本部

Agent’s年忘れ ~断捨離の報酬~

若草幸路

形態
イベント
難易度
やや易しい
オプション
参加費
500
参加制限
-
参加人数
能力者
25人 / 1~25人
英雄
20人 / 0~25人
報酬
無し
相談期間
5日
完成日
2017/01/01 15:28

掲示板

オープニング

●ある冬の日
 青年が年末の大掃除をしていた。
 床には物があふれ、青年はそれを黙々と箱に詰め直す。いるもの、いらないもの、いるもの、いらないもの。そして売り物、売り物、売り物。ちょっと流行遅れの服や、余ってしまった真新しいコード、面白くなかったがうっかり買ってしまった映画のパンフレットなどがみっちりと詰められている箱に、フリーマーケットの会場名が書かれた宅配便の送り状が貼られている。
 あらかた詰め終わったかな、と青年が額の汗を拭ったとき、電話が鳴った。はいはい、と骨董品の黒電話に耳を寄せると、いきなりまくしたてる声がする。彼の古い知己でもある、フリーマーケットの開催者だ。
「ああどうしたんで……えっ、遠方の参加者が愚神騒ぎに巻き込まれて大量キャンセル? ――うん、場所が空いちゃうから? 私が? エージェントへ声を掛けて欲しい? ――構いませんけど、任務でもありませんから集まるかどうかは、はあ、まあ、やるだけやってみます」


●あるオペレーターのお誘い
 そんなわけで、H.O.P.E.の掲示板の片隅にこんな掲示が出された。
『フリーマーケットに参加される方、急募。参加料無料で、人の流れの多いポイントで販売できます』
『利益は参加者一同での忘年会に回しますので、いろいろ断捨離して忘れたい方はぜひおいでください』

解説

●シナリオの概要
 フリーマーケットで不要品を売って、忘年会を豪華にしましょう。

 ※描写メインの報酬なし、日常系シナリオです。(売り上げはすべて諸経費と忘年会に消えます)
 ※シナリオに参加していないPC・英雄は描写されません。(極端にぼかした表現になります)

●何をするのか
 ▽フリマパート
 ・PCは各自不要品を持ち込み、2メートル四方の販売スペースに並べます。
  『売る物』『売り方』をプレイングに明記し、いい感じに利益を上げましょう。
 ・販売時間は11:00~16:00の5時間。準備として、10:00から会場入りできます。
 ・車で行くのは可ですが、会場乗り入れは不可。積んだ荷物は駐車場から手で運びます。

  ※手持ちのアイテムを売ると、戻ってきませんしクレジットにもなりません。
  ※AGWなど流出してはまずいもの、法や公序良俗に反するものは事前に止められます。
  ※結果明確化のため、能力者と英雄が参加する場合は、必ず『同PLのペア』で出店する必要があります。
  (ペア同士が共同戦線を張るのは可。能力者同士・英雄同士・能力者と英雄のPLが違う出店は不可)
  ※隣接したいPCが居る場合は、IDを書き添えていただくとスムーズです。


 ▽フリマパートでの、全員の『利益(売上-諸経費)』によって、行くお店が変わります。(飲酒は外見年齢で可・不可が決まります)
  S(ちょースゴイ!):まさかの高級料亭!? 舟盛り追加でー!
  A(いいかんじ):ちょっと洒落た創作料理店。お座敷席の間接照明がステキ。
  B(ふつうだね):よくあるチェーン店の居酒屋。かんぱーい!
  C(しょんぼり):帰りに寒空の下で焼き芋パーティー。わびしい。
  問題外(えっ?):なんらかの要因による大赤字、または出入り禁止。何をしたの……?

 ・結果A以上の時は、最高売り上げを記録したペアに称号が贈られます。

リプレイ

●売れよ売れ売れ、甘露のために
 冬至を過ぎて、ほんの少しだけ高くなった気のする太陽。それが時計よりもいくぶんか早く中天にかかる頃合いに、フリーマーケットは始まった。屋内ではあるが、きらきらとした晴天は飾り窓からよく見える。そんな建物の中に、人々が少しずつ、しかし途切れることなく入り始めた。

「私たちH.O.P.E.はいつでも連携して戦ってきた。つまり、我々は全体の売り上げに貢献するべきだ」
 食品の出品許可証をよく見えるところに掲示しながら、入場してくる人々を真剣な面持ちで見つめて語る長髪の青年、海神 藍(aa2518)。そのかたわらにいる少女の姿をした英雄、禮(aa2518hero001)は、ぐっと両手を握りしめて大きく頷いた。
「美味しいお店で忘年会ができると良いですよね! 頑張りましょう!」
 その意気込みに相応しく、2メートル四方の空間にはかぐわしい香気が漂う。茶葉の香り、コーヒー豆やココア粉の香り、クッキーの香り。紙コップに紙皿はもちろんのこと、お湯も自衛隊四型飯盒でぬかりなく準備され、今か今かと出番を待っていた。かかっている値札はそのしつらえに対して控えめだが、これが藍と禮の気配り。自分たちが客寄せと、仲間達の店に客が長く滞留するための流れ作りを買って出ているのだ。
「禮、客寄せをお願いしていいかな?」
「はい! えっと……」
 すうっ、と少女は胸を張り、息を吸い込む。その喉から、明るく凜とした声が流れ出た。
「『Cafe and Bar"Redbreast"』です! 今日は暖かい飲み物をおもちしました。クッキーもありますよ! 良ければいかがですか?」
 声に呼ばれて、客の列がこちらにやってくる。注文を手ぐすね引いて待ちながら、藍はふっと微笑んだ。
「("駒鳥"って名前なのに普段は"閑古鳥"が鳴いてるんだけどね、……ま、それものんびりしていて好きなんだが)」
 しかして今日は、その名にふさわしい駒鳥たちのさえずり、否、掘り出し物への期待を秘めた人々の声を聞く一日になりそうだった。

 しかし、掘り出し物にもいろいろある。たとえば、少々公序良俗的によろしくないもの、など。
 たとえば。――飯綱比売命(aa1855hero001)は、ひとり、シートの上に服を並べていた。橘 由香里(aa1855)の姿はない。
「ふっふっふ……」
 居並ぶ服は、女子学生の制服や体操服。値札にはむやみに達筆な字で『着用済み』と書かれている。その字の主はシートの上に座布団を敷いて正座をしながら、俯いてほくそ笑んだ。
「(ねっとで見たところ、まにあ層に高く売れるとの情報……どうせもう成長してしまって着れぬのじゃしな!)」
 そう、彼女は本人に隠れ、由香里のお古を売るつもりなのである。名目は古着とはいえ、いろいろ危ない香りのするヤマを前に、飯綱比売命はまだ俯いてにまにまと笑っている。口の端からは忍び笑いも漏れ出した。
「これで豪華な打ち上げげっとじゃな……ホッホッホ……!」
「楽しそうね。ねえ、商品を見せてくれるかしら?」
 お客第一号! と飯綱比売命は俯いたまま、商品を見やすいように整えた。視界に映る脚は、まだ年若い。まにあ層ではないのか、いやいや年齢は関係ないのじゃ、と頭で考えながら、一通りの品を眼前に並べる。
「これで全部?」
「そうじゃ。これで、」
 そこでようやく顔を上げた飯綱比売命の表情筋は、凍り付いた。
「ぜん、ぶ……」
「……面白い事をやっているわね、飯綱比売?」
 浮かれていて声に気付きもしなかった。しかしそこにいるは正真正銘、由香里ではないか。背中にただならぬ轟音の響くような気配を纏っている。
「ゆっゆかっ……ど、どうして……」
 誰に問うでもない問いに答えたのは、隣で販売を開始し始めたオペレーターの青年だ。
「ああ、申込書にはペアで記入があったのに英雄さんしか搬入に来ておられないし、売り物も不審だったので……念のため連絡を取りました」
 余計なことを! と歯噛みする余裕はなかった。視線が由香里から外せない。外させてくれない。
「……覚悟は出来ているかしら?」
 にっこりと、由香里が微笑んだ。しかし目は笑っていない。
「お……おお、神よ……」
 それどころか、羅刹の輝きを宿している。
「貴女が"カミサマ"でしょう?」
 ――『のじゃー!』という断末魔が、会場に小さく響いた五分後。
「うう……わらわの贅沢忘年会の夢が……」
「見果てぬ夢を追うのはやめなさい!」
 飯綱比売命が服を持ってきていた袋に、由香里は自分の服を手早く詰めていく。帰ったらすぐ処分しなきゃ、とため息をつきながら、隣にいる頭にたんこぶをこさえてべそをかく自称姫神のそばに、甘い香りの袋を置いた。
「はい、手作りクッキー持ってきたから、これを売るのよ。余ってもこれで忘年会できるでしょ」
 せめてもの優しさ、である。

