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最大の敵は己のパンツなり
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最終発言2016/08/08 23:28:05 -
相談卓
最終発言2016/08/07 21:35:56
オープニング
とある地方の夏祭り。
リンカーたちは、その祭りに招かれていた。
去年の祭りは愚神が現れたために中止となったが、それはHOPEのリンカーたちの手で退治された。今年リンカーたちが祭りに呼ばれたのは、その礼である。日が暮れてからおこなわれる祭りへの参加のためにと、浴衣までもが好意で貸し出された。なお、浴衣の貸し出しは完全なるサプライズだった。
『うわぁ、可愛いユカタです!』
小鳥は、ピンク色の浴衣を着て上機嫌である。
正義も貸してもらった青い浴衣に袖を通す。そのとき、彼は気がついた。今日の下着のゴムは緩かった。そして、日本人ならばだれでも知っている通り、浴衣というのは筒状の衣服である。歩けば歩くほどに、ずり下がるパンツに際限などかからない。周りを見ると仲間も自分と同じような表情をしていた。パンツのゴムって、どうして緩くなっても洗っちゃうのだろうか。洗ったら、はいちゃうじゃないか――パンツ。
提灯で明るく照らされた道には、りんご飴やバナナチョコといった定番の屋台がところせましに並んでいる。賑やかな夜には、沢山の人々が祭りに顔を出していた。余人は知るまい、祭りを楽しむふりをしてリンカーたちがずり落ちそうになっているパンツと戦っていることなど。
そこで、悲鳴が上がる。
「なっなにあれ!!」
お化け屋敷から、のっぺらぼうやろくろっ首が現れる。
「なんだ、あれは!」
「お化け屋敷の人形が従魔になったのよ。でも、大丈夫。HOPEのリンカーがきているわ!!」
戦いの準備をしながらも、リンカーたちは内心悲鳴をあげそうになった。
『いきますよ、正義』
「待つんや! 今はちょっと……」
共鳴してもなお浴衣姿の正義は、悲鳴を上げた。
「ちょっと待ってや……。今は、パンツがご機嫌斜めなんや」
解説
はいている下着に気をつけながら、従魔を倒してください。
※下着はずり落ちませんが、あくまでずり落ちそうになるだけです。なお、共鳴しても浴衣や下着をコスチュームチェンジすることはできません。
・夏祭り会場……地方都市の街中。高いビルなどは少なく、メインの通りには屋台が並んでいる。夜であるが、明かりは潤沢にある。なお、従魔が現れた場所は夏祭りのメイン会場(メイン通りの突き当たり)。お化け屋敷、やぐらが近くにある。街のいたるところに無料の地図があるので、迷うことはない。築年数が古い建物が多く、戦闘によって建て物が倒壊する可能性がある。
・従魔
ろくろっ首……お化け屋敷の人形に従魔がついたもの。首を長く伸ばして、それで敵を閉め殺そうとする。のっぺらぼうによって麻痺した敵を優先的に襲う。三体出現。
提灯お化け……ふわりふわりと浮いている。火の弾を吐きだし、その火の弾は自動的に敵を追いかける。火の弾は敵に当たると消滅する。四体出現。
のっぺらぼう……舌を長く伸ばし、敵の目を舐める。舐められると麻痺してしまい、一時的に目が見えなくなってしまう。効果はすぐ切れる。五体出現。
パンツ……なにをやってもずり下がる。
正義&小鳥……ずり下がるパンツと戦っている。
やじうま……時間が経つほどに集まってくるが、避難誘導には素直に従う。しかし、メイン会場付近には古い建物しかなく、耐久性に優れた施設はない。
リプレイ
地方都市に訪れたリンカーたち。
そこで浴衣に着替えるも、彼らを待っていたのは愚神との戦いであった。そして、見えないところで彼らは最大の敵と戦うことになる。
――すなわち、己のゴムがゆるんだパンツと。
●パンツと祭り
「ふっふーん♪」
天之川・希望 (aa2199) は貸してもらった浴衣を着て、改めてくるりとまわった。ピンク色でまとめてコーディネイトした浴衣は、どこからどう見ても可愛い女の子である。貸してもらえる浴衣たちから、吟味したかいがあったというものだ。
