本部

戦闘

長柄武器の脅威

宇山たかし

形態
ショート
難易度
普通
参加費
1,000
参加人数
能力者
8人 / 4~8人
英雄
0人 / 0~0人
報酬
普通
相談期間
5日
締切
2017/02/12 19:00
完成予定
2017/02/21 19:00

掲示板

オープニング

●長柄は剣よりも強し
 まだ生徒もほとんど登校していない早朝の学校、その敷地の端にある武道場を目指して剣道着を着た数名の男子生徒と顧問の教師が歩いていた。
「いいか、大会まであと十日だ! 気合い入れてけよ! お前ら!」
「はいっ!! 先生!」
「今年こそは絶対に全国大会に出るからな!」 
 彼らの所属する剣道部は県内では中堅上位の実力といったところで、大会では毎回あと一歩というところで全国行きを逃していた。その『あと一歩』を超えるために少年たちは朝一から練習をしようと武道場に来ていたのだ。
「準備体操をしたら最初は素振りな!」
「オオ!!」
 歩きながら主将と思しき少年が指示を出すと、周りの少年たちもそれに答える。大声の返事からは彼らの士気の高さがうかがえる。
 しかし、武道場の扉を開けると──、
「なんだ、あれ? 鎧……?」
 生徒の一人が困惑の声を漏らした。
 武道場の中には鎧を着こんだ三体の人型が座り込んでいた。
 一体は、手に長槍を持つ純和風の鎧武者。
 一体は、ハルバードを床に置いた鋼鉄の鎧騎士。
 一体は、矛を肩に担いだ、三国志にでも出てきそうな中華風鎧武将。
 鎧兵たちは少年たちの存在に気が付くと腰を上げ、各々の武器を構えた。
「逃げろッ!! 従魔だ!!」
 顧問の教師が叫び、素早く生徒たちの前に出る。彼はリンカーだったようで幻想蝶の中にいた英雄とリンクし、AGWの日本刀を取り出して上段に構えた。
 その間に生徒たちは校舎の方に向かって駆けだす。いくら剣道の腕を磨いていたところで一般人に従魔は倒せない。懸命な判断だ。
 残った教師を見て鎧騎士と鎧武将は下がる。相手が一人ならこちらも一人で十分、鎧兵たちはそう考えたのだろう。ゆっくりと鎧武者は教師に近づいてきて、
「キエエエエエエエエエェェェェェッッ!!」
 機先を制するように教師は前進し、そのまま刀を振り下ろす──!!
 先手必勝の奇襲。
 がしかし、日本刀が鎧を断つことはなかった。
(え…………? 遠……っ)
 刃が身にとどく前に、一瞬で鎧武者は後ろに飛び退り、日本刀の間合いの一歩外まで回避してみせたのだ。
 刀の間合いの一歩外、そこはまだ長槍の間合いで。
「ウオオォォン!」
 雄叫びと共に放たれた鎧武者の突きが教師の体を貫き、血の華が散った。

●討伐対象、三領の鎧
「『剣術三倍段』という言葉があります」
 夕日が射し込む会議室で、H.O.P.E.職員はエージェントたちにそう言った。
「『剣で槍を相手にするには三倍の技量が必要』という意味なのですが……、まあ、あくまで目安ですし、異論のある方もいるでしょう。ですがそれでも、リーチが長い武器の厄介さは誰もが認めるところなのではないでしょうか?」
 資料をめくりながら職員は語る。
「今回皆さんに討伐していただく従魔三体は、それぞれ長槍、ハルバード、矛と、長柄武器を得物にする鎧兵です。高校の武道場に籠城しており、今朝、練習に来た剣道部員たちを襲っています」
 エージェントの一人が、剣道部員たちを心配して声をあげた。職員はそれに対して冷静に答える。
「生徒たちは、リンカーである顧問の先生が従魔を足止めをしたおかげで無事に逃げることができ、先生の方も重傷を負ったものの、生還を果たしました。……どうやら従魔はテリトリーとした武道場から出ることを嫌い、外に逃げれば深追いはしてこないようです」
 犠牲者がまだ出ていないことを聞いて、エージェントたちは胸をなでおろす。
 学校自体は現在、封鎖されて一般人が近づけないようになっている。
「戦闘を行った先生からの情報によると、三体は全てデクリオ級で能力は平均的なレベルだそうです。ただ、瞬発力と筋力だけは優れており、後ろに飛んで敵の間合いから外れて、そこからリーチが売りの長柄武器で一方的に攻撃する戦法をとってきます」
 室内での戦闘になるので後ろに下がるのには限界があるだろうが、無策で突っ込めば壁際に追い込むまでに大きくダメージを負ってしまうだろう。 
 後ろに退けないように囲む、長物よりさらに射程の長い攻撃手段で攻める、突撃するならば敵の攻撃に耐えられる準備をするなど、なんらかの対策が必要だ。
「幸いなことに、敵は全員、武器の扱いはあまり上手くないようです。パワーを活かして長い武器を振るい、スピードで有利な間合いを作る。武の技量と言うよりは、人外の身体能力に依存したやり方と言って良いでしょう」
 あるいは、そこにつけ入る隙があるかもしれない。間合いさえ制することができれば倒すのはそこまで難しくないだろう。
「厄介な敵ではありますが、できる限り早期の討伐が望まれます。十日後には剣道部の大会があるようで、先生は重傷を負っていても生徒たちが早く練習を再開できるようにと願っていました」
 どうか、従魔を倒して剣道場を解放してあげてください、職員はエージェントたちに頭を下げた。

