本部
エメラルド、好きって言って!
- 形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- 参加費
- 1,000
- 参加人数
-
- 能力者
- 6人 / 4~6人
- 英雄
- 6人 / 0~6人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2016/09/21 19:00
- 完成予定
- 2016/10/03 19:00
このシナリオは3日間納期が延長されています。
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依頼前の挨拶スレッド
最終発言2016/09/18 19:28:50 -
輝石の煌きを【相談宅】
最終発言2016/09/21 06:48:43
オープニング
死に至る甘い甘い毒の名を知っているか。
●恋するアレキサンドライト
「ねえアレク、聞いて! わたし、××××ができたの!」
そう言って幸せそうに笑う貴女が、心の底から、憎らしかった。
『ねぇ、好きって言って?』
腕に抱いた大切な大切なひとの頬をゆるりと撫でる。
『エミィ、好きって言って?』
蒼白な面差し。涙の浮いた眦。くしゃくしゃになった髪の毛は艶がなく、救い上げた指先は氷のように冷たい。
『エミィ、エミィ、ぼくのエメラルド。君がいれば、ぼくはなんにも要らないのに』
こぼれ落ちる言葉は、薄らいでしまった自分の記憶にあるより随分と甲高くか細い。
ああ、愛しのエメラルド。もしもぼくが『ぼく』のままでいたら、貴女はぼくを選んでくれたのかな。
『ねぇ、エミィ』
蒼白な頬に顔を寄せて、ただ祈る。
『ぼくのこと、好きって言って?』
それが叶わぬ願いだと知っているのに。
●エメラルドを愛してる
「お願いします、オレの恋人と親友を、助けて下さい」
火急の依頼がある、との知らせを受け集まったエージェント達に向かって、その男は深々と頭を下げた。
「エーメを、そして、彼女の英雄を、どうか、どうか、助けてください」
今にも額づかんばかりに頭を下げる男は、切々と語った。
男には能力者の恋人がいること。
恋人の名はエメラルド、契約英雄の名はアレキサンドライトということ。
アレキサンドライトは現在女性の姿をしているが、『元』は男だったこと。
アレキサンドライトはエメラルドに懸想していたこと。
エメラルドは、女性の姿をしているアレキサンドライトの言葉を本気にしていなかったこと。
男はエメラルドの恋人だが、アレキサンドライトが好きなこと。
エメラルドのお腹には、男とエメラルドの子供がいること。
「オレが、こんなことをお願いする資格はないと、わかってはいるのです」
ついに這いつくばるように土下座の体勢をとった男は、震える声で言葉を紡ぐ。
「アレキサンドライトが、アレクが元々男だったことは、アレク自身から相談を受けた時から知っていました。アレクがエメラルドからの愛情を切望していたことも知っていました。あいつは、あいつが! 今の自分を受け入れられてないと知っていて! エーメが好きだと知っていて!! オレは! あいつの側にいるために! エーメを利用した!!」
それは、聞く者の居ない懺悔の叫びだった。
震えながら額づく男は、ただただ哀れで、ただただ脆弱だ。
「オレは、あいつを裏切った。アレキサンドライトはオレを親友だと言ってくれたのに!!」
後悔に濡れた悲痛な叫びが男の喉を突き破る。
涙はなかった。けれど、声なき慟哭が、男の全身から発せられていて。
「エーメのことは、はじめはただの打算だった。けど、子供ができたって笑ったエーメを、何者からも守ろうと思ったことも事実なんだ!」
それは、恋と言うには穏やかな感情だったけれど。
それでも確かに、愛情には違いなくて。
「お願いします、お願いします! オレは、あいつを、あいつらを、失いたくないんだ!!」
それは、血を吐くような、切望だった。
都合のいい幻想を抱いていた男の、どうしようもない慟哭だった。
