本部

雷鳥

saki

形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
能力者
5人 / 4~8人
英雄
5人 / 0~8人
報酬
普通
相談期間
5日
完成日
2016/07/21 20:21

掲示板

オープニング

●雷鳥
 日本の固有種でもある雷鳥は、高山で一年を過ごす。渡り鳥とは違い、一年を高山で過ごすのだ。
 国の特別天然記念物にも指定されている、ちょっとリッチな鳥である。

 そんな雷鳥をバードウォッチングしていた男がいたのだが、双眼鏡を覗いたそれを見て目が点になった。己の目を疑った。二度見、三度見と繰り返してそれが本当だと理解したのである。
 雷を纏っている。
 雷鳥といっても唯の鳥だ。しかし、その雷鳥は文字通り雷を纏った鳥であった。
 目に見えるような高圧電流並みの電流を周囲に放出しながら、ばりばりと不穏を掻き立てるような音を立てている。その様は、少し離れた場所で双眼鏡を覗いていたのに聞こえてくる程であった。
 双眼鏡越しに目が合ったような気がした。
 どきりとしたものの、音を立てながら雷鳥はどこかへと飛び立った。
 雷鳥が飛び立った後、違和感があって双眼鏡で周囲を見回した所、その場は焼き尽くされたかのように黒焦げになり、雷鳥はそこに小さな火種を落としていた。
 そう、文字通り火種だ。木に火が点いていたのである。
 山火事だ。
 男はそれに気が付いて慌てて消防署へと連絡を入れた。
 山中ということもあり、消防隊が到着するまで時間がかかった為、火が消えるまで時間を費やした。しかし、火は消し止められて男はほっと胸を撫で下ろした。
 ほっとする消防隊員の安堵は束の間、ばりばりという大きな音に目を向けると鳥がいた。
 そう、雷鳥だ。
 通報した男は事情聴取を受けていたのだが、「あの雷鳥が原因だ」とそれを伝えた。
 周囲の目が雷鳥に向かうと、全員が全員我目を疑った。
 やがてふっと、雷鳥は鳥が翼を広げて飛ぶと、矢張りその場は黒こげになっていて、小さく火が燻り始めていた。
「火が……」と言う声が何処ともなく上がり、流石の連携によってそれはすぐさま消防隊によって消された。
 これだけの人の目があったのである。あの雷鳥――即ち従魔が原因だということは間違いがなかった。
 あの高圧電流が周囲に撒き散らされ続けたらまた火事になるのは目に見えている。今は人気のない場所ではあるが、あれが不意に山を下りたり、または登山中の人と遭遇したりでもしたらぞっとする話である。
 誰からも異論は上がることなく、すぐさま駆除の為の依頼を出すことが決定した。

解説

●目的
→雷鳥の討伐

●補足
→大きさ、姿は変わらないものの、高圧電流を纏っている為初見でも判別できます。高山には普通の雷鳥もいるので、そちらを間違えて攻撃しないようにしましょう。
→目標の雷鳥は単独行動をしています。他の雷鳥は電気を怖がっている為、近くにはいません。
→かなりの高圧電流を纏っているので、電流が触れると発火する可能性があります。
 山での発火は山火事で広まる危険性があるので、早目に対処しましょう。
→デクリオ級で、纏った雷を操って攻撃もしてきます。また、見た目こそ変わらないものの、電気で肉体を活性化させることによって速さは格段に上がっています。そのまま突っ込まれたら嘴+電気の合わせ技が強力なので注意しましょう。

リプレイ

●高山にて
 山の麓から見上げれば、広範囲で燃えたのだろう。遠目であるのにも関わらず、一部黒く焼けているのが目に入った。
 そこに向かって一行は山道を歩いて行く。勿論、警戒は怠らない。
 情報から件の雷鳥が近づけば判るのだろうが、それでも何処で遭遇したり、また、襲われるかは解ったものではないなからだ。

 依頼を受けた当初、「雷鳥ってのは、テレビで見た事はあるが、なんだなんだ…本当に雷纏った鳥が出ただと…? そうだなぁ…それが原因で怪我人や山火事が多発したら危ねぇもんな」と思っていた柏崎 灰司(aa0255)だったが、無残に禿げた山を見て「いや、本当、洒落にならないな」と呟く。そしてティア・ドロップ(aa0255hero001)は今回の依頼内容を頭の中で整理していたようで、『んーっと、本物の雷鳥は雷を纏ったりしてなくて、今回倒さないといけない敵は、雷を纏っていて危ない、と。よし、大体事情はわかったのさ』と頷いていた。

