本部
ひだまりタンポポ
- 形態
- ショートEX
- 難易度
- やや難しい
- オプション
-
- 参加費
- 1,500
- 参加人数
-
- 能力者
- 7人 / 4~8人
- 英雄
- 7人 / 0~8人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2017/11/02 09:00
- 完成予定
- 2017/11/11 09:00
掲示板
-
相談卓
最終発言2017/11/01 23:23:05 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2017/11/01 00:03:51 -
坂山先生教えてください
最終発言2017/11/01 00:36:22
オープニング
●
太陽は本当に西から昇っているのか東から昇っているのか。沈んでいる間はどこにいるのか。ブラジル? 日本と真反対の所で輝いているのか、それともどこにもいないのか。
他の人間には意識が本当にあるのか。僕が赤色といったものは、他の人にはなんて見えているのか。
寝る前にはいつもどおり、次々と答えのない疑問に苛まれる。僕は、大概自分と話している間に気づけば眠りに落ちているのだけど、今日ばかりは眠れなかった。
誓約相手の坂山から買い物を頼まれて、近くのスーパーに買い物に行った。お買い得の玉葱を手にとって籠の中に入れた時、信じられない物を目にしたんだ。
紛れもなく、何の違いもなく僕の父さんだった。
僕と同じくらいの背丈をした子供と、美人なお嫁さんを連れて家族で買い物に来ているみたいだった。僕はあまりにも驚き過ぎて、籠を持ったまま動けなくなった。
「父さん……」
英雄、なんて小っ恥ずかしい呼び方をされるけど僕は英雄だ。元々僕がいた世界は今の世界と全く変わらない、平和があれば不和もあるような場所だった。僕には弟と母さん、父さんがいて、僕は小学五年生だった。
普通の家族、真っ当な家族。家に帰ると母さん得意の肉じゃがとオードブルな野菜盛り合わせがあって、漬物がとにかく美味しい。一歳年下の弟は生意気だけど一緒にゲームをする時は楽しいし、旅行で同じ布団で寝る時にちょっかいを出し合うのも楽しい。喧嘩もしてたけど。
僕が一番好きなのは父さんだった。
――父さんは嬉しいよ、立派な子に育ってさ。
テストで良い点数を出した時にかけてもらった言葉だ。父さんは決して「お前は頭が良くて、お利口だな」とは褒めない。
――よく頑張ったなぁ! 今夜はステーキだぞ!
何ていうか、心から褒めてくれている気がする。同級生から頭良いよなって言われるよりも、何倍も嬉しい。
今、どうして父さんのことがこんなに好きなのか考えてたけど、ちょっとよく分かんない。とにかく好き。いやいや、恋人が好きっていう時の好きとは違うよ。立派な家族愛。もし父さんが死んだら僕は、すごく泣くんだろうな。
僕がいた世界では日本で戦争が起きた。父さんと一緒に逃げている時、人並みに押されてはぐれてしまった所までは覚えているが、その後は覚えていない。
何となく悲しい気がするから、思い出だそうとすると僕が嫌だと言って、思い出さないまま過ぎていく。
こっちの世界に来て、父さんと二度と会えないんだって考えた時は声が枯れるくらい泣いた。数日間、坂山がいても泣いた。最初は一緒に寝てもらっていたくらいだ。
少しずつ家族の事を忘れる努力をして、ようやく忘れかけていたのに、父さんが出てきた。僕の知らない家族を連れて。
変な感情。
明日、同じ時間にいって声をかけてみるかな。世界が違うけど、もしかしたら、奇跡的に僕の事を覚えててくれてるかもしれない。もしかして、父さんもこっちの世界にきたのかな。同じ英雄なのかな。
頭の中に咲いた花を枯らせないためにジョウロで水を与えながら、僕は寝た。
次の日、父さんに会った。
ダメだった。
そうだよね。
●
別の用件で忙しい時でも、オペレーターは通常任務を常に任せられるものだ。坂山は既に三つも依頼が回ってきていた。
