本部
I need Your Voice
- 形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- 参加費
- 1,000
- 参加人数
-
- 能力者
- 8人 / 4~8人
- 英雄
- 8人 / 0~8人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2017/12/31 19:00
- 完成予定
- 2018/01/14 19:00
このシナリオは5日間納期が延長されています。
掲示板
-
質問用スレッド
最終発言2017/12/30 20:01:29 -
相談スレッド
最終発言2017/12/31 17:53:43 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2017/12/27 22:22:26
オープニング
●混迷の果て
「ひぃいい! 助けてよモンテ!」
「ようやく仮出所できたばっかりなのに! これじゃ台無しだカルロ!」
二人組のヴィランが必死に路地を走っている。春先にエージェントに取っ捕まって以来大人しくしていたモンテとカルロだ。その後を夜風のように追う、一つの影。
「貴様達に恨みは無いが……今はとにかく霊力が必要なのだ。大人しくしておけば悪いようにはしない」
モンテとカルロはいつしか路地の突き当たりに閉じ込められていた。震える二人の前に、一匹の狐が姿を現す。洋装に似合わぬ太刀を抜き放つと、つかつかと二人へ近づいていく。
「刺されるのかい? モンテ」
「刺されるぞ、カルロ」
震える男二人を冷めた目で見下ろすと、狐――ルナールは脇腹に刃の切っ先を突きつける。
「安心しろ。助けを呼ぶくらいの体力は残してや……」
刹那、不意にルナールの右手が揺れ、刃を心臓へと向けていく。ルナールははっと目を見開くと、唸ってその右腕を左手で押さえつけた。歯を剥き出しに、鼻面に皺寄せ彼は叫ぶ。
「何のつもりだ!」
『あの死神を殺るためだ! 一々餌を生かしていたらいつまでもお前はエージェントにさえ勝てない弱小愚神のままだろうが!』
「餌! 餌か!」
目の前で独り芝居を始めたルナール。モンテとカルロは顔を見合わせると、悲鳴を上げながらその場を逃げていった。
「元々は人間のお前が人間を餌と言う! 憎悪とは空恐ろしいものだな。人間をそこまで堕としうるのか!」
『お前こそおかしいと思った事は無いのか! お前は愚神だ。俺に力を貸すと嘯いて、俺の事を喰らったんだろうが。それでいてなんだそのザマは! 今更義賊面するのか! なあ、このクソ狐!』
ルナールに巣食うもう一つの人格、坂上剣は怒りを剥き出しにしていた。ルナールに喰われた彼の憎悪がルナールの意識の中に異物として残り、幾つもの戦いを経て再び人格を取り戻したのである。ルナールは呻き、刀を握りしめた手で己の額を殴った。
「黙れ! 私は私だ! 私は……!」
そこまで言いかけて、ルナールははたと口をつぐんだ。一歩二歩と後ずさりし、茫然と呟く。
「違う……“これ”は私じゃない。……じゃあどれだ。どれが私なんだ? そもそも私はどこにいる? 何を以て私は私なんだ。私、私は……!」
ルナールは絶叫した。見る間に瞳が虚ろとなり、彼はがっくりと膝をつく。
「私がいない。俺は一体何なんだ? ねえ教えてよ。ボクは……」
「……心配いらないよ。君は君だ」
混迷の渦に崩れた狐の肩を、ほっそりとした手が優しく撫でる。
「ずっと君に逢いたかったんだよ、ルナール。君にも皆の声が聞こえると知った日から」
黒と蒼、そして白のローブに身を包んだ少年が狐の顔を覗き込んで微笑んだ。
「安心して、ルナール。君が呑み込み続けた魂には指向性がある。無数の声を掻き分けるんだ。その奥に、君が君の拠り所とするべき真の意志があるんだよ」
「僕の……拠り所?」
子どものように呟き、ルナールは首を傾げる。少年――タナトスは頷くと、血塗られた深紅の仮面を取り出し、タナトスの顔に被せる。
「ああそうだよ。僕が教えてあげる。だから……一緒にこの世界を壊そうよ」
●宿命の刻
『ルナールがプリセンサーの探知に現れました。そのイメージによれば……彼はとうとう人を殺すようです』
ウォルター・ドルイット(aa0063hero001)があくまで冷静な面持ちで君達に解説を始める。
『また、そのイメージにおけるルナールは再び仮面を被っていました。ただし、紅い仮面ですがね』
モニターにはプリセンサーの証言に基づいたルナールのイメージ図が表示される。黒を基調にした服装の中で、深紅の仮面だけが異様な雰囲気を纏っている。
『……確証があるわけではないですが、恐らくはタナトスの支配下に置かれてしまったのだと思います。アバドンは言うに及びませんが、兎を子飼いにすることに拘っていたクイーンと、私への復讐を何にも優先させた夜霧というように、タナトスが支配下に置いた愚神は人間を喰う事を最優先にしない傾向があります。ルナールもその例に当たりますからね』