 だが世の中、上には上が居るとよく言ったもので。それより輪を掛けて危ないヤマに手を出す者が隣にいた。
「魔法の服を売る」
「え、これはあたしが貰ったんだからあげないよ?」
 高橋 直房(aa4286)の言に、レイキ(aa4286hero001)が自分のセーラー服を指差しながら反論する。だが直房は動じず、ちっちっち、と人差し指を振った。
「服自体は、さっきお前に着せた安物コスプレ衣装で良いんだよ。魔法は俺がかける」
「……直房って魔法使いなの?」
「ああ、俺は言葉の魔法使いだぜ。知らなかったか?」
 にやりと悪い大人に特有の笑みを見せて、直房は持参していた女物の香水をレイキと件の衣装に振りかける。手の込んだことに、香水はティーン層に人気のブランドだ。細工は流々仕上げを御覧じろ、と胸の裡で呟くと、通りがかった一人の男性――押しが弱そうで、けれど下心を諦めるほどには枯れて居なさそうな男を呼び止めた。
「そこのお兄さん、今日はご家族と一緒じゃないんで?」
 ご家族? と怪訝な顔をされるがそれは織り込み済みだ。直房は言葉を素早く継ぐ。
「娘さんに一着どうです? この子のお古ですが」
 男は直房が指差したレイキを見、そして服の値札を見る。高っ! と動揺した表情が出たタイミングで、今だ、と直房がレイキを肘でつついた。レイキはつい先ほど読まされたカンペ通りの口上を、まったりとあざとく謳い上げる。
「えっとね、これ魔法の服でね。着ると優しいおじさんからお小遣いとかもらえるんだって。私も直房にお小遣いもらえたから本当だったよ」
「ああ勘違いしないで、身寄りがないこの子パパ代わりってやつです。もちろん養う代わりに相応のことはしてもらってますがね」
 直房の言う『相応のこと』という言葉の上には、『エージェントの仕事』というルビが振られている。そんなことは露知らず、パパという単語に生唾を飲み込んだのを直房は見逃さなかった。仕上げだとばかりに、にっこりと胡乱げな微笑みをたたえて口を開く。
「ささ、この子を養うと思って。洗濯はしてるんで、匂いをたしか「そこまで」
 横からにゅ、と顔を出したのは、隣の隣にいたはずのオペレーターの青年だ。正気に返ってさっと逃げてしまった男を横目で見送りながら、直房は青年を睨みつける。
「ぁンですか?」
「さすがにいろんなものに抵触しますので。……隣の方もそろそろ黙ってないでしょうし」
 直房がちろり、と視線だけ横にやると、由香里の視線とかちあった。その少女は笑顔を――先ほど飯綱比売命に見せた地獄の底スマイルを――たたえている。
「……へいへい、諦めますよ」
 わざわざ見えている地雷を踏むことはないと、直房は悪い大人特有の割り切りの良さで両手をお手上げ、の体勢に上げてみせた。その横では、レイキに飯綱比売命がそっとクッキーを手渡している。
「ほれ、おぬしもクッキーを売ろうぞ」
「えー、今食べちゃだめ?」
 ひとまず、手が後ろに回る事態は避けられそうだった。


 そんな騒ぎから通路を一本隔てたところでは、攻めるべし! とトガった売り込みをかけるコンビがいた。
「テイルちゃん、フリマでこんなかっこしなくても別にいいんじゃ……」
 メイド服に身を包み、御童 紗希(aa0339)は眉根を困ったように寄せた。
「ナニ言ってんスか姐さん、まずは客が来ないと意味ないっス!」
 燃える炎の背景が見えそうな勢いで、スワロウ・テイル(aa0339hero002)が熱く語った。
「ここはキャッチーな見た目でその辺の層の心を鷲掴みがベター! ネットで事前宣伝もバッチリっス!」
 ビシッと差し出されたスマホの画面を見た紗希が、ぎゃっ! と叫んで目を剥く。
「な、何であたしの写真まで載っけてんの!?」
「ハーフ美少女のコスプレがフリマで見られるんスよ? 来るしかないっしょ!」
「もう……ところで、今日は何を売るつもりなの?」
 呆れながらの問いに、すっとテイルの表情が冷えた。冷静に言葉を紡ぎ始める。
「兄さんがイベントで買ってるプラモ、一種類をいくつ買ってるか知ってます?」
「? ひとつでしょ?」
「……みっつっス」
「……だって同じ物でしょ?」
 不穏な空気が流れた。『兄さん』から想起されるあの顔が、二人の脳裏に浮かぶ。
「兄さん曰く……作る用・保存用・鑑賞用、との事で」
 テイルは無言でスマートフォンを操作し、画面を再び紗希に向けた。イベントの公式ページとおぼしきそこには、プラモの写真と共に、正札価格が書かれている。
「…………!?」
 紗希の目が驚きに見開かれた。ゼロがひとつかふたつばかり、多いような。
「えー、イベント限定商品ゆえ、若干市場価格よりお高くなっております」
「若干じゃないよ! こんなちっこくてこの値段で、しかもそれを三個?!」
 紗希は驚愕ののち、疲弊したように肩を落とす。そして、
「……売ろう」
 顔を上げ、決然とした表情を見せた。
「売ろう、テイルちゃん! そしてお金はあるべきところへ!」
「合点です姐さん! あるべきところ、自分らの胃袋の中へ!」
 テイルが親指をグッ! と立てる。ここからは真剣勝負、とばかりに紗希の戸惑いは消え、二人の迷いのない口上が聞こえ始めた。


