かしたのは妾だから一概にも言えんがな……」
「愚神……貴方が……」
 花魁は涼華に近づき、クイッと涼華の顎を軽く指で持ち上げる。涼華は背筋から冷や汗が流れるのを感じた。花魁は涼華の顔をまじまじと見た後、ふっと笑みを溢した。
「気に入ったぞ。なかなかの上玉だ。一生妾の可愛い人間として扱ってやる」

●鮮血の巫女姫
「お姉様、美憂です。申し訳ありません、どうしても心配になり来てしまいました……」
 美憂は社の前で声を潜めながら、姉に話し掛けた。姉と別れた後美憂は嫌に胸騒ぎがし、姉の元へと来てしまったのだ。
「お姉様……?」
 自分の問いかけに涼華の返事が無い事に疑問を抱き、美優は社の扉にそっと手を掛けようとした。
 瞬間――――。
 ビュュュウと風が鳴る音と共に扉が風で勢いよく開かれ、社の中から姉の涼華と花魁の格好をした女性が現れた。姉の隣にいる女性に疑問を抱いた瞬間、同時に美憂は恐怖を感じた。彼女はおそらく、この辺りで噂されている愚神なのだと美憂はすぐに気づいた。
「お姉様!?」
 姉の名を叫ぶかのように呼んだ。だが反応は無く、涼華の瞳は何一つ映していない虚ろな色をしていた。
 美憂はそれを見て姉が操られているのをすぐに察し、唇を噛んだ。そして踵を返し、急いでその場から逃げ出す。
「もう帰るのかぇ? 愛しい姉に会いに来たのだろう?」
 クスクスと可笑しそうに笑いながら花魁は髪に差している一つの簪を取ると、それにライヴスの光を宿す。光に包まれた簪は真っ赤な弓に変化し、逃げる美憂に向けて氷の矢を2、3発放った。
 美憂は背、腕、脚へと矢を受けながらも必死で社の階段を駆け降りる。普通ならば一般人は愚神の攻撃を受けてしまえば死んでしまう。だが美優は能力者防御適正だった、その為少女は愚神の攻撃を受けても死なずに済んだのだ。
 美優は自分の中で姉を置いてきた事に対する罪悪感が生じる。だが少女はそれを無理矢理自分の中へと押し込め、瞳からボロボロとあふれ出る涙を必死で無視した。
 早く、早く、早くしないとお姉様が死んじゃう……!!
 射たれた傷が酷く痛む。
 意識が朦朧とする。
 でもここで倒れる訳にはいかない……
 そんな想いが今の少女を突き動かす。
 ズキンと矢に打たれた足が激しく痛み、美優は足を滑らせ階段から転げ落ち地面に倒れた。側に落ちたスマホを震える手で手に取ると少女はある所へと電話を掛けた。
「もしもし、こちらホープ支部です。どうかされましたか?」
「お姉様……を……助けて……」
 電話口にいる職員へと美優は掠れた声で必死にそう告げた。

解説


花魁の姿をした愚神の討伐、美憂の姉涼華を助け出す依頼になります。

登場人物
美憂……14歳の巫女の能力者(防御適正)の少女。姉の涼華を慕い憧れている。涼華を心配し、社に行くと愚神に操られている涼華を見つける。
愚神の攻撃を受けながら、必死でホープ支部へと助けを求める。

涼華……美憂と同じく17歳の巫女。
村の神社の娘で巫女と言う事もあり村人達から「生け贄の巫女」として選ばれた。現在愚神に操られている。

デクリオ級の愚神……20代前半の花魁の姿をした愚神。
村の言い伝えを利用し、涼華を手に入れる。涼華を操り、または体を乗っ取り村全体を壊滅させようと企んでいる。村の壊滅はただの暇潰しがわりであり、涼華を都合の良い入れ物として扱っている。

攻撃……ライヴスでの氷の矢で遠距離の攻撃を仕掛けて来る。近距離になると扇子を取り出し、扇子を振ると小さな竜巻を3、4つ一メートル付近に出現させる。
竜巻に少しでも当たると巻き込まれてしまう。

涼華を操り、鈴華に薙刀を持たせ攻撃して来る。一般人な為攻撃して来るスピードは鈍足。(助け出す為には10ターン以内に倒して下さい)

Pl情報……愚神は自分が窮地に立つと黒い文字が書かれた番傘を相手に向け、式神の鬼の姿をした従魔ミーレス級2、3体を出現させる。
従魔 鬼ミーレス級×2、3体。口から青白い炎を吐きながら攻撃し、手に持つこん棒で殴り掛かる。

状況……夕方の日が沈む時間帯、古びた社。
社には愚神、涼華のみしかいない。戦闘開始(リプレイ)は社の場面から始まります。社の階段の前に瀕死状態の美優が倒れています。

マスターより

こんにちは、せあらです。
今回のシナリオはシリアスな戦闘のシナリオになります。
どうか皆さんの力で花魁の姿をした愚神に囚われている涼華を救い出し、姉妹の笑顔を取り戻してあげて下さい。

リプレイ公開中 納品日時 2015/12/03 01:30

参加者

  • きみのとなり
    加賀谷 亮馬aa0026
    機械|24才|男性|命中
  • 守護の決意
    Ebony Knightaa0026hero001
    英雄|8才|?|ドレ
  • 燼滅の王
    八朔 カゲリaa0098
    人間|18才|男性|攻撃
  • 神々の王を滅ぼす者
    ナラカaa0098hero001
    英雄|12才|女性|ブレ
  • 深森の歌姫
    イリス・レイバルドaa0124
    人間|6才|女性|攻撃
  • 深森の聖霊
    アイリスaa0124hero001
    英雄|8才|女性|ブレ
  • エージェント
    三坂 忍aa0320
    人間|17才|女性|回避
  • エージェント
    玉依姫aa0320hero001
    英雄|14才|女性|ソフィ
  • 繋ぎし者
    坂野 上太aa0398
    人間|38才|男性|攻撃
  • 守護の決意
    バイラヴァaa0398hero001
    英雄|20才|男性|ソフィ
  • ヘイジーキラー
    壬生屋 紗夜aa1508
    人間|17才|女性|命中
  • エージェント
    ヘルマン アンダーヒルaa1508hero001
    英雄|27才|男性|ドレ

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