本部
女神よミロスへ還れ ~女神の両腕~
- 形態
- シリーズ(続編)
- 難易度
- 普通
- 参加費
- 1,300
- 参加人数
-
- 能力者
- 7人 / 4~8人
- 英雄
- 7人 / 0~8人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2018/08/17 07:30
- 完成予定
- 2018/08/26 07:30
掲示板
-
相談卓だよ
最終発言2018/08/16 23:53:12 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2018/08/16 15:18:38
オープニング
●女神の反応
「ここがミロス島。君はここの農夫に見つけられたんだ」
『はあ、そうですか』
「手の気配は分かるのか」
『それがあまり……却ってよく分からなくなって』
気のない返事に、キターブは頭を抱えた。
ミロのヴィーナスは一八二〇年、当時オスマン帝国の統治下にあったミロス島にて発見された。その後はトルコ政府やルイ一八世の手を経てルーヴル美術館に寄贈された。それらの経緯、ヴィーナスの由来、それら全てをこの女神像は知らなかった。
従魔とはいえ元は単なる石像に過ぎないのだから、当然と言えば当然なのかもしれない。だがキターブにはどうにも腑に落ちなかった。ならば何故この女神像に従魔が宿ったのか。
「何か思い出さないのか。動き出した理由とか」
旅の間に何度か聞いてみたが、反応はこれまでと同じく首を振るだけだった。
『何も。気がついたらもう歩いていただけなので』
そうかとだけ返し、キターブは女神像を伴って歩き出した。元々彼はこの女神像をレイネス教授に引き渡すのが目的だったが、女神の探し物である失われた両腕をついでに探していた。
ある意味一番の手掛かりであるミロのヴィーナスが見つかった場所を見せたが、それも甲斐はなく、ともかく女神像をレイネス教授に引き渡すために考古学博物館へと向かった。
「ん?」
ふと妙な視線を首筋に感じて振り返る。行き交う地元民が怪訝そうに女神像を見ては通り過ぎていく。化粧と服で誤魔化しているとはいえ、女神像の姿は人目につき過ぎる。
●女神の本性
プラカの町にある考古学博物館に入ると、まずミロのヴィーナスのレプリカが出迎えてくれる。
自分と同じ乳白色の像を見入る女神像。それを見て近づいてくる壮年の男が恭しく礼をする。
「ようこそ美しいお方。至福なる女神のどなたがここへおいでになったのです。アルテミスかレトか、それとも黄金のアフロディテが参られたのか」
芝居がかった物言いにキターブは苦笑する。いちいちホメロスのアフロディーテ讃歌を持ち出すのはさすがに大げさすぎる。
「お待たせしました。レイネス教授」
「よく来てくれた。キターブ」
「はい。ともかく依頼通りには致しましたが……」
レイネス教授が頷き、奥のバックヤードを眼で示した。
そのは彼の客間のようになっており、二人はそこにあるソファに腰かける。レイネス教授は机の上にある書類を手に取った。
「レポートは貰っていたが、詳しい話を聞かせてもらおうか」
キターブは頷き、女神像とそれを狙っていたヴィランについての経緯を説明した。
「ふむ。それで君は、ヴィランはルーヴルによるものだと?」
「行きずりにしては手練れていたので」
「とはいえもう撃退したのだろう」
「八人がかりでようやくです。奴が一人で助かりました」
聞きながら教授はキターブが送ってきたレポートをめくっていく。その中で特に気になった部分を抜粋して机の上に置いた。
「これは本当かね?」
そこには女神像が贋作である可能性が高いと書かれていた。
「まあ、僕の感想に過ぎませんが。あの女神さま、由来に全く反応を示さないんですよね。従魔は理性がなくとも、憑依したものにどこか性質を引っ張られるようなところがある。あの女神にはそれが見られない。腕の所在も分からずじまいですし」
「とはいえ贋作をわざわざヴィランを使って回収させるというのも、おかしな話じゃないか」
「単にゴシップを嫌ったのでは? 実際、女神像がなくなったのをひた隠していますし」
「そうだといいのだが……まあ、偽物かどうかはこちらで詳しく鑑定してみれば分かることだ」
粗方の話が終わって二人が部屋を出る。
「おーい、女神さま。あんたのこと詳しく検査して――」
声をかけても返事がない。心配になって駆け寄ると、ミロのヴィーナスの前で、女神像が仰向けに倒れていた。その胸元には痛々しいほど深いひびが走っており、それを踏みつけている男にキターブは見覚えがあった。
「貴様、アレグ!?」
呼ばわれたアレグが皮肉げに笑ってみせる。
「さんざん邪魔されたが、これで俺の仕事は完了だ」
「仕事だと? ルーヴルからの依頼か」
「知らんよ。それじゃあな」
止める間もなく飛び退ったアレグは、窓からそのまま逃げていった。
「キターブ、彼女が!?」
レイネス教授が悲鳴に近い声を上げる。見れば既に女神像が異形と化していた。
床材を引き千切るようにして自分の腕へと繋げていく。ギリシャの美術館で見た現象に酷似しているが、今回は規模が違っている。
従魔としての本性が発露していると見るべきだろう。あのときはすぐに気絶して事なきを得たが、今回もそうとは限らない。
「教授、逃げてください。早く!」
レイネス教授を外へ促しながら、学内にいる人々に逃げるよう促す。
従魔である以上、想定されるリスクだった。まさかヴィランによってもたらされるとは思わなかったが――
女神像は建屋の構造部を粘土細工のように付け足していき、さらに巨大になっていった。むしろ肥大化していく腕に彼女が取り込まれているように見える。
どうあれH.O.P.E.のオペレーターとしてこの事態は捨て置けない。キターブはスマホを取り出し、至急の救援を要請した。
解説
・目的
従魔の撃退。
・女神像
従魔としての本性が発露し、周囲を取り込み肥大化する腕を有する。
・場所
ミロス島のプラカにある考古学博物館。
・状況
建物の構造体を取り込むようにして腕を肥大化させつつある。街に被害が及ぶ前に撃破しなければならない。対象の破壊を含めた対応が必要と思われる。
マスターより
ヴィランに攻撃され、とうとう従魔としての本性を現した女神像。欠損した腕を補うように周囲を取り込む能力で巨大化しつつあります。このまま従魔が暴れれば多大な被害が街に及びます。
そうなる前に女神像を破壊し、従魔を撃退してください。
関連NPC
リプレイ公開中 納品日時 2018/08/24 20:25
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相談卓だよ
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