本部

リングに立て

saki

形態
ショート
難易度
易しい
オプション
参加費
1,000
参加制限
-
参加人数
能力者
6人 / 6~10人
英雄
6人 / 0~10人
報酬
普通
相談期間
5日
完成日
2015/12/26 20:12

掲示板

オープニング

●某格闘番組にて
 格闘技といえば、古今東西いつの時代だって人気があるものである。それは老若男女問わない。スポーツ同様に熱くなる競技だ。寧ろ、こちらの方が熱が入るという人だっているだろう。これは、そんな人向けの番組である。

「さぁ、始まりました! これは正に戦いが大好きな人間にとって、胸が熱くなる戦いが繰り広げられる夢のような時間――それがこの番組です」
 派手なマスクと派手な衣装に身を包んだ男が声高に叫ぶ。
「簡単にルールを説明させていただきましょう」
 男は腕を広げ、モニターの方を示すとモニターの画面が変わる。
「こちらは現役能力者が従魔と戦い、それによってそれぞれ点数が配分されます。能力者の方には2チームに分かれていただき、チームその点数の合計点によって競い合う――というのが、大まかなルールです。
 勿論、ただ倒せば良いというわけではありません。
 大技を決めたり、あっと驚くような戦い方をしたり、思わず目を惹くような戦い方の方が勿論高く評価されます。
 そして、勝ったチームのメンバーにはそれぞれ「チャンピオン」の称号が授与されます。
 さぁ、今日はどんな戦いが見られるのでしょうか。選手の入場です!」

解説

●目的
→従魔を派手に倒し、2チームが点数を競い合うこと

●補足
→赤と青の2チームに分かれますので、希望があるようでしたら記入してください。
→見ての通り、プロレスリングです。
 プロレスみたく、派手な行動をしてもOKです。
 勿論、椅子のような道具を使ったり、観客いじりも有りです。
 盛り上がった方が点数が高いので、羞恥心は捨て、思い切りやりましょう。
→リングに上がる従魔は毎回違います。
 どの従魔と当たっても大丈夫なように対策を取ってください。

リプレイ

●控室にて
 控室に設置されたモニターにて、会場の状況は見えるようになっている。
 客入りは上々。
 今は司会者がルールの説明をしているところだ。

『プロレスに再び、ブームを!』
 楽しそうにしている王 紅花(aa0218hero001)に、「おまえ、多趣味だな。まぁ、俺も好きだけどな」とカトレヤ シェーン(aa0218)は口角を上げた。
「まぁ、どうせやるんだったら盛り上げてやらないとな」

「僕は人前に立つような人間じゃないのですけどね……」と、溜め息混じりの坂野 上太(aa0398)に、バイラヴァ(aa0398hero001)は『若いのが身体張ってるんだ! 付き合えよ!』と言う。
 集まった面々を見ながら上機嫌なのか『美女が揃ったな! だが、こっちだって、イケメン揃いだぜ!』「自分で言う人がいますか……」などと少々絡み気味のバイラヴァに差し入れの林檎を渡せば、『お。綺麗なうさぎちゃんじぇねぇか!』と目を輝かせた。「相変わらず、見かけに反して、可愛い物好きですね」

『……楽しそうね』
 鼻歌でも歌いだしそうなご機嫌な荒木 拓海(aa1049)に、メリッサ インガルズ(aa1049hero001)は声をかけた。それに、拓海は頷く。
「おう、だってここに居るのは全員友人なんだよ。だから、楽しみたいだろう?」
『……そう。怪我をして後で泣くのは拓海だから良いけど……』

 目立つことの嫌いな三ッ也 槻右(aa1163)は「野乃…本当にやるの? 今からでも辞めない?」と尋ねるが、楽しいことが大好きな酉島 野乃(aa1163hero001)は『協力せねば、他の依頼中に乗っ取るぞ?』とやる気満々である。
 こうなったら止めることはできない。仕方のないことに槻右は項垂れた。

