本部

【卓戯】連動シナリオ

【卓戯】広告塔の少女~この星を守って~

鳴海

形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
能力者
10人 / 4~10人
英雄
10人 / 0~10人
報酬
普通
相談期間
4日
完成日
2016/10/14 16:53

掲示板

オープニング

ミッションタイプ:【敵撃破】
このシナリオはクリアと成功度に応じて様々なボーナスが発生します。
詳細は特設ページから「ミッションについて」をご確認ください。


● 四すくみ
 《ゼ・バウ》は地球上に降り立つと、その人々の営みを鼻で笑った。
 空には複数の光が見える。大気圏に突入した敵旗艦だろうだがもうすでに遅い。
 一時間もあればこの星の八割を焼き尽くせる、そうしたならば、奴らの敗北は確定的だ。
 そうにやりとゼ・バウは微笑んだ。
 その時である。
「かってはさせねぇぜ!」
 拘束でゼ・バウに迫ったのは、科学国家テルンの最新機体『Rロジック・グラスファイント』を駆る『小堤院 雄吾』
「地球は俺が守る!」
 グラスファイントはその翼を羽ばたかせるたびに周囲の環境に影響を与えているようだ。
 それ自体はゼ・バウが気にするところではないが。
 それを看過できない人物が一人いた。
「この星を汚すことはゆるされない!!」
 突如海面が割れ、海水が渦を巻きその中央から巨大な生物が姿を現した。
「お前……ゾーン!! 死んだはずじゃ」
 雄吾は仇敵の名前を叫んだ。
 ゾーンと呼ばれた巨大生命体は笑う。
「お前たち人間がこの星を殺そうとする限り何度でもよみがえるわい」
 そうゾーンは杖を振ると大量の海水が二体を覆う。
 そしてあたりの気温が一気に変化。
 機体の表面が凍りつく。
「なんだ、この星は」
 そして混乱するのはゼ・バウである。
「なんだ、この世界は、それにお前は我々にこの星を与えてくれるのではなかったのか! テイカー」
 そうゼ・バウが叫ぶと、突如空間が裂けた
 そこから現れたのは、大きな腕が特徴的な、漆黒の機体。愚神機『ザ・テイカー』
「ええ、ここにいる脅威すべてを倒した時に、差し上げますよ、この世界すべてをね。ただし、足すべき対象には私も含まれていますが」
「な…………」
「さぁ、戦いましょう、私は強い魂を求めています、それが単なる情報にすぎなくても、私の性質からすれば、それは強大な戦力となるのです」
 そしてテイカーは笑う。
「さぁ、これがこの世界終焉の幕開けです。リンカーたちよ、この危機をどう対応しますか?」

● 地球の危機
 前回の戦いで地球外生命体ゾアラの進行を許してしまった地球軍。
 このまま成す術もなく地球勢力は壊滅してしまうと誰もが思った、しかし。
 そうはならなかった。むしろもっとひどい結末が地球を待っていたのだ。
「行ってくるわ」
 遙華は格納庫に収められた自分の愛機を見つめていった。
「いつかあなたとこの空を駆ける時が来ることを願っていたけど。まさかこんなタイミングになるなんてね」
 遙華の背後のラジオではしきりに地球の危機を告げている。この星はもうあと一日ももたないそうだ。
 ただ、それは何もしなければの話で、今から立ち上がればきっと間に合う。
 そう思う遙華だったが、同時に彼女は理解していた。今から赴く戦場の過酷さを。
「残しておかないとね、遺書とか……。春香にはもっと伝えたい言葉があったな……」
 愛機《レイ・クイーン》機動力と妨害性能に長け。エースとよばれることはないが、仲間の窮地を多く救ってきた。自分の誇りのような機体。
 それはたとえお遊びの世界と言えど、遙華の支えになってきたものだ。
 彼女……そう、遙華は便宜上彼女と呼ぶが。レイ・クイーンと共に戦えるなら、どんなに恐ろしい戦場にも赴ける気がしたのだ。
「どうしてもいくの? 遙華」
 そんな遙華の背中にロクトは問いかけた。
「ええ、行くわ。私この世界を守りたいの、たとえこの世界に本物の生命がいなくたって、もう一度最初から作れると言ったって。それでも好きな世界が壊れるのを黙って見ていることなんてできないわ」
「あなた、そんなに……」
「それに、艦長から降格されちゃった今なら、前線に出ても問題ないわよね」
「でもAGWは共鳴していないと使えないから私も行かないといけないわよ」
「う…………」
「嘘よ、たまにはあなたにストレス発散させてあげないとね、それに珍しく戦いたいって言ってるんだから、意志は尊重してあげたいしね」
 そして二人はパイロットスーツを羽織った。
「行きましょう、これが最後の戦いよ」

● フィールド
 今回は縦十、横十の百SQの中での戦闘です、中心の五十SQは陸地で、その外は海です。ゾーンは海中に適性があり。愚神機は飛行適性があります。
 ゼ・バウとグラスファイントは一ラウンド飛行すると次のラウンドは飛行できない限定的飛行能力を持ちます


●『リンカーズアームズ』

 今回はAGW『アームズ』を使用して。地球を滅ぼしかねない四つの脅威を退けていただく必要がある。
 これは搭乗型人型兵器であり、基本性能は下記の通り、さらにカスタマイズボーナスを二つ設定可能。

