本部

スマグラー・ハント

昇竜

形態
ショート
難易度
普通
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
能力者
10人 / 4~10人
英雄
9人 / 0~10人
報酬
普通
相談期間
5日
完成日
2016/02/08 17:27

掲示板

オープニング

●能力者失踪事件

 最近、姿を消す能力者が増えている。それはまだ、ごく一部の者のみが知り得る事件だった。この能力者たちもまた、それに加担する者。

「あいつとの連絡はまだ取れてねぇのか」
「ああ、根城にも戻ってねぇ。こりゃ殺られたかもな」
「チッ……奴らか? H.O.P.E.か?」
「分からねぇ。だが予定に変更はない」
「そうだな。ブツは明日、天津に運ぶ。念のため日雇い共も武装させておくか」

 場所は中国の港湾都市。怪しげな酒場の一角で会話は密やかに交わされていた。

●H.O.P.E.?

 その職員はブリーフィングルームに入ってくるなりバーンとテーブルに資料を叩きつけた。近くにいた別の職員が「こら、また乱暴にして……」と怒っている。どうやら問題のある説明係のようだ。

「うるせぇな。オイ、なに見てんだよ? まあいい……今日のはちょっと特殊な依頼なんだ。いや、仕事内容は何も変わらない。いつも通りヴィランをぶっ倒してくれりゃいい」

 目深に被った帽子から覗く眼光。頬を裂く大きな古傷。胸に掲げた『H.O.P.E.』の文字がこれほど似合わない説明係も珍しい。後に聞けば、彼は以前は傭兵稼業を営んでいたそうだ。最近はエージェントの活躍で仕事がなく、現場経験豊富を買われてオペレーターに転職したらしい。

「ったくおたくらのせいでこちとら商売あがったりだ。折角世の中に仕事場が溢れてるってのによ」

 仕事仲間たちが非難がましい視線を送ったので、彼は両手を挙げて降参の意思を示した。

「そんなことで怒るなよ、冗談だって。仕事は単純さ……昨日見つかった不審船に乗り込んでヴィラン20人をふん縛る、たったこれだけだ。どうだ、いつもの仕事だろ?」

 確かにいつも通りだが、解せない部分もある。なぜ警察の調査をふっとばしてH.O.P.E.に依頼が来るのか。なぜそれがヴィランの船だと分かっているのか。

「それはおたくらが知る必要はねぇ。俺だって知らないぜ? 聞いてるのは『極秘裏の事前調査』によるってだけだ。その結果、ヴィランの一味を捕まえたらしいぜ。詳細は『社会的混乱を考慮して』秘匿事項だと。分かったら、力づくで船の積み荷を改めてきな。中身はおそらく"人間"だとよ」

 その一言に場の空気が変わる。積み荷が"人間"ということは、その船は密入国船や密輸船ではなく人身売買に関わるものだ。

「十数年前に俺が傭兵だった頃は、ヴィランに襲われて一家惨殺! 金品根こそぎ! なんて事件も結構あったもんさ。ひょっとしたらおたくらの中にも経験したことある奴がいるんじゃないか? 最近は奴らも賢くなった。だが心根は変わらねぇ、中には非能力者はクズだと思ってる奴だっているぜ。悲劇を繰り返したくなきゃ、絶対にこいつら全員踏ん縛ってくるんだな。ただし殺しちゃならねぇ、そこが俺たちと奴らの違いだ」

●中国領海にて

『せいぜい気を付けてくれよ。特に若いお嬢さんやお坊ちゃん、いつもの悪者退治とはちょ~っと毛色が違うんだぜ? 怖いお兄さんたちに連れてかれても知らねぇぞ』

 無線機からは軽薄そうな説明係の声がする。レーダーに示し出されているのは不審船の位置だ。

『向こうさんの兵器だが、例の資料によると十中八九、違法AGWだな。こんなもんグロリア社は作ってねぇ。一体どこでこしらえたんだか知らないが、威力を高めるあまり使い勝手は悪そうだ。法認可が下りそうもないシロモンだし、コソコソ作ってたんじゃ数は作れねぇだろうな……おっと、思わず薀蓄を語っちまった』

 その間にも船は進み、間もなく対象に接触する。

『……さあ、狩りの始まりだぜ』

解説

概要
中国領海を航行中の不審船乗組員を全員捕縛し、積み荷を改めてください。結果として参加者の皆さんは何者かが暗躍しているこの事件の一端に触れることとなるでしょう。

支給品
・船
H.O.P.E.が中国警察に働きかけ、商用連絡船を2隻借用しています。証拠不足のため武装できません。不審船と接触した際も違法AGW使用や誘拐の現行犯捕縛のために武力を行使してください。
・無線機
H.O.P.E.オペレーターとの通信やオートパイロットが使用可能です。秘匿性の高い任務のため、傍受の可能性のある一般的な無線機の使用は禁止されています。

