本部
- 形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
- 1,000
- 参加人数
-
- 能力者
- 10人 / 4~10人
- 英雄
- 8人 / 0~10人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2016/07/20 15:00
- 完成予定
- 2016/07/29 15:00
掲示板
-
相談卓
最終発言2016/07/20 00:34:42 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2016/07/19 15:24:44
オープニング
●砂上の道
「皆さんに、お伝えしなければならないことがあります」
暗い夜道をトラックで揺られながら、エステルとリンカーたちはパソコンの画面に映ったHOPE職員の顔を覗き込む。リンカーたちは、近くの街に戻るためにトラックで砂漠を越えている真っ最中であった。
愚神との戦いで負傷者がでたため、エステルたちは敵の包囲網を密かに抜け出して車を走らせたのであった。戦いで回収した英雄ものせていることもあり、トラックの内部に余計なスペースなどはなかった。
遺跡の近くには町や村はないため、このまま何十分もトラックに揺られていなければならない。目的地は、廃村である。そこには、HOPEが敵に気づかれないように置いた救護班と物資補給班がいるはずなのだ。
「ウィランズが消滅した、と救護班と物資補給班より報告がありました」
パソコンに映る職員がいうに、遺跡近くに待機させていた医療班がヴィランズに襲われたらしい。砂漠の真ん中にいた人間の群を悪党たちは、補給班の人々をすぐに助けを呼べないヤツラと認識しておそったらしい。
「医療班は現在――ヴィランを倒した何者かの攻撃を受けているとのことです」
パソコンの画面が、切り替わる。
おそらくは携帯でとられたらしい画質の悪い映像が、画面に流れた。真っ黒な影は、成人男性のように思われた。素早く動いているらしく、画質の悪い画像では細部までは分からなかったが――次の瞬間にエステルは息を飲んだ。
暗い男は、何もないはずの虚空から剣を取りだしていた。
アルメイヤのものより大きな剣を、男は片手で扱っていた。男は村の家々を破壊していた。その無秩序な攻撃は、まるで男が狂っているかのようであった。
「愚神……なのでしょうか?」
エステルの呟きに、アルメイヤは首を振る。
「おそらく、あいつは私と同じモノだ」
アルメイヤと同じ、もの。
それはすなわち、英雄であるということ。
リンカーたちは、息を飲んだ。召喚された英雄は、邪英化してしまっている。「一体、何が原因で」とエステルは問おうとして、声を失った。
虚空から、男はきらめくナイフを何十と出現させる。そのナイフの雨が落ちてきて、映像が途切れたせいであった。この映像をとっていた人間は、ナイフの雨を浴びて死んだのかもしれない。その可能性を理解した途端、エステルは無意識に口を手にあてていた。
「HOPEは、これをライヴス制御の失敗による一時的な邪英化であると考えています。時間が経てば自然と戻る可能性も高いですが、ライヴスを使い尽くせば消滅します」
その前に撃破し、幻想蝶に固定してください。
そうすれば、英雄の契約者を探すだけの時間を確保することができるはずです。
HOPEの職員は、そう続けた。
●逃亡者の怒り
アルメイヤは、怒っていた。
他者にはなく、自分自身に怒っていた。
エステルやリンカーたちと共に見た画像に映し出されていたのは、過去の自分であった。エステルを守るためならば他の全てを壊してしまえ、と考えていた過去の自分であった。他の誰も気がついていなかったが、アルメイヤは気がついていた。
暗い男が虚空から出した、ナイフの群。
あのナイフの群が、空中でわずかに動いた。なにか攻撃してはいけないものに気がついて、無理矢理にでも方向を変えたのだとアルメイヤは感じとったのだ。精密射撃を不得意とするであろう英雄が、そこまでして目標を変えた理由。
あの邪英化した英雄にもいるのである。
自分のとってのエステルのような存在が。
「英雄が召喚される時は……付近に相性の良い能力者がいる可能性が高いと聞きましたけど。あの英雄にもいるのでしょうか?」
