本部

【異界逼迫】連動シナリオ

【界逼】賢き竜の導く城

落花生

形態
イベント
難易度
普通
オプション
参加費
500
参加制限
-
参加人数
能力者
15人 / 1~25人
英雄
15人 / 0~25人
報酬
普通
相談期間
5日
完成日
2018/08/16 21:05

掲示板

オープニング

●賢い恐竜
 突如地上に現れた、スワナリア。
 その地上には 高さ五メートルにも及ぶ城壁に囲まれた街がある。古代ギリシャに似た白い建物の街。街を徘徊するのは、小型の恐竜たちである。もしかしたら、彼らは本来の住処を追われた弱い存在なのかもしれない。
 街にある斜面をどんどんと下ると、やがてシダ植物におおわれた森が現れる。本来ならば、地下にはあるはずがない光景。そして、さらに信じられない光景は――続く。
「あれは、トロオドンなのか?」
 地下の世界に広がっていたのは、恐竜の世界。
 そこには、地上に逃げた恐竜たちよりも大きく強く――賢い恐竜たちの世界が広がっていた。

 リンカーの一人が、シダ植物の森で華奢な恐竜を見つけた。不思議なことに、そのトロオドンは明確な意思を持ってリンカーたちを見つめているようであった。
「トロオドンは恐竜のなかでは一番頭が良いって言われている種類だったよな。恐竜人間のモデルにもなったっていう……」
「ああ、でも賢いっていっても当時の動物としてはの話だぞ」
 類人猿のような脳は、持っていなかったはずである。
 だが、トロオドンの視線から感じる意思はソレに近いように感じられた。
「あっ、逃げるぞ!」
 トロオドンは、森のなかへときびすを返した。
「誘っているようにも見えるけど……まさか仲間と待ち伏せして俺達を襲おうとしていないよな?」
「分からない……でも、トロオドンは小型の恐竜だからリンカーであれば対処できるだろう」
 リンカーたちは頷きあって、森の中を進んだ。
 
●謎の城
「何だ、これは?」
 リンカーたちは、目の前に現れた巨大な城に目をむいた。地上にあった建物と同じように、白い材質で作られた城である。だが、ぐるりと城の周囲を一周してみたが出入り口はない。
 その城に、リンカーは苦笑いする。
「まるで、棺桶みたいだな」
 出入り口のない城は、まるで中に何かを閉じ込めているようであった。そして、それは確かに棺桶を連想させるかもしれない。
「じゃあ、ここはトロオドンの墓場なのか?」
「トロオドンに、そんな知能はないはずだ」
 死の概念を理解するのは、高性能な脳を必要とする。いくらトロオドンが頭の良い恐竜だとしても、そこまでの理解はないであろう。
 リンカーの一人が、壁をこつんと叩いた。
「これぐらいの強度ならば、壁は壊せそうだな……やってみるか」
 リンカーたちの攻撃が、壁を破壊する。その破壊の範囲は予想外に大きなものであり、リンカーたちは目を丸くした。
「うわ、思ったよりも壊れやすいぞ」
「時間が経ちすぎて劣化していたのかもな。これ以上、なにかを破壊したら建物事態が崩壊するかもしれない」
 リンカーの一人が、そっと城の中を覗いてみる。
 暗い城の内部には、生き物の気配はなかった。一歩進んでみると、ぐしゃりと何かを踏みつけてしまった。
「これは、小動物の骨か?」
 城は、密閉されていたはずである。だが、骨が放置されているとなると……城が密閉される前に小動物が紛れ込んだのか、それとも自分たちが発見できなかっただけで秘密の入り口でもあるのか。
「どちらにせよ、ただの建物ってわけじゃなさそうだな」
 ここには、なにかがある。
 この場にいる全員が、そう確信していた。

●賢き竜の思い
 トロオドンは、城に入っていく人間たちを物陰から見つめていた。ここ数日でトロオドンは多くのことを学習していた。
 平和だったスワナリアに突如現れた、二足歩行の動物たち。彼らは群れで狩りをする習性を持っているようで、トロオドンは彼らが恐竜たちを捕まえたり殺したりする様子を見てきた。だが、二足歩行の動物のなかには、何故か狩りの邪魔をする一派もいた。仲間割れなのか、それとも違う理由があるのかは分からないが、トロオドンは狩りを邪魔する二足歩行の動物たちに賭けてみることにしたのだ。
 二足歩行の動物たちと同じ姿をした――……この世で一番綺麗な動物。彼女が眠ってからずっと待っていたが、彼女は未だに目覚めない。
 自分では、彼女を目覚めさせることができない。
 けれども、彼女と同じ二足歩行の動物ならば自分とは違って何か出来るかもしれない。
「もう、スワナリアは安全じゃない……」
 トロオドンは、ぼそりと呟く。
 彼の首にかかったオーパーツが、彼に二足歩行の動物と同じ言葉を喋らせていた。
「何千年と続いた平和は、二足歩行の動物に破られてしまった。でも……彼女が」
 城の中で眠る彼女が二足歩行の動物の仲間で――仲間と共に群れで暮らすのが幸せならば、トロオドンはどれでもかまわなかった。
「なんだ、この穴は!?」
「さっきは、なかったぞ」
 別の二足歩行の動物たちが現れる。恐竜たちを狩っていた者たちで――たしかマガツヒと呼ばれていた群れである。彼らは見つけた城の穴のなかに入っていく。
「あいつらをどうにかしないと」
 彼女と同じ二足歩行の動物だが、マガツヒは恐竜を狩っていた種族だ。城のなかにいる彼女を見つけたら、きっと恐竜たちと同じように狩ってしまうであろう。

解説

トロオドンとの接触およびマガツヒの討伐

城(13:00)――灯りがなく、内部は暗い。隠し通路があり、恐竜が紛れ込んでくることもある。ワンフロアは広いが、迷路のように入り組んでいる。階段はワンフロアに一つしかない。城の内部はとても崩れやすくなっており、激しい戦闘には耐えられない。
一階――穴をあけたために、他フロアよりも比較的明るい。進入したマガツヒがうろうろしており、見つかると攻撃してくる
二階――天井がとても低いフロア。ディノニクスが出現
三階――天井がとても低いフロア。メイ・ロンが出現
四階――天井がとても高いフロア。ミクロラプトル、イーシャノルニス、が出現。天井には巨大な水晶があり、なかでは女性が眠りについている

トロオドン――オーパーツを持つ、小型恐竜。雑食で、虫が好物。特に攻撃手段はない。他の恐竜から逃げるのはとても得意。警戒心が強く、人間たちの行動は影から見ているが自分から接触はしない。敵意がないことを証明できれば、会話可能

マガツヒ
一階フロアにのみ10名、出現。武器は銃であり、城が崩れやすいことを知らないので遭遇すると攻撃してくる

出現恐竜(※全てが羽毛恐竜で、体長は一メートル前後。肉食で、オーパーツを飲み込んでいるためリンカーへの攻撃は可能)

ディノニクス
5頭出現。とても頭がよく、囮を使ったり、待ち伏せたりして、攻撃してくる。倒したり気絶させないかぎり、他のフロアに移動しても追ってくる。とても、素早い

