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最終発言2016/12/21 00:39:28 -
相談卓
最終発言
オープニング
「さて……と。今年もこの季節の花形がやって来ましたな。一体全体どんな催し物になるんだかね?」
「実に楽しみですなあ」
「くっくっく」
何やら怪しげな会合を開いている謎の密集体。そいつ等はなんだかよく分からないが赤い頭巾に白いもっさりとした付け髭。そしておなじみの赤い服をそれぞれが丸めた猫背に大きな白い袋片手に背負っていた。しかしどこかみょうちきりんな印象が拭えない。まさか……!
「……そう。わしらは……」
「――そうじゃ。わしらは……」
「そのとおーり!! わしらは凍てつく真冬の寒気をも吹っ飛ばす! 平均年齢60歳! その名もサンタ族! 只今見参!」
一体誰に喋っているのか分からないがどうやらそう言う事だったらしい。それにしてもサンタ族? そのまんま初めて聞いた。
凍てつく真冬の寒気が逆に舞い戻ってきたかのような絶対零度の台詞に周囲の人達は忙しなく通り過ぎる。何だかイタイ人を見る目で通り過ぎる。何だかイタイ人を見る目で……。
近所の居酒屋のちっさいしょぼい駐輪場ともつかぬ駐車場を占拠し彼等は大好きなアニメのプリントが貼り付けてあるバイクに跨り、60年代のアイドル歌手の歌をハミングし、そして――街道を風の様に駆け巡る!!
何で痛車何だよ! それも単車で……!!
「わしらはヴィラン! 悪の王道サンタ族!」
背中に『仁義』と墨痕鮮やかに書かれたオッサンだかジーさんだかが声高に叫ぶ。痛車に跨りながら。
「正義を嫌う! 悪の花道サンタ族!」
腕周りに『網走の夜』と墨痕鮮やかに書かれたオッサンだかジーさんだかが声高に叫ぶ。痛車に跨りながら。
「孫への愛を! 悪の参道サンタ族!」
腰のラインに『孫・LOVE』と墨痕鮮やかに書かれたオッサンだかジーさんだかが声高に叫ぶ。痛車に跨りながら。
何の主張だか意味不明。もう誰でも良いから始末して下さい。
解説
もうどこをどうツッコんでもサンタ族! と、ついつい叫んでしまいたくなるそんなはた迷惑なサンタ族がやって来た!
ですがこの中年以上老人以下のサンタ族。結構侮れません。何せ痛車(バイク)を乗り回して夜の町、主に商店街をひたすら駆け巡るのですから。
クリスマスムードぶっ壊しのこいつ等サンタ族を始末しなければ、安穏とした長閑な今年の冬のイベントは間違いなくぶち壊しでしょう。
突如現れた彼等の目的は不明。果たして袋の中には何が……? 想像するだにくだらない。
サッサと始末してくれるPLさん達。待っています。
リプレイ
●サンタ族――出現!
町に爆音がどこからともなく流れて来ていた。
あの伝説の冬の風物詩。サンタ族の到来の季節が今年もやって来た……!