エステルの疑問にでえ、アルメイヤは答えることを忘れていた。
●助けをもとめた者
医療班と物資補給班が用意したキャンプは、破滅に近い状態であった。
すでに廃村になった村を利用する形で作られたキャンプは、重体患者の治療のために設置されたものだ。砂漠のなかではヘリも使えず、車での移動も時間がかかる。そんな環境下での大怪我は死につながる。そのために、HOPEが用意させた「もしも」のときのためのキャンプであった。
そんなキャンプに、ヴィランズが現れた。
おそらくは医療品や物資を狙ってのものだろう。非戦闘員が多かったキャンプはあっという間に混乱に陥ったが、そこに英雄が舞い降りた。
だが、英雄は狂っていた。
英雄がなぜ、狂っていたのかは職員達には分からなかった。
「あ……ああ」
キャンプの光景を見て、青年医師――ラシードは茫然としていた。それでも携帯電話を震える両手でどうにか持ち、邪英化した英雄の姿を映していた。これをHOPEに送らなければならない。誰かに、助けを求めなければならない。
「何やってるの! 早く、逃げなさい!!」
「アイシャ……」
立ち止まっていたラシードを看護師のアイシャが叱咤する。
「早く! さっきの家に地下室があるから、そこまで走って!!」
「アイシャ、後ろ!」
ラシードの声に、アイシャははっとした。
空に浮かぶ無数のナイフが、自分たちに降り注ごうとしていた。
――ごぉぉぉぉ!!
風のような音がした。もしかしたら、英雄の男が吠えた声であったのかもしれない。だが、アイシャには判断がつかなかった。
分かることは、たった一つ。
ナイフは自分たちに、当たらなかった。
幸運な事に、ナイフは自分たちではなく近くにいたウィランズの一人に当たったようだった。ウィランズは英雄が現れた当初は逃げようとしたが、彼があまりに必要にウィランズをつけ狙うので戦うことを決めたらしい。
ラシードは、落とした際に壊れた携帯を拾った。もしもデータが無事ならば、助けを呼ぶことができるからだ。
リンカーたちが村にたどり着くまで、あと三十分。
あのウィランズ程度では、邪英化した英雄を止めることなどままならないだろう。
アイシャはそう考えながらも、ラシードの手をとって走っていた。
解説
・邪瑛化した英雄を倒して、医療班および補給班の保護してください。
キャンプ……廃村を利用している。医療品などが散乱しており、酷い状態。夜間のため視界は不明瞭。何十年も前の家々が並び、細い道が続いている。中央にやや広い広場がある。
邪瑛化した英雄……剣を虚空からだして直接攻撃したり、何重と剣を虚空に呼び出して掃射する攻撃をしてくる。自分の身を守るという考えは頭から抜け落ちており、敵を見れば全力でソレに対して攻撃をしてくる。防御や撤退するという行動はとらない。ヴィランズが目の前に現れた際には、攻撃を優先的におこなう。なお、掃射の命中率は悪い。広場に出現する。
ウィランズ……キャンプを襲っていた。五名生き残っており、それぞれ家に隠れている。家に誰か尋ねてくると、銃で攻撃を仕掛けてくる。英雄が倒されるまでヴィランズが残っていると、元村長の家までいき非戦闘要員を人質にとろうとする。
アルメイヤ……エステルと共鳴し、リンカーたちと共に戦う。邪英化した英雄に対して嫌悪感を持っており、必要以上の攻撃をしてしまう。
エステル……アルメイヤを信用し、全権を譲り渡す形で共鳴する。
怪我人……トラックにてエステルたちが運んでいる怪我人。応急手当はしているが、本格的な治療を受けなければ危険な状態である。
以下、PL情報
元村長の家……広場の近くにある、大きな家。地下室があり、非戦闘要員はそこに隠れている。
マスターより
こんにちは、落花生です。
今回の敵は最初から、邪英化しています。
つまり、人の話は聞きません。
リプレイ公開中 納品日時 2016/07/25 12:39
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相談卓
最終発言2016/07/20 00:34:42 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2016/07/19 15:24:44