本部

嵐熊

紅玉

形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
能力者
6人 / 4~6人
英雄
6人 / 0~6人
報酬
普通
相談期間
5日
完成日
2016/08/15 19:26

掲示板

オープニング

●遺跡
 晴れた空、太陽の光が眩しく人々は目を細めた。
 それはほんの数時間前の話で、今は風が唸り声を上げながら新緑の葉を空に巻き上げる。
 嵐。いや、もしかすると台風が近づいているのかもしれない、と住民達は思った。
 本格的に来る前に、と住民達は台風の対策を手早く済ませた。
『現在、A町は嵐が起きています。住民の皆さんは……失礼。今入った報告によりますと、この嵐は時速50kmと早く規模が小さいと判明しました。専門家によるとーー……』
 テレビでニュースキャスターが原稿を読んでいる中、ふと住民は家の窓に視線を向けた。
 先ほどまで吹いていた風は止み、空は元の紺碧色に戻っていた。

●異常気象?
「皆さん集まっていただき、ありがとうございます」
 と、ティリア・マーティス(az0053)がアナタ達に会釈した。
「実は、先日オーパーツがある思われる遺跡が野生動物に荒らされていました。その日、遺跡を中心とした嵐が周囲3kmに発生したのですが、移動しているのです」
 と、ティリアは真剣な表情で言う。
 嵐ならば、半日経てば移動するのは普通なのでは? と誰かが言った。
「猟師さん達からの情報によりますと『山の中で熊を見付けたのだが、獲物や怖くて逃げているワケでもなく走っていた。すると、天気が悪くなり嵐が起きた』と、言ってました。しかし、プリセンサーに反応がありません」
「もしかしたら、その熊が遺跡を壊しオーパーツが偶然に発動した、って事ね」
 圓 冥人(az0039)が端末の情報に目を通しながら言う。
「ですから、皆さんにはその熊とオーパーツの関係を調べて欲しいのです。宜しくお願いします」
 と、ティリアはアナタ達に深々と頭を下げた。

解説

●目標
『オーパーツの確保』

●人物
ティリア・マーティス
最近、熊鍋という料理が気になるらしい。

圓 冥人
熊は飽きてる様子

●熊
経緯は不明だがオーパーツを発動させた。
3km内に嵐が起きている中心部に居ますが、移動しているので探す時は注意して下さい。

●小さな遺跡
内部に『オーパーツ』があったと思われる。
調査前に野生の熊に破壊された。
調査は可能です。

●オーパーツ
行方不明。

リプレイ

●思考
「皆様の端末に情報を送っておきますわ」
 説明をし終えたティリア・マーティスは慣れた手つきで、エージェント達の端末に情報を送る。
「ねぇ緋十郎。わたし、熊鍋が食べてみたいわ」
 レミア・ヴォルクシュタイン(aa3678hero001)は緋色の瞳を細め、女王が執事に命令するかのような口調で言う。
「ああ、レミアの希望とあれば是非も無い、久しぶりに熊退治と行くか……!」
 狒村 緋十郎(aa3678)は力強く頷いた。
「遺跡荒らし……いや、餌探して潜り込んだクチか」
 赤城 龍哉(aa0090)は端末の情報に目を通しながら呟く。
「それなら飲み込んでいる可能性が高そうですわ」
 ヴァルトラウテ(aa0090hero001)が銀色の髪を揺らしながら頷く。
「ともあれ、まずは追い付いてからだな」
 と、言いながら立ち上がり龍哉はトリス・ファタ・モルガナにオフロードバイクが借りれないか問う。
「了解です。龍哉ちゃん、バイクが壊れない位の使用をでしたら可です」
「調査だからな、大丈夫だよな」
 トリスからバイクのキーを受け取ると龍哉はティリアに声を掛けた。
「嵐の移動経路を出来るだけリアルタイムで流して貰えるか?」
「お任せください。赤城様、ヴァルトラウテ様」
 ティリアは龍哉達に微笑んだ。
「捕獲か……生け捕りってのはあんまやったコトねェけど……ま、この面子なら全然行けそうな気がするな」
 東海林聖(aa0203)は周囲に居るエージェント達を見回した。
「熊肉。お腹空いた。熊肉。食べたい。熊肉。美味しいご飯。はよ」
 Le..(aa0203hero001)の小さな胃から空腹を知らせる音が鳴る。

