本部

【屍国】連動シナリオ

戦闘

【屍国】 鬼の鎮魂歌

桜淵 トオル

形態
ショート
難易度
やや難しい
参加費
1,000
参加人数
能力者
8人 / 4~8人
英雄
8人 / 0~8人
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2017/06/05 12:00
完成予定
2017/06/17 12:00

このシナリオは3日間納期が延長されています。

掲示板

オープニング

●鬼の棲む家
 鬼が。
 鬼が棲んでいる。家の中に。
 毎夜悲鳴が響く。鬼に殴られる。動けなくなるまで。
――ごめんね。ごめんね櫂。でもここのほかに、家はない。
 母はそう言って泣く。
 その顔は醜く腫れあがり、かつての温かな微笑みは見る影もない。
 違う、違うんだ母さん、謝って欲しい訳じゃない。
 笑って欲しい。抱き締めて欲しい。守って欲しい。
 でも鬼が来る。
「うああああああん!」
 火のついたような、妹の泣き声。
 五月蝿い、という罵声と共に、殴られて小さな体が吹き飛ぶ。
 箪笥の角に頭をぶつけてうずくまるところを、更に襟元を掴んで引っ張られる。
 駄目だ、駄目だ。死んでしまう。
 妹はあんなに、ちびなのに。
 そのときなにかが、ふつりと切れた。
 鬼に対抗するなら、鬼にならねば。
 鬼よりも強い、鬼にならねば。
 台所から包丁を抜き取り、そっと隠し持つ。
 チャンスは一度きり。一度で確実に、仕留めなければ。
「なんだ小僧。文句でも……」
 鬼がこちらを見る前に、裸足で床を蹴る。すべての憎しみを、構えた刃に乗せる。
 そして俺は、鬼になった。

●鬼達の矜持
「このあたりを、嗅ぎまわっている奴らがいる。もうここも、潮時か」
 『お嬢』が物憂げに言う。
 あれから多くのことを経て、ようやく辿りついた大切な家族。
 行き場のない俺に、居場所を与えてくれた、優しくしてくれた、必要としてくれた。
「命令してくれ、お嬢。五月蝿い羽虫は追い払ってやる」
 護りたい、護りたい。今度こそは。
「その必要はない、必要なときが来れば俺が出る。いざとなれば俺の背中は預けるよ、櫂」
 そう言って柔らかく笑いかける、『お嬢』が俺の、本当の家族だったなら。

「いいかお前ら。半端すんじゃねーぞ」
 きっと『お嬢』は、いざとなれば言葉どおり前に出て、俺達を護ろうとするのだろう。
 だからこそ征く。先に征く。俺達がお嬢を護る。
「半端じゃ何にも護れやしねーんだよ」
 俺の前にいるこいつらも一緒だ。
 人の社会で生きるにはあまりにも大きな『欠け』を抱えたまま育って、『お嬢』に出会って初めて満たされた。
 誰もが『お嬢』と仲間を一番大切に思う。
 くだらないゴミみたいな人生を何十年も重ねるのと、大切な人のために今すぐ死ねるのとなら、どちらを選ぶ?
 答えなんか、決まり切ってる。
「俺は人殺しだ。だからどうした?」
 後悔するのは、あのときの刃が鬼の命にあと一歩届かなかったこと。
 俺が高い塀で守られるその間に、母と妹は鬼に殺された。
 人間の作った決まりは、鬼に捕まった人間を守りはしない。
 壊れてしまえばいい、役に立たない秩序も法も、人間も。
「見せてやろう、クズと呼ばれ続けたって……意地はあんだよ!」

●捜索開始
「ナンバーを黒塗りにしたマイクロバスは、国道377号を東に向かって逃走しました。現在監視カメラの映像を解析中です」
 あなたがたはH.O.P.E.から、大窪寺を襲撃したあとの朱天王一派の行方を捜索するよう依頼された。
 当時、大窪寺周辺の人々は避難済みではあったものの、各所に設置されている監視カメラは、録画を継続しておくよう依頼してあった。
 その結果、カメラの一部は破壊されていたが、残された映像からマイクロバスは継続して東へ向かっていたことが判明した。
 このあたりは徳島と香川の県境で、人口の少ない集落が多く、敵勢力の襲撃によって避難済み。
 潜伏するには格好の立地と言える。
 あなたがたはいくつかの集落を調査ポイントとして示され、小型のバスで緑深い山道を走った。

