本部

ハロー・マイワールド

鳴海

形態
ショートEX
難易度
易しい
オプション
参加費
1,500
参加制限
-
参加人数
能力者
10人 / 4~10人
英雄
10人 / 0~10人
報酬
少なめ
相談期間
4日
完成日
2016/07/23 13:16

掲示板

オープニング

 グロリア社研究部門。ここでは日夜新型AGWの開発研究を行っている。
 彼らが今目指しているのは新しいAGWの機能開発であり、その研究が進展したと連絡があり遙華は急行した。
「実際に実装されるかはまだ分からないわ、問題が出てくる可能性もあるし、ただ、計画の内容としては全武装にAIを装備して戦闘中の補助を行おうって計画ね。ざっくばらんに言ってしまえば」
 ロクトはそう遙華に説明した。
「それで、なんで今まで私にそれを教えてくれなかったの?」
「だって、あと一か月以内に結果が出せなければ研究所自体閉鎖する予定だったし」
「あら、そう」
 世は非情だ。そう遙華は眉をひそめ自身の持つカードキーを扉にかざす。
 するとそこには興奮した研究員達が数名集まっており、遙華を迎えて興奮したように口々に何かを訴え始めた。
「わかった、わかったわ。要約するとAIが完成したのね」
 今までグロリア社が開発してきたAIので最も有名なのはグロリアス・ザ・バルムンクだろう。
 ただあれは高度なプログラムというだけ。無数に組み込まれたデータから最適な回答を音声で再生しているだけなので、どちらかというと人口無脳である。
 つまりそこにユーモアや個性や個人的趣味と言った人間がおおよそ持ち合わせているノイジーな言葉は挟まらない。
 しかし人工知能は違う。
 個人として考え、経験をふまえて回答し
「ただ、これ一台しか作成できていません」
「再現できない技術ってなんて呼ぶか知ってる? 科学ではなく奇跡って呼ぶのよ」
「これを解析すればきっと、再現できます」
「解析する以前にこれが人工知能かどうか調べることが先決じゃない? どちらかというと私にはバルムンクの延長線上にしか思えないけど……」
「実際に対話していただいた方が早いかと」
 そう研究員がスイッチを押すと、シャッターが上がり、そこに鎮座していたのは大型のコンピューター。
「あなたがAI?」
 そう遙華がマイクにむけてそう語りかけると、部屋に取り付けられたスピーカーから音が聞こえてきた。
 正確には声か。
「ええ、私AI、名前はまだない」
「ユーモアを理解するのね」
「あなたが小難しい顔してるから、少しは笑ってほしかったのよ」
 口調、さらに声が女性、柔らかい話し方も女性的だった。
「ねぇ、遙華。わたしおなかが減ったわ」
「この声……」
「ルネの音声データをもとにしました。上司に媚を売るのは社会人にとって必要なことですから」
「ねぇ、何か答えて遙華。私さみしいわ」
「あなた、私が知らないと思うことを行ってみなさい」
「……そうね。遙華はメディアに疎いという情報があったから。二年前の八月ごろに上映された映画の話でもしましょうか?」
「いえ、もういいわ、スタッフに望みの物を与えさせるから、しばらくくつろいでいて」
「じゃあ、私友達がほしいわ」
「友達とは食べ物じゃないのよ?」
「さっき私が言っていた、お腹が減ったという言葉に対する皮肉? もしくは友達とは食べ物であるという間違った情報が植え付けられていると思った? もしくは両方かしら」
「ええ。ごめんなさい、変なことをいったわね。ただ友達って用意できる者じゃないから」
「ええ、あなたがもっていないものを。私に与えられるわけはないものね」
「いるわよ! 友達くらい!」
 そう遙華はエリザとの通信をきるとロクトに向き直る。
「ところで、彼女名前はどうするの?」
「彼女? ロボットよ?」
「それでも名前は必要だわ」
「そうね、名前は『ELIZA』エリザと呼びましょう」
「皮肉ね……」

●エリザとは。
 完全なる人工知能であり、接続さえできればあらゆるカメラが目となりスピーカーが喉となる。
 自立学習し、皆さん楽しくコミュニケーションをとることが可能。
 ただし、倫理観やデレカシーという物にかけ。損得でものを判断しがち。
 もし彼女が本物の人工知能であればAGWの性能は飛躍的に上がりますが。
 問題も一つあります、彼女が人間の味方になってくれるかどうかです。 

● エリザとの交流
 そうして君たちが集められた。春香からあなた達にへ与えられたミッションは三つ
1 エリザにたくさんの物を見せること
 エリザに外の世界を見せたり概念を説明したり、たくさんのことを教えてあげてください。
2 エリザの外見を決定する。
 エリザ専用のボディを作成する。素材や機能はお好みで作成変更することが可能です。
 そして一番大切なのは三番目
3 善悪を教えること。
 
● エリザからのコミュニケーション
 エリザはたくさんのことをあなた達に尋ねてきます。全て答えるのは難しいと思うので、自分が好きな物を三つ程度チョイスするといいでしょう。
「みんなは休日どうやって過ごしているの?」
「守りたいものってなに?」
「なんでそんなに悲しい顔をしているの?」
「楽しいってなに?」
「人は人をころすけど、それは一体なんでなの?」
「なんでみんな仲良くできないの?」
「私はあなたが好きよ、でもあなたはあなたのことが好きではないのね?」
「私は、なぜ生まれてきたの? 戦うためにうまれてきたの?」
「私はいずれ、誰かを殺さないといけないの?」

***下記PL情報****
 
 下記はシナリオ中に発生するイベントです。時系列がすすむと自動的に発生します。
 先に公開するので。これをふまえた上でプレイイングをかいてください。
 
● 事件A『発覚』

 白衣を身にまとった遙華がエリザの頭脳を解析した結果驚くべきことが分かった。
「知能指数が、下がっている」
 当初のエリザは、情報さえ与えてしまえば、チェスをマスターし
「これは、機械パーツの劣化によるものなの?」
 それはありえない、そう断言して遙華は別の可能性を模索し始める。
 ただその行為自体が無駄な物の可能性はあった。
 なぜならエリザ誕生自体が奇跡である。ここから何が起こっても不思議ではない。
「これは、みんなに伝えるべきなのか。それとも……」
 遙華はモニターを見つめる。楽しくエリザを会話を続けるリンカーたちを見つめていた。
*ここからエリザの、名前忘れや、スケジュールの忘却などが発生し始めます
 ここからエリザは自分が消えてしまうことに対しての恐怖を抱くようになります。
追加質問
「私が消えたら、貴方は私のこと覚えていてくれる?」
「私の場合死ぬって言わないのよね?、消えるっていうの」



● 事件B
 突如全員が集められた。
「今日はエリザに会う前に話をしないといけないの」
 遙華は涙を流して許しを請う。
「ごめんなさい、私怖くて言えなかった、このことを聞いたら皆ショックを受けると思ったから」

「エリザはその身に記憶、つまりデータをため込むことによって、逆に知能を崩壊させることが分かったわ」

「エリザは遅くともあと一週間で自我を失うわ。演算能力の喪失。それを防ぐ手段は、なかったの」

「そのために用意できた解決策は二つよ」

解説

目標 エリザの育成。

 今回のエリザは不完全なAIでその自我を保っていられるのはわずかな間だけで。全体を通して一か月程度の出来事だと思ってください。
 その間、仕事や学業の合間を縫ってエリザにかまってあげる形になります。
 エリザとは電子端末、インターネットを介してコミュニケーションをとることができます。
 そしてその果てにエリザをどうするか決めてください。
 凍結か、人格の削除か。
 どのような結果になっても、きちんと説明するれば彼女は納得するでしょう
 

