本部

ホーリー・ホロウズ・ナイトメア

砂部岩延

形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
能力者
9人 / 4~12人
英雄
9人 / 0~12人
報酬
普通
相談期間
5日
完成日
2017/12/25 19:52

掲示板

オープニング

●2017年12月某日−−東京、秋葉原
 3次元と2次元が交差する萌えの街、秋葉原。
 行き交う数多の人々を、色とりどりに光るオーロラビジョンが、街の随所から見下ろしていた。
 と、それらの画面に、一斉にノイズが走った。
 映像が切り替わる。
 うってかわって、画面の向こうは薄暗い。
 品のいい調度品に囲まれた落ち着いたアンティークな部屋が映っている。
 中央には大理石のローテーブルが置かれ、鈍い光沢を放つ革張りのソファがそれを囲んでいる。
 ところどころに飾られたクリスマス向けのインテリアがやや異彩を放っていた。ソファのかたわらにはクリスマスツリー、奥の壁にはリース、テーブルの上にはスノードームが置かれている。
 ソファには、7人の女性の姿があった。
 4人はシルエットの中に沈んでいるが、中央の3人は、暗がりの中、浮かび上がるようにはっきりと視認できた。
「ごきげんよう、皆さま」
 ソファの中央に腰掛ける、純白の天使が告げる。
 翼をかたどったアイマスクに、光り輝く輪を頭上に戴き、背中には純白の翼、そして純白のワンピースドレスで身を包んでいる。襟や裾は白いファーで縁取られ、コケティッシュなサンタガールのドレスを思わせた。
「初めてお目見えする方も、すでに一度、あるいは直接お目見えしたお方も。こうしてまみえたこと、感謝致します。すべては神のお導きです」
 天使は胸の前で祈るように手を組んだ。
「さて、奇しくも、まもなく聖夜がやって参ります。皆さまは、いかがお過ごしになるのでしょうか」
「恋人と一緒にぃ、甘ぁい夜を、楽しむのかしらぁ」
 はすにかぶった狐面の女性が、鈍く光る長煙管を白魚のような手先で上下にしごく。朱色地の着崩した着物を、碧緑色の帯を申しわけ程度に留めて、ソファの腕置きにしなだれかかっている。着物のあわせから肉感的な胸元や太ももがちらつかせる様は、色街の遊女を思わせる。
「現地の習俗に倣うなら、家族と過ごすべきでしょうね。あるいは、気の置けない友人たちとパーティを開いたり」
 ソファの背もたれに手をかけた、華やかなマスカレードマスクの女性が、優雅な仕草で肩をすくめた。頭にはティアラを戴き、臙脂色の瀟洒なベアトップに、翡翠色の精緻なレース、同色のフレアスカートを広げる姿は、貴婦人か、王女と言った気品がある。
「あるいは、どうでしょう」
 純白の乙女は聖女のごとき眼差しで微笑む。
「そういった催しを、怨んでいらっしゃいますか? 例えば、そう……私たちのように」
 けがれのない笑顔で、天使は告げる。
「クリスマスの聖なる夜に、素敵な夢を」
「人生イコールぅ恋人がいない歴とかぁ、切ない片思い中だったりぃ、失恋しちゃったぁ、イケない横恋慕をしてるのぉ、なんて人ぉ」
 遊女が自らの身体を抱きしめる。
「あるいは、過ごすべき家族も友人もいない、そんな価値のある相手なんていない、ていうかむしろクリスマス爆発しろ! なんて呪詛を抱いている方も」
 王女様が若干壊れたキャラで拳を握る。
「クリスマスイブの夜、ここ秋葉原で、ゲリラライブをします。一夜かぎりの素敵な思い出を、私たちから、皆さまへ。貴方はクリスマスの夜に、どんな夢を望みますか?」
「とっても甘ぁくて、天にも上るイイ気持ちのぉ、素敵なぁ夢」
 煙管をひと吸い。ほのかに桜色に染まる煙が、宙にたゆたう。
「愚民に夢を見せるのも王者の大事な役割ですもの。せいぜいゴミのように群がるが良いわ。……べつに、誰も来なくたって、構いませんよ」
 テンプレみたいなセリフでソッポを向く王女様の手を、天使が握る。
「皆さまのご参加、心よりお待ちしております」
 映像が終わり、オーロラビジョンは何事もなかったかのように、再びきらびやかに光っていた。