 それらのドタバタ騒ぎをやれやれ、といった面持ちで見やるのは、鹿島 和馬(aa3414)だ。
「利益を上げようって気持ちも分かるけど、なあ」
「そうそう、気楽に参加するぐらいでいいんじゃないかな?」
 白一色の奇抜な衣装に身を包む姿が視線を集めている俺氏(aa3414hero001)も、のんびりと同意する。
「ああ、殺伐としてねぇ依頼ん時くれぇはのんびりしたいぜ」
「そうだね。あ、これも売るの? なんか懐かしいね」
 古い据え置きゲームや、今はややプレイ人口の少なくなったトレーディングカードゲーム。それに同じセットがいくつも揃った食玩と、いろんな所の角が擦り切れたアナログゲーム。それらを見つめる二人の視線は、懐旧の情にに満ちていた。
「ああ、昔良くやったけどなー……改めて見ると、どれもまだ必要な気がするぜ」
「はいはい、使わない使わない」
「ちょ、おま!」
 名残惜しいのはわかるけどね、と俺氏は和馬を制する。だが、一度火のついた懐かしさはそう鎮火するものではない。ちょうど、大掃除のときに出てきた本を読むのが止められないように。
「なあ、最後にちょっとだけ、……久し振りに、な♪」
「ええー、売り物なのに良いのかな」
「どんな風に遊ぶのか見せるのも販促のうちだって」
 言うが早いか、和馬が盤を広げる。遊んでいるうちにコマをなくしてしまったものを、食玩のマスコットで代用する。ファンタジー風のボードにファンシーな動物が彩られたその光景を、通りがかりの子供達が覗き込み始めた。
「おじさんたち、何してるの?」
「まだお兄さんだよ。やってくか? 面白かったら買ってくれよな」


 隣で響き始めた賑やかな子供達の声に、他人事ながら嬉しげな微笑みを見せるのは皆月 若葉(aa0778)とピピ・ストレッロ(aa0778hero002)だ。
「いらない物でも、誰かの役に立ったら嬉しいね」
「うん! たっくさん笑顔が見れるといいな」
 二人の所にも、子供達や親子連れの流れができはじめた。古本やゲームソフトを手に取る者も多いが、とくに目を引くのはゲームセンターの景品だ。ぬいぐるみやフィギュアの類はもちろん、腕がないとなかなか手に入らないように店が設定していることの多い時計などのお高めのグッズも無造作に並べられ、ゲームで負け続けるよりははるかにお得な価格が、ピピの手書きしたクレヨン文字の値札に踊っている。
「道行くお父さんお母さんにお坊ちゃんお嬢ちゃん、ボクたちのお店を見ていってね!」
 ピピが声を掛け、こちらを向いた同じぐらいの背格好の子とぬいぐるみ越しに会話したりなどして遊ぶうちに、若葉が親と交渉をする。じゃんけん一発勝負の大サービス、が射幸心を煽るらしく、滑り出しは上々だ。
「では、このジャンボポテチをおまけに付けるか否か、最初はグー、ジャンケンポン!」
「さあさあ、早い者勝ちの大サービスだよー! ワカバはじゃんけんそんなに強くないから、狙い目だよー!」
「ちょっと、あることないこと言わないでよ、ピピ~!」


 なごやかな声でにぎやかになってきた会場内とは対照的に、異彩を放つ一角がある。なにやら薄く、しかしやたら上質な紙を使っているA4やB5の冊子たちが、値札も付けられずに並べられているそのスペース。会場で借りた机にそれらを並べて座っているのは、佐藤 咲雪(aa0040)とアリス(aa0040hero001)だ。
「売りたくない……」
 アリスは沈痛な面持ちを隠そうともしない。それもそのはず、これはすべてアリスの私物である「うすいほん」と俗に呼ばれる冊子。それもほどよく発酵、否、腐敗していると言い習わされる類のものである。肌色の多いものはこの会場の規定で省かれているものの、それでもスペースを埋めつくさん程の勢いだ。紙の気配を感じながら、咲雪はけだるげなその表情にぼんやりと叱責の色を浮かべて口うるさい姉のような英雄に向き直った。
「……ん、おなじの……三冊も、要らない。本棚……あふれてる」
「咲雪、いい? 保存用、観賞用、布教用なの。わかる?」
 わからない、と咲雪は首をゆるく横に振った。一冊一冊は薄くとも、それが何十冊と集まれば結局は分厚くなる。まだ英雄の趣味に"共鳴"してはいない彼女は、部屋をどんどん圧迫してくるこの薄い本たちに辟易しているのだ。
「……収まらないから、布教用、売る。アリスも同意したはず」
「それはそうだけど」
「なら……じたばたしない。それで……ん、値段……言い値で本当にいい?」
 咲雪の問いに、アリスはええ、と重々しく頷いた。
「そう、言い値で。ぱらぱらめくって見てもらって、その人が払いたいだけ払う。こういう趣味の値段は人それぞれだからね」
「……客引きも……しない?」
「大々的に売るものじゃないしね。それに同じ趣味の人間ならオーラで寄ってくるわ」
「……おーら?」
 咲雪は視線を会場に戻して目を凝らしてみるが、道行く人々がゆらめくオーラを纏っている気配はない。首を大きくかしげる咲雪に、こっちに来ればわかるわよ、としたり顔で語るアリス。と、そのオーラを纏っていそうな人間がふらりと寄ってきたことに気付き、アリスはそっと微笑んで会釈をした。
「どうぞご覧下さい。ご購入の際はこちらに一声かけてくださいね」


 うすいほん、を売っているエージェントはもう一人いた。ただしこちらは純然たるオリジナル、いわゆる歴史創作である。手慣れた設営のテーブルに積まれた本の横に英雄がらみで手に入れた骨董品の具足類が並んでいるさまが少々異様ではあるが、それがかえって広い客層を呼び込んでいる。慣れた様子で、しかし所在なげに座っているのは、井口 知加子(aa4555)。今も、おねえちゃん上手いねー、どっかで連載とかしてるの? と、足軽用の兜を手に取った中年男性に表紙を眺めて尋ねられている。
「いえいえそんな、しがないオタクってやつですよー」
 苦笑にも見える笑みを浮かべながら、知加子がぱたぱたと手を振って見せた。子供に買っていくよ、と兜のついでのように本が買われたことは多少複雑だが、全年齢にしておいてよかった、とも思う。なにより、未熟ながらも自分の漫画が評価されたことは間違いないのだ。
「……うん」
 微笑んで、ため息をつく。売れ行きはいまひとつだが、知加子の胸中には額面では計れない満たされた感情があった。


 そして、『独特』という点では群を抜く、さらに好事家の集まっている場所があった。特に目を引くのは、床のシートからテーブルのラシャ布、ハンガー等々のあらゆる什器が漆黒かつゴシックな装飾にあふれている一角。リヴィア・ゲオルグ(aa4762)のスペースだ。安い輸入雑貨や簡素な吸血鬼グッズもあるが、目玉品は遥かルーマニアからやってきた吸血鬼関連の骨董品である。
「ええ、とりわけこれが出物ですね。ヴァンパイアハンターが使用していた杭と十字架、そしてそれを収めるトランクです」
 吸血鬼のコスプレをしたリヴィアは、見た目に違わぬ麗しい語り口で客の質問に答える。見た目に反して流暢な日本語を使うのも、物珍しがられているようだった。
「――ええ、本物ですよ。本物といっても本当に吸血鬼を退治したわけではなく――そうです、そのような慣習の中で実際に用いられていたものです。お目が高い」
 学芸員としての豊富な学識を披露する機会に運良く恵まれ、リヴィアの瞳は輝く。相手の懐具合も悪くないらしく、もう少し別なものもあるか、と問われた。
「でしたら、こちらはいかがでしょう? 閉鎖されてしまったとある博物館の収蔵品だったもので――」