「夏山ー!」と、餅 望月(aa0843)が声を上げると、木霊してそれが反響した。その様を見て、百薬(aa0843hero001)は『叫びたくなっちゃうよね』と同意した。
 そうでしょと言わんばかりににっと笑い、「下山後のアイスでも楽しみに行って来よう、マイナスイオンも嫌いじゃないよ」と言う姿は、正に夏休みの学生である。しかし、仕事は仕事だ。登山前に、消火の為の手配を取ったり、「行動パターンや、もし捕まえるなら餌でおびき寄せたりとかできるか、わかる方いますか?」と情報集めもしっかりと行ったりという手際の良さから手慣れたものである。

「中々の速さじゃないか…楽しめそうだ」と好戦的な刀神 琴音(aa2163)に刀神 桜(aa2163hero001)はあらあらといったような穏やかな笑みを浮かべた。
 桜の姿は歳の離れた妹の元気な姿を微笑ましそうに見ているような、また、母親が我が子を見守っているかのような、母性に満ちた柔らかな姿であった。
 そんな桜をよそに、「遠距離攻撃は一応するが、あまり期待はしないでくれ、足止めさえやってもらえれば一撃は決めよう。何、無茶すれば見れる攻撃にはなるさ」と言う琴音の様は威風堂々としているが、そこからこれからの戦いを心待ちにしているのが見て取れた。

 トレッキングセットを装備し、リタ(aa2526hero001)と共鳴した鬼灯 佐千子(aa2526)はスナイパーゴーグルを除き、山の天気は変わりやすいと言うが暗雲立ち込める方角に「居た…! アレね…、あー、確かに、これは……」と言葉を濁した。
 大分距離があるのにも関わらず、これぞとばかりに存在感を放っているそれを目にして、リタの反応も『目標を確認。空中放電か。迂闊には近付けんな』と似たり寄ったりだ。
 ぼやくリタに同意しつつも、「とは言ってもね。また山火事を起こさせるわけにも行かないわ。さっさと片付けちゃいましょう」と佐千子はやる気を促した。

 件の雷鳥を目にし、レミア・ヴォルクシュタイン(aa3678hero001)、『雷鳥ねぇ…。情報を纏めると、それなりに厄介な敵のようね…。手応えがありそうで…ふふふ楽しめそうね』とレミア・ヴォルクシュタイン(aa3678hero001)は口角を上げる。その姿は外見こそ子供めいているものの、流石に長年を生きた吸血鬼である。堂に入ったものである。
 そして狒村 緋十郎(aa3678)に向かって、『緋十郎、今日は存分に働いて貰うわよ、しっかり力を貸しなさい』と言うと、緋十郎は恍惚な表情で「ああ、レミアのために役立てるのなら本望だ…!」と頷いた。


 あれだけのことがあったからなのか、不思議と生き物の姿が無い。この辺りに寄り付かないようにしているのかもしれない。
 成程。近づいてみれば見る程無残なものである。
 遠くに見たときにも一部不格好であったが、近づいてみると草木が焼かれ、焼け野原となったそこは合戦でもあったかのようであった。
 この辺りを縄張りにでもしているのか、空にはこの上一帯に暗雲が立ち込め、遠くの方で雷がぐずっているのが聞こえる。
「いやな天気……」と誰ともなしに呟いた。
 今にも一雨きそうというのは違って、まるで漫画やゲームなんかであるような魔王の城付近の上空が暗いとかそういうあれに近い。
 不意に、バリバリという音が近づいてきた。
 その音に釣られて視線を上げると、雷を纏った――否、雷が鳥の形をしたかのような鳥がこちらを見下ろしていた。あまりにも高度な電流を纏っている為に、鳥そのものが雷にも見える姿であった。

●遭遇
 雷鳥の姿を認め、ほぼ反射的の域で全員が共鳴する。
「よし、百薬、共鳴だ」『がってん』というやり取りをしながら、望月は内心で「いつも見たいに黙ってやれば絵になるのに」と思いつつもライヴスゴーグルで雷鳥を見る。そして、あれが従魔であるということを確認した。