●2017年12月某日−−H.O.P.E.東京海上支部ブリーフィングルーム
「−−以上、先日の秋葉原で起きた電波ジャックの映像です」
 中央のホログラムで再生されていた映像が終わり、部屋の照明が戻る。
 前方に立つ二人の職員のうち、一角がタブレットを片手に説明を続ける。
「これらの映像は動画投稿サイトにもアップされておりましたが、アカウントは不正アクセスされたもので、残念ながら当人たちまではたどり着かなかったようです」
 ホログラムにまた別の動画が再生される。
「なお、ハロウィンの際にも、同様に動画を使用した犯行予告と、美術品の盗難事件が発生しました。動画の7人はその時の人物と特徴がおよそ一致しており、また着物の女性が手にしている煙管は奪われた『吉野太夫の長煙管』と思われます。本件もまた、ヴィランズによる犯行予告の疑いがあるとして、H.O.P.E.で対応することになりました」
 淡々とした口調で説明は続く。
「本件の目的は、第一にクリスマスイブ当日の現地および不審人物への警戒と対応、第二に事件発生の防止あるいは発生後の収拾、第三に犯人の身柄の確保となります。ただし、先日の盗難事件に関与した7人の身元は依然として不明であり、本件の彼女たちが同一人物である保証もありません。したがって、彼女たちが明確な問題を起こさない限りは強制的に拘束することもできません」
 一角がタブレットを操作すると、7人の姿と箇条書きの情報が映る。
「これらは前回の交戦時のデータを収集、映像として補完したものです。後ほど資料でもお配りします。本件は大規模あるいは深刻な戦闘に発展する可能性は低いと目されますが、念のためご確認下さい。説明は以上となります。……他に何か、真田からあれば」
 心底嫌そうな顔で、一角が隣の、一応は先輩にあたる真田を見やる。コイツにふるとロクなこと言わねぇんだよなぁ、という心の声が透けるようだ。
 真田はひとつ頷くと、手元のタブレットを操作した。
 ホログラムに煙管の映像が映る。
「これは参考というよりも、あくまで私見です。先日、美術館から奪われた『吉野太夫の長煙管』と呼ばれる品ですが、代々の吉野太夫の間で密かに受け継がれてきた煙管と言われていて、『薄紅のたゆたう煙に見る夢ぞ、あらまほしき』と口伝にて言い添えられていたそうです。着物姿の彼女は先日の件でも、煙管の煙で錠前をたやすく溶かしてみせました。煙管、口伝、聖夜の夢……私の妄想にすぎないかもしれませんが、意識の片隅にでも留め置いていただければと」
 意外と真面目な話の内容に、一角が隣で心底驚いた顔をしている。
 真田は真剣な表情で、タブレットを見つめている。
「……甘くて、イイ気持ちの、素敵な夢かぁ……いいなぁ」
 一角の視線が一気に冷え込んだ。
「私たち職員には、クリスマスもイブもありませんよ。お仕事は夜通しありますから。楽しみですね」
 ニッコリと満面の笑みで真田を見やる。
「あ、はい」
 真田はコクコクと頷いた。

解説

●目的
1)当日の現地および不審人物への警戒と対応
2)事件発生の防止/事件発生後の収拾
3)事件発生後の犯人の確保(可能であれば

●場所
 東京、秋葉原

●時間
 24日、クリスマスイブの夜

●敵状
『ハロウィンの7人』(仮称)
王女
 武装:鞭
 リーダー的存在。堅実な戦術眼。
 鞭の使い手(手数と速度重視か?
天使
 武装:槍
 見た目にそぐわぬ巧みな槍の使い手。
 飛行能力あり
紳士
 武装:ステッキ、マント(?)
 霧のように化ける特殊技能有り(回数、使用時間の制限あり?
拳士
 武装:拳
 格闘術の使い手。好戦的。
遊女
 武装:煙管
 煙による融解攻撃、目くらまし、その他BS効果の可能性あり。
魔女
 武装:宝石
 宝石を用いた攻撃術(宝石を消耗、使い捨て?
海賊
 武装:不明
 身軽かつ高い身体能力、情報収集能力

●諸注意・備考
・「ハロウィンの7人」は愉快犯の傾向が強い
・映像に明らかに映っていたのは王女、天使、遊女の3人のみ
・他の4人が今回の件に関与するかは不明
・遊女が手にした「吉野太夫の長煙管」に注意が必要か(真田情報)