 そこからやや離れた場所で響くのは、クワベナ・バニ(a4818)が奏でるアフリカ音楽の音色だ。
「寄ってらっしゃい見てらっしゃい、ガーナのカカオですよー」
 土の匂いに甘いチョコレートの香りが混じる。ある程度育った観葉植物っぽいたたずまいのカカオ、まだ苗のカカオ、そしてココアバターや粉末ココアが並べられたそこは、まさにガーナのカカオジャングルであった。なぜか日本で仕入れた割りチョコや板チョコがあるのはご愛敬である。案外ついでに売れてくれるのだ。今も鉢植えと板チョコを買ってくれたお客が、さらに別なものに興味を持ってくれている。
「ところでおにいさん、弾いてるそれ何?」
「これ? ビリンバウ。カポエラの時使うんです。これは日本にある材料で作った簡易的なものですけど、ほら」
 クワベナは弓のようなそれを操り、自在にエキゾチックなリズムを刻んでみせる。
「ちょっとコツはいりますけど、基本は簡単。どう?」
 少しの逡巡のあと頷くお客人に、我が意を得たりといった風に、クワベナはニカっと笑ってみせた。


 その隣に進むと甘さは減り、代わりにかぐわしい草の香りが濃くなってくる。鏑矢 茜(aa2507)の持ち込んだ、ハーブの鉢植えだ。
「育ててたら増えちゃってね。捨てるのももったいないから」
 たおやかな手が、そっと鉢植えを包んで持ち上げる。黒髪に縁取られた顔に輝く赤い瞳を笑みの形に細めて言いながら、茜は鉢植えを来客に手渡した。積極的に売り込みをかけるでもなく、価格自体も土代が出るかどうか、といった破格値だが、もとがタダのようなもの、しっかりと育ててくれる人を見極めてのお譲り会のようなものだ。
「そういえば、あの子に渡されたこれは何なのかしら」
 今日は留守番をしてもらっている英雄に、配るよう頼まれた小袋。じっくりと説明書きのシールと、種に目を通す。
「……クローバーの種?」
 ともすればゴマにも見えるそれに、見覚えがあった。幼いが丁寧な字で書かれた説明書きが愛らしい。茜の脳裏に、英雄の顔が浮かんだ。
「最近しきりに萌えよ、増やせよ、地に満ちよ、とか言ってたのはこれだったのね。……『ご自由にお取りください』とでも書いておいておこうかしら」
 やわらかな笑みを浮かべ、茜は大きく伸びをする。今日は季節にしては暖かな晴天、きっと緑に惹かれる人がまだまだ来るだろうと、のんびりとした心構えで再びスペースに用意した椅子に腰を下ろした。


 中天にかかった太陽が、やがて西へと傾いていく。
「はい、クッキーとミルクティーの砂糖入りをお二人分。熱いので気をつけてください」
「えーっと、飲み終わりました紙コップや紙皿はこちらの袋にお願いしまーす!」
藍と禮の店は相変わらず活況で、エージェント達の売り上げに着実に貢献していた。その尽力に応えようと、エージェントたちはそれぞれに工夫を凝らす。

「はぁい皆さん、マリオネットたちのダンスをご覧あれ!」
 糸で人形を操りながら呼び込みをしているのは、人形遣い兼手品師のハーレキン(aa4664)。彼が操っているのは本格的なものだが、売られているものはみな糸の本数が少なく、初心者でも容易に操れるものが多い。パフォーマンスに惹かれてやってきた人々にそれらの操り方を教えると、すごいすごいと話の種に買っていく者も多かった。古来より、この手の品々は売り子の技も込みの価格と言われるが、それを知らぬ人々にもお買い上げいただく、という業(わざ)を披露できるのは、ハーレキンの修養のたまものである。
「ほら、君もごあいさつ」
 ハーレキンの声に合わせて、小さな紙人形がぺこりとお辞儀をした。これも売り物で、手品用の不可視の糸を使ったおもちゃだ。タネも仕掛けも簡素なものだが、新春の一発芸にはなる。気安い値段であることも手伝って、かなりの数が売れている。人波が途切れた合間に、ふう、とハーレキンは凝りがちな肩を回した。
「さて、お隣さんの助っ人に行ってみようか」
 ね? と微笑んだ先には、麗しい妖精を象ったマリオネットが、アルカイックスマイルをたたえていた。

 さて、そのお隣さんである世良 霧人(aa3803)とエリック(aa3803hero002)のいるスペースには、よく言えば落ち着いた、悪く言えばやや暇な時間が流れていた。
「見ていく人は多いんだけどなあ」
「アニキ、諦めちゃダメだ! まだ時間はある!」
 どうやら少々調子が芳しくないようで、悩ましげな顔をしている霧人をエリックが励ましている。ミステリ系の古本は装丁もあまり痛んでおらず、エリックの描いた風景画たちもなかなかのものである。だが、雑踏の騒がしさに紛れて、パンチ不足になっていることは否めなかった。
「おや、ここに悩める商人が。助太刀いたしますよ?」
 そこにハーレキンがそうやってひと声掛け、パフォーマンスを開始する。
「さあさあお通りの皆様方、クラウンと妖精が目を付けた、この見事な風景画と古書をご覧あれ!」
 などといいながら丁々発止のやりとりをするような人形芝居に、人々の目が引きつけられ、次いでエリックの絵に視線が移る。画材について尋ねられたエリックが色鉛筆のハッチングの技法について言及すると、得心したように頷いた客人の一人が、一枚の森の絵を指差す。エリックは弾かれたように立ち上がり、イーゼルに立てかけていたその絵を袋に入れてそっと手渡した。一礼して見送ったあと、満面の笑みで霧人に報告する。
「やったぜアニキ、オレの絵が売れたっ!」
「うん、よかった! ありがとうございます、ハーレキンさん」
 霧人とエリックが、揃ってハーレキンと妖精に頭を下げる。いえいえ、当然のことをしたまでですよ、と一礼を返して、ハーレキンは自分の持ち場に戻っていった。今ので流れを掴んだのか、霧人の古本について尋ねる人もちらほら出てきている。
「――はい、こちらはちょっと前に話題になった本格法廷ミステリで――」
 売れればいいな、ぐらいの気持ちであったが、売れないよりは売れた方が、やはり嬉しいものだと、霧人は実感していた。


 他方、売れるのは嬉しいが哀しみも同時に背負う者もいる。
「見るだけならタダだぜ~、懐かしいのを売ってるから見てってな」
「いらっしゃい! ボクのお古で申し訳無いけどいいものを取り揃えているよ!」
 虎噛 千颯(aa0123)と烏兎姫(aa0123hero002)が、賑々しく駄菓子と服を売っている。千颯の駄菓子を珍しがるちびっ子が烏兎姫の売るジュニアブランドのカジュアル服もついでに欲しがる、というコンボで、親子連れを多くゲットしている。首尾は上々、だが。
「え? 烏兎ちゃん……その服も売るの?」
 千颯はショックを隠しきれない。烏兎姫が『ボクの秘蔵のアイテム』と言うから何かと思えば、自分が買ってあげた服、靴、アクセサリー。それが正札の6割でぽんぽん売られてゆくのだ。商売人の性(さが)で接客には熱を入れてしまうが、精神的ダメージがかなり累積してきている。つらさのあまり、つい口から疑問符がこぼれ落ちるのも無理はなかった。
「この間買ったばっかだよね? あれ? それも着てないやつだよね?」
 その悲愴な問いに、烏兎姫は笑顔で答えた。
「これはボクのセンスじゃないし、こっちは流行りの柄じゃないからね。でもモノはいいし、少しでもパパのお財布に貢献出来るといいなって思うよ!」
 ――幼子の正直さは、時に残酷さをはらむ。涙をこらえ、千颯は会場の飾り窓越しに見える蒼天を遠い目で見上げた。涙はちょっとだけこぼれていたかもしれない。
「うん……これはパパの財布には貢献されないんだよね……悲しいけど」
 とはいえ商売は商売。幸いここは一等地で人の流れも良く、烏兎姫の奏でる音楽も好評だ。彼女が喜ぶのなら、と千颯は天を一瞬仰ぎ、にっこりと営業スマイルを取り戻す。商売人として、哀しみを乗り切ろうという決意で、呼び込みを再開した。人の流れが、こちらに伸びてくる。