●七色の宝石
そこは、とてもうつくしい場所だった。
白いレースのカーテンは風をはらんで優しく揺蕩い、グリーンを基調とした家具はフェミニンながら落ち着いた空間を演出している。
ガラステーブルの上には紅茶のカップが2組置いてあり、ローズブラウンの液体が並々と注がれていて。
けれど一切手を付けられた形跡もなく、静かに冷めて凝っている。
『かえる場所がないと泣いていたぼくに、居場所をくれたのがエミィだったんだ』
しかして其処に英雄は居た。
淡い萌黄色のカバーを掛けたソファーにゆるく腰掛け、腕に眠る相棒を抱いて。
それは酷く幻想的な光景だった。
うつくしい少女が、うら若き乙女を胸に抱き、愛おしげに微笑みかける。
なにも知らぬものが見れば、それはとてもうつくしい空間だった。
『いまのあなたがだいすきよって、抱きしめてくれたのがエミィだったんだ』
アレキサンドライトはただ静かにエメラルドを愛でている。
右手で彼女の頬を撫で、左手に持った繊細な細工のナイフを弄びながら。
『愛してるよ、エメラルド。ぼくの宝石、ゆいいつのひと』
愛しい人に口付ける英雄は、今にも消えそうなほど儚く透けていた。
『ぼくがオンナノコの見た目でも、オトコだと思ってたら、アレクは男の子なんだよって、エミィは言ってくれたんだ。だったら、アイツじゃなくて、ぼくでも、よかったんだよね? ねぇ、エメラルド』
契約を失った英雄は、きっと消えていなくなるその時まで、腕に抱いた愛しい人を離さないだろう。
たとえそれで自分が消えても。
たとえそれで、愛しい人が儚くなってしまっても。
『ねぇ、人間って儚いんだね。たった数日、眠っているだけなのに、今にも消えてしまいそう』
たとえ、何をしても愛しい人が手に入らないのだとわかっていても。
『だから、ぼくの邪魔をしないでくれない?』
かけつけたエージェントを見つめる瞳は、ただただ狂気に濡れていた。
解説
●成功条件
一般人であるエメラルド嬢の保護
●失敗条件
エメラルド、又は依頼人の死亡
●情報
・エメラルドとアレキサンドライトは能力者と契約英雄である。
・エメラルドと依頼人は民間人である。
・アレキサンドライトは現在『女性の姿をしている』が、『意識は男性』である。
・現在、何らかの理由で2人の誓約は切れており、英雄アレキサンドライトは消失寸前にある。
・アレキサンドライトはエメラルドと共に消失したい。
・エメラルドは現在極度の衰弱状態にあり、即刻の治療が求められる状態にある。
・エメラルドは現在意識を失っており、治療しないかぎり回復の見込みはない。
・アレキサンドライトはよく切れそうなナイフを所持している。
・エメラルドとアレキサンドライトはAGWを所持していない。
・アレキサンドライトは恐慌状態にあり、説得に応じる可能性は極端に低い。
・エメラルドのお腹には依頼人との子供がいる。
・エメラルドのお腹にいる子供が依頼人の子供だとアレキサンドライトは知っている。
・アレキサンドライトはエメラルドと依頼人が付き合っていることを知らなかった。
・エメラルドのお腹にいる子供の安否は不明である。
※WARNING※
このシナリオには『禁句』があります。
英雄アレキサンドライトに対して禁句を発言すると、強制失敗となる可能性があります。
ご注意ください。
【攻略のヒント】
・アレキサンドライトはエメラルドを誰よりも何よりも愛している。
・アレキサンドライトはエメラルドの特別になりたい。
・アレキサンドライトは現在暴走状態にあり、理性は皆無である。
・アレキサンドライトは英雄である。
マスターより
どうもでっす!
慈悲はない、ここが地獄だ。
それでは宜しくお願いします。
リプレイ公開中 納品日時 2016/10/02 16:52
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最終発言2016/09/18 19:28:50 -
輝石の煌きを【相談宅】
最終発言2016/09/21 06:48:43