●選択肢
選択肢A 凍結

「一つ目が、エリザを即時凍結、彼女を救う手だてが見つかった段階で解凍し修復するの、ただこれがいつになるかはわからないわ。二十年後だって話もある
 これのメリットは時間はかかるけど、エリザとまた会えること。
 デメリットは、AGW開発には一切利用できなくなること」

●選択肢B 初期化
「二つ目が エリザの内臓データフォーマット。人格や機能だけ残して記憶だけ削除すればエリザの機能は生き残る、ただこれからも定期的なフォーマットが必要になるわね。
 メリットはAGW研究にすぐ転用できること
 デメリットはエリザが道具に成り下がること」

「今回は、あなた達にもこの子の先を見据える権利があると思ったの
 でも、安心して、最後に決定を下すのは私、あなた達のせいには絶対しないから意見をきかせてね」
 これが遙華の説明した内容です

 時系列ですが
OP

 事件A

 事件B

 決断

と、展開するので。プレイイングもこの流れに沿って書くとやりやすいかと思います。


リプレイ


プロローグ

 そこには今回の研究に参加するすべてのリンカーが集められていた。
「機械の意志……か……」
『ネイ=カースド(aa2271hero001)』が言う
「どうしたんです?」
 『煤原 燃衣(aa2271)』が問いかけた。
「…………少し、昔の自分の事とカブって、な……」
 そうネイが眉をひそめた直後、部屋の四隅から光が投射され、一人の少女の姿が浮かび上がった。
 それは幼い、黒髪の青い瞳を持つ肌の白い女の子。
 そして、その少女は一つ大きく息を吸うと、皆を見渡して言う。

「この姿は、インターネット上の数ある女性画像の中から気に入った物を選定して画像を合成しました」

 その姿を見て『松田 拓海(aa1155hero001)』が騒ぎ出す。
「うは、美少女AIきた――――!! デュフフ」
「拓海くん……少し黙ろうか?」
『桜茂 まみ(aa1155)』は拓海の頬をつねり上げた。
「私、カワイイかな? みんなは可愛いものが好きだと聞いています。私がエリザです、どうか、これからよろしくお願いします」
「まるで御伽話の妖精さんみたいなのです」
 そう『メテオバイザー(aa4046hero001)』は両手を握り、キラキラした目でエリザを見ている。
 そんな彼女を鼻で笑う『桜小路 國光(aa4046)』
 彼はこの部屋に入ってから一言も言葉を発していない。
 なにかを察したのか、そんな國光の肩に手を置き『飛岡 豪(aa4056)』は言う。
「この子は産まれたばかりの子供なのだな。俺が正しいと思う事を伝えよう」
 十人十色の反応を浮かべるリンカーたち、それを眺めて遙華は言った。
「これからみんなには彼女の友達になってあげて」
「そうそう、思いついたんだけどねぇ」
 手を挙げて『榊原・沙耶(aa1188)』が言う。
「スマートフォンでもエリザとの会話が出来る様、専用のアプリを作らせて貰ってもいいかしら? 期間中だけでも、小鳥遊ちゃんにお話させたいから」
「あ、本当に? ありがとう、ぜひお願いするわ、あとは構築の魔女にも……」
 呼ばれて振り返る『辺是 落児(aa0281)』と『構築の魔女(aa0281hero001)』
「どうしました? 西大寺さん」
「あなたにも手伝いをお願いしたいの。彼女の体の開発を」
「面白そうですね……」
「だったら、私から注文が」
 手を挙げたのは『国塚 深散(aa4139)』
「表面に擬似的な触覚器官を再現することはできますか? エリザと触れ合ってみたいです」
 そう密談をかわす研究者チーム。それをよそに他のリンカーはすでにエリザと仲良くなり始めていた。
「ふむ、完全なる人工知能か……すごいもんだなー」
『麻生 遊夜(aa0452)』が感心したようにホログラフを覗き込む。
「私の本体はそれではないですよ? 遊夜さん。そしてユフォアリーヤさん」
「……ん、生まれたばかりなのに、賢い」
 尻尾を楽しそうに揺らめかせる『ユフォアリーヤ(aa0452hero001)』
「AIですから」
「エリザは外見まだ決まってないんだろ?」
 『彩咲 姫乃(aa0941)』が言う。
「ボディはこれから作ってもらうんです、明後日のデートには間に合うと思います」
「……ん、ボクとお揃いは?」
 そうユフォアリーヤは尻尾を揺らして見せる。
「それはどんな利便性があるんでしょう」
 遊夜は思わず苦笑した。
 とりあえずお披露目は三十分くらいで終了、これからボディーの作成に入るという、本格的なミッションは明後日から始まるらしい。