『来たわ、皆、しっかり狙いなさいよ…!』と、レミアの声が響く。

 発砲音が響き渡る。

『ぬぬぬ…。雷鳥っていうから飛んでるのは分かってたけど、雷バリバリしてくるのはほんと厄介なのさー。木々や茂みにバリバリがいっちゃうと火事になるし、撃ち落とすのも落下地点に気をつけて、戦闘中も周囲に気をつけないと』というティアの言葉に従い、灰司は落下地点にも気を付けながらアサルトライフルを射撃する。

 スナイパーライフルを構えながら、「雷って速くて強力よね」『雷遁とか自然系とかね』「それはそれで何知識よ」と、桃薬とやり取りをしていた望月はスナイパーライフルのトリガーを引く。

「さぁ、始めようじゃないか!」と白い髪、赤い目を輝かせて不敵に笑む琴音は天弓「アクハト」を構えると、「遠距離はそこまで得意ではないのだがな…早く落ちてくれよ?」と射抜く。

 雷鳥を見つけてすぐさま避雷針代わりに千鳥十文字4本、それぞれ4~5m程度の間隔をあけて地面に突き差した佐千子は自身も槍から3m程度は離れたところで16式60mm携行型速射砲を構える。
 そして射手の矜持で精度を高めた上でテレポートショットを放ち、翻弄の付与を狙う。

 レミアは闇夜を舞う蝙蝠の歪な翼を思わせる漆黒の小弓――九陽神弓で、黒いライヴスの弦を引き絞り集中。そこから更にトップギアを使用することでライヴスを更に高めると、長射程を活かし、黒き雷の如き形状の鋭く長大なライヴスの「槍」を撃ち出して雷鳥の翼の付け根辺りを貫き、撃墜を試みる。

 攻撃が当たる瞬間、雷鳥の鳴き声が大きく響き渡った。それと同時に、可視できる程の大きな電気が放電される。
 空も鳴く。
 雷だ。
 上空の雲から雷を落とし、雷鳥は更に出力を上げる。
 その高圧な電流によって、其々の攻撃が届く前に焼き消えた。
 佐千子のテレポートショット、レミアの工夫を凝らした攻撃は当たったかと思われたが、放電で当たるタイミングをずらすと、雷のような速さで攻撃を避けた。

 雷鳥は再び高い声で鳴いた。
 それに伴い、電圧は更に激しさを増していく。

 雷鳥が羽ばたくと、それに呼応するかのように雷鳴が轟く。
 そして光ったと思ったら、雷が避雷針へと直撃した。
 幾ら避雷針があるとはいえ、近距離に雷が落ちたことに皮膚がびりびりと粟立つ。

『ヤバイの来るのさ!』とティアが叫んだ。

 雷鳥が突っ込んでくる。
 バチバチと音を立てて飛んでくるそれは、最早スタンガンなど目ではない威力である。
 落ちてくる雷は避雷針によって受け流されているが、それでも受けられないそれを佐千子が不屈の精神で受け止めた。
 義肢がアースの役割を果たしてくれることを期待し、身体の一部を常に地面に触れさせて地面へと攻撃を逃がそうとする。
「っっ…!? あいたっ、ちょ、ピリピリ来る……!!」
 威力は確かに削がれているが、それでもこんな電撃を受け止めるのには随分と自身に負担がかかる。
 リタは冷静に『使っているのがAGWで良かったな。通常の弾丸や爆薬を用いていれば、銃を駄目にしていたところだ』と指摘をするが、それに対し佐千子は「いや、アンタ、先に私の心配をしなさいよ……!?」と喚く。だが矢張りリタは冷静なまま、『それだけ騒げるなら問題ない。戦闘を続行するぞ』と先を促す。
 身体を張った佐千子に、「何て無茶を……」と灰司が即座にケアレイを使用する。
「有難うございます、柏崎さん」と礼を言いつつ、佐千子はライヴスガンセイバで雷鳥を狙い撃つ。ストライクも使用すれば、雷鳥の翼に掠り、僅かにだが身体が傾ぐ。そこを追い撃つように灰司が見極めの眼を使用して更に追撃をする。
 ヒットしているのだからこそ、体勢が崩れたのだ。しかし、少し体勢が崩れたところで纏っている電気がそれを寄せ付けない。
『ぬぬぬ…。もう、雷がほんと厄介なのさー。これどうにかならないの!』と、地団太を踏むようなティアに、灰司は「本当にな。あれは攻守にも使えるし、その上こちらは気にしないと火事にもなるし……。持ってきた消火器の出番が出ないことを願うしかねぇな」とぼやいた。