・全長15M程度の人型兵器
・生命力に+50される
・ステータスなどは上がらないがAGWも巨大化して装備するため最大射程が50伸びる上に、全ての攻撃が範囲5の攻撃になる、もともと範囲が設定されている武装やスキルについては範囲の値に+5する
・SQの大きさが十メートルで1SQになる
・飛行機能は備えていない

*カスタマイズ
 自身のアームズに二つボーナスをつけることができる。同じボーナスを二つとることも可能。

・フライングビット
 周囲にビットを飛ばす。攻撃の補助や敵の攻撃の妨害を行う。
 回避と命中に+300する、さらにフライングビットの破棄を宣言することによって一度だけダメージをゼロにできる。

・巨大化
 全長に+5M 範囲の値に+1され、生命力に+50される

・エネルギーウィング
 自在に空を舞うことができる、エネルギー質の翼を背に生やす。
 移動力+5され 物理魔法攻撃力に+100される

・レジェンドウェポン
 AGWが改造され
 自身のAGWの性能が二倍になる。マイナスの数値と射程は二倍にならない

・必殺技1
 一回だけ使用可能なスキル。次のターンに行動できなくなる代わりに魔法物理両攻撃力に+500される

・必殺技2
 一階だけ使用可能なスキル。対象のリアクションを封じ攻撃できる。この攻撃終了時に即座に使用者はもう一度行動できる。

・覚醒1
 突如ブラックボックスが起動する。マップの好きな地点に移動し生命力を全回復する。さらにこのターン自身はダメージをうけない。

・覚醒2
 リンクバーストを使用できる。さらにすべてのステータスに+100されるが、このラウンド終了時に効果が強制的に解除され、次のラウンドあらゆる行動ができなくなる。この効果で邪英化、重体はしない。

解説

目標 脅威四体の排除

 今回は同時に四体の脅威と戦っていただきます。
 

・地球外生命体『ゾアラ』の切り札『ゼ・バウ』
 二十メートル程度の人型機体。回避と移動性能に優れ、武装は近接剣と格闘しか持たない。
 攻防において隙がなく、一対一での戦いでは最強と思われる。ただし対応力に乏しい。
 彼が勝利した場合、機体は門となり、直接宇宙生命体を地球に送り込む

・地殻帝国の王『海龍王ゾーン』
 巨大なサメの胴体に人間の上半身がくっついている、三十メートル程度の化け物。
 帝国の王であり、この地球の環境を汚染する人間たちを許せず顕現した。
 攻撃は、気温の操作による凍結攻撃や、海水を高圧でぶつけたりする広範囲攻撃が得意。また装甲が分厚く厄介。
 その反面移動力が低く回避が全くできない。
 彼が勝利した場合、地球上全ての火山が噴火する。

・人類の希望『Rロジック・グラスファイント』
 地球の最新技術が使われているアームズ、大出力の兵器を多く装備しており、攻撃力がたかく、その全てに貫通能力が備わっています。(防御力を低下させて判定を行う、射線を遮ることができない)
 さまざまなレンジの攻撃に対応可能
 装甲が薄く、ゼ・バウほど回避が高いわけではないので、一番落されやすいでしょう。
 ちなみにこの機体に使われている炉は爆発すると、放射能のようなものをばらまき、それは放射能以上に有害です、それこそ再生不能の汚染となるので、倒す時は行動不能くらいにしておきましょう。


・愚神機『ザ・テイカー』
 巨大な三角錐の腕を両脇にもつアームズ、腕だけが巨大で、本体は十五メートル程度。
 攻撃を反射する力を持ち、一定の確率で攻撃ダメージの半分を返してきます。
 能力に特出した部分はないが、防衛能力の高さが売りである。また移動力だけずば抜けて高い(17)ので、カバーリングなどに警戒を。
 生き残った場合、この世界で作られた愚神などが現実世界に進行する