解説

■成功条件
従魔三体の撃破

■敵情報
鎧兵×3
鎧(正確には鎧を着ている展示用の人型)に憑依して、どこかからやって来たデクリオ級従魔。
全員長柄武器を持ち、後ろに下がりつつリーチを活かして攻撃してくる。
後ろに真っ直ぐ下がる場合のみ、移動力を無視して任意のスクエア分移動できる。
攻撃は二種類。
・突き:素早く前進し突きを放ち、素早く元の場所に戻る(単体・直線6)
・払い:周囲を薙ぎ払う(無差別・範囲3)

個別情報は以下の通り。
・鎧武者
日本の甲冑を着て、長槍を持っている
三体の中では平均的なスペック

・鎧騎士
西洋の鎧を纏い、ハルバードを扱う
他の鎧兵より頑丈で、仲間を狙う敵の前に立ちはだかることも

・鎧武将
三国志時代の鎧を身に着け、矛を武器とする
特に瞬発力に長けている

■戦闘場所
広々とした武道場(縦18×横9スクエア)、時刻は夕方。
プレイングに特に記述がない場合、手前の入り口から入ることになる。
奥には倉庫があってそこの窓からも室内に入れるが、後ろを取られたくない鎧兵たちが備品で窓を塞いでいるので、侵入にはそれらをどける手間がかかる。その過程で音も響いてしまうので警戒されてしまう可能性も大きい。
壁はリンカーが破壊目的で攻撃すれば穴を開けられる強度だが、剣道部が練習に使うので全壊させるのは望ましくない。

マスターより

 はじめまして、新しくマスターになりました宇山たかしと申します。
 今回の敵は遠くからツクツクしてくる、いやらしい従魔です。
 リーチの長い武器というのは厄介ですよね。現実でも、学生時代、ほうきやモップの柄で突っついてくるイタズラ者に苦戦した経験のある方もいるのではないでしょうか?
 とはいえ、リンカーならば対処の手段はいくらでもあるはず。
 自由な策で長柄武器の脅威を打ち払ってください。

 駆け出しの未熟な身ではありますが誠心誠意、皆様の活躍を描写させていただきます。
 よろしくお願いします。

リプレイ公開中 納品日時 2017/02/21 09:33

参加者

  • 苦悩と覚悟に寄り添い前へ
    荒木 拓海aa1049
    人間|28才|男性|防御
  • 我が身仲間の為に『有る』
    齶田 米衛門aa1482
    機械|21才|男性|防御
  • 天秤を司る者
    キース=ロロッカaa3593
    人間|21才|男性|回避
  • 緋色の猿王
    狒村 緋十郎aa3678
    獣人|37才|男性|防御
  • きっと同じものを見て
    桜小路 國光aa4046
    人間|25才|男性|防御
  • 夜を取り戻す太陽黒点
    飛岡 豪aa4056
    人間|28才|男性|命中
  • 喪失を知る『風』
    国塚 深散aa4139
    機械|17才|女性|回避
  • もちを開きし者
    村主 剱aa4896
    機械|18才|男性|生命

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