     第一章 初めまして、私はエリザ

 そして約束の二日後、十一時の待ち合わせに遙華と『小鳥遊・沙羅(aa1188hero001)』は遅れてやってきた。
「さて、みなさんお待たせしたわね。エリザのボディ本邦初公開よ」
 そんな遙華の合図とともに、遊夜の車がリンカーたちの目の前に横付けにとまり、中から少女が一人現れる。
 そして、その場に歓声が溢れた。
 輝くような金糸の髪、白い肌。身長は157センチ程度。
 白いワンピースに身を包んだ少女は無表情で辺りを見渡した。
 しかしそのエリザに、面白いパーツが二つ。髪の毛と同じ色の耳と、同色の尻尾である。
「ええ! 猫娘!」
 メテオバイザーは激しい動揺を見せる。
「ルネさんっぽくはないですね」
 燃衣が落胆する。
「これからしばらくの間、皆さんから人間について沢山のことを教えてもらいたいと思います、よろしくお願いします」
 そんな堅苦しい挨拶に耐えかねて『柳生 楓(aa3403)』はエリザの左腕をとった。
「まずは服ですね。あ、私は柳生 楓です、下の名前でいいですよ」
「あ、はい楓さん」
 そして右の腕をとるのは『氷室 詩乃(aa3403hero001)』
「僕は詩乃だよ、と言っても電話でも沢山話したから、挨拶はいらないかもだけど」
「よろしくね、ねぇ詩乃、楓。今日はどうするの? 私何も聞いていないのだけど」
 エリザが言う。そしてそんな光景をうらやましく見つめる深散。
「今日はみんな休日だから。エリザの好きなことをするのよ」
 まみが言った。
「休日って、どう過ごせばいいの?」
「うーん、そうだな。好きなことしてすごせばいいんじゃないか?」
 そう姫乃は苦笑いを浮かべながら答える。
「俺は部屋の掃除とかかな。空いてる時間で漫画とか読んだりするぞ」
「漫画、知識では存在を知っていましたが、実物は見たことがないわ」
「じゃあ、今度もってくるぜ」
「ほんとう? ありがとう、ちなみに、遊夜は?」
「ん? 俺か? そうだな、ガキ共と中庭で犬やらと遊んだりかね?」
「いぬ!」
 その時エリザの目が一瞬輝いたという。
「……ん、お菓子や料理も、皆で作ったりする、よ」
 その時、姫乃の目が輝いたという。
「私はショッピングかな~。新しい洋服とか化粧品とか見て回るの楽しいわよ!」
 まみが言いながら、近くのデパートを指さした
「私達もそうですね」
 楓も答える。まぁ一般的な女子はそうだろう
「エリザちゃんも女の子なんだから洋服とか気を使わないとダ・メ・だ・ぞ」
「俺はネットサーフィンからの美少女フィギュアを求めてアキバに。デュフフ」
「拓海くんは黙って……」
 そして一行はデパート目指して歩き出した。
 エリザはまみに沢山衣替えさせられ。一通り買い揃えると、次は食事。
 食事は屋上のグロリア社グループのレストランでとり、一同はエスカレーターで一回まで下りる。
「おいしかったね」
 そんなエリザに楓が微笑みかけた。
「一番驚いたのは、エリザが食事をとれることだけどね」
 沙羅が言った。
「ええ、苦労しました」
 疲れ切った様子で構築の魔女が微笑んだ。
「ご飯を食べるということがどういうことか知りたがって……」
「味覚を持たせるだけで精一杯だったわ、ああ深散のオーダー通り、各種触覚、そしてついでに嗅覚も、人間と同等の者ではないけど、つけてあるわ」
「深散がお願いしてくれたの? ありがとう」
 そうエリザは深散の手を取っていった。
「うん、触っている感触がある」
「そ、そうですか、それはよかった」
 そう深散は視線をそらしながら言った。
 その後一行はデパートの外へ。
 遊夜が荷物を車においてくる間に、次の行先を決定することになった。
『ガイ・フィールグッド(aa4056hero001)』は主張する。
「遊園地や動物園は」
「そんなには回れないですね。午後二時ですし」
 メテオバイザーが主張する。
「スタジオなんてどうだ?」
 ネイが言う。
「みんなで楽しめる場所のほうが……」
 メテオバイザーが却下する。
「水族館、映画館にヒーローショー」
 ガイが再度主張する。
「最後のはガイさんがみたいだけじゃ……」
 メテオバイザーが苦笑する。
「でも、すごく気になるわ」
 エリザが手を挙げて言う。先ほどから幼児が親の真似をするように人の仕草をエリザは取り入れていた。
「ガイ。ヒーローショーとは一体どういう物なの? ホームページだけではいまいちよくわからなかったわ」
「ああ。それは。それはなぁ」
 ガイは直ちに視線をそらす。そんな彼の姿を豪がじっとりした視線で見つめた。
「……うーん、ちょっと意見をまとめましょう、そして何が重要で何が優先度が低いのか精査して話をしましょう」
 さすがの燃衣が話を会議調で進めていく。
「これが、争い……」
 そんな大人たちの様子を眺めながら。エリザは言った。
「ちがうちがう」
 詩乃は苦笑する
「なんでみんな仲良くできないの?」
「仲良くないわけでもないですよ」
 楓がそうフォローしするが。エリザの表情は真剣だ。そして沙羅の表情も真剣だ。
「難しい質問ね。みんな仲良し、同じ考えの世界。それは平和で、堕落した世界になるわ。主義思想の自由の対価として、対立が産まれ、争いが起こる。大切なのはその調律、なのかもね」
 楓が頬をかいた。
「そんな真面目に答えなくても……」
「だって教育しなきゃなんでしょ?」
「ああ、沙羅さんと楓さんの間にも争いが……」
 うごけない故の雑談タイムが繰り広げられる、ご飯を食べながらいいだけ話した気もするが、まぁこれだけの人数が集まっているのだ。いくら話しても話したりないのかもしれない。
 そしてそんな輪から少し外れてしまった深散を気遣って『九郎(aa4139hero001)』が、背中を押す。
「話したいなら行けばいいのに……」
「エリザを連れ出してあげたいけど、どこに連れていけばいいのか思いつかないの」
「深散って、全然友達と遊びにいったりしないしね」
「遊び……公園?」
「小学生かな?」
「……のベンチでのんびり」
「リストラされたサラリーマン?」
「悪意を感じます」
 そんな風に話が白熱し始めたころ遊夜が帰ってきた。
 そして遊夜は誰もが納得する案を一つ出して見せる。
「離しながら歩くって言うのはどうだ?」
「いいわね」
 エリザが賛成する。
「どうせこれからエリザにはたくさんの時間があるんだろ? そして俺たちの休日が常に合うわけがない。行きたいときにエリザを誘って、行きたい場所に行けばいい」
「……ん。沢山あそぼう」
「そしてさっそく家に来てもらう予定も立てたしな」
 鶴の一声でまとまった一行は当てもなくふらつき始めた。
 しかし、この普通ではない面子は、ただ歩くと言うだけでも様々なトラブルを引き起こすらしく
 途中でアイスクリームを買ったり、露店でエリザにアクセサリを買ったりしたのははよかったが。
 遙華と沙羅が行方不明になったり。
 お兄さん三人組にからまれそうになった、エリザを燃衣と國光が追い払ったり。
 とまぁ、いろいろあった。
「ただ、外を歩くというだけでもこんなにも沢山の物事に出会う物なのね」
 疲れたようにエリザは言った。
「ま、何事も経験かね?」
 遊夜が頭をくしゃっと撫でる。
「……ん、自分の目で、見るのも大事」
 そして一行は、斜面の緩やかな林道を上る。それは単なる思い付きだったが、登りきってみるとお寺の駐車場に出た。
 そしてそこは小高い丘になっており、夕陽で赤く染められた町並みが見事に美しくエリザの瞳に映った。
「どうよ、綺麗なもんだろ?」
「うわ! すごいです」
 そうエリザは言うと。
「見てください、人が塵のようです」
「その発言は印象が悪くなるからやめような」
 遊夜にたしなめられるエリザ。
「ああ、えっと、ごめんなさい」
「やっと、笑ってくれたな」
 ガイが言う。
「え?」
 そう振り返ったエリザは確かに笑っていた。
「今日は楽しかったね」
 楓が言う。
「楽しいってなんですか?」
「そこもわからないんですか……」
 構築の魔女は頭を抱えた。
「楽しいかー難しいね。えっと……心がウキウキしたりワクワクしたりする事かな!」
 まみが言う。
「姐さん説明が抽象的過ぎてマジうけるんですけど」
 首根っこを掴まれる拓海。
「簡単に言えば、期待したものが叶う事だな。エリザ殿も何かと期待する事があるだろ?俺だってこの後、今日発売の最新ギャルゲーが家に届いているかと思うと……グヘヘヘ」
 寺裏へと引きずられながら言葉を続ける拓海。
「この何かを期待したり自分にご褒美があるって思う事が楽しいでござるよ……デュフフ」
 それが彼の最後の言葉になった。
「拓海くん……本当にもう何も喋らないで……息もしないで」
「たとえば」
 沙羅が言葉を継ぐ。
「心が一番、穏やかでいられる瞬間の事、かしら。
 例えば、エリザとこうして話しているのは、私にとって楽しい事」
「じゃあ、みんなは、私と今日一緒にいて楽しかった?」
 全員が首を縦に振る。
「貴女にもそう思って貰えれば、嬉しいけど……どうかしらね?」
 エリザは首をふった。
 思わず全員が苦笑いを浮かべる。これは大変そうな道のりだ。
「人間の世界はこんなに楽しいんだぜ!」
 ガイが言う。
「誰かが誰かに笑いかけるのはその誰かに笑って欲しいからなんだぜ!」
「でも、今のどうやったか私わからなくて」
「楽しい時は個やって笑うんだぜ! ホラ、こう!」
 そう笑顔を見せるガイに、ためらいがちにエリザは笑みを返す。
「こんな感じ?」
「なんて、なんて可憐なんだ」
 鼻血でも出しそうな勢いで