「我等、サンタ族! 今宵も見参!」
「キャアアア! サンタ族よ!」と若い女性の悲鳴。
「うおわ! サンタ族だ!」とこちらは男性の声。
「ママ―。サンタ族だってー! おもしろーい」と突拍子もない子供の声。
「そうだ! わしらは凍てつく寒気をも乗り越える! 伝説のヴィラン! その名もサンタ族! そんじょそこらの若者にゃまだまだ負けんぞい!」
――等と良い年したジーさん達が叫びまくってるそんな中、偶々そこに通りかかったエージェント達がいた。
その数計6名。英雄も含めると計9名。
せっかく各々がクリスマスムードを満喫してるってのに思いっきり邪魔が入った。
怒りを通り越して何だか悲しい気分になる。仕方なく害虫の駆除に取り掛かる。
●通りかかったエージェント達――それぞれの想い。
「……まだ、春……じゃないよ?」
「変態は暖かくなってから湧くものよね、虫と同じで」
サンタ族出現! その報と言うかすぐ目の前で脇を通り過ぎた謎の変態ジーさん達。
それを尻目に、やる気の欠片も無く呟く少女、佐藤 咲雪(aa0040)にその英雄アリス(aa0040hero001)が応じる。
街道を風の様に走り去る、サンタジーさん達。
バイクを乗り回す元気なご老人なのは良いが、サンタ衣装+痛車という仕様には『変態』がお似合いだろう。
『変態』という言葉が出るのは無理もない。
「……ひとまず……ん、退治する」
「おっさんだけだと薄い本のネタにもならないしね。手早く片付けましょうか」
「一応ヴィランなんだよな、あれ……」
『もはや単なる珍走族ですわね』
「とりあえずサンタさんに土下座して謝って貰うべきだろうな」
単車で所構わず爆走しているサンタ族のジーさん達。確かに迷惑千万だ。クリスマスムードぶち壊しだ。
それに万が一、怪我人が出たらそれこそ大変。その可能性を断つ為にサッサと大人しくしてもらう事にした。
そう会話していたのは赤城 龍哉(aa0090)とヴァルトラウテ(aa0090hero001)だ。
彼等はこのクリスマスのイルミネーションが漂う商店街を偶々闊歩していた。
本来ならば騒音公害で警察にでも訴えるべきなのだろうが、彼等はエージェントとそして英雄なので実力行使で止める事にした。
相手は一応ヴィランだし……らしいと言えばらしいが。
御神 恭也(aa0127)と伊邪那美(aa0127hero001)もこれには面食らった様だ。無論、恭也に関しては普段通りの鋭い目つきで落ち着いたいつもの表情だったが……。
「良い齢をした大人が何をやっているんだ……」
『元気な老人がいるのは良い街の証拠だよ……あれは別だけど』
2人してなんとか言葉のキャッチボール。フォローしまくりだったが、それにも限界がやがて来た。
相手の頭はともかく危険性は無いと判断。無傷での捕縛を試みる。
「仕方がない、なるべく怪我を負わせん様に注意するぞ」
『うんうん、年長者には敬意を払わないとね~』
「いや、何かの拍子であの世に旅立たれたら寝起きが悪くなるからな。それにあの老人達を見て敬意が払えるか?」
『……せ、精神的に若いんだよ。きっと』
ハーレキン(aa4664)は1人商店街をうろついていた。
外見年齢は10歳程度。その幼い顔からは想像だにしないほどの恐ろしい英雄が彼にはいたが、今は1人だった。
長い間、サーカス団として活動していた彼は日本の商店街と言うものにあまり馴染みが無く、物珍しそうに付近周辺を物色していた。
「はぁ~。ここにはイギリスには無い独特の文化が漂っていますね。ハーレキンは元々日本人ですが、これが日本で言う所の『情緒』というものでしょうか?」
そんなこんなでまるで可愛らしい小学生が社会科見学の一環として商店街を訪れていた様なハーレキンでしたが……そこに――サンタ族登場!
「わしらは風!」等と嘘とも冗談ともつかぬ意味不明な言葉を叫びながら、街道を駆け巡っていく暴走族――じゃなかったサンタ族。
しかしそんな事を言ってのけるのはある意味凄い事なのかもしれない。それによって全くもって誤解してしまった者。約1名。
「あ……あれは何でしょうか? 日本の伝統芸能の一種!? いや、それにしては奇妙奇天烈摩訶不思議。変な格好をしたサンタ……そう、まるでサンタさんではないですか!」
呆気にとられたハーレキンは己もサーカス団の一員として闘争本能を燃やした。
「うう……ハーレキンも負けてはいられないですね。どうしましょう?」
同じノリで対抗すると言う手もあったが、今ここに彼の英雄はいない。ならば打つ手は1つ――!
「でも――交通法規を守らないと言うのは……いくらサンタさんとしても許し難い事ですね。同業者としてここは1つお説教をしなければなりません」
結局、同業者と言うよりもエージェントとしての自分が勝って、素直に潰す事にした。
こちらも同じく1人。商店街を歩いていたエージェントがいた。他でもないエレオノール・ベルマン(aa4712)だ。
彼女は豪快かつ危険極まりない走行で走り去るサンタ族を見て、こんな事を思っていた。
(北欧は寒すぎて、何かに縋って執着しないと気が狂うなんて人もいる。寒すぎた羊飼いは電飾で羊をかざって夜中にみんなで動く電飾絵を表示する祭りをしたりするらしい)
この老人たちも似たようなものじゃないかと思いしばらく見ているけれど……。
だんだんイラッとしてきて止めることにした。
●サンタ族の野望を阻止――開始!