メイ・ロン 
5頭出現。フロアのいたるところで眠っており、気配にとても敏感で起きると襲ってくる。他のフロアまでは、追いかけてこない。ディノニクスよりは素早くないが、瞬発力が高い

ミクロラプトル
飛行可能な恐竜、10頭出現。最初は天井に張り付いており、滑空しながら獲物を狙う

イーシャノルニス
鳥によく似た飛行可能な恐竜、10頭出現。ミクロラプトルと同じ方法で狩りを行なう

リプレイ

●一階入り口
 出入り口のない、まるで棺桶のような城。その城は、シダ植物に覆われた森のなかに建っていた。その姿は、あまりに不自然だ。無人の街も目撃したが、街から城までは距離がある。それに何かしらの意味を感じるのは、人の性であろう。
『この時代的感じに人工物的なモノが在るのは……NOかしら』
 砺波 レイナ(aa5558hero001)は、そう呟いた。恐竜の時代、人間はまだ小さなネズミぐらいの生物であったはずである。とてもではないが城を作れるような知識も文明もなかったはずだ。
「誰かが作ったモノですか? ですの」
 クリスティン・エヴァンス(aa5558)の問いかけに、レイナは考えながら答える。
『う~ん……自然物には見えないように感じるし、誰かが作ったモノだと思うわ』
 レイナは、白い壁に触れる。経年劣化で脆くなっているとはいえ、触れた壁は滑らかである。あきらかに、誰かが磨いた跡であった。
 そういえば、とレイナは思い出す。ここの来る前に見かけた無人の町並みもこの場所と同じ材質で出来ていたような気がする。レイナの脳裏に、トロオドンの姿が浮かんだ。あの手では、壁を磨くことは難しそうだ。
「トロオドンに誘われたと感じたが……」
『あれよね……名犬が主人の危機に助けを呼びに行く……みたいな』
 先に進んだ仲間の一人荒木 拓海(aa1049)とメリッサ インガルズ(aa1049hero001)は、そんなことを言っていた。それと共に、トロオドンはとても頭のいい恐竜であるとも言っていた。だが、やはり城を作るだけの知性をレイナはあの恐竜には感じなかった。
『頭が良い恐竜ということは……言葉を喋ることも可能なんでしょうか?』
 分かれる前に比佐理(aa5698hero001)は、そんなことを獅堂 一刀斎(aa5698)に尋ねていた。
「頭の良い恐竜といえども、所詮はトカゲの類だ。オーパーツでも使わない限りは、喋ることなど不可能だろうな」
 一刀斎の言葉に、レイナは同感だと感じたことを思い出す。いくら賢い恐竜といえども、普通の状態では人語を話すことはないだろう。
「……ん。でも、本当に喋る恐竜がいるなら……友達になりたいな」
 氷鏡 六花(aa4969)が少しばかり期待した目で城の奥を見ていたのだった、とレイナは思い出す。アルヴィナ・ヴェラスネーシュカ(aa4969hero001)はそれに対して『なれたら、夢があって素敵よね』と言っていた。
 レイナも思う。
 そう。所詮は「なれたら」。
「この建物を作ったのは……クリス達、人間ですか? ですの」
 クリスティンの矢継ぎ早な質問に、レイナの堪忍袋がついに切れた。
『あー! クリス質問多過ぎ!!』
「レイナねーさまは物知りだからですの」
 だが、無邪気な妹の笑顔を見ればレイナの怒りにすぐに沈静化してしまう。それどころか『頼られているのよね、しっかりしないと』という気持ちになってしまうのである。
『……まあ、クリスよりは、ね』
「……これ自体がオーパーツ……ですか? ですの」
 クリスティンは、不思議そうに城の壁をぺたぺたと触っていた。もしかしたら、先ほどのレイナのマネなのかもしれない。
『それも分らないわね』
「……とっても不思議ですの……」
 クリスティンが奥へと進もうとするので、レイナは呼び止める。
『奥に進んだ皆が何かを発見してくれるのを待ちましょう。それまで、私たちができるのは出入り口の見張りよ』
 思った以上に建物が脆かったために、いつの間にか入り口がふさがらないようにとレイナはスタート地点に残ることにしたのである。むろん、恐竜などの危険な生物がなかに進入したときに仲間に知らせる役目も担っていた。
『……クリス、ちょっと静かにしててね』
 レイナはクリスティンと共に、身を隠した。
 彼女たちが壊した壁から中にはいってきたのは、恐竜ではなくてマガツヒであった。

●一階内部
 構築の魔女(aa0281hero001)は、くんと鼻をならした。埃臭い、淀んだ空気の匂いがした。
『さて、これを作ったのは一体誰なのでしょうね?』
 白い壁は経年劣化で脆くはなっているが、建てた当初は丈夫な建物であったに違いない。そして、これほどの大きな城を建てることができたということは、城を建てた者たちは記録を残すという方法を持っていた可能性も高かった。見てきた街とは違う目的が、この城にあったのは明白である。なにかしらの資料が残されている可能性は高い。できれば、それを発見したかった。
「――□□」
 辺是 落児(aa0281)の言葉に、構築の魔女は頷く。
『ええ。この建物の意味……作成の理由が分かるような記録が見つかるのが一番いいですよね。でも、ここは未知の遺跡です。一体、なにがでてくるのか』
 トロオドンを追いかけたことが吉と出るか凶とであるか、それはまだ誰にも分からなかった。
『この遺跡のどんなことでも、これ以降につなげるよう残したいですね』
 メテオバイザー(aa4046hero001)は、マッピングシートを手に持っていた。これで地図を制作しながら、進む予定だったのである。
「調査後の復元最優先で……できるだけ手を入れずに……」
 後で調査に入ったときのためにね、と桜小路 國光(aa4046)は続ける。すでに破壊した壁の一部は回収している。この建物に入るための破壊であり仕方がないことではあったが、少しばかり國光は遺跡を破壊したことに罪悪感を抱いていた。だからこそ、欠片を持ち帰って調べてみたい。何かが分かれば、この建物の謎も解かれるかもしれないからだ。
『息が詰まりそうな場所なのですう。こんなところに日常的には住みたくないですね』
 メテオバイザーの言葉に、國光は頷く。薄暗いのは、國光たちがあけた穴以外に光が入ってくるような場所がないからだ。空気の循環もないから、淀んでしまう。
「――■■」
『それはなんでも、夢を見すぎですよね。御伽噺のようです』
 どこか楽しげな構築の魔女の言葉に、國光は首を傾げた。
「構築の魔女さん、どうかしましたか?」
 少しばかり笑いをこらえている構築の魔女は、國光に答える。
『落児が城にあるものと言えば、囚われの姫だと言いまして――……さすがにそれは夢見すぎですよね?』
『素敵ですね』
 メテオバイザーはうっとりとしているが、國光には構築の魔女が笑いをこらえた理由が分かった。こんな墓場のような場所にいるメルヘンチックなお姫様など、ある種の冗談にしか思えないからだ。どこからか足音が聞こえて、國光は唇に人差し指を当てた。
「オレたち以外にも、誰かいるみたいですね」
 足音は遠く、足音の主たちは國光には気づかずに通り過ぎたようだった。

