本部
ひとりぼっちじゃ帰れない
- 形態
- ショート
- 難易度
- 普通
- 参加費
- 1,000
- 参加人数
-
- 能力者
- 11人 / 4~12人
- 英雄
- 10人 / 0~12人
- 報酬
- 普通
- 相談期間
- 5日
- 締切
- 2015/11/30 19:00
- 完成予定
- 2015/12/09 19:00
掲示板
-
相談用卓
最終発言2015/11/30 12:38:18 -
依頼前の挨拶スレッド
最終発言2015/11/30 12:38:51
オープニング
●兄と妹
欧州の僻地、一組の兄妹が林の中を歩いている。
日がすっかり傾いてしまったため、辺りはすっかり薄暗い。
12歳の兄カールは不機嫌そうな様子でやや早足、4歳の妹アンはそんな兄に手を引かれて申し訳なさそうについていく。
「ったく、大事なぬいぐるみなら置いてくるなよな。というかそもそも持っていくなよ」
「ごめんなさい……」
2人は林に妹のぬいぐるみを取りに来ていた。
近隣の小さな住宅地に住む子供たちにとってこの場所は格好の遊び場であり、アンも昼間に友人たちと訪れていた。そしてお気に入りのぬいぐるみを置き忘れてきた。
そのことに気がついたアンが、ぬいぐるみを取りに戻りたい、暗いから一緒に来てほしいと言ったのでカールはしぶしぶ同行することになったのだ。
急ぎ足で歩き続けて、兄妹は昼間に妹が遊んでいた場所まで到着した。カールのペースに合わせてついてきたアンはかなり息が乱れている。
「あるかー?」
「あった!」
地面に鎮座する犬のぬいぐるみ。ここまで兄の機嫌の悪さにこわばっていたアンの顔に歳相応の笑みが浮かぶ。
「それだけだよな。じゃ帰るぞ」
「うん」
再び手をつなぎ、2人は家路につく。
兄はやはり早足で、妹がそれに合わせて頑張ってついていく。
アンがぬいぐるみにひどい汚れが付いていないか確かめていると、唐突にカールが止まる。アンはカールの背中に顔をぶつけてしまった。
「ごめんなさい」
また兄に迷惑をかけてしまった、とアンは慌てて謝る。機嫌が悪い兄に怒られてしまうかもしれないと思うとつい「ごめんなさい」が口から出てしまう。
しかし、カールは振り向きもせず黙ったままだ。そしてアンの手を痛いほど強く握ってきた。
不思議に思ったアンが兄の横からのぞき込むように前方を見ると、『それ』があった。
身の丈は2メートルは超えるだろう、大柄な人間のようなものが、兄妹をじっと見つめていた。
シルエットこそ人型をなしているが、むき出しの牙、額から生える一角、異様なほど発達した筋肉の鎧はとてもヒトのものとは思えない。
鬼のような出で立ちの怪物だった。
アンはそれが何かもわからず、兄を見上げて彼の反応を待つ。
カールはアンを抱え上げて一目散に走り出した。さっきまでの不機嫌な表情とは違う、何か焦っているような顔だった。
しかし疾走する最中、アンはぬいぐるみを落としてしまう。ぬいぐるみは近くの茂みまで転がっていってしまった。
「ワンちゃんが行っちゃう!」
アンは兄の手をするりと抜けて、茂みに走り寄っていく。
「バカ! 今はそれどころじゃない!」
カールの怒鳴り声にすくみあがり、恐る恐るアンは振り返る。
そして心臓が跳ね上がる。
こちらを向いた兄のすぐ後ろで、拳を振り上げる怪物の姿が見えた。
「うしろーーーーーー!」
力いっぱいに声を出す。何が起きているかは幼いアンにはよく分からないが、それが兄を傷つけようとするものだということは分かる。
アンの声に反応し、カールは飛び退いて何とか命を取り留めた。
無事ではあったが、今度は別の問題が生まれた。兄妹の間に怪物が立ちふさがる形になってしまったのだ。
数秒の思案の後、カールの表情がまた変わり、じっと怪物を見すえている。
「アン! すぐに林を出ろ! それで誰か大人に怪物が出たって言うんだ、いいな!」
早口にそう伝えて、カールは怪物に拾った石を投げつける。
「こっちだ! デカブツ!」
石をぶつけられたことに反応し、怪物がカールに正対する。意識は完全にカールに向けられたようだ。
怪物は力強く一歩を踏み出し、突進するように走ってきた。アンにちらりと目を向けて、カールもまた走り出す。アンの視界から遠のき、どこかへ。
兄たちが去り、しんと静まったその場所で、妹はぬいぐるみを抱えてうずくまってしまう。
兄は林を出ろと言ったけれど、この暗い林をひとりでなんて歩けない。道ははっきり見えないし、方向だって分からない。
何より、このまま兄と別れたら、もう会えないような予感がしてしまう。
とても恐ろしいものから、たったひとりで逃げ回っている。それがアンのためだということも何となく分かる。
林の薄闇の中、妹は大粒の涙をぽろぽろと落としていた。
「ごめんなさい……もっといっばいあやまるから……」
妹は歩き出す。犬のぬいぐるみを抱えて、兄の言いつけを守らずに、兄を追って歩き出す。
「だから……だからいっしょにかえろぉ……」
●H.O.P.E.にて
「プリセンサーが事件を予知しました。子供の兄妹2人がデクリオ級の従魔1体に襲われてしまうようです」
集まった能力者たちにH.O.P.E.の女性職員が説明を行っている。
「場所は田舎の雑木林のようですね。今から向かうとなるとちょうど事件発生直後といったところでしょう」
能力者たちが予知の詳細が記された資料に目を通す。
「予知によると、兄の少年が従魔から逃げ回っているとのことです。一般人に逃走を許すということは鈍重な敵であるということでしょう。そしてもうひとり……妹の女の子ですが、困ったことに少年を追って林をさまよっているらしいのです。幼い子ですから、早急に保護をお願いします」
職員の話が終わり、能力者たちは現場に向かう準備を始めるのだった。
解説
目標:従魔を討伐し、兄妹を助けてあげて下さい。
場所:日没後の林の中となります。
敵:デクリオ級の鬼型従魔が1体です。
動きは遅く、回避も高くありません。
その分、頑強で物理攻撃の威力が高いです。
知能も獣並というところです。
その他:従魔はカールを追って動いています。
さらにフィールドを幼いアンがウロウロしています。
兄を探していますから、光や物音があればそちらに向かうでしょう。
アンはひとりで従魔から逃げるような体力はありません。
小さな子供なので、抱きながら移動や戦闘が行えます。
状況:オープニングの後から行動開始となります。
あらかじめ二手に分かれておくなどは可能です。
マスターより
初シナリオ投下となります、星くもゆきと申します。
少々長いOPとなってしまい申し訳ありません。読んで下さった方には感謝です。
兄妹が無事に2人とも家に帰れるといいなぁと思っております。
リプレイ公開中 納品日時 2015/12/07 22:21
参加者
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