リプレイ

●2017年12月24日――秋葉原
 クリスマス・イブの秋葉原駅前はいつにもまして賑わっていた。
 華やかなイルミネーションの中を人々が行き交う。ある者はどこかソワソワと、ある者たちはスマホの画面を囲んで盛り上がっていた。
「マジで今日やるのか」「wktk」「まとめサイトの場所回ってく?」
「やめたほうがいいですよ」
 男たちの会話に口を挟んだのは、新城 霰(aa4954)と都呂々 鴇(aa4954hero001)だった。
『彼らの目的は迷惑行為そのものです。行ったってなにもないと思います』
 きっぱりと否定されて男たちもその気をなくしたのか、大人しく去って行った。
『7人の一番恰好悪い退場の仕方って、良い夢を~なんて言ったけど何も起こりませんでした! だと思うんだ』
「まずは地道に人を散らしつつ、あとは煙をおさえる事と、できるなら証拠品である煙管の回収が目標かしらね」
『それができるように、がんばろっ!』 
 二人は例の7人に顔が割れていないのを利用し、人の多い場所で一般人にまぎれつつ、不審人物への警戒と対応、索敵にあたっていた。
 そのため、表向きは紺のダッフルコートにズボンと靴という地味めの出で立ちをしている。
 また、ライブスで生成した鷹も飛ばして、上空からも警戒する。
 天使には飛行能力がある。どこかの建物の屋上から舞い降りてくる可能性もあった。
 通信機はONのまま、常時情報を共有している。
 上空をもう一匹、べつの鷹の姿が飛び交っていった。
『何かしらイベントがあるたびに、この手の輩が騒いでいるな』
「まぁ、騒ぎたくなる気持ちも、分からなくはないけどね」
 眼下に見える街を見下ろしながらうんざりしたような声をあげるベルフ(aa0919hero001)を九字原 昂(aa0919)がやんわりととりなす。
 秋葉原中心街のビル屋上に陣取り、不審者や騒ぎを警戒していた。視線の通らない死角には、鷹を飛ばしている。
『なんにせよ、周りに迷惑をかけないやり方をしてほしいもんだ』
 ベルフは小さくため息をつく。
「このクリスマスの時期にゲリラライブとか変な奴等もいるのね」
『せっかくのクリスマスなんだから家でチキンでも食べてればいいのに』
 雪室 チルル(aa5177)とスネグラチカ(aa5177hero001)はスマホを片手に街を練り歩いていた。
「何にせよ万が一ってこともあるだろうし、警戒はしておこうね」
『以前にやらかした連中らしいし』
「あ、さっき話してたまとめサイトってこれかな?」
 二人の担当は街中の探査と、スマホによる情報収集だ。
 SNSなどを中心にライブの情報をチェックする。霰たちから共有のあったサイトを見つけ出して、さらに仲間たちに伝える。
「今回は場所が物凄く広いし、手分けして調べないとね。犯人を見つけたら、みんなにも連絡して、見張って、怪しい行動をしたら、確保ー!」
『それまで攻撃とかはやめとこうね。相手の目的もさっぱりわからないし。口伝とかを聞く感じだと、幻惑系の何かを使ってくる可能性もあるよ」
「煙とかに気をつけた方が良いのかな?」
『とにかく、何か事件が起きてから、乗り込んでいく感じだね。犯人も捕まえたいけど、まずは被害が出ないようにしないと』
「まあ、あたいが頑張るんだからそこは問題ないかな!」
『慢心しちゃ駄目だよ。相手の人数は多いんだから』
 スマホを片手に、二人は秋葉原の街を歩く。
「騒動は最小限に確保する。犯罪者を捕まえる方がエージェントとして功績になるんだろうけど、何も起こらないならそれに越した事はないよ。警察や軍人は暇な方がいい」
『徹は枯れておるのう。男子であれば功を立て名を成さんとするものであろうよ』
 口ひげのかかれた可愛らしい猫型マスクを装着した乙橘 徹(aa5409)とハニー・ジュレ(aa5409hero001)は地図と怪盗たちの画像を手に街を探索していた。広場や公園、道路、先ほどチルルたちから共有のあった場所などを調査しつつ、目撃情報の聞き込みも進めていく。
『こんなに大々的に捜査して大丈夫かのう』
「怪盗は愉快犯、クリスマスが寂しいとも言っていたから、反応があるのは嬉しいはず。一般人に警戒心を与える意味もあるし、避けられても追い込みになる。あとはなるべく軽い罪状で確保できればいいんだけど……」
 徹の言葉に、ジュレがやれやれと首を振るが、口元に浮かんでいたのは優しげな笑みだった。
「ゴミのように群がるが良いわ、か。王女とやら、なかなか――」
 動画を再確認をしていた狒村 緋十郎(aa3678)の足の甲をレミア・ヴォルクシュタイン(aa3678hero001)が皆まで言わさず踏み躙る。
「痛っ、痛い、すまないレミア、失言だった…ッ」
『ところかまわず、誰彼構わず欲情するなんて。調教の必要がありそうね』
 緋十郎が首から提げている赤黒い宝玉の幻想蝶を掴み、手綱の如く引き寄せる。
「もちろん、喜んで! 愛しの我が主! 俺にはレミアだけだ」
 レミアは不機嫌そうに鼻を鳴らすと、即座に共鳴、漆黒の外套をはためかせて、ビルから中空へと身をおどらせた。建物を次々と渡り、眼下の街を哨戒する。
「煙管は持って逃げられるくらいなら壊す。あと遊女は絶対捕まえる」
 琥烏堂 晴久(aa5425)が抑えた声で告げると、琥烏堂 為久(aa5425hero001)は小さく首をかしげた。
『随分と執着するね』
「だって、あの時盗られた煙管でこんなことされてるんだよ? 流石のボクもおこだよ」
『愉快犯のする事だ。余り気に病むことは……』
「絶対煙管諸共確保してやる。ライブなんてさせてやらないんだから」
 眼尻を釣り上げ、据わった瞳で周囲を警戒している。
 為久は晴久の頬を指先でやさしくつねる。
『……可愛い顔が台無しだよ』
「兄様……!」
 晴久の機嫌は即座にV字回復した。
 そのまま共鳴、モスケールを装備して、高所からライブスの変動を監視する。
「会場が移動式、なんてことはないよね」
 大型車両の荷台に目を向けるが、見たところ異常はない。
『そちらは、任せるとしよう』
 赤城 龍哉(aa0090)とヴァルトラウテ(aa0090hero001)は情報を得ながら地上の大型車両を洗い出していた。
「エリアはある程度見込みが付いたが、絞り込むにはピースが足りねぇ。ゲリラライブって言うなら、一ヵ所に留まるとも限らねぇし」
『例えば、トレーラーによる移動ステージでしょうか』
 偽装車両をステージに仕立てた突発的な路上ライブの可能性はある。
 エリア内で当てはまる車両は、一通りチェックをさせてもらっていた。
「今回は3人が首謀者って形に見えるが」
『それ故に残る4人の動き方は予想し難いですわね。正直、潜在的なシンパを増やすとか、そんな仕掛けがあっても驚きません』
「神秘的ってか、カリスマってのか、今回の3人は周囲に何らか影響力を発揮しそうな印象だしな」
 前回は謎掛けに引っ掛けた物品の盗難だった。今回も言葉通りに観衆を楽しませるだけかは怪しいと睨んでいた。
「連中は何がしたいんだ? まさに愉快犯の行動だ」
『う~ん、あの映像だけを見ていると今回は悪さをしないのかも?』
 御神 恭也(aa0127)と伊邪那美(aa0127hero001)の二人は警察の協力を得て、監視カメラの映像から怪盗たちの姿を探していた。
『ねえ、貰った資料だと顔は仮面で隠されてて、誰が犯人なのかは分からないんじゃないの?』
「背格好でまずは振るいに掛ける。後は買い物をしているかしていないか。ある程度は絞り込める」
 条件に当てはまる人物は情報を共有、仲間に追跡してもらう。
「正直、適当な理由をつけて拘束したいんだが……」
『流石にそれをやったら怒られるんじゃない?』
「このまま尻尾を出してくれれば良いが……」
『何か心配事?』
「いや、あの遊女の煙管なんだが、高所から煙らせたらと思ってな」
『煙が散り過ぎて効果が無いんじゃないかな』
 紀伊 龍華(aa5198)は秋葉原駅前の広場が一望できるデッキに立っていた。
「秋葉原は二次元と三次元が交錯する場所という意味では、空想の世界に近づける地域。なら、聖夜のゲリラライブで送るであろう素敵な贈り物は、正しく夢であり、訪れたもの達を幻惑か睡眠状態に陥らせ現実とは異なる夢を見せるのではないかな」
 ノア ノット ハウンド(aa5198hero001)は風にそよぐ長い髪を押さえながら、隣の龍華を見ている。
「前回の報告書から、怪盗達はリンカーかそれに近しい存在だと推測できる。なら、夢を与えるには何らかのスキルを用いてくるのではないかな。ただの演奏ライブだけでは終わらないはず。今回焦点を当てられている三人が主なライブ役、他四名が工作を仕掛ける役、演者と裏方とで別れている可能性もある。あとは前回、情報の裏を書かれたけど、逆に言えば新人リンカーの情報は少なめかな」
 一通りの考察を終えて、龍華が隣のノアを見やる。
「……っていう予測なんだけど、どう思う?」
『大外れしてたら爆笑です。ちなみにノアは愉快犯は大歓迎ですので、単に予定のない退屈な人達にサービス旺盛のライブをしてくれるだけだと予想するです』
「……待って、そう言われるとそんな気もしてきた」
 途端に、龍華がキョドる。本人に自信は全くなかった。
 ともあれ、二人は推察にのっとり、人よりも物、ライブが可能な広い場所を中心に調査を進めている。
「未然に防ぐのはちょっと難しいね。目指すのは被害の減少。相手は逃走ルートを用意しているだろうから、地形や隠れられそうな場所の把握も余裕があればしておきたいんだけど――」
「ブラーボゥ。素晴らしい推理だ、名探偵君」
 ふいに、背後から声をかけられた。