 そしてその流れに乗り、順調に売り上げを伸ばすエージェントは多い。
「無料でこの場所とは、至れり尽くせりだな」
「……ん、まだ時間はある。いっぱい売ろう」
 一時間おきの配置換えをしながらくすくすと笑うユフォアリーヤ(aa0452hero001)に、麻生 遊夜(aa0452)が微笑み返す。そこそこ途切れずにやってくる人々に、遊夜は気さくに声をかけた。
「良い出来だろう、ガキ共のお手製だぜ?」
 そう、並べられている手作りのアイテムは孤児院の子供達の手になるもの。子供達のお古の服とともに並べられたそれらは、見やすいように展示され、かわいらしく飾られている。値段の書かれたポップに『わたしが作りました』の生産者表示のように描かれた似顔絵もほほえましい。そうね、子供達のためにもね、と奥様方のささやき交わす声と共に、編み物や縫い物で形作られたぬいぐるみやマフラーが送り出されていった。
 そして隅のほうには、お父さん方の目を惹く、釣り竿が輝いている。遊夜が使わなくなったものだが、どれも手入れは行き届いており、そして新品ではそれなりに値の張るものだ。リールや釣り糸も売られており、今から始めるフィッシング! といった雰囲気を醸し出している。狙い通りに欲しいダメだの応酬を始めた目の前の夫婦者に、ユフォアリーヤが声を掛けた。
「……ん、安くする、よ?」
 もとより売り物には、最初に想定した値より一割ほど高めに値札をつけている。値引き交渉に応じても、それなりの利益が出るのだ。そういうテクニックにうまく乗ってくれる人も少なくはなく、首尾良く売り抜けることができた。忘年会に回す分とは別に、売り上げを孤児院に持ち帰るという交渉は済んでいる。手元で電卓を叩きながら、満足げに、遊夜が深く頷いた。
「うん、ガキ共のお年玉は奮発してやれそうだ」
「……ん、きっと喜ぶ」
 遊夜の喜びが喜ばしいのだといった風情で、ユフォアリーヤがまたくすくす、と笑った。


「荷物、軽くなればいいなぁ」
「全部売れるといいですね、サクラコ」
「メテオのその、すごい量のハンカチもな」
 スペースをぱっきり二つに区切って、それぞれが全くカラーの異なるものを出しているのは桜小路 國光(aa4046)とメテオバイザー(aa4046hero001)だ。國光はシャツをメインにしたメンズの古着とアクセサリ、メテオバイザーは國光が講義を受けている間の暇潰しに作った、刺繍を施したハンカチやコースターなどの小物が売り物だ。どちらも均一価格でまとめての売り出しで、利益よりも完売を目的にした売り方である。午後を少し回って値下げを始めているため、一度覗いてみようと足を止める人々が絶えない。そして、
「ええ、サイズはとくに気にしなくていいと思います。――ええ、まとめ買いなら多少のお値引きは」
 古着屋に持っていくのがめんどくさいばかりに大盤振る舞いをする國光と、
「ここにビーズですか? つけますよ、サービスなのです!」
 手を動かしていたいメテオバイザーのサービス精神が合わさり、千客万来の様相を呈していた。メテオバイザーに至っては、合間合間に刺繍をしたりコツを教えたりしているので、それがまた客寄せになっている。
「最初が500で今400だから……最終的に3着セットで500とかで売り抜けられるな」
「順調ですね、サクラコ。こちらはなかなかハンカチが売れなくて」
「イニシャル入りか。名前と合うかどうかは運だからなあ。ま、気楽にやろう」
 國光がその繊細なハンカチをめくり、それぞれに刺繍されたイニシャルを書き出す。一覧にしておけばわかりやすいだろ、との言葉に、さすがサクラコです! とメテオバイザーが微笑む。食事時も過ぎたこの時間帯に、ひときわ客の流れも太くなってきた。


 そして、その渦中でひときわ群を抜いた売り上げを見せているエージェントがいた。
「そうそう、あそこのコースターも可愛かったし、『"Redbreast"』のココアもおいしくて……ほらアリュー、しっかりスマイル!」
 斉加 理夢琉(aa0783)が昼に巡った雑貨や食べ物の耳寄り情報を喋り、客たちをエージェント達のいる区画に繋ぎとめ、
「い、いらっしゃいませ~」
 アリュー(aa0783hero001)がぎこちなく、しかし最初より手慣れた調子で、理夢琉お手製のファンシーなモコモコのフード付きパーカーを着ながら笑みを見せて接客する。商品は理夢琉の作った裁縫の品々――服やぬいぐるみ、今後必要になるだろう体操着入れなどの学用品、大人向けの冬物ワンピースや化粧ポーチ――だが、トップを独走しているのは、理夢琉のアイディア商品、『リンカーごっこぬいぐるみ』である。
「縫いぐるみの英雄と共鳴してお出かけよ! 女の子もリンカーごっこ!」
 理夢琉がくるん、と猫のぬいぐるみを抱えて一回転し、胸の隠しポケットからプラ製の宝石を取り出してみせた。誤飲防止処理がされているそれは、つまり幻想蝶を模したものである。それを理解した子供達が買って買ってとはしゃぐのを押しとどめて会計をする親も、一点物の大人向けアイテムに目を惹かれている。ブランドものもかくや、という縫製の良さに加え、姿見や小銭の準備も完璧なその空間は、玄人はだしの『洋品店』であった。
「はい、このポーチはマチを深めに取ってありますから大容量、色落ちしない布なので、丸洗いもできますよ!」
 理夢琉の確かな腕前と知識に滞留する客も多く、それが活況の証拠となってさらに人を呼んでいた。レジ係兼包装係のアリューも、手を止めずに動き回っている。
「はい、ミニマスコット3つとリンカーごっこぬいぐるみが1つ、プレゼント包装はどうしますか?」
 喜びに満ちた空間で笑顔を絶やさずにいると、不思議と自分の心も浮き立つようだ。自分が英雄として何を成すべきか、哀しみに満ちた理夢琉の半生と未来に何をしてやれるか、忙しさに紛れながら、その懊悩にほんの少し、糸口が見えたような気がした。