「恐竜人間の話は聞いた事はあったが、本当に存在するかも知れんな」
 御神 恭也(aa0127)は、いつか読んだ本の内容を思い出す。生き残った恐竜が人間のように進化し、地球を支配するという内容だったような気がする。そのモデルがトロオドンらしい。
『なんだが、映画じみた事になって来ましたね』
 わくわくします、と不破 雫(aa0127hero002)は胸を高鳴らせる。
「まさかの地下恐竜帝国だよ」
 小さいことにこんなアニメ映画を見たような気がする、と餅 望月(aa0843)は呟く。
『どんな内容なの?』
 と百薬(aa0843hero001)は好奇心のままに尋ねる。
 だが、望月は詳しいアニメの内容まで覚えてはいなかった。主人公たちが地下に住む恐竜人間に捕まるというところまでは覚えているのだが「どんな理由で捕まった」のかはさっぱり覚えていなかったのだ。
「その映画にも、虫を食べる恐竜は出てきますか? トロオドンは虫が好物と聞いて」
 月鏡 由利菜(aa0873)は、すごいむしとりあみで捕まえた虫を不安げに見つめる。気持ちはよく分かる、とリーヴスラシル(aa0873hero001)は頷いた。
『サイズがな……』
「やっぱり、大きいですよね」
 地上で見る虫よりも由利菜が捕まえた虫のほうが、何倍も大きい。もしかしたら、恐竜だけではなくて虫も恐竜時代のものが生き残っているのかもしれない。現代人にはなじみのない大きさのムカデのような虫に、自分で捕まえたとはいえ由利菜は困惑していた。
『こんなものをポリポリ食べるなんて、トロオドンって結構凶暴な恐竜なのでは……』
 不安げな雫の言葉に耳を傾けていた恭也は、足を止める。
 そして、視線で夜城 黒塚(aa4625)と赤城 龍哉(aa0090)に「待て」と合図を送った。足音が聞こえたのである。
 足音の数は多く、恐らくは四人以上である。自分たちの仲間が迷っている可能性も棄てきれないが、敵であるという可能性もゼロではない。
「マガツヒか?」
 黒塚は隠れながら、足音の主を盗み見る。
 あきらかに仲間ではなく、この建物を調査しに来たマガツヒであった。レイナたちから十人のマガツヒが城内部に入ってきたという連絡はもらったが、随分と早く遭遇したものである。
「足音の数から、正確には五人というところですわね」
 ヴァルトラウテ(aa0090hero001)の言葉に「戦えない人数じゃないよな」と赤城 龍哉(aa0090)は考える。建物は脆く戦う場所としては適していないが、放っておいていい相手でもない。
『このままやり過ごしたほうがいいでしょうか? 幸い周囲は暗いので、騒がなければ見つからない可能性もあります』
 ウーフー(aa4625hero002)の言葉に、黒塚は考える。二三人程度ならば、もしも恐竜がでたときに囮に使えるかもしれない。だが、泳がせるにしては数が多すぎた。
「邪魔をされても厄介、情報を持ち帰られても厄介だな」
『叩きますか』
 ウーフーと共鳴した黒塚は、ゆっくりと腰を持ち上げる。
「招かれざる無粋の侘び賃代わりに、その命此処に置いていけ」
 そう呟いて、黒塚は武器を抜く。
「まずはネスミ退治と行きますか」
『お前達がいると話がややこしくなる。退場して貰う』
 龍哉とリーヴスラシルと共鳴した由利菜も黒塚に続こうとした。
 だが、それを百薬は制した。
『愛と癒しで分かり合えるかも知れないよ』
「うん、その可能性を無視したらH.O.P.E.じゃないよね」
 百薬と望月の言葉に、黒塚は「甘すぎいるな」と呟いた。目の前にいる敵は障害物にすぎないのだ。それを排除することに大きな意味はない。愛も癒しもそこにはない。ただ邪魔なものを処分したという事実だけがあるというのに。
「えい」
 百薬と共鳴した望月は、セーフティーガスを使用した。
 マガツヒたちは、ばたりと倒れて動けなくなる。
「……愛と癒しはどうした?」
『欠片もなかったですよね』
 黒塚とウーフーは、望月たちの行動に思わずツッコんだ。
 愛と癒しと言っておいて、やったのは睡眠ガスによる先手必勝である。
『今日は品切れだったのかな?』
「人数を確認したら多くて『戦うの面倒くさい』って、なっただけだよね」
 百薬の適当な言葉に、再び望月はため息をついた。
『せっかく眠らせたことですし、せめてマガツヒは縛っておいたほうがいいでわすわね』
 ヴァルトラウテの言うとおりであった。
 龍哉は、マガツヒを拘束しながら「しまらねぇな」と呟いた。脆い建物の内部にいるのだから戦わないことが一番だと分かっているのだが、なんだか闘志に水を差されたようで龍哉は不満であった。隣を見ると黒塚も同じような顔をしていた。仲間だ、と龍哉は思った。

「見るのは敵か味方かそれ以外かわからんが、勝手に暴れられて崩壊の巻き添えなんざ勘弁だ」
 そう言って、麻生 遊夜(aa0452)はクリンナップボードに【経年劣化により脆弱化、衝撃厳禁】と入り口に書いて置いてきた。あれを見た人間がどこまで信じてくれるかは分からなかったが、置いてこないよりはマシだと思ったのだ。
『……ん、来ないのが一番だけど……マガツヒとか、いるしね』
 ユフォアリーヤ(aa0452hero001)は、ため息をつく。
 案の定、マガツヒは城の内部に侵入したらしい。今のところ遊夜たちはマガツヒに遭遇していないが、マッピングを進めていけばいつかは出会うことになるだろう。
「……最初に見かけた、トロオドン。俺達に何を伝えようとしていたのか」
 歩きながら迫間 央(aa1445)は、森のなかでこちらを見ていた恐竜の面差しを思い出す。明らかに意思のあるような目で、トロオドンは央たちを観察していたように思える。
「もしかしたら、話しかけようとしていたのか?」
 まさかな、と央は頭を振った。
『もし、彼が話せたとしてもトロオドンを探し出すと同時に話ができる状況にしないと……横槍が入って此方を警戒されては意味がない』
 マイヤ サーア(aa1445hero001)の言うとおりである。
 崩れやすい城にマガツヒなど、とてもではないが腰を落ち着けて話あえる環境ではなかった。
「恐竜との会話か……」
 GーYA(aa2289)の顔色が青くなった。まほらま(aa2289hero001)は、その様子を見て微笑む。
『うふふ、ティラノサウルスのオヤツになりかけたのを思い出したのよねぇ』
「そんなことない! それより、ここってダンジョンみたいでワクワクするな」
 GーYAはカラ元気を出して前に進もうとするが、まほらまは『この脆さを鑑みるにこれを造った人間は滅んで、恐竜が闊歩している感じかしら』とちょっと怖いことを呟く。
「人間が滅んだ跡の世界だなんて……」
 想像したくない、とGーYAは呟く。
『案外、あたっているかもしれないわ』
 淡々と話す、マイヤ。
『こんな建物を作るなんて、人間以外には考えられないのよね』
「そして、作った人間は絶滅して建物だけが残った……か」
 地底世界の寂しい伝説の誕生だな、と央は呟いた。
「だとしたら、この城の意味はなんだろうな。大切な意味を持つ場所だとは思うんだが」
 考えながら歩いていた遊夜に、ユフォアリーヤは「……ん、前」とささやく。
「おっと、何かが前にいるな。あの灯りの動き人間だな……マガツヒか?」
 遊夜は、後ろにいた仲間たちに意見を求める。
 相手のマガツヒの数は、三人。
「戦いましょう」
 央の一言で、方針が決定した。