ウォルターは早口で言い切ると、一つ嘆息してタブレットを操作し、君達にデータを送り始める。
『東尋坊に姿を見せた時は必ずしも討伐にまで至る必要は無いと考えられましたが……タナトスの支配下に置かれてしまった以上はそうも言ってはいられません。そのため、今回の目標は討伐です。今回のルナールの実力は未知数なので、くれぐれも気を付けてください』
君達の持つ端末にデータが送られて来た。ウォルターはタブレットを見つめながらさらに説明を続ける。
『必要になるかは分かりませんが、一応こちらで調査を進めてわかった事があります。坂上剣が元エージェントであることはいつだったかに話したと思いますが、任務中に何らかの要因、恐らくはタナトスによって邪英化させられ、その後の戦いで英雄は死亡、自分だけが助け出される事になりました。失意のままH.O.P.E.を去った彼のその後は曖昧ですが、ルナールから彼を名乗る人格が現れた事を考えると、ルナールに取り込まれてしまった事だけはどうやら事実のようです。しかしそれが一体いつの事かもわからないので、救出は絶望的と考えた方が良いでしょうね』
ウォルターはそこまで言うと、タブレットを置いて君達を見渡す。
『……あと、ここからは私の推測に過ぎませんが、騒速という人格は、坂上剣のライヴスから読み取った、英雄の人格をベースにしているんじゃないでしょうか。坂上という人格を押さえるにはもってこいでしょうしね』
『ともあれ、彼をこれ以上詮索しても仕方がありません。なるべくなら、彼が本当の悪事を行う前に止めてあげましょう』
●Where is my heart?
「……私は愚神。人間を滅ぼす者……」
深紅の仮面で顔を覆い隠したルナールが、太刀を手にぶら下げ港を歩く。人っ子一人いない深夜の港は、しんと静まり返っている。
「私の存在意義は、この世を消し去る事にある」
君達は武器を携え、港をひた走る。ある者は影に身を潜め、ある者は堂々と正面からルナールに向かって突き進んでいく。ルナールは太刀を構え直すと、君達を仮面越しに睨んだ。
「人は絶望を以て我々を呼ぶ。この世界に絶望して我々を呼ぶ。故に我らはその声に基づきこの世界を破壊する」
その声に澱みは無い。水晶のように透き通った響きの声色だった。
「来い。希望を謳う使徒よ。私は人間の絶望に従い全てを砕く」
解説
目標 ルナール(ルージュ)の討伐
BOSS
ケントゥリオ級愚神ルナール(ルージュ)
タナトスの支配下に置かれてしまったルナール。既にその自我は掌握されている。
・ステータス
物攻C 物防S 魔攻D 魔防A 命中B 回避C
イニD 移動B 抵抗A 生命A
・スキル(PL情報)
サン=ルイ
トレースの変異版。タナトスにより能力が異常強化されている。
[対抗判定or特殊抵抗判定時、判定するPCの該当能力の数値だけ能力を加算する]
ジャンヌ
相殺の変異版。その間合いに踏み込んだ誰もが膝を折る。
[発動ラウンド、ルナールを攻撃したPCはダメージ判定後に命中vs回避の対抗判定を行う。敗北した場合、ルナールによる攻撃を受ける]
シャルルマーニュ
見取稽古の変異版。敵のライヴスに応じて体質を変化させ、ダメージを極限まで抑える。
[発動ラウンド、ルナールのダメージは(攻撃した能力者のレベル)%減少する。]
・武器
騒速(刀)
[生命力50%以下:与えたダメージの50%回復する。この効果は1R に1度まで発動する。]
アルターカラバン44マグナム(銃)
[アイテム説明に準ずる。愚神パワーによりLv30まで強化済み]
FIELD
・深夜の港。街灯が無く、視認性が悪い。
・戦闘区域は20×40sq。
TIPS(PL情報)
・ジャンヌは奇数ラウンド、シャルルマーニュは偶数ラウンドに発動する。PCの作戦に応じて行動を変えたりはしない。
・ルナールは自分の人格を自在に変化させる能力を持っている。(北方の獅子参照)
・ルナールは瀕死に陥ると人格の統一性が緩む。(騒乱の刃参照)
マスターより
影絵企我です。
ルナール編は何かが起きない限りはここで最終回となります。
タナトスのせいで能力が強烈になっていますが反面狡猾さは皆無になっています。ある意味では倒しやすくなったのかもしれません。
ウォルターの言う通り、彼が悪いことをする前に倒してあげましょう。
……と、逆に言えば、何かが起きれば最終回とはなりません。
その選択も含めて、全てを皆さんに委ねております。
それでは、よろしくお願いします。
……某狩りゲーの看板モンスターくらいの扱いにするつもりだったんですが、まさか半年以上もメインを張るキャラになるとは思いませんでした。
関連NPC
リプレイ公開中 納品日時 2018/01/08 16:44
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