本部
すべてはえがおのために
- 形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
- 1,000
- 参加人数
-
- 能力者
- 6人 / 4~6人
- 英雄
- 0人 / 0~0人
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2018/01/13 09:00
- 完成予定
- 2018/01/22 09:00
掲示板
-
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2018/01/09 23:18:01
オープニング
●コンマ2秒の面接
店内の様子を窺いながら、あなたはゆっくりとガラス張りのドアを押し開けた。上部にぶら下がっていたベルが気の抜けた音を鳴らす。するとカウンターで帳面にペンを走らせていた女性が顔を上げて、あなたを見つけるなりパっと表情を明るくした。チラシを見て来てくれたの? あなたが首肯すると、女性の笑顔はもう一段階深みを増した。
「それじゃあ、奥の事務所で説明するから入って待っててくれる? 他の人たちももう入ってるから」
これだけ終わったらすぐ行く、と、女性――店長は再び帳面に向かう。
促された扉を開けると、店長の言葉どおり他のスタッフが思い思いに時間を潰していた。雑誌を読んだり、スマホを弄ったり、プリント――急ごしらえのマニュアルに目を通していたり。共通していたのは、全員揃いの制服であったこと。白いシャツないしブラウスに黒のスラックスと長エプロン。
あっけにとられていたあなたに、雑誌を読んでいたスタッフが説明をしてくれる。そこの段ボールに入っているから、サイズの合うものを見繕って。
感謝を伝え、あなたは着替えを済ませる。季節のわりに少し薄手なことを除けば、糊の効いた新品の制服というのは、あえて大げさに表現するなら、まったく別の誰かに変身できたようだった。
●開店1時間前
お待たせしました、と事務所に入ってきた店長は、あなたたちに一礼してから、ではさっそく、と胸の前で両手を叩いた。
「まず最初にお伝えしなくてはならないのは、ここに集まってくれたスタッフは全員、今日が初勤務、ということです。飲食店での経験はそれぞれだと思うけど、まあなくても大丈夫だから、あんまり気負わないでね」
さて、と店長は素手のまま、雑多にプリントが貼られたホワイトボードを片付け、大きな丸やら四角やらを描きながら説明を進める。
「普段は飲料と軽食を提供しているわが店も、今年は年末年始に稼げるだけ稼がせていだたこうということで始めた宴会プランがおかげ様で大盛況となっております。これまではなんとか私ひとりで回してきましたが今日だけは満席が閉店まで続くと予想される超ド級の大繁忙日。なので急きょ、本当に急きょ、アルバイト募集をかけさせていただいたわけです」
大まかにグループ分けを行う。
キッチン担当、ホール担当、清掃担当。
「キッチン担当はもうそのまま、料理と飲み物を用意してもらいます。一応マニュアル化したものがあるから、調理経験が少しでもある人なら問題なくこなせるんじゃないかな。料理の腕前っていうよりは、速さと正確さに自身のある人向け、な気がする。
作ってくれた料理とかをお客様に運ぶのがホール担当のお仕事。戻りながらオーダーも取ってもらいます。便利な機械とかないからメモに手書きでお願いすることになるけど、慌てて間違えないようにね。ここはもう愛想、もしくは愛嬌が一番大事! 常に笑顔を忘れないようにね。
清掃担当はテーブルの掃除――バッシングっていうんだけど――と、お客様が粗相した時のフォローをやってもらいます。まだ席についてる方の食器を下げる――プレバッシングね――時は一言添えるのを忘れずにね。もちろん、お客様に呼ばれたら対応するのを最優先でお願い」
最後に、と店長は指を立てて言葉を強める。
「時節的にもそうだし、お酒も出るので、『困った』お客様もいらっしゃいます。
基本的には穏便に済ましてもらうんだけど……どうしてもって時は、少しくらい手荒になっても仕方がないし、大丈夫。土地柄、たぶんお客様はほとんどリンカーだから」