●ライブ
 最初に異常に気づいたのは、高所から監視をしていた昴とベオだった。
「人が減っている……?」
『かすかに、靄も出ているな』
『ライブスの反応もあります』
 琥烏堂兄弟が情報を付け足す。
「……あっちですね」
 昴が鷹の目から眼下の人の流れを推し量る。アトランダムにも見えるが、特定の方角に若干の指向性がある。
「その方角だと、リストにあった広場があるよ!」
『さっき見た感じでは何もなかったがのう』
 チルルの情報にジュレが疑問を呈する。
「監視カメラの映像が拾えた。これは……」
『人がいっぱいだよ!』
 恭也と伊邪那美の驚きの声。
「決まりね」
 言うが早いか、黒い外套をはためかせてレミアが宙に身を躍らせる。
 それと同時に、新たな情報が共有される。
「こちら、新城。煙の発生源と思われる人影を追跡中」
「……兄様!」
『もちろん。ハルの望むままに』
 共鳴し、霰たちの方へ急行する。
「俺たちは広場に行こうか」
「私たちも行くよー!」
 徹、チルル、龍哉たちも地上から現場に向かう。
 龍哉たちも地上から現場に向かう。
「俺たちは念のため監視を続けます。増援が必要なら呼んで下さい」
「集会の届出が出ているか、警察に確認を頼んでいる」
 昴は監視、恭也は警察との連携を担うことにした。 
「こりゃすげぇな。いつの間にって感じだぜ」
 現場近くにいた龍哉たちが到着、様子を共有する。
『集まっている人々は魅了に近い状態みたいですね』
 人の密集した広場は、それに反して静かだった。誰もが恍惚の表情で中空を見つめている。
 あたり一帯にはほんの薄っすらと靄が広がっている。
 やがて、わっと割れるような歓声が響いた。
 観客たちが両手をあげて見守る中、空からひとりの天使が舞い降りる。
「ごきげんよう、これだけの皆さまにお集まりいただき、感謝の念に耐えません。これもまた、主のお導きでしょう」
 胸の前で祈るように手を合わせる。
「皆さまと私たちは同胞です。ともに現実で苦しみ、悩み、世界を怨む……どうぞ今夜一夜限り、全てを忘れて楽しんで行って下さい」
 天使の手にしていた槍が、龍哉たちの見守る前で、マイクに変じる。
「それでは聞いて下さい。私たちからのクリスマスプレゼント……」
 どこからともなく、スポットライトがあたり、音楽が鳴り響いた。
 怪盗天使はフリフリの白いサンタドレスをひるがえしながら、クリスマスらしいオリジナルとおぼしきブリブリのアイドルソングを歌い上げてる。
「これはまた、なんつーか……」
『歌声と演出は素晴らしいと思います』
「ノリノリだね!」
『冬よ! 冬のフェスティバルよ!』
 龍哉とヴァルトラウテの会話に、おっつけたどり着いたチルルとスネグラチカが乗る。
「演出……?」
 それに対して、首をかしげたのは徹だった。
 徹たちの眼には、薄暗い広場で宙に浮かんだ天使が槍を手にカラオケを歌っているようにしか見えなかった。
『考えられるとすれば、コレかのう』
 徹が装着している猫型のマスクを指して言う。
 煙への対策に着けていたもので、若干だがライブス攻撃への防御効果もある。
 観客たちの熱狂ぶりからするに、彼らにも同じものが見えているのだろう。
 薄っすらとした煙は一般人ほどではないにしても、リンカーたちにも多少の効果を及ぼしているようだった。
『騒ぎが起るまで拘束は控えろとか、一角は言ってたけれど……どう見ても同一人物ね」
 近くの建物の上から、レミアは天使の姿を捉える。
『こちら鴇、対象と接触』
『煙管と遊女を確認、間違いなく盗まれた煙管と、盗んだ張本人ですね』
 共鳴状態の鴇と、為久から通信が入る。
「こちら御神、集会の届出は確認できず。警察に包囲を要請」
『最低限の体裁は整ったな』
「俺たちは引き続き、周囲を警戒しています」
 ベルフと昴からも通信が入る。
 証拠はもう充分とばかりに、レミアは魔剣、闇夜の血華を手に飛び出した。
 外套を羽のようにはためかせて、天使へと肉薄する。
 それを迎撃したのは、無数の鞭の奔流だった。
 魔剣でいなしつつ、レミアが観衆の合間に降り立つと、その前に立ちはだかった人影が、スカートと鞭を手に、一礼をする。
「ご無沙汰しておりました、レミア様」
『ハロウィンぶりね、『王女』様。わざわざ会いに来てあげたのよ、光栄に思いなさい。それで、今夜はどんな趣向を見せてくれるのかしら』
「今日の主役は彼女ですので……私はせいぜい、こちらで愉しんでいただくことにしましょう」
 手にした鞭をふるい、無数に霞む穂先で結界を為す。
『折角のイヴの夜に暇を持て余してるというなら……わたしが遊んであげるわ』
 レミアは悠然と微笑みで応える。魔剣の刃が月明りを返して燦然と輝く。
『薄紅のたゆたう煙に見る夢ぞ、あらまほしき……幻惑効果の煙を吹き出す能力でもあるのかしらね、あの煙管』
 魔剣の振り下ろしで衝撃波を生み出し、薄く烟る煙を吹き飛ばす。
 地を蹴って迫るが、王女はそれに応じるでもなく、横に飛んで、観客の中に紛れてしまう。
『人間風情がわらわらと目障りね……《退きなさいッ!》』
 レミアの咆声に、周囲の人だかりが下がり、大きな円状に開けていく。
 その間隙を突いて、王女の反撃が飛んでくるが、鞭の連撃をレミアは魔剣の刃でいなし、防いでいく。
『速さはなかなか良い線行ってるけれど、重さが足りないわ』
 身の丈をゆうに超える巨剣を細腕で振り回し、王女へと猛攻を仕掛けて、追い詰めていく。
「ええ、それはもう、前回の件で痛いほど。ですので――」
 レミアが鞭の持ち手を、ゆるりと振るう。
 無数にほとばしっていた鞭の穂先が結集し、巨剣を弾き返す。
「このような技をご用意しました」
「……悪くないわね」
「それは、重畳」
 白い牙をむき出しにして笑うレミアに、王女も微笑みを返す。
 応酬はさらに白熱していく。