「女神が熊鍋を所望だ。何を差し置いても駆けつけねばなるまいッ」
 見た目によらずミーハーなバルトロメイ(aa1695hero001)は、既に脳内でシュミレーシェンが開始されていた。
「住宅街に熊なんて危険ですよ! 住民の皆さまの安全を確保しないと……」
 そんな英雄を横目にセレティア(aa1695)は胸元をギュッと握りしめた。
「調査……時間が掛かる可能性も考えて野営の準備も必要でしょう」
 セーラー服姿の国塚 深散(aa4139)は必要だと思う道具、食料、ランタン等を幻想蝶に入れる。
 次々と幻想蝶の中に入れられたモノを九郎(aa4139hero001)は綺麗に並べる。

「あ、あの……オーパーツの事を教えて頂けないでしょうか?」
 夢野 小夜子(aa4292)は赤いリボンで結ったツインテールを揺らし、暇そうにしている圓 冥人を見上げた。
「あ~……簡単に言うと、パンドラの箱みたいなモンね」
 と、手で箱のジェスチャーをしながら冥人は言う。
「箱……?」
「オーパーツには名前があり、能力がある。しかし、能力は発動してみないと分からないし、発動するには条件があるんだよ」
 と、説明する冥人を横目に弩 静華は小夜子に分かりやすい解説付きの資料を見せる。
(はー……専門外だな)
 斑 壱鬼(aa4292hero001)は幻想蝶の中で大きな欠伸をすると瞼を閉じる。

●遺跡へ
 深散と小夜子は荒らされた遺跡にへと向かうが、能力者で英雄が居るとはいえ少女2人なので護衛として冥人も一緒だ。
 夏、空気に含まれている水分がべったりと肌に纏わりついて不快に感じる。
「そこ滑るから気をつけてね」
 と、先頭を歩く九郎は深散に手を差し出す。
「九郎さん、そういう知識を持っていたのですか?」
「いえ、山に来た瞬間に懐かしい感じはしました」
 濡れた木のニオイ、枝が風に揺らされると葉同士がぶつかる音や森を体で感じると、九郎の記憶の断片が頭の中に降って来た様だ。
「それよりも、熊捕獲組が接触する前にオーパーツに関する情報を得たいです」
 壱鬼に背負われている小夜子は言う。
「ランタンを準備してくれる?」
 九郎が言うより先に深散はランタンを準備していた。
「少し、道は悪いけど……遠くはないよ」
 何度か足を運んだ事がある冥人は肩を竦ませた。
 時折、通信機やスマホ等の端末からティリアの声が入る。
「結構、移動しているんですね」
 深散は青い瞳で森を見回す。
「熊、種類による。約時速50kmで走るよ」
 暇そうに静華は愛用の銃を手入れする。
「あんなに大きな躯体なのに凄いです」
「4足歩行だからね?」
 驚く小夜子に静華は首を傾げた。

「これが破壊された遺跡だよ」
 と、冥人が指したのは小さな遺跡だ。
 九郎は直ぐに遺跡周辺の地面をじっくりと見回る。
「何か情報があるかもしれません」
 小夜子と壱鬼は破損している石版を拾い集める。
「深散、ここも写メっておいて」
 九郎は目についたモノを片っ端から深散に携帯で写真を撮るように指示をする。
「リンカーなら毒キノコでも大丈夫だろうけど……」
「却下です」
 ふと、目に入ったキノコを見て九郎が呟くと、深散は苦虫を潰した様な顔で即答した。
「美味しいのに」
 そんな深散の横顔を見ながら九郎は呟く。
「この曲線からするとコッチじゃないかな?」
「絵の部分は楽でしたけど……文字は古いモノなので難しいです」
 小夜子はイラストのパズルの容量でバラバラになった石板を着々と修復する。
「うーん、変な絵です」
「卵でしょうか?」
 深散は中央に描かれている楕円形のモノを指す。
「説明の部分……これは文字でしょうか?」
「私はちょっと……」
 小夜子と深散は首を傾げながら文字を眺める。
「もし、オーパーツがこの絵の形状なら熊が食べた可能性があります」
 と、調べ終えた九郎は絵を見た。
「遺跡の周囲に熊の足跡、フン、毛などが落ちていました」
『嵐の中心で走っている熊を発見した!』
 通信機から風の唸り声に混ざって龍哉の声が響いた。