リプレイ


プロローグ
 それは戦艦内の格納庫、ずらりとアームズが並べられているその真ん中で遙華『黒金 蛍丸(aa2951)』が、自身の機体の最終調整を行っていた。
 それを不服そうな目で見ている『詩乃(aa2951hero001)』
「ガデンツァ戦で命を救ってくれましたね。今度は僕の番です。全力で戦います」
「それを言うなら私の方があなたに助けてもらっているのに、なんだか悪いわ」
 詩乃はさらにほっぺたを膨らませる。
「それにしても水瀬さん」
 蛍丸が『水瀬 雨月(aa0801)』の名を呼んだ、蛍丸の機体《鬼神・零》の隣に並び立つ汎用型アームズ、蛍丸が声をかけると機体の胸の部分から顔を出した。
「自分用にフォルムもカスタマイズできたのに、デフォルトでよかったんですか?」
 蛍丸は問いかけた。それに雨月は答える。
「一応、武器は強化してあるし、ブラックボックスも積んであるわよ?」
 ちなみに彼女の英雄である『アムブロシア(aa0801hero001)』は今日もお留守番である。
「雨月は花より性能派なのよね?」
 遙華が言った。
「まぁ。それとはなんとなく違う気もするけど」
 そう雨月が背を丸めてコクピットから出ようとした瞬間であった。鉄の梯子に足をかけるとそこはオイルで濡れていて。足を滑らせ十メートル程度を真っ逆さまに落ちる雨月。
「あぶない!」
 そう蛍丸が動いたときにはすでに雨月の落下地点に青年が一人立っていて。落ちてくる雨月をキャッチした。
「ありがとう?」
「怪我はないかな?」
 『レオンハルト(aa0405hero001)』はそう雨月に微笑みかける。
「レオンハルト。早く下ろしてあげた方がいいわよ?」
 呆れた表情で遙華は言った。 
「ああ、これは失礼」
 レオンハルトはそう言うと雨月を地面に下ろすが、次の瞬間雨月は幽霊でも見たかのように、その視線が一点にくぎ付けにされる。
「いえ、私はよいのだけど彼女が……」
 そう指さした先をレオンハルトが振り返る。するとそこには爪を噛みながらこちらを、ガラスのような瞳で見つめている『卸 蘿蔔(aa0405)』おりました。
「ウウウ、ウラヤマシイ」
 どちらにせよ蘿蔔がこのままではまずいので遙華が出動する。
「親指食べちゃだめよ。深爪になっちゃうでしょ」
 そうやんわり蘿蔔の手を引いて彼女の機体の方に歩みを進めた。
「あ、はい。大丈夫です、これは大変な物をお見せしました」
「全くだ」
 そうレオンハルト蘿蔔の頭をワシャワシャとかき回すと、機体の真正面に立つ。
「おい……なんだあの若葉マーク」
「これがあなたの機体ベルホワイトなのね」
「はい、高機動と射撃性を重視しました。援護しますよ」
 そう蘿蔔は楽しげに言った。
「メインアタッカーの澄香。高機動方の私の機体。そして遠距離からの射撃を行える蘿蔔。いいコンビネーションができそうね、三つの機体は通信機器を強化しておいたわ」
「俺の話聞いてもらっていいかな、蘿蔔。あれはいったい」
 そう若葉マークをゆびさして言う
「しょうがないじゃないですか……私、初めて乗りますし。初年兵なのですよ」
「蘿蔔の痛ペイントシールならうちの会社でどうにかなったかもしれないけどね」
「いえいえ、ああいうのは自分で書き込んでこそ」
「お前は何をしようとしてたんだよ!」
 時々大胆な蘿蔔に振り回されるレオンハルトであった。
 そんな三人は置いておいて、格納庫での出撃準備は着々と進んでいる。例えば『新星 魅流沙(aa2842)』の機体。
「新星さんの機体は前と同じ構成なんですね」
 蛍丸がそう機体に触れる。
「ちげーぜ、ホタマロ」
 『『破壊神?』シリウス(aa2842hero001)』が蛍丸に苦言を呈する。
「名前を間違ってるぜ。こいつの名前はニボシだ」
「蛍丸さんですから!! そして私の名前は新星であってますから!」
「呼びやすいように呼んでいただいて結構ですよ」
 そう名前の間違いを許す蛍丸、寛大である、そんな彼が触れているのが『ゾディアック13(ドライツェン)』で、魅流沙の機体である。
 そのファンタジックな機体の隣には黒に朱をいれた禍々しい機体が鎮座していた。
 『百鬼夜行』である、搭乗者は『御門 鈴音(aa0175)』
「にしてもこんなからくり傀儡を作るとは。わしら怪異には想像つかんものを人間は作るのぉ」
 『輝夜(aa0175hero001)』が百鬼夜行の肩に座り告げた。
「逆に言えば怪異の存在そのものも私ら人間には想像もつかない存在なんだけどなぁ……」
 そう鈴音はコックピットに座り一息ついた、そんな百鬼夜行のコックピットを覗き込んだのは遙華。しかし遙華は鈴音の姿を見て言葉を失うことになる。
「それは一体……」
 鈴音は戦隊スーツに般若の仮面をつけていた。
「ホープンジャー再来です」
 わりかし楽しそうな鈴音である。


一章
「またこの機体に乗ることになるなんてね」
『繰耶 一(aa2162)』は操縦桿を握りそう告げた。『サイサール(aa2162hero001)』がその言葉に頷く。
 そして彼女の駆るコギトエルゴスムは発射口に運ばれていく。
「繰耶 一」
―― サイサール、コギトエルゴスムで出る。
 直後、電磁加速された機体が蒼い空に打ち上げられた。大きく翼を広げ気流を掴みさらに高く飛んだ。
 次いで『スワロウ・テイル(aa0339hero002)』の声が戦艦指令室に響き渡った。
「さて、今回はどの曲にしよっかな~ パンクロックっスかねぇ……やっぱ」
「ちょっと、音楽訊きながら戦闘なんてできるの?」
「ダイジョブっす、姐さん機械オンチっつーから早々に共鳴しちゃったスよ。スマホのメールはスゲースピードで打つっスのに」
 『御童 紗希(aa0339)』は操縦を拒否したらしい、そのためスワロウが代わりに操縦桿を握っている。
「さ~て、テンション上がって来たっス! 相手に遅れを取ったらマズイっス!
スワロウ・テイルちゃんの初陣っス!」
 次いでスワロウにコントロールが移譲され、発艦のタイミングを任される。
「テイル、いきまーす!」
 音を切り裂き射出されるタオファ。空気抵抗を受けにくい流線的デザインは極めて女性的。
 射出されると同時に展開される、薄桃色のフィールド。彼女の駆るタオファの翼である。
 その周囲を球体上のビットが浮遊している。
 