 ストレッチをし、入念の準備をする赤谷 鴇(aa1578)だが「筋肉とか人に見せられるようなレベルじゃ無いし…」と小さく呟いた。その近くでアイザック ベルシュタイン(aa1578hero001)はスマートフォンを弄り、『何が悲しくて野郎と筋肉談議しなけりゃならんのか』と呟く。
『終わったらそこの美人をナンパしてくる』「もう少し真面目にお願い」

『格闘マンガで得た知識を実践する時が来たか。チャンピオンの称号は俺がいただく』
 既にやる気満々のバルトロメイ(aa1695hero001)は、セレティア・ピグマリオン(aa1695)に「付け焼き刃ですよ、バルトさん! てこの原理はそんな風に作用しません!」と突っ込まれる。
 キ○肉マンと大魔○峠持参を持参したバルトを見ながら、目立つのも乱暴も嫌いなティアは肩を竦めた。

 そんな面々に、「お弁当作って来たんですよ〜スポーツドリンクもどうぞ。手作りです」とティアは料理を進める。因みに先程のウサギの林檎もその一つで、更にはバルトも『リサ、美味いか? それ作ったの俺だよ』と言い、二人が料理上手であるということが十分に知れる時間であった。

●赤チーム:坂野、バイラヴァ組
「では、赤チーム一組目は、坂野、バイラヴァ組です」

 マスクをして顔を隠したバイラヴァと、スーツ姿の坂野は笑顔を観客席に向けながらリングに上がる。
 まるで正反対の格好の二人組である。
 プロレスラーと営業中のサラリーマンくらいの隔たりが感じられる。
「次の世代に、守り伝える為に戦う! 破壊の神よ、僕に力を!」
 高らかに叫ぶと、共鳴する。
 アラフォーの坂野は二十歳近く若返り、マスクはない。
『俺様に任せておけ! 従魔だけじゃなく、お前達の理性まで壊してやるぜ』

 歓声が飛び交う中、初見である拓海は「…あれが上太さん…なの?」と呟いた。

「おぉ、若返りましたね。これは戦闘の方も期待ができそうです。
 続いて反対のコーナー――こちらはバンデッドです」

 観客に被害がいかないよう、檻に入れたバンデッドが搬入される。

「バンデッドですか。なかなかに手ごわそうですね」
 檻から出されると、バンデッドは開始の声も聞かずに襲いかかってくる。理解能力の低い従魔がこちらの言うことを聞くわけがないから、ゴングの音も何も関係がない。ただ、目の前の敵を倒す――それだけなのだ。
 力技一辺倒の従魔らしい戦法である。だが、それは読んでいたとばかりに回避する。だが、ただ回避したのではない。ただ回避するのでは芸がない。
 蝶が舞った。鮮やかに舞う。
 坂野は幻影蝶でライヴスの蝶を舞わせ――魅せる。それは戦いの場にはそぐわない程の幻想的な光景であった。
『地獄の蝶ってのは、見た事があるか?』
 蝶を見せて周囲を魅せ、それをめくらましとして使用して銀の魔弾で翻弄する。
 巧みに死角を利用し、敵を削っていく。
 それに痺れを切らしたバンデッドが突進してくるが、剣に持ち替え、「接近すれば、なんとかなると思ったら、大間違いですよ」と相手の勢いを利用したカウンターをお見舞いした。
 鋭い一撃が入る。
「トドメです!」
 リサータルダークを放つ。
『喰らい、やがれぇぇ!』
 強烈な呪が炸裂する。
 バンデッドはリングから吹き飛ばされ、壁に打ち付けられて動かなくなった。

