本部
母に感謝と討伐を
- 形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
- 1,000
- 参加人数
-
- 能力者
- 10人 / 4~10人
- 英雄
- 10人 / 0~10人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2017/05/21 07:30
- 完成予定
- 2017/05/30 07:30
掲示板
-
少女に笑顔とカーネーションを
最終発言2017/05/21 00:05:53 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2017/05/20 05:01:16
オープニング
●おかーさん、ありがとー!
「おかーさん! これね、おこづかいためてね、かったの!」
満面の笑みを浮かべ、舌足らずな声とともに幼い少女はちっちゃな両手で1輪のカーネーションを差し出した。
「ありがとう。でも、どうしてお母さんにお花をくれたの?」
「きょうはね! うんとね! おかーさんに、ありがとー! っていうひなんだよね? まえにおとーさんにおしえてもらった!」
柔らかな笑顔で花を受け取った女性は、少女に目線をあわせて頭をなでる。すると、少女はさらに興奮した様子で、大きな身振り手振りを交えながら一生懸命に説明する。その様子はとても微笑ましく、彼女らの近くにいた父親も、少女の話を聞く母親も、表情はさらに綻んでいった。
そう、今日は母の日。日頃はなかなか言いにくい母親への感謝を、贈り物などの形で思いを示す記念日である。
少女は父親から母の日について教えられてから、ずっと母親の家事を手伝う代わりにお小遣いを貯めていた。少額ながらコツコツと貯金し、当日までに用意できたのはカーネーション1輪分にギリギリ足りるくらい。
そして今日、両親とともに外出した少女は『おはなやさんにいきたい!』とせがみ、店先で母親にカーネーションを渡したのだ。
「とっても綺麗なお花ね。お母さんとっても嬉しいわ」
「でも、赤いカーネーションじゃないんだな?」
「うん! あかいのもあったけど、ピンクのおはながあったからね、それにしたの!」
生花店の店員に見送られ、両親と手を繋いだまま少女は近くの公園にきていた。気候がとても穏やかであり、少し散歩をして帰ろうという父親の提案で訪れたのだ。周囲にもちらほら家族連れが歩いており、中には花束を持つ母親らしい女性の姿も見られた。
『――ぁぁ!』
「ん? 何だ?」
しばらく公園内を散歩していた少女たちだったが、不意に遠くから悲鳴らしい声を聞いて父親が立ち止まる。
――ブブブブブブッ!!
「なっ!? 蜂!?」
そちらへ視線を向けると、まるで雲のように集まった蜂の群れが、人々を追いかけていた。よく見るとそれはミツバチの大群であるらしく、黄色混じりの黒い雲は躊躇なく人へ襲いかかる。
「逃げるぞ!」
「え、ええっ!」
少女たちの家族も異常を察知しその場から離れようとするが、蜂の群れは真っ直ぐ人を狙っているらしくすぐに追いつかれてしまう。
「伏せろ!」
「こわいよぉ!?」
「大丈夫よ!」
逃げられないと悟ると、少女を守るように母親が、その上から父親が覆い被さり、ミツバチの襲撃を逃れようと姿勢を低くする。
「……ぐっ! い、行ったか」
しばらくして、ミツバチの大群は家族から離れ、別の場所へ飛び立っていった。群がられている間、チクチクとした痛みを感じていた父親は小さくうめき、慌てて体を確認するも毒針が刺さったところは1つもなかった。どうやら、全身を『噛まれた』らしい。
「あ……、おはな……」
唯一無傷でやり過ごせた少女は、しかし先ほど母親に贈ったカーネーションがバラバラになっているのを見た。これもまたミツバチの仕業らしく、少女の目にどんどん涙がたまっていく。
「うっ、ひぐっ! うわあああん!!」
安堵か悲哀か、少女はそのまま泣き出してしまった。
ミツバチの襲撃で負傷し、そのまま動けなくなってしまった両親に気づかないまま。
●お母さん、迷惑です
「本日、都内の広範囲でミツバチの大群による被害が次々と報告されています」
急遽集められたエージェントたちの前で、碓氷 静香は資料を片手にプロジェクターで表示した地図を指し示した。
「主な標的は多種多様な『花の蜜』だと推定され、ミツバチが通った後は花がことごとく荒らされていたようです。それだけならまだよかったのですが、そのミツバチは人にも襲いかかっているようで、多くの人が病院へ搬送されました」
原因はおそらく、花を持っていたからというのが最大の理由だと推測されている。特に今日は『母の日』であり、プレゼントとして生花をもらった女性や生花店の店員などの被害が多く、現在はミツバチが出没した地域に外出を控えるよう指示を出したと静香は告げた。