敵構成
・謎のヴィラン
アジア人中心の多国籍ヴィランズで、違法AGWで武装していると思われます。数は20人程度です。不審船は大型クルーザーですが、違法な改造や武装が施されている可能性が高いです。

PL情報
敵の使用する違法AGWは機関銃、対物ライフル、煙幕です。ジャックポットが多いです。積み荷はボイラー室にあります。積み荷は情報通り人間ですが、一般人ではなく能力者です。手足を拘束され、幻想蝶を取り上げられた状態で10人程度が乗っています。女性や子供が多いですが成人男性もおり、国籍もまちまちです。抵抗して暴行を受けた者もいますが、その傷が原因で死亡することはありません。

状況
・戦闘エリアは不審船全体です。甲板だけでなく船内にも敵がいるでしょう。
・敵は強くはないでしょうが、予想外のことをする可能性もありますので、速やかに制圧してください。
・PCが貸与される船が攻撃された場合、沈没の恐れもあります。

※ヴィラン捕縛が厳命されています。積み荷の安全確保にどうしても必要であったというような特別な事情がない限り、致命傷になりうるような攻撃も彼らを刺激しかねない為避けた方がいいでしょう。
※●能力者失踪事件章はPL情報です。

リプレイ

●夕闇に紛れて

 欄干に捕まり、海風に踊る銀髪をかきあげるキリル ブラックモア(aa1048hero001)。その男性顔負けの凛々しい姿を見つつ、弥刀 一二三(aa1048)は溜息がちに前日のやりとりを思い出した。

『……中国? 何故そんな遠くまで行かねばならんのだ? 断る』
『……芝麻球、麻花に月餅、杏仁豆腐……色々ありますなぁ』
『む! 確かに……!」

 中国お菓子特集雑誌を態とらしく眺めながら言い包め、なんとかその気にさせたのだ。彼女のやる気ゲージによってはあられもない共鳴姿を晒すことになるからだが、仕事を請けるだけで何故こう苦労せねばならぬのか。
 船室の窓から、唐沢 九繰(aa1379)は空を見上げた。強襲に夜を選んだのは果たして正解だったかと。だが、是非に関わらず失敗は許されない依頼。

「積荷が人間って……」
「そういう事なのでしょう。ヴィランの捕縛兼、“積荷”の救出ですね」
『そーうそういう事だ、奴らはここ数年で急成長したアブナイ運び屋さ。外灘団円(ワイタントアエン)って名は、アンタたちが突き止めんだろ?』

 抑揚のないエミナ・トライアルフォー(aa1379hero001)の声に応えたのは、船載無線から聞こえる胡散臭いオペレーターの喋り。唐沢はその言葉で、以前の極秘依頼と今回の事件の関連を確信した。

『奴らの中で、アンタの偽名はまだ生きた情報だ。だが活躍はもう少し先だな。今追ってる輩はごく末端さ……こいつらを現行犯で捕まえておくと、後々処理がラクになる』

 一部始終は志賀谷 京子(aa0150)の耳にも届く。最低限の照明で航行する中、黒いパンツスーツは闇に溶け込むようだ。グリッターに縁どられた翠眼の煌きはいつもより大人びて見える。世に言う正義に興味はないが、彼女が断ずべきとする悪は判然とそこにある。アリッサ ラウティオラ(aa0150hero001)の礼儀正しい口調にも容赦の無さが滲んだ。

「人を売買するなんて最悪の犯罪ですよ」
「情報がつかめてよかったね。今回は止めることが出来る」
「ええ、因果応報の理を教えてやりましょう」

 拳を握るアリッサ。彼女の応報とは武力行使を意味する。普段なら揶揄うところだが、今夜の志賀谷は黙って船首の先を見つめた。

「人の尊厳を踏みにじるのは本当に許せないもの」

 自由を奪われ、物と扱われること。それは死より耐え難い屈辱。
 アリス(aa1651)とAlice(aa1651hero001)は自動操舵装置のディスプレイを見つめた。人形じみた瞳は黒と赤に光る。

「……積荷、ね。何に使うのか、どこに行くのか……」
「気になるね。……探ってみようか」
「ねぇ、その船はどこへ行くの?」
「海図を見たところ、遼寧省のようだけど」

 二人のアリスは唇の動き、声まで瓜二つ。オペレーターはどちらが喋っているか分からず、面食らったような空白が空いた。

『……鋭いお嬢さんだ。資料によると、船の行先は大連……だがそこが終着点とは限らねぇ。そっちは鋭意捜査中だが、海路と陸路で使ってる人材も会社もまるっきり違うってんで難航してるとよ』

 鬼灯 佐千子(aa2526)はここまで無言。昏い瞳に燃ゆるのは、能力犯罪に対する憎悪、嫌悪、そして憤怒。灼熱は胸を焼き、彼女自身すら苦しめる。

(依頼を受けたのは金のため……こんなものは正義とは程遠い。私が感じているのはただの感傷よ)