「決まりました! 見事、勝利です!」

 勝利を讃える歓声が響き渡った。

●青チーム:カトレヤ、紅花組
「続きまして、青チームの一組目は、カトレヤ、紅花組です」

 ロックが流れる。
 シャウトと同時に扉が開け放たれた。
 カトレヤと紅花がゴスロリドレス姿で大型バイクに跨って登場した。これまでとは違った衣装に、仕事仲間達もドキリとする。
 そんな可憐な格好の二人はリングへの花道をカトレヤが運転し、紅花が後で観客に応えながらバイクで走る。そしてカトレヤはロープを飛び越え、紅花はコーナーポストに登るとゴスロリドレスを脱ぎ捨てる。
 その大胆な姿に大きな声が上がる。
 脱ぎ捨てたその下には、カトレヤは黒を紅花は赤を基調とした際どいリングコスチュームを着ているのだ。これで囃し立てる声が上がらないわけがない。
 そして人差し指を高らかに上げ、No.1を観客にアピールする。
「『カトレヤ・紅花、参上!』」

「これはまた、大胆ですね。こんなにも美人でスタイルの良いお二人がすると、場が盛り上がる、盛り上がる。けれど、強さとはまた別のもの。さぁ、どんな戦いをみせてくれるのでしょうか」

 オーガだ。
 係員が拘束具で押さえつけたオーガをリングまで連れてくると、拘束を解いた。
 怒号が響き渡る。
 びりびりと痛いほどの声である。

 カトレヤと紅花はにやりと笑むと、コングと同時に紅花がコーナーポストから前方宙返りで飛び降ると共鳴――。従魔と合間見える。
 これまでの苛立ちの鬱憤を晴らすのだとばかりに、オーガは躍起になっている。だが、そこが狙い目だ。
 接近してくると口から毒霧(コーヒー)による目潰しをする。
 堪らずよろめいたところでロープを利用してリング内を移動し、従魔の回りをすばやく駆けた。すれ違いざまに、エルボーやラリアート、跳び蹴りを繰出し、そこから更にドロップキックやヒップアタックに繋げた。流れるようなコンボである。
 その多彩な攻撃は正に正統派のプロレスだ。見ている者を熱くさせる。
 そして時にはスライディングで股抜きをしたり、側転でかわしたり、相手に手をついて飛び越えたりもする。そのアクロバットな動きに会場が沸く。
 相手に攻撃の隙を与えない見事な連撃だ。
 だが、オーガだってただやられているわけではない。反撃の機を虎視眈々と狙っているのだ。
 正拳突きの要領で拳を振るい、オーガは間合いを取ろうとするが、ロープに向かって蹴り、その反動を利用して高くジャンプする。そしてそこから胴回し回転蹴りで叩き落した。その上更に、周囲に応える為にコーナーポストに登ると、両手を上下に振って観客にアピールして煽る。
 プロレスを見に来ているのだ。当然のように観客も乗る。
 観客がのってきたら、コーナーポスト上からムーンサルトで飛び降り、従魔に膝を落とした。
 決まった。
 その瞬間、わっと会場が盛り上がった。
 仲間内からも、「カトレヤさん格好良いー☆」「カトレヤさん素敵でした!」と声が上がった。

 勝利すると、共鳴を解き、マイクを奪う。司会が「ちょっと」と言うが気にしない。
「会場の皆、応援サンキュー。これからも、応援よろしくだぜ」『お礼に、一曲披露するのじゃ』
 入場曲のロックを歌い、ダンスを披露する。最後の最後まで観客を煽ると、花道をバイクで帰った。

●赤チーム:槻右、野乃組
「赤チーム二組目、槻右、野乃組。どんな戦いを見せてくれるのでしょうか」

 試合開始前にピンマイクを付け、『あ、あ~…槻右の声は低めよの、変な感じじゃ』とその違和感に首を傾げる。だが、すぐに『勝ったらティア殿のプリンよの』と気を取り直し、名前が呼ばれ、会場へと足を向ける。

