本部
青い空、プレゼントの夏
- 形態
- ショート
- 難易度
- 易しい
- 参加費
- 1,000
- 参加人数
-
- 能力者
- 8人 / 6~8人
- 英雄
- 8人 / 0~8人
- 報酬
- 寸志
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2017/08/02 07:30
- 完成予定
- 2017/08/11 07:30
掲示板
-
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2017/08/02 06:31:21
オープニング
●
夏の蒸し暑さがいよいよ高まってくる中でも、休日のショッピングモールは多くの人でにぎわいを見せていた。子供連れの家族、カップル、仲良し女子グループ、部活友だちの男衆、その他もろもろエトセトラ。真上から照り付ける太陽に焼かれながらも、楽しげな雰囲気が褪せることはなかった。
しかしながら、そのショッピングモールの中央。ハブのように伸びる道がちょうど一点に集中する広場のど真ん中で、二人の少年少女が額を突き合わせている姿が見受けられた。
「だーかーら! 今日はあたしがプレゼント買ってあげるって言ってんじゃん! どうして素直に言うこと聞いてくれないのかな!?」
肩の上あたりで短く切り揃えられた茶色の髪に、ややつり上がった眼尻は彼女の勝気さを強調しているかのよう。動きやすい丈が短めのシャツとボトムスの先からは、小麦色に焼けた引き締まった筋肉を持つ手足が伸びていた。
腰に両手を当て、自分より頭一つ分背の高い青年を見上げても、少女は一切物怖じするどころか、むしろ威圧するような格好で口を開いた。
「今日は兄さんの誕生日なんだから、そうするのが自然でしょ!?」
「それを妹にされると、何だろう、僕の威厳みたいなものが消える気がするんだよね……ただでさえ肇には勝てるところがないんだからさ」
その勝気な少女――肇と彼は呼んでいた――の前で困ったように頬をかいているのは、少女とは正反対の印象を与える温厚そうな青年だ。真っ白な肌は手首と足首から先の少しぐらいしか露出しておらず、濃い黒の短髪となで肩も相まって静かな美術室か図書室にいたほうがずっと様になるような青年である。
「誕生日って言っても、僕と肇は三日しか違わないじゃないか。だったらここで僕のプレゼントを選ぶより、肇のものを先に見繕った方がいいんじゃないかって思うんだ。ほら、前に欲しいって言ってた靴なんかいいんじゃないか? 今日はお金も持ってきてるし……」
「それじゃ意味ないよ。兄さんのプレゼントが先だから」
「そんなこと言っても、僕今欲しいものなんてなくて」
「なに?」
「なんでもないです……で、でもさ」
「ん?」
「僕なんかのためにプレゼントを買っても仕方ないと思うよ。肇のお金なんだから、肇が使った方が絶対いいって」
「……なにそれ?」
肇は自分の目の前で困ったように笑いながらそんなことを言った兄を見上げ、ほんの少しだけ動きを停止させた。肇の目は信じられないものを見るそれにだんだんと変わっていき、恐る恐る口を開いた。
「……本当にそう思ってるの?」
「もちろん。僕は肇が喜んでくれたらそれでいいんだから――」
だが、青年がすべて言い切る前に肇は唇を噛み、思いっきり叫んでいた。
「だったらもういいよ! 兄さんなんてもう知らないッ!!」
「は、肇!?」
青年から背を向けて全速力で走りだした肇を追いかけようとした青年がったが、その差はどんどんと開いていく。やがて肇の姿は人の山に埋もれてしまって、とうとう見えなくなった。
青年は道の真ん中で追いかけていた足を止め、流動する人の頭を眺めた。
「……肇」
呆然と呟いた声も、雑音に飲み込まれて霧散した。
●
『……よし、それで最後のようだな。ご苦労だった、これでこのショッピングモールの安全は保たれた。協力に感謝する』
大型犬の姿をした従魔が消滅すると、リンカーたちがつける通信機からそんな声が聞こえてきた。
H.O.P.E.の要請で、人々を避難させることなく秘密裏に従魔の撃破を行ったリンカーたちもまたショッピングモールに集まっていた。人気の少ない場所で戦っていた彼らは、それでようやく共鳴を解いた。弱かったとはいえ、いきなり呼び出されては骨も折れる。
依頼は達成した。リンカーたちはまた、おのおのの日常に帰ろうとお互いに違う方向へ足を向けようとして、ふと気が付いた。
「あの……リンカーの方、ですよね? お願いします。妹を探してほしいんです」
どういうことか、と一人が聞き返すと、膝に手をついて息も荒い青年は、生唾を飲み込んでから、そのいきさつを簡潔に話しはじめるのだった。
●
皆さまのもとに現れた青年――八坂終は、仲たがいしてしまった妹・肇を探しています。彼女を探し、終とまた会わせましょう。
ですが、ただ会わせるだけでは肇も終も疎遠な雰囲気なままで終わってしまいます。皆さまには仲直りするために必要なことを、終に教えていただきたいと思います。
自分が英雄と、あるいは能力者と喧嘩してしまった時にどうするか、そのようなことを伝えてあげるといいでしょう。
彼と彼女という人間を救えるのは、皆さましかいないのですから。
解説
登場人物
人年肇(ひととせはじめ)
・ショッピングモールに兄である八坂終とともにやってきた少女。スポーティな服装に焼けた肌が特徴。十六歳。
・明るく強気、熱しやすく冷めやすい。殻にこもりがちな兄を外に引っ張り出す役割を持つ。友だちも多い陸上少女で、兄とは反対の性格である。テストはだいたい赤点ギリギリ。
・自分の兄を気にかけており、今回も三日後に迫った兄の誕生日プレゼントを購入するためにやってきた。しかしそこで兄と言い争いがあり、現在広場から遠く離れた通りをさまよっている。
・好きなものはデフォルメされた動物のグッズ。
・とある愚神に外見が似ているようだが……?(PL情報:かつて撃破された愚神『アルファ』に酷似した外見。ただ関係性はない)
人年終(ひととせしゅう)
・ショッピングモールに妹である八坂肇とやってきた青年。やや丈が長めな服装におっとりとした雰囲気が特徴。十八歳。
・温厚かつ柔和。妹の一歩後ろで彼女の活躍を見守る役目を持つ。友だちは多くなく本が親友であり、妹とは真逆の性格である。学年上位。
・たった一人の妹が何より大好きだが、少々デリカシーに欠ける。妹とはぐれて探している最中。
・好きなものは本と妹が好きなもの。
・とある愚神に外見が似ているようだが……?(PL情報:かつて撃破された愚神『オメガ』と外見が酷似。関係性はない)
ショッピングモール
・多くの人々でにぎわう名所。観光地にもなっているので地元住民以外の客も多い。
・敷地面積が広大で、場所がわからなければ再会することも容易ではない。
・とにかく人が多い。
・天候は快晴。時刻は正午過ぎ。
マスターより
山川山名です。毎日暑いですが、熱中症にはお気を付けください。
さて、今回はとある兄妹にまつわるお話です。あのシナリオに参加された方も、そうでない方も問題ありません。なんかこの二人ほっとけない、と思われる方はぜひご参加いただければと思います。
この二人、本当に『彼ら』とは何も関係ありません。それだけはご注意を。
リプレイ公開中 納品日時 2017/08/09 19:07
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最終発言2017/08/02 06:31:21