「わからないわ。楽しかったのかわからない。けど、私がいることでみんなが楽しかったなら。私すごく満足よ。ありがとう。みんな」


      第二章 日常


 買い物の次の日、開発チーム+αはエリザボディーの更なる改修を進めていた。
「あらぁ。けっこう無理をしたわねぇ」
 沙耶がボディーを眺めながら言った。
「魔女さん、私、一度あなたに訊いてみたいことがあったの」
 唐突に声をあげるエリザ。
「何かしら?」
 構築の魔女は首をかしげる。
「私はいずれ、誰かを殺さないといけないの?」
 その場にいる全員の手が止まる。
「遙華、あなた……」
 沙羅が非難の視線を遙華に向ける。
「グロリア社が何の会社だか、忘れてしまったの? 沙羅」
「それ、他の人には?」
 構築の魔女が尋ねる。
「まだ言ってないわ……」
「なら、あまりむやみに言わないことね、そして私の答だけど。
 そう望まれて作られたのだから望まれるまま進めば誰かを殺すことになるわね
だけど生きていくということは誰かの犠牲の上にあるものよ」
「やっぱり、私は兵器なんだね」
「違うわ、私が言いたいのはそう言うことじゃない」
「じゃあ、何なの?」
「それはとても難しいから、じっくりと話し合っていきましょう。そして沢山のことを知って、あなたがそれを判断しないといけないわ」
「知る? それが私のすべきこと?」
「そうよ、」
「私はあなたが好きよ、でもあなたはあなたのことが好きではないのね?」
 その発言を受けて構築の魔女は吹き出した。
「今、私面白いことを言った?」 
「いえ、あまりに突拍子もない話が飛び出たもので。
 嫌いでもありませんよ?
 私が尊く思うものを貴女が持っているのかそれを図りかねているだけです
 善悪よりも好悪を優先することもある意外に我侭な魔女なのですよ、私は
 でも、相手のことを慮る貴女のあり方は素敵ですよ?」
「本当? 私、人みたい?」
「ええ、人のようです」
「わたし、構築の魔女に話をしてよかったわ。ねぇわからないことがあったら訊きにきてもいい?」
「ええ。手がすいていれば答えましょう」
「じゃあ、今日から、魔女は先生ね」
「先生……」
 その言葉を構築の魔女は噛みしめた。
「これからよろしくね先生」
「ねぇ、そろそろいいかしら」
 そうロクトが壁にもたれかかりながら、壁を叩いた。全員の視線がそちらに向く。
「今日は孤児院に行く約束だったの、もう行ってもいい?」
「服を着てからね」
「行ってきます」

   *   *

 研究所をでて車で走ること数十分。
「エリザ、起きて」
 そうロクトが揺らすとエリザは答える。
「まみとお話ししてただけよ、機械は寝ないわ」
 そう不服そうにエリザは言う。そして今日お世話になる相手を見た。遊夜である。
「まず事務所に案内しよう」
「……ん、こっちだよ」
 そうユフォアリーヤがエリザの手を引いた。
「遊夜は仕事は何をしているの?」
「なんでも屋だ」
「なんでも?」
「料金とリスクが釣り合うなら何でもやるってことだ」
「それって、商売として成り立つの?」
「手厳しい。だが、仕事に困ったことはないな。今まで」
 そう事務所に通されると意外と綺麗だ。
 さっきまで仕事していたようで机の上には書面や、整備中の銃が乗っかっていたが。
「……ん、まだまだ見せたいものがあるの」
 そう案内された孤児院はなかなかに広かった。調理場、遊ぶためのスペース、遊具、寝室。
 中庭まであってそこには、特設のステージが設置されていた。
「それじゃ、子供たちの学習発表に付き合ってもらおうかな」
「……ん、ヒーローショーをやる」
 そうユフォアリーヤが両腕でエリザを捕まえると一緒に座る。
 シナリオとしては、世界を脅かす悪い組織が暴れているとヒーローが現れてやっつけるという王道なストーリーだったが。
 遊夜が悪役で出てきたときにはエリザは思わず笑ってしまった。
「おもしろい……」
 劇が終わると、そう感想を漏らし、エリザは拍手を送る。
「……とまぁ、地域密着でやってるわけだ」
 そう遊夜は一礼すると子供たちを並べた。
「……ん、ご挨拶する」
「可愛いガキ共だろう?」
「うん。私はエリザ。よろしくね」
「劇どうだった?」
「楽しかったよ」
「……ん、台本描いた」
 ユフォアリーヤが胸を張って言う。
「ま、自分がされて嫌なことは人にしないってのが題材だな」
「自分がされて嫌なことは、しない、しない」
 繰り返すエリザ
「全部覚えたよ。子供たちの名前も、劇の内容も」
「さすがエリザだ、じゃあ。次は舞台にたてるな」
「それは、無理です!」
 あわてるエリザ。
「じゃあ次はお菓子作りでもしようか」
 そうキッチンに移動する一同。そう子供たちを引き連れる遊夜にエリザは尋ねた。
「これが、遊夜が守りたいもの?」
「そうだな」
 そういい笑顔で答えた遊夜はエリザの手を取る。
「私、いま触覚があってよかったなって、ちょっとおもったわ」
「ん? 何か言ったか?」
「なんでもないわ」

   *    *

 その次の日は遙華の用事として駆り出された、目指すのは市内の某大学。
 その廊下で遙華とロクト、そしてエリザを見かけたメテオバイザーは手を振った。
「こんなところで奇遇ですね」
「ええ、そうだ、頼まれてくれない? わたしのお世話になっている教授がいるのよ。その人と話をしている間。ちょっとエリザを見ていてくれない?」
「ええ、いいですよ。行きましょうエリザさん。サクラコはあっちです」
 そう廊下を抜け中庭に出ると。木々に反射して緑色に煌く世界の中、國光がスマートフォン片手に佇んでいた。
「えっと、お元気? 國光」
 そう言葉をかけると、國光はエリザを一瞥して立ち上がった。
 思わず後ずさるエリザ、その肩をメテオバイザーが支える。
「ほら、サクラコ、エリザさんが怖がってます」
「ごめん、怖がらせるつもりはなかったんだ。……今日はどうしてここに?」
「楽しいって何か知りにきたの」
「楽しい?」
「うん、楽しいってことはどんなこと? どうなることなの? 私はまだそれがよくわかっていないの」
 考え込む國光。
「おいなんだよ、この可愛い子」
「こんなにかわいい子がいるのに携帯いじってんのは失礼じゃねぇのか」
 そうスマートフォンを奪われる國光。
「こらやめろ」
 二人の友人はひとしきり國光をからかった後にその手に電話を返した。
「おかしい、國光って意外ととっつきやすい性格なのね」
 エリザが言う。
「それが楽しいってことだ。だんだんわかってきたみたいだな」
「どういうこと?」
「口角が自然と上がって、エリザは今、人と会話したくてしかたがないだろ?」
「そうね。あの人たちとも話してみたい」
「それはエリザが楽しい、ずっと続けていたいと思っている証だ」
 そして疲れたのか、國光は傍らに置いていたペットボトルからお茶を飲む。
「國光は私と会うと悲しい顔をするわよね」
 あまりに唐突な質問に思わず國光はお茶を吹き出した。  
 気まずそうに視線をそらす國光。
「サクラコ……」
 睨むメテオバイザー
「ああ、すまん、だがこれは俺の中で複雑なんだ」