『早速遊ぼうではないかっ! それがしは甘くないぞ?』
 リンクポールでしゃがみ、睥睨する。それは挑戦的であり、挑発的な行為である。
 そこに、リングの上に籠が下される。檻ではなく籠、それがミソだ。
 ハーピーである。籠の中にはハーピーが入っていた。
 籠が開けられるのと同時に、ハーピーはその鋭い鉤爪でもって攻撃してくる。それを、上体を後ろに傾けることで避け、ハングドマンを投擲する。
 一風変わった投擲用短刀だからこそできる芸当である。
 一本をハーピーに刺し、もう一方をひっかけることにより、空中へ逃げようとしたハーピーの身動きを封じた。
 敵の注意が自身から逸れ、動けないということに向いたのを理解すると、ハーピーの首にハングドマンのワイヤーを引っ掛けて引きずり下ろした。
 更にその勢いと遠心力を利用すると、ハーピーの背中に乗り、『カウント頼むぞっ!』という声が響き渡る。
 プロレスを見に来て、これに乗らない人間はいない。
『3! 2! 1!』というコールに合わせ、会場中からも声が上がる。
 そして背中からバック宙で飛降りると、ワイヤーに全体重掛け首を絞めた。そこから更に背負い投げをし、ロープに叩き付け連撃を入れる。そこを負い打つように疾風怒濤が決まる。
 その名の通り、目にも止まらぬ連撃が繰り出され、それらがヒットする。
 正に神速。これを避けるのなど至難の業だろう。
 そこでまだ止めは刺さず、ポールの飛び上がると両手を広げ、謳うような口調で『楽しんでいるかのっ!』と、自身が一番楽しんでいますとばかりに言う。
『楽しまねば損じゃぞ! 応援よろしくの!』
 煽る、煽る。
 観客を湧かせることを心得ているようだ。何も挑発だけが煽る言葉ではない。盛り上がらせたら盛り上がらせた者勝ちなのだ。
 苛立ちが最高潮になったハーピーは呪声で内部からのダメージを与えてこようとするが、ポールの上から跳び、ロープの反動を利用して強烈な蹴りが入る。ロープを利用することにより、普段の何倍にもなった強烈な蹴りだ。
 そこからは手を緩めない。
 ハングドマンのワイヤーを利用して動きを封じ、怒涛乱舞がモロに命中する。
 えぐい攻撃が決まり、ハーピーは動かなくなった。
 ポールの上に立ちながら片腕を上げる。それだけなのに妙に貫録があり、大歓声が巻き起こった。

 因みに、これだけ格好いいことをやっておきながら、控室に戻って『あ~楽しかったの!最高だのっ!』「…よかったね。僕ぁ…穴があったら入りたい」と、温度差があったのは言うまでもない。

●青チーム:拓海、メリッサ組
「さぁ、青チームの二組目、拓海、メリッサ組です」

 入場と同時に、メリッサは拓海の手を引きリングへ一直線に走る。そして拓海の手を踏み台にしてジャンプすると、空中でクルッと回り、ロープに着地して仁王立ちする。
『私は…血湧き肉踊る戦いがしたーーいっ☆』と、まるでライブのように叫ぶとメリッサ片腕上突き上げる。その可愛らしい外見に似合わず、激しい言葉である。基、ノリが良い。
 だが、拓海は「普段の訓練で十分…」とリング上でぼそっと呟く。
『…だから「戦闘苦手」って言い訳が出るのよ? 聞いててイラっとくるわ…』そう言いながら静かに見下ろす様に、ある思考を持つ一部の人間は沸き立つ。
「……」
 拓海は何も答えないが、メリッサはそれを軽く流すと拓海と手を合わせる。
『みんなーー今日は派手に行くわよ~☆ 応援してね~☆ ハイ共鳴☆』「きょ、共鳴…」
 互いの姿が輝くと、共鳴した。

