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WD~再訪問みんなでアソボ~
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最終発言2017/05/14 23:09:08 -
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最終発言2017/05/13 20:18:01
オープニング
● 再訪問!!
「ここが遙華御用達の孤児院か……」
春香はそびえたつ孤児院を見渡すとため息をつく、瞼を下ろすと脳裏にちらつく記憶があった。
それはかつて、戦いと言う物を知らずに生きていた時の記憶。
春香はガキ大将であった。同じマンション、同じ地区の子供たちをまとめ上げて遊びに出たり、子供を置いて出かけなくてはいけないお父さん、お母さんのために留守を預かったり。
自分より幼い子供たちに触れる機会は多かったのだが。
今は違う。
「らら。春香?」
眉間険しくゆがめた春香。
彼女は自分の手を引くerisuによって現実へと帰る。
「どうしたの? erisu」
そう春香はerisuを覗き込む。
「つらい?」
erisuは、時々、ぞっとするほど自分の心を言い当てる。
彼女には判断しようがないはずなのに。
彼女には自分の過去を話したことはないはずなのに。
なのにerisuは自分が今、泣きそうなくらいに胸を震わせていることを知ってる。
「平気だよ……」
でも。
「いや、さみしいところにあるなぁ、ってちょっとびっくりしただけだよ」
でも嘘をついた、自分を気遣ってくれている子供に、何でもないよと告げた。
で、あるからにはなんでもなく振る舞うべきである。
春香は自分の頬を叩いて前を見る。
「よし! 会いに行くよ」
「ららら!」
erisuも春香の真似をして頬を叩くのだが、それが見ていて痛々しいので、春香はerisuのほっぺをびよーんと伸ばして遊んだ。
● 訪問目的
今回この孤児院を訪問したのは一時的に預けられている少女に合うためだと、春香は保母さんたちに説明した。
「金蛇の村から、能力者適性があるってことで連れてこられたナイアさん。彼女の協力を仰ぎたいんです」
それはアメリカ奥地、とある現代から隔離された村。そこで愚神に憑依された少女の名前。
ナイア・レイドレクス。彼女はペインキャンセラーの影響を受け、しかもガデンツァの差し向けた、もしくはガデンツァの貴下に加わった愚神と共鳴していた可能性が高い。
さらに彼女は自分たちの知らないことも知っている気がした。
だから、彼女ともっと詳しい話を聞けないかと訪れたのだ。
本来はH.O.P.E.の諜報部だとか、そのあたりの人間がやるべき仕事ではあったのだが。
今回は遙華の孤児院訪問の日程を肩代わりする意味でもここにきている。
「前回リンカーの人たちがきてくれてから子供たちは、また来ないかなって楽しみにしていたんですよ」
そう保母さんは微笑みつつナイアに与えられた個室に案内する。
その扉を引くと春香は窓辺で風を受けるナイアを見つける。
「あなたが、ナイアさん?」
その言葉に少女は振り返り微笑んだ。
● ターゲットについて
・ナイア・レイドレクス 十二歳
シナリオ名『WD~金蛇の村~』で愚神に憑依されていた女の子。
非常に高い能力者適性があり、彼女もリンカーとした活動することを希望したために、一度日本にうつされた。
今後の方針は適合する英雄が日本にいるかどうかだが、とりあえず住む場所が無いので孤児院に預けられている。
外見とは裏腹に性格は大人びていて、怪しい雰囲気を醸し出している。
今回の調査対象。ガデンツァ、もしくはルネにであったことがあるかを聞くこと。
そしてさらに詳しい精密検査を受けるための説得が今回の主目的。
ただ彼女と仲良くならなければ情報は得られないでしょう。
仲良くなると言っても必要なのはH.O.P.E.という組織の信頼性。
彼女と同じ世代の子供たちと笑い合う姿を見せて彼女の信頼を得ましょう。
また、信頼を得た状態であれば皆さんのいろいろな情報に答えてくれるはずです。
● 孤児院訪問スケジュール。
今回は遙華が定期的に行っている孤児院訪問イベントでもあるため子供たちと触れ合っていただきます。
子供たちには年齢と性別で下記の特徴があります。ターゲットを絞ることで仲良くなりやすいでしょう。
*四歳から六歳*