「ダイスミカ出ます!」

 そんなタオファの後ろに追随するのは超大型の魔法少女。
「どうしてこんなことに!」
――プロパガンダの為ですね。
「これ想像以上に恥ずかしい!」
『蔵李・澄香(aa0010)』は悲鳴を上げると、涙目で操縦桿を握る手に力を込めた。
――レオタードはロボット物の基本ですよ。
 そう告げたのは『クラリス・ミカ(aa0010hero001)』やはり機体のデザインは彼女の趣味だったらしい。
 そしてダイスミカの後ろに遅れて発艦したベルホワイトと共に、紫色の人形機体《レイ・クイーン》がダイスミカの隣に並ぶ。
「あああああ。遙華はなぜ止めてくれなかったんだろう、ノリノリだったからだね! うわーん」
 そうコロコロと変わる澄香の表情をトレースして泣いたり笑ったりやけになったりと表情を変えるダイスミカ。グロリア社の誇る人工筋肉は伊達ではない。
 さらに定期的に髪の毛のような放熱線がピンク色に光る。それがとても可愛らしい。
「遙華……」
 レイ・クイーンのサイドモニターに蘿蔔の横顔がうつされた。
「どうしたのかしこまって」
「あなたと一緒に空で戦えるなんて、私とっても嬉しいです。テイルさんも、頼りにしてますね」
 スワロウの横顔も一緒に画面に表示される。
「お。おう。よろしくッス。それにしてもこの人こんなキャラだったすか?」
 スワロウが蘿蔔をさしてそう言う、しかし蘿蔔の表情は涼しげだ。
――ごめんな。
 謎に謝るレオン。
「すみちゃんは……久しぶり、訓練校以来ですね。いつか一緒に戦おうって約束したけど……まさかこんな状況になるなんて」
 その言葉を受けて澄香はニヒルな笑みを浮かべる
「そうだねシロ。けど一つ勘違いをしてるよ、シロは……その程度の腕で私と一緒に飛べると思わないことだね」
「……私好みの展開だけど、敵が見えたわよ。準備して」
 遙華が笑って言うと、二人は声をそろえて遙華に答えた。
「「はーい」」
 見ればすでに四つ巴の激しい戦いが繰り広げられている。
「じゃあ、さっそく」
 そう蘿蔔が加速しようとした瞬間。高らかに戦場に響く男の声。

「お前たち、無用な争いはやめるんだ」

 突如海を割って現れたのは『飛岡 豪(aa4056)』の機体《豪鎧王》である、紅蓮に染まりしその機体は彼のシンボル『爆炎竜装ゴーガイン』をモデルに造られた正義のロボットである。
 豪鎧王は陸地に上がるとさらに数機海の底から浮上し始める。それらが豪鎧王を中心として陣形を組んだ。
 そしてどこからともなく強力な光が降り注ぎロボットたちをライトアップした。
「希望の使者、豪鎧王! ここに推参!」
 拳を打ち合わせる豪鎧王。
「訳あり女のトラウマを文化遺産の面に隠して…ホープンジャー般若!再び見参!」
「まるでいつぞやのえいが撮影を思い出すのぉ」
 鈴音の百鬼夜行がその大剣を振り上げる。
「映画と違って今回は本当に地球の危機なんだから、しっかりやってよね。」
――俺達も行くぜ!
 シリウスがそう叫ぶと翼を翻し、天に拳を打ち上げる魅流沙の機体。
「ぞ……ゾディアック13」 
 ちなみに彼らにライトを当てているのは雨月である。
「ロングボウ・アーチャー……」
 森林の中心から突如現れた緑色の機体。それを狩るのはロビンフットでもウィリアムテルでもない『藍澤 健二(aa1352)』である。
――君って絶望的にネーミングセンス、ないわね
『ティーナ フォーゲル(aa1352hero001)』が苦笑いを浮かべた。
「ほっといてくれ」
 この名乗り合戦に巻き込まれたのが恥ずかしいのか健二は顔を赤らめてそっぽを向く。

――俺たちが来たからにはもう大丈夫だ、矛を収めろ、それぞれ言いたいこともわかるだが、話し合いで解決できるはずだ。俺たちは血を流す必要はない。

『ガイ・フィールグッド(aa4056hero001)』がそう言い放つ。
 だが戦場の中心でどうどうと名乗りを上げる連中を容赦する相手ではない。
 ゾーンからの海水攻撃。
 グラスファイントは大出力のライフルを放ち。
 テイカーは岩を持ち上げて投げた。
 それが豪鎧王周辺に集まっていた機体に殺到したものだからたまったものではない。
 ゼ・バウはその攻撃の隙間を縫ってリンカーたちに突貫する。
――なぜだ!
 ガイが叫ぶ。
 その銃弾の雨を避けながら豪が叫んだ。
「海龍王ゾーン! そして小堤院雄吾! 俺の話を聞け!」
 ゼ・バウの剣撃を横から割って入った蛍丸が防ぐ。
「今俺達が争っている場合ではない! テイカーとゼ・バウ、奴らこそ地球の脅威だ!」
 それを無視して島の上を走り回るリンカーたちを撃ち続ける敵対勢力四機。
「協力するんだ! 地球を護るために!」
 そんな豪の叫びむなしく戦闘は止まらない、それを見てシリウスは溜息をついた。
――滅亡の危機でも協力できないのは何処の世界も一緒か。ま……絶望しないくらいには慣れてるぜ。いくか、相棒。巻き返しだ!
 シリウスは立て続けに告げる。
 飛翔するゾディアック13。
 彼女は一直線にゾーンめがけ突撃する。
 澄香は意を決するとスピーカーのスイッチを入れた、戦場に響き渡る音。
「絶望に立ち向かう希望は此処にあります」
 希望の音は世界の平和を願う歌。その思いが届くようにと願いながら戦いは開幕する。
 直後鈴音もまた夜空のような翼を広げ飛び立った、開戦である。