    第三章 守護 


「お邪魔します」
 そう、元気な声を上げて靴を脱いだ。今日は姫乃の家にお邪魔していた。彼女から本を借りるためだ
「すごいたくさんあるね。確かにこれなら。休日の暇もつぶせそうね」
「ほら、ジュース持ってきたぞ、あとお菓子も」
 そうお盆をテーブルの上に置く姫乃、さっそくエリザはクッキーを一枚口に運ぶ。
「いただきます、……、ん。これおいしいね。どこで買ったの?」
「あー、みんなには内緒だぞ」
 姫乃は恥ずかしそうに頬を赤らめて言った。
「お菓子作りとかしているんだ」
「え! すごいじゃない」
「いや、そんなんでも……メルトはよく食べるからな。クッキーとか作って携帯してるんだよ」
「ヒメノー オナカスイター」
 そう突如幻想蝶から声が聞こえたと思うと『メルト(aa0941hero001)』がデロリと登場した。
「こういうときすぐ食べさせられるようにな」
「初めまして、私はエリザ」
 そう挨拶代わりにメルトにクッキーを差し出すエリザ。
「姫乃、すごいのね。お菓子も作れて本もたくさん読んで、そしてすごくかわいいわ。私姫乃のこと、大好きよ」
 メルトの頭を撫でながら言うと、息苦しさを吐き出すようにため息をついた。
「そんなに嫌そうな顔をしないでちょうだい。それとも貴女は貴女がきらい?」
「なぁ、言っていいか?」
 姫乃が額を抑えながら言った。
「どうしたの?」
「これもみんなには内緒な。知ってるか? 実は俺は女なんだ」
「どこからどう見てもそうじゃない?」
 うっと言葉を詰まらせる姫乃。
「隠せてたと思ってたのに。いやいや、心と体の微妙なすれ違いって奴だ。研究所で会う時はフード被ってるのも顔を隠すためだ
 でもな、不便に思うこともあるけど――嫌いってわけじゃないよ
ただ思春期にはちょーっと刺激が強いだけで……」
「え? どういうこと?」
「いやいやいやいや、そこは詮索しないでお願いだから!」
「……私、ベットの下とか探ったほうがいい?」
「いいよ! っていうか何でそう言う様式美を知ってるんだよ」
「沙羅が教えてくれたの」
「…………」
 言葉を失う姫乃であった。


   *     *

 それは、とある雨の日の話、楓がいつも通りグロリア社に行くと珍しいことにエリザは一人でつまらなさそうに椅子に座っていた。
 エリザは振り返ると楓と詩乃を見つけ微笑みかける。
「今日はみんな忙しいんだって」
「そう言う日もありますよ」
 かくいう楓も、数時間後にはミッションのために飛び立つ予定だ。
「慣れましたか?」
「何に?」
「体とか、生活とか」
「うん、慣れてきた。全部みんなのおかげ」
「いつの間にか敬語も取れてますよね」
「なんだかそのほうが、みんなと楽しく話せる気がして」
 その隣で詩乃がミラージュシールドの手入れをしている。今日のミッションで使うのだろう。
「それは盾?」
 詩乃が掲げて見せる。
「そうだよ」
「なぜ武器を持たないの?」
「楓はね、傷つけるより、護りたいんだよ」
「何を守るの?」
「私の守りたいものですか、そうですね……周りにいる人達、でしょうか」
「それって私も?」
「そうですね」
「わーい、うれしい」
 楓はエリザの頬に手を当てる、最近エリザは積極的に感情を表現しようとしている、表情も自然だ、軟かに微笑む姿が似合うようになった。
「私はもう嫌なんです、手の届く距離にいる誰かが死ぬのは」
 楓は小さな声でそう言った。
「……それが、あの日決めた誓いですから」
「誰かを殺してしまったことがあるの?」
「…………死なせてしまったことがあります」
 今度はエリザが楓の頬に手を伸ばした。
「あたたかいわ」
 ふにふにと、エリザの手は楓の頬をつまむ。
「悪い人たちと戦うの?」
「うーん、今回はそうですね」
「殺さないの?」
「殺しませんね」
「悪い人なのに?」
「悪い人だからと言って、殺さないと自体が収まらないわけではないんですよ」
「悪いってなんだろう……」
 考え込むエリザ。
「善悪についてですか、難しいですね……説明しにくいですが、私は自分が正しいことが善、悪いことが悪と思ってます」
「……でも一つだけ、心に留めていてください。何が正しくて何が悪いかなんて、人によって違うことを」


       第四章 発覚

 
 遙華がエリザの頭脳を解析した結果驚くべきことが分かった。
 エリザの知能指数が下がっているのである。
「これで、どうやって楽しめっていうのよ」
 頭を抱える遙華。今日は楓主催のパジャマパーティーなのに、気分は思い。
 遙華はモニター越しに集まっている少女たちに視線を移す。
「俺。来てもよかったのかなぁ」
 そうため息をついたち姫乃である。
 参加者としては深散や沙羅といたティーンたちと。その保護者と言った感じであり。
 しかし保護者たちは保護者たちで大人の楽しみというものがあるらしく食堂に行ってしまった。
 そんな話がもりあがり始めたころ、エリザが立ち上がり、ふと告げる。
「遙華、戻ってこないね、探してくるね」
 そしてそんな遙華を探しに言ったはずのエリザと、姫乃はトイレの前の廊下で出会った。
「どうした? 小腹でもすいたか?」
 クッキーを差し出す姫乃
「ありがとう、姫乃」
「なぁ、何か思うところがあるなら話してみろよ。楽になるかもしれないぞ」
「…………私はね、最近何のために生まれてきたんだろうって思うのよ。本当に戦うために生まれてきたなら、今この時にどんないみがあるんだろうって」
「俺もこんな体だから女の子するために育てられたようなもんだからな」
 そうパジャマの袖を引っ張る姫乃。
「でも何だかんだで楽しい時間だって少なくなかった。
 だが戦うってなると何となくで同調したら駄目だ。 
 俺は頭良くないからうまく説明できないけどな。
『痛い』って分かるか?辞書だけ引いても駄目だぞ。
 今まで読み聞かせてた本の登場人物が不幸な事になったとき嫌な気持ちになったなら。
たぶんエリザは戦いたくないって言ってもいいと思う」
 その言葉にエリザは振り返ると、そこにはみんながいた。帰りが遅くなって心配してきたのだろう。
 そんなリンカーたちにエリザは泣き出しそうな表情で言った。
「私は、殺すの? 人を殺すの?」
 姫乃が返答に困っていると食堂側から九郎が現れた。
 話は聞いていたようだ。少女たちのかわりに九郎はエリザの質問に答える。
「かもしれませんね。君に兵器としての力を望む人は大勢いるでしょう」
「九郎!」
「私が人を殺したら。楓は、私のこと嫌いになる?」
 楓はすぐに答えられなかった、そもそもエリザが人を殺しているところを想像できなかったのだ。
「色んな思惑がエリザを取り巻くことになるでしょうが、必要なのは二択だけです。何を棄てて、何を得るか」
 そう九郎はエリザに近寄ると、その耳元に口を近づけた。
「ところでエリザは明日深散と二人でデートなんですっけ?」
「そうよ、この前見つけたカフェに行くのよ」
「それ、普通は逆だよね。深散なんて放っておいて、僕と二人で楽しい場所へ行きませんか?」
「先にエリザと約束をしたのは私です!」
 深散が抗議の声を上げる。
「ふふふ、冗談ですよ。選択とは、もう一方を手離すということ。これからの君が、君自身にとってより良い選択ができるよう」
 九郎は笑ってそう言うと食堂へ戻ろうとした。
「待って九郎!!」
 その背をエリザは追いかける。
「教えて、もしあなたが誰か一人しか救えないとしたら、あなたはどうするか。あなたならどうするか」
 エリザは九郎に詰め寄る
「あなたの守りたいものを教えて。あなたは人を守るために戦える?」
「今の僕が一番守りたいものは、深散かな」
「自分の命に換えても?」
「命、ね。それが必要ならば、と答えますがそうなることはないでしょう。僕が守りたいのは、深散の心の有り様だから。自己犠牲とかではなくて、もっと自分勝手で独りよがりなものです」
「それは、どういうこと?」
「ふふ。エリザが心の奥底から、何に替えても押し通したい我儘が、エリザの守りたいものですよ、きっとね」


