本部
令嬢のワガママにつきあえ!
- 形態
- ショート
- 難易度
- やや易しい
- 参加費
- 1,000
- 参加人数
-
- 能力者
- 8人 / 4~8人
- 英雄
- 0人 / 0~0人
- 報酬
- 多め
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2015/10/07 07:30
- 完成予定
- 2015/10/16 07:30
掲示板
-
作戦相談
最終発言2015/10/06 23:43:35 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2015/10/03 01:28:04
オープニング
●ワガママ
「いいこと、この私に能力者の活動を視察させなさい! それが今回の依頼」
「……はあ」
H.O.P.E受付に対し、無い胸を張って高らかに言い放ったのはウェーブがかった茶髪の幼い少女。
彼女の名は貴宮茜。某巨大企業グループの御令嬢だ。
「し、しかしですね。そんな理由で貴重な能力者を動かすわけには……」
彼女の対応をしながら、事務員は頭を悩ませていた。
結局この子が言いたいのは『能力者に会いたい』それだけだ。こんなワガママを通すことはできない。
やれやれ、世間知らずの御令嬢ってわけか。面倒だ。そんな心中のぼやきはおくびにも出さず、事務員は応対用のスマイルを顔に貼り付ける。
「申し訳ありませんが、能力者の数は限られています。しっかりした理由もないのに、むやみやたらに動かすわけにはいかないのです」
「……理由ならあるわ」
事務員は驚いた。彼女の目に、先ほどとは全く違う真剣な光が宿っていたからだ。
「私は貴宮茜。私は将来、グループを率いていく立場にある。その為には多くのことを身に付ける必要があるわ。今は経済を学び、社会の仕組みを覚えている」
すっげー自信。彼女に聞こえない程度の小声で事務員はそう呟いた。
「でもね、そんな私も能力者についてはあまり知らないの」
なぜだろう。
事務員の目には、先ほどまで高慢だった彼女が、急に小さな小さな存在に見えた。
「これってとても怖いことじゃない? 将来社会を動かす人間が、その社会の中で重要な役割を担う能力者のことをまともに理解できていないなんて」
「で、ですが能力者についての情報はたくさんあるじゃないですか。ニュースにも毎日出てるし、特集も組まれている」
「そうね。確かに能力者の認知度は高いし、かなり身近な存在にもなってきているわ。でも私たち実際には何も知らないのよ、能力者のこと。英雄のことだって、ライブスのことだってそう。原理を知ったところで結局は何も変わらない。所詮本の知識よ。――みんな分かった気になっているだけ。本物を見ないことには何も始まらない」
徐々に事務員は彼女の話に真剣に耳を傾けるようになった。
「不運なことにね、私は英雄にまだ会ったことがないの。まだ私は十一歳だけど、時代情勢を考慮すればむしろ遅すぎる。能力者という新しい要素が増えた今、それを知らないということはトップに立つ人間としては大きな大きなディスアドバンテージなのよ。致命的と言ってもいい」
……この子は本当に十一歳だろうか。
次第次第に彼女の雰囲気に呑まれていくのは自覚できたが、事務員にそれを止める手立てはなかった。
「時代は変わった。社会を理解する上で、もはや能力者の存在を無視することはできない。そして」
そこまで言って、茜は人差し指を高く掲げた。事務員の目線もそれを追う。
「私は今ここにいる。この依頼を通す為にね。その成否を握るのは――そう、貴方よ」
ビシ、と茜は事務員を指さした。指された事務員はドギマギしながら答える。
「じ、事情はわかりましたが、しかし上が何と言うか……」
「くどい!」
茜は一喝した。
「何を恐れるの! この依頼はもはや日本の将来を左右すると言っても過言ではないわ! H.O.P.E.上層部の判断? そんな些事に構う暇があると思って!? 私には能力者の姿を間近で見る義務がある!」
「そ、そうでした! 申し訳ございません!」
いつの間にか敬語になっていた。
「そういえば貴方、名前は何というの」
「田中と申します!」
「よし、いいわね田中。名目は視察に伴う要人警護。人数はそうね、4人から8人でどうかしら。視察ルートとかはそちらにお任せするわ。できればヴィランとか従魔とか愚神とかと戦ってるところが見たいな。きっとテレビよりも格好い――じゃない、今後の参考になるでしょうね」
「もし突っぱねられたらどうしましょう? 私も減給されるかも」
「貴方も臆病ね。じゃあ、もしものときは――」
そこで茜は初めて、優しい微笑みを事務員に向けた。
「そのときは私が全ての責任を負うわ。うちのグループに来たっていい。だから遠慮なくぶつかってきなさい」
「はい! 必ずこの依頼、通してみせます!」
H.O.P.E本部を後にした茜は不敵な笑みを浮かべた。
「あー、ちょろい」
●茶番?