「問題は、今回の事件が愚神か従魔による事件だということです。ミツバチの襲撃を受けた花や人々には、ライヴスを奪われた痕跡が見られました。人的被害において生死に関わる症状や死亡例こそありませんが、多くの人が衰弱しているようです」
次いで静香が表示したのは、被害者の写真。全身に赤い発疹がいくつも浮かぶも、毒針の使用は確認されていないという記述が資料にあった。ライヴス枯渇以外にアナフィラキシーショックも懸念されたが、ひとまず死者はまだいないらしい。
「調査の結果、人々を襲ったミツバチの大群は1つの巣へ蜜とライヴスを集中させているようです。そこにいる巨大な女王蜂への献上品にするつもりなのでしょう」
最後に表示されたのは、大まかな被害範囲を赤い円で示した地図と、その中心部にある植物園の航空写真、それと施設内部の詳細な地図。
「皆さんには、事件の元凶である女王蜂と巣の排除をお願いします。町の警備はすでに他のエージェントに依頼していますので、敵の殲滅にのみ集中してください。個体としての力はそれほど強くないようですが、囲まれると危険ですので注意が必要です」
その後、偵察結果から判明した敵の推定能力や戦力について簡単に説明した後、静香はエージェントたちを見回した。
「女王蜂の命令か働き蜂の独断かは解りかねますが、いくら『母の日』とはいえこれほどはた迷惑な行為を見過ごすわけにはいきません。純粋に母親への感謝を示そうとする人々の想いを踏みにじった蜂の母子(おやこ)に、私たちも相応の返礼をしてあげましょう」
静香の言葉を合図に、エージェントたちは一斉に立ち上がった。
解説
●目標
ミツバチ従魔の殲滅
●登場
女王蜂×1…デクリオ級従魔。全長2m弱もある巨大な蜂。羽はついているが巨体故に飛行能力や速度は低い。また、巨体故に巣の中へも入れないため、巣を形成した樹木の根本で外敵を待ち構える。働き蜂を統率し、遠方でも届く羽音で指示を出す。
能力…攻撃・防御↑↑、生命力↑、回避・移動・イニシアチブ↓
スキル
・羽音…射程1~15、範囲2、範囲魔法、高速で羽を動かし生じる羽音で攻撃、特殊抵抗判定勝利→衝撃BS
・毒針…射程1~2、単体物理、突撃とともに毒針を突き刺しライヴスを乱す、命中→封印BS
・蜜団子…射程0、自身対象、回数×5、働き蜂が集めた蜜とライヴスで形成した団子、発動→生命力20回復
働き蜂×5~20…ミーレス級従魔。普通のミツバチと同じサイズだが、1sq内に大量に集まっている蜂の集合体。常に群れで行動し、巣の周辺に配備されている他、花の蜜やライヴスを求め出払っている蜂も多い。
能力…回避・移動・イニシアチブ↑↑、生命力↓、攻撃・防御↓↓
スキル
・毒針…上記に準ずる(ただし使用後、攻撃・防御-10)
・蜂球…射程1~5、単体物理、対象の全身に纏わりライヴスを奪う、命中→減退BS(1D6ターン後、対象から離散しBS回復)
●状況
都内某所の自然植物園。施設中心部にある数本の樹木内部に巣を形成し、女王蜂が巣を守るように鎮座し、周辺を護衛の働き蜂で固める。巣の周辺に人工通路はなく、植樹された木々が点在して地面は土。施設内の植物はほぼ健在だが、花のみが枯れ果てている。
作戦開始予定は夕方17:00。天気は晴れだが、時間経過で夕闇が濃くなる。施設内の従業員や客はすでに避難済みで、負傷者はなし。女王蜂の護衛に5体、施設内の警備に5体、施設外のライヴス収集に10体の働き蜂が展開。町の警備班は人的被害の抑制に尽力し、積極的な討伐はしない。
マスターより
せっかくの『母の日』なので、日頃の感謝を込めて母親(女王蜂)をボコりに行きましょう。たまには変わった感謝の表現があってもいいと思います。大丈夫、愛があれば問題ありません。
参加PCたちには女王蜂と巣への直接攻撃部隊として現場に向かってもらいますが、作戦時点で働き蜂は広域に展開しています。各個撃破は比較的簡単でしょうが、全滅させるには時間がかかるでしょう。
また、作戦は夕方から始まるので、討伐に時間がかかると夜闇の中で戦闘をする可能性もあります。不安な方は光源などを準備しておくといいかもしれません。
リプレイ公開中 納品日時 2017/05/29 20:44
参加者
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少女に笑顔とカーネーションを
最終発言2017/05/21 00:05:53 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2017/05/20 05:01:16