   *   *

 そして、数日後、エリザが待ち望んでいた音楽の時間がやってきた。
 先生はネイと燃衣である。
「今日は聞いてほしい曲があるんだ」
 ネイがPCを操作すると、再生されるのはかつて世界を愛してその世界のためにと願い、消えていった英雄の歌。後に希望の音と名付けられる歌。
「これが、キミの声データの元となった人の歌だよ」
「私の声……。気にはなっていたけど遙華に訊くのも悪くて……」
「どう? キレイでしょ!」
「うん、とっても綺麗ね」
「で、こっちがその人を想って、ボクが作った曲」
 それは依然燃衣の作った『絆色の種火』という曲。
「素敵な曲ね」
「どう? 歌ってみない!?」
「いいの? 私が歌って」
 燃衣は首を縦に振る。そして燃衣は歌が入っていないバージョンの絆色の種火をかける。それに合わせて歌う少女はとても幸せそうに燃衣の目に映った。
「上手? 私歌上手?」
「すごいです、感動しました。まるで彼女見たいです」

「え? 違うわ」

 驚く燃衣。彼女が何に対して違うと言ったのか、とっさに解らなかったからだ。
「何がです?」
 だからそう燃衣は訊き返した。
「感動したときは、人ってそんな顔しないわ。それはまるで、悲しんでる顔よ。どこか痛いの? 苦しいの? 大丈夫? 私、あなたの力になれないかしら」
「ああ、違うんです。この歌も、あなたの声もいろんなことを思い出させてくれるんです、あの時救えなかった罪だとか、後悔だとか」
「この、声の人?」
 そうエリザは喉に手を触れる。
「聞かせてくれない? その人のこと」
「ボク達はあの時、協力できなかったと思います。意見がバラバラで食い違ってしまって、結果的にルネさんを困らせてしまった。みんなの意見が一つの方向を向いていればきっと、助けられたんじゃないかって、思うんです」
 現により困難な任務でも、燃衣は結束という力で絶望を打ち破ってきた。
 攫われたリンカーを助けたり、難敵だったガデンツァも瀕死まで追い込んだ。
 あの時、自分にそれだけの力があればと嘆いたことはある。
「力も、知略も、絆もボク達には足りなかった」 
「なんで、みんな仲良くできないの?」
「……生きる為……かな」
 それまで黙っていたネイが言った。
「……生物は《食わねば死ぬ》……それが全ての始まりだ」
 エリザは首をかしげる。理論としてはわかる。だが感情としては理解できない、そう言う顔だった。
「その営みの延長が《他者の排除》を生んだ……分かるか?」
「それが、人は人を殺す理由?」
「驚きました。普段からそんなことを考えているの?」
 燃衣は目を丸くしていった。
「……人だけじゃないよ。人は全てを殺す。全ては……満たす為」
 ネイがベースを響かせる、そして燃衣の言葉を継いだ。
「……欲求だ。己の求めるモノの為……人は何かを殺す。大義であれ、私利私欲であれ、だ」
「欲求を持つのはいけないことなの?」
「そうではない、欲求が導いた結果だけを見て、根本を悪だと定義づけては、同じ間違いをもう一度侵すことになる、それではだめだ」
「難しいな……」
 エリザは頭を抱えて項垂れる。
「私、歌うために生まれてきたかったな。きっと私の声の人もそうだったんじゃないかなって思うわ」
「エリザさんは謳っていていいんですよ」
「きっと、それは無理だと思うの……」
「いえ、歌いたいと願って、戦いたくないと言えば、きっと」
「………………」
「逆に問う、闘争は嫌いか?」
「嫌いよ、私ね、最近おかしいの。みんなが悲しそうな顔をしていると、どうにかしなきゃって思うのよ。でもね。どうしたらいいか分からないの」

「この感情が何だかもわからないの」

「機械なのに不思議よね」

「答えが出せないなんてポンコツだわ」
 その言葉に燃衣は首を降るが、言葉には出さない。エリザの話の続きを促した。
「戦うって、みんなを悲しませることでしょ? だから嫌いよ」
「この男も闘争は嫌いだった」
 ネイが言う。
「だが人間のライヴスを求める愚神が、その意志に関わらず全てを奪った。今後も奴等は全て殺すだろう……遙華も、研究員もな……」
 エリザは息をのんだ。それは嫌、そう口元を覆う。
「先の質問だが……人は大切な者を守る為にも、何かを殺すぞ。闘争は嫌いか?」
「…………誰も、悲しまなくて済む道はないの?」
「それを目指して努力はすべきです。けどそれにこだわって失敗するくらいなら。僕は」
「ねぇ、お願いしていい? 燃衣」
 その時だった、エリザの声がざらついた。まるでスピーカーの性能が低すぎて音が割れるように。 
 燃衣は目を見開く。そして見つめたエリザの瞳に光はなかった。
「だいじょうぶですか、エリザ!」
「もし、私が間違った道を進んだら。あなたが私を正してくれる?」
 そのまま倒れ込んできたエリザを燃衣は抱きかかえる。
「あなたが間違った私を壊してね」
 そのままエリザの端末は機能を停止。直後遙華から緊急の呼び出しメールが届いた。
 
   

       第五章 異変



 研究室に呼び出された燃衣。一番遅れて到着したのはエリザを彼女の寝室に送り届けてきたためだ。
「今日はエリザに会う前に話をしないといけないの」
 遙華は拳を握りしめ。絞り出すような声で言った。
「ごめんなさい、私怖くて言えなかった、このことを聞いたら皆ショックを受けると思ったから」
 そう上げた顔は涙でぬれている
「エリザはその身に記憶、つまりデータをため込むことによって、逆に知能を崩壊させることが分かったわ。エリザは遅くともあと一週間で自我を失うわ。演算能力の喪失。それを防ぐ手段は、なかったの」

「そのために用意できた解決策は二つよ」

1 エリザの凍結、情報の入力と更新をさせず、症状の進行を止める方法。
2 エリザの初期化。エリザの機能に強い影響を与えているのは記憶領域のデータ、これを定期的に削除することによってエリザの崩壊を防ぐ