無邪気で疑うことを知らず素直。ただし下限という物を知らず常識もよくわかっていない。
*六歳から八歳 *
何でも知りたがるお年頃、また我欲が強くなり、私を見て状態になりがち。ケンカも起きやすいお年頃
*八歳から十歳 *
ませてきた年頃。話をするということの面白さを知ってきたころであり、大人を侮る発言なども多くなってくる。
*十歳から十二歳*
思春期まっただ中。自分が特別な存在であると信じていたが、だんだんとそうじゃないかもと思い始め心のよりどころを探すお年頃。
中には施設に入り込んできたリンカーたちを敵視して悪戯を仕掛けてくる子供たちもいるでしょう。
*女子*
男性女性問わずなつきやすいが、威圧感のある人は嫌う傾向にある
*男子*
女の子がスキ、男性には挑発的。悪戯盛りなので過激な行動に注意
イベントを時系列順で下記に並べましたので確認してみてください。
到着 一日目 十三時
1 ふれあいタイム
子供たちと触れ合っていただきます。
ここでは施設を利用した遊び、持ち込んだ企画などでまずは子供たちに自分たちは友好的な存在であると教えてあげてください。
2 就寝タイム
寝る前の準備も手伝っていただきます、子供をお風呂にいれたり、髪の毛を乾かしたり。夜寝る前に子供たちの興奮を冷ましてあげる必要もあるでしょう。
年齢層の高い子供たちはパジャマパーティーを希望するかもしれません。
翌日二日目。
3 遠足。
近くの果物園へ果物狩りに行きます、春が旬の果物の他に温室もありメジャーな果物であればだいたい手に入りますし、狩れます。
ついでにメジャーな野菜も狩れます。子供には不人気です。
ここではキッチンの貸し出しもできるので果物料理など披露してあげるといいでしょう。
帰宅 二日目 十七時
今回舞台となるのは大きな施設です。敷地は二キロ四方で、L字の建物です。
南側が小学生棟 西側が小児棟です。
施設内は三階建て、二階三階は住居が集中していて、他にあるのは調理室と図書館です。
一階に娯楽室やリビング、多目的ルーム。放送室。職員室、保健室などがそろっています。
施設には大きな体育館、図書室、調理室など学校並に施設が充実しているので好きに利用してください。
解説
目標 子供たちと楽しく遊ぶ
● スターキャラクターについて。
この孤児院には他の子供たちとは違った個性を持った子供が数人いるので、ご紹介します。
・『黒鳥のファズ』 本名 小鳥遊 健吾 十歳 男
子供たちからはファズと呼ばれ親しまれている。窃盗の天才でアイテムを盗まれる危険性がある。
最近好きな子ができたようなんですが、その子と仲良くなるきっかけがつかめないみたいです。
相手が大人しい子なので、自分から声をかけた方がいいのか、声をかける方法はどうしたらいいのか、声をかけたとして彼女と何をすればいいのか。
すごく悩んでるみたいです。
・野島 正 六歳 男
数少ないリンカーである。常に共鳴しており、リンカーたちを見ると襲いかかってくる。
ドレッドノートの攻撃適性である。
今回は、前回リンカーたちの強さを目の当たりにしているので、実践的な戦闘方法を聞きたいようで、だれか彼に教えてあげると喜びます。
・ アイラ・レセクティス 八歳 女
金糸の目、金糸の髪の美しい少女。多くの男性児童を下僕としてはべらせている。自分のものにならない奴は嫌いである。
前回大人の魅力に当てられてから自分磨きに必死です。
女性としての魅力を高めるための談義のために、リンカーたちにパジャマパーティーを要求してきます。
女性PCは彼女に女の子としての振る舞いを、男性PCは男心を引く女性とはどんな感じなのか教えてあげると喜びます。
・ 三浦 ひかり 十一歳 女
アイドル夢見る少女。歌が得意。
足が悪く車いすである。
聴あ覚が優れており多数の声の中から、目的の声だけ聴き分けたり、絶対音感があったりする。
孤児院でナイアと仲がいいのはひかりのみのようだ。
ひかりは最近アイドルリンカーにご執心。彼女の前で歌を歌ったり踊って見せてあげると喜んで一緒に謳ったりしてくれることでしょう。
ちなみに、最近誕生日を迎えた。
リプレイ
プロローグ
「児童養護施設か、懐かしいな」
『(HN)井合 アイ(aa0422hero002)』はバスから降りるとのその建物を見あげて背伸びをする、町の奥地にこんな大型施設があると不思議な気分になるのだろう。
『九重 陸(aa0422)』はそんなアイに荷物を半分突き出して告げた。
「今日はアイさんがいるから、いっぱい遊んでも安心っすね!