 その流れから少し奥、理夢琉たちの店を見た後に人が流れてくるラインにいる者も、なかなかの奮闘ぶりだ。
「その年に入手した物で不要な物は、その年の内に処分しておきたいんです」
「それは良い心掛けと思うが……結構な量があるな」
 CD、DVD、今年のベストセラー本。雑多なジャンルの品々が積まれているそこは、いくつか売れただけではその量感のあるシルエットを変えはしなかった。おかげで、売れている実態に対し、実感が少し薄い。招きペンギンとして座っているペンギン皇帝(aa4300hero001)がそうこぼすと、そうでしょうね、と酒又 織歌(aa4300)
が相槌を打った。
「話題になったものは大体手を出してますからね。私にとっての幸せがあるかもしれませんでしたから」
「で、そなたの幸せたりえなかったものがこれらであるか」
 積まれている品を見渡しながら、ペンギン皇帝がグァ、とため息をつく。一年のうちに、よくもこれだけ買ったものだ。その呆れたような言に、織歌はええ、と再び相槌を打つ。その横顔には、ほんの少し陰りが見えるようでもある。
「そうです。でも、私にとってはそうでも、他の方にとってはそうでもないかもしれませんからね」
「ふむ、良き引取り手が見つかると良いな」
「利益次第で豪華な忘年会が出来るそうですしね」
「……ああ、なるほど」
 そうなんです! と織歌は、今日一番の輝く笑顔を見せた。
「陛下のDVDが、それに向けて一仕事してくれています」
 そう、目下の売り上げトップは、都会を往くペンギン皇帝を撮影したイメージDVD、題して『大都会に生きるペンギン ~皇帝陛下の華麗なる日々~』である。出演者、もとい出演鳥が実際にそこにいることも相まって、かわいいかわいいの合唱とともにDVDが買われてゆく。終了時間を待たずに、かなり大量に焼いてきた在庫が尽きそうな勢いだ。
「豪華な忘年会でお魚食べましょう、陛下。ほらお客さん」
 魚のためか、とペンギン皇帝の食欲も刺激される。こちらを覗き込んできた人々に対し、彼はグァー、と羽根をぱたつかせながらひと鳴きして見せた。


 その隣で、えんえんと応援歌を歌っているペアがいた。愛嬌をふりまく招きペンギンと、シュールさを競い合っているようでもある。
「今日もざくざくー」
「ざっくざくー」
 餅 望月(aa0843)と百薬(aa0843hero001)が、かっとばせーのリズムで千客万来を歌い上げる。そのホームランなテンションに違わず、売られているのは野球の応援グッズだ。キャップ、メット、タオル、メガホン、レプリカユニホーム。どれも勢いで買ったものらしく、贔屓チームというものが見受けられないラインナップである。百薬いわく『H.O.P.E.女子の魂』な赤いグッズが多めだが、これは単に今年の流行だ。なので、来年に期待を寄せる人々が覗き込んだりもしている。
「みんなも優勝気分、どうですかー」
「旬のうちにどうぞー」
 未使用品である他チームのものがちらちら売れたりしているが、ちょっと全体的にはまったりムードの売れ行きである。元からのファンは公式ショップで買うからなのだが、二人はあまり気にする様子もない。どこまでもマイペースな二人であった。


「や、やっぱり胸や脚にお客様の視線が……」
 脳天気な応援歌の横で、若干恥じらっているのは月鏡 由利菜(aa0873)。先日アパートから一戸建てに引っ越した際に出た不要品を出品しているのだが、客寄せのためにと着ている、ともすれば扇情的とも取れるバイト先のウェイトレス衣装はいらなかっただろうか、とまだ逡巡がある。といっても、効果はそれなりにあるのだが。今もまた、アンティークの並べられたテーブルを見た客から、マグニファー? と怪訝な声がした。
「いらっしゃいませ。マグニファーは、日本で言う虫眼鏡ですね。その銀の持ち手、デザインが凝っているでしょう?」
 ふうん、と客が手の平サイズのそれを手にとってくるくると回して眺める。レンズが焼けてる割に結構お高いんだね、と、相変わらず怪訝な声である。だが、興味を無くしたわけではなさそうだ、と由利菜は説明を続けた。
「ええ、これはレンズも当時のままです。取り替えることはもちろん可能ですし、アンティークものはあとあと高値になりやすいので、出物を見つけた時に買った方がお得なんですよ」
 実際、二人がつけた値は、ネットオークションの相場と比べると半値以下という大サービス価格だ。
「ほんとですよ、ほら」
 と、横からウィリディス(aa0873hero002)がスマートフォンでオークションの画面を見せた。それをちらりと見た客は、なるほどと得心して買っていった。一礼して見送ったあと、やったね、と二人で顔を見合わせて笑う。
「この調子でどんどん行こう! ――さあ、こちらはCDはもちろん、アニメと映画のDVDにブルーレイ、全巻セットあるよ! 中古店より安いよ!」
 ウィリディスの快活な声が響く。人件費などを考慮していないその売り切り価格は、なるほど確かに中古店よりお得だ。セット購入の特典がそのままついているものも美品で出ており、目当てのタイトルがないかどうか覗き込む客も多い。そんな活況の中、時計をちらりと見てウィリディスは由利菜に声をかけた。
「ちょっと回ってくるね。全体の売上に打ち上げかかってるし!」
 その快活な笑顔に、由利菜も大きく頷く。
「ええ、お願いします!」


 そうしてエージェントたちの店を一回りしている中、ウィリディスが覗いた一角。そこには、傾いでいく陽とともに、売れてゆくものに対して名残惜しい視線を投げかける者たちがいた。
「……まだ要るのに」
「ここ一年、一度もやったり読んだりしてないだろうが」
 未練たっぷりに漫画とゲームを見つめる伊邪那美(aa0127hero001)を、御神 恭也(aa0127)が諫める。一見したところ、漫画、それに鍋やボウルなどの調理器具が売れた形跡はあるのだが、たっぷりと積まれた時代小説がまだ捌(は)けていない。ウィリディスが手に取ってみると、やや黄ばんでいるものの、まだくたびれてはいない紙が手にずしりと乗った。伊邪那美が、どう? と尋ねる。
「読み古した割には綺麗なままでしょ? 多少古びてる感じはあるけど」
 それはそうだ、と恭也が胸を張った。
「神保町で買い集めた初版本だからな。大切に扱ってるんだ」
「初版本?」
「何で初版本なの? もしかしてマニアってやつ?」
 二人の疑問に、否定はしないがと恭也がため息をつく。
「重版されたものは誤植が訂正されるだけじゃなく、微妙に内容や表現が修正されてる場合があるんだ。……仕方のない場合も多いが、作者の持ち味を味わうなら、やはり初版本が一番いい」
 そう感慨深げに恭也は語った。聞けば、価格は札を付けずに交渉で決め、転売目的の人間には売らない、ということを徹底していた。本当に必要な人間に、ということらしい。
「でも、このままじゃ売れ残っちゃいますよ」
 ウィリディスの言に、恭也は唸って眉間を抑えた。
「そこは俺も複雑だ。売らなくてはいかんのだが……」
 その苦悩に伊邪那美が明るく、まあ良いんじゃないかな? と言った。
「値段で買う人より、大切に使ってくれる人の手に渡ったほうが、物にもいいよ」
「……そうかもな」
 けど漫画とゲームは売るからな、そんなあ! という二人のやりとりを微笑ましく見ながら、ウィリディスは軽く会釈してその場を辞した。無理に売ると後悔するものもあるのだ、という、そういう心のやわらかな動きを感じながら。