●ドロル
 徐々に強くなる雨、風は唸り声を上げながら新緑の葉を鉛色の空に吹き上げる。
「嵐の通り道を追う、でも行けそうですわよ」
 ヴァルトラウテはティリアの気候情報を聞きながら言う。
「倒木やらで足場が悪いと逆に難儀するからな。出来れば横から突くか、正面から抑えに行く」
 龍哉はオフロードバイクを走らせる。

「一般人に被害がでないと良いんだが……」
 共鳴姿のバルトロメイはスマホのアプリで気象情報を得ながら街道を駆け抜ける。
「地面の足跡や木々の爪痕、糞や食事の痕跡、匂いなどが追えれば良いのだが……この嵐では流されてしまって期待はできんだろうな……。とにかく嵐の激しいほうへ走るか……!」
 と、気候の様子を見ながら緋十郎は眉をひそめた。
「ヒジリー。早くして、遅い」
 Le..は頬を膨らませながら聖に言う。
「お、おう、ワリィ! 行くぜ、ルゥ!!」
 共鳴した聖は地面を力強く蹴り、嵐に向かって走る。
(こんな風、砂塵より楽勝でしょ、ほら、早く突っ切りなよ)
 と、Le..は言うが砂の代わりに大粒の雨が激しく聖の体を叩きつける。
「わ、解ったって! っし、行くぜ!!」
 聖は徐々に轟音がする風の中へ。
『龍哉ちゃん、移動速度が時速30kmを越えると雨粒が当たると針に刺された位に痛いです』
 と、通信機からトリスの抑揚のない声がする。
「それを早く……言ってほしかった」
 オフロードバイクを操る龍哉の体に雨粒が容赦なく叩きつけられる。
 能力者なので一般人よりも頑丈とはいえ、痛みは生じる。
「嵐の中心で走っている熊を発見した!」
 熊が走る速度に合わせ、一定の距離を保ちつつ龍哉は通信機に向かって言う。

「ライヴスゴーグルで熊を見たが従魔、その兆候はないようだ」
 耳を塞いでも聞こえる風の唸り声の中で、バルトロメイはライヴスゴーグルを付けたまま熊を見据える。
『先に足止めをしておくな!』
 と、通信機から龍哉の声がした後、エンジンが唸る音と熊の咆哮が聞こえた。
「あら、どうやら……従魔とかでは無いみたいね?」
「ああ、ならば共鳴するまでも無い……レミアはそこで見守っていてくれ……!」
 バルトロメイの言葉を聞いた緋十郎は力強く頷き、激しくなる嵐の中を駆け抜けた。
「さて、悪いがさっさとケリを付けさせてもらうぜッ!」
 ポルックスグローブを手に装着し、聖は龍哉に向かって咆哮する熊の元へ。
「千照流・闘撃……崩瓦・進!」
 聖は疾風怒濤で熊の肩、腹部、そして顎に打撃を与える。
「ンゴォォ!」
 熊が悲痛な鳴き声を上げると、より一層強い風が唸り声を上げながら聖を襲う。
「……っ!」
 ぐっと足に力を入れるが風圧で聖は熊から徐々に離された。
『遅くなりました。遺跡調査の方が持って帰った石板を解読しました』
「何か分かったのか?」
 通信機から聞こえるトリスの言葉に緋十郎は問う。
『痛みを感じると嵐が起きるそうです』
「だからか、攻撃したら風圧が強くなった」
 全長3~4mはあると思われる熊を見据えながら聖は低い声で呟いた。
「捕獲してしまおう!」
「おう!」
 バルトロメイと体の一部を猿の獣化した緋十郎は、荒ぶる風の中を駆け抜け熊へと接近した。
 痛みを与えることはダメ、とトリスの言葉を受け慣れた手つきで緋十郎が荒縄で熊を縛り上げる。
「お前に恨みはないが、このまま放置する訳にもいかねぇからな」
 縛られた熊を見て龍哉は呟く。
「子供を残した母熊ではないですわよね?」
 と、怖い事をヴァルトラウテはさらりと言った。
「いや、お前このタイミングでそれ言うのかよ!」
 ヴァルトラウテの言葉を聞いて龍哉は頭を抱える。
 普通の野生の熊でメスであれば子がいるかもしれない、とお腹を空かせている小熊を想像してしまった。
「オーパーツが体の外にある事を祈ろう」
 バルトロメイがそう言うと唸り声を上げる熊の体に触れる。
「ない……」
 硬い毛を両手でかき分け、オーパーツらしきモノを探すエージェント達。
 しかし、無情にも嵐は止まず風は唸り声を上げ続けるだけだった。
 幸いにも人里離れた場所だが、街道にいつ車が通るかも分からない山間だ。
 焦ってオーパーツを探しているのだろうか、エージェント達の視線はあちらこちらと動かしている。
「ライヴスの供給が止まれば、嵐も止まりそうなもんだが」
 と、言いながら龍哉はオーパーツを探す。
「もしくは食べた、か」
 緋十郎は熊の腹部に視線を向けた。
「仕方がない……」
 バルトロメイは立ち上がりシルフィードを熊の首めがけて振り下ろす。
 緑の草が赤に染まり、熊は短く鳴き声を上げると目を閉じて命の灯が消えた。
「すまんな……」
 緋十郎は両手を合わせてから熊ののど元から丸いお腹までスッと剣で切る。
 喉、食道、胃、小腸、大腸、と順番に取り出す。
「おし。回収完了」
 龍哉が熊の胃から灰色と鉛色のマーブル模様の鶏卵程の大きさのオーパーツを厚手の布で包む。
 念のために他の部位も探したが、消化された食べ物位しか見つからなかった。
「おし、近くの川で肉締めしないとな」
 緋十郎とバルトロメイは熊を解体し、聖と龍哉が川に切り分けられた部位を入れて冷やす。
「帰るか」
 聖は背伸びをしてから川で冷やした肉を持つ。
「俺は少し周囲を確認してから帰るな」
 と、言って龍哉は歩き出す。
 気が付くと空は本来の色を取り戻し、小さな雲が東から西へとゆるやかに動いていた。