「愚神と一般人が家を荒らして金目の物を持ち去っていく事件ね……。貧乏な愚神もいるのかしら」
住宅街を五人の団体が歩いている。覆面を被った男が四人と、気味の悪い人形の愚神だ。民家に押し入っては金を奪い、逃げていく。抵抗して傷をついた人間も出ている。
住民は近くの大学や公民館、公共施設に避難している。
「どうだろうな」
四足歩行の犬型ロボット、スチャースはノボルの膝上で丸まっていた。彼はふと顔を上げると、ノボルの顔に違和感を見た。微笑みがないのだ。
「どうした?」
「……事件が起きたのって、あのマーケットがある近くなんだよね?」
「ええ、そうよ。行きつけの場所だから不安なの?」
「違うんだ」
オペレーターに繋がる固定電話が鳴った。二回コール音を待ってから受話器を取る。
「はい、こちらHOPEです」
「今避難をした尾崎という者なんですけど、ウチの主人がいないんです。私の友達も、主人がいないって」
今日は日曜日、国民の休日だ。
「連絡等は届いてないですか?」
「何も……。今朝起きた時から居なかったんです。あの、何があったんですか? 泥棒達が集団で動いてるだけじゃないんですか?」
「落ち着いてください。これからエージェントを派遣し、現場を調査してみます。見つかりましたらこちらから折り返し電話をするので、電話番号を教えていただいてもよろしいですか」
主人が行方不明。尾崎という人の名前は知らないが、ノボルの一抹の不安は大きくなるばかりだった。主人がいなくなる。
自分を覚えてくれていなかった父さん。巻き込まれていないだろうか? 不安で不安で、仕方がない。
でも……今はエージェントに頼るしかない。どうか見つけてくれる事を。
解説
●目的
愚神の討伐。その他覆面男達の捕獲。
●愚神
・ググモート
事件が起きる前に五人の人間が殺されており、五人の頭と四肢をそれぞれ繋ぎ合わせた継ぎ接ぎの愚神。好きなタイミングで四肢や頭を切り離すことが出来る。胴体は男性、首は女性、四肢は大きさがバラバラで様々な角度から武器攻撃、拘束技を仕掛けてくる。
胴体に人が入れる大きさの空洞があり、中に入れられると脱出するまで酸の攻撃を食らう。ケントゥリオ級
・セレン
覆面の男達に五人の殺害を命じた愚神。こちらもケントゥリオ級。
角ばった四角い顔には四つの顔がお面のように出ていて、全身を覆い隠すマントの下には脊髄が垂れている。触手のように伸びる腕は金属並に硬い。先端は変形が可能で、ドリルもしくは人間の手にいつでも取り替えられる。
リンカーがググモートを倒しそうな時に登場し、二人で攻撃を仕掛ける。
●覆面集団
全員子持ちの父親で、家族を人質に取られセレンの命令に従う羽目になる。彼らの家族には知られていない。
中にはノボルの父親、源治(げんじ)も入っている。
●罠
セレナは覆面集団の一人一人の家に爆弾を仕掛けていた。避難している家族が多いが、中には外に出られず家に立て篭もっている家族もいる。源治の家族もその一つだった。
マスターより
※当MSはアドリヴ成分が多めです。
占星術をモチーフにしたミステリ正悦はご存知でしょうか。島田荘司さんの傑作ミステリです。以前私も読んでいたのですが、読んでいる最中に気づいたらどこかに消えてしまったんです。ミステリ小説を読んでいる最中に起きたミステリ……。多分、私の少し間抜けな日常生活が犯人なんじゃないかと思いますが。
私は何かとミステリーが好きで、小説家になろうさんで書いた処女作もミステリー物でした。
特に叙述トリックにはまってた時期がありまして、中でもハサミ――長くなるので、とりあえずここまでです。
関連NPC
リプレイ公開中 納品日時 2017/11/09 21:06
参加者
掲示板
-
相談卓
最終発言2017/11/01 23:23:05 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2017/11/01 00:03:51 -
坂山先生教えてください
最終発言2017/11/01 00:36:22