本部
廃墟に潜む影
- 形態
- ショート
- 難易度
- やや難しい
- 参加費
- 1,000
- 参加人数
-
- 能力者
- 8人 / 4~8人
- 英雄
- 8人 / 0~8人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2016/02/02 07:30
- 完成予定
- 2016/02/11 07:30
掲示板
-
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2016/01/29 10:31:31 -
廃墟攻略~。
最終発言2016/02/02 02:18:49
オープニング
●蛮勇の代償
男が女に良い所を見せたいと感じる虚栄心は遥か昔、人間がまだ動物だった頃から延々と持ち続けている欲望である。
そして、未知なるものを知りたいとする好奇心もまた、人の人たる感情として今なお在り続けている。
「ねえ、ちょっと……やっぱり危ないって……」
「大丈夫だよ、そんなにビビるなって」
故に、その二つの要素を両方とも満たす肝試しという遊びは『想像の20年』を経ても廃れることなく人々の間で親しまれてきた。
ここは街の外れの方にある山の麓にぽつんと立つ廃墟。
もともとは何らかのレジャー施設だったのだろう。がらんと何もない様子が広がる内部は、その大きさゆえに逆に寂しさを強調していた。
「一階はゲームセンターと……これは麻雀用の部屋かな?」
まだ日が高いというのに光が届かず薄暗い室内を形態のライトで照らしながら男が前を進む。ジャリジャリと入り込んだ砂が擦れる音が響く。
「うわぁ、何か怖い。ねえ、帰ろうよ」
「おいおい、まだ入り口だぜ。それに、二階のボーリング場にはここが潰れて自殺した支配人の霊が出るって話。ここまできたら見とかないと損だろ?」
「ちょっと、止めてよ!」
如何にもなエピソードが相当効いたらしく、女がかなり強めに男の背中を叩く。だが、男の方はまったく意に介した様子もなく――いや、むしろその反応を見て満足そうに笑って歩みを進めていった。
「お、あったあった。ここだな」
男が目当ての階段を見つけ、上のフロアを覗き込む。
二階のボーリング場には窓が無いのか、階段の上は全くの闇であった。下から照らしても天井までは光が届かず、ただ舞い散る砂埃がきらきらと光るだけだった。
「いやいや、無理無理。絶対、無理だから」
その光景にも臆することなく階段を登ろうとした男の腕を女が慌てて掴む。
「大丈夫だって」
「いや、マジで。これはない」
ただただ首を振る彼女の様子に男は嘆息を吐く。そこそこの付き合いだから分かる。これは本当に駄目な時のトーンである。
「……分かった。ここで待ってろよ。階段からちょっと覗いたら帰るから」
「本当だからね! 変な冗談とかやったらマジで怒るからね!」
「分かった分かった」
若干呆れ気味に呟いて男が階段を登り始める。手に持つライトを頼りに一段一段踏みしめる。
「よっと。ふーん、なかなか広……」
ぐるりと辺りを一周見渡し、視線を施設の奥の方へ向けたところに、それはいた。
「え?」
「何、どうしたの?」
ボーリング場の最奥に黒い影。
一見、ボロ布の塊のように見えたが、目を凝らしてよく見ると、人の形をしていることが分かる。それはゆったりと胡坐をかき、瞑想にふけるように目を瞑ってそこに鎮座していた。
まさか本当に幽霊がいたのかと考えたが、次の瞬間には別の可能性が思い浮かんだ。
幽霊にしてはやけにはっきりしている。
「まさか愚神……」
「え、嘘でしょ」
「いや、やばい。逃げ――」
そこまで言葉にした時点で突然人影の目が見開かれる。それと同時にライトの光を反射して一陣の閃光が闇に走った。
「ぐべっ」
真っすぐに飛来したそれは男の喉に正確に突き刺さり、悲鳴を上げる事すらできずに男が階下に転げ落ちる。
「きゃあああああああ!」
見るも無残な姿となって帰ってきた男を見て、女が狂乱の叫び声をあげ、本能に付き動かされるままに出口へ走る。
二階からダンっと何かを叩く音が聞こえる。それが足音だと気付く余裕もなく女は必死に走った。
「はぁはぁ……!」
女が出口に辿り着くのと愚神が一階に降りてくるのはほぼ同時。ただ、女が幸運だったのは、外の眩しさに愚神が彼女の位置を正確に把握するのが遅れた事と、彼女が男と一緒にバイクでここまで来ていたという事だった。
「お願い、間に合って……!」
入り口のすぐそこに駐輪していたバイクにまたがり、慌ててエンジンをかける。
すぐさま点火したエンジンがバイクにエネルギーを伝え、一気に加速する。
バイクが動き出し入り口から離れるのと、ガラスを突き破って飛んできた白刃が一瞬前まで彼女がいた場所を通り過ぎるのはほぼ同時に起こった出来事であった。
「……」
慌てる様子もなく愚神が外に出てきた時には、すでに女の姿は遥か道の向こうに消えていた。
「逃がしたか。運の良い奴」
日の光の下で愚神がぽつりと独り言ちる。
動き回りやすい軽装鎧に深いフードの付いた黒いローブ被り全体の輪郭をぼやかしている。闇夜に潜む暗殺者が好むスタイルだった。そして、腰には無数のスローイングダガー。先ほど男の命を奪った白刃の正体がこれだ。
「ここを拠点にもう少し力を蓄える予定だったが、そうも行かないようだな。見つかったとあらばすぐに討伐隊が来るか……」
手に構えていたナイフをスッと腰のホルダーに戻す。
「それも面白い。全力で迎撃してやる」
深いフードの奥に隠された中でニヤリと笑いながら愚神はまた静かに闇の中へと帰って行った。
解説
●目的
元レジャー施設の廃墟に住み着いた愚神の討伐
●登場
ケントゥリオ級愚神『レインツ』
暗闇に潜む暗殺者の姿をした愚神。気配を殺すことに長けており、今までH.O.P.E.に捕捉されなかった。
素早い動きとそこから繰り出される正確な投擲による投げナイフを得意としている。接近してのナイフ捌きも手練れ。
廃墟を拠点に夜な夜な動き回り、細く長く被害を出していたが、今回存在が発覚した。
発覚を恐れてかドロップゾーンは形成していないようだ。
●環境
町はずれの廃墟のレジャー施設。二階建て。
一階は簡素なゲームセンターや麻雀用の個室、食堂があり、ごちゃごちゃしてます。
二階はボーリング場。窓も明かりもなく暗く視界が悪いです。
マスターより
こんにちは、弐号です。
今回は一体の愚神の討伐になります。
ドロップゾーンを作っていないため配下の従魔もおらず、愚神単体の敵になります。
よろしくお願いします。
リプレイ公開中 納品日時 2016/02/08 20:37
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最終発言2016/01/29 10:31:31 -
廃墟攻略~。
最終発言2016/02/02 02:18:49