●一夜の夢
 路地の中を1つの人影が歩いて行く。
 共鳴状態の鴇はあとを気付かれないようにつけていた。
 どこへ向かうのか、仲間と合流するのか、連絡手段は。
 人影のない開けた路地で、人影は足を止める。
「そろそろぉ、姿を見せてほしいなぁ、なんてぇ」
 短い逡巡。
 簡単なアイコンタクトの後、鴇は今回、影に徹すると決めた。
 先制したのは、為久たちだった。
 呪符による氷の牢が、遊女のまわりを取り囲む。
『やあ、久しぶりだね。会いに来たよ』
 晴久の気持ちも含めて、為久が語りかけた。
「あらぁ、その声はぁ、おひさしぶりぃ。ハロウィン以来かしらぁ」
 遊女は煙管を手に、心底嬉しそうに微笑んでみせる。
『その煙管で、一体どんな夢を見せるつもりなのかな?』
 遊女は艶めいた笑みで答える。
「すてきなぁ、甘い夢ぇ……誰もがぁ、胸に抱いてぇ、打ち明けられないことぉ、苦しみもぉ、悲しみもぉ、ぜぇんぶ忘れられるような……素敵な、夢。たとえ、一夜でも」
 遊女の瞳に切なげに陰る。
『……君の望む夢も聞いてみたいな』
 遊女はかすかに目を見張り、ほんのりと喜びを口の端に浮かべた。
「兄様! どうしてそんなに熱烈なの……?!」
『待って、ハル、今そういうところじゃない……』
 うふふ、と遊女は笑う。
「とぉっても、すてきぃ……でもぉ、そろそろかしらぁ」
 ちょうどその時、通信機からライブの始まりを告げる報告があった。
 鴇たちも接敵の報告を返す。
「わたしもぉ、行かないとぉ」
 遊女は懐からべつの煙管を取り出して、ひと吸い。吐き出した煙が氷の牢を崩し、そのまま為久たちに迫る。
「行かせるとでも?」
 飛び出した鴇が、不意打ちぎみに遊女に迫る。放たれた銃撃は、しかし新たな煙の膜によって溶かされる。
 為久がゴーストウィンドで相手の弱体化と煙の霧散を狙う。
 吹きすさぶ不浄の風と煙の境界。
 遊女はまた煙管をひと吸い、風の収まりとともに、細くたなびくように煙を吐きかける。
 蛇のごとく迫る煙が二人の衣服をかすめて溶かした。
 為久はたしなみとばかりに、肌の出た箇所をさりげなく隠す。
「変態……!」
 どうやら、意識の中の晴久の方がダメージが大きかったらしい。普段、あまり肌を見せない分、恥ずかしいらしい。
「そこだ!」
 鴇の放ったライブスの針が遊女に幾筋も突き刺さる。
「っ……」
 よろめく遊女に、為久が追い打ちをかける。手にした魔血晶が砕け散り、血の奔流が走る。
『これで、終わりだよ』
 呪力の一撃が、よろめく遊女を捉えていた。