「俺、小児科じゃないんだけどなぁ」
「あまり遊びすぎるなよ?どっちが子供か分からなくなりそうだからな」
そんな陸とアイの小脇を『ディオハルク(aa4472hero001)』が追い抜いて『逢見仙也(aa4472)』の背を追った。
「しっつれいな。俺だって大人らしいことは出来るっての」
そう振り返って答えた仙也、その拍子に前を歩いていた女性の方にぶつかってしまう。ガシャリとバックが地面に落ちた。
「あ、ごめん。大丈夫…………」
「ええ。問題はないですよ。…………やっぱり重たいので落児が持ってください」
そう『辺是 落児(aa0281)』へ『構築の魔女(aa0281hero001)』は告げる。
彼女の荷物はやたら多かった。
「重たいな、中身はいったいなんなんだ?」
「おもちゃと、演出用のアイテムと、いろいろです」
そう構築の魔女はギターケースだけ担ぎ直すと坂を上った。
「子供たち。盛り上がってくれるといいのですけど」
リンカーたちが孤児院に到着する。
第一章 てんやわんや
晴れ渡る空に粉じんが巻き上がる、グラウンドに響くのは靴底をすり減らすような急ブレーキと急加速の音。
「おーらー、ゴールうばっちまうぞー」
そう高らかに告げたのは『彩咲 姫乃(aa0941)』、少年少女たちを交えたサッカーは戦略も何もない、ボールに群がり奪い合うだけのものだったが、子供たちは嬌声を上げている。
その同じグラウンドでは仙也がかくれんぼの鬼を務めているのだが。
後ろを向いて十数えている間に、ポケットに違和感を感じて振り返った。
「やべ……」
そこには黒の衣服で上から下まで重ねた。いわゆるファズと呼ばれる少年が立っていて。その手にはチョコレートを握っていたのだ。
あれは間違いない。仙也のおやつである。
「お前……お腹減ってるのか?」
「人を貧しい子みたいに言うんじゃねぇ!!」
怒るファズ。
「チョコレートくらいくれてやるけどな、他のやつからは……」
「うるへぇ! ばーか」
そうファズはチョコレートをかじりながら走り去る。
グラウンドの様子を傍で見守る春香、『御門 鈴音(aa0175)』と『朔夜(aa0175hero002)』を挟んで向かいには褐色の少女ナイアが佇んでいた。
「ねぇ、話してくれないかな、君が見た物」
ナイアは口を閉ざして何も話さない。
そんなこの場に流れる不穏な空気に鈴音はあたふたし、朔夜はつまらなさそうに髪を弄んでる。
その時である。
「やっほー、みんないい子にしてたかな? 愛の天使、百薬お姉さんだよー」
サッカーを眺めている少年少女たちに『百薬(aa0843hero001)』が飛び込んでいった。
「おねーさん?」
「うそだーおんなじくらいにみえる」
「へんなおなまえ~」
凍りつく百薬。
「うわ、残酷」
そんな光景をにやにや顔で見守っている朔夜だったが、朔夜も他人ごとではない。
「銀ちゃんなんさい?」
八歳くらいの少女だろうか。恐れ知らずなことに朔夜へそう語りかける。
「私のこと?」
「小っちゃいね」
「あなた達みたいな味噌っかすと違って本来の私はいろいろすごいのよ? 見くびらないことね」
「お姉さん難しい言葉知ってるね?」
少女が告げる。
「当然! 私は魂を喰らう恐ろしい悪魔で貴方達人間の子供なんか一発でお陀仏……ってイタイイタイ! 髪を引っ張るなー!」
拳を振り上げる朔夜である。
「ああ、朔夜。なんであなたは……もう」
厄介事がさらに増えた鈴音は朔夜と百薬の元へ駆ける。
「えーっと、まあいいか」
そんな様子を尻目に『餅 望月(aa0843)』はナイアに歩み寄った。
「無事をお祝いしよう。レイアちゃんはこっちに来たんだね」
そう手を差し出す望月、ナイアはその手を取ってふわりと笑った。
「また会えるなんて思わなかった。助けてくれてありがとう、と言っておくべきかしら」
「それは、ナイアちゃんの気分にお任せするよ」
「じゃあ、複雑な気分ね。貧しい村にいなくてもお金が手に入る手段ができたのはありがたいけど」
「じゃあ、リンカーになってやりたいのはお金稼ぎ?」
「さぁ、どうかしら」
その時ボールが二人の間を割って転がった。見れば姫乃が手を振ってる。
「三船も来いよ! 果たして西大寺人気を越えることはできるかな?」
その声に腰を浮かせた春香。
「少し任せてもいいかな?」
そう春香は望月に問いかけると小さなカードのようなものを手渡す、望月はそれを受け取って快く頷いた。
すると春香はボールを蹴って日の下へ躍り出る。
* *
ハーメルンの笛吹というわけではないが、孤児院の中を行列が練り歩いていた、戦闘に立っているのは『イリス・レイバルド(aa0124)』と『アイリス(aa0124hero001)』
「とりあえずアイリスジャムでも配ろうか」
「ここでも!?」
そのアイリスジャムに虜になった子供たちがアイリスたちの後をついて回っているのだ。そしてその噂を聞いた子供たちも列へ加わる。
「……4~6歳ってこんなに幼いものだっけ?」
イリスは同い年の子供たちに囲まれながらそうアイリスに問いかける。
「そんなものだと思うよ。イリスは外界と接触を断っていた時期が長かったからしっくり来ないだろうが」
実際そうだろう、イリスは大人びている。ただ大人にならざるおえなかったというしかないのだが。
「……お姉ちゃんと会わなかったらボクも孤児院にいたのかな?」
「…………」
「その前に死んでた可能性高いけど」
アイリスが現れなければきっと、自分は、家族と一緒に。
そんな暗い思い出に浸る前に、後ろから少女がイリスに群がった。