 その選択を聞いてその場にいる全員は唖然と言葉を失った。

「本題だけれど、私は【初期化】推奨」
 沙耶が言う
「凍結をしたとして、解決出来る問題かは未知数。そこから成果をあげなければ凍結どころが破棄になってもおかしくはないわよね。それは遠くない未来に感じるわ。施設の維持にもコストはかかるもの」
 その通りねと、遙華は頷く。
「それなら【初期化】の道を選んで、何度初期化しようと実験と考察を重ねて、失敗し、一緒に苦悩し、克服していくのが最善の道だと思うわ」
「あくまで私は研究者の端くれだから、研究者の観点になるのは許してねぇ」
 その言葉を聞いて、突如部屋を飛び出していく楓。
「待って楓、それは」
「遙華さん、聞くべき最大の当事者が抜けているかなと」
 楓を追おうとした遙華へ構築の魔女が告げる。
「それとこれは私と小鳥遊ちゃんが行っている研究なのだけれど、一から人工知能を作るのは難しくても、脳をトレースして電脳世界で人格を持たせるのなら、幾分かは現実的になるかもしれないわぁ」
「その技術開発にどれだけの時間がかかると思っているの?」
「凍結に流れた場合部署が移り研究に携われなくなるというのなら、これでその部署に私の研究室からの臨時派遣職員でねじ込めないかしらねぇ?」
 そう沙耶は、以前うけとった名誉社員証をちらつかせる。それを遙華は手に取った。そして言う。
「私はあなた達に何度も救われてきたわ。だからこんな物なくてもそのお願いくらいは聞ける」
 そう、社員証を破り捨てる遙華。
「けど、魔女の言うとおりね。まずはエリザの話を聞きましょう」

   *   *
 

 エリザの寝室では沙羅が看病をしていた。そこに姫乃も合流して目覚めるのを待っていたが。
 等のエリザは楓が扉を乱暴に開け放ち部屋に入ってくると、その騒々しさで目を覚ます。
「どうしたの? 楓」
「……エリザ、一つ、伝えなければいけないことがあります」
 楓は、自身の耳で聞いたことすべてをエリザに伝えた。
 その言葉に息をのむ沙羅。
「非常に酷な質問なのは理解してます、でも……」
「やっぱり、そうだったん……んですね」
 楓はエリザを見た。
 その顔は無表情まるで感情などない。
「聞かなければならないんですエリザ……あなたは、どうしたいですか?」
「どうしたい? とは? 私に選択肢がありますか?」
「エリザが生きて、私たちに会いたいなら、凍結すべきです、どれだけかかるかわからないけど。もう一つの選択肢初期化は貴方がいなくなってしまう」
「けれど、人類の役には立つ?」
「エリザ、貴方には意識、知識……そして感情があります、その時点で貴方はもう只の人工知能ではなく人なんです。人の貴方には選択する権利があります」
「楓、違います。私は道具です、機械です。だから……」
「違いますエリザ! あなたは……」
 楓は言葉をかみしめる。
「エリザ……私は貴方が選んだ答えを尊重するつもりです」
「…………」
「だからエリザ、お願いします。あなたがどう思っているか聞かせて」
 部屋の中に重たい空気が流れる、直後沙羅がトレイを取り落して、耳障りな音が鳴った、沙羅は其れに構わず、病室に顔を出した沙耶へと歩み寄る。
「うそ、嘘よね、そんなこと、沙耶!」
 沙羅が沙耶の胸を泣きながら叩く。
「嫌よ!こんなに話せて、心もあるのに消えちゃうなんて!」
「聞いたでしょう、そして賢いあなたならわかるわよね。道はないのよ」
 沙耶はそう、沙羅の頭を撫でながら告げた。
「沙耶、救ってよ! 私との誓約は『癒す事』でしょ? なら彼女も救ってよ!」
「あんまりだろ折角生まれてきたんだ」
 茫然と両手を見つめる姫乃
「なのにこんな……」
 姫野は無慈悲な現実を告げる。
「凍結したら目覚めたときエリザが知っている人はいなくなる
初期化したら俺たちが知っているエリザはいなくなる」
「酷い選択だ……、こんなの、こんなのってない」
 こらえるために瞼を強くこする、嗚咽が口から洩れた。
「私は。今後関われないのだとしても……それでもエリザちゃんが生きていてくれるなら私は生きていて欲しい!」
 まみは言う。
「命はそんな簡単なものじゃない! 簡単に消したりなんて出来ない! 生かせる可能性があるなら……お願い……諦めないで……」
「俺は”凍結”を支持します」
 國光が言う。
「でも、またエリザに会いたいからじゃない。少しでも知能を持つAIが戦闘に投入されるのを遅らせるためです」
「サクラコ! それはエリザちゃんに失礼です!! エリザちゃんは……」
「いいか?よく考えろ!」
 國光はメテオバイザーを壁に押し付ける。
「お前はヴィランが起こした人質事件に「人格を持った武装」を持って行ったとして、中に入ると人質は無事で、人質の側にいた見張りのヴィランは子供だったとする、お前は攻撃ではなく警告しようと思った、でも武装はその見張りの子供を敵と認識し、殺した。
お前の意思が届かないところでお前は人を殺すんだ!どう思う!?」
「それは……」
「愚神でも従魔でもない。人が人を傷つける決断だけは別の何かに委ねちゃダメなんだ! 自動化しちゃダメなんだ!!」
 そした國光は地面に両膝を衝く。
「その可能性に近づく選択を、俺は選べない……」
 力なくそうつぶやいた國光へ、エリザが手を伸ばした。
「泣かないで」
「オレは初期化でも構わないぜ。一生涯、エリザと交流を続けるぜ。エリザを道具に成り下げさせはしねえぜ!」
「毎月お前の事を忘れるんだ…辛いのはお前だぞ
 豪が言う。
「いいんだ。オレが辛いのなんて。何度だって泣いてやる。その代りエリザに……ただの1度も、辛い思いはさせないぜ!」
 次いで口を開いたのはネイだった。
「……今こうしている間にも。選ぶ間も無く真に《殺される命》がある
 それも、平和を望む善なる者の命だ
 命が大切と言うなら、その者達の為にも《今》……力が必要だ」

「だが。それは《エリザの意志》次第、だ
 奴に戦う意思が無いなら……戦場では邪魔でしかない
 恐怖と迷いが戦場でどれ程致命的か……知らぬとは言わせん。
 ……だからこそ。《戦う道》は己の意志で選ぶべきだ
それに……これは《自分の生き死に》の事だ」

「では、私は初期化がいいとおもいます」
 エリザは言った。

「私は皆さんに沢山の物をもらいました。家族愛、正義、護るべきもの、殺してはいけない理由。人は争うけど、その手助けを私はしたいです。私は皆さんのためなら戦える」

「それに、私が初期化されても、それはエリザです、みんななら次の私も任せられます。今の私がこの世界を愛しているように、次の私も世界を愛すると思います」

「だから、私を使ってください。道具に成り下がっても私は……」

「貴女は望まれるまま『納得』したのかしら?」
「先生?」
 そうエリザにいったのは今までずっと黙っていた構築の魔女だった。
「……遙華さんが決断を下すまでちょっと話しましょうか
 貴女は、味方であること力になること……いろんなことを『望まれて』いるわ
だけど貴女自身はどうしたいのかしら?
凍結や初期化を受け入れず『生き抜く』という選択肢もあるわよ?
終わりがすぐそこにあるかもしれないけれど貴女の命は貴女のものだわ」
「やめてください、先生。初期化は私の意志……」
「本当に?」
 楓がエリザに詰め寄った。
「貴方の、本当をみせて! 見え見えなんですよ、感情がなかった頃に戻ろうとしているのが!」
「わた、私は」
「消えて平気な奴が、自分の存在理由なんて考えないだろ」
 姫乃が言った。
 その場には嘆きしかなかった。
「グロリア社としては初期化を勧めます、これが」
「ちょっと待ってくれ、俺たちの意見はどうなるんだ?」
 外は雨だったのだろう。ずぶぬれになった遊夜、ユフォアリーヤが部屋に入ってきた。
「あなた任務だって」
「倍速で終わらせてきた」
 そうにこっと笑って、遙華の頭を撫でる
「西大寺さんも辛かったろうに、良く言ってくれたな」
「遊夜……」
「……ん、良い子良い子」
 遙華は泣きじゃくりながら、ユフォアリーヤの腕の中に納まる。
「話はロクトさんから聞いたよ。俺たちは凍結押しだ。
 凍結なら、またいつか会えるだろうさ。
 開発? これだけが武器研究の全てじゃないだろ
ここまで交流して道具に成り下がらせろ? あり得ないね。だが」
「……ボク達は」
「俺達はエリザの意思を尊重する」
「これで総意ですね、エリザ。私たちは貴方がどうしたいか訊きたいんです」
 楓が言う。
「わ、私は……」
「……ん、エリザ無理しないで」
「どんな選択肢をとっても、あなたの意志を尊重する、絶対に曲げさせないわ。だから」
「……でも、これは私のわがままだわ」
「親が、子供のわがままを聞くのは当然のことじゃないか?」
「私を家族だと、おもってくれるの? 遊夜」
「……ん。最初からそうだと思ってた」