●聖夜の夢
 曲の終わりとともに、観衆は陶酔したように立ち尽くしていた。
 幸福な笑みを浮かべ、その瞳はここではないどこかを見据えている。
 彼らの合間を縫うようにして、徹、そしてチルルたちは天使の元へとたどり着いた。
 天使は地に降り立ち、二人に微笑みかける。
「メリー・クリスマス。今宵は素晴らしい聖夜です」
「メリー・クリスマスだよ!」
 共鳴状態のチルルが元気よく答える。
「ところで、みんなは大丈夫なの?」
「彼らは今、夢を見ています。心の底から望む、幸福の夢を」
「このままずっと?」
 天使は微笑む。
「煙と歌とあって、はじめて夢を見られるのです」
「ほうっておいたら目が覚めるってこと?」
「じきに」
「なにか後遺症とかは?」
「ありません。この魂に誓って」
 天使の笑みには一点の陰りもなかった。
「なら、退いてはくれませんか」
 その笑顔に、徹が声をかける。
「今ならまだ、大きな問題にはなりません。犯罪行為さえなければ捕まえる事はしません。うら若き女の子がイヴを留置所で過ごすなんてあっちゃいけない」
 天使は徹を見て、親しみを瞳に浮かべる。
「どこで過ごそうとも、この世界は変わりません。私たちは、私たち自身の他に、過ごすべき相手を持たない。この怨めしい世界に、無限の享楽を。それが私たちの闘いです」
「自分も面白い事は好きですよ。でも人に迷惑かけちゃいけません」
「誰にも迷惑をかけずに生きるのは、息をせずに生きるのと似ています」
 天使が槍を構える。
 徹たちも扇を構えた。
 先制は、チルルたちだった。
 ライブスをまとった一撃を、天使は手にした槍でいなす。つづく徹の追撃も、返す槍でさらに受ける。
 コスプレアイドルちっくな見た目に反して、天使の槍遣いは巧みだったが、挟撃されては手数で足りず、宙に飛び上がる。
「空を飛べても飛び道具が無いならばそう怖くありませんよ」
 徹が天使の面に立って構えた。
 急降下してくる彼女と打ち合うこと、数合。
 槍に圧されて、よろめき、脇を晒した。
「ふっ!」
 鋭く突きこまれる一撃を、徹はわざと受けた。そのまま、槍を捕らえる。
「ぐっ……雪室さん!」
「いっくよー!」
 チルルが手にしたロケットアンカー砲を発射。
 天使はとっさに槍を手放してクローを避けるが、ワイヤーに足を取られて、地に落ちた。
 痛む脇腹をおさえつつ、徹が天使に歩み寄る。
「クリスマスを一緒に過ごす人がいないなんて寂しい事言わないでください。自分、友達だと思ってましたよ。そういえば、まだ名乗ってなかったですね。乙橘、乙橘徹です」
 そう言って、懐から小さな小箱を取り出す。クリスマスにちなんで、小さなスノードームのついたリングだ。
「無罪放免とは行きませんが、拘留が明けたら迎えに行きますよ」
 口先だけではない、心からの言葉。
「徹様……ありがとう、ございます」
 天使はそれらをうけとり、うなだれる。
「それでも……私たちは、まだ諦めるわけにはいかない」
 いつもの儚い口調ではなく、強い決意の宿った言葉だった。
 同時に、広場に乱入する影。
「セイァッ!」
 狼の被り物をつけた道士服の女性が飛び込み、天使の拘束を外した。
 天使は槍を手に、体制を立て直す。
 新たな乱入者の姿に、さらに飛び出した影があった。
 共鳴状態の龍哉は、拳士へと一気呵成の一撃を叩き込む。
「皆、悪いな。ちょいと用事が入った。しばらく任せるぜ!」
 飛び退る拳士を追って、さらに拳を交える。
「久し振りだな。今回は会えないかと思ったぜ」
 衝撃力を増した一撃で構えを崩し、関節を取りにいく。返し技の応酬となる。
 仕切り直して、再び、距離を取る。
 狼の皮の下で、拳士は形の良い口唇で獰猛な笑みを作る。
「アタシも今日は出ねぇつもりだったんだけど……まぁ、アンタとはまたヤる約束してたしな」
 その言葉に、龍哉は拳で答える。
 いくらかのフェイントを交えて、疾風怒濤の連撃。
 拳士はそれをいなし、撃ち落とす。
 それから、再び大きく距離を開けた。
「いつも、忙しなくってワルいな」
「……まだ名前は教えて貰えないのか?」
 闘いの終わりを感じて、龍哉が問いかける。
「アンタが知らないなら、まだアタシには名がねぇってことさ。次、ヤる時には、名乗れるといいな!」
 意味深い言葉を残して、拳士は退くと、天使、そして王女と合流した。
 レミア、徹、チルル、龍哉とで包囲を敷こうとするが、
「これにて、ライブはお開きです。皆さま、ごきげんよう。また会う日まで」
 まばゆい閃光。
 それが晴れる頃には、彼女たちの姿はなかった。
 残された観客たちは、夢から覚めていく。
「ここ、どこ?」「え、なんで」「今の、夢?」
「落ち着いて! まずは順番に大通り方向へ……」
 徹が声をかけるが、ざわめきと動揺は波紋のように広がっていく。
 このままパニックになるかと思われた時、空から光る飴玉の雨が降り注いだ。
「みんなー! メリー・クリスマース!」
 広場から見える建物の屋上には、光り輝くアイドルっぽいドレスを身にまとった晴久の姿があった。
「もうすぐ救急車も来るから、体調の悪い人は言ってねー! あとは、歌と踊りと、クリスマス、楽しんでね!」
 そうして、おもむろに歌って、踊り始めた。
 マイク代わりに手にしているのは、奪われたはずの吉野太夫の煙管だ。
『残念ながら、助太刀が入って、遊女は逃しました。今、九字原さんたちが追っていますが……』
 いつのまにか、息を切らした鴇と霰が隣に立いた。
「九字原です。遊女の拘束を試みるも失敗、ロストしました」
「御神だ。警察の包囲網にもひっかからず。逃げられた」
「ま、いいじゃねぇか」
 戻ってきた龍哉が、あっけらかんと言う。
「モノは奪い返した、けが人も被害もねぇ、みんな幸せそうな顔してる。クリスマスにこれ以上はねぇよ」
 視線の先で、チルルとスネグラチカは幻影の飴に手を伸ばしつつ、はしゃいでいる。
「やることが終わったらあたい達もクリスマスケーキ食べに行きたいな! 折角のクリスマスだし」
『それは賛成! ついでにクリスマスチキンがあるとなお良いよね』
 誰ともなく、ほっと肩の力を抜き、笑みを浮かべた。
 今日は、クリスマス。
 そこに笑顔があるのなら。

