本部
少年と青い壺
- 形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- オプション
-
- 参加費
- 1,000
- 参加人数
-
- 能力者
- 8人 / 4~8人
- 英雄
- 7人 / 0~8人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2016/06/19 12:00
- 完成予定
- 2016/06/28 12:00
掲示板
-
相談だ!
最終発言2016/06/19 09:41:14 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2016/06/18 09:01:38
オープニング
●
下校の時間を教えるチャイムは既になり終わっていた。そうなれば教室はどこか異空間のような世界に感じる。生徒達が座り指導される場所が、打って変わって生徒達の独壇場となるから。
普段なら青島(あおしま)という男の子も真っすぐ家に帰っていた。友達と話しながら。話題は勿論ゲームの事。あくまでもそれは昨日の話であり、今日は違った。青島は学校に残っていたのだ。
「どう? もう少しでできそう?」
担任の四十代半ばの優しいおばちゃんが、教室で一生懸命な顔をする青島にいった。
「うん、もうあとちょっとだよ! 明後日のコンテストには間に合うよ」
「どれどれ、見せて」
明日は小学生達が作品の完成度を競う粘土のコンテストが開かれる。青島は今、そのコンテストに向けて粘土を手に芸術作品を編み出すために必死だったのだ。
その作品を手に触れずに、担任は見た。青島と同じ目線に腰を低くして。
壺の妖精だった。
傍から見ても、明らかに壺の形をしている。上部に開いた穴、曲線の膨らみとしっかりと円形な美しさ。絵具を塗って、青くなった躯体。妖精だというのは、その壺に顔が描かれているからである。
黒く、点が少し伸びた目、微笑んだ口。そして耳のように、壺の両側には取っ手がついていた。半円形の、長さや形も整った耳だ。
「綺麗な作品……! 頑張ったわね、青島君。こんなに可愛らしくて、綺麗なら優勝できるわよ!」
「うん! 後はね、もうちょっと良くするんだ。もうすることはないと思うんだけど……もうちょっと何かしたくて」
「まとめ、ね? しっかりと見直しなさいね。でも、暗くなる前には帰らなきゃだめだからね」
「わかった」
低く下げた腰を上げた担任は、励ましの言葉を最後に教室を出た。帰る時は職員室に、と言う必要はなかった。頑張っているのだから、余計な口をはさみたくはないのだ。
●
生徒達が帰宅した後の学校、夜更けだ。生徒達は多種多様な夢を見ている時間か、親の言いつけを守らずに目を開けている時間である。どっちが正しいか、なんて知ったこっちゃない。
鍵がかかっているはずの扉が、音を立てて開いた。見回りの警備員は扉を開けていない。職員の誰かが、という事もない。学校関係者ではない、更に言えば学校とは全く縁のない存在が教室の中に忍び込んでいた。
足音、息を消す二足歩行の物体。そいつは、律儀に並んだ机の間を通って教室の一番後ろ側にある、黒板とは真っ向の向きのロッカーに向かった。四角が縦参列、横に多数列と並ぶ凹み。凹みの中には生徒達の私物、主に給食袋や体操服を入れる入れ物が入っていた。
あるものは乱雑に、あるものは整理整頓されて。
二足歩行の存在はその中で、青い壺のあるロッカーを発見した。
「コレは使えますねぇ~。フィッヒヒヒ」
雲間から零れ落ちた月光が青い壺と、ニヤける一つの愚神を照らした。
●
今日届いた依頼は、坂山の正義感を刺激するものだった。リンカーを集め終えて、慎重に言葉を発した。
「H市の学校で、愚神が学校を荒らしていると、さっきその教師から連絡が入ったわ。……まだ被害は少ないし、被害者もいないからいいけれど、皆にはできるだけ、早く解決してほしいの」
坂山の隣に座るノボルには、その言葉がどうして出てきたのかすぐに分かる物だった。彼女は元学校の教師で、子供達とは常に接してきた人物だから、今子供達がどんな様子なのかは簡単に想像がつくのだろう。そして教師たちは怯える子供達を見て、無力さに悔しさを覚えているだろう。
「敵は一体。だけれど暴れまわっているようだから油断しないで。後燃えている校舎もあるみたいだから、その沈静化も任せるわ。できればアフターサービス……壊された物とか、直せる物があれば直してくれると学校も嬉しいはず。えっと、よろしくね」