●一階入り口再び
 身を隠しながら入り口を監視していたレイナは、仲間たちから入った通信にほっと一息ついた。どうやら入り込んだマガツヒは、ほとんど拘束できたらしい。あと二名は残っているという話しだが、十名に遺跡をうろうろされているよりもずっと心臓には優しい。
「レイナねーさま! 見てください」 
『敵っ!? クリス!』
 声を上げたクリスティンをレイナは咄嗟に瀬に隠した。
 仲間たちの通信に気を取られたせいで発見が遅れたが、気がつけば恐竜が城に侵入しようとしていた。
 レイナは、息を呑む。
 自分たちを城へと誘ったトロオドンであった。油断はできない、今気がついたがトロオドンの首にかかっているのはオーパーツである。あれでトロオドンが自分たちに攻撃する可能性もゼロではないのだ。だが、トロオドンはレイナたちに攻撃をしかけてくる気配はなかった。
『……攻撃……しないのね……目的は……?』
『ちょっ、クリス……!?』
 レイナの背中からでたクリスティンは、トロオドンに向って手を伸ばした。ぎょろりとした大きな目を彼はわずかに細めて、くんくんとレイナたちの匂いを嗅いでいる。まるで、クリスティンたちに血の匂いがついていないかどうかを確認しているようにも見えた。
「……クリス達と、少しでも、仲良くできたら嬉しいですの……」
 無邪気なクリスティンの言葉に、レイナは恐竜が喋れるわけはないとため息をついた。
「お前たちは、自分たちの糧以外の殺しはしていないようだな」
 響く、低い声。
 レイナは目を点にした。
 間違いなく、目の前の恐竜は喋っている。しかも、かなり流暢に。
「お前たちは、俺たちの敵か?」
「敵のつもりないです。……でも、それはトロオドンさま達が決める事だと思いますですの……」
 クリスティンは、レイナをちらりと見た。現在H.O.P.E.は恐竜を積極的に保護する命令も退治する命令も出してはいないが、今度はどうなるか分からない。
『まあ、簡単にYESと言えないのも分ってちょうだい。私達にとって、アンタ達は未知の存在過ぎる。て、言うか、こう、さらっと人語だしね……』
 レイナの視線が、トロオドンの胸元へと行く。
 底に下げられているのはスカラベ型のオーパーツであり、あれがトロオドンが喋っている理由なのは間違いなかった。
「もう少し、観察する必要があるのか……彼女は安全は確保したい。この塔に眠る彼女だけは」
 トロオドンが城の奥へと進んでいく。
 その背中に、クリスティンは言葉をかける。
「…握手…して下さいますか? ですの」
 トロオドンはもどってはこなかった。

●二階内部
「レイナ殿から連絡が入った、喋る恐竜と遭遇したらしい」
 一刀斎の言葉に、比佐理は目を点にした。
『喋る恐竜……ですか? 本当にそんなものがいるのでしょうか?』
 信じられないと言いたげな比佐理の気持ちが、一刀斎にもよく分かる。レイナが恐竜がオーパーツを持っていたと言わなければ、彼は仲間が精神系の攻撃を受けたと勘ぐるところであった。
「喋る恐竜、本当にいるの!」
 六花の目が、輝いた。すでにアルヴィナと共鳴している六花は、普段より元気で少しばかり声が大きい。そんな六花にアルヴィナは『六花の声に、敵が集まってしまうわよ』と笑いながら注意する。
「……ん。ごめんなさい」
「大丈夫だよ、二階のフロアにはマガツヒもいないみたいだし」
 少しばかり落ち込む六花の頭を拓海はなでる。
『拓海? あれは恐竜よね?』
 メリッサが指差す方向には、一匹の恐竜がいる。ティラノサウルスほどの巨体ではなく、一メートル前後の大きさであった。足の鍵爪がなんとも凶暴そうで、一目で肉食恐竜だと分かる外見である。
『生えているのは羽毛なのよね』
 空を飛ぶ鳥よりも柔らかそうな羽毛に包まれている恐竜は、映画でみるような外見とは少しばかり違った。メリッサは首を傾げるも、拓海は涙ぐんでいた。
「あれはディノニクスだよ。体を保温するために、羽毛を纏っているんだ……会えてよかった。恐竜大好きだから」
『これが、恐竜……。図鑑では見ましたが……本物が見られるなんて』
 比佐理も感激のあまり、言葉に詰まっているようであった。だが、相手は肉食恐竜である。見つからないように、一行は身を隠した。恐竜の様子を観察していたアルヴィナは呟く。
『それにしても暑そうな恰好よね。私だったら、あんな羽毛は着ていられないわよ』
「ん……暑いのは六花も苦手だけど、恐竜さんは違うのかな?」
 羽毛で体を保温するという言葉に、寒いところが大好きな六花とアルヴィナは馴染めないようであった。
「それより、このまま見ているだけなのは不味いな。どのように対処するべきだろうか?」
『恐竜を殺したくはありません。……格の違いを見せる必要がありますよね』
 考え込む、一刀斎。
 比佐理も「恐竜は傷つけたくない」という思いで必至に考えをめぐらせていた。
『相手は野生動物よね。こちらに戦う意思がないって分かったら、弱い獲物だと思って一気に飛び掛ってくるかもしれないわ』
「……ん。それは、ちょっと怖いの」
 アルヴィナの言葉に、六花は少しばかり青い顔をする。戦うことは平気だが、怖い肉食恐竜が襲い掛かってくるかもしれないと考えると少しばかり恐ろしいらしい。
『恐竜、好きなのよね。何か良い考えはある?』
 メリッサに問われた拓海は「ちょっと聞いて」と仲間を集めた。
「あのディノニクスは、頭のいい恐竜だよ。ここでやり過ごしても、オレたちの気配を察して追ってくると思う。でも、頭が良いからこそオレたち人間は恐竜より強いって、ディノニクスに分からせることができると思うんだ」
 拓海の言葉に、メリッサは「可能なの?」と尋ねる。
「相手は野生動物だし、頭がいいからこそリスクが高い狩りはしたくないと思うんだよね」
 あくまで推測だけど、と拓海は話す。
 メリッサは不安げだったが、一刀斎は乗ったと膝を叩く。
「なるほど、相手の頭の良さを逆手にとるか」
『それなら……恐竜たちを殺さずにすみそうですね』
 比佐理は心なしか嬉しそうであった。
『なら、近くにディノニクスの仲間がいないか探してみるわよ』
「……ん。挟み撃ちはいやなの」
 アルヴィナの言葉に促された六花は、マナチェイサーを使用する。その瞬間に、はっとした。
「うしろ!!」
 思ったより近くに、反応があったのだ。
「敵か!?」
 攻撃態勢に入ろうとした一刀斎を「おやめください、一刀斎様」と言って比佐理が止めた。彼らの後ろにいたのは、トロオドンであった。首にはオーパーツがかけられており、間違いなくレイナが会話をしたトロオドンである。
「……呼んでくれたよな?」
 緊張で震えながら、拓海はトロオドンと視線を合わせようとする。恐竜と話ができるなんて夢のようだが、怖がらせるわけにはいかない。
「お前たちは、どうして自分たちと同じ種と同じように恐竜を狩らない?」
 トロオドンの流暢な言葉に、アルヴィナは一瞬困惑した。「同じ種」というのが、なんのことだか分からなかったのだ。だが、すぐにマガツヒのことだと分かった。トロオドンの目には、マガツヒもリンカーも同じに見えていたのである。
『敵かもしれない私たちと接触してきたってことは、かなり深い訳がありそうね』
 アルヴィナの言葉を聞きながら、六花は考える。
 目の前の恐竜は勇気を振り絞って、六花たちに接触してきたのだ。だとしたら、攻撃なんて絶対にしてはいけないと。
「あ、大丈夫……だから。怖がらないで……六花たちは……貴方たちを、守りにきたの」
 六花は、たどたどしくトロオドンにマガツヒのことを説明した。恐竜たちを狩ろうとしていたのは彼らで、自分たちは違うのだと六花は語る。
「俺達は……お前達を狩りに来た訳ではない。なぁ、この遺跡には何があるんだ。教えてくれないか」
 この建物には意味があるのだろう、と一刀斎は呟いた。
「何か困りごとや、願いごとがあるなら……教えて欲しい。出来得る限り……力になりたい」
 一刀斎の言葉を聞きながら、トロオドンは迷っているように拓海には思えた。トロオドンにとって人間は、やはり全幅の信頼を置くにはまだ足りない相手らしい。
 それは仕方がないかもしれない、と拓海は思う。
 トロオドンは、他の恐竜をマガツヒが捕らえるところを目撃しているのだ。H.O.P.E.とマガツヒが違う組織だと説明しても、恐竜のトロオドンには理解しにくい事情であろう。今更、拓海が何を言っても事実は変わらない。それでも、自分が信じることをしなければならないと拓海は自分を奮い立たせた。
「……信じ連れて来てくれた――心のまま居て欲しい」
 トロオドンは、拓海たちをこの城に招いた。
 彼らならば信じても良いのかもしれない、という希望をトロオドンは抱いたのだ。だから、拓海もその希望を信じることしかできなかった。
「……この塔の一番上に――この世で一番綺麗な動物がいる。彼女を目覚めさせて欲しい」
 戸惑いながら口に出されたトロオドンの望み。
 その望みに対して、六花は首を傾げる。
「……ん。雌のトロオドン……? 貴方は、そのトロオドンを守りたい、の?」
 「最も美しい」とトロオドンが言ったから、六花は上で待つのは雌のトロオドンであると思った。そんな六花に、トロオドンは背を向ける。まるで「お子様にはまだ早い」とでも言いたげな背中であった。