 大窪寺の前を通過してしばらく走ったころ、立て続けに何度かの発砲音がして急にバスは制動を失う。
 急ブレーキで停車したバスの下に、何かが投げ込まれた。
 ドンッ! という破裂音と共に、下から激しく突き上げるような振動。
「危険だ、バスを降りろ!」
 誰かが叫んだ。しかし間に合わない。
 直後、後方の床を突き破って車内に爆風と衝撃が走る。
 炎が車内を満たし、車窓を突き破った。
 あなたがたは炎上する灼熱のバスから脱出し、路上に降り立つ。
 おそらくバスは、車体の下に投げ込まれた爆発物によって誘爆を起こし、炎上した。
「スマホが通じない?!」
 H.O.P.E.支部に連絡しようと取り出したスマートフォンには、『圏外』の表示。
 何が起こったのか? と長考する間もなく、次々と前方にバイクが現われる。
 乗っているのはみな一様に、白い特攻服、黒いヘルメット、白手袋。
 大窪寺に現れた敵と特徴が一致する。
 同じ格好をした男たちが、後方の林内からも二人現われた。

「ここは俺達のシマだ。悪いが帰って貰おうか」
 左肩に鬼の面をつけた男が言う。
 背中に挿していた木刀を抜き、両側に引くと、中にはギラリと光る刀身が見える。仕込み刀だ。
「まあ、その前に俺たちに殺されなければの話だがな!」

解説

●成功条件
百鬼夜行の残党集団を退ける。

●現場状況
・国道377号を大窪寺からおよそ4kmほど東へ向かった地点。
・一本道で道路幅は4sq、国道の両側は人工林で左側が高い斜面になっている。
・敵はまず後輪タイヤを狙撃し、次に爆発物を車体の下に投げ込んで誘爆を起こしたと見られる。
・バスはスピンして道路を塞ぐ形で停車し、激しく炎上中。
・この爆発はガソリン引火による爆発であり、PCにダメージはない。

●登場
百鬼夜行残党
・リーダー櫂、メンバー14名。櫂に従う。
・すべて黒ヘルメット、白特攻服、手袋。リーダーの櫂は左肩に鬼の面。
・使用武器:仕込み刀、サブマシンガン、小銃、ナイフ(共にAGW)
・全員がハイネックのシャツを着用しているが、うち7名は首に包帯を巻いている。すべて死体ゾンビ。

●PL情報
・タイヤを狙撃したメンバー、手榴弾を投げ込んだメンバーは森から姿を現した二人。
・百鬼夜行の生き残りはすべて当初からのメンバーのみ。
・最寄のスマホ基地局はあらかじめ破壊されている。次の基地局圏内に入れば通話可能。
・ライヴス通信機は使用可能。通話を試したあとはPC情報に出来る。

マスターより

朱天王の配下、百鬼夜行の残党からの攻撃です。
よろしくお願いします。

百鬼夜行のリーダーも残すは櫂のみ。彼らは既に満身創痍です。
櫂は百鬼夜行Bグループのリーダーで、残ったメンバーを率います。
櫂は「汚染電波~包囲網を突破せよ~」「目を覚ませ、決戦に備えよ」に登場しておりますが、該当シナリオを参照していただかなくとも問題ありません。
沢山いた朱天王配下もすっかり数を減らしてしまいました。
それでもなお彼らはそれぞれの意思で朱天王を慕います。
櫂にとっての朱天王は、『理想の姉』。家族に守られず、家族を守りきれなかった櫂は、命を懸けても朱天王を守ろうとします。
たとえそれが朱天王の本意でなくとも。

リプレイ公開中 納品日時 2017/06/18 00:05

参加者

  • 沈着の判断者
    鋼野 明斗aa0553
    人間|19才|男性|防御
  • 見えた希望を守りし者
    ドロシー ジャスティスaa0553hero001
    英雄|7才|女性|バト
  • 絶望へ運ぶ一撃
    黛 香月aa0790
    機械|25才|女性|攻撃
  • 反抗する音色
    清姫aa0790hero002
    英雄|24才|女性|カオ

  • 九字原 昂aa0919
    人間|20才|男性|回避

  • ベルフaa0919hero001
    英雄|25才|男性|シャド
  • 紅の炎
    アリスaa1651
    人間|14才|女性|攻撃
  • 双極『黒紅』
    Aliceaa1651hero001
    英雄|14才|女性|ソフィ
  • 御屋形様
    沖 一真aa3591
    人間|17才|男性|命中
  • 凪に映る光
    月夜aa3591hero001
    英雄|17才|女性|ソフィ
  • 絆を胸に
    五十嵐 七海aa3694
    獣人|18才|女性|命中
  • 絆を胸に
    ジェフ 立川aa3694hero001
    英雄|27才|男性|ジャ
  • かわたれどきから共に居て
    日暮仙寿aa4519
    人間|18才|男性|回避
  • たそがれどきにも離れない
    不知火あけびaa4519hero001
    英雄|20才|女性|シャド
  • 護りの巫女
    三木 弥生aa4687
    人間|16才|女性|生命
  • 守護骸骨
    三木 龍澤山 禅昌aa4687hero001
    英雄|58才|男性|シャド

掲示板

前に戻る
ページトップへ戻る