「わー。おもいです! おもいです!」
その光景を眺めながら微笑むアイリスであった。
第二章 屋内遊戯。
春香は外から戻ると一際騒がしい部屋の扉を開く、そこは簡易的なカラオケ会場のようになっていて『斉加 理夢琉(aa0783)』と少年がマイクを握り、その前でひかりが手拍子して楽しそうにしていた。
「あら? 魔女さん」
ギターの練習中に子供たちに襲われたのだろう。背中に一人女の子を背負いながら構築の魔女は輪を作って指を使った遊びを披露している。
「あら三船さん、混ざって行かれます?」
「ううん、なんだかアリューさんが大変そうだからそっちに行くよ」
ゲームのルールは簡単。
身体の前に腕を握った状態からスタート。
親を一人決め時計回りに数字をして指定していきます。
そして、声にあわせ親指を上げるか下げるかし指定した数字と上がっている親指が一致した場合勝利。
「じゃぁ、いっせーのーでっ!」
それとは別に理夢琉の歌を聞いているアリューは大人しく子供たちに遊んでもらっていた。
「キレイキレイにしましょうね」
「お化粧しましょうね」
別に色が出るわけではないプラスチックの口紅だとか、櫛だとかでもみくちゃにされている『アリュー(aa0783hero001)』。
「大丈夫?」
春香がそう尋ねるとアリューは乾いた笑みを浮かべた。
「侮っていたよ……」
子供のパワーを、そう言葉に出すのも疲れるほどにアリューは疲弊していて。三つ編みを両側に生成されつつあった。
そんな一室の扉が開いてナイアが登場した。
ひかりは顔を向けて嬉しそうに車輪を回す。その手を止めて理夢琉が車いすを押してナイアの元に行くと理夢琉はナイアに手を伸ばす。
「一緒に歌おうナイアちゃんも、ひかりちゃんも」
春香は手拍子を繰り返し、最近話題のアイドルの曲や、光夜の曲など何曲か熱唱する。ひかりは楽しいねとナイアを見て笑い、ナイアは頬を染めてそっぽを向く。
そんな中、構築の魔女がステージに躍り出る。
煌びやかな衣装をみにまとい、ギターを担ぐその姿をみてひかりは……。
「あ! 会場でみてたよ! 魔女さんだったんだね。素敵な歌だった」
「見てくれていたんですね」
そう拍手を受けると構築の魔女は微笑んで。弦をはじく。
「どうも、初めまして。構築の魔女といいます。よろしくね」
そして歌を響かせた、悲しみを収めるような、癒すようなバラード。
その曲が終われば構築の魔女は『希望の音』を謳いだす。
その歌が響けば響くほどに理夢琉の表情は重たくなっていく。
それはナイアも同じだった。
* *
そんながやがやと楽しそうな一室を通り過ぎて遊夜は広場に戻った。
その手にはDVDのケースが握られているが、市販の真っ白な表面のディスクだった。
「よし、んじゃ俺達は映画でも見るか」
「……ん、力作だよ?」
くすくすと笑うユフォアリーヤに興味をかきたてられた子供たちが内容を聞き出そうと、ユフォアリーヤのひざや肩にまとわりつこうとする、しかしさすが孤児院のお母さんだけあって手馴れているDVDをセットする遊夜の邪魔はさせないように子供たちを抑えた。
そして放映されたのは遊夜の依頼時の映像。主観や他観を織り交ぜて編集されており、そこらのアクション映画より迫力がある。
子供たちは一瞬で大人しくなった。
「これでもいちおうコメディなんだけどな」
ダイオウイカやクジラ等の大物を相手にした大怪獣系バトル。
その映像に特に男の子は大興奮である。
「すげー!」
「俺もりんかーになる!」
「ただ、戦ってるだけじゃないんだぞ、ちゃんと考えながら戦ってるんだ」
遊夜は告げた。
「……ん、敵の見た目……行動から予測して、愚神、みんなの動きを見て、戦場は常に形を変えるから、考えてる」
ユフォアリーヤは胸を張って遊夜の言葉を継いだ。
「まぁそれは俺の役割だが」
「うむ、例えばここでは……」
遊夜は場面を一時停止。
「……予備動作があるから、ユーヤは上から来ると思ったんだよね?」
「動きから弱点は……」
「……ん、味方に合わせて……」
その時である。
「俺だったら何も考えず切り倒す! 俺は最強だからな!!」
直後感じたのは霊力。そして遊夜の端に見えたのはAGWの切っ先。
だが遊夜は共鳴はしなかった。
目の前に躍り出たのは金糸の少女。
「野島君。普通の人にAGWを向けちゃダメだって習わんかったのか」
遊夜は呆れた表情で正にそう告げた。
「リンカーだろ! これぐらい反応できなくてなんだ」
「いや、反応はしてたよ?」
そして正の刃を受け止めていたイリスが盾で正をはじいた。
「正くん?」
同年代とか珍しすぎて呼び捨てか君付けかで迷うイリス。
「とりあえず殺気とかバレバレだよね」
それに合わせてイリスがスタンバイしていたので、好意に甘えることにしした遊夜である。
「頼めるか?」
――最初からそのつもりだったろうに。
アイリスが告げ終るのと同時にイリスめがけて刃を向ける正。
しかし。イリスは素早く半歩横にスライド。大剣の横っ腹を殴って軌道逸らしはじいた。
「それと全力で振ったから反動で次の動きに繋がらないでしょ?」
次いでイリスは懐に入って腕と喉を掴みあげ、そして前に押し出した。床に転がるAGWと正。被害はなし。見事な手際である。
「お姉ちゃん、普通の6歳の動きってこんな未熟な感じなのかな?」
「お前! 強いな!」
その言葉を受けて 子供に見せてはいけない目で外を眺めるイリス。
「もっと強い愚神もいるよ」
「じゃあ、お前も倒して、愚神も倒す、強くなる秘訣を教えろ」
「それは……」
そんなの基礎訓練と模擬戦の繰り返し!