 最後にウィリディスが覗き込んだのは、かぐわしく、懐かしい空間だった。女児の古着も出されているが、目を引くのは電気ポットとティーポット、そして芳香を放つ袋たちだ。
「いらっしゃいなのです! 『魔女の薬局』出張店なのですよ!」
「美容・睡眠・温め・健康、4種のハーブティはオリジナルブレンド、何が出るかお楽しみのサシェもあるぜー」
 臙脂のシートにナチュラルテイストのテーブルを合わせ、目に優しくやわらかな香りを伝える店を切り盛りしているのは、紫 征四郎(aa0076)とガルー・A・A(aa0076hero001)だ。
「サシェ?」
「香り袋とか、匂い袋のことだな。ちょっと早いおみくじ代わりに引いてくか?」
「どんな香りでもいい香り、ガルーの調合に間違いはないのです!」
 胸を張る征四郎の笑顔に、そうだね、とウィリディスがつられて微笑む。 も好みそうなものだし、と自分の財布から代金を払い、すっと大袋に手を入れ、一つ取り出す。――漂うのは、甘く爽やかな香りだ。
「お、カモミールか。眠れない時に側に置くといいぜ」
 ガルーが紙のミニカップに茶を注いできた。試飲用というそれは、手にあるサシェと似た芳香を漂わせている。茶とサシェ、それぞれ使うのは厳密には違う種なんだが、と知識を披露するガルーに、少女達はふんふんと頷いた。ウィリディスはついでだからと、征四郎お手製の包装がかわいらしい茶葉も購入し、
「お洋服宣伝しとくね!」
 とその場を辞した。征四郎が見送った後、ガルーに向けて少し首をかしげてみせる。
「お家のお茶が商品になるなんて、ちょっと驚いたのです」
「ちゃんと効くんだぜ、これは俺様の母親のレシピで――」
 言いながら、ふ、と気づく。覚えている。罪科、死、生、大事なことは殆ど覚えていないのに、
「――まあ、こういうことは覚えてるんだよな」
「さすがガルーです」
 征四郎が、うん、と頷いた。表情の陰りを見て取り、それを打ち消すかのように。その微笑みに、そっとガルーも微笑みを返した。

 ウィリディスは次に、そのまま臙脂色の床が繋がっている隣を覗き込む。と、
「……いらっしゃい」
 オリヴィエ・オドラン(aa0068hero001)が、頭を下げた。こちらも商品としては子供向けのものが中心で、特に目を引くのは、本だ。大人でも絵を楽しめるような色鮮やかな絵本達が広げられ、一種のアートギャラリーのような雰囲気すら醸し出している。
「あ、いらっしゃい! そっちの調子はどう?」
 接客を終えたらしい木霊・C・リュカ(aa0068)が、ウィリディスのほうを向いて微笑んだ。白皙、といった形容詞がぴったりと当てはまるその姿は、道を行けばストリートスナップに声をかけられそうな洒落者のそれだ。それに目を引かれる奥様方も少なくないようで、絵本も服も飾られている場所に空白が目立つ。
「売れ行き、どうですか?」
「んー、そこそこかな。値切られることは多いけど、そこは予想してたからね」
「……高い店で飲めると聞いて、がぜんやる気だからな」
「うん、楽しみ!」
 一点の曇りもなく笑顔で断言するリュカに、オリヴィエが大きくため息をつく。あはは、とウィリディスが笑った。
「あたしたちも似たようなものですよー。でも、そろそろ終了時間が近いので、値下げも検討してみたほうがいいですよ?」
 そう言いながらウィリディスが差し出したスマートフォンには、リュカが値札に書き込んでいたブランドでのオークション相場が書かれている。リュカはそれをのぞき込み、ふんふんなるほどと頷いて値札を訂正し始めた。
「絵本はあの位置でいいんですか?」
「通りすがりに乱暴に掴まれると傷むから、親と一緒に見て貰うようにしている。……子供が来ることは少ないし、な」
 リュカの言に今度はウィリディスがふんふんなるほど、と頷き、お隣さんと一緒に宣伝することを約束した。ひとしきりの会話が終わってウィリディスが場を去ると、話を聞いてやってきたらしい親子連れが何組かやってきた。それでも終了間際、やや人波が途切れがちなところへ、休憩だ、という声がする。
「お疲れさん。ハーブティーだぜ」
「あ、ありがとー!」
「……ありがとう」
「二人とも、ひといきつくのですよ」
 征四郎が二人に暖かい茶の入った紙コップを渡しながら、すっと目線をリュカの店のハンガーに移す。そこにかかかっているのは、遠目に見ても縫製の確かさがわかる子供服だった。その雰囲気がリュカに似ていると直感し、征四郎は尋ねてみる。
「あれ、リュカのです?」
「うん、母さんがすごくお洒落でね。俺に服を着せるのが趣味みたいな人だったんだぁ」
「売ってしまってもいいのですか?」
「捨てられなかったしちょうどいいよ。どこかで整理しないと、物はどんどん増えていっちゃうしね」
 うん、と頷くリュカの横顔を見て、そして征四郎はその手元に並べられているブローチに目を落とす。あとでガルーと相談して、あのブローチを買おう。あの人の思い出を手元に置こう――そう密かに、少女は決意するのだった。


 そして陽がさらに傾く。その照らす先には、会場には喧騒を開場からずっと聞き続けている、電柱があった。
「おう、ただいまー」
「……おかえり、なさい」
「ただいまー、おみせいっぱいだったよー! すごいねー、はくー!」
「お帰りなさいませ、まいだ様。ええ、本当に壮観で……これほど人が集まる行事とは、正直思ってもみませんでしたわ」
 まいだ(aa0122)がツラナミ(aa1426)とともに、獅子道 薄(aa0122hero002)と38(aa1426hero001)の待つ、展示上限ギリギリ一杯に高い電柱風ポールの立った店へと戻ってくる。まいだと薄、という組み合わせではないのは、交代で店番をする際に、ツラナミか38のどちらかがいないと店が成り立たないからだ。出している物ものは少ない――ツラナミの養子であるまいだの、昔使っていた幼児用の服と玩具――であるが、まいだはまだ未就学児だし、その相棒であるところの薄は非常にブチ切れやすく、揃って店番をさせるには不安が大きい。このイベントにツラナミが参加を決めたのも、サボり及びこの二人の社会勉強という側面があった。ただ、まいだはさすがに来年小学生なのでそういうことは心得られるようになってきているが、薄が怒りを抑え切れていない。昼頃に一度、38と一緒に店を回っていて値切り交渉でブチ切れた薄を、戻ってきた際にツラナミが電柱風ポールで尻叩きの刑に処している。
「あのね、ママがね、これかってくれたの! トラさんに、かばん!」
 まいだが38と薄にくるり、と背中を向ける。背負っている真新しいランドセルから、大きめの虎のぬいぐるみが顔を出していた。ママこと、ツラナミと会場を回っている時に見つけたものだ。再び人波や思うようにいかぬ売り上げへの怒りでくすぶっていた薄の顔が、ぱっと笑みに変わる。
「まあ、とても素敵ですわまいだ様! これで来年からの学校もバッチリですわね!」
「……新品? よく見つかったね……?」
「なんかデッドストックとやらでな。最新式ってわけじゃないが、軽かったぜ」
 ツラナミは38にそう語りながら、虎をランドセルから引き抜き、薄に押しつける。慌ててぐっと虎の腕を掴んだ薄が怪訝な顔をすると、ツラナミは面倒くさそうに手をぱたつかせた。
「まいだからアンタに、だそうだ」
 その言葉を合図に、ひょい、とまいだが出てきて薄の顔を覗き込む。
「あのね、おこりたいけどおこっちゃいけないときが、これからいっぱいあるんだって。そういうとき、ぎゅーっとするといいよ?」
「まいだ様……!」
 ありがとうございます、とだけ呟いて、そっとぬいぐるみを胸に抱く。今日一日怒りで鬱々としていた薄の、心からの笑顔が、かすかな瞳の潤みとともにこぼれた。


 やがて陽が傾ききり、空が赤く染まり、人が三々五々に散ってゆく。閉会を告げるアナウンスを聞くエージェント達の表情は、みなどこか晴れやかだ。市の賑わい、人々の笑顔。冬空の青のように爽快なひとときが、心に残った。