●一階再び
『退路確保に挟撃の防止……。しっかりと努めましょうか』
 構築の魔女は、腰に手を当てながら呟く。仲間から二階まで到達したと連絡が入ったのである。彼らのことだから、すぐに城の最上部までたどり着くだろう。
「■■……」
『ええ、そうですね。最上階へ到達前に城が崩壊してしまっては、笑えません』
 落児の言葉に、構築の魔女は「うん、うん」と頷き返していた。
 構築の魔女の声のみが、響く。すでに國光には、別のフロアを目指してもらっている。マガツヒの残りの人数が二人であれば、構築の魔女のみで十分対処可能であったからだ。
「――■■」
『ええ。流れ弾への注意も必要ですが……本格的な戦闘に発展しないようにですね』
 落児と会話をしながら、構築の魔女はマガツヒの足音を聞いていた。近くに彼らがいるのは間違いないが、襲ってくる様子はない。
 マガツヒたちも人数が少なくなっており、城の内部に敵がいることは分かっているはずだ。
『連絡を取り合っているようなら、意識を一撃で奪うことを優先すべきできたね……』
 構築の魔女は、ため息を吐く。
 マガツヒ側も、城の内部に敵がいることは分かっている。つまり、大人数で歩いていても警戒して姿を見せなくなっているということだ。だが、その敵が女一人であったのならばどうだろうか。リンカーの強さに男女の差は関係ないが、心理的に女性一人のほうが襲いやすいと感じるものである。構築の魔女はマガツヒを誘い込むためにも、國光に先に行ってもらったのだ。
 構築の魔女はノクトヴィジョンで、そっとマガツヒの様子を見る。どうやら、相手は二人がかりで自分を倒す気らしい。
『紳士でなくて助かりました。一気にきてくれるおかげで、手間が省けそうです』
「――■……」
 心配する落児の言葉を最後まで聞く前に、構築の魔女はシャープポジショニングを使用する。銃を構えているマガツヒに、思わず『崩れやすいと注意書きがあったはずですが!』と叫んでしまう。相手を動揺させる気はなかったのだが、マガツヒは一瞬攻撃をためらった。どうやら、あちらも探索を進めているうちに城が崩れやすいと気がついたらしい。
「麻生さんの注意書きも無駄ではなかったということですね」
『■■――』
 分かっています、と構築の魔女は答える。
 出来る限り武器を吹き飛ばして、敵の戦力をそぐ。だが、それが無理な場合は頭部への攻撃も辞さない。
「この攻撃で武器を落としたほうが、あなたたちのタメになりますよ」
 構築の魔女のトリオが、マガツヒの銃に命中する。
 その衝撃で、マガツヒの銃は地面に落ちた。

