本部
双獣
- 形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- 参加費
- 1,000
- 参加人数
-
- 能力者
- 6人 / 4~6人
- 英雄
- 6人 / 0~6人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2018/03/08 09:00
- 完成予定
- 2018/03/17 09:00
掲示板
-
黒と白の双獣討伐
最終発言2018/03/08 06:48:23 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2018/03/05 19:08:38
オープニング
●
色気のないビルが立ち並ぶ地方都市の大通りを、黒塗りの軽トラックが爆走している。
アクセルを親の仇のように踏み付けているから、マフラーからは濃灰色のガスが大量に吐き出されていた。減速をまるでしないから、カーブを曲がると頭痛を引き起こす高い音を立ててアスファルトに四輪の痕跡を深く刻む。荷台には赤いシャツを着た金髪の少女が乗っていて、身の丈を超える銃火器を携えていた。
昼下がりの街中におおよそ似つかわしくない、この上なくけったいな存在にもかかわらず、しかし衆目は皆無であった。衆人が皆無だったからである。
「いやァ、げにドライブ日和ですなァ」
「言ってる場合かって! もっとアクセル踏んでよ!」
「目いっぱいなんですがねェ」
運転手の男はぼやいて煙草に火をつけた。歳の頃なら40過ぎ、短い黒髪にはちらほら白が混じっている。
「だから軽トラなんてヤだったんだ! 隣の四駆借りてくればよかったのにさ!!」
「車高の高い車、苦手なんですワ」
「だから言ってる場合かって!!」
荷台の少女は三白眼をリアサイトに近づけた。狙うはトラックの後方30メートル、竜巻のように入り乱れる、黒と白の従魔である。
少女は状況を良く理解していた。とにかくまずは動きを止めることが最優先、致命傷を狙おうなどと欲はかかない。従って特定の部位を狙うでなく、射程内、照準に収まると同時にトリガーを引く。引く。引く。引く。
その結果は――
「初弾命中、で――」
バックミラーで状況を確認していた運転手は溜息に紫煙を乗せ、
「――“また”残り全部避けやがった……!」
少女は憤りに任せて荷台の縁を蹴りつけた。
彼女の腕前が拙いわけではない。並よりやや上程度までの従魔であれば単独で制することができる技術と経験を持ち合わせている。だからこそ運転席の男も――それしか方法がなかったとはいえど――彼女に攻撃役を一任したのだ。
もうひとつ付け加えておけば、従魔が特別小型だったわけでもない。黒い従魔は体長6メートルほど、体高は3メートル程度ある、狐に似た個体だった。対して白い従魔は獅子のような姿とパーツをしている。ふさふさのたてがみを差し引いたとしても、黒い個体よりも一回り大きな体躯をしていた。
こんな相手をこの距離で狙い撃てない。荷台の上、猛スピードで移動中という状況を差し引いたとしても、少女の射手としてのプライドは傷んだ。
目聡く察した運転手があえて軽い調子で言う。
「兄弟喧嘩、ですかねェ?」
「知らねーよ……ってか今更だけど、従魔同士で何やってんの、こいつら?」
「いちゃついてるだけかも知れませんぜ」
「勘弁してよ……」
ぼやきながらも少女は射撃を続ける。成果は芳しくないが、手を休めるわけにもいかない。
「真面目なハナシ、深く考えなけりゃあ、バグっちまったんじゃねぇですかい?」
「壊れてるってこと? うーぜぇー、そのまま消えてなくなれっつの」
「もしくは、目に映るモン全部壊したがるじゃじゃ馬か、ですなァ」
「うあ゛、それはそれでウゼェ」
「ま、原因なんて大した問題じゃありませんや」
「……かな。だよね」
黒と白は、文字通り入り乱れていた。上下左右東西南北前後奥手前、各々の爪であったり牙であったりはたまた脚であったりで、相手を痛めつけることに躍起になっているのである。避難警報が発令されて久しい“貸し切り”の街中で、本気で、争っていたのだ。
だから放っておくという選択肢は有り得なかった。例えば山奥の石切り場などで殺し合っていたのなら、なるほど、五日後にでも見に行って共倒れの写真でも撮影して帰ればよかっただろう。しかしここは地方とはいえ都市部であり、避難警報が発令されて久しいとはいえ、その効果を無条件で期待するわけにもいかないのだ。
「――っ!!」
なんの前触れもなく、合図も断りもなく、少女が荷台を飛び降りた。
運転手は舌を打ちながらハンドルを切り、床が抜けそうなほどブレーキを踏んだ。交差点を左折するような軌道を取り、やがて停車に成功する。下車し、数瞬で少女を発見した。灰色が多い街で、少女の金髪はあまりに目立ち過ぎた。
彼女の足元には、茶色い衣類の塊が落ちていた――否、それらは着込まれていた。