第二章
「リンカーたちよ、ついに来ましたか、待ち望んでいましたよ、わが手でひねりつぶせるその瞬間を」
 大きく発達した三角錐型の腕を打ち鳴らしテイカーは叫んだ。彼がこの戦いの黒幕であり最優先で撃破すべき愚神だ。
 それを見咎めて蘿蔔はライフルを構える。スコープの先にテイカーを捉え弾丸を放った。
 その直後驚くべきことが起こる。
――避けろ! 蘿蔔!
 蘿蔔はスコープ越しに一瞬信じられないものを見る。弾丸が時間を巻戻るように跳ね返ってきたのだ。あわてて避けようと左の翼を振るわせるが弾丸は肩の装甲を穿って後方に突き抜けた。
「うっ」
「蘿蔔大丈夫!? 私がフォローに向かうわ、各自、手はず通りに目標を抑えて!」
「私は大丈夫です、それより皆さんを……」
 遙華の号令に合わせて、スワロウと澄香が矢のようにテイカーへと突っ込む。
 スワロウに至ってはその手が届くほどの距離まで接近した。
「ついてこられるか?」
 テイカーが告げる。
「その程度でいってんすか?」
 冷たく微笑んだスワロウは自身の言葉を証明して見せるように、テイカーの頭上を抑えるように飛んでいく。
――澄香ちゃん
「うん! ラジエルマギカフル稼働」
 コックピットでラジエルが回転を始める。周囲に生み出されたのは等身大のクラリスミカ。それが大量に生み出されテイカーに殺到する。
――攻撃用クラリスミカは私が、澄香ちゃんは操縦を!
「もうわけが分からないよ! 遙華! 私とシロで攻撃するから、援護よろしく!」
「わかっているわ。私とスワロウで行動を制限する」
――反射能力に警戒を、遙華、シロの射撃で看破するのでデータ収集をお願いします。
「うっとおしい人たちだ」
 テイカーはスワロウに拳を振るうがそれをやすやすと回避。そして16式の銃口をテイカーの顔面に向ける。
「これでも……」
 スワロウが引き金を引く瞬間テイカーは体をそらしてその腕を銃口と自分の間に差し出した。
「食らうッス!」
 だがその弾丸はテイカーに突き刺さると同時に反射。わずかに体制を変えたおかげで銃の破壊は免れたが、腹部に銃弾がめり込んだ。
「やりやがったっすね……」
 同時に放たれるクラリスミカからの攻撃も反射していくテイカー、それがクラリスミカを撃墜していく。
「あまり気分の良くない光景ね」
 遙華はそう告げ、上空から電磁ネットをテイカーめがけ射出、その時遙華は恐ろしいものを見た。
 それはテイカーが展開する三角形の防御シールド、それに映った自分の姿。
 その鏡面から直後同じようなネットが出現し、レイ・クイーンに絡みついて電流を流す。
「遙華!」
 蘿蔔が叫ぶ。
 チャンスとばかりに遙華に接近するテイカーをスワロウが間に入って阻止した。
 反射も構わず銃弾を放つ。
 次いで蘿蔔も銃弾を続けざまに三発放った。
 その弾丸ほとんどが反射され、タオファとベルホワイトの装甲を削っていく。
「これが反射……」
 蘿蔔は期待が上げるアラートを聞きながらつぶやいた。
――蘿蔔……
 レオンハルトが問いかける。
「はい、気が付いてます、ダメージが返ってこない箇所がありますね……」
「やってくれたわね!」
 遙華がテイカーの真下を取った。
「メンドクセー事は頭のいい人に任せるっス! 自分は……敵とみなしたモノ完膚無きまでに叩き潰すまでっス!」
 理性を放棄したスワロウ、その目が獣の獰猛さを帯び二人は挟み込むようにテイカーを攻撃した。
「にゃハハッ! オラオラオラオラ修正っス!」
 スワロウだけはその機体を穿つ弾丸を気にせずに、盛大に弾幕を展開する。
「やりづらい!」
 ダイスミカが魔力チャージのモーションに入る。
 それを見た遙華が敵の後ろに回り、四肢からワイヤーを発射。テイカーをからめとる。
 次いで蘿蔔が弾丸を発射、しかし空中漂うビットが弾丸を弾き、奇跡のような弾道を描いてテイカーの顔面に突き刺さった。
「うぐおおおおお」
「「ブルームフレア!」」
 直後、澄香の魔術がさく裂した。その炎は悪しき者のみをやく魔法少女の光。しかし。
 その光もテイカーに触れれば闇に染まり、放った魔法少女へと跳ね返る。
 直後爆撃にさらされるダイスミカ。
「澄香!」
 遙華が叫んだ直後、テイカーは遙華の拘束を振り切りダイスミカへ接近、その大きな腕でダイスミカを掴みあげた。
「ああああああ!」
 拳の圧力に軋む装甲、澄香は囚われてしまった。


