本部
かぞえてごらん
- 形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
- 1,000
- 参加人数
-
- 能力者
- 8人 / 4~8人
- 英雄
- 0人 / 0~0人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2015/09/22 15:00
- 完成予定
- 2015/10/01 15:00
掲示板
-
相談卓
最終発言2015/09/22 14:27:07 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2015/09/17 17:57:17
オープニング
●たくさん見ている
家というものは、人が住まなくなると途端に傷み出す。半年も目を離そうものなら、次に訪れた時には傾いでいる。まして、古い日本家屋なら、尚更だ。
この家もご多分に漏れず、見目にも既に荒れ始めていた。歯抜けた瓦屋根が軒から雪崩れていたり、また軒そのものが自重で沈み込んで玄関を半ば覆い隠していたりと、敷地内に生い茂る雑草と相まって、誰がどう見ても廃屋の様相を呈していた。
内部はもっとひどい。
外観から全ての戸と窓が施錠されているのを確かめた、という事は空き家となって以来、まだ誰も足を踏み入れていない可能性が高い。にも関わらず、下駄箱や首のもげた日本人形が玄関から廊下にかけて散乱していた。
居間、客間、書斎、寝間、便所、風呂――どの部屋を見ても似たようなものだ。各種家財道具調度類と日本人形とが、争った跡のようにごちゃまぜ。ところどころに切り傷のようなものが認められるのが不気味だ。
成人男性にとっては天井が近すぎるのも少し気になった。それほど歪んでいるのなら、いつ倒壊してもおかしくない。長居は無用か。
「ここだけは片付いてるな」
懐中電灯を天井に向けると、部屋の全貌が薄ぼんやりと浮かび上がる。
そこは広間になっていて、奥に黒光りする観音開きの棚が閉じられているのがすぐに分かった。
「仏間か」
窓はなく、壁際は幾つもの桐箪笥や飾り棚、衣装箱などが占有している。
用心深く踏み込む。靴越しに綻びた畳の感触が伝わる。周囲を電灯で照らしながら二歩、三歩と進み、思わず「げっ」と声が出た。
箪笥や衣装箱の上、飾り棚の中、果ては壁に背をもたれたものまで、大小様々な日本人形が、おびただしい数の肩を並べているではないか。
「ちょっ、なんなんだよこれ」
良く見ると、奥の観音開きを挟んで、男女つがいの市松人形が立ち尽くしている。
「仏壇と見せかけて、開けたらお内裏様とお雛様が出て来たりして。ハハハ、そんなわけないよな! ハハハ……」
冗談を言ってみたものの、所詮独りでは恐怖が助長されるだけ。そもそも不自然ではないのか。なぜこの部屋だけが、荒れていない。
「……ん?」
ふと、空気の流れが頬をかすめた。家が傾いた影響で、どこかに隙間でもできているのか。
それとも。
仏壇の横、男の子の市松人形の傍に、襖戸がある――開いている。いつから?