隣に立っているアニマ(aa2199hero001)の帯もピンクで合わせているから、二人で並んで歩いていると仲の良い女友達が祭りに遊びに来たようだった。今日も自分は完璧に可愛い見た目をしていたが、前方からやってくる女性はそれと同等か上回るぐらいに美しい。
「和服は胸がないほうが似合うって、嘘ですねっ。……浴衣、よく似合ってます。綺麗です」
着替えをすませてやってきた御手洗 光 (aa0114)は、褒められこともあって年相応の笑みを浮かべる。今日のために、浴衣に響かないTバックの下着を選んだかいがあったというものだ。光の長身に、大きく描かれた彼岸花の絵柄がよく似あっている。
光の胸元は、既婚者がそうするように大きく開かれている。そのせいなのか、光は齢に似あわぬ妖艶な色気を身にまとっていた。
「うふふふ。希望さん、遠慮せずにもっと見ても宜しくてよ?」
ほらほら、と光は希望に近づく。
『ふわふわですぅっ♪ これが食べられるなんてぇ、凄いですねぇ』
向日葵柄の浴衣を着たレイア・メサイア(aa0114hero001)は、綿あめに目を輝かせていた。ピンクに緑、黄色と三食の層になった不思議な食べ物は、口に入れると甘くてすぐに溶けてなくなってしまう。それなのに、口のなかには甘い味でいっぱいになっている。
レイアは幸せそうに、また一口食べた。
アニマは、それをちょっと羨ましそうにみている。
『綿あめですね?。あれが、食べられるんです。すごいですよね。あーん、わたしも食べたいですぅ』
レイアの浴衣は光とは違って可愛らしい柄だったが、レイアの温かなと雰囲気とよくあっている。
地方都市の祭りとは思えないぐらいに賑やかな祭りのなかで、リンカーたちは思い思いの時を過ごしていた。
「パンツが、ご機嫌斜めなんや~!!」
そんなとき、正義の悲鳴のような声が聞こえた。
声の方向を見ると、従魔相手に正義が泣きながら戦っている。
共鳴しても紺色の浴衣姿だったので、見ているとわずかに違和感を感じた。そうだ、なぜ彼は内股になっているのだろうか。
『あははは♪ 面白そうなのだ』
プレシア・レイニーフォード(aa0131hero001)は、お化けのような従魔を見て笑っている。子供用の赤い金魚が描かれた浴衣姿なので、まるで近所の小学生が遊びに来ているようである。近所の店の店名が書かれたウチワを片手に、とても楽しそうだ。
「はぅっ!? お、お化けは怖いので他の人に……って、プレシアー!?」
狼谷・優牙 (aa0131)の言葉も聞かずに、プレシアは共鳴する。お化けが怖かったのに、と優牙は内心悲鳴を上げた。だが、共鳴すると不思議な違和感に顔をしかめる。
そのとき、優牙はスースーするなと思った。
思えばプレシアの浴衣は子供用の裾が短めのもので、ミニスカートぐらいの丈しかなかった。女の子は大変だ、こんなにスースーするものをはくなんて。スースーは、そのせいなのかと優牙は考えた。だが、腰にちょっと違和感。
「この頼りない感じは……」
人間ならば、誰しも感じたことがあるだろう。
ゴムが緩み切ってしまったパンツをはいたときの頼りない感触。
それをはき続けてしまう惰性。
優牙は、周りを見渡す。今回の仲間は、年上のお姉さんが多い。まだ子供と言えるプレシアはともかく、妙齢の彼女たちならば同じ失敗はしないだろう。
だが、彼女たちの顔には奇妙な緊張感。
優牙は、思った。
みんなのパンツのゴムも緩い、と。
たぶん、正義のパンツのゴムも緩い。
「……ぱんつ、脱げる?」
佐藤 咲雪 (aa0040) は、首をかしげる。
貸してもらった浴衣を着たときから違和感はあったのだけれども、さすがにこの状態での戦闘は不味い。まだ行く気はないが、お嫁に行けなくなる気配がする。パンツがずり下がってしまったら、年頃の女の子としては物凄い恥だ。アリス(aa0040hero001)は、咲雪は自信をもって答えた。
『大丈夫、脱げそうになってるだけよ』
「……余計、気になる」