第三章 
「くそ! 邪魔だ!」
 グラスファイントを駆る雄吾は、目の前に立ちはだかる弓兵を睨み怒鳴った。
「そこをどけ、俺はゾーンを倒さないといけないんだ」
「それはだめだ! 許されない」
 健二が叫ぶ。
「なぜだ、あいつは人類の敵だ!」
 健二は大弓を構えると六体のビットが円状に展開、それぞれがエネルギー質の矢を構える。
「それ以上先にはいかせない」
 健二はゾーンに突っ込もうとするグラスファイントの進路をふさぐように矢を放っていく。
「これが最後通告だ、どけなければこの星の敵とみなして攻撃する!」
「この星を守りたいって、やりたい事がハッキリ明言出来るって……正直羨ましいな」
「は? 何をいって……」
 雄吾の問いかけを無視して健二は言葉を続ける。
「でも、一人じゃ荷が重いだろ? 手伝わせてくれないか?」
「ゾーンを倒す手伝いか?」
 グラスファイントは平原を削りながら走り、アーチャーとの距離を詰めた。
「違う、本当の敵はたった一人のはずだ。ゾーンとは分かり合える」
「たわごとを! お前たちも敵だな!」
 そうグラスファイントは砲塔を展開。二連波動砲がはなたれ、それがロングボウ・アーチャーをかすり、装甲が泡立った。
「私たちは敵じゃありません!」
 魅流沙が空から舞い降りて、グラスファイントを羽交い絞めにする。
「私たちはゼ・バウを追ってきました」
「あの宇宙から来たやつか」
「所属は違えどこの地球を守りたいんです。私たちが争う必要はどこにもない」
「そんなわけあるか、本部がお前らを落せと言う! だったら全員敵だ」
 本部、その言葉に健二は違和感を覚える。
 彼に指示する人間がいる。であれば彼は何も知らされずに戦わされているのでは、そんな疑問が突如脳裏に浮かんだ。
「なんで誰も教えてやらないんだ! あの機体は炉は破壊されたらやばい代物なんだろ?」
「なに?」
 雄吾の抵抗が止まる。
「雄吾にはこの星を守りたいっていう明確な想いがあるのに、結果として自らの手で、星の未来を閉ざすなんて残酷な真似をなぜさせる!!」
 健二の言葉に息をのむ雄吾。
「なに? それはどういう……」
 その直後である。雄吾の耳に聞こえてきたのは豪の叫び。
「お前も知っているはずだ、グラスファイントの動力炉が爆発すればどうなるかを!」
 見れば豪と鈴音がゾーンと戦っていた。豪がオロチで海流を防ぎ、蒸発させ、鈴音の百鬼夜行が空から切り込む。
「今はだめです状況が複雑すぎます。地球が汚染されればみんなが困るはずです」 鈴音の叫びにゾーンは頷いた。
「知っている、だからこそお前たちに構っている暇はない」
 海水が噴出し鈴音に迫る、しかしそれを身を挺して妨害する蛍丸。
 蛍丸を包むように海水が展開され、それは零を拘束するように固まる。
「僕らも地球が壊れるのは嫌です、だから戈を収めてください」
 蛍丸が叫ぶ。その氷の柱を豪が九陽神弓で打ち砕いた。
「無理だな、脅威は奴だけではない、そして奴を野放しにすれば、殺されるのは我々だ!」
「お前には憎い相手だろう……だが、今は! 守ってくれ!」
 これ以上の攻撃を許すわけにはいかない。そう豪はゾーンに掴みかかる。
 二つの巨体が暴れるたびに波が高くたち、島の木々を押し流していく。
「どの口で言う! 人間!」
 ゾーンの言葉を聞いた直後。鈴音が叫んだ。
「確かに人間は環境を汚染してるけど……汚染しないように私もごみ拾いとかする! みんなに呼びかけもする! だからお願い! こんなことはやめて!」

「みんな頭に血が上りすぎよ」

 その直後であるゾーンの頭上から業火が降り注ぐ。
「ぐあああああ!」
 海水が煙を上げて蒸発するほどの熱量、それを受けてゾーンは身悶えた。
 雨月の魔法攻撃である。
「少し大人しくしてもらおうかしら。黒鉄さん」
 そう雨月が告げると。同時にグラスファイントを組み伏せていた蛍丸が短く返事を返す。
「待ってくれお前たち」
 そんな雨月に攻撃をやめさせるために、豪はゾーンと雨月の間に立った。
「まだ、彼の真意を聞いていない」
「そんなものあとでいくらでも聞けるじゃない」
「違う、攻撃した後では心を開いてもらえるわけがない」
「気が付いている? 私たちの被害が尋常じゃないわ、遙華たちも苦戦してる、このままだと負けるわよ」
 その直後である。二つの閃光が轟音と共に飛来した、それを放ったのはグラスファイント。
 装甲の一部をパージすることによって蛍丸の拘束を脱出、すかさずゾーンへと最大火力を叩き込んだのだ。
 それを受ければゾーンであっても無事では済まないだろう。
 だがその攻撃を、豪が盾になってうけた。
「なぜだ……」
「同じ地球に生きる…仲間じゃないか」
 そして豪は雄吾とゾーン二人に聞こえるように高らかに言い放つ。
「ゾーン……環境を破壊する人間を許せない気持ちは解る。だが、人間も環境を回復させる努力をしている! 地球を大事に思う気持ちは同じ……俺達は解りあえるはずだ! 人間を、俺達を信じてくれ!」
「その程度の献身で我が怒りを鎮められると思うな、人間!」
 ゾーンは叫びをあげる。その瞬間彼を中心に雲が発生、周囲の海が嵐の夜のように荒れ狂う。
「俺も、いまさら止まれない。この星からすべての異物を排除するまでは……」
 直後グラスファイントの炉が輝き始めた。
 奥の手を持っていたのだろう。
 リンカーたちは悲しみを宿した瞳で二人を見つめる。