まずバイク(痛車)で爆走しているという事なので、とにかく彼等に説教するのは後回し。
当然、バイク(痛車)を止めなければ、サンタ族なるヴィランジーさんたちの脳髄にこの近代社会の交通法規を守らせるあるいは叩き込む術は無い。
果たして――ボケていなければ良いのだが……。
最初に動いたのは、赤城とヴァルトラウテだった。バイク(痛車)に跨ったヴィランサンタジーさんの対応は少々、と言うかかなり乱暴なものだった。
まあ、相手が相手なのでこれを止めるに当たっては2段構えで対応。いきなり道路の車線に入ってその場で仁王立ち。
「何じゃ貴様等! どけえええぇぇぇーーーーーい!」こちらサンタジーさんの咆哮。
「バイクごと一本釣りといこうか!」と赤城。余裕の笑み。
『煮ても焼いても食べられはしませんけれども』とヴァルトラウテ。皮肉の笑み。
『ネビロスの繰糸』を問答無用で使用。キラリと光った金属製の魔糸が禍々しいオーラを放ってサンタジーさんのバイク(痛車)の車輪に絡みつく。
「な、何じゃとう――!?」
目に見えない位、細いその糸は標的を絡み取り肉を切り裂くほどの強靭な線、あるいは網となってバイク(痛車)の車輪が動きを止める。
決してヴィランサンタジーさんの視界が悪い訳では無い。老眼? そんなバカな。
――等と余計な繰り言をしているのも束の間。次に取り出したのは、釣り竿『黒潮』で今度はヴァルトラウテの番だった。
『子供達に夢を届けるのは勝手ですけれど、少しは自分の立場を考えてはどうでしょうか?』
釣り竿『黒潮』の一振りで動きの止まったヴィランサンタジーさんごと纏めて絡めとった。バイクだけ明後日の方向に行って事故を起こされても困るだけなので。
釣り好き垂涎の一品、『黒潮』もこんな時に役に立つ。だがそれがまさかカジキマグロでは無くて、バイク(痛車)で暴走中のヴィラン。それもサンタの格好をしたジーさんだとは……ある意味マグロよりも性質が悪い。
「な、何をするんじゃ! 貴様等! わしはわし等は子供達に夢を届ける冬の道化師! その名もサンタ族じゃぞ!」
捕まえたマグロ――じゃなかった、サンタジーさんは腰に『孫・LOVE』とか掲げていたヴィランの1人だった。思わず赤城は本音を吐露する。
「……今のその姿を孫が見たら、縁を切られるぞ、あんた」
子供はあれで案外シビアだからな――と、続けようとした所でヴァルトラウテに肩を掴まれてやめた。
『孫・LOVE』のサンタジーさんは相当ショックだったらしく唸るように男泣き。すいませぇぇぇ~ん! と、嗚咽を漏らしながら謝ってきた。
どうやら効果は覿面だったらしく、その方向で攻めたのは大正解だった様だ。ウザいのに変化は無かったが。
そして、赤城とヴァルトラウテはお痛が過ぎる残りの連中も『エクリシス』なる両刃の大剣で捕縛でなく片っ端からしばき倒す。爆発のエフェクトがまるでクリスマスムードを彩る様にあちこちで巻き起こった。
「あれは――赤城達か? いくら頭にきたとはいえ派手なやり方だな」
『よっぽど頭にきたんだよ。きっと!』
そんなこんなで混乱の渦中にいたのはもちろん恭也と伊邪那美だ。
――オラオラオラ! と遠慮容赦なく近付いてくるサンタジーさん達(ヴィラン)を相手に2人はと言うと……。
「こちらも……負けてはいられないな」
『子供達の夢を取り戻そう!』
静かに闘争心をたぎらせていた。そして、敵の野望を阻止しに行動に移る。
商店街付近からAEDなる物をさり気なく借りていた恭也はというと……。
「よし、これで心臓が止まっても即座に救命処置に入れるな」
『臥謳で御年寄りの心臓を止める気?』
「……その手があったか」
『いやいや、無いよ!』
どこか楽しい会話を一通りこなした後、サンタジーさん達(ヴィラン)は再びやって来た。
ホントに何がしたいんだろうか? このご老体連中は……。
捕縛する際、バイクのみを狙って攻撃。そして予定通りスキル『臥謳』発動!