「ちょっと温度差があるようですが、大丈夫なのでしょうか? 今回の従魔はこちらです」

 オークだ。
 外観が完全に美少女と野獣――もしくは美少女とケダモノである。

 ゴングが鳴り響く。これまでの過程で学習したのか、従魔が入ると同時にゴングが鳴らされた。
 拓海はほぼ反射で敵の初撃を見切った。
 投擲である。しかも、投擲にするのには随分と大きな刃物をだ。
 自身の武器を投げてきたのだ。それを、反射的に避けた。
『そう……、いきなりやってくれるのね』
 一瞬にして距離を詰めると、黒のスパッツを纏ったある意味扇情的な脚から容赦のない上段蹴りが繰り出される。
 常人が喰らえば悶絶ものである。だが、従魔は人に比べると遥かに頑丈である。
 何でもないかのように蹴り上げてきた足を掴まれるが、逆にそれを利用する。掴まれていない方の足で飛び上がると、頭部を挟み、そのままひねり倒す。
 巨大な図体が叩きつけられ、大きな音が響き渡る。
 じらすかのようにリングの外へ降り立つと、驚く観客の首に両手回し『ご・め・ん・ね』と笑む。そして『…応援・し・て』と意味深に耳元で囁くとリングへ駆け戻る。
 こんなことをされて堕ちないわけがない。
 テンションの上がった観客に笑み、それでも立ち上がるオークの足元へ滑り込み、両足を引っ掛けると体制を崩させる。
 そこからロープを利用して勢いをつけ、一気呵成を打ち込んだ。
 積み重なるダメージにオークは崩れ落ちた。
 起き上がる気配のないオークを眺めながら、『…クス…気持ち良い…』と唇を舐めた姿は何とも言えない色香があり、凄まじい盛り上がりを見せた。

 控室に戻り、スポーツドリンクを飲みながら、「ご馳走様…体に浸みる…」と一息を入れ、その横でメリッサは『こう言うのを毎日食べてるのね~』とバルトへ意味深な視線を投げかけ、『筋肉? 女受け悪いぞ』と本人は不思議そうに首を傾げた。

●赤チーム:鴇、アイザック組
「残すところ両チーム一組ずつとなりました。では、赤チーム最後は鴇、アイザック組です」

 リングまでやって来ると手をかけ、ひらりと中へ降り立った。
 マイクを構え、アイザックは『野郎には興味ねぇ! 帰れ!』といきなりのたまった。
 その言葉に会場中の目は点になる。だが、それに気づいているのか気づいていないのかアイザックは『んでここにいる女の子は全て俺のよm……』――つまり、嫁と続けたかったのだろうが、それは阻止された。
「やめなさい、失礼でしょう!」
 そう言いながら鴇がパイプ椅子で殴ったからだ。気絶するまで強くはないが、それでも結構痛い筈だ。それでも『女の子に声をかけるのは礼儀なんだよ』と喚くあたりが重傷だ。
 囃し立てられるように、「鴇さーーんっいっちゃえー☆」と声も上がっている。拓海は完璧に観客に混ざって盛り上がっている。

「……えぇっと、始めても良いのでしょうか?」
 完全にコントのような流れに、司会者は呆気に取られ、遠慮がちに声をかける。
 そして、現れたのはデスアーミーだ。
 集団で行動するのが常であるが、今回は勿論一体だけだ。
 姿を認めると、鴇は手に持っていたパイプ椅子を投げつけ、その後すぐに共鳴した。
 共鳴すると一気に距離を詰める。
 腕を振るう。
 すっぱりと敵の一部が避けた。
 袖に隠したシャープエッジによるものだ。暗器のように袖の下に隠し、それが敵を切り裂いたのだ。
 痛みなどもろともしないデスアーミーは銃で反撃してくるが、それをストレートブローで銃弾ごと吹き飛ばす。
 直撃し、身体がロープに叩きつけられる。
 その動けなくなったところを狙い、怒涛乱舞そして一気呵成へと攻撃を繋げる。
 強烈な一撃と、目にも止まらぬ神速の攻撃のコンボである。
 これをまともに受けて動ける者の方が少ないだろう。事実、デスアーミーは動かなくなった。
 勝利を確定のものとし、『いよっしゃあ、これで女の子は俺に惚れ「惚れないから」また血迷った言葉を口にしようとしたアイザックに、鴇は突っ込んだ。
 これさえなければモテるかもしれないのに、本当に残念である。
 それでも本物の強さに、会場からは声援が送られた。『赤谷は大人しそうだが意外とやるんだな』と、意外そうなこえも上がっている。