パチリ、と不器用なウインクが飛んできた。
●開店1時間後
あなたに飲食店での勤務経験がなかった場合は、業界への認識を改め、襟を正しているころだろう。経験がある場合なら、自身の力量の衰えを疑い始めたころかもしれない。それほど仕事は激務であった。
4人用の丸テーブルが10ほど並ぶ店内は、しかしあちらこちらから手が上がり、まるで親の仇のように次々と注文を叩きつけてくる。8席ほどあるカウンターはどういうわけか常に埋まり続け、こちらは自分たちの飲みっぷりを見せつけようとしているかのようにグラスを煽り続けた。
この常識をぶっちぎった類稀なる多忙、その最大の要因は宴会プランの内容にあった。
―― 4名様以上でご来店していただくと30分間定額で食べ放題飲み放題 ――
この内容で、このうたい文句に釣られて訪れた客の、果たして何割がのんびり談笑などするだろうか。確かに回転率は凄まじい。だが席に着いた客の半数は目が血走っているし、幾らかでも対応が遅れれば容赦なく煽られ罵られる。加えてプランを利用しない客も当然のように訪れる。具体例としてカウンターの呑兵衛8人が挙げられる。こちらはただただ定額で安酒を飲み続けており、帰る様子がまるで見られない。
額に浮かんだ汗があご先まで流れていく。
この戦場を、閉店までのあと4時間、乗り切らなくてはならない。
夜が更けるにつれて客層も少しずつ荒っぽくなってきた。ここまではなんとか仲間と協力して乗り越えてきたが、果たしてこの先はどうなるのか。各所のサポートに入っていた店長も、ここ数分はレジの前から動けていない。
そしてとうとう、最後の席が子連れの客で埋まった。
あなたは一度ゆっくりと店内を見渡してから、エプロンのひもを締め直して持ち場に戻っていく――。
解説
できるだけ多くのお客様がこの夜を楽しめるように、アルバイトをがんばってください。
●環境
夜。飲食店内。店内は暖房でぽかぽか。外は氷点下3度。
残り就業時間4時間。店長はほかの業務で忙しそうにしている。
全員白のブラウスないしシャツ、黒のスラックス、黒の長エプロン着用。
●ルール
全員必ず、キッチン、ホール、清掃いずれかの担当につき、業務を行ってください。
清掃担当は担当者なしでも構いません。その場合はホール担当者が清掃業務も行ってください。
また、以下のアクシデントが随時起こりますので対処してください。単独ででも全員ででも構いません。
●アクシデント
なるべくお客様を不快にさせないように対応してください。楽しませるように対応できると尚良いです。
どの項目も一度しか発生せず、同PCが対応するアクシデントは同時に発生しません。
特記ない場合、客はリンカーであるものとします。
1:鍋物2つ、粉物2つ、パフェ4つ、チューハイ5つのオーダーが同時に入る
2:(ホール担当者が女性の場合のみ発生)テンションの上がった中年男性がセクハラしてくる
3:(ホール担当者が男性の場合のみ発生)酔った陽気な女性(一般人)がとても執拗に誘惑してくる
4:カウンターの客が泣きながら長くて重めの愚痴を大きめの声で言い始める
5:5歳くらいの兄弟(一般人)が店内を走り回り、誤って観葉植物を倒して、どちらもすごく泣く
6:野良猫が入口から侵入し店内やキッチンをうろつく(PL情報:外にお腹をすかせた子猫が5匹いる)
7:元気のいいおばさん(一般人)が、ちょっとだけプランを延長してほしい、と駄々をこねてくる
8:10代の男子グループ4名が突然大声で歌い出す
9:店内が静まり返った瞬間、カップルがそこそこの声量と勢いで別れ話を始める
●その他
質問にはお答えできません。ご了承ください。
マスターより
お世話になります。十三番と申します。
当作が初シナリオとなります。
ご検討いただけましたら幸いです。よろしくお願いいたします。
リプレイ公開中 納品日時 2018/01/20 23:33
参加者
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最終発言2018/01/09 23:18:01