 そう嘯いてみても、感情の波は収まらない。――気を、沈めなければ。船室の扉を開け、甲板へ。冬の海は切るような寒さで瞬く間に鉄の四肢から体温を奪った。常人なら凍傷を免れぬほど冷え切っても、心だけは煮え滾るようで。

(でも許せない……巻き込まれる者がいることは)

 鬼灯は一人、着込んだ防寒具の襟を握りしめる。
 ……ストレイド(aa0212hero001)が、前方を見て単眼を赤く点滅させた。

《敵船を捕捉。……砲撃は》
「できません」
《……面倒な依頼だ》

 保護対象さえなければ、船ごと沈めればいいと言っただろう。フードの下から聞こえる灰堂 焦一郎(aa0212)の淡々とした否定に、機械音声がぼやいた。ストレイドが確認したのは、プレジャーボートにカムフラージュされた標的の灯。

「しかし、連絡網の構築が不足なのはむず痒い」
『悪いな、信頼の置ける中継所は限られてるんでね。持ち込みもご遠慮願いたい』
「フラッシュバンの段取りだけでも周知したいのですが」
『フム。だそうだ、どうする迫間殿』

 思考に耽っていた迫間 央(aa1445)はコンソールを見た。既にマイヤ サーア(aa1445hero001)との共鳴状態にあり、周囲には蒼いオーラが漂う。

「……なら、銃声を切欠に」
『オーケイ、敵がぶっ放した音かアンタが積み荷を確保した合図かは後のお楽しみって訳だ』
『了解、連絡を待ちます。……お気を付けて』
「任せろ」

 無機質に健闘を祈る灰堂と、迫間の乗る船は別々だ。
 積み荷というオペレーターの言葉を聞いて、早瀬 鈴音(aa0885)は少し考えた。N・K(aa0885hero001)は幻想蝶の中で彼女を見守る。

「ほんとに人間運んでるってゆうなら、ちょっとアレだよね。許しちゃダメみたいな?」
「いや、現時点でさえ数十のヴィランが絡んでいる事件がそんなありきたりな人身売買なハズもない。間違いなく魚介だ」

 鶏冠井 玉子(aa0798)の自信たっぷりな口ぶりに、オーロックス(aa0798hero001)が言葉もなく呆れる。

「不審船と言えば密漁、よって積荷は海産物と相場は決まっている。異能の力を持つ者たちが、通常ならざる方法で人知れず漁場を荒らす。そんな無法が許されるワケはないし、市場の相場を乱すことも許されない」

 荷物は人間だという情報も入っているが、これだけの大掛かりな犯罪である以上、海産が絡んでいないわけがないのだ。そういう次第で、彼女もまた皆と同じくヴィラン捕縛と積み荷奪還を目的としている。いや、あわよくば積荷を接収できるかも、等とは断じて思っていない。断じてだ。

「しかし、積み荷はそれなりの量があると見た。何処に保管されているのかな? あまりに狭すぎても用を為さない、となるとある程度は絞られるが」

 この船に乗る迫間、早瀬、鶏冠井の三人は船内に先行し、積み荷を確保する役目を担っていた。残る陽動班は隠密班支援のため、囮として行動する。だが、肝心の積み荷の在処は不明。全てを見て回れない程大きな船ではないが、成否は時間との勝負。それは皆よく分かっていた。

「情報通り『積み荷』が人間だとした場合、外から施錠できる部屋が有力か……?」
「最初は虱潰ししかないけど……『荷が人間かも』ってことなら、目星としては大勢が入れるような所じゃない?」
「それでいて、居住スペースや人の通りが多い場所は除くべきだろう」

 早瀬と鶏冠井の予想通りであれば、捜索場所はかなり限られる。

(自由を奪った上で拘束するなら、居住区画は待遇が良すぎる。貨物室は広いが、死なないからと言って、この冷たい冬の海の上で寝具や空調のない場所に放置するのも……)

 だが、迫間の推理はより的確だった。

「機関室か、ボイラー室なら? 稼働している機械の熱で『積み荷』が凍える事はないし、普通は施錠されている場所だ」
「……それ、すごく正解っぽいかも」
「ますます許せないな。魚介をそんな場所に保管するとは」
「一般に、それらは船の中央に置く……ここに狙いを絞ろう」

 早瀬は迫間に頷き、N・Kと共鳴に入った。光と風に赤髪が舞う。

(物なら良いってわけじゃないけど、人の命って、何に使われるとかそういう以前の問題でアウトかなって思うよ)
(……今日は、私が口を出す必要もなさそうね)