 第四章

「なんだろうね、あの三文芝居は」
 その光景を眺めていたゼ・バウは森の木々をなぎ倒しながら着地。コギトエルゴスムを真っ向から見据える。
「金色の、宇宙であったきりだね」
 次の瞬間コギトエルゴスムは全翼機形態に変形。空を大きく駆け上がる。
 それに追随するようにゼ・バウはスラスターをふかせた。
 空中で何度も交差し、突き放したところでフリーガー型ミサイルポットを撃ち尽くす。
 その追尾式ミサイルを全て剣で叩き落とし。爆炎の向こうから突撃してきた一の槍先を剣でそらす。
 しかしそれは残像。
 光の粒となって消えた機体。本物のコギトエルゴスムは、ゼ・バウの背後に。
「これで!」
 人形機体に変形。ビットを集約、大出力で矢を形成。大型の弓番えそれを放った。
「甘い!」
 次の瞬間。ゼ・バウは反転。その剣で矢を打つ。
 激しい火花が散った。
――あの錐の腕には私怨があるようですね。しかし孤立無援状態では骨が折れるでしょう。此処は停戦か……共闘といきませんか。
 サイサールの言葉に。ゼ・バウは首を振る。
「甘言には乗らないよ」
「お前が地球を欲しがる理由は何なんだ! 何故人類を滅ぼしたがる!!」
「決まってる、生きるためさ! あふれかえった我が同法を受け入れられる星が必要なのだ! だから私は」
 立ち上がる、ゼ・バウ。
 彼は真っ向から一を見据えた。
「他の星の命なら殺しても良いと」
「そうだ」
 その時、ゼ・バウの機体が光り始めた。その光は金色の機体を銀色に塗り替えていく。
 一は悟った。切り札を使うつもりなのだ。
 それと同時に、ゾーンの雷帝モード。そしてグラスファイントの『オーバードライブ』の準備が整った。
 戦場に満ちる殺気の濃度が変わる。
――これは……気を抜けば死にますね
「分からず屋が……ッ!!」 
 一は歯を食いしばって周囲の全機体に告げる。
「奥の手を使う!」
 それにリンカーたちは同意した。
「≪id-MODE≫スタンバイ」
 光がコギトエルゴスム
「グラスファイント! オーバードライブ!」
 グラスファイントの武装が展開され大型になるのを見たシリウスは叫ぶ。
――まずいぞニボシ!
「だったら、私達も行きます、リアクター」
「「アウェイクン!!」」
 戦いは激化する、強い力を制御するためにより強い力が生まれる。
 拳は敵を砕くために強化され。
 翼は敵の頭上を取るために大きく展開される。
 銃口はその口を黙らせるために火を噴き。
 命を奪うために自身すら焼きかねない更なる力を求める。
 その光景が見たくてテイカーはこの戦いの図を用意したのだ。
 世界を輝きが覆った。id-MODEやオーバードライブ、覚醒等。奥の手を用いた戦いは海を割り、地を割いていく。
 それを見てテイカーは満足げにつぶやいた。
「これが私の見たかったものだ、つぶし合え人間ども!!」
 その光景を眺めながらも片手間に三機の相手をしているテイカー。
 その腕での攻撃反射はやはり脅威で、スワロウ、遙華、蘿蔔の機体はズタズタに引き裂かれていく。
「澄香を」
「離してください!!」
 遙華の縫止、動きを止めてからの銃撃。
 そのコンビネーションもすでにパターンが読まれていて、ほとんどを反射されてしまう。
「争いが激化すればするほどこの世界自体をコントロールしやすくなる。私は鏡そして略奪者、その身に映るのは己の醜さと知るがいい!!」
 次の瞬間だった。テイカーは甲高く叫ぶと腕を大きく広げる。
 その瞬間腕が変形して小さな鏡のようなパーツに分裂し始めた。
 しかもそれは一枚や二枚ではない、数えきれない枚数になって、乱戦エリアへと飛んでいく。
 その鏡が、ゾーンの攻撃を、グラスファイントの攻撃を、ゼ・バウの攻撃を跳ね返し始めたのだ。

第五章

 戦場は一気に混乱に見舞われる。
 機体の腕が飛び、足が飛び。リンカーたちの機体も無作為に反射される攻撃で致命的なダメージを負った。
「見事にやられたな」
 一は動かなくなったゼ・バウに言葉をかけた。
「奴にはやられっぱなしだ」
――悔しいか?
 サイサールが問いかける。
「当たり前だろう? 同法の笑顔がやっとみられると思ってここまで来たんだ。それを踏みにじられた」
「だったら、一泡吹かせてやろう」
 一は告げる。
「必ず約束しよう、奴との戦においては”お前の背中を守る”とね
 先の戦闘でお前の同胞を殺してしまったからな、受け入れがたい事は重々承知さ
いくらでも人類を見下してもいい、恨んでもいい、何ならこの場で私を斬り落としてもいい。
ただ一つ……私の言葉を信じろ……ッ!!」
「しかし。もう、戦えるものなど……」
 その時だった。戦場を満たす光の波。
 蛍丸の放ったケアレインは、無数のナノマシンだ。機体の傷を検出して修復していく。
 これなら戦える、全員の体に力がみなぎった
 同時に響くのは澄香の歌う希望の音。明日を願う少女の歌声。
 彼女は気づいてほしかった、未来を閉ざそうとする本当の敵はたった一人しかいないことを。
「いくら立ち上がろうと無意味、第一満身創痍ではないか」
 そうテイカーが高らかに告げたその時である。
 彼の機体が傾いだ。まるで飛行能力を失ったかのように機体が地面に落される。
「何が……」
 そうテイカーがあたりを見渡すと目の前に立っていたのは雨月。
 彼女の重圧空間がテイカーの飛行能力と機動力を奪ったのだ。
「こんなに解りやすく油断すると思っていなかったわ」
 あまりにもあっけなく自分の罠にかかったことを驚く雨月。 
「なぜ我が、一網打尽を狙っていたとわかった?」
「わかっていたわけではないわ。私は冷静に戦場を見渡していただけ。そしてあなたが隙を作っただけの話よ」
「シロ!」
 次の瞬間テイカーの無防備な顔面に蘿蔔の弾丸が突き刺さる。
 そして案の定そのダメージは反射されない。
――あいつの反射能力は腕のみだ。
「サンダーランスを使う!」
 澄香が叫ぶとAI(ラジエル)も一緒に叫んだ。
――SHOUT NOW!!
「なんでや!! サンダァァァラアアアアンス!!」
 ゼロ距離で顔面に突き刺さるサンダーランス。
 その威力はすさまじく蘿蔔や遙華が怖がるレベルだった。
 さらに雨月が杖をテイカーの顔面に押し当ててブルームフレアを放つ。
「おおおお! お前たち!」
 次の瞬間根性でテイカーが飛翔するも。両肩を蘿蔔に撃ち抜かれ頼みの綱の両腕が地面に落ちた。
――どう対応するかか……。そんなもの戦って、勝つだけさ
「まぁ、あなたは結末を見れないでしょうけど、ね」
「く。ここはいったん撤退を」
 だがそんなことを許すスワロウではない。
 テイカーの進行方向に先回り、ジェミニストライクで視界を覆い、敵を地表へと蹴り落とした。 
「ゾーン……」
 ズタボロになった豪鎧王、豪はゾーンの体の上に載ってテイカーを見据える。
――豪やれるぞ。
 着水したテイカーを海ごとゾーンが凍らせる。そして。