全く、よくない。
本当にどうしてこんなときに限って、古いパンツなんてはいてしまったのだろうか。
「……ん……ぱんつ、気になる」
一歩あるくだけでも、違和感がある。
『気になるのは仕方ないけど、出来るだけ集中してね』
アリスの言葉に、咲雪は頷く。
「……ん、がんばる」
『でも、浴衣ってぱんつはかないんじゃないの?』
アリスは、不思議そうな顔をしていた。
咲雪としては、なぜそんなことを知っているのかと尋ねたくなる。
その常識は、かなり古いものだ。たしかに日本に置いて女性下着が一般的になったのは、歴史のなかではつい最近であろう。
今は、浴衣を着ていても着物を着ていてもパンツはちゃんとはいている。
だが、その常識を正すことよりも従魔退治を優先するべきだろう。早く倒してしまわないと、パンツがどんどんとずり下がっていく。
「……ん、従魔退治。人が多いのが、気になるかな?」
今日は祭りとあって、メインの通りはかなりの人通りである。
巻き込まずに戦うというのは、少し難しそうだ。
『野次馬が集まる前に片付けたいけど……野次馬が集まっちゃったら、安全な場所まで下がるように言うしかないわね』
そうだね、と咲雪はアリスに返す。
近くビルも古そうで、避難に向いているとは思えない。
「みなさん、わたくしたちはリンカーです! 今から従魔と戦闘を始めますので、指示に従って避難をお願いしますわ!!」
光は声を張り上げて、周囲の一般人を避難させた。
そして、代わりに自分が一歩踏み込む。
「さぁ、御手洗流の真髄。皆様、刮目してご覧下さいまし♪」
『んぅ。何だか変な感じなんですぅ?』
光と共鳴したレイアが首をかしげる。
光も、その違和感を感じてはいた。正確に、パンツのゴムが緩んでいると感じている。だが、直す隙は残念ながらなかった。
「残念ながら、直すのは難しそうですわね」
『うわぁ、直さないのですか?』
レイアは、瞬きを繰り返した。
このまま戦闘を続ければ、下着はズリ下がる。
だが、それでも光は下着よりも一般人を優先する。
そんな光に向かって、ろくろっ首が首を伸ばす。光はそれに対して、ライヴスフィールドを発動させた。
『レイアちゃんのかぼちゃパンツも見えちゃいますぅ!』
可愛い浴衣に合わせたように、今日のレイアのパンツはとても可愛らしいデザインだった。女友達だったら見せあうのも楽しいかもしれないが、公衆の面前で脱げてしまうのはさすがに困る。
「落ちついてください。下がる前に、倒せば良いのですわ」
光の言葉に、レイアは『そうですか?』と首をかしげた。
「へ、下手に撃つと流れ弾が怖いですねー……」
優牙は武器をねこねこなっくるに持ち替えて、従魔を攻撃する。光が避難の呼びかけをしたが、未だ周りには沢山の一般人がいる。優牙はのっぺらぼうの舌をかわしながらも顎の下に、一発いれて叩きのめした。だが、彼の内心は不安に彩られていた。
「う、動きづらいし見えちゃいますから、そろそろ履き直しましょうよー!?」
パンツの位置が、物凄くまずいことになっている。
プレシアの浴衣の丈も短いし、このままでパンツが見えてしまう。パンツが、自分のものなのかプレシアの物なのかまでは分からない。今はプレシアの浴衣姿だから、プレシアのパンツの可能性は高い。たぶんプレシアは気にしないのだろうが、女の子にかかせる恥ではない。
『さっさと倒しちゃえば問題ないよー♪』
プレシアは接近戦にうきうきしていて、パンツなんて気にしていない。
大いに気にして欲しいのに、気にしていない。
『わぁいっ、楽しそうなのですぅ♪ レイアちゃんも混ざりますぅ♪」
プリシアの様子を見て、レイアは目を輝かせる。
アニマもちょっとばかり、混ざりたそうな顔をしていた。
優雅は「全然、楽しくありませーん!」と内心悲鳴をあげていた。
「ん……あぶない」
のっぺらぼうの接近に気が付かなかったプレシアを守るために、咲雪は女郎蜘蛛を発動させて敵の動きを止めた。
「ん、隠密して……背後から、刺す」
『いつも通りね』