●二階再び
『恐竜相手にやりすぎでは?』
 雫は、ウレタン噴出機を片手に持つ恭也に顔をしかめた。恭也はこれで気絶させた恐竜を壁に貼り付けるというが、雫にはやりすぎに思えてならなかった。
「目覚めた恐竜に襲われないようにするためだ」と恭也が言う隣で、龍哉は一気呵成をディノニクスに向って放っていた。牙をむき出しで怒るディノニクスを相手にしていた龍哉を見て、雫はため息をつく。どうやら、恭也の同行者は「類は友を呼ぶ」であるらしい。ウレタン噴出気を使おうとする恭也ほどではないが、恐竜に攻撃することに皆ためらいがない。
「ダメージが入るって事は、こいつらも何らか特殊なのか?」
 ディノニクスの爪に引っかかれた龍哉は、顔をしかめながら傷口を見やる。鮮やかな切り口はまるでナイフのようだが、これは彼らの爪による傷跡である。
『トロオドンが話せるのと同様、オーパーツの影響かもしれませんわ』
「だとしたら、厄介な相手にオーパーツがわたったもんだな」
 すばしっこいディノニクスは、先ほどから龍哉たちの意表をついてばかりだった。最初こそ龍哉たちを警戒するそぶりを見せていたが、段々とそれも薄れてきている。どうやら、先行したチームが植えつけていた恐怖心が若干薄らいでいるようだ。
「それにしても、オーパーツの影響とは言え……話す本物の恐竜か」
 通信で得た情報によると、先行のチームは話すトロオドンと合流したらしい。見てみたい、と龍哉の心の少年の部分がうずく。
『何か嬉しそうですわね』
「そりゃあな。会うのが楽しみだぜ」
 それと同時に、考えてしまうこともある。
「マガツヒの連中に狙われても、智慧の回るトロオドンがこの城を離れない理由は重要そうだ……まるで」
 守っているようだ、と龍哉は感じていた。
「きゃあ!」
 由利菜は、悲鳴を上げる。
 追いつめられたディノニクスを気絶させようと踏み込んだのはいいが、別のディノニクスが由利菜を背後から襲ったのだ。咄嗟に追い払ったが、由利菜も傷を負う。
『大丈夫か?』
 リーヴスラシルの言葉に、由利菜は頷いた。
「少し油断してしまいましたが、平気です。できるかぎり、恐竜たちは傷つけたくはないのですが……」
 そんな由利菜の思いを察するかのように、ディノニクスは彼女を見ていた。自分の思いを見破られているような感覚に、由利菜の背筋が寒くなる。
『悪知恵が働きそうな顔をした恐竜だな』
 リーヴスラシルは、忌々しそうに呟いた。
 先ほどからディノニクスたちは「人間は自分たちを殺そうとはしない」と見破り、攻撃をしかけてきているような気がする。
「通信で話を聞いた、トロオドン。彼らは、私達の声に耳を傾けてくれるでしょうか……」
 意地悪そうなディノニクスの顔を見ながら、由利菜は不安に狩られていた。
『……接触する価値はありそうだが、あそこまで意地が悪かったら始末におえないな』
 リーヴスラシルは、ため息をついた。
「この短い時間に人間を随分と学んだみたいだが、こいつはどうだ。よっと」
 黒塚が投げたのは、火をつけた手筒花火である。
 眩い光にディノニクスたちは悲鳴のような叫び声を上げて、一目散に逃げようとした。だが、それを見逃すリンカーたちではない。逃げようとして連携も作戦もなくなったディノニクスたちに攻撃をし、彼らを気絶させたのだ。
『彼らは花火を見たことがなかったようです。上手くいってよかったですね』
 ウーフーの言葉に、黒塚はため息をつく。
「恐竜の時代には、花火はねぇだろ。まぁ、爬虫類だか鳥類だかは正直専門外なンだが……」
 黒塚の言葉に「わかりませんよ」とウーフーはいう。
『もしかしたら、城を作った者たちが花火も開発していたかも』 
「そんなもん、逆に拝んでみたいもんだな」
 花火の燃えかすを拾い上げ、黒塚は複雑な表情を浮かべる。このような城を作れる者ならば、もしかすればと思ってしまうのだ。
『恐竜の焼き鳥……』
 ごくり、と百薬は唾を飲み込んだ。
「これから、その恐竜と話すかもしれないのに……怖がらせるようなことをしちゃだめだよ」
 望月はため息をつく。
 トロオドンとの話し合いがどうなるかはまだ分からないが、百薬の食欲によって決裂という結果だけは絶対に避けたい。
『大丈夫だよ。ワタシだって、練習しているんだよ』
 なにを、と聞く前に百薬は自分の首を軽くチョップし始める。
『ワタシタチ、タタカイマセン、ダイジョブ、アンシンデス』
「いや、『ワレワレハ ウチュウジンダ』的なことをやられても……」
 初対面でそれをやったら怒る人もいるんじゃないだろうか、と百薬は思った。
「これで五つ目か」
 ウレタン噴出機でディノニクスを壁に貼り付けた恭也は、恐竜たちが飲み込んでいたオーパーツを吐き出させていた。どの恐竜も小型のオーパーツを飲み込んでおり、これでリンカーである自分たちに攻撃できたのも納得ができた。
『しかし、この地にはどれ程のオーパーツが存在しているのでしょうね?』
 雫は、恭也の手の中にあるオーパーツをしげしげと見つめていた。
「今までに会った恐竜全てが保持はしていなかったが、相当量だろうな」
 回収したオーパーツを収納した恭也は、先に進もうとする。
『ところで、この恐竜たちを帰りにどのように開放するのかは考えているんですよね?』
 雫の言葉に、恭也は足を止める。
「それは……とうぜんここに戻ってきて」
 言いながら、恭也はため息をつく。
 オーパーツを吐き出させたのでディノニクスは無力化できているのだが、この意地の悪い恐竜と再び顔を合わせなければならないと考えると気が重くなったのだ。

●三階
「この恐竜……寝てるんだよね?」
 見つけた恐竜を遠くから國光は、そっと観察していた。最初から寝ている恐竜たちの睡眠は深いのか、起きる気配が全くない。
『誰かが睡眠薬を使ったんでしょうか? 睡眠薬で大きな生物さん達も眠るんですね……』
 メテオバイザーもしげしげと恐竜を観察していた。
「生きてる恐竜に、この世界の成分がどう作用するか気になるけど……」
 ちょっと研究したい、と國光の好奇心はくすぐられていた。
「それにしても、あれはなんていう恐竜かな? あんまり見たことがないけど」
 國光の独り言に答えたのは、パソコンで辞典を開いていたGーYAである。
「メイ・ロンっていう恐竜みたいです。眠ったままの姿で化石になったものが発見されていて、中国語で眠る竜って意味の名前らしいですけど」
『うふふ、そのままよねぇ』
 少し可愛いわ、とまほらまは笑う。
『……ん、鳥みたいに……寝てる』
 ユフォアリーヤも興味深そうにメイ・ロンを見つめていた。すやすやと眠る恐竜は体を丸く折りたたんで、まるでダチョウやエミューといった大型の鳥と似たような恰好で休んでいた。
「気づかれないように、慎重に通り抜けるぞ。相手が寝ててくれているなら、好都合だしな」
 遊夜の言葉に、ユフォアリーヤは頷く。
『ん……寝ててくれれば、戦わなくてすむ』
 足音を立てないように遊夜は、メイ・ロンのすぐ脇を通り過ぎようとしていた。近くで見ると割と大きく遊夜は心のなかだけで「おお」と感嘆の声を漏らす。
『ん……ティラノに乗ったばっかり』
「それとこれとは違う感動があるんだよな。こっちは羽毛がふさふさしてて、ダチョウみたいだし」
 乗ってみたいかも、と遊夜は呟いた。
「起きないね」
 通り抜けに成功した遊夜を見ていた國光は「まさか、死んでいるんじゃ……」と呟く。
「あの恐竜は寝ているときの化石が見つかったんだよね。だったら、この恐竜ももう死んでいるんじゃ……」
『サクラコは考えすぎなのです』
 メテオバイザーの言葉に反応したわけでもないだろうが、メイ・ロンの羽毛が一瞬膨らんだ。國光はびくりとするが、起きてくる気配はない。
「よかった……生きていたみたいだ」
『でも、さっきより眠りは浅くなっているみたいですう。気を付けていかないと起きてしまうかも』
 そうだね、と返事を返しながら國光は慎重に恐竜の隣を通り抜ける。
 出来る限り気配を殺していたつもりであったが、突如メイ・ロンが顔を上げた。國光は固まり、しばらくするとメイ・ロンと目があってしまった。
「にっ……ニーハオ?」
『サクラコ、中国で発見されたけど中国人ではないですう』
 そんなのは分かっていたが、思わず口に出てしまったのだ。
 なにせ、恐竜と國光の距離は近い。すぐにでも噛み付かれてしまいそうな距離であった。
「こっちだよ、こっち!」
 GーYAは声をだして、メイ・ロンの気を引いた。メイ・ロンが自分のほうが向いたと分かるとGーYAは笑顔になる。
「俺はジーヤ、よろしく!」
 そういって恐竜に語りかけるGーYA。
『別の恐竜に食べられかけたのを忘れたの?』
 まほらまにそんなことを言われてしまったが、GーYAは勿論忘れていない。だが、喋ることができるトロオドンと仲間たちが接触したという話を聞いて思ったのだ。他の恐竜たちも、もしかしたら喋れるかもしれないと。だから、GーYAは笑いながら友好の挨拶を交わそうとする。
 帰ってきたのは、牙を見せて吼えるという威嚇行動だったが。
『うふふ、どうやら会話は不可能なようねぇ』
 まほらまの言葉に、GーYAは内心悔し涙を流す。
「また、ダメだったか。でも、次があるはずだ。次が!」
 向ってくるメイ・ロンを相手にするために、GーYAはドローミーチェーンを構える。本当は睡眠薬を口の中に入れて無力化したいが、凶暴なメイ・ロンの口に睡眠薬を突っ込むのは少しばかり難しそうだ。
「ごめんな、本当はこんな事したくないんだ」
 謝罪してからGーYAは、チェーンとメイ・ロンの首に巻きつける。苦しがるメイ・ロンは暴れまわったが、GーYAも必至だった。やがて、ばたんとメイ・ロンの体は倒れた。
 GーYAは、恐竜の口元に手を当てて息を確認する。
 生きていた。
 良かった、と心の底から思った。
「今……最上階に到達した組から、連絡が入った」
 通信機を持っていた遊夜は、難しい顔をしていた。
「水晶のなかに閉じ込められている女性を発見したらしい」
 遊夜の言葉にユフォアリーヤも目を見張る。
『……水晶に、女性?』
 どんな謎が明かされるのだろうか、と呟きながら遊夜は上のフロアへと続く階段を見つめていた。

