本部
我が愛しの冬の子
- 形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
- 1,000
- 参加人数
-
- 能力者
- 10人 / 5~10人
- 英雄
- 10人 / 0~10人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2017/11/07 15:00
- 完成予定
- 2017/11/16 15:00
掲示板
-
【相談】春火秋刀
最終発言2017/11/07 13:06:05 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2017/11/06 12:56:04
オープニング
山沿いの町では、今年初めての初雪が降った。例年よりも随分と早い初雪であり、町の住民たちは「異常気象なんて温暖化の影響かしら」と少しばかり不安にかられたのであった。
多くも町の人々は知らなかった。
初雪に紛れて、一人の少女がこの町に降り立ったことを。
●冬の名物
初雪が降った日、一人の大学生が裏道を歩いていた。彼はリンカーでもあり、本日は故郷のこの地に帰省していたのであった。急激に冷えた空気を白く染めながら、大学生は道を急ぐ。滅多に通らない裏道だが、今日は急いで家に帰りたいがために走っていた。予想外の初雪にコートを忘れてしまったのだ。肩に降り積もる雪は体温で溶けて水になり、体温を奪っていく。このままでは風邪をひいてしまう。早く帰って、温かい風呂にでも入らなければ……。
「お兄さん?」
大学生を呼び止める声があった。
ふと、足を止めるといつの間にか大学生の背後には少女がいた。十五歳ぐらいの年頃で、温かそうなピンク色のコートを着ていた。
「どうしたの?もしかして、観光してて迷っちゃったの?」
大学生の疑問に、少女は首を振る。
「私ね、お兄さんみたいな間抜けなリンカーを探していたの」
少女の後ろに、ぬっと愚神が現れる。H.O.P.Eで指名手配されていた愚神に間違いない。大学生は英雄と共鳴し、逃げ出した。
大学生は戦闘経験こそなかったが、スピードには自身があった。少女も愚神も引き離せるはずだし、なによりこの土地は大学生の地元である。裏道には誰よりも詳しい。
背後に少女と愚神の姿が見えなくなったことを確認し、大学生は物陰に隠れる。そして、携帯でH.O.P.Eの電話を繋げた。
「たっ……たすけてっ」
「にがさないよ」
大学生が顔を上げたとき、少女は彼の目の前で笑っていた。
そこから、彼の記憶は一度途切れる。
●リンカーたち
この町には、毎年冬になると愚神が出現する。いつもならば、常に移動しているせいなのか神出鬼没の愚神は、初雪が降る季節になると必ずこの町に現れるのであった。そのため、H.O.P.Eはこの町にリンカーたちを送り込んだ。
「資料によると……今回、愚神は隣町で女の子をさらってるな」
リンカーの一人が情報を確認する。
さらわれた少女だったフユカは、リンカーであった。だが、その幼さと契約した英雄の幼さも合わさって彼女はH.O.P.Eで働くことはなかった。
フユカは愚神がらみの事件ですでに両親を亡くしており、彼女の両親の古い知り合いである男が養子として彼女を引き取ることになっていたのであった。その男もリンカーであり、周囲は彼がフユカにリンカーとしての教育をすることを期待していた。だが、フユカが正式に男の養子となる前に彼女は一時的に滞在していた親戚の家から姿を消したのであった。
「もし、愚神になっていたら少女を助けることは不可能なんだろうな」
痛ましい、とリンカーは顔を曇らせた。
「裏路地で、大学生が襲われたと連絡が入りました! 急いで現場に急行してください!!」
仲間の一人がH.O.P.Eより連絡を受け取り、全員が走り出した。
●ある男について
男は、父親になり損ねた。
男の名は、ナツキといった。すでに結婚はしていたが医者にナツキは「子供をつくることができない体質だ」と言われて、実子はあきらめるしかなかった。妻には申し訳なかったが、彼女はそれでもナツキのそばにいてくれた。ほどなくして親友の子供を養子にする話が持ち上がり、ナツキは喜んでしまった。