アリスの言葉に頷く咲雪だが、さすがにそろそろパンツの位置が気になってきた。和装ブラにサラシまでつけて胸を潰しているから動き辛いのに、このうえパンツまで下がってきているのだからたまらない。
パンツの位置を直したいが、敵の攻撃が多すぎてそれも難しい。周り見ると、仲間たちも自分と同じ状態のようだ。
提灯お化けが、火の弾を吐き出す。その炎は咲雪に標的を定めたらしく、彼女を追い掛けてきた。咲雪はカラコロと下駄を鳴らしながら、それから逃げる。
「ん……火の玉、ついてくる」
『誘導弾ね、大概の誘導弾は何かに接触するとそこで着弾したって判断するものだけど。どうかしら?』
他の仲間たちの援護は、今の状況では期待できない。
ならば、やってみるということも必要であろう。
「……ん、ナイフ、投げてみる」
『反応しなくても、避ければいいだけよ。難しくないでしょ?』
アリスは、そう言う。
たしかに、火の弾から逃げることもナイフをあてることも難しいことではない。
「……ん」
咲雪は、振り向きざまに火の弾に向かってナイフを投げた。
当たった瞬間に、火の弾は消えてしまう。ナイフが焦げているから炎としての能力はあるのだろうが、少なくとも気をつけていれば警戒するほどの攻撃ではない。そのまま咲雪は、提灯お化けの従魔に止めを刺す。
『アリスさんたち、大丈夫でしょうか?』
ケアレイの必要性があるだろうか、とのんびりアニマは希望に訪ねる。希望はアニマと共に、仲間たちの攻撃によってダメージを受けた敵に狙いを定めていた。
敵の数はどんどんと減ってはいたが、その分仲間たち消耗はしている。だが、希望が見ている限り、仲間たちの体力はまだ十分に残っているようだった。自分たちの治癒は、もしものときの為に残しておくべきだろう。
そんなふうに希望が仲間に気を取られている隙に、のっぺらぼうが希望の目をべろんと舐めた。
「にぎゃぁぁぁぁ!!? 目が! 目がー!!」
希望の悲鳴が響いた。
希望は目が麻痺したらしく、出鱈目な方向に歩きだす。
『舐められると麻痺してしまうんですね』
アニマも不安そうな顔をする
『困りました。このままでは綿あめを買いにいけないですね』
だが、アニマの困った顔の理由は希望の考えと大きく違っていた。
この状況で、綿あめを買いに行こうとするなんて――さすがはアニマ。空気をまったく読んでいないし、読もうともしていない。
「希望さま、大丈夫ですの?」
光とレイアが、希望とアニマに駆け寄ってリジェネーションを施す。
目まで回復するかは分からないが、体力は回復するはずである。光はのっぺらぼうに止めを刺して、希望とアニマを守る。だが、自分の動きが制限される状況に光は眉を寄せた。
『痺れちゃったんですよね。どうしましょうか?』
アニマは希望を心配しつつも、口調はのんびりしていた。いつもどおりのアニマの様子に、希望は息をはいた。
「痺れるだけだから、平気です。しばらく経てば、回復するはずです」
『しばらく時間が稼げればいいですね。周りは敵だらけですし、えへへへー』
口調はのんびりとしているが、アニマの言葉ももっともだ。
希望の周りには、沢山の敵がいた。だが、今は短気を起こさずに自分は回復に努めるべきであろう。希望はむやみに動かずに、その場にとどまることを選択した。
光はその様子を見て、少しばかり安心する。
希望は、大丈夫そうだ。
それにしても、動きづらい。
下着がずり下がっていることが、太股の皮膚の感触で分かる。こそばゆいというか何と言うか、とにかく違和感があってしょうがない。だが、楽しい戦闘は続いていく。敵を引きつけて、得意の体術で止めを刺す。サポートは仲間がしてくれる。
「うふふふ♪ 興奮してきましたわ♪ いっそ、下着も脱いでしまおうかしら」
『ええっ。良いんですかぁ!?』
驚くレイアに、光は冗談ですわと微笑む。
下着の紐を外して気持ち良く動いてしまいたいと思ったのは本心であったが、さすがに仲間の目もあったので今は止めておく。
「ひゃぁっ!? ちょ、ちょっとタンマです! こ、これはマズいですよ!?」
視力が回復した希望は応戦しようとするが、パンツの位置が不味かった。浴衣の上から下着を抑えようとするも、ちょっとずつズリ下がるパンツはどうにもならない。