行きたくない気持ちと、確かめたい思いがない交ぜになって、その場で明かりを向けた。
「いっ」
そこには、半纏を羽織った女の子がひとり座って、何やら大きな本をめくっていた。だが、目を通している様子はなく、適当にぱらぱらめくって遊んでいるように思えた。写真が並んでいるのが見えたから、アルバムかも知れない。
その子の首が、ぐるんと。
こっちを見た。
見開いているようで眠たげで。笑っているようにも無表情にも思える、ふっくらとした面立ち。
「ヒィ! …………にっにっににににんぎょォ?」
邸内で幾度となく見たのと同じ、日本人形の顔が、底知れぬ眼差しで、こちらを見る。
――ずだん。
「!?」
彼女の右手が振り下ろされる。右手に握られた、菜切包丁が畳に刺さる。
――きちきちきち。
「っ!」
きちきちきちきちきちきちきちきちきちきちきちきちきちきちきちきちきちきちきちきちきちきちきちきちきちきちきちきちきちきちきちきちきちきち。
きり。
「なななななんだよこここん今度は……!」
周囲から鳴る音の正体を確かめるべく懐中電灯を神経質に振り回す。
飾り棚の五月人形が、箪笥の上の能人形が、箱に乗せられた花嫁人形、木目込人形、歌舞伎人形、御所人形、童人形、そして、仏壇を挟む市松人形までもが。
「は……? は、は、は、ははははは」
一斉に、こっちを見ている。
刹那、観音開きが勢い良く開いた。文字通り飛び上がる直前、須弥壇の雛人形に挟まれた笑顔の少女の写真は。
「はひぁっ、あが、い……――いやああああああああああああああああああ!」
いつしか立ち上がり、包丁片手ににじりよるモノと、同じ半纏に身を包んでいた。
●真相究明
「それで、その廃墟ファンが逃げ帰るなり体験談をネットの海に放流してしまいまして。匿名掲示板からまとめサイトを経由して、現在SNSを中心に広まりつつある、……というわけです」
困りましたね、とオペレーターは溜め息混じりにぼやく。
「この類いの話は蓋を開けてみるとHOPEの管轄というケースが少なくありません。仮に従魔か愚神が関与しているのなら、早急に対処しなくてはならない。しかしながら、可能性の域を出ない現時点では、例えば現場区域を封鎖するなどの大掛かりな手立てを講じるわけにもいかず……そこで」
オペレーターはぐるんと首を回し、集まったリンカー達を見た。
「ここに居る皆さんで現場に急行していただきたいのです。調査の上、必要に応じて『しかるべき対処』をお願いします。例の体験談を聞いた廃墟ファンや心霊スポットファンが、不用意に踏み込んでしまう前にね」
被害が出てからでは遅すぎる、という事だ。
「ちなみに、今から向かえば到着する頃には夕方から夜間となる見込みです。暗くてやり辛いでしょうけど……一刻の猶予もありません。そのまま調査を開始してください」
解説
名目は調査ですが事実上戦闘主体となります。
【ネット情報から推測できる現地の様子】
山中にぽつんと建つ平屋の一軒家。
電気、水道、ガス、電話は止められています。
かつては人形収集が趣味のお爺さんが十匹ほどの猫と共に暮らしていたのですがある時急逝し、以来、無人となったようです。
建物が傾き始めている上、ひとつひとつの造りが小さく、奥の仏間以外で激しく動き回るのは難しいでしょう。
※以下PL情報※
【童女】
デクリオ級従魔。七歳ほどの子供の背丈で、着物の上に半纏を羽織っています。
なぜ日本人形のような顔で、このような姿をしているのかは不明です。
攻撃手段は菜切包丁(近接)、無数の出刃包丁召喚(範囲攻撃)、髪を伸ばして締め付け(拘束)。
更に移動手段として飛べる他、しばしば短距離間の瞬間移動もします。
【市松】
ミーレス級従魔。幼児ほどの背丈の、紋付袴の男の子と晴れ着の女の子のつがいです。
なぜ市松人形と酷似しているのかは不明です。
攻撃手段は大振りな和ばさみ(女のみ:近接)、扇子(男のみ:遠距離)、纏わりついて噛み付き攻撃(男女:近接)。
瞬間移動はできませんが少女人形同様飛べます。
【その他大小様々な無数の日本人形】
日本人形にイマーゴ級従魔が憑依しています。
飛び回って視界を遮る、ぶつかるなど妨害行為に及ぶので注意が必要です。
蹴散らせば簡単に消滅しますが、人形がある限り湧いてきます。
マスターより
藤たくみと申します。よしなにどうぞ。
依頼としては、デクリオ級とミーレス級の撃破を以って成功とみなされます。
(イマーゴ級は戦闘を終える頃には消滅する事でしょう)
夜間に狭く脆い屋内での戦闘となりますので、その点はご留意のほどを。
戦闘以外の事につきましては、調べるもそっとしておくも皆様のご随意に。
それでは、ご参加お待ちいたしております。
リプレイ公開中 納品日時 2015/09/30 14:26
参加者
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相談卓
最終発言2015/09/22 14:27:07 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2015/09/17 17:57:17