 N・Kは、心の中で少し笑う。

●積み荷を探して

「……?」

 その船は船上パーティでも使えそうな大型のクルーザー。操舵室の担当は、ふと暗闇に目を留めた。チカチカと光るものは、どうやら海面に反射する月光ではない。瞬間、目も眩む照明にあてられて彼は顔を背けた。再びそちらを見れば、すぐ横には国内社標の付いた連絡船がある。

「な……」
『あなたたち、こんなところで何をやっているのかな?』

 アナウンス用のスピーカーから聞こえるのは志賀谷の声。船内で待機していた者は手に手に武器を取った。それらを懐に仕舞い、ヴィランたちは甲板へ向かう。北部へ船旅に出かける一般人を装って。

「何事です。あなた方は?」

 ギリギリまで消灯して近づいたため、一気に接航することができた。船縁を踏んだのは志賀谷、唐沢、鬼灯、弥刀、アリス、灰堂。

「H.O.P.E.のエージェントよ。事と次第によっては話を聞くわ」

 所属を尋ねられた志賀谷は正体を明かした。流石に警察官でもない一般人が知らない船に乗り込む口実が思いつかなかったからだ。一応アリッサにも現代風の服を着せておいたが、名乗った以上この中に英雄がいると分かるのも仕方ない。

「H.O.P.E.? なぜ私たちが? 話すことなどありませんが」
「そう、じゃあ中を見せてもらうわね」
「……ええ、構いませんよ」

 志賀谷は片眉を吊り上げる。外見や堂々とした言動には気を遣ったつもりだが、やはり舐められたか? ……いや、そうではない。彼らは自分たちがヴィランだと露呈していることを知らないのだ。船室を改められたところで問題はない。

(妙な因縁付けやがって……抜き打ち検査のつもりか知らないが、収穫のないことを祈るぜ。怪しいとみりゃ即刻頭吹っ飛ばしてやる)

 そういう相手に、志賀谷は内心舌打ちする。もう少し抵抗してくれないと時間が稼げない。人命優先を徹底するならば、積み荷の確保は戦闘開始以前である必要があった。

「いいでしょう、まずはデッキから」

 彼女は自信満々な身振りで一歩踏み出す。船内の入り口から遠い方向へ移動し、ヴィランたちの注目を集める。すべては隠密班の円滑な任務遂行のため。だが全員の注意を引けた訳ではない。後方は弥刀が担当した。

「あんたら、ええ船乗っとるなぁ。オレ、これでも機械系強いんや。ちょい、中見せたれや~」

 強引に押し入ろうとする晩酌の過ぎたヤンキーに、機関部がやましいヴィランたちは目配せし合って彼の後を追おうとした。その前にはキリルが立つ。

「お前ら、スイーツは持っていないのか? 私はケーキが食べたいのだ!」
「ハァ?! 何言ってやがる」

 彼女を付き飛ばそうとした男は、盾に阻まれて逆に後ずさった。ゴーグルから覗く目は墨を零したようで、寡黙にして内面を伺い知れない。灰堂は身長183センチ、威圧感は十分。言動に注意を払っていた彼は静かに詰める。

「機器系統に、何か思うところでも?」
「……そういうわけじゃ」
「なんじゃワレェ、今ガンつけよったなぁ!」

 弥刀は手にした酒瓶を振り回し、泥酔演技で周囲に難癖を付ける。どさくさに紛れ、甲板に備えられた船内放送機材を破壊。酒瓶が割れないのはそれがイメージプロジェクターで投影されたものだからで、正体は鉄パイプだ。気付く者は幸いいない。遭難を装う案も考えたが、事実なく遭難信号を発信することは法律に抵触するため避けた。派手な騒ぎに船員たちは釘付けだ。

「船装に不審なプロテクター等が散見されますね……」
「未許可の銃器類は確認できないけど、これを根拠にいつでも制圧移行できますね」
「でも、予定通りいけそう。あとは殺気でも飛ばしておくよ」

 鬼灯と唐沢、アリスはその間、後方に控えて周囲を観察する。鬼灯がアヴァロンで調べた船の構造もここで役に立つ。仮に陽動に失敗しても、改造船所持の現行犯で武力行使できる状況を作ることに成功した。

『敵船上に集結中。これより接航します』
「了解、首尾よくいこう」

 その少し前、灰堂はゴーグルのズームを利用して敵の様子を確認、情報共有に勤めていた。

「ねぇ、そこから船の入り口って見える?」
『はい。前後に二か所、両端です』
「りょーかい」

 通信終了、連絡が取り合えるのはここまでだ。三人が船室を出ると、迫間は拳銃を抜き、双銃身を覆うスライドを引く。常は日本刀だが、今回は飛び道具が便利。致し方なくといった様子とは裏腹に、喪服に拳銃はよく映える。

「乗り込む位置は左後方がいいと思うな」
「ああ、そうだな。警戒が手薄になった隙を狙う」
「こちらのメリットは先手を打てる、というただ一点。相手が戸惑っているとみたら、すぐ行動に移そう。一気呵成に事を成さねば、ジリ貧になるだけだ」