●青チーム:セレティア、バルトロメイ組
「それでは、これが最後の戦いとなりました。青チーム、セレティア、バルトロメイ組にトリを飾っていただきましょう」

 二人は入場し、共鳴した。
 すると、その変貌に会場中からは男臭い歓声が上がる。
 まずは胸部だ。慎ましかった胸部がかなり発育し、誰の目も留まる大きさになっている。例えるのなら、イマーゴ級からトリブヌス級になったくらいの大きな違いだ。
 そしてそれに合わせ、ぶかぶかなTシャツとジャージも身体のラインがはっきりとわかるくらいピッチリとなり、正直エロスが感じられる。
 しかしそんな目で見られているのを知っているのか知らないのか、「ポロリは期待すんじゃねーぞォてめぇらァァー!!」と男らしく言いながら、マイクを投げた。この間にも胸が揺れ、観客の目は釘付けとなっている。

「おぉ、これは凄い。観客の目が完全にいってしまいますね。これでどんな戦いをみせてくれるのでしょうか?」

 地響きがする。大きな塊。
 ゴーレムだ。
 スタッフ総出で搬入されてきたゴーレムがリングに上がる。
「最後ですので、気合を入れてみました」と司会者は言うが、そんな気合はいらないという者が大半だろう。だが、バトルジャンキーは違う。「相手に不足はない」と唇を舐めた。

 繰り出される巨大な拳を、最低限の動きで避ける。
 女の身体であるからといって、必ずしも弱いわけではない。気配を敏感に察知する薄い皮膚と柔らかい関節――これを巧みに使う器用さを持っているからだ。
 ゴーレムは攻撃こそ強力だが、動きは遅い。そこをつき、一気に距離を詰める。
 接近し、フェイントを入れながら一撃を入れる。だが、硬い。
 硬い体には全然ダメージを与えられず、攻撃動作を取られるがジャブを打ち込んで軌道を逸らした。
 ノーガードで殴ってくれといっているようなものである。確かに有効な戦法ではあるが、常人なら敵の大きさに尻込みしてしまうだろう。しかし、それをやってのけるのが戦士だ。
 口角を上げた。
 再び寸前で攻撃を避けると、関節に一撃を入れる。確かに強大で頑丈な敵ではあるが、それ故の脆さも浮き彫りになっている。否、迷わずにそこを果敢に攻めることができるのだ。
 関節に的確に入れられた一撃により、ゴーレムの拳はあらぬ方向を向いた。
「何とかのアレで100万パワーが3倍だ」と、こんな時でなければ突っ込みを入れられそうなあやふやな台詞を口にすると、一気呵成を足元に撃ち込み、更に胸元に仕込んでいたサラダ油を使って転ばせる。
 体制を崩したところで、全身全霊を込めた怒涛乱舞が炸裂する。
 ゴーレムはコアを破壊しない限り倒すことはできない。岩の身体が崩れてきたところで「見切った!」と疾風怒濤を打ち込んで壊した。
 大金星である。
 最後の方では観客は胸ではなく、攻防に対して固唾を呑んでいた。だからこそ、勝敗が決まった瞬間、割れんばかりの歓声が上がった。