『あれー……? なんだかちょっとすーすーしてきた気がしませんかぁ?』
この緊急事態に関わらず、アニマは今日も呑気である。
まるで「今日はいい天気ですね」と、知人に挨拶するような呑気さで自分のパンツの感想を述べる。
「ぱんつ見えてます! 見えてますよ!! 隠して!!」
『でも、敵もいっぱいいますよね』
正確にはパンツは見えそうなのだが、アニマがパンツをどうにかしてくれそうな気配はなかった。それでも、希望は戦うことをやめるわけにはいかない。
「こんな格好で倒れるわけにはいかないですよ……!!」
もしも、ここで希望が倒れたとする。
HOPEの職員が、希望の死因を調べる。
死因が、パンツがずり下がっていたことによる不注意からと判明する。
『面白い、死因ですよね』
のんびりとしたアニマの言葉に、希望は冷や汗をかいた。
「ボクは……嫌です」
思わず、真顔で言ってしまう。
友人たちも自分の葬儀で泣くに泣けないだろう。
自分だって、そんな葬儀に参加したくない。
死因がパンツだなんて……。
「パンツ、パンツも気にしてくださいー!?」
『命とパンツだったら、命のほうが大事ですよ』
アニマの笑う声を聞きつつも、希望はピンクのリップが取れてしまうこともいとわずに叫んだ。
完璧な女子力も今や半減している。
「……ん、希望さん」
咲雪が、ややパニックになっていた希望の肩を叩く。
「皆……同じ。パンツが……下がりそう。でも……」
――戦わなくてはならない時がある。
「ここにいる人のために……パンツが下がっても戦いましょう」
咲雪の言葉を聞いていた人々は、思った。
いや、下がったらあげようよ。
「ボク……がんばります」
希望はパンツを気にしながらも、立ち上る。
「お嫁にいけなーい!」
と叫びながら。
一体彼はどこに嫁にいくつもりなのか、神様だってそれは知らないであろう。
●パンツとの戦いに勝ったのです。
「ありがとうございます。本当に、ありがとうございます」
市長が、リンカーたちに頭を下げる。
礼を言われることはありがたいが、今はそれよりもパンツをどうにかしたい。手軽にぱぱっと着替えてしまいたいのだが、英雄のなかには祭り見物を楽しみたいと主張している者も何人かいる。というか、プレシアなどさっさと綿あめ片手に祭りへ突撃してしまった。
あのパンツで大丈夫だろうか、と仲間は思った。
戦闘で無事だったパンツが、祭り見物中にぬげたらすごく可哀想だ。
優牙も一緒であるから、何があっても大丈夫ではあろう。
そう信じよう。
今は、他人のパンツよりも自分のパンツである。
『わたしもレイアちゃんと一緒に綿あめ食べたいです』
同じように下着がずれているはずなのに、アニマは全く気にしていない。すごい自制心というべきなのか空気を読まないというべきなのか。数名の憧れの視線が、アニマに向けられていた。
『レイアちゃんも、もう一個食べたいですぅ』
レイアもアニマ同様に綿あめを食べに行きたいらしい。
パンツは……? と、光と希望は互いの英雄に一言いいたい気分だった。今は一刻も早く着替えたいのに、よりにもよって自分のパートナーたちが一番呑気である。
『咲雪。やっぱり浴衣にはパンツをはかない方がいいのかもしれないわよ』
今回みたいな事があったし、とアリスは言う。
その考え方は間違っている、と咲雪は無言で首を振り続けていた。たとえ世界の常識がそうであっても、咲雪はパンツをはき続けるであろう。
「あのぉ……落し物にかなり可笑しなものが届いていたのですが。変質者の可能性があったので、ご報告にきました」
祭りの実行委員らしい女性が、市長にそっと落し物を手渡した。
その落し物は、変質者扱いされても仕方がない代物だった。
――トランクス
「あー! もしかして正義さんの下着でしょうか?」
アニマの一言に、正義が顔を真っ赤にしたのであった。
結果
シナリオ成功度 | 成功 |
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