 騒乱に乗じ、素早く船の中心部を目指す。鶏冠井に二人が頷き、彼女たちは救命ボートへ乗り換えて陽動班と反対側から不審船に接航した。

「弥刀や灰堂が上手くやってくれたようだな」

 最初に船縁を踏んだのは迫間。気配を殺し、罠を警戒する。だがトラップはおろか、周囲は人影もない。甲板からはざわめきが聞こえ、陽動が成功しているのは明白だった。マイヤの目を通し、迫間もそれを知る。

『運が良いわね……捕捉されていないようだわ』
「なら行動方針は変更だ。警戒は各自、二人も先駆けて動いてくれ。気を付けろ、途中には居住区画も貨物室もある」
「「了解!」」

 船の入り口はすぐそこ。鶏冠井がにじり寄ると、見張りが立っているのが分かった。だが見ているのは甲板の方ばかり。戦闘は最低限、その判断は一瞬。彼女は物陰を飛び出し、深紅の槍を具現化する。

「……!!」

 相手は鶏冠井を視覚するより早く、石突きによる攻撃を受けて膝をついた。息もできない激痛。だが、意識を刈るには至っていない。

「やはり能力者か。頑丈だな」

 鶏冠井は槍尻で敵の額を小突き、顔を上げさせる。何をされるか理解した相手は歯を食いしばった。直後、側頭部に一撃を受けて見張りは気絶する。目を覚まして抵抗されぬよう、サンタ捕縛用ネットを使用して無力化を図る。

「束縛具、もう持ってないでしょ?」
「なにも後生大事に取っておくつもりはないよ」

 早瀬はそういう鶏冠井にサンタ捕縛ネットを差し出し、見張りの懐から機関銃と通信機を奪う。

「九操がくれたの。必要なときに使ってほしいって」
「む。ありがとう」
『央……あの銃、セーフティがないわ。溶接もがたがたよ」
「密造銃か、これで捕縛の口実は成立だな。だが、今は積み荷だ。……いくぞ、早瀬、鶏冠井」

 グリップで鍵を打ち壊し、迫間たちは船内へ。居住区では数人が武器を備えて待機していたが、甲板に気を取られ隠密行動に徹する三人には気が付かなかった。

「ぐあっ」
「ウッ」

 機関部へ侵入、見張りに奇襲を掛ける。鶏冠井は槍の柄で、早瀬は蹴りでヴィランを張り倒す。早瀬は敵の懐から短機関銃を叩き落とし、続けて顎下に膝をクリーンヒット。素早く組み敷くと、相手は既に気絶していた。それをサンタ捕縛用ネットで束縛し、ボイラー室へ踏み込んだ迫間を振り返る。照明は暗かったが、目にライヴスを纏った早瀬の視界は白昼同然。

「……」

 そこに居たのは、目隠しと耳栓をされ、後ろ手と足を梯子縛りにされた人々の姿。多くは震えているが、横たわって動かない者もいる。早瀬はすぐに彼らへ駆け寄った。迫間は拳銃を明後日の方に向け、引き金を引く。弾丸が壁を砕き、その音が船中に響き渡った。

●船上は鉛の雨

 銃声は武器使用解禁の報。つまり――

「攻撃行為又は保護対象確保を確認」
《戦闘システム・起動。非殺傷モード・オン》

 灰堂が襤褸切れを翻すと、マントの下から金属光沢を放つ長身痩躯が露わとなる。幻想蝶が輝き、ストレイドと共鳴。胸部、脚部に重装甲が出現し、頭部には英雄を思わせるヘッドギア。深紅の単眼が闇夜に光った。

「状況を開始します」

 まずは目くらまし。合図から一瞬と経たぬうちに、彼の放ったライヴスは強烈な閃光でヴィランズの視界を奪った。灰堂はレーザーガンの銃口を手近な敵に向ける。正確無比な狙撃に脚を貫かれ、崩れ落ちながら男は理解する。彼らが初めから自分たちを捕縛するつもりだったことを。

「クソッあのゴーグル可変倍率レンズか……! ワケ分んねぇが、構わねぇ! 殺っちまえ野郎共ッ」
「そうは参りません。大人しくして頂きますよ」

 灰堂が取り出したのは全長2メートルの対愚神用兵器。ヴィランたちは瞬時に劣勢を理解し、血相を変えて回避行動を取った。直後船体を抉り取る超衝撃。

「――ッッ!! 60mm支援砲だと……? ふざけんな、粉にする気か! っぐ」

 突きつけられる鈍色は、鬼灯の二丁拳銃。目くらましを知っていた仲間たちはこの影響を受けず、敵の混乱を利用して優位に立ち回ることができた。両手を上げて降参を示す男から、彼女はゆっくり手を引く。