それを体現するために、二人はグラウンドに出た。イリス先生による特別講習は夜まで続く。
* *
一方そのころナラカと言えば。
割と人見知りするはずの十~十二歳の相手をしていた。
「そうかそうか、学校で淘汰されようとしてるわけだ」
ナラカはなぜか相談役になっていた。悩める十代の御意見番。彼女の前には列ができている。
「しからば、強くなるしかあるまいよ」
「けど、あいつらグループだし、俺ケンカが弱いし」
「私がいつ武力を身につけろと言ったんだ。要は心の強さと、何事かを成し遂げる意思さ」
「意思?」
「そう。人は何かを成し遂げた物には一目置くものだよ。そうなれば淘汰されることは無くなる」
そんな様子を眺めていた『八朔 カゲリ(aa0098)』ぼんやりとスマホを操作して仕事の情報を漁っていたのだが、突然カゲリは手を上に上げる、すると目の前を腕が通過した。
「くそ! 今日の獲物は感が鋭いな」
ファズである。
だがそんなファズの目の前に立ちはだかる少女がいる。
「こら! またやってんのか」
「うげ! 貧乏少女!」
姫乃を見ると嫌な顔をさらすファズ。
「お前。まさかまた……」
「そうだ! やはり俺は貴重品など碌に持っていないぞー!」
「くそ! 何もできない。俺はこんなにも無力なのか!」
そう四つん這いになって地面を叩くファズ、それをただボーっと見つめるカゲリ。
「だったら俺はお前から知識を奪う」
「ふふふ、すこし見ない間にそんなものまで盗めるようになったか、黒鳥のファズ」
ノリノリで口調を変える姫乃である。だがファズの様子はどこかおかしい、顔を赤くしてもじもじしている。
「ん? ちょっと相談があって、その女の子関連の事なんだけど」
「あー、恋愛相談? 苦手分野だな。あの列に並んでみたらどうだ?」
「……あー、でも恥ずかしいし」
「……手品とか始めるのはどうだ。手先は器用だろ? 話題づくりのきっかけにはなると思うぞ」
「あ、確かに」
姫乃は驚く、前回はかなり手癖の悪かったファズが、すごく大人しくなってる、しかも今まで彼の手口を見てきたが、どうやら盗みの技術は鈍っているようだ。
最近はやっていないのかもしれない。
そんなファズだが、今日はお目当ての子がきていない。
そのストレスからか、盗みを繰り返していたようで。だがそんな小悪党はいつか、身に余る財布に手をだし、痛い目にあうのが定めだ。
今日黒鳥のファズは普通の男の子に戻ることになる。
「じゃあちょっと荷物だけ置かしてもらって、職員の方に挨拶に行きましょっか。二日間お世話になるわけっすからね」
そうとりあえず広間に荷物を下ろした陸。その肩を叩いてアイが告げる。
「陸、落ち着いて聞いてくれさっき置いたヴァイオリンケースがもう無い」
その表情から感情が抜け落ちていく様をアイはありありと目撃してしまった。
だがかろうじて捉えた視界の端っこにケースを抱えた少年が見える。
陸はクラウチングスタートからの鬼のような形相でファズを追う。
「くぉおらああ! 俺の親友を返せええ!」
「なんだおまえ!!」
「馬鹿、怖がらせてどうすんだよ」
叫ぶアイ。
陸はそのままファズに飛びかかるとファズを取り押さえた。
とりあえず中身に傷がないか確認する陸。
「なんなんだお前!」
「ああ、ゴメンな驚かせて。俺は陸。んでこっちはアイさん」
「君はちょっと踏み抜いてはいけない地雷を踏み抜いたんだ」
「人の物勝手に取るのは駄目だぜ、ファズ太郎も自分のものが無くなってたら悲しいだろ?」
「あ? 今俺のことなんていった?」
「なにファズ太郎、あの子のこと見て……。ああさては」
「俺が好きな子は今日ここにはいねぇよ!」
そんなファズの肩を叩いて陸は頷くと、相棒を握りステージに向かう。
「みんな、こんにちはー! 今日は俺たちの得意な楽器で、みんなの好きな曲を演奏します。ゆっくり聴いてくれよな!」
ヴァイオリンとフルートの旋律が施設内に響き渡る。
第三章 就寝
寝る前のお風呂、それは癒しの一時、しかし。今回お手伝いであるリンカーたちにはその癒しは与えられない。
「じっとしてろって、ちょ!」
姫乃はシャワーを取り落とし水を乱舞させる、子供たちの頭を洗うだけで一苦労である。
「……ん、もしゃもしゃー」
その隣で特に苦も無く頭を流しているユフォアリーヤ。