友人夫婦が亡くなり悲しむべきはずなのに、自分も子供が持てると思って喜び――人知れずバチが当たるのではないかと恐れた。バチはあたった。
正式に養子になる前に、フユカは行方不明になってしまった。
愚神が無意味に少女を誘拐するわけがない。きっと彼女は、もう取り戻すことができなくなっているだろう。過去と同じフユカに見えても、今もフユカはもう過去のフユカではない。
愚神の手下だ。
「おじさん、また来たの?」
裏路地で、日本刀を握ったフユカを見つける。
十五歳のあどけない顔には返り血。
ナツキは血の気が引いていった。このままでは、フユカは犯罪者として記録される。人を殺した残酷な人間として、その名を刻まれてしまう。
愚神が彼女をさらったのは、ナツキのバチのせいなのに……。
ナツキは、フユカが刺した大学生へと駆け寄る。そして、その傷を癒した。フユカは被害者なのだ。犯罪者としての汚名など、着させられない。それが、ナツキにできるフユカへのせめてもの思いやりであった。たとえ、もう殺すことしかできないとしても名誉だけは守ってやりたかった。
「どうして、私がやっつけた敵を回復させるの? おじさんなんて、大っ嫌い!!」
フユカの声を聴きながら、ナツキは懸命に大学生を回復させる。
――フユカを殺人犯にさせないために。
「ねぇ。お母さん、今日は力を貸してよ!」
●リンカーたちが見たもの
「どうなっているんだ……」
リンカーたちが駆け付けたとき、愚神は裏路地にはいなかった
愚神は表通りに現れて、人々に牙を向けていた。
その愚神の前には、ナツキとフユカがいた。
満面の笑みで、フユカはリンカーたちに向って言う。
「ここは私たちの狩場になるんだよ」
リンカーに向って、少女はそう言った。
「――ああ、彼女はもう駄目なのか」
一人のリンカーが祈るように呟いた。
解説
・愚神とフユカの撃破およびナツキと大学生の保護
・大通り(昼)……人通りの多い道だが、居合わせた別働隊により避難誘導と周辺封鎖は完了済み。
・フユカ……実戦経験が豊富であり、身軽さを生かした素早い攻撃が得意。二刀流の日本刀で戦う。すでに人間のライブスを吸っており、愚神化してしまっているため助けることはできない。
冬の花――目にも止まらぬ攻撃で相手の目を強制的に自分にひきつける。
冬の雪――自身の周囲に雪を発生させ、視界を奪う。その雪のなかに一定時間いる相手のスピードが著しく下がる。
冬の分身――ライブスを使用し分身を作り出し、敵を翻弄する。
ナツキ……誘拐されていたフユカを十年間探していたリンカー。現在が愚神に操られており、意識はない。攻撃力は低いが、防御力が高く相手を回復させることが得意。武器は、拳銃。愚髪の側におり、そこから離れることはない。一定量のダメージを受けると意識が戻り、PLたちに味方をする。
執念の絆――自分の周囲にいる者全員のダメージを半分量回復させる。
護身術――近づいた敵を隠し持っていた銃で攻撃する。
後悔からの献身――一度だけフユカの体力を全て回復する。
愚神……人を操ることに長けた、女性型の愚神。長い髪が蛇のようにうねり、その髪を絡ませることによって相手のライブスを得る。また、髪を硬質化させて武器とすることも可能。現在は大学生から戦闘に使うライブスを奪っており、大学生が髪から離れると攻撃力が大きく落ちる。
母の毒――髪の毛一本一本を硬質化させ、それぞれを四方八方へと飛ばす。受けると麻痺状態となり、一定時間動けなくなる。
母の愛――髪の毛を棍棒のように纏め上げ、それを力いっぱい振り下ろす。見た目以上に質量があり、食らうと大ダメージ。
母の献身――味方の攻撃力を大きく向上させる。
洗脳――大ダメージを追っている相手に語りかけることによって、一時体に相手を洗脳する。
マスターより
こんにちは、落花生です。
今回は初雪の話になります。雪国の皆さん、スタットレスタイヤの準備は万全ですか?
私は、まだはきかえていません。
リプレイ公開中 納品日時 2017/11/11 09:17
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【相談】春火秋刀
最終発言2017/11/07 13:06:05 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2017/11/06 12:56:04