「おい、爺さん! 大丈夫か、立てるか!?」
わしなんかに構いなさるな、お嬢さんこそお逃げなさい。
「バカ言ってんじゃねえよ! 立てるか――ぅぁ、折れてるじゃんか!」
わしはええんじゃ。わしはもうええんじゃ。
「あたしより先に諦めんじゃねぇよ!」
「伏せろ!!」
「ッ!!!」
少女と老人のすぐ隣、4階建ての雑居ビルに、黒に蹴り飛ばされた白が背中から激突した。ビルの壁が窓一枚分窪むほどの衝撃であり、割れた窓ガラス、欠けた壁、ぶら下がっていた看板が一様に瓦礫となって降り注ぐ。老人が頭を抱え、少女が庇うようにその小さな背中を呈し、飛び込んだ運転手が取り出した深緑の棍で殆どの瓦礫を弾き飛ばした。
「っ……ちょっと、バビった。サンキュ」
「気負うな。嬢ちゃんはノーミスですワ」
心底称賛しながらも、男の顔色は冴えなかった。
すぐさま復帰して攻撃に転じた白い獅子は、その挙動で軽トラックを道端の石ころよろしく蹴り飛ばした。それを黒い狐が踏み潰し、どちらも更に気焔を吐きながら、尚も道路を進んでいく。手元には自力で離脱できない要救助者。
男は煙草を新調してから、通信機を顔に近づけた。
●
「申し訳ございやせん、あっしらはこれから要救助者の確保並びに搬送に入りますワ」
通信機が吐き出す低い声を聴きながら、あなたは正面――迫り来る黒と白の竜巻を見据えていた。
「敵さんの挙動は事前の情報と大差ありませんや、各個撃破を推奨しときますぜ。
嬢ちゃんからは、なんかありますかい」
「ごめんなさい、全然削れなかった! あとお願いします!!」
「どっちか倒してみせる、って約束は違えちまいましたが、誘導はなんとか成功したってことで……まぁ、こいつの悔し涙に免じて許してつかぁさい」
「言ーうーなーよ!!!」
「痛ててて。そんじゃ重ねてですが、あと頼みましたワ」
目前に迫った黒と白へ、あなたと仲間が同時に攻撃を放った。息の合った、絶妙な間での、厚みのある一手であったが、二体の従魔はどちらもこれを察し、互いを蹴りながら距離を稼ぎ、回避してのけた。
かくて、黒は東へ、白は西へ。
どちらも相手の従魔のことを見据えていた。
どちらもその合間にあなたへ視線を送ってきた。
邪魔をするな、と、暗に言われているようで、
お門違いな視線を断ち切るように、あなたと仲間が一斉に得物を構えると、
喧嘩するほど睦まじい、とは言うものの、
双方の獣は同時にアスファルトを蹴り、あなたたち目掛けて猛突進してきた。
解説
●目標
>>従魔2体の討伐
・街並みへの被害は成功度に影響しないものとする
・気絶者が出た場合成功度が減少する
●状況
日中、晴天。
幅4sq(スクウェア)の道路の交差点。但し北南に続く道路には移動できないものとする。
東西へは交差点からそれぞれ20sqまで移動可能とする。
全ての沿道には建物が並んでいる。屋上を含めて侵入不可。
縁石、植え込みなどの障害物、並びに路地裏、下水道などはないものとする。
●敵
>>黒狐
回避↑↑、物理攻撃・命中・イニシアチブ↑、生命力3割減少済み、右わき腹に弾痕が見える
フィールド東端に陣取っている
・通常攻撃:手足によるひっかき攻撃。射程1
・叩き付け:巨大な尻尾を振り下ろす。2×2sqに物理攻撃
・とお吠え:自身を中心に範囲(3)。特殊抵抗を用いた判定に失敗した場合、BS『気絶(1)』が付与される
・生存本能:パッシブスキル。攻撃を受ける度に回避値が上昇し、ターン終了時に元の値へ戻る(PL情報)
>>白獅子
物理攻撃・生命力↑↑、魔法防御↑
フィールド西端に陣取っている
・なぐる:ねこぱんち。射程1
・かじる:最速で行動して物理攻撃を行い、命中した相手を口で拘束する。ターン内に規定量のダメージを受けなかった場合、ターン終了時に追加で物理攻撃(威力補正大・必中)を行い、拘束を解く
・ぶつかる:移動しながら正面、幅4sqに物理攻撃+ノックバック(3)
・もりあがる:パッシブスキル。ターンが経過する度に物理攻撃値が上昇する(PL情報)
>>共通(すべてPL情報)
・従魔同士の距離が近づくほどに、従魔の能力値に上方補正が入る
・従魔同士が隣接すると、範囲(8)の物理攻撃(威力補正大)を連発するようになる
・片方の従魔が討伐されると、2ターン後に逃走を開始する
●その他
特記ない項目はPC情報です。
質問にはお答えできません。
マスターより
ご検討いただけましたら幸いです。
よろしくお願いいたします。
リプレイ公開中 納品日時 2018/03/16 06:43
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黒と白の双獣討伐
最終発言2018/03/08 06:48:23 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2018/03/05 19:08:38