「ああ、うまいもんだな、何かコツでもあるのか?」
姫乃は一度ユフォアリーヤを見てしまい、顔を赤らめてそっぽを向く。
「……はい、流すよー……シャンプーハットって、便利」
そう姫乃にシャンプーハットをおしつけるユフォアリーヤ。
そんな少女たちが風呂から上がれば理夢琉が髪の毛を梳かしていく。
少女たちは年頃らしいファッションや恋愛トークに華を咲かせるが、ここで少しお姉さんの理夢琉がちょっとしたアドバイスを授ける。
「守ってあげたいって思わせるしぐさがあるの、知りたい?」
コップは両手で持って小さく見せる、拾う時しゃがんだまま振り返り笑顔等々。
その仕草にアリューは悶えていたことをここに報告しておく。
そんな少女たちと対照的に、紙も乾かさず机に突っ伏しているのは朔夜。
「……輝夜め……。はじめからこの地獄へ私を誘い込むためにわざわざテーブルの上にわざとらしく依頼書同伴書を置いていたと……輝夜め!」
「はいはい……策士、策に溺れるってやつね。観念して子供たちと仲良く遊んであげてね」
そう髪の毛を乾かしてあげる鈴音だった。
今回朔夜はいつものごとく輝夜を出し抜こうとカステラを風呂場に置いてトラップで閉じ込めて書類を盗んで同伴したのだ。
苦手な人間の子供と遊ぶ依頼と知らなかった為、こんなにぐったりしているのだ。
「ご苦労様」
そうつぶやきつつ鈴音は窓の外を見た。そこにはナイアが一人でぽつりと佇んでいる。
他の子供たちは、リンカーと遊んでいた。
百薬はもう眠っているが、望月は仙也のトランプに参加している。ディオハルクはココアを配って、それを餅月も受け取っていた。
「寝付けないなら絵本の読み聞かせとかでもしましょうか」
そう構築の魔女は本を開いて子供たちを呼び集めた。
昼間カラオケルームだった部屋ではバトンタッチしてイリスたちが歌と踊りを披露している。
『虹の歌~Iris~』を歌いながらのシンクロダンス。
アイリス主体共鳴で羽、花びら、エイジスの三重奏による妖精の音楽を奏でながらくるくる踊る様は子供たちの歓声を引き出していて、とても楽しそう。
だがそのどの輪にも彼女は加わらない。
そんな少女の背中に『ナラカ(aa0098hero001)』が声をかけた。
「いい夜風だね、君は彼らとは混ざらないのかな?」
「私は、いいよ」
「無理に一人でいる必要はないだろう?」
「無理はしてないわ。私はただ……」
「神に囚われた少女……汝は何を思ってここに?」
そうナラカが言葉を向けると、ナイアは夜空を見上げてつぶやいた。星なんて見えないに等しい夜空を見上げて。
「私は自分をとくべつだと思っていて、実際そうだったけど、ここにきてみると、そんなことはなかった。私の存在価値ってなんだろう。私はこれからどこにいけばいいんだろう」
「私はあえて言うよ。確かに此処にいる、それが特別な事なのだと。
迷いを振り切る必要はない、それは強く見えても脆いもの。
迷いを抱えながら、それでも尚と前を向き踏み出す事。
それこそが覚悟で、それを成す勇気こそが大切なのだから」
その言葉にナイアはやっとナラカを観た。
「私は……その勇気がない」
その光景見て鈴音は思い返していた。この依頼を目にした時の感情。
今回鈴音が参加した理由は前にここに来た子供たちに会うというのもあるが、金蛇村の少女とナイアと話をしたいと思ったからに他ならない。
本人にも理由はわからないがなぜだか自分と少女に似てる部分を感じているためである。
なんとなく彼女の気持ちがわかる気がした。あそこにいるのは昔の自分な気がした。だから鈴音は勇気を出して話しかける、友達になろう。そう話しかける。
* *
(ディスペアの瑠音さんに問いかけた事で春香さんはどう思ったのかな、話しかけにくい)
理夢琉は子供たちが寝静まったあと、春香を探して施設を徘徊していた。隣にはアリュー。二人は暗い廊下で道に迷う。
「金蛇の村の事は報告書を見ただけだからな、依頼の主軸は春香に任せるとしてだ……声をかけないのか?」
「前世の記憶がある人がいるなら理解してあげられるかもって、春香さんの気持ちも考えずに私……」
「爺やのように理解したいと思ったんだろ? 瑠音から連絡がきた時力になってやればいい」
その言葉に理夢琉はアリューを凝視した。そして柔らかく微笑みを浮かべる。