●結果発表
「いやー、本当に素晴らしい戦いでした。私も手に汗を握り、迫力のある戦いを楽しませていただきました。それでは早速得点の方を見てみましょう。この勝敗はチームの点数の合計で付けられます。審査員の好みで点数は与えられるので、必ずしも強いということが高得点ではなく、パフォーマンスでもつけられるのでそこがポイントです」
 では、どうぞという言葉とともにモニターに点数が浮かぶ。
「赤チームの合計87、94、89の270点。青チームは94、88、93の275点。優勝は青チームです。青チームの皆さんには「チャンピオン」の称号が与えられます」
 皆さん盛大な拍手を……との言葉とともに、大きな拍手が会場から巻き起こる。
「今回の試合はこれにて終了です。次回の試合にもどうぞご期待ください」

●打ち上げ
 居酒屋である。ある者は楽しんで、ある者は引きずられるようにしての参加である。
「皆、御疲れ様、乾杯!」『リングに栄光をじゃ!』
 グラスを打ち付け、涼やかな音が広がる。
 最初は和気藹々としていたのだが時間が経つにつれ、次第に収集がつかなくなってきた。
『よし! 拓海! 槻右! 二人の漫才力見せてやれ!』「若さはそれだけで眩しいものです」と囃し立てるバイラヴァと坂野に「いいぞ、やれやれ!」『盛り上げるのじゃ!』とカトレヤと紅花が混じり、そこから何故か可愛いモノ談義に発展し盛り上がっている。
 部屋の一角ではスイーツの話題が中心で、中でも『プリン……』と少しばかり落ち込んでいるのを見て、ティアはトロフィーを器にしたものではないが、プリンを作ることを約束した。そこにメリッサと、大人しく料理を口に運んでいた鴇も混じり、ますます話に花が咲いた。
『ティアさんのプリン、わたしも食べたいです』「はい、リサさんの分も今度作ってきますね。もちろん、鴇さんにも」「良いんですか? 控室でいただいたお料理、とても美味しかったのでうれしいです」『なら、四人でお茶会だぞ』
 そんな可愛らしい会話の横で、槻右と拓海は「相棒が図太いと影薄くなるよな…」とへたれな談義をしていて、既に酒が回りふらついている。だが、それでも酒は飲む。
 それに対し、それなりに酒の強い槻右は「拓海もお疲れ。何言っても聞きゃぁしないし。ほんと…自由だよね」と酒を煽る。
 そこに『何しみったれた顔しているんだ』と日本酒片手にバルドが混ざり、男の話談義へと発展していく。

 仕事は終わったが、まだまだこれからが長いようである。盛り上がりながら夜は更けていく。

結果

シナリオ成功度 大成功

MVP一覧

  • エンプレス・ルージュ
    カトレヤ シェーンaa0218
  • 拓海の嫁///
    三ッ也 槻右aa1163

重体一覧

参加者

  • エンプレス・ルージュ
    カトレヤ シェーンaa0218
    機械|27才|女性|生命
  • 暁光の鷹
    王 紅花aa0218hero001
    英雄|27才|女性|バト
  • 繋ぎし者
    坂野 上太aa0398
    人間|38才|男性|攻撃
  • 守護の決意
    バイラヴァaa0398hero001
    英雄|20才|男性|ソフィ
  • 苦悩と覚悟に寄り添い前へ
    荒木 拓海aa1049
    人間|28才|男性|防御
  • 未来を導き得る者
    メリッサ インガルズaa1049hero001
    英雄|18才|女性|ドレ
  • 拓海の嫁///
    三ッ也 槻右aa1163
    機械|22才|男性|回避
  • 大切な人を見守るために
    酉島 野乃aa1163hero001
    英雄|10才|男性|ドレ
  • 馬車泣かせ
    赤谷 鴇aa1578
    人間|13才|男性|攻撃
  • 馬車泣かせ
    アイザック ベルシュタインaa1578hero001
    英雄|18才|男性|ドレ
  • 黒の歴史を紡ぐ者
    セレティアaa1695
    人間|11才|女性|攻撃
  • 過保護な英雄
    バルトロメイaa1695hero001
    英雄|32才|男性|ドレ
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