さすがに学校が任務地となると気合いが違うなと、ノボルの目線は彼女を向いていた。
●
家から出る直前に青島は家でテレビを見ていた。今日は余裕を持って起きられた朝で、百パーセント遅刻をする事はないと確信して、朝食を食べながらテレビを見る事ができたのである。
八時、そろそろ家を出なければならない時刻に、青島の眼にとんでもない現実が飛び込んできた。親の第一声で気づかされたのだった。
「嘘、でしょ……愚神って」
「マ、ママ……!」
朝の教育番組の最中、テロップが上部に表示された。
『H市立H小学校に愚神が出現しました』
青島の母親に見えていたのはその文字だけだった。その文字だけで十分だった。同時に鳴り始めた家の固定電話。受話器の相手が誰なのかという事と、何の用事かという事がすぐに分かった。
「はい、もしもし……。今テロップで――はい、はい」
母親の声が後ろから聞こえる傍ら、青島はもう一つの文字に目と心の停止を促されていた。時も、何もかもが止まればよかった。もしくは夢であればよかったし、ただの誤報でも、もうなんでもよかった。その言葉が事実じゃなければ、なんでもよかったのだ。
『青い壺が攻撃を』
「今日は学校を休みなさい。先生からの電話よ。――聞いてる?」
何も聞きたくなかった。
解説
●目的
学校を徘徊する愚神の排除
●愚神について
ミオルムという女性の姿をした愚神。腰まで伸びる長い髪、キツネのように細い目をしている。
素早く手を振り、爪を飛ばして状態異常攻撃を使い、相手を弱らせてからの猛攻を得意とする。逃げ、隠れも適宜。
本当の能力は別にある。無機物に集めたライヴスを注入し、強力な従魔のように自分の側近にさせる事ができる。今回ミオルムは青い壺を従えて、リンカーや教師、生徒達に危害を加える。
●厄介な壺
開いた穴からは四つの属性攻撃が繰り出される。
炎攻撃は火球の発射と火炎放射。
水属性は水流の射出と泡の爆発による範囲攻撃
風属性はかまいたちの発生と突風。
地属性はミオルムを守る外壁の召喚と石化による自己防衛。
ライヴスを加えた事によって一回り大きくなり、百センチ程の大きさになっている。
攻撃を加えても衝撃で凹むかヒビが入るくらいで、よほど大きな攻撃でない限り崩壊する事はない。
●学校の様子
愚神が発見されたのは七時五十分、音楽室にて一限目に音楽の授業を行う教師が音楽室の確認をしにきたところ、ミオルムが壺を両手に抱えて寛いでいる所を発見。そこからミオルムは好き放題暴れるようになり、リンカーが来る頃には二階にある音楽室は水浸し、三階にある三つの教室が燃え盛っている。ミオルムがどこにいるかは不明だが、陽気に笑いながら暴れているためにすぐに居場所は分かるだろう。
まだ学校にきていない生徒達は自宅待機、登校していた生徒達は全て体育館に避難している。だが教師数名はまだ校舎の中にいる。(ミオルムの注意を惹くため)
●青島という少年
小学三年生の彼は元々創る事が好きで、その中でも粘土から立体的な物を仕上げるのが上手だった。担任の教師からその実力を褒められて、初めてコンクールに応募する事になった。
事件後、皆に迷惑をかけた事により、彼は応募を渋ってしまう。
マスターより
※当MSはアドリヴ成分が多めです。
リンカーの皆様方、日々お疲れ様です。
梅雨入りしました。私は家でこう物語を綴っているからまだいいものの、学生や社会人の皆様は大変な時期です……。電車も混みますから尚更。
ですが子供の頃は雨の日はワクワクしていました。傘に雨が当たるあの音は、なんだか心地よかったな、とオープニングを書いていてしみじみ思っていました。
ところで私はコンクールに応募した事はないのですが、中学の頃にかいた人権作文に表彰をつけてもらいました。とても嬉しかった記憶があります。青島少年にもその嬉しさを味わっていただければ、と思います。
では、よろしくお願いします。
関連NPC
リプレイ公開中 納品日時 2016/06/23 20:01
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相談だ!
最終発言2016/06/19 09:41:14 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2016/06/18 09:01:38