「おい、本当にこれでいいのか?」
「まあ多少ずさんだが、仕方ないだろう」
街角に佇む男二人と――フォフォフォと笑うセミタン星人が一匹。
「段取りを確認するぞ。今回の茜お嬢様の視察は能力者について知るためのものだ。だがお嬢様の近くで本物の戦闘が起きるのは危険すぎる」
「だから着ぐるみってわけか」
「そうだ。特製着ぐるみで従魔のフリをした俺たち三人が、視察中のお嬢様たちに『偶然』襲いかかる。警護してる能力者たちに適度にやっつけられたら退散。ミッションコンプリート」
「でも危険なんじゃないか? 下手すりゃ死ぬかも」
「能力者にも話が行ってるから、向こうもちゃんと手加減してくれるだろうさ」
「なるほど」
うんうん、とうなずく男二人と――やっぱりセミタン星人。
「しかしお前暑くないのか? いい加減着ぐるみ脱げよ」
ふるふると首を横に振るセミタン星人。
彼が着ぐるみでないことは、まだ誰も知らない。
解説
●目的
令嬢のワガママに付き合って、能力者の格好いい姿や責任の重さを伝える。
怪我人を出さないことも成功条件。
●事前の打ち合わせ内容
茜とともに適当に街を見て回ったのち、あらかじめ決められた地点にて着ぐるみ×3と戦闘。
※中身は人間なので、本気の攻撃は行わないでください。
●場所
とある町の小さな通り。
車二台がなんとか擦れ違える程度の道幅。
茜の側近達の根回しにより、一般人などが立ち入らないようそれとなく封鎖されている。
時間帯は日中。
●登場人物
・貴宮茜
某巨大企業グループの御令嬢。ワガママ盛りの十一歳。頭はキレるのだが、その悪用法も知っているのが困り物。
「能力者の格好いいところを間近で見たい」というだけの理由でHOPE本部に赴き大演説をぶちかます。
・茜の側近×2
茜を満足させる為に一芝居を打つ。一般人なので従魔に対しては勝てない。
本来この作戦は二人だけで行う予定だったが、ふらりと現れた従魔を追加人員と勘違いして打ち合わせしている。
●敵情報
某特撮番組の宇宙怪人のような姿をしたミーレス級従魔。戦闘力はあまり高くない。
着ぐるみのフリをすることで側近たちの目を欺いている。
混乱に乗じて茜をさらうのが目的。茜たちが到着するまでは側近たちと共に大人しく待機している。
ガードが堅いなどの理由で茜をさらえなかった場合、攻撃目標は側近の男×2に移る。
※見た目だけでは着ぐるみを着た側近の男と区別がつかない。
・ハサミ振り回し
両腕のハサミを振り回す。けっこう危ない。
・怪光線
目から直線状に怪しいビームを放つ。バッドステータス『洗脳』を付与。
マスターより
ややコメディ要素の入った戦闘シナリオです。
従魔そのものに苦戦することはないかと思われますが、茜に加えて側近たちの安全も守らないと評価が下がってしまいます。
そのくせ初見では見分けがつかないのが厄介ですね。
色々と無茶を通した茜ですが、その動機は能力者への純粋な憧れ。悪気はないのです。
ぜひワガママお嬢様にカッコイイところを見せてやってください!
お説教してもかまいません。
リプレイ公開中 納品日時 2015/10/15 18:58
参加者
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作戦相談
最終発言2015/10/06 23:43:35 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2015/10/03 01:28:04