「そして英雄ルネと絆を結び心を通わせたのは春香だ、何も言わないなら瑠音の事は春香に任せろ、考えを教えてくれたなら理夢琉として支えてやればいい」
「アリューテュス……うん、ありがと! 春香さんに聞いてくる!」
春香は玄関にいた。そしてイリスとアイリス、二人と何やら話している。
あわてて隠れる理夢琉だったが、春香は気が付いたようだ。
「こっちにおいで、一緒に聞こうよ。私たちの大事なことだよ」
私達の、そう言ってくれたことに理夢琉は少しだけ嬉しくなった。
「いいかな? アイリスちゃん」
「春香さんが構わないならそれでいいさ」
そう告げて二人は語り出す。
「靴屋の小人で知られるように妖精とは器用でね。天然の職人といったところなんだ」
そう取り出したのは何枚かの絵。
それは前回のまどろみ戦後の情報共有で出てきた『円町 小夜子』の共鳴後の姿その想像図の山。
『幻想的に美しく』『どこかで見たことがあるような印象』そんな女性だったらしい。
「最近流行のディスペアリーダーのアネットはエルフなんて呼ばれているそうじゃないか」
「二人は会ったこと、なかったっけ?」
「それって、瑠音さんのグループの……」
アイリスは頷いた。自称ルネさんの生まれ変わりもいる、ディスペアというグループ。そのリーダーはアネットという。エルフと呼ばれる容姿を持つ、素性も分からない梓の英雄。
「でだ、そのリーダーに似ていたりはしないかな?」
春香は一枚の絵で手を止める。そして折りたたんでそれを幻想蝶にしまった。
「そっくりだね。瓜二つ、いえ。これは同一人物って言っていいんじゃないかな」
疑惑の夜は巡る。やがて朝日が空に昇るころには、少女たちは思い思いの感情を胸にしまって仕事に没頭しなければいけない。
第四章 遠足
翌日は快晴で絶好の遠足日和、子供たちのテンションはバスに乗った段階で高く。農園につくなりはじかれたように周囲に散った。
「だめ! さくらんぼ私の!」
「とったものがちだもん!」
その果物狩りでケンカをする少女を見つけて構築の魔女は落児に指示を出した。
落児は少女を抱きかかえ肩車する。するとその目の高さにはまだ鈴なりのサクランボが。
「こら、喧嘩はほどほどに。時間を大切にね?」
そう構築の魔女は微笑んだ。
その隣で仙也は高い背を生かして子供たちのかわりにフルーツを狩っている
グレイブシールドの鋏で切り、それを子供たちがキャッチした。
それをみて大丈夫だと判断したディオハルク。彼は野菜エリアまで歩みを進める。
そこでは陸が子供たちと野菜狩りに興じていた。
「野菜かー、俺好きじゃないなぁ」
そうぼやくアイにキャベツを突き出して見せる陸。
「ふっふっふ、そう言ってられるのも今のうちっすよ?」
そして収穫された野菜や果物は調理室に運ばれる。
そこには先客がいた。
「……うむ、美味いな」
「……むぅ……やっぱり、自家栽培じゃ勝てない」
遊夜と、落ち込む『ユフォアリーヤ(aa0452hero001)』である。そんな彼女の頭を子供たちが撫でて慰めた。
「レッツクッキングっす」
そうエプロンを纏う陸。その言葉に続いて続々と料理の準備を進める一行。
『麻生 遊夜(aa0452)』は慣れた手つきで野菜をカット。ニンジンやピーマンもミキサーに掛け、さりげなくパンケーキに混ぜて焼く。
「……ん、これならバレない」
「他の人が作るジャムなどに合うだろうしな」
仙也はジャムやそれを使ったパイ等を作り、昼のデザートやおやつとするつもりのようだ。
野菜は細かく刻む、ペースト状にして、ハンバーグやオムレツの下ごしらえに使う。
「お! ファズ太郎」
そう仙也は通りがかったファズに声をかけた。
「なんでそれで定着してんだよ!」
「くだものいるか?」
コクリとうなづくファズ。
その隣のキッチンで料理をしていた陸はトマトとオレンジのシャーベットを視界にちらつかせる。
ジューサーで作ったトマトとオレンジのジュース、蜂蜜をアルミの密閉容器に入れ。
それを更に大きな密閉容器に入れ、二つの容器の間に氷と塩水を入れて。
タオルで巻き子供たちに振ってもらう。
完成したシャーベットはファズの舌をガッツリ捕まえたようだ。
さらにその間に陸は。春キャベツとベーコンをパイ生地を敷いた型に入れ。卵、生クリーム、粉チーズ、塩胡椒を混ぜたものを加えオーブンで焼く。