本能的な恐怖の咆哮は全く別の意味でサンタジーさん達(ヴィラン)の雄叫びとは格が違っていた。その場にいた皆が後ずさる。思いっきり逃げ出す者もいた。
サンタジーさん達(ヴィラン)の腰が引けたその隙に一気に間合いを詰めて捕まえる!
一方、外見年齢8歳の幼き英雄。伊邪那美はと言うと……。
『人に迷惑を掛けるおじいちゃんなんか、だ~い嫌い。おじいちゃんの恰好、変! 格好悪い~』
恭也の指示により孫の振りをして相手の気力を削ぐ……と言うか精神的な大爆撃を行っていた。
ショックでAEDとやらが必要にならなければ良いが……。
一方、エレオノールとハーレキン。そして咲雪とアリス達はそれぞれが近い位置で連携攻撃を行っていた。
場所は商店街の末端。サンタ族達はそこまで行くとUターンして戻ってきた。どうやら地元商店街を根城にしているらしい。つまり行ったり来たりしているのだ。
それを知ったエレオノールは持っていた『フリーオロッド』を使う。それは冷たく透き通った素材で出来た短杖。
一振りして魔法との親和性が高いそれをライヴスに絡ませ、一気に路面を凍結させる! その後、キラキラとした輝きが周囲をほのかに照らした。
そこにいた人々にはクリスマスを彩るイルミネーションの様に見え、その幻想的な輝きがまさかサンタ族へのトラップであるとは気付きもしなかった。
――当の本人達。サンタ族はもちろん。
そして奴等はやって来た。何も知らずに、路面に光るキラキラ星が己の命の危険を物語っている等と寸分たりとも思う事はなく。
「ひゃっほおおおぉぉぉーーーう!」
「んめりーくりすまーすうううう!?」
叫びながら次々とその路面を通過しようとしたサンタ族達がスリップする。
「あなた達へのエレオノールからのクリスマスプレゼントです。ぜひ受け取って下さい」
ウインクしてその次の瞬間彼女は『銀の魔弾』をわざと直接当てない様に連打する!! リアル回避ゲームそのもの。
それをどう受け止めたのか? サンタ族達はバイク(痛車)の急ブレーキを掛けて悲鳴を上げながら、次々と走り去っていく。逃げた。
その間もライヴスの魔力の弾が背を向けた彼等のすぐわきを通過していた。まるで容赦がない。
最初は同情していたエレオノールだったが、キレると怖い。
だが、まだ戦闘は続く。
サーカス団の一員。ハーレキンはその可愛らしい容姿からは予想だにしない攻撃を連発!
近くのゴミ置き場や廃材置き場からいくつかのガラクタを持ってきて、バイク(痛車)の車輪に噛ませる様に投擲!