●断捨離の報酬は……
 その夜。
「えー、本日は寒い中、朝からのご参加ありがとうございました」
 青年が皆に届くように声を張り上げた。なにせ30人を越す大所帯の忘年会、それも一つ所に集まっているのだから大変だ。マイク欲しいな、と内心でぼやきながら、青年は音頭を取る。
「いろいろありましたが、皆様のお力添えにより……このような豪華な忘年会を開くことができ、とても嬉しく思っております。では、お疲れさまでした!」
 お疲れ様でした! と皆の声と杯を合わせる音が、大広間に響いた。ここは天国、某所の料亭。普通ならちょっと無理めの会席コースも、フリマで得た利益を還元すればあら不思議、舟盛りだって頼めてしまうのだ。
「野外で焼き芋パーティも惹かれるけど、暖かいところで宴会いいよね」
「お芋もいいけど、魚もね」
 うんうん、とうなずき合いながら、舟盛りをつつく望月と百薬。残念ながら鯉はないが、鯛や寒鰤がどっさりと載せられた舟が会場のそこここを行き交い、それぞれが今日の成功を祝っていた。

 そこに快哉がある。
「売り上げ一番おめでとうなのです、サイカ!」
「えへへ、ありがとう紫さん!」
「……どうも」
「こらアリュー、スマイルでありがとうは?」
「ど、どうも……ありがとう」

 そこに感謝がある。
「海神さん、今日はありがとうございます! おかげでたくさん人が来てくれました!」
「いやいや、皆月さんやみんなが全力を尽くせたなら、それで充分ですよ」
「美味しいお店、万歳! はい、これ余り物だけど、クッキーね」
「ばんざーい! わ、これ美味しそう! ありがとー!」

 そこに家族がいる。
「ママとサヤとはくにね、あーんってしてあげるの! はい、あーん!!」
「はいはい、あーん」
「まいだ様、次は私に、私に!」
「……ふふ」

 そこに趣味人がいる。
「うふふ、布教用を手放したのは惜しかったけど、何人か同志が増えると思うと」
「……ん、腐らせるのは……程々に」

 そこにちょっとした出来心を持っていた者と、それを諫める者がいる。
「うう、ありがたい、ありがたいのじゃ……豪華忘年会じゃ……!」
「みんなに感謝しなさいよ? すみませんオペレーターさん、仕事でもないのに……」
「いえ、橘さんが謝ることではないので。天ぷら盛り合わせどうぞ」
「おいしい」
「やー、皆様様々だぜ」
「次があったら気をつけて下さいね。そこの堪(こた)えてなさそうなお二人」


 断捨離の報酬を楽しみながら、エージェント達の年忘れは続く。来たる新年を迎えるために。

結果

シナリオ成功度 大成功

MVP一覧

  • 希望を歌うアイドル
    斉加 理夢琉aa0783
  • マーメイドナイト
    海神 藍aa2518
  • 悪気はない。
    酒又 織歌aa4300

重体一覧

参加者

  • 魅惑のパイスラ
    佐藤 咲雪aa0040
    機械|15才|女性|回避
  • 貴腐人
    アリスaa0040hero001
    英雄|18才|女性|シャド
  • 『赤斑紋』を宿す君の隣で
    木霊・C・リュカaa0068
    人間|31才|男性|攻撃
  • 仄かに咲く『桂花』
    オリヴィエ・オドランaa0068hero001
    英雄|13才|男性|ジャ
  • 『硝子の羽』を持つ貴方と
    紫 征四郎aa0076
    人間|10才|女性|攻撃
  • 優しき『毒』
    ガルー・A・Aaa0076hero001
    英雄|33才|男性|バト
  • 止水の申し子
    まいだaa0122
    機械|6才|女性|防御
  • 憤怒の体現者
    獅子道 薄aa0122hero002
    英雄|18才|?|カオ
  • 雄っぱいハンター
    虎噛 千颯aa0123
    人間|24才|男性|生命
  • 雨に唄えば
    烏兎姫aa0123hero002
    英雄|15才|女性|カオ
  • 太公望
    御神 恭也aa0127
    人間|19才|男性|攻撃
  • 非リアの神様
    伊邪那美aa0127hero001
    英雄|8才|女性|ドレ
  • 革めゆく少女
    御童 紗希aa0339
    人間|16才|女性|命中
  • 赤い日の中で
    スワロウ・テイルaa0339hero002
    英雄|16才|女性|シャド
  • 来世でも誓う“愛”
    麻生 遊夜aa0452
    機械|34才|男性|命中
  • 来世でも誓う“愛”
    ユフォアリーヤaa0452hero001
    英雄|18才|女性|ジャ
  • 共に歩みだす
    皆月 若葉aa0778
    人間|20才|男性|命中
  • 大切がいっぱい
    ピピ・ストレッロaa0778hero002
    英雄|10才|?|バト
  • 希望を歌うアイドル
    斉加 理夢琉aa0783
    人間|14才|女性|生命
  • 分かち合う幸せ
    アリューテュスaa0783hero001
    英雄|20才|男性|ソフィ
  • まだまだ踊りは終わらない
    餅 望月aa0843
    人間|19才|女性|生命
  • さすらいのグルメ旅行者
    百薬aa0843hero001
    英雄|18才|女性|バト
  • 永遠に共に
    月鏡 由利菜aa0873
    人間|18才|女性|攻撃
  • 花の守護者
    ウィリディスaa0873hero002
    英雄|18才|女性|バト
  • エージェント
    ツラナミaa1426
    機械|47才|男性|攻撃
  • そこに在るのは当たり前
    38aa1426hero001
    英雄|19才|女性|シャド
  • 終極に挑む
    橘 由香里aa1855
    人間|18才|女性|攻撃
  • 狐は見守る、その行く先を
    飯綱比売命aa1855hero001
    英雄|27才|女性|バト
  • エージェント
    鏑矢 茜aa2507
    人間|32才|女性|防御



  • マーメイドナイト
    海神 藍aa2518
    人間|22才|男性|防御
  • 白い渚のローレライ
    aa2518hero001
    英雄|11才|女性|ソフィ
  • 初心者彼氏
    鹿島 和馬aa3414
    獣人|22才|男性|回避
  • 巡らす純白の策士
    俺氏aa3414hero001
    英雄|22才|男性|シャド
  • 心優しき教師
    世良 霧人aa3803
    人間|30才|男性|防御
  • フリーフォール
    エリックaa3803hero002
    英雄|17才|男性|シャド
  • きっと同じものを見て
    桜小路 國光aa4046
    人間|25才|男性|防御
  • サクラコの剣
    メテオバイザーaa4046hero001
    英雄|18才|女性|ブレ
  • 悪事を知悉る(しる)男
    高橋 直房aa4286
    人間|43才|男性|命中
  • エージェント
    レイキaa4286hero001
    英雄|18才|女性|ドレ
  • 悪気はない。
    酒又 織歌aa4300
    人間|16才|女性|生命
  • 愛しき国は彼方に
    ペンギン皇帝aa4300hero001
    英雄|7才|男性|バト
  • 街中のポニー乗り
    井口 知加子aa4555
    人間|31才|女性|攻撃



  • エージェント
    ハーレキンaa4664
    人間|10才|男性|回避



  • 吸血鬼ハンター
    リヴィア・ゲオルグaa4762
    獣人|24才|女性|命中



  • エージェント
    クワベナ・バニaa4818
    人間|24才|男性|回避



前に戻る
ページトップへ戻る