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コメディ

特殊AGW運用試験 ~正月ver.~

一 一

形態
ショート
難易度
やや易しい
参加費
1,000
参加人数
能力者
11人 / 4~12人
英雄
8人 / 0~12人
報酬
少なめ
相談期間
5日
締切
2017/01/11 22:00
完成予定
2017/01/20 22:00

掲示板

オープニング

●進捗状況
「では、報告を聞こう」
 書類や書籍がいくつもの山を成している部屋で、サングラスの厳つい男性ーー『特殊状況下を想定した特化型AGW開発部(略称・特開部)』の主任がデスクにひじをついて口元を隠しつつ、口を開いた。彼の視線の先には、くたびれた白衣を着た男女が1組、資料らしき紙束を手に持ち直立している。
「はい、主任。新たに着手した『特殊状況下を想定した特化型AGW』の開発ですが、先日やっと性能テストをクリアし、プロトタイプが完成しました。こちらがその資料です」
 男女が差し出す資料を受け取り、主任は細かい文字群へ視線を落とす。その際、机の脇にあった書類の山脈が、いくつか盛大な音を立てて崩れ落ちたが、誰も気にした様子はない。
「……今回は武器型AGWだったが、出力の方は問題なさそうだな」
「はい。職員の実験でも想定以上の結果を引き出すことが出来ました。ただ、やはり武器型AGWということもあり、実戦経験の乏しい職員では運用試験までが関の山。戦闘状況における有用性など、戦場投入に必要な実戦データがまだ取れていません」
「また、出力の面では問題がないのですが、少々制御の面で不安が残っています。これが職員のAGW操作技術の拙さが原因か、それともプロトタイプそのものに問題があるのか、いまだ判断しかねています。開発部としては、エージェントの技量で制御可能な範囲だと想定していますが、こちらもデータ不足ですね」
 室内にいる3人の声音は、やっぱりあまり明るくない。
 昨年の夏、水着型と浴衣型のAGW開発と運用試験を行った『特開部』。その後、上層部から「真面目に仕事しろ!!」としこたま怒られ、次に着手したのが武器型AGWの開発らしい。
 報告する部下の職員たちは、声音から運用試験を行った職員の技量に問題があるように思っているようだ。それはそうだろう。ふざけているように見えて、彼らはいつでも真剣にAGW開発に臨んでいる。
 遊びじゃないのだ。
 困ったことに。
「上層部に新武装としてデータを提出するには、少々不安が残るな。いくら出力が理論値を叩き出しても、実戦で使えなければ意味がない。威力と操作性を両立させなければ、武器としては欠陥品だからな」
 資料を読み終えると、主任は至極真面目に持論を述べると、指で机をトントン叩く。
 言ってることは正論っぽいけど、前回の例があるためなんか信用ならない。
 今度はどんな問題作を作ったのだろうか?
「しかし、ここまで開発を進めてきたAGWです。何とか量産に持ち込みたいという思いは、『特開部』の総意です」
「もしかしたら、今からでも有用なデータを収集し、上層部へ示すことが出来ればゴーサインをいただけるかもしれません」
 すると男女2人は、交互にそう口にした。
 いやな予感が膨らんでいく。
「……ならば、外からの協力を依頼しよう」
 部下の思いを受け取り、主任は資料を近くにあった紙の山に乗せ、立ち上がった。
「準備に移るぞ」
『はいっ!』
 威勢のいい返事を残し、主任たちは雑多な書類だらけの部屋を後にした。
 同時に、さっきまで読まれていた資料が、扉が閉まると同時に山ごと崩れ落ちた。
 ……あれ、デジャヴ?

●モニター募集、再び!
 東京海上支部の廊下で、男女2人の職員がなにやら作業をしていた。
「……で、グロリア社の『特開部』が、また、新型AGWのデータ集めに必要なモニターを募集した、ってわけか」
「『また』ってことを強調しないでよ。私だって喜んでやってるわけじゃないんだからね? しかも、今回は武器型AGWっていう話だから、不安しかないし」
「武器!? ずっと言いたかったけど、グロリア社はアイツらに好き勝手やらせすぎだろ! 今回は何を持ってきたんだ!?」
「『凧』と『独楽』と『羽子板』だって」
「やりやがった! アイツらまたやりやがった!!」
「彼ら曰く、『1年の始まりという誰もが油断する環境において、正月気分を味わいつつ護衛に携わる特殊状況下で行われる任務を想定した、AGWの効果的運用』を目指しているそうよ」
「そんなピンポイントな状況あるわけねぇだろ! っつか任務中に正月気分味わってんじゃねぇよ! 護衛任務ならなおさら仕事に集中しろ! 後、本来アイツらが考えるべき『ゾーンルール下の特殊状況』はどこいった!?」
「私に聞かないでよ。何でも、護衛任務だからこそ日常風景にとけ込みつつ、敵を油断させて先手を打つ、奇襲に特化したAGWだ! って言ってたわね。ついでに、常時緊張感が続く護衛任務の息抜きにも最適だとか?」
「今時凧揚げや独楽回しや羽子板で遊んでる奴なんて明らかに少数派だろ! 逆に浮きまくるわ! そもそも息抜きなんかしてたらマジで気が緩むだろ!? 敵を油断させたいのか、使用者を油断させたいのか、どっちなんだよ!?」
「……う~ん、一応彼らの主張は全部聞いてみたけど、全部冗談じゃなくて本気で考えているようだったわよ? ベースについても、凧や独楽や羽子板に異論は出なかったらしいし」
「アイツらの正月イメージどうなってんだ!? 何十年前の話だちょっとは現代に目を向けろよ引きこもりども!!」
「彼らが優秀なのは間違いないけど、世間ズレが年々激しくなっているみたいね。今回のAGW開発も、グロリア社の中でも最低レベルの予算しかもらってないのに、3つも新型を作っちゃうくらいだし。他の部署がやったら、1つ目の初期で開発中止になるレベルの開発費しかないそうよ」
「頭の使い方間違ってんだろ!? そもそもまともなAGW作ってりゃ、開発費を削られることも節約する必要もねぇだろうが!! どんなやりくりしたらそんな資金力で3つも新型AGWが作れるんだ!? バカじゃねぇの!?」
「天才とバカは紙一重、ってやつじゃない? ほら、まだいっぱいあるんだから、さっさと次に行きましょう」
 前回同様、突っ込みで疲労気味な男性職員と、冷静な女性職員が去った後。
 壁には依頼者である『特開部』が自作した、『モニター募集』の張り紙が残されていた。
 ……あ、主任が餅つきしてるイラストつきだ。