「安心しなさい、敵対する気の無いヤツにまで手を掛けたりしないから――私はアンタらとは違うのよ」

 束縛用の結束バンドを取り出す鬼灯の隙を突いて、相手は機関銃を抜いた。だが、振り返った男は彼女の顔を見て戦慄する。逃げ出そうにも、背を向けることすら躊躇するほどの威圧感。翻るロングスカートから垣間見える、機械の脚。

「……」

 鬼灯の回し蹴りは彼の側頭部を捉え、吹き飛んだ先で男は気絶した。

「最初の銃声は中からだ! オイ、ブツが」
「荷なんざ放っとけ! いいから撃て撃て! ぐあッ」

 志賀谷の光線銃が敵の肩を焼き焦がす。彼女の立ち位置は船内入口付近、船室に背を向けて。まだ隠密班が被害者を保護できたと決まったわけではないからだ。機関銃を取り落とす相手に、心を重ねたアリッサが凄む。

『これが報いです』
「まだまだよ。全員捕まえて、事の次第をハッキリさせてもらうわ」

 踏み出す彼女のすぐ耳の横を弾丸が通り過ぎる。振り返ると、操舵室からこちらを狙う狙撃手。右足のすぐ横は轟音と共に陥没し、その威力を物語る。

「対物ライフル……なんて凶悪なものを」

 志賀谷は素早くそちらに標準を合わせる。狙撃に失敗した男が身を引くより早く、彼女の放ったライヴスは敵の手を掠め、銃はガラリと彼女の傍に落ちた。

「このガキ共!!」
「やろうか、Alice」
「そうだね、アリス」

 二人の少女が手をつなぐと、その姿は陽炎のように歪み始める。ひずみは瞬く間に広がり、次の瞬間そこに立つのは何もかも紅に燻る『アリス』ただ一人。

(ジャックポットが多いみたい。適時拒絶の風使っていこう)

 彼女が手のひらを振るうと、魔法の風が術者を守る。襲い来る弾幕はアリスを避けるように周囲を穿った。それだけでも狼狽えているのに、白い指先から迸る雷撃を避ける術などなかっただろう。

「全員リンカーなら先に言ってーな!!」
『とっととそいつを仕舞え。ついでに投影機もな』

 キリルと共鳴し、長い赤髪を翻す弥刀。鉄パイプは一般人が混じっていたときのために持ってきたが、敵のこの反応の速さ、非能力者はいないと見て間違いない。代わって、召喚したのは長柄の槍。

「もう味方撃たれとるからな、正当防衛や!」

 弥刀はヴィランたちの注目を集めていた。敵が纏まったところを狙い、ライヴスを込めた一撃を放つ。そして爆発! だが万一にでも殺してしまっては困る、直撃させたのは床だ。爆風から自身を庇いつつ、仲間に叫ぶ。

「あの操舵室の兄ちゃん怪しいで! 何するか分からんさかい、早よ押えたほうがええ!」

 敵に企みが露呈したと疑われれば、証拠を隠滅される危険がある。それは弥刀も分かっていたが、敵に集中的に狙われていて身動きが取りにくかった。生憎、操舵室は射程外。ライフルに持ち替える暇はない。

《戦闘不能6名、死者0名》
「同感ですね、操舵室は押さえねば」
「ぐあっ」
「よ……っと」

 床に食い込んだ大斧を引き上げるのは唐沢。夜の闇も、ライヴスを纏った彼女の目には影響がない。状況は乱戦となったが、唐沢は積極的に前に出て応戦していた。この戦略は流れ弾を大いに減らしただろう。今のは武器を弾き飛ばすつもりが、勢いのあまり持ち手まで灰堂の足元へ吹き飛ばしてしまったようだ。ストレイドがカウントを更新する。

《戦闘不能7名、死者0名》
「私も賛成です。ここは弥刀さんたちに任せて、船内を制圧しましょう」

 灰堂と唐沢は船内へ。響き渡る銃声の中に甲板以外に向けられたものを察知し、唐沢はそちらへ急いだ。

「えいっ」

 掛け声とはかけ離れた音をたて、味方の船を攻撃していた射手は壁に激突。彼女もまた一般人の存在を気に掛けていたが、それは杞憂だった。脚の装甲を解き、大斧を取り出すと敵が操っていた兵器をガシャアと叩き壊す。

「危険ですね、合法銃を据え置きフルオートに改造とは」
「……やはりこういったものを積んでいましたか」
「?」

 灰堂は制圧した操舵室であるものを発見していた。消火器材に見せかけてあるが、元ヴィランである灰堂は一目でそれが自爆装置であることを認識する。

「中身が人間なら恐らく人質に取るか口封じの手筈を整えると……彼ら側の思考で臨んだことが、功を奏したようです。おそらく遠隔操作も可能のはず」
「爆弾……!」
「何もなくても、船はまだ航行中のはず。定時連絡が途絶えたことさえ分からなければ大丈夫でしょう。早めにここを押えられて幸いでした」