●最上階
「あれって、人工物なのかな?」
 天井に張り付いている水晶を指差し、拓海は考える。人工物ならば開閉のスイッチがあってもおかしくはないが、現在のところそのようなものは見つかっていない。
『この鳥みたいなものも恐竜なの?」
 天井から攻撃を仕掛けてくる小型の恐竜に、メリッサは驚いていた。片方は腕が翼になったような恐竜だったが、もう片方は現代の鳥とほとんど代わりがない姿をしていたからだ。
「ミクロラプトルとイーシャノルニスだよ」
 拓海に名前を聞いたが、アルヴィナには目の前を飛ぶものが恐竜であるとは信じられない。六花も同じ気持ちらしく「……ん。恐竜なのに、すごく鳥に似ているね」と呟いている。ペンギンのワイルドブラッドである六花には、恐竜と鳥が似ていることに好奇心をくすぐられるのかもしれない。
「恐竜はまだ絶滅していないって、考え方もできるんだよ」
 拓海は六花に、優しく語り掛ける。
「恐竜は、鳥の祖先でもあるんだ。恐竜は鳥に進化して、現代の空を飛んだり、海にもぐったりして生きているんだよ」
 六花は、目を輝かせた。
「今は進化の授業よりも、あちらの女性を優先しなければならないだろう」
 一刀斎の言葉に「そうだった」と拓海は我に返る。
『まさか……人間の女性だったとは……驚きです』
 比佐理は、水晶のなかに閉じ込められている女性を見つめていた。トロオドンが守ろうとしていたものは、てっきり雌のトロオドンだと思っていた。だが、水晶のなかにいるのは間違いなく人間である。
 水晶のなかに眠っている人は、美しい女性であった。
 長い黒髪に、褐色の肌。
 麻のような素材で出来た、簡単な作りのワンピース。
 それが、まるで眠ったまま琥珀に閉じ込められたかのように水晶のなかにいた。
『助けるとしても、あの高さから落ちると危険よね』
 メリッサは呟く。
 水晶のなかにいる女性が普通の人間だとも思えないが、天井から落ちて無事にすむとも思えない。何かしらの対策は整えるべきであろう。
「いざとなったら、受け止めるよ。それより、あの水晶が天然物だったら、どうやれば壊せるのか……」
 攻撃はできればしたくないな、と拓海は呟く。
「それが、例の喋るトロオドンか?」
 階段を上がってきた龍哉たちが現れた。最上階を目指していたメンバーは、どうやら全員無事にたどりつけたらしい。
『あれは、女性ですの?」
 水晶のなかにいる女性を見て驚くヴァルトラウテを尻目に、龍哉はトロオドンの手を差し出す。
「H.O.P.E.のエージェント、赤城龍哉だ。初めまして」
 だが、トロオドンは龍哉を見て首を傾げた。
『知性があるようなのに、どうしたんでしょうか?』
「確かに、握手には向かない手だろうが……」
 恭也と雫も不思議がっていた。
「もしかしたら、握手の文化が恐竜にはないのかな?」
 望月の言葉に、全員がはっとする。
 「握手? それは、何の意味だ」とトロオドンは言っているので、望月の言葉は正しかったのだろう。
「言葉本当に通じるね。悪い人じゃなさそうだし、そのままオーパーツ持っててくれたらいいかも。善性愚神みたいな詐欺じゃないね」
 望月は、ほっとしていた。
 彼女も喋れる恐竜との闘争は望まなかったのである。
「……私はH.O.P.E.という人間界の組織の者、月鏡由利菜。私には、復活したあなた達と争う意思はありません。あの、これ道中で捕まえたものなんですが……よかったらどうぞ」
 由利菜は、トロオドンに捕まえた虫を渡す。
『我が名は同じ人間でも、恐竜と共存したい存在と、絶滅まで狩り尽くそうとする存在がいる。我が主は前者ということだ』
 「恐竜を狩っていた、その組織はマガツヒという」リーヴスラシルは語る。虫を食べていたトロオドンが、大きな目をさらに見開かせる。
『敵のトップは過去見が出来るのよ。恐竜は水晶の眠り姫を守っていることも、いずれ知られてしまうかもしれないわ』
 まほらまは、マガツヒの敵が恐ろしい相手であることを語った。その隣で、始めて恐竜と会話することが出来たGーYAは感動に震えていた。
「俺はジーヤ。俺にも協力させて!」
 ああ、やっと恐竜と喋れた!
 GーYAの感動する姿に、まほらまは『うふふ、今まで色々とあったわね』と微笑む。
「此方に敵意はない。襲われない限りはな」
 武器をしまった、央。
 敵意がないことをあらわしたかったのである。
「お前たちが、自分たちの必要以上は殺さない生物であることを見込んで願いたいことがある……俺にはずっと無理だったことだ」
 トロオドンは、頭上の女性を見つめる。
 眠ったように、水晶に閉じ込められた塔の女性を。
「彼女に呼びかけてくれ――この塔にずっと眠っていた彼女に……彼女と同種の人間たちが呼びかければあるいは」
 たった、それだけのこと。
 だが、たったそれだけのことすら種が違うトロオドンには不可能であったのだ。それを思うとマイヤは少し哀しくなる。
『声をかけてあげるわよね?』
「ああ……そうだな」
 マイヤの言葉に、央は頷く。
 その場にいる全員が、塔の女性に向って呼びかける。
 その呼びかけの一拍後、水晶に小さな亀裂が入った。その亀裂はどんどんと大きくなっていき、恭也はまるで「卵のようだな……」と思った。
「生まれるぞ!」
 遊夜もそう思ったらしい。
 彼の声と同時に、割れた水晶がリンカーたちに降り注ぐ。そして、女性も床に向って落ちていく。
「危ない!」
 女性を間一髪のところで捕まえたのは、拓海であった。
 女性は、ゆっくりとまぶたを開ける。生きているし、怪我もないようである。その様子に、一同はほっとした。
「……ん。トロオドンが六花たちをココに連れてきて、あなたを目覚めさせたの」
 六花は女性にそう語りかけるが、女性は首を傾げる。
 どうやら、六花の言葉が理解できていないらしい。
「まさか、言葉が通じないの? ほら、あれが貴女を守ってきた恐竜よ」
 アルヴィナは、トロオドンを指差す。
 女性は首を振った。その拍子にトロオドンが持っているものと同じ形をした――スカラベ型のオーパーツが女性の胸で揺れる。
「貴方は……誰なのでしょうか?」
 女性の言葉に、全員がトロオドンを見た。
 トロオドンは寂しそうに、女性を見つめるだけである。その視線は慈愛を含んでいるかのようにすら思えた。
「自分を助けに来たトロオドンのことも分からないとは……まさか、何も覚えてはいないのか?」
 記憶喪失という言葉が、央の頭を過ぎった。
『だとしたら……恐竜ばかりのこの場所は少し危ないわよね。撤退して、安全な場所でゆっくり休んでもらったほうがいいと思うわ』
 ここは飛ぶ恐竜が多すぎる、とマイヤは天井を見つめる。空を飛ぶ恐竜たちは未だにマイヤたちを敵と認識しており、襲い掛かってくる。
「気を付けろ。恐竜たちが下に行くぞ」
 地不知を使用し天井に張り付いていた恭也が恐竜を何匹か叩き落したが、何匹かは下にいる仲間を食らおうとしていた。
 その時、音が響いた。
 笛の音である。
 その音が響いた瞬間に、鳥によく似た恐竜たちはリンカーたちを攻撃しなくなった。大人しくなり、自分たちが住みかとしている天井に再び張り付きはじめている。
 六花は、女性のほうを見た。
 彼女は、笛から唇を離したところであった。彼女の笛が恐竜たちを宥めた、としか思えない光景に唖然とする。
「この笛は恐竜たちを操ることができるようですわ……なぜ、これだけをわたくしは覚えているのかしら」
 女性は、笛を大事そうに握り締めた。
 この笛が、記憶を失った今の彼女の全てなのだ。
「H.O.P.E.で保護だよな。記憶を失った女を恐竜世界においていくわけにもいかないしな」
『ええ、トロオドンにも来ていただきたいですわ。おそらく、彼は彼女以上に彼女のことを知っているでしょうから」
 龍哉とヴァルトラウテは、共にオーパーツを持ったトロオドンを見つめる。
 トロオドンは女性の頬に一度だけ頭を強くこすり付けると、背を向けた。女性はなぜトロオドンがそんなことをするのかも分からずに、ただ途方にくれているだけであった。
「俺は、マガツヒと同じ種であるお前たちを……信用しきれていない。ただ――お前たちと同じ種族の彼女はお前たちと一緒にいるほうが安全だろう。他の世界と繋がってしまった、このスワナリアは……この塔は、もう安全じゃない」
 トロオドンは、走り出す。
 その後ろ姿を見つめていたメテオバイザーは呟く。
『あのトロオドンは、どうして女性を目覚めさせたのでしょうか?』
「たぶん……彼女の安全を願ったんだろう。スワナリアはマガツヒが進入していて、どこも安全じゃなくなった。……恐竜を狩っていたマガツヒに彼女が見つかるよりも、オレたちに見つかったほうがマシだと思ったんだと思うよ」
 國光は去ってしまったトロオドンのことを考える。
「彼女を守りたいけれども、自分では守りきれないからオレたちに託した……もしかしたら、トロオドンはこの女性に――」
 恋をしていたのかもしれないよ、と國光は呟いた。