 望月は自身に向かってくる雷撃を、ライヴスミラーで跳ね返した。
「やり返されるとは思ってなかったでしょ?」と、にこりと笑む。
 先程の佐千子と灰司の攻撃で体勢が崩れていたこともあり、自身の纏う強力な攻撃をその身に受けて雷鳥はよろめいた。
 そこを狙い、ブラッディランスを槍投げの要領で投げ、羽を串刺しにして地面に縫いとめる。
「いたっ、いたたたたたっ……」
 前衛ではない為、取り敢えず動きを阻害しようと思っての行動であった。上手いこと雷鳥の翼には突き刺さったものの、フラッシュバンのような目を開いていられないような閃光とともにバリバリとした放電が襲い掛かってくる。
 それを直撃ではないものの掠り、まるで炎でも浴びたような火傷に望月はケアレイで癒す。

 まだこちらを敵と認識し、睨み、威嚇する態度は依然と保ったままではあるが、それでも上空から堕ちてきた雷鳥に蛇龍剣を持ったレミアは、黒き蛇龍を連想させる鞭状にした連なる黒刃で翼の付け根辺りを狙って引き裂き、更にそこから電光石火でBS付与を狙う。
 狼狽と翻弄が付与され、雷鳥の動きが鈍る。
 その隙を見逃すレミアではない。
 鞭化した蛇龍剣をそのまま絡みつかせて捕縛すると、力任せに引っ張り雷鳥を地上へ叩き落とす。
 蛇龍剣の巻き付きを更に強固なものへと変えると、雷鳥は鳴き声を上げた。
 雷が蛇龍剣を伝ってこちらへ流れる。それによって、周囲への被害を減らそうという考えもあるのだが、勿論それを実行するのなら電撃は避けられない。
 流れ込んでくる電流を受けながら、そのダメージを緋十郎が引き受けているのだから、レミアは涼しい表情で『ねぇ緋十郎、痛い?』と尋ねる。しかし、その問いに緋十郎は
「あぁ…痛い…だが…これしき大丈夫だ…!」と、レミアの意思でもたらされる苦痛に悦んでいた。

 レミアが雷鳥を拘束している間に、武器を天雄星林冲に替えた琴音が雷鳥に接近する。
 そして、自らに蛇矛を突き立て、貫いた。
 鮮やかな赤が飛び散る。
 鮮血だ。
 自身を傷つける行為を狂気にも感じる者もいるだろう。しかし、琴音にとっては敵に勝利する為ならそれをも厭わない行為なのである。
 琴音は悠然と笑んだまま、退けぬ戦いを発動する。
「かふっ…フフフ…。そうだ、この感じだ。死ぬ寸前からの戦いは、愉しいじゃないか!」
 戦闘狂とでも言える言葉とともに、オーガドライブも発動させ雷鳥を攻撃する。攻撃力を極限にまで上げる方法での攻撃を受け、雷鳥の骨格がみしりと歪んだ。そしてそのまま更にヘヴィアタックで攻撃の手を緩めない。

 電光石火でBS継続付与試みていたレミアだが、それも使い果たすと、今度は蛇龍剣をアースのように雷鳥と接続したまま地面に柄を突き刺し電流を無効化試みる。
 レミアは武器を魔剣カラミティエンドに持ち替えると、自身の身長よりも1m近く長い巨大な剣を軽々と振るい疾風怒濤を容赦なく繰り出す。漆黒の瘴気を纏う血色の巨刃で雷鳥を何度も斬り裂く。

 自由に動けず、次々に襲い来る攻撃に雷鳥は幾度も放電した。そして、その為にバチバチと辺りに火種を生んでは飛ばしている。
 その所為で小さくだが周囲で火が燻り始めた。
 いけないと灰司はティアと共鳴を解くと、念の為にと用意していた消火器を持ってすぐさま消火へと駆けつける。
『火事になったら大変なのさ』「まったくだ。今のうちにどうにかするぞ」と、二人で手分けして、まだ小さなうちに消火に回る。

 それを見て、望月もトリアイナに装備を替えると、ライヴスを水へ変化させて消火に当たる。
『天使の水で消火~』と楽しげに百薬は水を放つが、それを望月が「こら、そこかしこに振りまくんじゃないの、一応ライヴス使ってるんだから」と注意する。しかし、それは少し遅かったようで『バテたー、み、水ー』と百薬が声を上げ、それに「言わんこっちゃない」と呆れた溜息を吐いた。