 船内別所では、ようやく刺客に気付いたヴィランたちと隠密班が大立ち回りを繰り広げていた。早瀬は敵の接近を察知し、ボイラー室の光源を銃で狙って落とす。本来は侵入時攪乱のための作戦だったが、自身の夜目を活かせばこの部屋を砦にできる。

「こっちは絶対に守るよ。だから皆、悪者は一人も逃がしちゃダメだからね!」

 早瀬に頷き、鶏冠井と迫間はヴィランを迎え打つ。槍は振り回すのに長すぎたため、鶏冠井はそれを逆さに持ち、なんとか応戦した。だが、敵の弾幕が彼女を襲う。しかし事前に早瀬のスキル射程内で動くように念押しされていたため、彼女の回復魔法によって多少の無茶もまかり通った。

(船の通路は広くない、最小の動作での最速の行動を)

 迫間は一斉掃射に対し、曲がり角を利用した回避で事なきを得た。船の構造を瞬時に反芻し、無駄のない動きで床を蹴る。

「野郎、死ね!!」

 彼の隠れた通路の先へ、敵が飛び出し再びフルオート射撃を繰り出す。だが、迫間の姿はそこにない。

「何?!」
「こっちだ、間抜けめ」

 通路を回り込んできた迫間は、側面から接近。グリップで脳天を一撃、相手を気絶させる。彼らの活躍により、船上は数十秒後に沈黙した。

「お、終わった?」
「ああ、早く皆に伝えなきゃな。彼らを動かすのは酷だから、応急処置はここでやろう」

 戦闘終了を知り、彼女もやっと息を吐く。迫間がボイラー室に戻ると、早瀬は被害者を庇うように立っていた。それは万一のとき、身を挺してでもという覚悟の現れ。

「……上が騒がしいということは、捕らえた輩を甲板に集めているのだな。こいつらも連れて行こう。小物とは言え、数を揃えればそれなりの情報は得られるだろうからな」

 鶏冠井がヴィランを抱え上げると、懐からかしゃとしわしわのビニール袋が落ちた。迫間が中を開けると、出てきたのは様々な宝石。

「幻想蝶か」

 迫間はそう気付き、早速被害者の処置を始める早瀬にそれを預けた。これは出来る限り、早く持ち主に返してやりたい。

(英雄と共にあってこそのリンカーだからな……)

●何者かの影

 幻想蝶とは、契約が成立した際に能力者の手元に現れる魔法の石。共鳴状態へ至るにはこれに触れる必要があり、能力者から一定距離離れたり、能力者が死亡した場合は消滅する。

「とすると、能力者そのものを利用して武器にってのは難しいね。他に捕まえるのが能力者じゃないといけない理由と、女子供の方が良い理由、か……。どう見る、Alice?」
「想像通りなら手っ取り早かったんだけど……高身長の男性も含まれてるからね。思いつくのはいくつかあるけど……その中でも一番可能性が高いのは実験かな。能力者なら女子供でも色々使えるし」

 アリスたちは大型兵器にそのまま入れているのではと予測したが、違うようだ。

「違うならそれでも良いよ、積荷の情報は手に入ったし。まぁでも積荷の使い道と行先、そこで誰と何をするつもりかまで分かれば御の字か……その方が次に繋がる情報が増えるからね」
「やっぱり一般人とは違うだろうし、都合いい事情があったんだろうね」

 能力者でなければ出来ない実験とは一体何だろうか。

「さあ、捕まえたわ……」

 志賀谷はサンタ捕縛用ネットで、鬼灯は結束バンドで倒れた敵を拘束していた。それでも数が足りなかったので、最終的には弥刀とアリスの申請したロープや手錠も使用することになる。志賀谷が伸びた敵の最後の一人を縄で拘束し終え、手を払って立ち上がった。

「弥刀さん、回復しますよ?」
「ああ、ええてええて。俺より志賀谷はんとか治したって」
「そうですか? では。志賀谷さーん! 治療しますね!」

 唐沢は汗を拭いてそう申し出たが、弥刀は彼女の疲弊を慮って自身は高級弁当を食すことにした。

『忘れるなよフミ、菓子だぞ』
「へいへい。けど、ホンマなんも知らん奴らやったなぁ」

 弥刀は傷を押して、持ち込んだ工具で借用した船に応急措置を施したほか、口八丁で密造兵器の製造元や誘拐目的を聞き出そうと試みていた。甲板に捕縛した敵を集めたり、船内を捜索して捕獲漏れや違法AGWの押収漏れがないか確認しようと言ったのも彼だ。傷の深い弥刀に代わり、ローラー作戦は志賀谷が主導してくれた。結果分かったのは、乗組員全18人の捕縛に成功したこと、彼らの仕事や違法AGWは雇い主に供されたもので製造元も目的も知らなかったこと。

