本部

調査

七つの夢

玲瓏

形態
シリーズ(続編)
難易度
普通
参加費
1,300
参加人数
能力者
4人 / 4~8人
英雄
3人 / 0~8人
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2018/10/03 07:30
完成予定
2018/10/12 07:30

掲示板

オープニング


 正午を過ぎ、酒の抜けきっていないドランは頭痛に苛まれていた。ようやく警察署に到着したと思えば、彼のデスクに物憂げな顔をしたモーディ警視長の姿があった。
 ドランは机の上に猫背の腰を下ろし顔も見ずに訊ねた。
「文字の読み方を忘れたかモーディ。あんたの席はこんな貧相なとこじゃねえだろ」
「いつ来るか分からないお前のためにわざわざここで座って待っていたんだ。上の命令さえでりゃ、すぐにでもこんな貧相な机は撤去できるぜ」
「構うかよ。で、何の用だ」
 三十代に入ったばかりのドランは実年齢よりも老けて見えた。コートを脱ぐと、一層酒臭さが漂ってモーディは呆れかえって腕を組んだ。
「お前が検挙した女、脱走した」
「何だと?」
 机から立ち上がった彼は片手をデスクトップコンピュータの頭に置きながら、目の色を変えた。
「誰かが逃がしたんじゃねえだろうな。俺の功績を汚すために」
「此処にそこまでの阿呆はいない。お前には手っ取り早く監視カメラの映像を見せた方が早そうだなドラン。言葉で言っても信じないだろう」
「おお勿論だ。いいか、百の言葉より一の映像だモーディ。それを分からんで警視長になったとは言わせんぞ」
「水を飲んでその忌々しい言葉遣いをもう少しだけマシにしてから俺の部屋に来い」
 スーツ姿のモーディは椅子から立ち上がり、通路を歩いて自室へと戻っていった。周囲の刑事は忙しなく昨今の事件に対応している。退屈さばかり求める上層部が優秀だと認めたモーディに聞くよりも、まだ若い人間に聞いた方が気は楽だが。
 しかし頭痛がひどく、椅子に座って暫くは額に手を当てていた。パソコンを起動するだけで触らず、彼はやがて立ち上がるとウォーターサーバーからコップ一杯の水を飲んでモーディの部屋に向かった。
 部屋に入ると、モーディはドランに見向きもせずにモニターに頭を向けていた。
「これを見ろ」
 ドランは特等のデスクに近づきモニターに向かった。画面いっぱいに拘置所が映っている。ちょうど他の刑事が被疑者の女に尋問をしている場面だ。小奇麗な女性で、尋問官に相槌を打ちながら質問に次々と答えている。一見礼儀正しく、彼女に変わったところはない。
「やけに落ち着いてやがる」
 冷静に彼女は容疑を否定し続けて、ある時に異変が起こった。ドランは目を細めた。
 尋問官が喉に手を当てた途端、鮮血が噴き出してアクリル板に飛び散った。近くにいた警察が銃を構えたが、彼は前触れなく銃を地面に落とし、次には損壊した体が地面に横たわっていた。
 女性は落ち着き払っている。
「なんだよ、こいつは」
「これからだ、黙れ」
 音もなく殺された二人の男が息の根を完全に失った時に、黒く長い髪の女性が空中から突然に現れたように見えた。ドランは顎に手を置き、説明のつかない現象に目を瞠ることしかできなかった。
 被疑者の女性は椅子から立ち上がりアクリル板に手を伸ばした。すると黒髪の女性もまたアクリル板に手を伸ばし――すると、二人の人間が一つになったのだ。被疑者の女性が消失した。
 一つになった女性がサイレンサー付きの銃を監視カメラに向けて、映像は終わった。
「あの黒い髪の女は学校の制服を着ていて、年齢にすると十八歳くらいだ。一体どうなってる」
「お前が大嫌いな愚神の仕業だと俺は疑ってる」
「学生服を着ているんだぞ」
「つい先日、例の高校で起きた殺人事件を忘れたのか。遺体は服を剥ぎ取られていた」
 ドランは煙草に手を伸ばしたが、モーディはその手を止めて禁煙マークの描かれたシールを指差した。ドランは苛立ちながらポケットに煙草をしまい、モニターから離れて扉に体を向けた。
「この事件の裏に潜むものはなんだと思う、ドラン」
「知らねえよ。愚神が出てきた時点で俺は捜査から外れるはずだ」
「いや、そうはならない」
 ドランの顔には憤りの色が現れていた。
「冗談はよせよモーディ。お前の忘れっぽさは知ってるが、五年前の事件を忘れたわけじゃ――」
「今回の事件はお前に受け持ってもらう。そういう取り決めだ」
「ふざけんじゃねえ! 誰が決めた。ええ? 言ってみろよ。今度は本格的にストライキを起こしてやってもいい」
「今朝電話をしてもお前は応答せず、どこで何をしていた。お前の無責任な検挙が二人の命を奪ったんだぞ」
「愚神絡みの事件は人間の俺じゃどうにもできねえだろうが!」
「リンカーと共同して解決してもらう」
「くそったれ!」
 ドランは激しい口調で怒鳴りつけた。
「愚神も、リンカーも知ったことかよ。俺は絶対に協力しねぇ。百歩譲ってこの事件は元々俺のヤマだから、そこはいい、引き受けてやるよ。だがリンカーに俺を一歩でも近づけさせてみろ。容赦なく引き金で頭をぶち抜いてやる」
「じゃあ、この事件はお前に任せてもいいんだな」
「勝手にしろ」
 大袈裟に舌を打ったドランは扉を開け、勢いよく閉めてから自分のデスクに戻った。コンピュータのモニターは暗くなっていて、エンターキーを押して元に戻した。
 苦言を呟きながらも事件のファイルを開いて、今まで起きていた事件の概要を洗い直しいていく。
 アリナ。この事件で犯人だと断定しても早計ではないだろう。一刻も早く彼女を見つけ出す必要がある。