●熊を食す!
「熊鍋、ですか。お役に立てそうにないですが、野菜などの下拵えはお任せください」
 連絡を受けた深散は先に川辺へと行き、オレンジ色に染まる中で石を組んで即席の窯を作る。
 本部に報告後、一旦解散し各自決めた金額で買い物へと出かけるエージェント達。
「にしても、今回は台風でも起こせるオーパーツだったワケか……?」
 トリスが手にしているオーパーツを聖は興味津々に見る。
「そうです。ドロルという名のオーパーツです」
「見てもワカンネェけど、そういうのが装備に活かせたら面白いな」
 聖は様々な装備を脳内で想像する。
「これは難しいと思いますよ、聖ちゃん」
 トリスは聖を見て首を傾げる。
「どうしてだ?」
「オーパーツには発動条件があります。種類や用途によりますが……ドロルは生物の体内に取り込み、その生物が痛みを感じたら嵐が発動するそうです」
 鶏卵位の大きさ、どんな大口の人でも飲み込む事は体が拒絶するだろう。
「ぞれを飲み込める自信なないな……」
 聖は想像すると喉が苦しく感じる。
「熊、美味しいのでしょうか?」
 小夜子は小さく首を傾げる。
「んー、美味しい熊、美味しい」
 静華がうんうんと首を縦に振る。

 買出しに行ってたエージェント達が帰って来た。
「よーし、女神のために作るか!」
 バルトロメイは熊掌を手に取った。
「早く作りなさいよ」
 と、緋十郎はレミアに急かされながら料理をする。
「へぇ、流石バルトだな」
「狒村さんはレミアさんに作らないのですか?」
 セレティアはレミアに視線を向けながら緋十郎に問う。
「今、最高の熊料理を作ってるからな!」
「なら、直ぐに出しなさいよ」
 レミアが鋭い視線を緋十郎に向けるが、彼にとってはご褒美でしかない。
「鍋するなら、酒だね」
 冥人が一升瓶のフタを開けると壱鬼が隣に座り盃を手にする。
「貰おう」
「はいはい」
 壱鬼の盃に酒を注ぐと、独特な匂いがする液体をぐいっと口にした。
「飲み物を用意しておきまし……」
 深散がポーレイ茶を出そうとするが、視界の隅にビールを見付けて首を傾げた。
(何故ビールがここに?)
 頭の上に『?』マークを浮かべたままボーレイ茶を取り出す。
「ありがとうございます」
 未成年の小夜子のコップと深散自身のコップに注ぐ。
「まだ飲めないですから」
「そうですね。私は遠慮したいので深散ちゃんお茶下さい」
 コップに口を付ける小夜子の隣にトリスが座る。
「手伝わなくて良いのですか?」
「皆さん手際良いから大丈夫そうです」
 トリスの問いに深散は料理するガタイの良い男性陣を見て苦笑する。
「空いた……」
 Le..が胃の部分を擦りながら呟く。
 ダシに醤油が入った良い香りが川辺に漂い始めた。
「お鍋用の場所を作りましょう」
 深散は集めていた石を3ヶ所に積み終わる頃、調理してた男性陣が大きな鍋を持って来た。
 バルトロメイが作った刻み葱たっぷり生姜フレーバー出汁ベース鍋が円の中央に置かれる。
「熊鍋……」
 Le..はお腹の虫を鳴らしながら箸とお椀を手にした。