●閉幕
「どうやら、あっちも終わったようだ」
 ビル群の向こうを見透かすようにして、紳士服に白マスクの女性が劇がかった口調で告げた。
「お二人には、ここまでお付き合い頂き、感謝の極み」
『いえいえ、楽しかったですぅ』
「こちらから持ちかけた話でもあるからね」
 ノアと龍華がそれに応じる。
『友人でも何でもないけど折角のクリスマスだ、俺が付き合うから他の人には手出ししないで欲しいな……な〜んて、さすが、かっこいいですぅ』
 ノアのからかいに龍華がぷるぷると震える。
「さすが、我が最大の好敵手。頭脳明晰にしてキメるべきところをキメる」
 怪盗紳士があおって、龍華はさらに羞恥に打ち震えた。
 三人の会話は常時こんな感じだった。
『でも、紳士さんは向こうに行かなくて、本当によかったですぅ?』
「企みのことごとくを見破った危険人物を行かせるわけにもいかないさ。少しでも長く、少しでも多く、この世界に享楽を」
「それが、貴女たちの闘い」
「そして、レゾン・デートル。では、私もこれにて。さらば名探偵、また会う日まで、アデュー。そして、メリー・クリスマス」
 ひるがえしたマントとともに、紳士の姿は霧のようにかき消えた。
「これで良かったのかな?」
『ノアは紳士さんとのお話、楽しかったからいいですぅ』
「面白い人ではあったけど。変だけど」
『名探偵はクヨクヨしないですぅ』
「それはやめて……」
 二人は、踵を返す。
 華やかなクリスマスの街の中、仲間たちのところへ。