解説

●目的
 孤児の保護。
 事件の内容を把握するためにドランと協力関係を結ぶこと。
 協力的になれなくても事件を把握できれば問題無し。

●事件
 八月にロシアの高校で女子生徒が殺害された時、その手法がとあるマフィア団体と全く同じ手法であったためにマフィア関連の事件だと断定して警察のドランは動いていた。生徒が殺害されたのを皮切りに既に六名もの犠牲者が出ており、六人目は浮浪者の男だった。男が殺された場所には「アリナ」と書かれたメモ用紙が落ちていた。

 リンカーが捜査に加わって直後、新たな犠牲者が発生してしまう。それはルイゼ・ハウスの唯一の使用人であった者であり、トゥールと言う名前の彼女は今までの遺体と同じように、路地裏で喉を十字に裂かれて死亡している。この時、メモ用紙は見つからない。
 事件の犯人は本当にアリナなのか、様々なことを調べなければならないだろう。

●事件概要
 以下の概要はドランと協力関係を結ぶか、その他の手法で見つける必要がある。

・女子生徒は「ナミョク」と呼ばれるロシアマフィアの娘であった。
 ナミョクとは五年前に発足したマフィアであり、暗号化されたインターネットの世界でロシアのほとんどの町に組織員が存在している。愚神やヴィランを仲間にしているとの情報があるが、定かではない。
 愚神を崇拝し、確信犯的な事件を起こす。

・ナミョクに対抗しているのは「ストラーフ・ミェチター」と呼ばれるマフィア。一年前から双方の間で諍いが起こり始め、マフィア間での争いが続いている。このマフィアはいつ出来たか不明であり、少数で活動している。活動内容は不明。
 殺人やテロ行為等、目立った活動はない。

●ルイゼ・ハウス
 孤児達がどう過ごしているのか情報はなく、どう生活しているのかは分からない。

マスターより

※当MSはアドリヴ成分が多めです。

 前に書いた自分の文章を見ると「やるじゃん」という時と「だめじゃん」という時に極端に分かれます。あー、この文章は分かりにくいとか、もう少し風情を持って書くべきだったとか……。しかし、我々作り手は「だめじゃん」から色々学ばないとならないのだなと感じます。
頭を使ってよく自分を観察し、上達に繋げていくのです。
 今の創作活動が上手くいっていない時、昔の自分を振り返るのは大事です。「やるじゃん」って思った時はそれなりに嬉しい。
 そして一年後の自分に同じように思わせるために、また頑張る日々が始まるのです。
 それでは皆さん、よろしくお願いします。

リプレイ公開中 納品日時 2018/10/10 21:18

参加者

  • ライヴスリンカー
    赤城 龍哉aa0090
    人間|25才|男性|攻撃
  • リライヴァー
    ヴァルトラウテaa0090hero001
    英雄|20才|女性|ドレ
  • 希望を胸に
    アンジェリカ・カノーヴァaa0121
    人間|11才|女性|命中
  • コンメディア・デラルテ
    マルコ・マカーリオaa0121hero001
    英雄|38才|男性|ドレ
  • やさしさの光
    小宮 雅春aa4756
    人間|24才|男性|生命



  • 鋼の心
    風代 美津香aa5145
    人間|21才|女性|命中
  • リベレーター
    アルティラ レイデンaa5145hero001
    英雄|18才|女性|ブレ

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