結果

シナリオ成功度 成功

MVP一覧

重体一覧

参加者

  • ライヴスリンカー
    赤城 龍哉aa0090
    人間|25才|男性|攻撃
  • リライヴァー
    ヴァルトラウテaa0090hero001
    英雄|20才|女性|ドレ
  • 太公望
    御神 恭也aa0127
    人間|19才|男性|攻撃
  • 久遠ヶ原学園の英雄
    不破 雫aa0127hero002
    英雄|13才|女性|シャド
  • 誓約のはらから
    辺是 落児aa0281
    機械|24才|男性|命中
  • 共鳴する弾丸
    構築の魔女aa0281hero001
    英雄|26才|女性|ジャ
  • 来世でも誓う“愛”
    麻生 遊夜aa0452
    機械|34才|男性|命中
  • 来世でも誓う“愛”
    ユフォアリーヤaa0452hero001
    英雄|18才|女性|ジャ
  • まだまだ踊りは終わらない
    餅 望月aa0843
    人間|19才|女性|生命
  • さすらいのグルメ旅行者
    百薬aa0843hero001
    英雄|18才|女性|バト
  • 永遠に共に
    月鏡 由利菜aa0873
    人間|18才|女性|攻撃
  • 永遠に共に
    リーヴスラシルaa0873hero001
    英雄|24才|女性|ブレ
  • 苦悩と覚悟に寄り添い前へ
    荒木 拓海aa1049
    人間|28才|男性|防御
  • 未来を導き得る者
    メリッサ インガルズaa1049hero001
    英雄|18才|女性|ドレ
  • 素戔嗚尊
    迫間 央aa1445
    人間|25才|男性|回避
  • 奇稲田姫
    マイヤ 迫間 サーアaa1445hero001
    英雄|26才|女性|シャド
  • 紅の炎
    アリスaa1651
    人間|14才|女性|攻撃
  • 双極『黒紅』
    Aliceaa1651hero001
    英雄|14才|女性|ソフィ
  • ハートを君に
    GーYAaa2289
    機械|18才|男性|攻撃
  • ハートを貴方に
    まほらまaa2289hero001
    英雄|18才|女性|ドレ
  • きっと同じものを見て
    桜小路 國光aa4046
    人間|25才|男性|防御
  • サクラコの剣
    メテオバイザーaa4046hero001
    英雄|18才|女性|ブレ
  • LinkBrave
    夜城 黒塚aa4625
    人間|26才|男性|攻撃
  • これからも、ずっと
    ウーフーaa4625hero002
    英雄|20才|?|シャド
  • 絶対零度の氷雪華
    氷鏡 六花aa4969
    獣人|11才|女性|攻撃
  • シベリアの女神
    アルヴィナ・ヴェラスネーシュカaa4969hero001
    英雄|18才|女性|ソフィ
  • 春を喜ぶ無邪気な蝶
    クリスティン・エヴァンスaa5558
    人間|10才|女性|防御
  • 山瑠璃草
    砺波 レイナaa5558hero001
    英雄|16才|女性|バト
  • 黒ネコ
    獅堂 一刀斎aa5698
    獣人|38才|男性|攻撃
  • おねえちゃん
    比佐理aa5698hero001
    英雄|12才|女性|シャド
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