そしてガソリンだかオイルだか判別が付かないポリタンクに入っていた何かの液体を路面に撒いたり、ライヴスの力とそれを宿した不気味な『メフィストの道化人形』の直線移動する黒いナイフの魔的な力のコンビネーションを使って路面をデコボコになるくらいぶん殴る。
見事なデコボコ道となったそこに案の定と言うか、サンタ族達は次々と悲鳴を上げて引っ掛かった。
そしてスピードがある程度落ちた頃合いを見計らって、問答無用で捕まえた。
「ふう。舞台の上でもそうですが、怪我人がいなくて何よりです」
さすがはサーカス団の一員。プロの手際で器用なまでに豪快に相手を生け捕りにした。周囲の見ていた人達から拍手喝采されながら。
その様子を見ていた咲雪とアリスも動き出す。エレオノールが魔弾を連射している隙を見計らって、スキル『縫止』を遠慮なく発動。
ライヴスの針がその対象となったサンタ族達のライヴスをかき乱してその後の行動を強制阻止。逃げ遅れたサンタ族達を一気にタコ殴り。
「クッソー! お主らエージェントか!」
その発言に対しめんどくさがりの中学3年生と腐女子の英雄という異色コンビはというと――
「……ん、クリスマス……楽しみにしてる子供、に嫌われるよ?」
「そうね、孫に嫌われるわよ」
今度はご老人への言葉のクリティカル。少なくともサンタは族ではない。
バイクに乗ってるだけなら、孫からの視線はおじいちゃんかっこいい、かもしれないが乗ってるバイクが痛車であるというのが致命傷。
そしてサンタの衣装も間違えている。
「……ん、乗るならトナカイ仕様、おすすめ。後……うるさいの、ダメ。暴走も、だめ……交通ルールを守る、正しい」
「手本になるべき年長者が率先して悪い事をするのは教育上よろしくないわ。かわいいお孫さんがお爺ちゃん悪者だと思ったら、どういう視線を向けるかしら?」
「……ん、奥さん呼んでも良い?」
ご老人連中への言葉の暴力が迸る。
そして最終兵器、奥さん。世の夫にとって最も恐れられるもの、それが妻である。
「そ、それだけは勘弁してくれぇぇぇぇーーーー!」
サンタ族の男泣きの声は商店街の辺り一面に響き渡った。
●サンタ族捕縛完了――さて、気になる袋の中身は?
とりあえず全員正座させて説教をする。
「まったく……人よりも長く生きてきたのだからやって良い事と悪い事位の判別は付くだろう。俺の様な若造に説教されるなんて……恥ずかしいとは思わんのか?」
恭也が落ち着きつつもどこか揺るぎ無い怒りを相変わらずの無表情で諭すと――
「今日暴走族だって周辺住民の皆さんに気を遣うってのに、お前らときたら」
『その年でそれでは老害扱いされても文句は言えませんわね。更に言うなら、アニメの痛車をそのように乗り回すのも万死に値しますわ』
「ツッコミ所そこかよ」
――赤城とヴァルトラウテの言葉の連続攻撃が相手を完全に鎮圧させた。他のエージェント達は呆れてものも言えない。
「す、すすすすみませんでした――――!」
赤いサンタクロースに身をやつした聖夜のサンタ族達は遂に陥落。土下座までする始末。
そして、一応危険がないかだけは確認する様に彼等サンタ族なるものが持っていた例の袋の中身を改める。
正直あまり中身は見たくないが、エージェント達の使命感がなんとなくそれを可能にさせた。
「のど元過ぎれば何とやら、とならねぇと良いんだがな」
『何となく悪い事をする自分に酔っているのであれば、またやらかす可能性はありますわね』
赤城とヴァルトラウテは存外に冷静で袋の中身に興味は無い様だ。
『さてさて、何が出て来るのかな~。聞いた話だとサンタクロースって子供にプレゼントするって事だからきっと良い物があるんだろうな~』
「お前は人様宛ての贈り物を奪う気か? それ以前にこの連中が持っていた物だぞ、酒とつまみか孫の写真位な物だろ」
『ところで、恭也。サンタクロースって大黒天の事?』
「いや、恰好は多少似ているが全くの別物だからな」
しかし恭也はともかく伊邪那美はとても嬉しそう。外見年齢が幼いからか、今は無邪気な普通の子供に見える。
そして出てきた袋の中身は果たして――?
「……ん、何これ?」と咲雪。
「珍しい衣装ですね。所でこれって日本の伝統芸能の装束なのですか?」とハーレキン。
「はあ~」と、頭痛を堪えつつ溜め息一つ。アリス。
「北欧……スウェーデンではこの様な物は目にした事がある様な無い様な気がします」エレオノールの一言がそれでラストだった。
「――それはわしらサンタ族に代々伝わる伝説の赤いちゃんちゃんこ。その名も『サンタさんの特攻服』じゃ!」
捕縛したヴィランの族。サンタ族の中でも優秀なヘッドが自慢げにそう言い――
――こんな物を子供達にプレゼントしようとしてたのか――
今、ここに集ったエージェント達の思いは沈黙に包まれ偶然にも一致していた。
寒風吹き荒ぶそれも12月のクリスマスイブでの出来事でした。
メリークリスマス!(了)
結果
シナリオ成功度 | 大成功 |
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