春キャベツのキッシュである。
「機嫌は直ったみたいだな」
そう陸は微笑んだ。
そんなキッチンにナイアや鈴音を引き連れた望月が入室する。
かごいっぱいにいちごを収穫してきた望月と百薬はそれでさっそくジャムを作り始めた。
「甘いは正義だよ」
「わくわくする響きね」
百薬のジャム作成が気になるのか朔夜はずっとそのそばを離れない。
「ちょっと柑橘類と蜂蜜混ぜるといいのよね」
「すばらしいわね」
望月の提案に朔夜は勢い良く頷いた。
そして遊夜や他のメンバーの焼いたパンケーキやクッキーと一緒にランチタイムとなった。
「ナイアちゃん。こっち生活には慣れた?」
鈴音はそう問いかける。
「いきなり能力者として戦えなんて、大丈夫? 無理してない?」
「無理なんてしてないわ。ええ、村よりは幾分かいいもの」
鈴音は察した。いや察していたというべきか。彼女の孤独。
「ここにはひかりがいるから」
「でも、無理してエージェントにならなくてもいいんだよ」
鈴音は告げる。
「実は……私はHOPEに来たとき……適性があったって事だけで目標とかもなくエージェントになったんだけど……」
「私と一緒ね」
そうナイアは告げる。だから鈴音は包み隠さずすべてを話した。
「なんでこんなに痛くて怖いのになんで愚神と戦ってるんだろうって思ってた……それは今でもあるのだけど……そんな私の戦う理由は……アレよ。本当はとっても弱い私にとってこの上ない報酬なの」
「ナイアちゃんは何のために戦うの?」
再び望月がそう問いかける。ナイアはそれに結局答えられない
「ナイアちゃんも作り方覚えて今度村に戻る時に作ってあげたらいいよ」
そう望月は微笑みかける。
「今度は都会のお土産も探そうね」
その言葉に、ナイアは。ぽろぽろと涙を流し始める。
「「えー!」」
百薬と望月がハモった。
「私、ここに来るのに、誰にも引き留めてもらえなかった」
ナイアは告げる。
「みんな、厄介払いするみたいに、私を送り出した。私、私……」
そんな彼女を鈴音は抱きしめた、彼女の想いがわかるから。
村にいた時の孤独と、突然戦いに放り込まれた不安と。それを発散する場も無くここまで来てしまった。
そんな時である。その騒ぎを聞きつけて様子を見に来た姫乃。
彼女は割って入り、涙ぐむナイアの手を取った。
「久しぶりだな。ここで会えるとは思ってなかったぞ。なんで泣いてるか分からないけど」
姫乃は知ってる、話したくなる時まで話さなくていいことがあるということ。だから姫乃は泣いている理由を聞かない。
「村では遠慮したTRPGって遊びがあるんだ。やってみないか?」
「ジャムもあるよ!」
自分が鳴かせてしまったのかもしれないと若干焦る望月がその手の小瓶をふる。
「なぁ、ナイア聞いたんだけど、精密検査断ったんだって? ……ペインキャンセラーの影響を受けた恐れがあるなら精密検査だけでも受けてほしいんだ。あれはやばい薬だから」
「なんでみんな、優しくしてくれるの?」
ナイアはそう涙をぬぐいながら問いかける。すると鈴音は微笑んで告げた。
「友達になりたいからかな」
その光景を眺めてナラカは踵を返した。
「もういいのか?」
そうナラカにトマトを手渡すカゲリ。
「いいさ、たどり着いたのであれば、私から言うことはない」
彼女は人間を、そしてその意志を愛している。
故に子供達が臆するを知らずに見せる感情は、大いに愛おしむものである。
その輝きが見られただけでも僥倖だった。そうナラカは笑って、トマトをかじる。
エピローグ
「ららららら?」
「オナカスイター」
相変わらずerisuは『メルト(aa0941hero001)』にまとわりついている、そのおかげで今回はメルトの管理がしやすかった。そうメルトを一瞥して姫乃は春香を見た。その前にはナイアが座っている。
結論から言うと、彼女をディスペアに逢わせようという話になった。
ライブの時に遠目から姿を見るだけでもわかるといったのだ。ナイアが。
「瑠音が、私に愚神を宿らせた本人なのか、見極めるわ」
そう告げたナイアの瞳にはもう儚げな光はなかった。
結果
シナリオ成功度 | 成功 |
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