解説

●登場
 グロリア社の『特殊状況下を想定した特化型AGW開発部(略称『特開部』)』の主任及び職員。全員開発プロジェクトに携わっている技術者で優秀だが、基本的に研究・開発に没頭しており時勢に疎く、頭のネジが外れている。

●状況
 場所はH.O.P.E.東京海上支部の屋外演習場。集合時間はAM9:00。雑草はある程度除去され、足場の不便はない。当日は強い寒波が日本上空に居座っており、天気はいいが寒さが厳しく風が強い。なぜかもち米と臼と杵と各種調味料がある。

 各装備の開発リーダーが司会進行。主任が参加者たちへの解説。その他職員の数名が書記、残りがデータ解析を担当。

 事前に資料等は配付されない。使用者以外の能力者・英雄は場外からAGWを品評。

●新型AGW(PL情報)
・凧型
 四角、三角、丸凧など、形やデザインのバリエーションは豊富。性能はどれも同じで、意外と誰が使ってもよく飛ぶ。なお、イラストは全部主任が描かれ、ムカつくくらい上手い。

 搭載機能…硬化・重量増加・姿勢制御スラスター

 職員の所感…風に弱いモーニングスター

・独楽型
 独楽の胴体に紐を巻き付けて回す、いわゆる『投げゴマ』。見た目は普通だが、開発者が普通じゃないので油断できない。地面に接する軸先が鋭くとがっていて曲芸には不向き。

 搭載機能…硬化・重量増加・速度増幅ブースター

 職員の所感…無差別竜巻発生装置

・羽子板型
 通常の競技用で用いられる羽子板や羽根の玉より若干重い。打面には歌舞伎メイクの主任と花魁メイクの主任が1対で描き込まれている。なお、絵はムカつくくらい上手い。

 搭載機能…硬化・重量増加・磁場発生(強)

 職員の所感…制御不能リニアガン

●その他
 装備の選択希望可。試験に全種参加することも可能だが、生じるリスクはすべて自己責任。重体判定は出ないが、高確率でダメージを負う。

マスターより

 本シナリオは『特殊AGW運用試験 ~夏ver.~』の続編? です。わずかな開発費と研究期間を得た彼らが、またやらかした模様です。

 求めているのは実戦データなので、PCたちには模擬戦を行ってもらうことになります。PL情報の所感も参考にして、お暇とお覚悟が決まり、お餅が食べたい方はどうぞ。あんこ、砂糖醤油、きなこ、いろいろ取りそろえております。

 一応念を押しますが、彼らは全くふざけていません。至って真剣です。ネジが外れて大真面目なのです。製品化するかは未定ですが、今後の研究・開発のため、協力してあげてください。

リプレイ公開中 納品日時 2017/01/19 20:16

参加者

  • 『赤斑紋』を宿す君の隣で
    木霊・C・リュカaa0068
    人間|31才|男性|攻撃
  • 仄かに咲く『桂花』
    オリヴィエ・オドランaa0068hero001
    英雄|13才|男性|ジャ
  • 『硝子の羽』を持つ貴方と
    紫 征四郎aa0076
    人間|10才|女性|攻撃
  • 全てを最期まで見つめる銀
    ユエリャン・李aa0076hero002
    英雄|28才|?|シャド
  • 太公望
    御神 恭也aa0127
    人間|19才|男性|攻撃
  • 非リアの神様
    伊邪那美aa0127hero001
    英雄|8才|女性|ドレ
  • 革めゆく少女
    御童 紗希aa0339
    人間|16才|女性|命中
  • アサルト
    カイ アルブレヒツベルガーaa0339hero001
    英雄|35才|男性|ドレ
  • 来世でも誓う“愛”
    麻生 遊夜aa0452
    機械|34才|男性|命中
  • 来世でも誓う“愛”
    ユフォアリーヤaa0452hero001
    英雄|18才|女性|ジャ
  • 果てなき欲望
    カグヤ・アトラクアaa0535
    機械|24才|女性|生命
  • おうちかえる
    クー・ナンナaa0535hero001
    英雄|12才|男性|バト
  • エージェント
    アリスaa4502
    人間|14才|女性|回避



  • 妙策の兵
    望月 飯綱aa4705
    人間|10才|男性|命中
  • 妙策の兵
    綾香aa4705hero002
    英雄|17才|女性|ジャ
  • エージェント
    邵 瑞麗aa4763
    人間|22才|女性|生命



  • 片翼の不良
    瑠璃宮 明華aa4795
    獣人|21才|女性|攻撃
  • 写真部『マドンナ』
    カルラaa4795hero001
    英雄|26才|女性|シャド
  • エージェント
    ペーマaa4874
    人間|16才|女性|命中



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