「私ね、今身勝手なことを言うわ。みんなに嫌われるかもしれない。それでも言っていい?」
 全員が言った。

「死にたく、ないよ」

 頬を涙が伝う。エリザは泣いていた。銀色の涙が、テシテシと音を立てて床に落ちる。
「記憶が消えるってことは、私が死ぬことだわ。でもそれがとても、怖いの」

「ここにいたい。みんなといたい」

「買い物も楽しかった、みんなとお話しするのが楽しかった、歌を謳うのが楽しかった、料理も、水族館も、楽しかった。知るのが楽しかった、教えてもらうのも楽しかった、仲良くなれないと思っていた人と、仲良くなれたのがうれしかった」

「次の私なんてきれいごと、本当は、本当は嫌なの、誰にも奪われたくない、次の私であっても渡したくない」

「この幸せは私だけのもので!」

「みんなとの思い出は私だけのものなの!!」

「なんで! 何で消えないといけないの!! ひどいよ、こんなの、せっかく仲良くなったのに。これからもっと楽しくなるって信じてたのに」

 
「ああ」
 エリザは泣きじゃくりながらユフォアリーヤの元へ。二人の少女を抱えてユフォアリーヤは頭を撫でる。
「私、もう一度会える可能性があるなら、凍結がいい」

 第六章 別れ

「ねぇ、私を忘れないでね。御願いね」
 そうエリザはポットの中に納まりみんなに言った。
 それは白い棺桶で、周囲には花が咲いていた。
 そして全員がエリザに言葉をかけていく
「大丈夫だ。人間はいなくなった奴を美化して忘れない生き物だ」
 泣きじゃくるメテオバイザーに肩を貸し、國光は言った。
「俺は……忘れないと思う。俺以上に周りの奴らはエリザを忘れないけど」
「そうです……人は二度死ぬと言われてます。1度目は生命活動が止まった時の死、2度目は……誰からも忘れ去られた時の死です」
 楓は告げる。詩乃と一緒にエリザの手を握る。
「もしも、エリザに1度目の死があっても……2度目の死は起こさせません」
「忘れることなんてないよ、エリザ。君はもう楓の物語の登場人物なんだ。君のこと、そして君が紡いだ物語、ボクは絶対に忘れないよ。約束する」
 豪が鼻を一輪差し出した。それを受け取ってエリザは笑う。
「忘れはしない。必ずだ……」
「絶対忘れないぜ! 死んでも忘れるもんか!」
「泣いてるよ? ガイ」
 そうエリザは外の目尻をぬぐって笑った
「別れの挨拶は……笑顔で、シーユーアゲイン、だぜ!」
「忘れるわけないよ! そんな悲しい事言わないでよ! うちは絶対に忘れんけぇな! 絶対に絶対に! 忘れんけぇ! 忘れんけぇが、そんな悲しい事言ったらやだよ!」
 泣きじゃくるまみの頭をエリザは撫でた。
「うちは諦めんけぇ!エリザちゃんも諦めたらいかんよ!」
「姐さん……少し落ち着きなよ。感情的になりすぎだ」
「遊夜、ユフォアリーヤ」
 最後にエリザは二人の名前を呼んだ。
「俺達がガキを忘れるわけないだろ?」
「……ん、先にボク達が消えそう、だよ?」
「やだよ、二人とも、私が目覚めたらそばにいてくれないと、いやだから」
 二人は頷く。
「「おやすみ、エリザ」」
「ありがとう、みんな。おやすみ。お父さん、お母さん」

「またね」



第Z章  未来


これは近くない未来、しかし遠くもない未来。

一人の少女が目覚める、人らしい愛と欲望を胸に抱いた少女が。

 その目覚めの多くの人が祝福するだろう、その中には彼女の大切な人がおり、全てはそろっていなくても、彼女の目覚めを待ち望んでそこに佇んでいるだろう。

 そしてゆっくりとカプセルが立ち上がり、排水を済ませると、彼女は、まるで生きた人間のように瞼を震わせ目覚めるんだ。

 その瞳に、迎えられた朝の喜びを湛えて。

 そして彼女は告げるだろう。目覚めの挨拶を。

―― おはよう、私の世界   
          私は、みんなが大好きよ



結果

シナリオ成功度 成功

MVP一覧

  • 来世でも誓う“愛”
    麻生 遊夜aa0452

重体一覧

参加者

  • 誓約のはらから
    辺是 落児aa0281
    機械|24才|男性|命中
  • 共鳴する弾丸
    構築の魔女aa0281hero001
    英雄|26才|女性|ジャ
  • 来世でも誓う“愛”
    麻生 遊夜aa0452
    機械|34才|男性|命中
  • 来世でも誓う“愛”
    ユフォアリーヤaa0452hero001
    英雄|18才|女性|ジャ
  • 朝日の少女
    彩咲 姫乃aa0941
    人間|12才|女性|回避
  • 胃袋は宇宙
    メルトaa0941hero001
    英雄|8才|?|ドレ
  • (自称)恋愛マスター
    桜茂 まみaa1155
    人間|30才|女性|命中
  • エージェント
    松田 拓海aa1155hero001
    英雄|26才|男性|ジャ
  • 未来へ手向ける守護の意志
    榊原・沙耶aa1188
    機械|27才|?|生命
  • 今、流行のアイドル
    小鳥遊・沙羅aa1188hero001
    英雄|15才|女性|バト
  • 紅蓮の兵長
    煤原 燃衣aa2271
    人間|20才|男性|命中
  • エクス・マキナ
    ネイ=カースドaa2271hero001
    英雄|22才|女性|ドレ
  • これからも、ずっと
    柳生 楓aa3403
    機械|20才|女性|生命
  • これからも、ずっと
    氷室 詩乃aa3403hero001
    英雄|20才|女性|ブレ
  • きっと同じものを見て
    桜小路 國光aa4046
    人間|25才|男性|防御
  • サクラコの剣
    メテオバイザーaa4046hero001
    英雄|18才|女性|ブレ
  • 夜を取り戻す太陽黒点
    飛岡 豪aa4056
    人間|28才|男性|命中
  • 正義を語る背中
    ガイ・フィールグッドaa4056hero001
    英雄|20才|男性|ドレ
  • 喪失を知る『風』
    国塚 深散aa4139
    機械|17才|女性|回避
  • 風を支える『影』
    九郎aa4139hero001
    英雄|16才|?|シャド
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