「「爆炎闘気(ブレイジングオーラ)」」
 豪とガイは同時に叫んだ。その体は業火纏いし蜃気楼となってテイカーの上に瞬間移動。

「逆鱗星砕!!」
 飛び降りざまに巨大なライヴスの拳を叩きつけるガイ。その灼熱は瞬時に氷を溶かし。
「やれ! 御門!!」
 次いで豪はテイカーを蹴り上げた。上空では鈴音が待機しており。
 真紅の剣にすべてのエネルギーを集める。霊力によって怪しく光り輝く大剣をテイカーに真正面から振り下ろした。
「鬼帝招雷~天網恢恢~」
「がああああああああ。うあああああ!」
 小爆発を繰り返すテイカーの体。
 しかし最後の力を振り絞り、両腕を操る。
 それは飛翔しテイカーを救出しようとするが。健二と雄吾が背中合わせにそれを撃ち落とした。
「ここで散るがいい」
「ああ、元凶は私たちが断つ」
 そして一とゼ・バウが最高速度で切りかかる。
 粉々に砕かれたテイカー本体は爆発四散した。

エピローグ
 この後激しく消耗した三陣営は一時撤退という選択を取った。
 今後は話し合いも視野に入れてむやみに戦えることはしないと誓ってくれた。
 だが、今後この世界での戦いがどうなるかはわからない。
 それはまた、別の物語だ。

結果

シナリオ成功度 大成功

MVP一覧

  • トップアイドル!
    蔵李 澄香aa0010
  • 白い死神
    卸 蘿蔔aa0405
  • 魔の単眼を穿つ者
    繰耶 一aa2162
  • 愛しながら
    宮ヶ匁 蛍丸aa2951

重体一覧

参加者

  • トップアイドル!
    蔵李 澄香aa0010
    人間|17才|女性|生命
  • 希望の音~ルネ~
    クラリス・ミカaa0010hero001
    英雄|17才|女性|ソフィ
  • 遊興の一時
    御門 鈴音aa0175
    人間|15才|女性|生命
  • 守護の決意
    輝夜aa0175hero001
    英雄|9才|女性|ドレ
  • 革めゆく少女
    御童 紗希aa0339
    人間|16才|女性|命中
  • 赤い日の中で
    スワロウ・テイルaa0339hero002
    英雄|16才|女性|シャド
  • 白い死神
    卸 蘿蔔aa0405
    人間|18才|女性|命中
  • 苦労人
    レオンハルトaa0405hero001
    英雄|22才|男性|ジャ
  • 語り得ぬ闇の使い手
    水瀬 雨月aa0801
    人間|18才|女性|生命
  • 難局を覆す者
    アムブロシアaa0801hero001
    英雄|34才|?|ソフィ
  • 愛すべきカミカミ兄ちゃん
    藍澤 健二aa1352
    人間|19才|男性|生命
  • エージェント
    ティーナ フォーゲルaa1352hero001
    英雄|26才|女性|ジャ
  • 魔の単眼を穿つ者
    繰耶 一aa2162
    人間|24才|女性|回避
  • 御旗の戦士
    サイサールaa2162hero001
    英雄|24才|?|ジャ
  • 魅惑の踊り子
    新星 魅流沙aa2842
    人間|20才|女性|生命
  • 疾風迅雷
    『破壊神?』シリウスaa2842hero001
    英雄|21才|女性|ソフィ
  • 愛しながら
    宮ヶ匁 蛍丸aa2951
    人間|17才|男性|命中
  • 愛されながら
    詩乃aa2951hero001
    英雄|13才|女性|バト
  • 夜を取り戻す太陽黒点
    飛岡 豪aa4056
    人間|28才|男性|命中
  • 正義を語る背中
    ガイ・フィールグッドaa4056hero001
    英雄|20才|男性|ドレ
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