 佐千子も勿論消火へと協力に回る。
 こういう場合、人の手も目も幾つもあって多いということはないからだ。寧ろ、幾らあっても足りないというべきだろう。少しの見落としから火事にでもなれば、あの山肌が露出した地帯をまた生み出しかねないからである。
 消火の道具を持っていない佐千子は、小さく燃える火を見つけて「こっちにも火が点いています」と声を張り上げた。

 消火へと奔走しているのと同じ頃、雷鳥との戦況も終わりを迎えようとしていた。
 幾度も攻撃を重ねていた琴音は雷鳥から少し距離を取るとアクハトを構え、「これで終わりだ!」と矢を射り、頭部を吹き飛ばす。
 レミアの巨大の刃が『《闇夜の血華》の刃、鳥獣の分際でその身に受けられることを光栄に思いなさい…!』と、雷鳥の胴を分断した。

 周囲の状態を見回し、琴音は「お疲れ様、だ。皆、無事で何より」と言った。
 何時の間に晴れたのだろう。日差しが指していた。
 雷鳥が終われば、あれだけ不吉めいた天気はすっかりと良くなり、晴天と呼べる程にまで空が晴れ、暗雲はどこかへと消えていたのである。

 その後、治療スキルを持つ灰司と望月が治療を済ませると、火が何処にも残っていないのかを全員で見て確認した。

 下山の途中、がぁあぁーとも、ぐおぉおぉともつくような奇声に顔を上げれば、雷鳥である。雌はともかく、雄は本当に形容しがたい鳴き声で鳴くのである。
『おぉ、雷鳥だよ、雷鳥』と百薬が指差して目を輝かせると、「せっかくだもん。見られて良かったね」と望月は笑む。
 灰司はほぅと眉根を寄せた。「テレビでは見たことがあるが、変な声で鳴くもんだな」という言葉に、ティアは『他の雷鳥達は無事で良かったのさ』と楽し気である。
 のんびりとした空気に、琴音はH.O.P.E.まん食べながら「…ふぅ…。なんだろうか、この所謂賢者タイムは…。もう少し、ぎりぎりまで楽しみたかったが」とぼやき、桜がおっとりと『まぁ、たまにはこういうのも良いではありませんか』と微笑んだ。
「まぁ、無事に終わって良かったわ」と佐千子は呟き、リタは『電気を受けてあれだけ元気だったんだ。治療もしてもらったし特に問題ないだろう』と鼻を鳴らす。それを聞き、「またアンタは。私の心配もしなさいよ」と吠えた。
 雷を纏っていない普通の雷鳥をしげしげ眺めていたレミアは、『これは電気を纏っていないのね』と呟き、そうだねと緋十郎は頷き、そして「どうかな、レミア。今回の戦いは君にとって満足できるものだっただろうか?」と尋ねた。

 今回の依頼はこれにて完遂である。
 とても天気が良い高山に、形容しがたい鳴き声が重なって幾つか響いていた。

結果

シナリオ成功度 成功

MVP一覧

  • 対ヴィラン兵器
    鬼灯 佐千子aa2526
  • 緋色の猿王
    狒村 緋十郎aa3678

重体一覧

参加者

  • 薔薇崩し
    柏崎 灰司aa0255
    人間|25才|男性|攻撃
  • うーまーいーぞー!!
    ティア・ドロップaa0255hero001
    英雄|17才|女性|バト
  • まだまだ踊りは終わらない
    餅 望月aa0843
    人間|19才|女性|生命
  • さすらいのグルメ旅行者
    百薬aa0843hero001
    英雄|18才|女性|バト
  • エージェント
    刀神 織姫aa2163
    機械|18才|女性|攻撃
  • エージェント
    刀神 桜aa2163hero001
    英雄|14才|女性|ドレ
  • 対ヴィラン兵器
    鬼灯 佐千子aa2526
    機械|21才|女性|防御
  • 危険物取扱責任者
    リタaa2526hero001
    英雄|22才|女性|ジャ
  • 緋色の猿王
    狒村 緋十郎aa3678
    獣人|37才|男性|防御
  • 血華の吸血姫 
    レミア・ヴォルクシュタインaa3678hero001
    英雄|13才|女性|ドレ
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