「熊肉で最も美味なのは左前足の熊掌だ。ぜひともこの部位はティリアさんに召し上がっていただく」
 4時間も煮込んだ熊掌をバルトロメイはティリアに差し出す。
「まぁ、これが……熊掌ってどの部位なのかしら?」
 熊の料理が初めてのティリアは疑問を口にした。
「熊の肉球だ」
「コラーゲンたっぷりで美容に良いそうですね。鉄鍋で煮込んで鉄分もたっぷり、女性に嬉しいお料理ですね……ぐぬぬ」
 そんなうきうきなバルトロメイの横でセレティアは笑顔で説明をするが、握っている箸から軋む音が聞こえてきそうな位に握り締めていた。
 そんな彼女はちょっとやきもちしていた。
(本来なら奥さんになるわたしでしょう?)
 美味しいハズの熊鍋がセレティアにはちょっと苦く感じた。

「おし、食うか!」
 熊が独り身らしいので龍哉は遠慮なく熊鍋を口にする。
「熊ってこんな味がするのですわね」
 ヴァルトラウテは熊肉を口にして感想を言う。
「おい、ルゥ……他の人の分も食べすぎるなよ……?」
 と、Le..を横目に聖は熊鍋を食べながら注意する。
「美味しい……」
 普通の人ならばLe..の様な小さな体で食べれるワケない、と思うだろうが彼女は箸を止める事をせずに次々と口に入れる。
 聖が気が付いた時には鍋が空になっていた。
「大物だったからマダマダあるからな」
 緋十郎が忙しなく動き回る、愛する女王様の命令とご褒美には逆らえないからだ。
「遅い」
 レミアが一喝すると緋十郎の背中を蹴る。
 これも愛の形の一つですか、と珍しい動物を見るような目で見ながらトリスは思った。
「ビールが美味しいです」
 九郎は熊鍋を食べながらビールを口にする。
「やっぱり……」
 深散は小さくため息を吐く。

「シメ……」
 熊肉の半分以上を食べたLe..の胃はまだ大丈夫なのだろう、熊肉のダシを多く含んでいる汁が染み込んだうどんを啜る。
「やっぱりシメはこれだ」
 Le..が大食い事は杞憂に終えた聖は美味しくうどんを口にした。
 闇色の空に星が彩る中、炎のオレンジ色がエージェント達を温かく照らす。
 日々起こる争い、沢山の人々が行きかう街の雑音を忘れ去ってくれるような自然の音が心を、体を癒す。
 明日からまた、武器を携えなければならない能力者と英雄達の話し声が静かな川辺に響いた。

結果

シナリオ成功度 普通

MVP一覧

  • ライヴスリンカー
    赤城 龍哉aa0090
  • 喪失を知る『風』
    国塚 深散aa4139

重体一覧

参加者

  • ライヴスリンカー
    赤城 龍哉aa0090
    人間|25才|男性|攻撃
  • リライヴァー
    ヴァルトラウテaa0090hero001
    英雄|20才|女性|ドレ
  • Run&斬
    東海林聖aa0203
    人間|19才|男性|攻撃
  • The Hunger
    Le..aa0203hero001
    英雄|23才|女性|ドレ
  • 黒の歴史を紡ぐ者
    セレティアaa1695
    人間|11才|女性|攻撃
  • 過保護な英雄
    バルトロメイaa1695hero001
    英雄|32才|男性|ドレ
  • 緋色の猿王
    狒村 緋十郎aa3678
    獣人|37才|男性|防御
  • 血華の吸血姫 
    レミア・ヴォルクシュタインaa3678hero001
    英雄|13才|女性|ドレ
  • 喪失を知る『風』
    国塚 深散aa4139
    機械|17才|女性|回避
  • 風を支える『影』
    九郎aa4139hero001
    英雄|16才|?|シャド
  • 一握りの勇気
    夢野 小夜子aa4292
    獣人|15才|女性|防御
  • ステルス鬼
    斑 壱鬼aa4292hero001
    英雄|25才|男性|ドレ
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