(今回は、過去の経験が活きましたか……いえ、そうでなくては)

 ヴィランを監視する灰堂の傍で、ストレイドは物足りなさそうだ。発見された爆弾は、オペレーターに通知して処理が急がれている。

『定時連絡の担当はどなたですか?』
『素直に喋るとでも? っイ、ッああ゛』
『正直にお答え下さい』
『くっ……いいのかよH.O.P.E.、お前らがこんなことして』

 ヴィランズと交わされたのはそんなやりとりだ。頸椎を締め上げられ、呻く男。

『“五体満足で捕えろ”とは言われていませんので』
『……私達は、大捕物だけで満足する気なんて更々ない』
『無理矢理聞いてもいいけど……』

 二人のアリスが駄目押しすると、彼は口を開いた。

『れ、連絡係は俺だよ! 次の定時連絡は1時間後。上の爆弾が処理できるまで、通常通り航行してると言えと言うんだろ。俺だって死にたくない、分かってるさ! けど、詳しいことは知らないよ。全員そうだと思うぜ』
『本当かな。拷問かでっちあげの取引か……オーダー的に許されると思う、Alice?』
『ナシだね。だって、私たちはこいつらとは違うんでしょ?』

 その賢明な判断で、気の毒な男は痣だけで済んだ。彼らの武装解除や身体検査を続けるのは鬼灯。目の前で横たわる人間たちに思うところはあるが、彼女は人前でそんな感情を表に出すようなことはしない。刺さるような視線で、鬼灯は次々武器類を取り上げていく。治療を終えた唐沢が、その特徴などを報告書に纏めた。ここへアリスたちが歩み寄る。

「ちょっと興味があるんだ。造りとか見てもいい?」
「ええ、どうぞ」
「……密造にしてはしっかりしてるね。初動と威力なら正規品以上」
「ここ、刻印があります。彼らに協力しているのは、それなりの密造機関のようですね」

 後に分かったことだが、定時連絡は架空名義の回線が使用されており、詳細判明には至らなかった。また、彼らの中に外灘団円の詳しい事情を知っている者はいない。だが、鶏冠井は確信している。

「この世界、腕っぷしの強さは立ち位置に影響するというもの。重要なのはこの一戦ではなく、その次の次の次の次くらいの黒幕に至る大決戦だ」

 ヴィランの一群をあしらったとなれば、より情報を持つ上位の存在が顔を出す可能性が高い。船上に立つ赤髪の姿は、闇を照らす灯明のように風に揺られていた。

結果

シナリオ成功度 成功

MVP一覧

  • 単眼の狙撃手
    灰堂 焦一郎aa0212
  • Twinkle-twinkle-littlegear
    唐沢 九繰aa1379
  • 素戔嗚尊
    迫間 央aa1445
  • 紅の炎
    アリスaa1651

重体一覧

参加者

  • 双頭の鶇
    志賀谷 京子aa0150
    人間|18才|女性|命中
  • アストレア
    アリッサ ラウティオラaa0150hero001
    英雄|21才|女性|ジャ
  • 単眼の狙撃手
    灰堂 焦一郎aa0212
    機械|27才|男性|命中
  • 不射の射
    ストレイドaa0212hero001
    英雄|32才|?|ジャ
  • Sound Holic
    レイaa0632
    人間|20才|男性|回避
  • 本領発揮
    カール シェーンハイドaa0632hero001
    英雄|23才|男性|ジャ
  • 炎の料理人
    鶏冠井 玉子aa0798
    人間|20才|女性|攻撃
  • 食の守護神
    オーロックスaa0798hero001
    英雄|36才|男性|ドレ
  • 高校生ヒロイン
    早瀬 鈴音aa0885
    人間|18才|女性|生命
  • ふわふわお姉さん
    N・Kaa0885hero001
    英雄|24才|女性|バト
  • この称号は旅に出ました
    弥刀 一二三aa1048
    機械|23才|男性|攻撃
  • この称号は旅に出ました
    キリル ブラックモアaa1048hero001
    英雄|20才|女性|ブレ
  • Twinkle-twinkle-littlegear
    唐沢 九繰aa1379
    機械|18才|女性|生命
  • かにコレクター
    エミナ・トライアルフォーaa1379hero001
    英雄|14才|女性|バト
  • 素戔嗚尊
    迫間 央aa1445
    人間|25才|男性|回避
  • 奇稲田姫
    マイヤ 迫間 サーアaa1445hero001
    英雄|26才|女性|シャド
  • 紅の炎
    アリスaa1651
    人間|14才|女性|攻撃
  • 双極『黒紅』
    Aliceaa1651hero001
    英雄|14才|女性|ソフィ
  • 対ヴィラン兵器
    鬼灯 佐千子aa2526
    機械|21才|女性|防御



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