結果

シナリオ成功度 大成功

MVP一覧

重体一覧

参加者

  • ライヴスリンカー
    赤城 龍哉aa0090
    人間|25才|男性|攻撃
  • リライヴァー
    ヴァルトラウテaa0090hero001
    英雄|20才|女性|ドレ
  • 太公望
    御神 恭也aa0127
    人間|19才|男性|攻撃
  • 非リアの神様
    伊邪那美aa0127hero001
    英雄|8才|女性|ドレ

  • 九字原 昂aa0919
    人間|20才|男性|回避

  • ベルフaa0919hero001
    英雄|25才|男性|シャド
  • 緋色の猿王
    狒村 緋十郎aa3678
    獣人|37才|男性|防御
  • 血華の吸血姫 
    レミア・ヴォルクシュタインaa3678hero001
    英雄|13才|女性|ドレ
  • 闇に光の道標を
    新城 霰aa4954
    獣人|26才|女性|回避
  • エージェント
    都呂々 鴇aa4954hero001
    英雄|16才|男性|シャド
  • さいきょーガール
    雪室 チルルaa5177
    人間|12才|女性|攻撃
  • 冬になれ!
    スネグラチカaa5177hero001
    英雄|12才|女性|ブレ
  • 閉じたゆりかごの破壊者
    紀伊 龍華aa5198
    人間|20才|男性|防御
  • 一つの漂着点を見た者
    ノア ノット ハウンドaa5198hero001
    英雄|15才|女性|ブレ
  • ガンホー!
    乙橘 徹aa5409
    機械|17才|男性|生命
  • 智を吸収する者
    ハニー・ジュレaa5409hero001
    英雄|8才|男性|バト
  • 奪還屋
    琥烏堂 晴久aa5425
    人間|15才|?|命中
  • 思いは一つ
    琥烏堂 為久aa5425hero001
    英雄|18才|男性|ソフィ
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